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【発明の名称】 ミッドマウント施肥型の田植機
【発明者】 【氏名】牧原 邦充

【氏名】向井 猛

【氏名】松木 直樹

【氏名】東尾 登

【要約】 【課題】後輪の外側に補助車輪を並設した田植機においても、線引きマーカが補助車輪に接触する不都合を招くことなく田植機のコンパクト化を図れるようにする。

【解決手段】後輪8の外側に補助車輪8Aを並設可能な走行機体1の後部に、苗植付装置3を連結するとともに施肥装置4を搭載し、苗植付装置3に、その横外側方に倒伏して次回の走行基準線を圃場に形成する作用姿勢と、苗載台14の背面に沿う状態に起立して苗植付装置3の横幅H内に収まる格納姿勢とに出退切換揺動可能な左右一対の線引きマーカ23を備えたミッドマウント施肥型の田植機において、線引きマーカ23を、その中間部23Aが苗載台14側に凸曲する状態に屈曲させた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 後輪の外側に補助車輪を並設可能な走行機体の後部に、苗植付装置を連結するとともに施肥装置を搭載し、前記苗植付装置に、その横外側方に倒伏して次回の走行基準線を圃場に形成する作用姿勢と、苗載台の背面に沿う状態に起立して前記苗植付装置の横幅内に収まる格納姿勢とに出退切換揺動可能な左右一対の線引きマーカを備えたミッドマウント施肥型の田植機であって、前記線引きマーカを、その中間部が前記苗載台側に凸曲する状態に屈曲させてあるミッドマウント施肥型の田植機。
【請求項2】 前記苗植付装置に、前記格納姿勢に切り換えた前記線引きマーカの屈曲部又はそれより下方の部位に係合可能なフックを備えてある請求項1記載のミッドマウント施肥型の田植機。
【請求項3】 前記線引きマーカを、走行に伴って圃場から取り出した泥土で前記走行基準線を隆起形成する回転体を備えた回転式に構成するとともに、前記施肥装置のホッパを前記苗載台よりも幅狭に形成してある請求項1又は2記載のミッドマウント施肥型の田植機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、後輪の外側に補助車輪を並設可能な走行機体の後部に、苗植付装置を連結するとともに施肥装置を搭載し、前記苗植付装置に、その横外側方に倒伏して次回の走行基準線を圃場に形成する作用姿勢と、苗載台の背面に沿う状態に起立して前記苗植付装置の横幅内に収まる格納姿勢とに出退切換揺動可能な左右一対の線引きマーカを備えたミッドマウント施肥型の田植機に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、上記のようなミッドマウント施肥型の田植機においては、例えば、特開平11−196614号公報などで開示されているように、線引きマーカを、その格納姿勢では、走行機体の後輪と苗植付装置の苗載台との間に、苗載台の下半部に対して略平行な状態で真っ直ぐに伸びる傾斜姿勢で位置するように配設していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、近年では、田植機のコンパクト化を図るために、苗植付装置を走行機体の後部に極力近接させた状態で連結することが考えられているのであるが、この場合、線引きマーカを格納姿勢に切り換えた状態では、線引きマーカの中間部が後輪と苗載台との間に位置せずに後輪の横外側に近接した状態で位置するようになる。そのため、このようなコンパクト化が図られた田植機において、軟弱な圃場での走行を良好に行えるようにするために後輪の外側に補助車輪を並設した場合には、線引きマーカを格納姿勢の方向に切り換える際に、線引きマーカの中間部が補助車輪に接触する不都合を招くようになっていた。
【0004】本発明の目的は、後輪の外側に補助車輪を並設した田植機においても、線引きマーカが補助車輪に接触する不都合を招くことなく田植機のコンパクト化を図れるようにすることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】〔構成〕上記目的を解決するため、本発明のうちの請求項1記載の発明では、後輪の外側に補助車輪を並設可能な走行機体の後部に、苗植付装置を連結するとともに施肥装置を搭載し、前記苗植付装置に、その横外側方に倒伏して次回の走行基準線を圃場に形成する作用姿勢と、苗載台の背面に沿う状態に起立して前記苗植付装置の横幅内に収まる格納姿勢とに出退切換揺動可能な左右一対の線引きマーカを備えたミッドマウント施肥型の田植機において、前記線引きマーカを、その中間部が前記苗載台側に凸曲する状態に屈曲させた。
【0006】〔作用〕上記請求項1記載の発明によると、線引きマーカの中間部を苗載台側に凸曲する状態に屈曲させていることから、苗植付装置を走行機体の後部に近接させた状態で連結しても、線引きマーカは、その格納姿勢では、走行機体の後輪と苗植付装置の苗載台との間に、その中間部が後輪を避けるように屈曲した状態で位置するようになる。その結果、軟弱な圃場での走行を良好に行えるようにするために後輪の外側に補助車輪を並設しても、線引きマーカを格納姿勢の方向に切り換える際に線引きマーカが補助車輪に接触することを回避できるようになる。
【0007】〔効果〕従って、軟弱な圃場での走行を良好に行えるようにするために後輪の外側に補助車輪を並設した田植機においても、線引きマーカが補助車輪に接触する不都合を招くことなく田植機のコンパクト化を図れるようになった。
【0008】〔構成〕本発明のうちの請求項2記載の発明では、上記請求項1記載の発明において、前記苗植付装置に、前記格納姿勢に切り換えた前記線引きマーカの屈曲部又はそれより下方の部位に係合可能なフックを備えた。
【0009】〔作用〕上記請求項2記載の発明によると、線引きマーカを使用しない路上走行時などにおいては、線引きマーカをフックに係合させておくことによって、線引きマーカを格納姿勢で安定した状態で保持できるようになる。又、苗載台側に凸曲することで苗植付装置に近づく状態となる線引きマーカの屈曲部又はそれより下方の部位にフックを係合させることで、フックの苗植付装置からの延出長さを短くすることができるので、フックを、比較的安価で加工のし易い細い部材で構成しながらも高い支持強度を有するものにすることができるようになる。
【0010】〔効果〕従って、路上走行時などにおける線引きマーカの格納姿勢での安定保持を、製造コストの低減化や製作の容易化を図りながら好適に行えるようになった。
【0011】〔構成〕本発明のうちの請求項3記載の発明では、上記請求項1又は2記載の発明において、前記線引きマーカを、走行に伴って圃場から取り出した泥土で前記走行基準線を隆起形成する回転体を備えた回転式に構成するとともに、前記施肥装置のホッパを前記苗載台よりも幅狭に形成した。
【0012】〔作用〕上記請求項3記載の発明によると、圃場から取り出した泥土で走行基準線を形成することから、水の多い圃場であっても、走行基準線を容易に視認することができて、走行基準線に沿った走行を簡単に行えるようになる。又、回転体を備えることによって線引きマーカにおける先端部の容積が大きくなったとしても、その分、施肥装置のホッパを苗載台よりも幅狭に形成していることから、線引きマーカを、その格納姿勢においては、その先端の回転体が施肥装置のホッパに接触する不都合を招くことなく、苗植付装置の横幅内に収めることができるようになる。
【0013】〔効果〕従って、線引きマーカとして、水の多い圃場でも走行基準線に沿った走行を簡単に行えるようにする回転式のものを採用しながらも、田植機のコンパクト化を好適に図れるようになった。
【0014】
【発明の実施の形態】図1には乗用型田植機の全体側面が、図2には乗用型田植機の全体平面がそれぞれ示されており、この田植機は、乗用型に構成された走行機体1の後部に、リンク機構2を介して苗植付装置3を昇降自在に連結するとともに、施肥装置4を搭載することによって、機体の走行に伴って苗の植え付けと施肥とを行えるミッドマウント施肥型に構成されている。
【0015】走行機体1は、その前部に搭載されたエンジン5、エンジン5からの動力が伝達される変速装置6、変速装置6からの動力が伝達される左右一対の前輪7と後輪8、前輪7に連係されたステアリングホイール9、及び、施肥装置4の直前に位置する運転座席10、などによって構成されている。又、各後輪8の外側には補助車輪8Aが並設されており、これによって、軟弱な圃場での走行を良好に行えるようになっている。
【0016】苗植付装置3は、変速装置6からの動力が伝達されるギヤ式伝動機構(図示せず)を内装したフィードケース11、ギヤ式伝動機構からの動力が伝達されるチェーン式伝動機構(図示せず)を内装した3基の植付伝動ケース12、チェーン式伝動機構からの動力で植え付け作動を行うように各植付伝動ケース12の後部左右両側に軸支されたロータリ式の植付機構13、ギヤ式伝動機構からの動力によって各植付機構13に対して所定のストロークで往復横移動する苗載台14、及び、各植付機構13による苗植え付け箇所に対して前もって整地作用を施す3基の整地フロート15、などによって6条分の植え付けを行えるように構成されている。
【0017】図1〜3に示すように、施肥装置4は、肥料貯留用のホッパ16、変速装置6からの動力でホッパ16内の肥料を所定量ずつ繰り出す4基の繰出機構17、各整地フロート15の左右にそれぞれ装着された作溝器18、各繰出機構17と対応する作溝器18とを連通接続する供給ホース19、各繰出機構17から繰り出された肥料を各供給ホース19を介して各作溝器18に向けて圧送するブロワ20、及び、ブロワ20を駆動する電動モータ21、などによって6条分の施肥を行えるように構成されている。
【0018】ホッパ16は、1条分の肥料を貯留する前後幅の狭い2つの第1貯留部16Aと、2条分の肥料を貯留する前後幅の広い2つの第2貯留部16Bとを、その左右両端に第2貯留部16Bが位置するように左右方向に連設するとともに、それらの貯留部16A、16Bに亘る単一の蓋体16Cを後支点P1周りに開閉揺動可能に備えることによって、その前部中央箇所が凹入する平面視コの字状に形成された状態で6条分の肥料を貯留するように構成されており、これによって、例えば、6つの第1貯留部16Aを左右方向に連設して6条分の肥料を貯留するように構成する場合に比較して、その左右幅を狭くすることができ、又、走行機体1における運転座席10の後方箇所に、左右両端の第2貯留部16Bを運転座席10の横側方に回り込ませた状態で配設できることから、走行機体1の後部からの後方側への張り出しを防止できるようになっている。
【0019】つまり、ホッパ16全体としての容量を小さくすることなく、その左右幅を短くすることができるとともに、施肥装置4を運転座席10側に寄せた状態で走行機体1の後部に搭載できることから、植え付け作業中にホッパ16に対する肥料の補給回数が多くなることに起因した作業効率の低下を阻止できるとともに、リンク機構2として長さの長いものを採用しなくても、苗植付装置3の昇降操作の際に苗載台14などがホッパ16に接触すること回避できるようになり、もって、走行機体1の後部に施肥装置4を搭載するミッドマウント施肥型でありながら、作業効率の低下を招くことなく田植機のコンパクト化を図れるようになっている。
【0020】尚、各繰出機構17は、1条施肥仕様と2条施肥仕様とに仕様変更可能に構成されており、この田植機では、中央2基の繰出機構17が1条施肥仕様に仕様変更され、左右の繰出機構17が2条施肥仕様に仕様変更されている。ちなみに、図3に示す符号22は、1条施肥仕様に仕様変更されることによって供給ホース19が接続されなくなった繰出機構17の肥料排出口を閉塞するキャップである。
【0021】図1〜6に示すように、苗植付装置3には、左右一対の線引きマーカ23が、苗植付装置3の横外側方に倒伏して次回の走行基準線を圃場に形成する作用姿勢と、苗載台14の背面に沿う状態に起立して圃場から離間する非作用姿勢と、苗載台14の背面に沿う状態に起立して苗植付装置3の横幅H内に収まる格納姿勢とに、前後軸心P2周りに出退切換揺動可能な状態で備えられている。
【0022】各線引きマーカ23は、苗植付装置3から左右に向けて延設された支持フレーム24に前後軸心P2周りに起伏揺動可能に支持された第1揺動アーム25、第1揺動アーム25を倒伏付勢する第1バネ26、第1揺動アーム25の遊端にその軸心P3周りに揺動可能に連結された第2揺動アーム27、第2揺動アーム27の遊端に横軸心P4周りに回転可能に支持された回転体28、及び、作用姿勢では回転体28が接地するように第2揺動アーム27を下降付勢する第2バネ29、などによって構成されている。回転体28には、その外縁から外方に向けて放射状に延出する複数の爪部28Aが一体形成されている。
【0023】つまり、各線引きマーカ23は、その作用姿勢では、機体の走行に伴って回転体28が回転し、その回転に伴って各爪部28Aが圃場から所定量の泥土を取り出して泥土表面に所定間隔ごとに落下させることで、次回の走行基準線を圃場に隆起形成する回転式に構成されており、これによって、水の多い圃場であっても走行基準線を容易に視認することができて走行基準線に沿った走行を簡単に行えるようになっている。
【0024】図4に示すように、各線引きマーカ23は、その第1揺動アーム25の基端部がリンク機構2の後端部にワイヤ30を介して連係されており、その作用姿勢においては、苗植付装置3を所定の作業高さ位置まで上昇させるためのリンク機構2の上昇揺動に連動してワイヤ30が引っ張り操作されることで非作用姿勢に切り換えられるとともに、図外のロック機構によって作用姿勢への切り換えが阻止されるようになっている。又、その非作用姿勢においては、苗植付装置3を所定の作業高さ位置まで下降させるためのリンク機構2の下降揺動に連動してワイヤ30が弛緩することで作用姿勢への切り換えが許容されるようになっており、この状態で、運転座席10の右側方の配設された操作レバー31(図1及び図2参照)の所定操作を行うと、左右一方の線引きマーカ23に対するロック機構の作動を解除することができて、その一方の線引きマーカ23を作用姿勢に切り換えられるようになっている。
【0025】図1に示すように、各線引きマーカ23は、その中間部23Aとなる第1揺動アーム25の中間部25Aが苗載台14側に凸曲する状態に屈曲されており、これによって、苗植付装置3を走行機体1の後部に近づけた状態で連結しても、その非作用姿勢及び格納姿勢では、走行機体1の補助車輪8Aと苗植付装置3の苗載台14との間に、その中間部23Aが補助車輪8Aを避けるように屈曲した状態で位置するようになることから、軟弱な圃場での走行を良好に行えるようにするために後輪8の外側に補助車輪8Aを並設しても、各線引きマーカ23を非作用姿勢や格納姿勢に切り換えた際に、各線引きマーカ23が補助車輪8Aに接触することを回避できるようになっている。
【0026】又、前述のようにホッパ16の左右幅を狭くしたことによって、ホッパ16の苗載台14に対する左右幅も狭くなることから、線引きマーカ23として、回転体28を備えることで先端部の容積が大きくなる回転式のものを採用しても、各線引きマーカ23の格納姿勢においては、各線引きマーカ23を、その先端の回転体28が施肥装置4のホッパ16に接触する不都合を招くことなく、苗植付装置3の横幅H内に収めることができるようになっている(図2及び図4参照)。
【0027】図1及び図4に示すように、苗載台14の上部を支持するために苗植付装置3の左右に立設された縦フレーム32には、格納姿勢に切り換えた各線引きマーカ23の中間部23Aに対して係合可能となるように左右に向けて延出された棒状鋼材からなるフック33が備えられており、線引きマーカ23を使用しない路上走行時などにおいては、各線引きマーカ23の中間部23Aをフック33に係合させておくことによって、各線引きマーカ23を格納姿勢に安定した状態で保持できるようになっている。又、各線引きマーカ23の中間部23Aは、苗載台14側に凸曲することで苗植付装置3の縦フレーム32からの離間が抑制される屈曲部23Aであることから、その屈曲部23Aにフック33を係合させることで、フック33の苗植付装置3からの延出長さを短くすることができ、もって、フック33を、比較的安価で加工のし易い細い部材で構成しながらも高い支持強度を有するものにできるようになっている。
【0028】要するに、以上の構成から、軟弱な圃場での走行を良好に行えるようにし、かつ、水の多い圃場であっても容易に視認することのできる走行基準線を形成できるようにしながらも、田植機のコンパクト化を図れるようになっている。
【0029】〔別実施形態〕以下、本発明の別実施形態を列記する。
■ ミッドマウント施肥型の田植機としては、4条分の植え付けと施肥とを行えるように構成したものや、5条分の植え付けと施肥とを行えるように構成したもの、あるいは、8条分の植え付けと施肥とを行えるように構成したものなどであってもよい。
■ 線引きマーカ23としては、機体の走行に伴って圃場に走行基準線を引っ掻き形成するように構成されたものであってもよい。
■ フック33を、線引きマーカ23における屈曲部23Aよりも下方の部位に係合可能となるように苗植付装置3に備えてもよい。
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成11年9月16日(1999.9.16)
【代理人】 【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
【公開番号】 特開2001−78514(P2001−78514A)
【公開日】 平成13年3月27日(2001.3.27)
【出願番号】 特願平11−262045