| 【発明の名称】 |
移動農機 |
| 【発明者】 |
【氏名】松岡 正躬
【氏名】原田 英二
【氏名】田中 周二
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| 【要約】 |
【課題】HSTの出力軸の軸芯とトランスミッションの入力軸の軸芯とを一致させて動力伝達部の構造を簡略化する。
【解決手段】乗用田植機10は、走行機体16の後部に植付部34が昇降自在に支持されていて、エンジン20の発生動力は、油圧式無段変速装置(HST)58を介して、フロントアクスル21に一体固定されたトランスミッション22に入力されている。そして、HST58と油圧ポンプ63とを、フロントアクスル21の軸方向中央部に配置された中央デフケース64に取付け、HST58の出力軸65とトランスミッション22の入力軸の夫々の軸芯を容易に一致できるようにして、動力伝達部の構造を簡略化すると共に、トランスミッション22の前方にHST58を配置して機体前部を重くし、重量バランスの適正化を図っている。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 走行機体に作業部を昇降自在に支持すると共に、機体前部に搭載されるエンジンの発生動力を、油圧式無段変速装置を介して、フロントアクスルに一体固定されたトランスミッションに入力してなる移動農機において、前記油圧式無段変速装置と前記作業機昇降用の油圧シリンダに作動油を供給する油圧ポンプとを、前記フロントアクスルの軸方向中央部に配置されかつ差動歯車装置を収容するデフケースに取付けると共に、前記トランスミッションの前方に前記油圧式無段変速装置を配置した、ことを特徴とする移動農機。 【請求項2】 前記油圧ポンプを、前記油圧式無段変速装置と前記トランスミッションとの間でかつ前記フロントアクスルの上方空間に配置した、ことを特徴とする請求項1記載の移動農機。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、乗用田植機等の移動農機に関し、詳しくはフロントアクスルの中央デフケースに油圧式無段変速装置等を取付けた移動農機に関する。 【0002】 【従来の技術】移動農機としての乗用田植機は、走行機体の後方に、昇降リンク機構を介して植付部が昇降自在に支持されていて、該走行機体の移動に伴い植付部により圃場面に苗が移植される。このような乗用田植機において、主変速装置として油圧式無段変速装置(HST)が採用されたものでは、この油圧式無段変速装置によりエンジンの発生動力を無段階に変速し、この変速された動力をトランスミッションに入力していた。そして、従来は、前記油圧式無段変速装置がトランスミッションの後方に該トランスミッションと一体的に連結されていた。また、パワーステアリング及び植付部昇降用の油圧シリンダ等に作動油を供給する油圧ポンプは、トランスミッションとは別部材のブラケットに取付けられていた。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】ところで、乗用田植機においては、走行機体の後方に植付部が昇降自在に支持されているため、該植付部の重量を考慮して走行機体の重量バランスを適正化すべく前バランス化することが望ましいが、前述した従来の技術によると、トランスミッションの後方に前記油圧式無段変速装置が配設されていたため、該油圧式無段変速装置の位置が機体後方にシフトし、機体前後の重量バランスの適正化が図れないという課題があった。 【0004】また、前記油圧ポンプは、トランスミッションとは別部材のブラケットに取付けられ、かつ前記油圧式無段変速装置の入力軸からベルト伝動により駆動されていたため、ポンプ伝動部の構造が複雑となり、製造コストが増大する要因となっていた。 【0005】この発明は、斯かる課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、油圧式無段変速装置の出力軸の軸芯とトランスミッションの入力軸の軸芯とを一致させて動力伝達部の構造を簡略化すると共に、伝達効率の向上を図り得る移動農機を提供することにある。 【0006】 【課題を解決するための手段】この目的を達成するため、請求項1記載の発明は、走行機体(16)に作業部(34)を昇降自在に支持すると共に、機体前部に搭載されるエンジン(20)の発生動力を、油圧式無段変速装置(58)を介して、フロントアクスル(21)に一体固定されたトランスミッション(22)に入力してなる移動農機(10)において、前記油圧式無段変速装置(58)と前記作業機昇降用の油圧シリンダ(44)に作動油を供給する油圧ポンプ(63)とを、前記フロントアクスル(21)の軸方向中央部に配置されかつ差動歯車装置(64a)を収容するデフケース(64)に取付けると共に、前記トランスミッション(22)の前方に前記油圧式無段変速装置(58)を配置した、ことを特徴とする。 【0007】請求項2記載の発明は、前記油圧ポンプ(63)を、前記油圧式無段変速装置(58)と前記トランスミッション(22)との間でかつ前記フロントアクスル(21)の上方空間に配置した、ことを特徴とする。 【0008】[作用]以上の発明特定事項により、本発明の移動農機(10)によれば、エンジン(20)の動力は油圧式無段変速装置(58)に入力され、この油圧式無段変速装置(58)にて無段変速されてその出力軸(65)からトランスミッション(22)に入力され、更に、このトランスミッション(22)からフロントアクスル(21)に伝達される。そして、前記油圧式無段変速装置(58)と、作業機昇降用の油圧シリンダ(44)に作動油を供給する油圧ポンプ(63)とを、フロントアクスル(21)の軸方向中央部に配置された中央デフケース(64)に取付けることで、油圧式無段変速装置(58)の出力軸(65)の軸芯とトランスミッション(22)の入力軸の軸芯とを容易に一致させることが可能となり、動力伝達部の構造が簡略化される。また、トランスミッション(22)の前方に油圧式無段変速装置(58)を配置することで、機体前部が重くなり、機体前後方向の重量バランスの適正化が図られる。 【0009】なお、上述したカッコ内の符号は図面を参照するために示すものであって、本発明をなんら限定するものではない。 【0010】 【発明の実施の形態】以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。 【0011】図1及び図2は、本発明に係る移動農機としての乗用田植機を示すもので、この乗用田植機10は、前輪12及び後輪14により支持された走行機体16を備えており、この走行機体16は、機体前後方向に沿い略々平行に延設された左右一対のメインフレーム18,18を有している。このメインフレーム18,18は、断面矩形状の角形パイプから成り、機体前後方向に沿い略々平行かつ直線状に対向配置されていて、機体前部はフロントフレーム24により左右一体に連結され、また後部は図示しない横架フレームにより左右一体に連結されている。 【0012】前記走行機体16には、その前方部分にボンネット17に覆われたエンジン20が配設され、このエンジン20の発生動力は、可変容量ポンプ及び油圧モータを用いて無段階に変速する油圧式無段変速装置(以下、「HST」という)58を介して無段階に変速され、トランスミッション22に入力される。そして、このトランスミッション22に入力された動力はギヤ結合により変速されて、前輪12に動力を伝達するフロントアクスル21、及びプロペラシャフト66により後輪14に動力を伝達するリアアクスル23、更に植付PTO軸67を介して植付部34の夫々に伝達されている。なお、前記走行機体16の後方には、前記植付部34がアッパリンク37とロアリンク38を有する昇降リンク機構36により昇降自在に支持され、植付杆35により田面に苗が植付けられる。 【0013】また、前輪12及び後輪14にて支持された走行機体16上には、ステアリングホイール27と表示パネル29及び座席シート28を有する運転席30が配設されていて、この運転席30には、前記ステアリングホイール27の近傍に機体の走行速度等を変速制御する主変速レバー32が配設され、座席シート28の側部には植付部34の昇降及び植付クラッチの入切を行う油圧植付レバー33が配設されている。また、前記メインフレーム18,18の後部には、縦フレーム19が立設され、該縦フレーム19の上端部間はU字型パイプ(図示せず)によって相互に連結されていて、このU字型パイプの上方に前記座席シート28が形成されている。 【0014】前記トランスミッション22と昇降リンク機構36との間には、油圧シリンダ44が配設されていて、前記油圧植付レバー33を操作すると、運転席30の下方に配置された油圧制御バルブ(図示せず)が作動し、この作動に基づき、後述する油圧ポンプ63から作動油が供給されて油圧シリンダ44が伸縮し、植付部34が昇降制御される。 【0015】また、走行機体16上には足乗せ用のステップカバーが形成されていて、例えば、ボンネット17の左右側にフロントステップカバー46、及び座席シート28の後部左右側にリアステップカバー47が設けられている。オペレータは、これらのステップカバー46,47を利用して、降車することなく走行機体16の前部に積載された苗を後方の苗載せ台に円滑に供給できるようになっている。 【0016】本発明では、前記油圧式無段変速装置58と前記作業機昇降用の油圧シリンダ44に作動油を供給する油圧ポンプ63とを、前記フロントアクスル21の中央デフケースに取付けると共に、前記トランスミッション22の前方に前記油圧式無段変速装置58を配置したものである。 【0017】本実施の形態において、図1及び図2に示すように、前記エンジン20から入力された動力を前記HST58にて無段変速し、該変速した動力をトランスミッション22に入力するため、これらエンジン20、HST58及びトランスミッション22を伝動経路の流れに沿って配置している。すなわち、機体前方から後方に向けて、前記エンジン20、HST58、前輪12を支持するフロントアクスル21、トランスミッション22、後輪14を支持するリアアクスル23等が順に配設されている。 【0018】図3及び図4に示すように、前記トランスミッション22は、フロントアクスル21の中央デフケース64の後部にボルト80により固定されていて、この中央デフケース64には、内側に差動歯車装置64aが収容されている。また、前記中央デフケース64の前部には、前記HST58が取付けられていると共に、ボルト78によりブラケット62が取付けられていて、このブラケット62に、前記植付部34の昇降用の油圧シリンダ44に作動油を供給する油圧ポンプ63が取付けられている。 【0019】そして、前述したように(図1及び図2参照)、前記エンジン20の動力は、カップリング60とユニバーサルジョイント61を介して前記HST58に入力され、該HST58にて無段変速されてHST出力軸65からトランスミッション22に入力されている。更に、このトランスミッション22に入力された動力は、該トランスミッション22からギヤ結合によりフロントアクスル21に、またプロペラシャフト66によりリアアクスル23に、更に植付PTO軸67を介して植付部34に伝達されている。 【0020】このように、HST58と油圧ポンプ63とを、フロントアクスル21の中央デフケース64に取付けたことにより、HST58の出力軸65の軸芯とトランスミッション22の入力軸の軸芯とを容易に一致させることが可能となり、動力伝達部の構造を簡略化することができる。また、HST58の入力軸はエンジン20により駆動され、この入力軸に油圧ポンプ63の入力軸を略々同軸状に連結することができるので、伝達効率の向上が図られる。 【0021】更に、本実施の形態では、中央デフケース64の前部にHST58を取付けると共に、後部にトランスミッション22を取付けたことで、トランスミッション22の前方にHST58が配置されており、これにより、トランスミッション22の後方にHST58を取付けた場合に比して機体前部が重くなることから、重量バランスの適正化が図られる。 【0022】また、本実施の形態において、前記油圧ポンプ63を、HST58とトランスミッション22との間でかつフロントアクスル21の上方空間に配置している。一般にフロントアクスル21の上方には空き空間が形成されているため、この空間を利用して油圧ポンプ63を設けることにより、該フロントアクスル21の上方空間の有効利用を図ることができる。 【0023】なお、図1に示したように、前記HST58の操作レバーである主変速レバー32を、ステアリングホイール27の近傍に配置し、かつこの主変速レバー32をHST58から直接上方に延設している。この主変速レバー32は、前後進の切換えと無段変速操作が可能であり、前後進の切換えでHST58のトラニオンシャフトを介してHSTポンプの斜板の傾き方向及び量を変えることにより、作動油の吐出量をモータ出力回転に変えている。 【0024】このように、主変速レバー32をハンドル操作部に配置すると共に、HST58から直接上方に延設したことにより、該主変速レバー32を操作し易い位置に設けながら、主変速レバー32とHST58との間を最短距離で連結することが可能となり、変速位置の誤差を少なくことができる。 【0025】更に、図2に示したように、前記トランスミッション22の側方には、リリーフバルブ25が取付けられていて、油圧機器に過負荷が加わった場合、このリリーフバルブ25が作動して高圧側の油を低圧側に逃し、機器の損傷が防止されるようになっている。 【0026】次いで、図5〜図8に示すように、前記HST58には、オイルタンク82からホース84により作動油が供給されていて、このHST58の上部には、油温が異常に上昇するのを防ぐためのオイルクーラ68が取付けられ、このオイルクーラ68で冷却された作動油はホース86によりオイルタンク82に還流される。なお、オイルクーラ68の前方には、該オイルクーラ68に近接してエンジン20の冷却用のラジエータ69が取付けられている。 【0027】また、本実施の形態においては、図4に示すように、ピットマンアーム取付部材90とフロントアクスル21の中央デフケース64とを一体的に形成している。この場合、従来は、フロントアクスル21の中央デフケース64とファイナルケース取付部にピットマンアームの取付ブラケットを同時に組込んでいたので、専用の取付ブラケットが必要となり、コストアップとなると共に取付部が緩む等のおそれがあったが、ピットマンアーム取付部材90を中央デフケース64と一体的に構成することにより、従来のような専用の取付ブラケットを不要とすると共に、部材間を強固にすることができ、取付部の緩み等をなくすことができる。 【0028】 【発明の効果】以上説明した通り、請求項1記載の発明によれば、機体前部に搭載されるエンジンの発生動力を、油圧式無段変速装置を介してトランスミッションに入力し、前記油圧式無段変速装置と作業機昇降用の油圧シリンダに作動油を供給する油圧ポンプとを、フロントアクスルの中央デフケースに取付けたことにより、油圧式無段変速装置の出力軸の軸芯とトランスミッションの入力軸の軸芯とを容易に一致させることができ、動力伝達部の構造を簡略化することができる。また、油圧式無段変速装置の入力軸と油圧ポンプの入力軸とを同軸状に連結することができるので、伝達効率の向上を図ることができる。 【0029】更に、トランスミッションの前方に油圧式無段変速装置を配置したことにより、機体前部を重くすることができ、従来のようにトランスミッションの後方に油圧式無段変速装置が一体固定された場合に比較して、重量バランスの適正化を図ることができる。 【0030】請求項2記載の発明によれば、前記油圧ポンプを、油圧式無段変速装置とトランスミッションとの間でかつフロントアクスルの上方空間に配置したことにより、フロントアクスルの上方空間の有効利用を図ることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001878 【氏名又は名称】三菱農機株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年10月7日(1999.10.7) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100082337 【弁理士】 【氏名又は名称】近島 一夫 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−103818(P2001−103818A) |
| 【公開日】 |
平成13年4月17日(2001.4.17) |
| 【出願番号】 |
特願平11−287394 |
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