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【発明の名称】 田植機
【発明者】 【氏名】青木 荘吾

【要約】 【課題】フロート下面からの突き上げ力により、植付深さ可変アームなどが変形することを防止すること。

【解決手段】植付フレーム(31)の下方に配設したフロート(33)(34)の基部に植付深さ可変アーム(37)の基端を回動自在に枢支連結し、同植付深さ可変アーム(37)の先端に連結して延出させた植付深さ調節レバー(38)の高さ位置を変更することにより、前記フロート(33)(34)前部の浮き高さを変更して植付深さを調節可能とした田植機において、前記植付深さ可変アーム(37)と植付フレーム(31)との間に、フロート(33)(34)下面からの突き上げ力によるフロート(33)(34)の基部の上昇を防止するストッパー(42)を設けた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】植付フレーム(31)の下方に配設したフロート(33)(34)の基部に植付深さ可変アーム(37)の基端を回動自在に枢支連結し、同植付深さ可変アーム(37)の先端に連結して延出させた植付深さ調節レバー(38)の高さ位置を変更することにより、前記フロート(33)(34)前部の浮き高さを変更して植付深さを調節可能とした田植機において、前記植付深さ可変アーム(37)と植付フレーム(31)との間に、フロート(33)(34)下面からの突き上げ力によるフロート(33)(34)の基部の上昇を防止するストッパー(42)を設けたことを特徴とする田植機。
【請求項2】ストッパー(42)は、植付フレーム(31)又は植付深さ可変アーム(37)のいずれかに連設されていることを特徴とする請求項1記載の田植機。
【請求項3】ストッパー(42)は、植付深さ可変アーム(37)が最深位置にあるときに、両者(37)(42)が少なくとも当接していることを特徴とする請求項1又は2に記載の田植機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、田植機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、植付フレームの下方に配設したフロートの基部に植付深さ可変アームの基端を回動自在に枢支連結し、同植付深さ可変アームの先端に連結して延出させた植付深さ調節レバーの高さ位置を変更することにより、前記フロート前部の浮き高さを変更して植付深さを調節可能とした植付機があった。
【0003】すなわち、植付深さ可変アームの基端をフロートに枢支連結するとともに、先端に横方向へ伸延するパイプを連結し、同パイプに植付深さ調節レバーの基端を連結し、先端を斜め上方へ向けて前方へ延出させている。
【0004】一方、一定間隔で複数の係合溝を設けたレバーガイドを別途設け、前記植付深さ調節レバーを、かかるレバーガイドの適当な係合溝に係合固定して所望する植付深さを得るようにしていた。
【0005】そして、上記構成の植付機を自走可能な走行機体の後部に昇降リンク機構を介して昇降可能に配設した自走式田植機が現在まで広く普及している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記した田植機では、植付作業の際に、フロートの下面から突き上げ荷重が加わると、その大きさによっては、植付深さ可変アームが変形・破損するという問題があった。
【0007】すなわち、基端をフロートに枢支連結した植付深さ可変アームと植付深さ調節レバーがパイプを介して一体に連結され、そのパイプを介して枢支した構成において、植付深さ調節レバーの先端側がレバーガイドに係合固定されているので、フロート下面から大きな力が加わると、枢支部近傍が曲がってしまうことがあった。
【0008】本発明は、上記課題を解決することのできる田植機を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】そこで、請求項1記載の本発明では、植付フレームの下方に配設したフロートの基部に植付深さ可変アームの基端を回動自在に枢支連結し、同植付深さ可変アームの先端に連結して延出させた植付深さ調節レバーの高さ位置を変更することにより、前記フロート前部の浮き高さを変更して植付深さを調節可能とした田植機において、前記植付深さ可変アームと植付フレームとの間に、フロート下面からの突き上げ力によるフロートの基部の上昇を防止するストッパーを設けた。したがって、フロート下面からの突き上げ荷重が加わっても、ストッパーで受止めることができ、植付深さ可変アームの先端部あるいは植付深さ調節レバーの基端部が変形しにくくなる。
【0010】また、請求項2記載の本発明では、前記ストッパーは、植付フレーム又は植付深さ可変アームのいずれかに連設されていることとした。
【0011】また、請求項3記載の本発明では、前記ストッパーは、植付深さ可変アームが最深位置にあるときに、両者が少なくとも当接していることとした。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明は、植付フレームの下方に配設したフロートの基部に植付深さ可変アームの基端を回動自在に枢支連結し、同植付深さ可変アームの先端に連結して延出させた植付深さ調節レバーの高さ位置を変更することにより、前記フロート前部の浮き高さを変更して植付深さを調節可能とした田植機において、前記植付深さ可変アームと植付フレームとの間に、フロート下面からの突き上げ力によるフロートの基部の上昇を防止するストッパーを設けたものである。
【0013】田植機は、走行機体の後部に植付機を昇降リンク機構を介して昇降自在に配設した自走式とすることができ、本実施の形態では、上記した特徴ある構成を、実質的には植付機に具備させている。
【0014】すなわち、走行機体は、機体フレームに、エンジン及びミッションケースを具備する原動機部、前・後車輪を具備する走行部、さらにステアリングホイルや座席を具備する運転操作部が設けられている。
【0015】一方、植付フレームは、左右幅方向に伸延させた円筒状の前側支持用の横パイプに、後方に向けて伸延する3本の縦パイプを左右幅方向に間隔をあけて一体的に連設して、略櫛型のパイプフレーム構造とすることができ、かかるパイプ内に前記ミッションケースからの動力を入力して植付爪に動力を伝達する軸体を設けるとともに、苗載台、フロート、植付爪を配設している。
【0016】そして、上述したように、フロートの基部に植付深さ可変アームの基端を回動自在に枢支連結し、同植付深さ可変アームの先端に植付深さ調節レバーを連結して走行機体側へ延出させている。
【0017】さらに、一定間隔で複数の係合溝を設けたレバーガイドを設け、前記植付深さ調節レバーを、かかるレバーガイドの適当な係合溝に係合固定して前記フロート前部の浮き高さを変更し、所望する植付深さを得るようにしている。
【0018】かかる構成において、前記植付深さ可変アームと植付フレームとの間に、フロート下面からの突き上げ力によるフロートの基部の上昇を防止するストッパーを設け、たとえフロート下面からの突き上げ荷重が加わっても、ストッパーで受止めるようにして、植付深さ可変アームの先端部、あるいは植付深さ調節レバーの基端部の変形を可及的に防止している。
【0019】前記ストッパーは、硬質でかつ弾性を有する合成樹脂などで形成することができるが、材料は必ずしも限定されるものではない。
【0020】また、かかるストッパーは、植付フレーム又は植付深さ可変アームのいずれかに連設すればよく、いずれに取付けるにしても構成は簡単であり、なおかつ上記した効果を同等に得ることができる。
【0021】また、前記ストッパーは、植付深さ可変アームが最深位置にあるときに、両者すなわちストッパーと植付深さ可変アームとが少なくとも当接していることが好ましい。
【0022】植付深さが最深となるように植付深さ調節レバーをレバーガイドの係合溝に係合させたときに、植付深さ可変アームの基端部と植付フレームとの間隙は最小になるが、ストッパーを設けることでこの間隙をなくすことができ、フロート下面からの突き上げ荷重を確実に受止めることができる。しかも、この状態を植付機の輸送姿勢とすれば、輸送時においても植付深さ可変アームや植付深さ調節レバーが曲がったりするおそれがない。
【0023】
【実施例】以下に、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【0024】図1は本実施例にかかる田植機の一部を省略した側面図、図2は同田植機の要部を示す平面視による説明図である。
【0025】図1及び図2に示すように、本実施例に係る田植機1は、自走可能に構成した走行機体2の後部に、植付爪30を具備する植付機3を、昇降機構4を介して昇降可能に連設している。
【0026】走行機体2は、エンジンやミッションケース(図示せず)を配設した車体5の下部に走行部6を配設するとともに、車体5の上部には、ステアリングホイルや各種操作レバー、さらに運転席7を設けた運転操作部8を配設している。50は左右一対の後部機体フレームである。
【0027】走行部6は、左右一対の前車輪を、前記したミッションケースの左右側部に前側アクスルケースを介して連動連結するとともに、同ミッションケースに、後側アクスルケース9の前端部を連設し、同後側アクスルケース9の後端部に左右一対の後車輪10,10 を連動連結して構成している。
【0028】昇降機構4は、後述する植付機3に設けた支持体11の左右基端部と後部機体フレーム50の中途部との間に左右一対の下側支持桿12,12 をそれぞれ上下回動自在に取付けるとともに、前記支持体11の中途部と後部機体フレーム50の上部との間に左右一対の上側支持桿13,13 をそれぞれ上下回動自在に取付けて、上側支持桿13,13 と下側支持桿12,12 とで平行リンクを構成し、さらに、同下側支持桿12,12 の前端部に、クランク桿14,14 の基端部を連設して、同クランク桿14,14 の先端部と油圧式の昇降シリンダー(図示せず)の先端とを連動連結している。
【0029】そして、昇降シリンダーを伸張させることにより、植付機3を降下させるとともに、昇降シリンダーを短縮させることにより、植付機3を上昇させるように構成している。
【0030】植付機3は、図1及び図2に示すように、昇降機構4の後部に連結した前記支持体11の下部に、植付爪30を設けた植付フレーム31を取付けており、同植付フレーム31の上部に、左右横方向に往復動可能とした苗載台32を前高後低の傾斜状に載設している。
【0031】また、図2に示すように、植付フレーム31は、左右幅方向に伸延させた円筒状の前側支持用の横パイプ35に、後方に向けて伸延する3本の円筒状の縦パイプ36を左右幅方向に間隔をあけて一体的に連設して、略櫛型のパイプフレーム構造としている。
【0032】そして、中央の縦パイプ36内に、ミッションケースからの動力を植付機3内に入力する入力軸15を配設し、他の各パイプ35,36 内に、前記入力軸15を介して植付爪30に動力を伝達する植付連動軸を回動自在に配設している。16はミッションケースに連動連結したPTO出力軸、17は同PTO出力軸16に連動連結した中間軸を収納した軸ケーシング、18は同中間軸に先端を連動連結するとともに、終端を前記入力軸15と連動連結した植付伝動軸である。
【0033】ところで、便宜上、中央の縦パイプ36と表したが、この縦パイプ36は、図2からも明らかなように、実際は、植付機3の進行方向右側に寄せて配置している。
【0034】なお、本実施例に係る田植機1は、左側及び中央の縦パイプ36の終端左右に2個の植付爪30を、右側に位置する縦パイプ36の終端外側には1個の植付爪30を取付けて5条植可能としているが、右側に位置する縦パイプ36にさらに1個の植付爪30を設けて6条植えとすることもできる。
【0035】このように、植付フレーム31をパイプ状の一体構成としたことにより、軽量化及び部品削減を図ることができ、植付機3全体を軽量コンパクト化することができるとともに、組立工数が減り、製造工程の効率化を図ることができる。
【0036】また、植付フレーム31の下方中央には、大型のセンターフロート33を配設しており、さらに、その左右には、それぞれ小型のサイドフロート34,34 を配設している。
【0037】そして、かかるセンターフロート33及びサイドフロート34,34 の基部に、植付深さ可変アーム37の基端を回動自在に枢支連結し、同植付深さ可変アーム37の先端同士を、左右幅方向に伸延する連結パイプ19で連結するとともに、同連結パイプ19に植付深さ調節レバー38の基端を連結している。39は連結パイプ19と植付深さ調節レバー38とを連結する連結部材である。
【0038】植付深さ調節レバー38は、植付深さ調節レバー38の基端から前方、すなわち走行機体2側へ延出しているが、基端部側から上方へ急角度で屈曲させるとともに、中途から緩やかな角度で前方へ伸延形成し、走行機体2と植付機3との間の空間で操作できるようにしている。
【0039】また、苗載台32を支持する支持部材60側から、複数の係合溝(図示せず)を、一定間隔をあけて設けたレバーガイド40を斜め下方へ向けて突設するとともに、前記植付深さ調節レバー38の中途に係合部41を設けている。
【0040】そして、この係合部41を前記係合溝に適宜係合固定させて、植付深さ調節レバー38の高さ位置を変更可能とすることにより、前記フロート33,34 の前部の浮き高さを変更して植付深さを調節可能としている。
【0041】本発明の要旨となるのは、かかる構成において、前記植付深さ可変アーム37と植付フレーム31の縦パイプ36との間に、フロート33,34 の下面からの突き上げ力によってフロート33,34 の基部が上昇することを防止するストッパー42を設けたことにある。
【0042】本実施例に係るストッパー42は、略コ字状に形成した鋼材を、植付フレーム31の縦パイプ36下面に溶接するとともに、鋼材の平坦面にラバーなどの弾性部材を貼設して構成している。
【0043】しかも、同ストッパー42は、植付深さ可変アーム37が最深位置にあるときに、同植付深さ可変アーム37と当接するようにしている。
【0044】すなわち、植付深さが最深となるように、植付深さ調節レバー38をレバーガイド40の係合溝に係合させたときに、植付深さ可変アーム37の基端部と植付フレーム31の縦パイプ36との間隙は最小になるが、かかる間隙を塞ぐようにしてストッパー42が設けられることになるので、フロート33,34 の下面から突き上げ荷重が加わっても、植付深さ可変アーム37の基端部は上昇することがなく、フロート33,34 の下面からの突き上げ荷重が加わった場合に、ストッパー42で確実に受止めることができ、植付深さ可変アーム37の先端部、あるいは植付深さ調節レバー38の基端部の変形を防止することができる。
【0045】なお、ストッパー42としては、硬質でかつ弾性を有する合成樹脂などで一体形成してもよく、材料的には限定されるものではない。
【0046】また、かかるストッパー42は、植付深さ可変アーム37の上面に設けてもよく、いずれに設けるにしても構成はきわめて簡単であって、廉価で製造可能であり、なおかつ上記した効果を同等に得ることができる。
【0047】また、ストッパー42を弾性素材で形成した場合、植付深さ可変アーム37とストッパー42との当接状態は、ストッパー42が弾性変形する程度まで植付深さ可変アーム37をストッパー42に強く押圧した状態であってもよい。なお、弾性変形の程度は2〜3mmとする。
【0048】いずれにしても、植付深さ可変アーム37とストッパー42とを当接させておくことによって、最も大きな効果を得ることができる。
【0049】さらに、ストッパー42と植付深さ可変アーム37とが当接した状態を植付機3の輸送姿勢とすれば、輸送時においても植付深さ可変アーム37や植付深さ調節レバー38が曲がったりすることも防止できる。
【0050】
【発明の効果】本発明は、以上説明したような形態で実施され、以下に記載されるような効果を奏する。
【0051】(1)請求項1記載の本発明では、植付フレームの下方に配設したフロートの基部に植付深さ可変アームの基端を回動自在に枢支連結し、同植付深さ可変アームの先端に連結して延出させた植付深さ調節レバーの高さ位置を変更することにより、前記フロート前部の浮き高さを変更して植付深さを調節可能とした田植機において、前記植付深さ可変アームと植付フレームとの間に、フロート下面からの突き上げ力によるフロートの基部の上昇を防止するストッパーを設けたので、フロート下面からの突き上げ荷重が加わっても、ストッパーで受止めることができ、植付深さ可変アームの先端部あるいは植付深さ調節レバーの基端部の変形を可及的に防止することができる。
【0052】(2)請求項2記載の本発明では、前記ストッパーは、植付フレーム又は植付深さ可変アームのいずれかに連設されていることとしたので、構成が簡単であり、廉価で製造可能である。
【0053】(3)請求項3記載の本発明では、前記ストッパーは、植付深さ可変アームが最深位置にあるときに、両者が少なくとも当接していることとしたので、上記(1)の効果を最大限に得ることができ、さらに、かかる当接状態を田植機の輸送姿勢とすることで、輸送時における植付深さ可変アームや植付深さ調節レバーの変形を防止することができる。
【出願人】 【識別番号】000006851
【氏名又は名称】ヤンマー農機株式会社
【出願日】 平成11年8月31日(1999.8.31)
【代理人】 【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
【公開番号】 特開2001−69826(P2001−69826A)
【公開日】 平成13年3月21日(2001.3.21)
【出願番号】 特願平11−245409