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【発明の名称】 作業機におけるローリング制御装置
【発明者】 【氏名】石田 伊佐男

【要約】 【課題】ローリング制御装置が故障した場合、アクチュエータの駆動停止に伴って作業部のローリングがその位置でロックされ、作業部を手動で中立位置に戻すことが困難で、以後の作業が行えないという不都合を防ぐ。

【解決手段】ローリング作動装置の駆動歯車28は、その軸孔にスプライン溝が形成され、モータ27の駆動回転軸27aの外周に成型されているスプライン溝に係合し、軸方向に摺動自在、且つ一体回転するように取り付けられている。シフタ37により駆動歯車28がローリング作動部材26の部分歯車部26aと噛合い状態と、噛合わない状態(二点鎖線)に操作できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 走行車体1に対してローリング自在に連結される作業部4を、アクチュエータ27の駆動によりローリング制御するローリング制御装置を備えた作業機において、該アクチュエータ27の駆動系を解除可能に構成したことを特徴とする作業機におけるローリング制御装置。
【請求項2】 走行車体1に対してローリング自在に連結される作業部4を、アクチュエータ27の駆動によりローリング制御するローリング制御装置を備えると共に、該ローリング制御装置にはアクチュエータ27の駆動力を伝動する歯車機構を設けた作業機において、該歯車機構を構成する駆動歯車28と従動歯車26との噛合状態を解除可能に構成したことを特徴とする作業機におけるローリング制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、乗用型田植機等の作業機における作業部のローリング制御装置に関するものである。
【0002】
【従来技術と発明が解決しようとする課題】一般に、この種作業機のなかには、走行車体に対してローリング自在に連結される作業部を、アクチュエータ(油圧装置や電動モータ)による駆動によりローリング制御するローリング制御装置を備えるものがある。そして、このものでは、前記ローリング制御装置が故障した場合、アクチュエータの駆動停止に伴って作業部のローリングがその位置でロックされてしまうため、ローリング制御装置が故障した場合に、作業部を手動で中立位置に戻すことが困難で、以後の作業が行えないと謂う不都合があった。
【0003】
【課題を解決するための手段】従来の課題を解決するために、請求項1記載の発明は、走行車体1に対してローリング自在に連結される作業部4を、アクチュエータ27の駆動によりローリング制御するローリング制御装置を備えた作業機において、該アクチュエータ27の駆動系を解除可能に構成した作業機におけるローリング制御装置としたものであり、請求項2記載の発明は、走行車体1に対してローリング自在に連結される作業部4を、アクチュエータ27の駆動によりローリング制御するローリング制御装置を備えると共に、該ローリング制御装置にはアクチュエータ27の駆動力を伝動する歯車機構を設けた作業機において、該歯車機構を構成する駆動歯車28と従動歯車26との噛合状態を解除可能に構成した作業機におけるローリング制御装置としたものである。
【0004】
【発明の作用効果】請求項1記載の発明は、走行車体1に対してローリング自在に連結される作業部4を、アクチュエータ27の駆動によりローリング制御するローリング制御装置を備えた作業機において、該アクチュエータ27の駆動系を解除可能に構成した作業機におけるローリング制御装置としたものであるから、仮にアクチュエータ27等の故障に基づいて作業部4のローリングがロックされたとしても、アクチュエータ27の駆動系を解除すれば、作業部4の自由ローリングが許容されることになる。従って、ローリング制御装置が故障した場合であっても、作業の続行が可能となり、従来例の課題を解消することができる。
【0005】請求項2記載の発明は、走行車体1に対してローリング自在に連結される作業部4を、アクチュエータ27の駆動によりローリング制御するローリング制御装置を備えると共に、該ローリング制御装置にはアクチュエータ27の駆動力を伝動する歯車機構を設けた作業機において、該歯車機構を構成する駆動歯車28と従動歯車26との噛合状態を解除可能に構成した作業機におけるローリング制御装置としたものであるから、仮にアクチュエータ27等の故障に基づいて作業部4のローリングがロックされたとしても、アクチュエータ27の駆動力を伝動する歯車機構の駆動歯車28と従動歯車26との噛合状態を解除すれば、作業部4の自由ローリングが許容されることになる。従って、ローリング制御装置が故障した場合であっても、歯車機構の駆動歯車28と従動歯車26との噛合状態を解除して作業部4を中立位置にすることにより作業の続行が可能となり、従来例の課題を解消することができる。
【0006】
【発明の実施の形態】この発明の一実施例を図面に基いて詳細に説明する。1は走行車体で、左右一対の操向用の前輪2、2と左右一対の後輪3、3を備えている。また、走行車体1の後側には昇降リンク5を介して植付作業機4が装着されている。走行車体1のフレーム7上にはエンジン6が搭載され、そのエンジン6の上側はステップフロア8と一体成形されたエンジンカバー8aで覆われ、そのカバー8a上に座席9が配設されている。座席9の前方には、ハンドル10が配設され、その下側はボンネット11で覆われている。また、走行車体1の前側に設けられたミッションケース12の後側には側面視コ字状の支持部材13が固着され、その支持部材13の内側に前輪差動装置を内装する前輪デフケース14が前後方向を軸にローリング自在に枢支されている。また、コ字状の支持部材13の後側には前記フレーム7の前端が固着され、そのフレーム7の後端に後輪伝動ケース15が固着されている。
【0007】昇降リンク5は、油圧シリンダ16の作動により上下に昇降動するようになっている。昇降リンク5のリンク構成は、前記後輪伝動ケース15の上側にリンク支持フレ−ム5aが固設され、その支持フレ−ム5aに上リンク5b、5bと下リンク5c、5cが上下に回動自在に連結され、更にその上下のリンク5b、5b、5c、5cの後端が縦リンク5dで連結されて平行リンクに構成されている。また、油圧シリンダ16は、そのシリンダ部の基部が前記後輪伝動ケース15の後側部に軸支され、ピストン部の先端部がスプリングの緩衝手段を介して上リンク5b、5bに軸着して、前記リンク部材と連結している。
【0008】植付作業機4は、走行車体1のミッションケース12から伝動軸を介して動力入力される植付伝動ケ−ス17がその機枠を兼ねている。その植付伝動ケ−ス17の上側には、苗載台18が、前側が上位になるよう傾斜した状態で左右摺動自在に設けられ、植付伝動ケ−ス17の両側面から突出した左右往復移動棒18bと連結して左右に往復作動するようになっている。更に、植付伝動ケ−ス11には後方に向けて3本の移植伝動フレ−ム19…が延設され、その伝動フレ−ム19…の各後端部の左右両側に駆動軸が突出し、その駆動軸に前記苗載台18から苗を一株づつ分割して移植する移植装置20…が装着されて6条植え構成となっている。また、各移植伝動フレ−ム19…の下部には、中央整地フロ−ト21aと左右整地フロ−ト21b、21bが、それぞれ前端が上下に揺動するように装着されている。ここで、中央整地フロ−ト21aは、その揺動可能な前端側が前記油圧シリンダ16を作動させる油圧バルブと連動連結しているので、植付作業機4を表土面に対して上下に所定の高さに維持させる自動昇降制御におけるフロ−トセンサとして機能する。
【0009】この植付作業機4は、植付伝動ケ−ス17に固着の前後方向の連結軸17aが昇降リンク5の縦リンク5dの下端部に設けられた軸受部5eに回動自在に嵌合して、ロ−リング動可能に走行車体1側に装着されている。更に、この植付作業機4には、走行車体1が左右に傾むいても植付作業機4は水平を維持するように制御する水平制御装置22が設けられている。
【0010】水平制御装置22は、左右方向の対水平面傾斜角を検出する水平センサ23と、連結軸17a回りに植付作業機4を強制的にロ−リング動させるロ−リング作動装置24と、水平センサ23の入力によりロ−リング作動装置24の作動を制御する水平制御コントロ−ラ25とからなる。
【0011】具体的には以下のように構成されている。即ち、縦リンク5dの後側に固着の支軸5fにロ−リング作動部材26が回動自在に取付けられ、その作動部材26の下端部には部分歯車部26aが成形されている。また、アクチュエータとしての電動のロ−リング作動モ−タ27が縦リンク5dに固設され、そのモ−タ27の回転軸27aに一体回転するように取り付けられた駆動歯車28が前記ロ−リング作動部材26の部分歯車部26aに噛み合うようになっている。更に、前記ロ−リング作動部材26には、それと一体的に左右に回動するようにレバ−33が(具体的には後述する)が取付けられ、そのレバ−33と植付作業機4の左右両側部と(図2では苗載台支持フレ−ム18a、18aと)が連結スプリング29、29で連結している。ここで、ロ−リング作動部材26が左右中立姿勢にあって、更にレバ−33がロ−リング作動部材26に対して左右中立位置に位置するときに、植付作業機4は走行車体1に対して水平姿勢をとるように調整されている。ところで、水平センサ23は、ロ−リング作動部材26に取付けられていて、ロ−リング作動部材26の支軸5f回りの回動による左右傾斜角を検出するようになっている。よって、レバ−33をロ−リング作動部材26に対して左右中立位置に位置させた状態でロ−リング作動部材26が水平状態を維持するように制御作動されれば、植付作業機4は水平状態を維持する。
【0012】よって、走行車体1が右或は左に傾くと、それに伴って植付作業機4が傾く。このとき水平センサ23が水平面に対するロ−リング作動部材26の傾きを検出し、その検出値が水平制御コントロ−ラ25に入力される。そして、水平制御コントロ−ラ25から指令を受けてロ−リング作動モ−タ27が作動する。そして、ロ−リング作動部材26が支軸5f回りに右或は左に回動し、水平センサ23で検出される傾斜角が0度に(水平に)なるまで作動する。その結果、レバ−33も一体的に回動し、それに連結する植付作業機4が連結軸17a回りに右或は左にロ−リング動し、水平状態に復帰する。以上のように、水平制御装置22によって、走行車体1が左右に傾いても植付作業機4は水平面に対して平行に(即ち水平に)なるよう修正される。
【0013】尚、ロ−リング作動部材26は、スプリング30、30を介して左右に往復移動する苗載台18とも連結している。このスプリング30、30は、苗載台18が左右に往復移動するのに従い伸び縮みするので、苗載台18の移動に伴う重心移動によって植付作業機4が左右に傾むこうとするのを引き戻すように作用する。また、スプリング30、30のロ−リング作動部材26への連結は、そのロ−リング作動部材26の回動中心近傍に設けられた孔26b、26bにスプリング30、30のそれぞれの端部が引き掛けられて連結している。孔26b、26bの位置は、その両者の孔中心を結ぶ線がロ−リング作動部材26の回動中心上を通るような位置に設けられている。
【0014】また、ロ−リング作動部材26は、ロ−リング作動モ−タ27によって左右に回動するが、その回動許容範囲はスイッチ31、31によって定められている。即ち、ロ−リング作動部材26の前側面には左右中央に位置して前方に突出する作動杆26cが固着していて、ロ−リング作動部材26が所定の角度回動したとき前記作動杆26cが縦リンク5dの上部に固設されたスイッチ31、31の一方に接当する。このとき、植付作業機4が水平になるまで更にロ−リング作動させなければならない状態であったとしても、ロ−リング作動モ−タ27は停止する。よって、ロ−リング作動部材26はもうそれ以上は大きくは回動しない。
【0015】さて、前記レバ−33は、ロ−リング作動部材26に対する植付作業機4の左右の基準姿勢(制御目標姿勢)を変更する基準姿勢変更手段32の操作レバ−として機能する。即ち、このレバ−33は、ロ−リング作動部材26の支軸5fに回動自在に取付けられたレバ−取付部材34に左右方向のピン34aで前後方向に回動可能に枢着され、且つ、トルクスプリング35により後方に回動するよう付勢されて取付けられている。そのレバ−33の上部側の後側部にはレバ−係合片33aが固着していて、その係合片33aがロ−リング作動部材26の上端部に所定の間隔で複数箇所形成されたレバ−係合溝部26dに前記トルクスプリング35に付勢されながら係合するようになっている。よって、ロ−リング作動部材26に対してレバ−33を右或は左に回動させて係合させれば、植付作業機4の基準姿勢を左右に所定の角度傾斜させた状態に変更することができる。
【0016】尚、基準姿勢変更手段32は、上記のような機械的な手段に限られるものではなく、ロ−リング制御コントロ−ラ25に制御目標値の変更手段を付加することによっても可能である。よって、植付圃場の表土面が水平面に平行な状態のところでは、レバ−33をロ−リング作動部材26の左右中立位置に位置するように係合させて使用する。これにより、植付作業機4の水平制御における基準姿勢が水平面に平行した状態になり、植付作業機4の水平制御は水平面に平行する姿勢を目標姿勢とした制御となり、適確な水平制御が為される。しかし、表土面が右或は左に傾斜したところでは、植付作業機4が水平面に対しては平行な状態でも表土面に対しては左或は右に傾いた状態になり、植付苗が表土面から浮いた側は浮き苗に反対側は埋没苗になってしまう。そこで、レバ−33を操作して、水平制御の基準姿勢をその表土の傾きに合わせて右或は左に傾斜した姿勢に変更する。これにより、表土面の傾斜角を基準とした即ちその角度を制御目標値とした水平制御が為されていき、浮き苗や埋没苗の発生を防止することができる。
【0017】ところで、図3に二点鎖線で現れるように水平制御起動スイッチ36を設けることで、以下のような使用の仕方がある。即ち、レバ−33を左右中立位置に位置するようにレバ−33をロ−リング作動部材26に係合させた場合に、レバ−33と一体的に回動するレバ−取付部材34の下部に固着された突起34bにより水平制御起動スイッチ36がオンとなるようにする。そして、レバ−33を左右中立位置から左右に回動させて係合させた場合は、前記スイッチ36がオフとなるようにする。よって、表土面が水平面に平行な場合にのみ水平制御を作動させて使用し、表土面が傾斜している場合には水平制御装置22を作動させないでレバ−33により手動で植付作業機4を所望の角度に傾斜させて使用する。
【0018】また、ロ−リング作動装置24の駆動歯車28は、ロ−リング作動部材26との噛合い状態から外れるように操作できる。即ち、ロ−リング作動装置24の駆動歯車28は、その軸孔がスプライン溝に成形され、モ−タ27の駆動回転軸27aの外周に成型されているスプライン溝に係合し、軸方向に摺動自在、且つ一体回転するように取付られている。駆動歯車28の摺動操作は、シフタ37によって操作される。駆動歯車28がロ−リング作動部材26の部分歯車部26aと噛合い状態にあるときは、ロ−リング作動装置24の作動により植付作業機4が左右にロ−リング作動する連動状態となり、植付作業機4が左右に水平制御される状態となる。ところで、表土面の凹凸が激しくて水平制御が的確に作動しにくいときや、コントロ−ラやセンサなどの電装系が故障した場合には、連結軸17a回りに自在にロ−リングできる状態に切替えられるとよい(このとき、連結スプリング29、29が左右中立復帰スプリングとして作用する)。そこで、シフタ37の操作により、駆動歯車28がロ−リング作動部材26の部分歯車部26aと噛合わない位置に摺動させて、植付作業機4がロ−リング作動装置24の作動(モ−タ27の作動)と非連動状態とし、そして、縦リンク5dに取付けられた固定ピン5gをロ−リング作動部材26に設けた固定孔26eに係合して、ロ−リング作動部材26を左右中立位置に固定する。このようにすることで、簡単に切替ることができる。尚、ピン5gの固定孔26eへの係合が、シフタ30の操作に連動して自動的に係合するように構成すると便利である。
【出願人】 【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
【出願日】 平成3年8月23日(1991.8.23)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−69821(P2001−69821A)
【公開日】 平成13年3月21日(2001.3.21)
【出願番号】 特願2000−234300(P2000−234300)