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【発明の名称】 苗植付装置
【発明者】 【氏名】中村 正一

【氏名】上田 吉弘

【要約】 【課題】苗取出し量の安定化を図って、良好な苗植え付けを行うことができるようにする。

【解決手段】ロール状に巻き取られたマット苗Aを繰り出し回転自在に保持する苗保持手段16を設け、この苗保持手段16からマット苗Aを繰り出して載置した状態で苗植付機構による苗取出し口13に供給する苗供給手段33を設け、前記苗供給手段33の苗載置面に繰り出し苗部分を押さえつける供給補助回転体35を設ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ロール状に巻き取られたマット苗を繰り出し回転自在に保持する苗保持手段を設け、この苗保持手段からマット苗を繰り出して載置した状態で苗植付機構による苗取出し口に供給する苗供給手段を設けてある苗植付装置であって、前記苗供給手段の苗載置面に繰り出し苗部分を押さえつける供給補助回転体を設けてある苗植付装置。
【請求項2】 供給補助回転体が、苗供給手段に連動して駆動されることで繰り出し苗部分に移動力を付与する駆動回転体である請求項1記載の苗植付装置。
【請求項3】 ロール状に巻き取られたマット苗を繰り出し回転自在に保持する苗保持手段を設け、この苗保持手段からマット苗を繰り出して載置した状態で苗植付機構による苗取出し口に供給する苗供給手段を設けてある苗植付装置であって、前記苗保持手段として、マット苗を前記苗供給手段に載置させて保持する第1状態と、マット苗を苗供給手段に載置させずに保持する第2状態とに切り換え自在な手段を設けてある苗植付装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、搭載するマット苗をロール状に巻き取ったマット苗とすることでマット苗の長尺化を図って苗搭載量を増大させることにより、植付作業時の苗補給回数の削減による植付作業性の向上を図ってある田植機の苗植付装置であって、詳しくは、ロール状に巻き取ったマット苗を繰り出し回転自在に保持する苗保持手段を設け、この苗保持手段からマット苗を繰り出して載置した状態で苗植付機構による苗取出し口に供給する苗供給手段を設けてある苗植付装置に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の従来の苗植付装置としては、特開平11‐46534号公報で見られるようなものが知られている。つまり、縦送りベルト及び苗のせ台からなる苗供給手段により、マット苗を繰り出して載置した状態で苗取出し口に供給するようにしていた。
【0003】また、苗保持手段が、上下揺動自在な支持アームにマット苗を繰り出し回転自在に取り付けて、マット苗を苗供給手段の苗のせ台に載置させて保持する手段であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の技術によるときは、次のような欠点があった。すなわち、ロール状に巻き取られるマット苗は、巻き取りによるマットの崩れを防止して巻き取りを可能にさせるためや軽量化のために、床材に土ではなく不織布などのマット補強資材が用いられて水耕栽培されたものが一般的である。このように土付きマット苗に比較して軽量なマット苗を従来のように載置搬送するだけでは、スリップが発生して、送り量が不安定となり、しかも、左右にも移動し易く、その結果、苗植付機構による苗取出し量が変動して、植付不良を招来し易い。その上、床材として不織布などのマット補強資材を用いているから、植付爪による取出し時、植付爪によるマットの切断性能が悪く、その結果、取り出す苗部分の左右方向や供給方向で連なる苗部分が植付爪による取出し時に伴い引きずられて苗取出し量が変動する。
【0005】また、従来では、マット苗が苗のせ台に常時、載置されるように保持されていたので、マット苗の補給において、支持アームにマット苗を装着したのち苗取出し口にまで引き出す際、マット苗が苗のせ台に載置されたままでは繰り出し回転できないことにより、マット苗を片手で苗のせ台から浮くように持ち上げ保持した状態でもう一方の片手でマット苗を苗取出し口にまで引き出す、或いは、一人の作業者がマット苗を苗のせ台から浮くように持ち上げ保持した状態で他の一人の作業者がマット苗を苗取出し口にまで引き出す作業形態を採らざるをえず、マット苗の補給作業性が悪いものであった。
【0006】本発明の目的は、上記欠点を解消する点にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る本発明の特徴・作用・効果は次の通りである。
【0008】〔特徴〕ロール状に巻き取られたマット苗を繰り出し回転自在に保持する苗保持手段を設け、この苗保持手段からマット苗を繰り出して載置した状態で苗植付機構による苗取出し口に供給する苗供給手段を設けてある苗植付装置であって、前記苗供給手段の苗載置面に繰り出し苗部分を押さえつける供給補助回転体を設けてある点にある。
【0009】〔作用〕供給補助回転体を設けて、繰り出し苗部分を苗供給手段の苗載置面に押さえつけるようにしてあるから、供給時に、縦送りベルトなど苗供給手段の送り部に対する繰り出し苗部分の上方への逃げを防止して、スリップなく送り部を繰り出し苗部分に確実に作用させることで苗供給を確実に行うことができる。しかも、供給補助回転体による押さえつけで繰り出し苗部分を苗載置面に固定できるから、苗植付機構による苗取出し口からの苗取出しに伴って繰り出し苗部分が苗取出し口側に引きずられることを防止できるとともに、繰り出し苗部分の苗載置面、つまり、苗取出し口に対する左右方向での移動も防止することができる。
【0010】〔効果〕従って、確実に苗供給できることと、苗載置面に対して繰り出し苗部分を確実に位置固定できることとの相乗により、苗取出し量の安定化を図って、良好な苗植え付けを行うことができるようになった。
【0011】請求項2に係る本発明の特徴・作用・効果は次の通りである。
【0012】〔特徴〕上記請求項1に係る本発明において、供給補助回転体が、苗供給手段に連動して駆動されることで繰り出し苗部分に移動力を付与する駆動回転体である点にある。
【0013】〔作用〕供給補助回転体を苗供給手段に連動して駆動される駆動回転体として、この供給補助回転体で繰り出し苗部分に上方からも移動力を付与するようにしてあるから、苗供給手段と供給補助回転体とにより繰り出し苗部分に苗取出し口への移動力を確実・強力に付与することができる。
【0014】〔効果〕従って、より一層、確実に苗取出し口への苗供給を行えるようになった。
【0015】請求項3に係る本発明の特徴・作用・効果は次の通りである。
【0016】〔特徴〕ロール状に巻き取られたマット苗を繰り出し回転自在に保持する苗保持手段を設け、この苗保持手段からマット苗を繰り出して載置した状態で苗植付機構による苗取出し口に供給する苗供給手段を設けてある苗植付装置であって、前記苗保持手段として、マット苗を前記苗供給手段に載置させて保持する第1状態と、マット苗を苗供給手段に載置させずに保持する第2状態とに切り換え自在な手段を設けてある点にある。
【0017】〔作用〕苗保持手段が、マット苗を苗供給手段に載置させて保持する第1状態と、マット苗を苗供給手段に載置させずに浮かせて保持する第2状態とに切り換え自在であるから、植付作業時には、苗保持手段を第1状態に切り換えておくことにより、苗供給手段によるマット苗を繰り出しての苗取出し口への苗供給を確実に行うことができる一方、苗補給時には、苗保持手段を第2状態に切り換えることにより、マット苗を苗供給手段の苗載置面から浮かせて繰り出し回転自在に保持して、マット苗の作業者による苗取出し口側への引き出しを行うことができる。
【0018】〔効果〕従って、所期の苗供給を確実に行えながらも、苗補給時のマット苗の引き出しをマット苗を持ち上げ支持する必要なく一人作業で行えることで苗補給を作業性良く行うことができるようになった。
【0019】
【発明の実施の形態】田植機は、図1に示すように、乗用型の自走機体1の後部に複数条植え式の苗植付装置2をリンク機構3を介して昇降自在に連結し、前記苗植付装置2を駆動昇降する油圧シリンダ4と施肥装置Bとを設けて構成されている。
【0020】前記自走機体1は、左右一対の操向用の駆動前輪5と左右一対の駆動後輪6とを備えた機体フレームに、エンジン7と搭乗運転部8とを搭載して構成されている。
【0021】前記苗植付装置2は、図2〜図6にも示すように、自走機体1にリンク機構3を介して昇降自在に連結される植付フレーム9に、左右方向に設定ストロークで往復駆動移動する前倒れ姿勢の苗のせ台10と、走行に伴い圃場面を滑走して植付予定圃場面を整地する接地フロート11とを組み付け、前記苗のせ台10の移動に連動して作動することにより、苗のせ台10の傾斜下端を摺動自在に支持する摺動レール12に左右方向に設定ストロークの間隔を隔てて形成の複数の苗取出し口13それぞれから植付単位量の苗を取り出して、整地された植付予定圃場面に植え付ける複数の回転式の苗植付機構14を設けて構成されている。
【0022】前記苗のせ台10は、移動(左右)方向に複数の苗のせ部10Aを並置形成していて、往移動することにより各苗のせ部10Aに載置したマット苗の下端部を左右一端側から前記苗取出し口13に供給し、復移動することによりマット苗の下端部を左右他端側から苗取出し口13に供給するものである。
【0023】前記苗植付機構14は、苗のせ台10の移動に連動して苗取出し口13と植付予定圃場面との間で植付爪15を上下に循環移動させることにより、各苗のせ部10Aから植付単位量の苗を取り出して植付予定圃場面に植え付ける機構である。具体的には、苗のせ台10が設定量移動する毎に植付爪15が苗取出し口13を上方から下方に向かって通過することにより、苗のせ部10A上のマット苗下端部の設定左右幅の苗部分を取り出し、その後、植付爪15が植付予定圃場面に突入することにより、取り出した苗を植付予定圃場面に植え付けるように構成されている。
【0024】前記苗のせ部10Aの左右両端部のそれぞれには、載置苗を左右方向で位置決めする壁10aが突出形成されており、隣合う苗のせ部10A間の壁10aは一つで兼用されている。そして、各苗のせ部10Aのそれぞれには、茎葉を倒伏させる状態でロール状に巻き取った長尺(一般に6m)なマット苗Aを繰り出し回転自在に保持する苗保持手段16と、苗のせ台10が往復移動径路の端部に位置する毎に作動して前記苗保持手段16からマット苗Aを繰り出して前記苗取り出し口13に供給する左右一対の縦送りベルト17と、この縦送りベルト17に連動して駆動されることにより縦送りベルト17との協働で苗保持手段16からマット苗Aを繰り出して苗取出し口13に供給する複数の供給補助回転体35とを装備させてある。
【0025】前記マット苗Aは、不織布などをマット補強資材として水耕栽培されたマット苗であって、筒状の心材18に巻き取られている。
【0026】前記苗保持手段16は、基本的には、マット苗Aを苗のせ部10A及び縦送りベルト17に載置させる状態で保持する手段であって、苗のせ台10に左右向き軸芯p周りに上下揺動自在に装着した支持アーム19の先端に、心材18に挿入して心材18を回転自在に支持する支軸を片持ち状に固着して構成されている。つまり、支軸に心材18を一端側から差し込むことによりロール状のマット苗Aを繰り出し回転自在に保持するように構成されている。また、支持アーム19は、壁10aに装着の左右一対のブラケット20それぞれに左右向き軸芯p周りに上下揺動自在に支持される左右一対の基端アーム材21同士を杆22を介して連結し、これら基端アーム材21の一方に、前記支軸を固着した先端アーム材23を固着して構成されており、基端アーム材21に固着の軸24を支持するブラケット20の軸孔25を、ブラケット20の上面に開放する切り欠きとすることで、ブラケット20に対して着脱自在に構成されている。前記支軸は、周方向に120度の間隔を隔てて配置させた3本の軸材26からなる。そして、苗保持手段16は、マット苗Aを苗のせ部10A及び縦送りベルト17に載置させて保持する第1状態と、マット苗Aを苗のせ部10A及び縦送りベルト17に載置させずに浮かせて保持する第2状態とに切り換え操作自在に構成されている。具体的には、一方の基端アーム材21の延設部にピン51aを介して接当することで苗のせ台10の補強バー50を反力受け台としてマット苗Aを浮かせる揺動姿勢にマット苗Aの重量に抗して支持アーム19を保持する規制姿勢と、支持アーム19に対する接当を解除して支持アーム19のマット苗重量による揺動を許容する規制解除姿勢とに左右向き軸芯y周りに揺動切り換え操作自在な姿勢固定レバー51を設け、この姿勢固定レバー51を規制解除姿勢に切り換えることにより第1状態を現出し、かつ、姿勢固定レバー51を規制姿勢に切り換えることにより第2状態を現出するように構成されている。従って、この苗保持手段16によれば、第1状態においては、マット苗Aの重量による支持アーム19の下方への揺動により、苗の繰り出し供給に伴ってマット苗Aの径が次第に小さくなるにかかわらず、マット苗Aの苗のせ部10A及び縦送りベルト17への載置状態が維持されるのである。
【0027】前記縦送りベルト17は、移送方向の下手側端部に位置する駆動輪体27と移送方向の上手側端部に位置する従動輪体28とにわたって巻回されており、この縦送りベルト17と苗のせ台10とから、苗保持手段16からマット苗Aを繰り出して載置した状態で苗取出し口13に供給する苗供給手段33が構成されている。
【0028】前記駆動輪体27の全部は、一本の駆動軸29で一括駆動されるように駆動軸29に回り止め状態で装着されている。そして、駆動輪体27、つまり、駆動軸29を駆動する手段は、苗のせ台10が往復移動径路の端部に位置したときに常時回転アーム30により押圧されて付勢力に抗して駆動軸軸芯周りで第1位置から第2位置に揺動させられる作動アーム31を設け、この作動アーム31の第1位置から第2位置への揺動力を駆動軸29に伝達して作動アーム31の揺動角だけ駆動軸29を苗送り方向に回転させるとともに作動アーム31の第2位置から第1位置への付勢力による復帰揺動力の駆動軸29への伝動を断って駆動軸29を回転させない一方向クラッチ32を設けて構成されている。つまり、苗のせ台10が往復移動径路の端部に位置する毎に駆動輪体27を設定量回転させて縦送りベルト17を設定量回動させるようになっている。
【0029】前記供給補助回転体35は、繰り出し苗部分のうちマットの上面に作用して駆動回転することで送り作用するもの、つまり、移動力を繰り出し苗部分に付与するものであって、繰り出し苗部分のうち苗取出し口13近くの駆動輪体27の直上方に位置する部分に作用するように配置されている。そして、供給補助回転体35の全部は、苗のせ台10に支持させた一本の軸36に回り止め状態に装着されている。これら供給補助回転体35、つまり、軸36を駆動回転する手段は、軸36の軸芯周りで第1位置と第2位置とに揺動自在な操作アーム37を設け、この操作アーム37の第1位置から第2位置への揺動力を軸36に伝達して操作アーム37の揺動角だけ軸36を苗送り方向に回転させるとともに操作アーム37の第2位置から第1位置への復帰揺動力の軸36への伝動を断って軸36を回転させない一方向クラッチ38を設け、前記作動アーム31の第1位置から第2位置への揺動に伴い操作アーム37が第1位置から第2位置に揺動するように作動アーム31に操作アーム37を連係させるリンク39を設けて構成されている。なお、供給補助回転体35は、外周面にマットに食い込む突起を周方向に間隔を隔てて形成しており、この突起のマットへの食い込みにより、苗送りにスリップが発生することを防止するのみならず、繰り出し苗部分の苗のせ部10Aに対する左右位置を規制するようになっている。
【0030】このように縦送りベルト17と供給補助回転体35とでマットを上下から挟んで下方及び上方から移動力を付与して送るから、スリップなく確実に苗送りを行えるのである。
【0031】そして、この苗植付装置2の苗取り量調整手段は、前記作動アーム31が復帰揺動する第1位置を操作ワイヤ62を介して周方向に変更する揺動式の操作レバー34を設けて構成されている。つまり、作動アーム31の第1位置を変更して作動アーム31の揺動角を変更することにより、駆動輪体27の回転角を変更して送り量を調整することで苗取り量を調整するように構成されている。
【0032】また、接地フロート11には、図2、図6に示すように、滑走に伴い圃場中を移動することにより苗植付箇所に左右から泥土を寄せて植付苗を倒れを抑制する土寄せ具11aと、滑走に伴い圃場中を移動することにより圃場に施肥用の溝を形成するとともに前記施肥装置Bからホースhを介して送られてくる肥料を溝に供給する作溝器bとが取り付けられている。
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成11年9月10日(1999.9.10)
【代理人】 【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
【公開番号】 特開2001−78521(P2001−78521A)
【公開日】 平成13年3月27日(2001.3.27)
【出願番号】 特願平11−256700