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【発明の名称】 多条植移植機
【発明者】 【氏名】島隅 和夫

【氏名】福高 恭史

【氏名】野坂 健吉

【氏名】北 賢治

【要約】 【課題】多条植え移植機1において、苗搬送体41、植付体31及び座席5を適正に配置することによって、苗供給の煩雑さを伴うことなく、狭い条間隔での苗の多条植を可能とする。

【解決手段】左右車輪7,8によって走行する機体2に、同機体2の左右中心Xから左右一側方に偏心して配設された一対の植付体31L,31Rと、各植付体31L,31Rに対して、それぞれ各植付体31L,31Rの左右外方側から互いに向かう方向に苗Nを搬送する一対の苗搬送体41L,41Rと、各苗搬送体41L,41Rに前後方向に対向して配設された一対の座席5L,5Rと、が備えられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 左右車輪(7,8)によって走行する機体(2)に、同機体(2)の左右中心(X)から左右一側方に偏心して配設された一対の植付体(31L,31R)と、各植付体(31L,31R)に対して、それぞれ各植付体(31L,31R)の左右外方側から互いに向かう方向へ苗(N)を搬送する一対の苗搬送体(41L,41R)と、各苗搬送体(41L,41R)に前後方向に対向して配設された一対の座席(5L,5R)と、が備えられていることを特徴とする多条植移植機。
【請求項2】 一対の座席(5L,5R)が、機体中心(X)を挟んで左右に振り分けて配設されていることを特徴とする請求項1に記載の多条植移植機。
【請求項3】 機体中心(X)側に配設された一方の苗搬送体(41L)に対向する座席(5L)が、前記機体(2)の左右他側外方に向いた傾斜姿勢で設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の多条植移植機。
【請求項4】 畝上面を所定高さに均平化する整地部材(66)が、一対の植付体(31L,31R)に対応してその前方に設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の多条植移植機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、圃場に対して左右複数条の苗を植え付け可能とした多条植移植機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、左右一対の前輪及び後輪によって畝を跨いで走行する走行機体に、横軸回りに回転して畝に苗を植え付ける植付ディスクと、該植付ディスクに向けて下方に苗を搬送して受け渡す上下方向の縦搬送ベルトと、該縦搬送ベルトの上部に向けて左右方向に苗を搬送して受け渡す横搬送ベルトとを有する移植装置を備え、また、前記横搬送ベルトに対して苗を供給するオペレータが着座する座席を備えた自走式の移植機が知られている(例えば、特許第2569226号公報、実公昭63−31523号公報参照)。
【0003】この移植機は、植付ディスク、縦搬送ベルト及び運転席を走行機体の左右略中央に配設することによって、畝中央に苗を一条植えするものとなっており、また、オペレータが直接縦搬送ベルトに苗を供給するのではなく、数本の苗を同時に載置できる横搬送ベルトを介することによって、苗供給の煩雑さを解消し、欠株の防止を図るものであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】玉ねぎや長ネギ等の作物においては、狭幅の畝に対して1条植えを行うだけでなく、広幅畝に対して左右複数条に苗を植付ける場合があり、また、この多条植えの場合には、狭い条間隔で苗を植付けることが一般に行われる。したがって、前記従来の移植機は、一条植え専用であることからこのような広幅畝に対する多条植えには対応できないものであるが、走行機体に左右複数の移植装置を並設することによって同時多条植えを可能とすることが考えられる。
【0005】しかし、単に移植装置を左右に並べただけでは、少なくとも横搬送ベルトの幅だけ左右植付ディスクの間隔をあける必要が生じ、狭い条間隔での苗植付に対応できるものとはならず、横搬送ベルトの幅を狭くすれば、植付ディスクの間隔も狭くできるものの、同時に載置できる苗の本数が少なり、苗供給が煩雑となって欠株の原因となるなど、相反する課題が生じるものであった。そこで、本発明は、苗搬送体、植付体及び座席を適正に配置することによって、狭い条間隔での苗の多条植を可能としながら、苗の供給も好適に行える多条植え移植機を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達成するために以下の技術的手段を講じている。すなわち、本発明にかかる多条植移植機は、左右車輪7,8によって走行する機体2に、同機体2の左右中心Xから左右一側方に偏心して配設された一対の植付体31L,31Rと、各植付体31L,31Rに対して、それぞれ各植付体31L,31Rの左右外方側から互いに向かう方向に苗Nを搬送する一対の苗搬送体41L,41Rと、各苗搬送体41L,41Rに前後方向に対向して配設された一対の座席5L,5Rと、が備えられていることを特徴としている。
【0007】この移植機によれば、左右車輪7,8によって畝Rを跨いだ状態で走行機体2を畝長手方向に走行しながら、座席5L,5Rに着座したオペレータが各苗搬送体41L,41Rに順次苗Nを供給する。そして、供給された苗を、苗搬送体41L、41Rによって各植付体31L、31Rの左右外方側から互いに向かう方向に搬送して各植付体31L、31Rに受け渡し、各植付体31L、31Rによって苗Nを植え付ける。この際、各植付体31L、31Rは、機体中心Xから左右一側方に偏心して備えられているため、畝長手方向に片道走行することで、畝Rの左右一側に2条の苗Nが植え付けられる。
【0008】また、機体2を反転して、再び同一の畝Rを跨いだ状態で走行及び苗植付を行うことにより、畝Rの左右他側にも2条の苗が植え付けられるようになり、この往復走行で合計4条の苗植付が可能となる。一対の苗搬送体41L,41Rは、各植付体31L、31Rに対して左右外方側から互いに向かう方向に苗Nを搬送するものであることから、左右方向の搬送幅に影響されることなく一対の植付体31L、31Rの間隔を可及的に狭くすることができ、狭い条間隔での苗植付が可能となるとともに、左右方向の搬送幅も十分に確保できるようになり、座席5L,5Rは、各苗搬送体41L,41Rに対して前後方向に対向して配設されていることから、オペレータによる苗の供給も好適に行える。
【0009】本発明は、一対の座席5L,5Rが、機体中心Xを挟んで左右に振り分けて配設されていることを特徴としている。これによって、植付体31L,31Rが機体2の左右一側に偏心して配設されているにも関わらず、移植機の左右重量バランスを可及的に保つことができ、走行機体2の直進性が確保できるようになる。本発明は、機体中心X側に配設された一方の苗搬送体41Lに対向する座席5Lが、前記機体2の左右他側外方に向いた傾斜姿勢で設けられていることを特徴としている。このような構成によって、機体2の側部から離れた側の座席5Lに対しても容易に乗降できるようになる。
【0010】本発明は、畝上面を所定の高さで均平化する整地部材16が、一対の植付体31L,31Rに対応してその前方に設けられていることを特徴としている。この場合、畝Rの高さが左右で異なるようなことがあっても、まず、畝長手方向に片道走行することで、左右一側2条幅分の畝上面が所定高さに均平化されて2条の苗植付深さを一定とでき、反転して畝長手方向に片道走行することによって、左右他側2条幅分の畝上面が所定高さに均平化されて、合計4条の苗植付深さを一定とすることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1及び図2に示すように、本発明にかかる移植機1は、畝Rを跨いだ状態で畝長手方向に沿って走行する走行機体2を備え、該走行機体2に、畝Rに苗Nを植え付ける植付装置3と、該植付装置3へ苗Nを搬送して受け渡す苗搬送装置4と、該苗搬送装置4に苗Nを供給するオペレータが着座する座席5と、を備えて主構成されている。
【0012】なお、本明細書において、前後方向とは移植機1の走行方向をいい、左右方向とは、前後方向に直交する横方向(移植機1の幅方向)をいう。前記走行機体2は、平面視矩形枠形状をなす機体フレーム6を備え、該機体フレーム6は、前部に設けられた左右一対の前輪7と、後部に設けられた左右一対の後輪8とによって走行可能に支持されている。機体フレーム6は、その右側寄り(機体中心Xから右側に偏心した位置)に左右一対の側枠材9A,9Aによって構成された装置機枠9を有しており、該装置機枠9の後上部には、エンジン10、バッテリ等が搭載され、後下部にはミッションケース11が備えられている。
【0013】このミッションケース11は、出力軸として左右外方に突出する車輪伝動軸12を備えており、この伝動軸12の外端部に伝動ケース13の上端が接続され、該伝動ケース13の下端部に前記後輪8が接続されている。そして、エンジン10からの動力は、図外の伝動手段を介してミッションケース11に入力され、該ミッションケース11からの動力が車輪伝動軸12、及び伝動ケース13内の巻掛伝動機構等を介して後輪8に伝達されるようになっている。装置機枠9の後端部には、左右一対のハンドル14が後上方へ延伸して備えられ、同装置機枠9の左右側枠材9A,9Aの間には、左右方向の支持軸20を介して移植フレーム21の後部が上下揺動自在に支持されており、この移植フレーム21の前部は、バネ等の弾支手段22を介して吊り持ち支持されている。
【0014】また、この移植フレーム21に対して前記植付装置3が設けられており、したがって、植付装置3は、走行機体1の左右中心Xから右側に偏心した位置に配設されるようになっている。植付装置3は、左右一対の植付体31(31L,31R)によって同時に左右2条の苗Nを植え付け可能としており、本実施形態における各植付体31は、左右一対のゴム材、樹脂材等の可撓性円板によって苗Nを挟持するように構成された従来公知の植付ディスク型とされ、各植付体31は、移植フレーム21に回動自在に支持された回動軸32に対し、左右の間隔を有して並べて取り付けられている。
【0015】また、植付体31の前方には、畝Rに苗植付用の溝を形成する左右一対の作溝器34が設けられ、植付体31による苗植付部位の若干後側には、植え付けた各苗Nの左右両側の畝上面を鎮圧するとともに植え溝に覆土する鎮圧輪35が設けられている。本実施形態では、前記作溝器34は、平面視く字型の板材により構成されていて、移植フレーム21の前部にブラケット等を介して取り付けられており、鎮圧輪35は、一対の植付体31の左右両側に対応して一対づつ備えられ、移植フレーム21に上下揺動自在に設けられたアーム36の自由端に回転自在に枢支されている。また、アーム36を上下に揺動して所定位置で固定することによって、鎮圧輪35と、植付体31及び作溝器34との相対高さを調整でき、これによって植付深さを変更できるようにしている。
【0016】なお、作溝器34としては、横軸廻りに回転する円盤形に構成してもよく、前記鎮圧輪35としては、左右植付体31の間に配置されるものを、左右外側に配設されるものより小径とすることによって、左右植付体31の間隔をより狭くできるようになっている。前記苗搬送装置4は、装置機枠9の前部側に立設した支持フレーム40によって支持されており、左右各植付体31に対応して左右一対の苗搬送体41(41L,41R)を備えている。
【0017】左右の苗搬送体41は、図3及び図4にも示すように、左右の植付体31に対してそれぞれ左右外方側から(左側の植付体31Lに対しては左外方から、右側の植付体31Rに対しては右外方から)苗Nを搬送するように構成されており、各植付体31L,31Rの上方から左右外方へと左右方向に延びる横搬送部42と、この横搬送部42の左右内端部から下方に延び、その下端部が植付体31L,31Rに臨むように配置された縦搬送部43とを有している。左右各横搬送部42は、支持フレーム40から突出する左右の支軸J1,J2と、各支軸J1,J2に取り付けられた前後のプーリP1A、P1B、P2A,P2Bと、左右前プーリP1A,P2A及び左右後プーリP1B,P2Bに巻掛けられた横搬送ベルト45A,45Bとを有し、横搬送ベルト45A,45B上に、複数本の苗Nを同時に載置して縦搬送部43に向けて左右内方(矢示A方向)へ搬送可能としている。
【0018】前後の横搬送ベルト45A,45Bの間には、外周部に多数の突起46aを所定間隔をおいて有している細幅の係合ベルト46が設けられており、該係合ベルト46は、左右内側の前記支軸J1に取り付けられたプーリP1Cと、左右外側の前記支軸J2よりも更に外側の支軸J3に取り付けられたプーリP3Cとに巻掛けられている。そして、前記突起46aの位置に合わせて、苗Nを横搬送ベルト45A,45B及び係合ベルト46上に載置することによって、苗Nを一定ピッチで縦搬送部43及び植付体31に受け渡すことができ、これにより一定の株間での苗植付が行えるようになっている。
【0019】また、横搬送ベルト45A,45B上には、複数本の苗Nを同時に載置できることから、オペレータによる苗Nの供給が煩雑となることなく余裕をもって行え、欠株も防止されるようになる。係合ベルト46の各プーリP1C,P3Cは、横搬送ベルト45A,45BのプーリP1A,P2A,P1B,P2Bよりも若干大径とされていて、係合ベルト46は横搬送ベルト45A,45Bよりも高速で回走するようになっており、横搬送ベルト45A,45B上に載置された苗Nは実質的には突起46aに押されて搬送されることから、一定の苗ピッチを確実に維持できるものとなっている。
【0020】前後の横搬送ベルト45A,45Bのうち前側のものは、その横搬送終端の下方において支持フレームから突出する支軸J4に取り付けられたプーリP4にも巻掛けられ、さらに中継プーリPMによって正面視逆L字型に形成されるようになっている。そして、このベルトの縦方向部分48Aは、前記縦搬送部43を構成する外縦搬送ベルト48Aとされ、また縦搬送部43は、外縦搬送ベルト48Aの左右内側に対向する内縦搬送ベルト48Bを有しており、該内縦搬送ベルト48Bは、上下一対の支軸J5,J6に取り付けられたプーリP5,P6に巻掛けられている。
【0021】したがって、前後の横搬送ベルト45A,45B及び係合ベルト46によって左右内方(矢示A方向)へ搬送された苗Nは、その前部側(根側)が外内の縦搬送ベルト48A,48Bによって左右から挟持されて下方向に搬送され、その下端部の搬送終端において、苗Nの後部側(葉側)が植付体31によって挟持されるようになっている。この際、内縦搬送ベルト48Bの上側プーリP5は、前側の横搬送ベルト45Aの内側プーリP1Aよりも上側で、且つ左右方向に若干オーバーラップするように配設されており、前側の横搬送ベルト45Aの終端が、内縦搬送ベルト48Bの始端側(上端側)にくい込むようになっている。
【0022】また、支軸J5には、後側の横搬送ベルト45Bの搬送終端の若干上側で、且つ左右方向にオーバーラップする送りローラ49が取り付けられている。したがって、前後の横搬送ベルト45A,45Bによって送られた苗Nは、該横搬送ベルト45A,45Bの終端部と内側の縦搬送ベルト48Bの始端部(上端部)及び送りローラ49によって上下に挟まれながら下方に送られ、左右から上下への搬送方向の転換がスムーズとなって確実に縦搬送部43に受け渡されるようになっている。
【0023】また、縦搬送部43によって挟持されない苗Nの後側(葉側)が長い場合であっても、送りローラ49によってスムーズに左右方向から上下方向への苗Nの送り込みが行え、横・縦搬送部42,43間の苗Nの受け渡しの際に、苗Nの後側が下方に傾くようなことが防止されている。以上のように、左右の苗搬送体41は、左右植付体31に対してそれぞれ左右外方側から互いに向かう方向(A方向)に苗Nを搬送するように構成されているため、苗搬送体41(横搬送部42)の幅に影響されることなく、左右植付体31の左右間隔を可及的に狭くすることができ、玉ねぎ等の植付条間を狭くして植え付ける作物にも対応できるようになっている。
【0024】また、苗搬送体41においては、横搬送部42の長さを十分に確保できることから、同時に載置できる苗の本数を多くすることが可能であり、苗供給が煩雑となるようなことを防止できるものとなる。なお、上記では、前側の横搬送ベルト45Aと、外側の縦搬送ベルト48Aとを同一のベルトを用いて構成しているため、構造の簡素化及び部品点数減が図られているが、これらを個別のベルトを用いて構成してもよい。図5には、内側の縦搬送ベルト48Bの詳細を示しており、この縦搬送ベルト48Bが捲回されるプーリP5,P6は、一対のドラム58の中央に支軸J5,J6が嵌挿されるハブ59を有した構成とされ、一対のドラム58,58間には、縦搬送ベルト48Bの内周に形成された突条部62が嵌まり込む嵌合溝60が形成されている。
【0025】また、一対のドラム58,58の外周部から内側面に亘って、図5(B)にも示すように、径方向及び軸心方向に貫通する排土溝61が放射状に形成されている。このような構成によって、苗Nに付着した土がプーリP5,P6と縦搬送ベルト48Bとの間に侵入しても排土溝61を介して好適に逃がすことができ、また、排土溝61の周縁が縦搬送ベルト48Bの内周に食い込むことによって、両者間の滑りを防止できるようになっている。
【0026】なお、プーリP5,P6としては、図5(C)に示すように、ドラム48の幅全体に亘るように排土溝61を形成したものであってもよく、横搬送ベルト45A,45B及び外側縦搬送ベルト48AのプーリP1A,P1B,P2A,P2B,P4にも、上述のような排土溝61を形成してもよい。前記植付装置3及び苗搬送装置4は、畝Rの上面を転動する転動輪15の回転動力が伝達されて駆動するようになっている。すなわち、転動輪15は、図2に示すように、移植フレーム21の支持軸20と同一軸心上に上端が支持された伝動ケース52の下端部に回転自在に取り付けられ、鎮圧輪35の後方を転動するようになっており、この転動輪15の回転力が伝動ケース52内の伝動機構等を経て、苗搬送体41、及び植付体31における回動軸32に伝達されて、これらを同調して駆動できるようにしてある。
【0027】ここで、苗搬送部4の動力伝達機構について図3を参照して説明すると、転動輪15からの動力は、適宜伝動機構を介して左右苗搬送体41の間に配設された駆動軸54に入力され、この駆動軸54に取り付けたスプロケット又はプーリ等の伝導体55と、縦搬送部43下側の各支軸J4,J6、並びに中継軸J7に取り付けたスプロケット又はプーリ等の被伝導体56とに、一本の無端チェーン、ベルト等よりなる巻掛体57が巻装されている。そして、駆動軸54の回転力は、伝動体55及び巻掛体57を介して各被伝動体56に伝達され、左右の苗搬送体41を同調して駆動できるようになっており、これによって、左右苗搬送体41に対する動力伝達構造が簡素化できるようになっている。
【0028】また、前記転動輪15は、鎮圧輪35によって鎮圧された畝R上を転動することから、空転が防止されて確実に回転力を得ることができるようになっている。図1及び図4に示すように、前記座席5は、左右植付体31の左右外側で、左右苗搬送体41における横搬送部42の後側に対向して左右一対設けられており、各座席5の前側には苗載せ台17(図2参照)が配置され、座席5に着座したオペレータは苗載せ台17から取り出した苗Nを順次横搬送部42上に供給できるようになっている。
【0029】左右の座席5は、機体中心Xを挟んで左右振り分け状に配置されるとともに、右側の座席5Rは、右側の前後輪7,8の上方に配設され、左側の座席5Lは、左側の横搬送部42の左右外側寄りで左側の前後輪7,8に可及的に近づけて配設されるようになっている。このような配置によって、移植機1の左右バランスを可及的に維持して直進性を確保できるものとなっている。また、左右座席5は、苗搬送体41の後側に対向した配置とされ、更に、走行機体2の左右幅内に略収まっていることから、機械全体がコンパクトになり、移植機1の運搬や保管等に必要なスペースを小さくすることができるようになっている。
【0030】また、左側の座席5Lは、若干左斜め前向きに傾斜した姿勢で設けられており、これによって、機体中心X寄りに配設される座席5Lであっても乗降が容易に行えるようになっている。なお、苗載せ台17は、左右座席5L,5Rの左右外側に備えるようにしてもよく、この場合、座席5Lを左斜め前向きの傾斜姿勢とすることによって、苗取出しも容易に行えるようになる。図1及び図2に示すように、前記走行機体2の前部側には、左右植付体31の前方に対応して畝R上面を所定高さに均平化する整地装置16が設けられている。
【0031】この整地装置16は、図6(A)にも示すように、機体フレーム6から前方突設された上下方向の支持筒63と、該支持筒63に挿入される支持軸64と、該支持軸64の下端部に固定された保持枠65と、該保持枠65の下部に横軸心回りに回動自在に取り付けられた整地部材66とを有する。整地部材66は、左右植付体31に亘る横幅を有した正面矩形状の板材よりなり、その下端部で畝R上面を撫でることによって、畝R上面を所定の高さで平坦に均すようになっており、これにより苗Nの植え付け深さ(作溝器34による溝深さ)を所定に保つことができるようになっている。
【0032】この際、整地部材66を保持枠65に対して横軸回りに回動自在に支持することで、畝Rから受ける抵抗を可及的に少なくし、機体2の直進性を損なうことがないようにしている。また、整地部材66は、支持筒63に対して支持軸64を上下に摺動することによって高さを変更可能で、且つ支持筒63内での支持軸64の回動によって姿勢(指向角度)を変更可能であり、この高さ及び姿勢は、支持筒63に取り付けたロックボルト67によって所定に固定できるようになっている。
【0033】本実施形態の整地部材66は、図1に示すように、左右内端部(機体中心X側の端部)が、外端部よりも前側に位置するような傾斜姿勢とされ、畝R上面から削った土を矢示Bの如く畝溝側に誘導し、畝Rの中央側に土が溜まるようなことがないようにしている。以上詳述した移植機1では、走行機体2によって畝Rを跨いだ状態で走行しながら、左右座席5に着座したオペレータが、それぞれ左右苗搬送体41上に順次苗Nを供給し、供給された苗Nは、左右内方及び下方に搬送されて植付体31に受け渡される。
【0034】また、苗植付に先行して整地部材66によって畝Rの右側が左右2条分だけ平坦に均され、更に作溝器34によって植え溝が形成される。植付体31は、一対の可撓性円盤によって苗Nを挟持しながら図2の矢示C方向に回転し、苗Nを下端側に移動したときに植え溝に放出する。そして、その直後に鎮圧輪35によって苗Nの左右両側を鎮圧するとともに覆土する。この行程によって、畝Rの中心(走行機体の中心X)よりも右側に左右2条の苗Nが順次植え付けられる。
【0035】畝Rの終端まで片道走行して畝右側に苗Nを植え付け終わると、枕地等で移植機1を反転して同じ畝Rを再び跨いで走行し、先に植え付けた2条の苗Nとは反対側(左側)の畝R上に、上記と同様の動作で左右2条の苗Nを植え付け、この往復走行によって1畝全体に左右4条の苗が植え付けられるようになる。したがって、本発明に係る移植機1は、広幅の畝Rに対して多条植えを行う玉ねぎ等の作物の移植に適し、さらに、上述したように、苗搬送体41の適正な配置によって植付体31の左右間隔を狭くできることから、植付条間隔を狭くして植え付ける作物の移植にも適するものとなる。
【0036】また、各植付体31の左右外側に座席5が配設されていることから、苗搬送体41から植付体31への苗受け渡し状況、又は苗植付状況を座席5から確認し易くなっている。畝Rを左右に分けて別々に成形してある場合には、畝Rの高さが左右で異なる場合があるが、畝Rを往復走行することによって整地部材66で左右が同じ高さとなるように均平化されることから、左右4条の苗が同じ植付深さで植え付けられるようになっている。
【0037】本発明は、上記実施形態に限ることなく適宜設計変更可能である。例えば、苗搬送体41、植付体31は、エンジン10から取り出した動力によって駆動するようにしてもよく、苗搬送体41として、植付体31に向けて左右外側上方から斜め下方へと苗Nを搬送するように構成してもよい。また、左右各植付体31及びこれらに対応する覆土輪35,作溝器34を別々の移植フレーム21によって支持し、個別に上下揺動できる構成としてもよい。植付体31としては、ディスク型に限らずカップ型、ドラム型等に置換することができ、走行機体2としては、左右前後輪7,8の間隔を拡縮自在として畝幅に対応できるように構成してもよい。
【0038】植付装置3,苗搬送装置4,座席5は、機体中心Xを挟んで左右逆の配置としてもよい。
【0039】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明に係る多条植え移植機によれば、狭い条間隔での苗の多条植えが可能でありながら、苗の供給も好適に行えるようになる。
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成11年9月24日(1999.9.24)
【代理人】 【識別番号】100061745
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 敏雄
【公開番号】 特開2001−86815(P2001−86815A)
【公開日】 平成13年4月3日(2001.4.3)
【出願番号】 特願平11−271104