| 【発明の名称】 |
水稲用直蒔シートおよび水稲用直蒔シートを使った種蒔方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】坂野 一清
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| 【要約】 |
【課題】稲作農業の育苗から稲の生長に至る間の農作業の効率化と、故紙のリサイクル活用を図る。
【解決手段】故紙を主原料にして所定の大きさのシート1を成形し、該シート1の表面に水溶性樹脂2を介して複数の種籾3を付着させて形成し、水田Fの土壌Eに埋め込んで使用するようにした。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 故紙を主原料として所定の大きさのシートを成形し、該シートの表面に水溶性樹脂を介して多数の種籾を付着してなる水稲用直蒔シート。 【請求項2】 故紙を主原料として所定の大きさのシートを成形し、該シートの表面に水溶性樹脂を介して多数の種籾を付着し、更にその上面に前記シートと同質のシートを重合接着してなる水稲用直蒔シート。 【請求項3】 故紙を主原料とする所定大のシートの表面に水溶性樹脂を介して多数の種籾を付着し、または該多数の種籾を付着したシートの上面に更に同質のシートを重合接着して水稲用直蒔シートを形成し、水田の土壌の表面に故紙を主原料にして成形した所定長さの育苗シートを敷設すると共に、該育苗シートにその長手方向に沿って穴を開けつつ前記水稲用直蒔シートの一部を土壌中へ埋め込むようにしたことを特徴とする水稲用直蒔シートを使った種蒔方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、水田の土壌に埋め込むことにより、付着した種籾が発芽し稲として生育できるようにした水稲用直蒔シートおよび水稲用直蒔シートを使った種蒔方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来の稲作は、例えば育苗箱内に種籾を蒔いて苗を育て、育った苗を5月か6月の田植えの時期に耕した水田に田植機または人力で植えている。また、苗が成長する過程にあっては、苗の成長を害する雑草を刈り取り、また必要に応じて肥料を加え、9月か10月の収穫期に育った稲を刈り取るようにしている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】ところで、現在の日本の稲作農業は、いわゆる減反政策に伴い作付面積が抑えられ、専業農家としての経営規模に達しない小規模の兼業農家が多数見受けられる。このような兼業農家では投資効率の面から農機具等に対する設備投資もままならない。しかも、稲の育苗,田植え,除草,施肥といった多くの面倒で時間の掛かる作業を強いられる反面、農業への人手が不足することから、前記多くの作業を農業協同組合や請負業者に委託しており、経済的な負担が増大している。 【0004】一方、種々の出版物等の増加に伴い紙の消費が増大し、それに追随して必然的に使用後に故紙となる量も増加の途を辿っており、限りある天然資源の枯渇を救うべくこれらの故紙を再生紙の原料に使用するリサイクルも一部になされいるが、故紙を原料にすることがコスト高になることで使用される量が限られ、故紙の有効な用途開発が待望されている。 【0005】そこで、本発明は現在の稲作作業で育苗,田植え,除草等の一連の作業を簡素化してその労力と経費の軽減を図り、委託による稲作でも投資効率が向上し、同時に、故紙の有効活用が併せて達成でき、しかも経時的に自然に分解して土に還るエコロジカルな水稲用直蒔シートおよび水稲用直蒔シートを使った種蒔方法を提供することを目的とするものである。 【0006】 【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するため本発明に係る水稲用直蒔シートは、故紙を主原料として抄紙した所定の大きさのシートを成形し、該シートの表面に水溶性樹脂を介して酸素発生剤をコーティングした多数の種籾を付着して構成される。または、前記多数の種籾を付着したシートの上面に該シートと同質のシートを重合接着するようにしても良い。 【0007】そして、整耕された水田の土壌の表面に故紙を主原料にして成形されかつ遮光性を有する所定長さの育苗シートを敷設すると共に、該育苗シートにその長手方向に沿って穴を開けつつ前記水稲用直蒔シートの一部を土壌中へ埋込むようにする。そこで、所定の日数経過することによって水溶性樹脂が水に溶けると共に各種籾がこの状態で穴を介して太陽光を受け自然に発芽・発根して苗に成育し、さらに稲草に成長する。その間回りの雑草は育苗シートで遮光することにより成長が抑えられ人手による除草や除草剤の施用が不要になる。そして、一定の期間経過すれば前記育苗シートは自然に分解して土に還るから、育苗シートは撤去することなく処分できる。 【0008】多数の種籾を付着したシートの上面に更に略同形状のシートを重合接着した水稲用直蒔シートにあっては、各種籾が2枚のシートによって両面から保護されるので、水田の土壌中へ埋め込むまでの作業中に物が当って不用意に擦られ種籾が脱落したりすることがなく、安全に取り扱うことができる。 【0009】 【発明の実施の形態】以下、本発明に係る水稲用直蒔シートおよび水稲用直蒔シートを使った種蒔方法の実施の形態を図面と共に説明する。図1は水稲用直蒔シートの一部の斜視図、図2は一部拡大断面図、図3は前記水稲用直蒔シートの上面にシートを重合接着してなる水稲用直蒔シートの一部拡大断面図である。この水稲用直蒔シートSは再生紙からなるシート1の表面に水溶性樹脂2を塗布し、この水溶性樹脂2に種籾3を付着して構成される。すなわち前記シート1は段ボール紙の故紙を抄紙し、または新聞紙と綿とを混合して抄紙した再生紙であって幅約30cm、長さ約150cmの長方形状に形成されている。なお、幅160cm、長さ長尺のシート(図示せず。)を使用することもできる。そこで、多数の種籾3を10%程度の薄い水溶性樹脂内に浸漬し、引き出してからこれらに粉状の酸素発生剤を塗しコーティングして乾燥させる。次に、前記シート1の全表面に30%の濃い水溶性樹脂2を塗布すると共に前記多くの種籾3を撒布して水溶性樹脂2に付着させる。そして、乾燥させることにより水稲用直蒔シートSが完成する。 【0010】図3に示す水稲用直蒔シートS′は、前記水稲用直蒔シートSの上面に前記シート1と同様に故紙を主原料にして形成した同形状のシート1′を重合接着して形成される。また、一般に、水田には稲の他に雑草が生えるのを防ぐために除草剤を散布するところ、本発明にあっては除草剤を使用せず雑草が生えないようにするため、日光を遮断し、雑草の伸長を阻止・枯死させる遮光性の育苗シートCが使用される。該育苗シートCは、前記水稲用直蒔シートSと同じ再生紙からなり、幅約1.6m、長さ約100mでロール巻されている。 【0011】次に、前記水稲用直蒔シートS,S′を使った種蒔方法について説明する。本発明の種蒔方法は手で直接蒔くなどいろいろあるが、作業性の向上のため図4に示すように種蒔装置P、所謂公知の田植え機を改良したものが使用される。該種蒔装置Pは田植え機と同様に左右で一対をなす駆動輪である前輪11と従動輪である後輪12とからなる四輪上に車台13が載置され、車台13のほぼ中央に運転席14が設けられ、前部にハンドル15やエンジン部16が配設されている。また、該エンジン部16の両側で車台13に予備のための水稲用直蒔シートS,S′を複数枚積み重ねて載置しておくための補助直蒔シート台17が設けられている。 【0012】車台13の後部には、基端側を車台13に軸装され先端側、すなわち車台13の後部側、を上下に回動し得るシフト機構18が設けられ、該シフト機構18の上部後側に前記水稲用直蒔シートS,S′を乗せる直蒔シート乗せ板19が前側へ傾斜させて配置されている。また、シフト機構18の下側であって後輪12よりに前記育苗シートCを収容するための筒状のケース20が横向きに設けられている。そして、その一側に開閉蓋21により塞がれる出入口が設けられている。22は前記開閉蓋21を開閉させるレバーである。また、前記ケース20の下側にはその長手方向に沿って育苗シートCを引き出すための引出スリット(図示せず。)が設けられ、更に該引出スリットから引き出される育苗シートCを後方へ水平に安定して導くためのシートガイド23が後方へ延設されている。24,24は前記シートガイド23上面に沿って引き出される育苗シートCが浮き上がらないように上から押さえるための一対のフロートローラ、25は同じく端押えローラである。26はシフト機構18の両側に配置され、その基端部が軸支されると共に先端部、すなわち直蒔シート乗せ板19の後方側に突出する部分、が上下に回動する一対のアームであり、各アーム26間に育苗シートCを切断するためのカッター27が横設されている。 【0013】前記直蒔シート乗せ板19は、上部が湾曲して形成され、その上面に図6に示すように前記水稲用直蒔シートS,S′が横に5枚配列できるように5列のシート供給樋28が区画壁28aによって下端が開放されるようにしてそれぞれ縦長に設けられている。また、図5に示すように直蒔シート乗せ板19の裏面下端部に設けられる保持枠29が、車台13に水平かつ前後方向に対して直交するように配置されるガイドレール30に嵌合しており、直蒔シート乗せ板19が適宜駆動手段によりガイドレール30に沿って左右へ自在に摺動できるようになっている。前記ガイドレール30にはその下端縁に、直蒔シート乗せ板19の各シート供給樋28の下端を塞ぎ該各シート供給樋28に供給される水稲用直蒔シートS,S′の下端縁を受け止めて無用に脱落するのを防ぐ受止板31が屈曲形成されている。該受止板31には、その長手方向であって前記各シート供給樋28に対応位置させてそれぞれ1個の切欠溝32が設けられている。これら切欠溝32は、各シート供給樋28内の水稲用直蒔シートS,S′の一部を掻き落すために設けられたもので、シート供給樋28の幅寸法と同じ間隔離して配置される。33は各シート供給樋28内に配設され、水稲用直蒔シートS,S′が捲れ上らないように阻止するシート捲れ防止部材である。シート供給樋28内の底面には水稲用直蒔シートS,S′を必要時に強制的に下方へ送ることができる駆動ベルト28bが底面と平行に張設されている。 【0014】34は前記直蒔シート乗せ板19の下端縁に沿って配設され、各シート供給樋28の水稲用直蒔シートS,S′を一部引掻いて土壌中へ押し込み直播するための掻落装置であり、図5乃至図7に示すように車台13から後方へ突出する複数の支持杆35に回転軸36が水平に串通され、該回転軸36の両端に回転部材37が固着され、前記回転軸36の回転と共に回転部材37がシート供給樋28の長手方向と平行な鉛直面内で直蒔シート乗せ板19側へ回転するようになっている。また、前記各回転部材37の外側には回転軸36を挟んで一対の掻取具38が軸着されている。これら掻取具38には、該掻取具38の回動に伴い、前記切欠溝32内に臨んでシート供給樋28にセットされる水稲用直蒔シートS,S′の下端部を一部引掻いて小紙片として破断させる引掻爪39が突設されている。40は同じく掻取具38に固着され、引掻爪39で水稲用直蒔シートS,S′を引掻く時該シートS,S′が動かないように押し付けておくゴム板である。 【0015】そこで、前記回転部材37を回転させつつ一対の引掻爪39によってシート供給樋28にセットされた水稲用直蒔シートS,S′の下端部をその下端縁に沿って順に引掻いて、更に土壌内へ押し込むようにするものであり、このため、前記直蒔シート乗せ板19はガイドレール30に沿って掻き取られた分ずつ横へ摺動するようになっており、また、回転部材37の回転速度は前記直蒔シート乗せ板19の摺動速度および前輪11の回転速度と同期させてあり、しかも各掻取具38の可動中での角度、例えば水稲用直蒔シートS,S′に対する進入角度や引掻いた小紙片を土壌中へ押し込むときの角度は自動的に制御されるようになっている。 【0016】種蒔装置Pは上記構成よりなり、次に、水稲用直蒔シートS,S′、この場合はシート1が一枚のものSを引掻いて順次土壌中に種蒔する手順を説明する。まず、水田として予め有機質肥料を施用して整耕された水田Fを使用する。種蒔装置Pには、直蒔シート乗せ板19の各シート供給樋28にあらかじめ水に浸した水稲用直蒔シートSをセットし、またロール状に巻かれた育苗シートCをケース20内に収容し、更に、補助直蒔シート台17には複数の水稲用直蒔シートSを積み重ねて補充できるようにしておく。そして、水田F中を端から順に種蒔装置Pを走行させる。この際、土壌Eの上面にケース20からシートガイド23に沿わせて育苗シートCを敷く。また、図8に示すように種蒔装置Pの矢視方向への走行に伴い、掻落装置34の回転部材37が同図矢視方向に回転し、続き図9に示すように引掻爪39(39a)の先端が水稲用直蒔シートSの下端部一側に当って引っ掻き、図10に示すように引掻爪39(39a)の先端に小紙片Smを保持したまま切欠溝32を介して下方へ運び、図11に示すように育苗シートCを引掻爪39(39a)で破り穴Hを開けると共に小紙片Smを土壌Eの中へ押し込ませる。 【0017】これと同時に、直蒔シート乗せ板19が少し横へ摺動し、図11に示すように次の引掻爪39(39b)が前記と同じように水稲用直蒔シートS下端部の隣の部位を引っ掻いて破断し前記引掻爪39(39a)と同様にして小紙片Smを土壌E中に押し込む。以後同様な動作が繰り返されることにより、図12に示すように水田Fに種蒔が行なわれる。 【0018】このようにして、4月頃に水田Fの土壌E中に押し込まれて所定の個所に留まっている水稲用直蒔シートSの小紙片Smは、所要の日数が経過すると水溶性樹脂2が水に溶けてシート1に付着した各種籾3が土壌E中へ留ると共に穴Hを介して太陽光を受けて発芽・発根し、発芽した芽は育苗シートCから上方へ伸び、発根した根は土壌Eに深く侵入して5〜6月頃になると図13に示すように苗Nに成長する。また、水田Fの土壌Eの表面はほぼ全面が育苗シートCに覆われていることから、水Wの保温性が良く苗Nの生長を助け、反面、雑草が生えるのを防止できることから、除草したり、除草剤を散布したりする手間が省ける。 【0019】そして、7〜8月頃になると各苗Nが図14に示すように成長して稲Bとなり、穂が出てくるが、この頃には水田Fの土壌Eの表面ほぼ全面に敷設した各育苗シートCが経時的に自然に分解して土壌Eに混じり、遂には土に還ってしまうから、育苗シートCは一々撤去する必要もなく始末ができる。このようにして成長した稲は9月〜10月頃に刈り取られることとなる。 【0020】また、請求項2の発明のように、種籾3を二枚の長尺シート1,1′で挟むようにすれば、一定の厚みが保たれて取り扱い易くなり、しかも、種籾3が露出しないから、不用意に擦すられて種籾3が脱落するようなことがなく、安全に取り扱うことができる。 【0021】 【発明の効果】本発明に係る水稲用直蒔シートは上記構成よりなるので、次のような効果を有する。 1.シートに水溶性樹脂を塗布して、この水溶性樹脂に種籾を付着させる簡単な構成であるから、生産性よく、コストを低廉に提供することができる。 2.種籾がシートに付着されており、該水稲用直蒔シートを水田の土壌に埋め込むのみで済み、従来の稲の育苗,田植えといった面倒で時間の掛かる作業が極めて簡素化でき労力と経費の軽減が図られ、委託による稲作でも投資効率が向上する。 3.育苗シートで水田の土壌の上面が覆われるので、太陽光が遮断され雑草が生えにくくなり雑草を刈る手間が省ける。しかも、除草剤が不要となることからこれを使用することによる人体への悪影響を考慮する必要がない。 4.育苗シートを比較的濃色系統の色にすれば、保温性に優れ苗の育成に好影響を与える。 5.シートが一定の期間を経過すると自然に分解して土壌に還るので、水稲用直蒔シートや育苗シートを後で撤去する必要がなく楽である。 6.シートは故紙を主原料としているので、故紙の有効活用が図られると共に用途開発にも寄与し、天然資源のリサイクルの効率化に貢献できる。 7.段ボール紙によりシートを成形するようにすれば、分解して土壌に還り廃物として残らないのでエコロジーの面で有益な効果を有する。
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| 【出願人】 |
【識別番号】598024802 【氏名又は名称】坂野 一清
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| 【出願日】 |
平成11年9月20日(1999.9.20) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100112531 【弁理士】 【氏名又は名称】伊藤 浩二
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| 【公開番号】 |
特開2001−86809(P2001−86809A) |
| 【公開日】 |
平成13年4月3日(2001.4.3) |
| 【出願番号】 |
特願平11−265656 |
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