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【発明の名称】 複合農作業装置
【発明者】 【氏名】古 市 恒 裕

【要約】 【課題】作物が必要とし、吸収できる微量の肥料を、作物の根の吸収範囲内の種子の真下に固まりで施肥することのできる複合農作業機を提供することを目的とする。

【解決手段】播種パイプ21を備え、一定の間隔で定量の種子25を耕土壌面3に播く播種機20と、播種パイプ21の先端より深い耕土壌内3aに挿し込む施肥パイプ17を備え一定の間隔で定量の肥料12を施肥パイプ17先端から散布する間欠定量施肥機10と、播種された畝3bを覆い保温、保水、防除草するマルチフィルム31を有し播種機20の後方に設けられたマルチフィルム敷設機30と、マルチフィルム31の両端部を押さえる土を掛ける土掛けディスク40とを備え、施肥された肥料12の直上部の耕土壌面3に播種し、且つマルチフィルム31の前記播種孔32が播種位置の上になるように同期をとる制御手段50とを備えていることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 播種パイプを備え、一定の間隔で定量の種子を耕土壌面に播く播種機と、前記播種機の前方に設けられ、前記播種パイプの先端より深い耕土壌内に挿し込む施肥パイプを備え一定の間隔で定量の肥料を前記施肥パイプ先端から散布する間欠定量施肥機と、一定間隔で播種孔が開けられており、播種された畝を覆い保温、保水、防除草するマルチフィルムを有し前記播種機の後方に設けられたマルチフィルム敷設機と、マルチフィルムの両端部を押さえる土を掛ける土掛けディスクとを備え、施肥された肥料の直上部の耕土壌面に播種し、且つマルチフィルムの前記播種孔が播種位置の上になるように同期をとる制御手段とを備えていることを特徴とする複合農作業装置。
【請求項2】 前記間欠定量施肥機は、粉粒肥料を収納すると共に、下端部分に粉粒肥料の落下口が開口されたホッパーと、複数の攪拌翼を有し前記ホッパー内に設けられ回転によって粉粒肥料を流動化して落下口に導く攪拌部材と、前記攪拌部材を間欠的に回転させる回転手段とを備えていることを特徴とする請求項1記載の複合農作業装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複合農作業装置に関し、詳しくは少なくとも施肥、播種を同時に行う複合農作業機に関する。
【0002】
【従来の技術】野菜等の畑作物の生産において、土壌の耕起や、肥料の散布には大小各種のトラクター等が普及しており、きわめて能率的に行われている。これらの、播種前の作業により、通気性、保水性の双方を備えた理想的な土壌構造と、PH、塩基バランスなどの化学性の改善がはかられ、さらに耕うん作業機に搭載された施肥装置により耕土全面にたい肥や、化学肥料、土壌改良剤などが撒かれ畑作物の生産性をあげる努力がなされている。
【0003】一般にこれらの施肥作業は、畑地全面に散布し、肥料濃度の平均化のためトラクターなどで耕転される。その時、リン酸成分は土中の金属質と化合し固定化され作物が吸収できない無効な肥料となる問題があった。
【0004】また、畑地に散布された肥料は、有効成分のチッソ、リン酸、カリとなって土に吸着されて保持され、作物の根から吸収されるが、その吸収される範囲は植物の根の範囲内のみであり、夫々の作物の生育に必要な一定量のみが吸収される。
【0005】このため、耕地全面に播かれた肥料の大部分は作物に吸収されずに残留肥料となる。これらの残留肥料は雨水等で流亡し、河川、湖沼に流れ込み富栄養化による生物相への悪影響を及ぼす問題となる。また、必要以上の肥料の消費に伴い、畑作物の生産コストを押上げてしまう問題となっている。
【0006】これらの対策のため、特開昭60−2103号公報や、特開昭60−207508号公報、特開昭62−3704号公報等に開示されている、播種個所または移植作業と同時に、播種個所または移植された苗の近傍のみに肥料を播く播種施肥複合作業装置が知られている。これらの複合作業装置では、耕転機構と、播種機構と、施肥機構とを組み合わせ、これらの同時作業が行えるので作業時間および労力の大幅な省力化が達成できると共に、それぞれの専用機を用意する必要がないので経済的である。
【0007】しかしながら、これらに用いられる施肥機構では、粉粒肥料の繰り出し孔を小さくするとすぐに詰まってしまうため、ある程度の大きさの孔とされており、作物が必要とする量以上を施肥してしまう問題があった。このため、残留肥料の環境汚染問題、および肥料の大量消費による不経済の解決には到っていないのが現状であった。
【0008】これらの残留肥料を無くすためには、作物の吸収できる量を、その作物の根が伸びる範囲に施肥すれば良いが、作物1本1本に対応して施肥することは、その量が微少であるため前記の農作業機では困難であった。また、人手によれば作物1本1本に対応して微量の肥料を施肥することは可能であるが、野菜の生産においてニンジンを例に取ると1アールに3万本以上の播種育成と数が多く人力では不可能であった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前述の問題に鑑みてなされたもので、主たる課題は、作物が必要とし、吸収できる微量の肥料を、作物の根の吸収範囲内の種子の真下に固まりで施肥することのできる複合農作業機を提供することを目的とする。
【0010】また、必要最小限の施肥により、残留肥料の汚染問題を防止すると共に、全体の肥料消費量を減らし生産性の向上を図ることを目的とする。
【0011】さらに、播種機構と、施肥機構とマルチング機構を組み合わせ、これらの同時作業を可能とし、作業時間および労力の大幅な省力化と、経済性向上を目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、複合農作業装置であって、播種パイプを備え、一定の間隔で定量の種子を耕土壌面に播く播種機と、前記播種機の前方に設けられ、前記播種パイプの先端より深い耕土壌内に挿し込む施肥パイプを備え一定の間隔で定量の肥料を前記施肥パイプ先端から散布する間欠定量施肥機と、一定間隔で播種孔が開けられており、播種された畝を覆い保温、保水、防除草するマルチフィルムを有し前記播種機の後方に設けられたマルチフィルム敷設機と、マルチフィルムの両端部を押さえる土を掛ける土掛けディスクとを備え、施肥された肥料の直上部の耕土壌面に播種し、且つマルチフィルムの前記播種孔が播種位置の上になるように同期をとる制御手段とを備えていることを特徴とする。
【0013】請求項2の発明は、請求項1の発明であって、前記間欠定量施肥機は、粉粒肥料を収納すると共に、下端部分に粉粒肥料の落下口が開口されたホッパーと、複数の攪拌翼を有し前記ホッパー内に設けられ回転によって粉粒肥料を流動化して落下口に導く攪拌部材と、前記攪拌部材を間欠的に回転させる回転手段とを備えていることを特徴とする。
【0014】請求項1の発明によれば、播種機構と、施肥機構と、マルチング機構を組み合わせ、これらの同時作業が行えるので作業時間および労力の大幅な省力化が達成できると共に、それぞれの専用機を用意する必要がないので設備費用が経済的である。
【0015】また、施肥パイプが、播種パイプの前方に配置され、且つ播種パイプの先端より深い耕土壌内に挿し込まれており、且つ同期をとる制御手段とを備えていることにより、一定の間隔で定量の肥料が施肥パイプ先端から散布されると共に、施肥された肥料の直上部の耕土壌面に播種され、マルチフィルムの播種孔が播種位置の上になるようにマルチフィルムを敷設することができる。
【0016】請求項2の発明によれば、回転によって粉粒肥料を流動化して落下口に導く攪拌部材と、前記攪拌部材を間欠的に回転させる回転手段とを備えていることから、制御手段からの信号により一定の間隔で正確に微量の肥料を施肥パイプ先端から散布することができる。このため作物が必要とし、吸収できる微量の肥料を、作物の根の吸収範囲内の種子の真下に固まりで施肥することができ、残留肥料による環境汚染を防止できると共に、肥料の消費量を半減させることができる。
【0017】また、リン酸成分など土壌と混合させると土壌内の金属質と化合し固定化され作物が吸収できない無効な肥料も、固まりで施肥することにより土との接触面が少なく作物の根の成長に伴い吸収される形態で有効に作用させることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明の一実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態は以下の説明に限るものではなく、耕転機構を加えた組み合わせや、マルチフィルム敷設機構を除いた組み合わせなど、作物の種類生産方式に合わせた複合作業装置とすることができる。
【0019】図1は、一実施の形態を示す複合農作業装置100で、トラクター(図示せず)等に連結して牽引させるための牽引ロッド2を前方に備えた基台1上に、前方から間欠定量施肥機10と、播種機20と、マルチフィルム敷設機30とを搭載し、間欠定量施肥機10と播種機20とマルチフィルム敷設機30の作動の同期を取るための制御手段を備え、最後部に土掛けディスク40が設けられている。
【0020】この複合農作業装置100は、播種パイプ21を備え、一定の間隔で定量の種子25を耕土壌面3に播く播種機20と、前記播種機20の前方に設けられ、前記播種パイプ21の先端より深い耕土壌内3aに挿し込む施肥パイプ17を備え一定の間隔で定量の肥料12を前記施肥パイプ17先端から散布する間欠定量施肥機10と、一定間隔で播種孔32が開けられており、播種された畝3bを覆い保温、保水、防除草するマルチフィルム31を有し前記播種機20の後方に設けられたマルチフィルム敷設機30と、マルチフィルム31の両端部を押さえる土を掛ける土掛けディスク40とを備え、施肥された肥料12の直上部の耕土壌面3に播種し、且つマルチフィルム31の前記播種孔32が播種位置の上になるように同期をとる制御手段50とを備えている。
【0021】図2に示す前記間欠定量施肥機10は、粉粒肥料12を収納すると共に、下端部分に粉粒肥料12の落下口16が開口されたホッパー11と、複数の攪拌翼14を有し前記ホッパー11内に設けられ回転によって粉粒肥料12を流動化して落下口16に導く攪拌部材13と、前記攪拌部材13を間欠的に回転させる回転手段18とを備えている。
【0022】粉粒肥料12を収納する前記ポッパー11は、四角錘を逆さにした下部が絞られた形態で、粉粒肥料12がその重量で落下し、落下口16に集められる。このポッパー11は、下部が絞られた形態であれば四角錘に限らず、多角錐、円錐などのいずれでも良い。
【0023】前記落下口16は、施肥パイプ17と連通されており、定量の粉粒肥料12を落下させるための大きさに開口されている。図2に示す実施の形態では開口量を調整するため、開閉板16aと、開閉板16aをスライドさせる開閉ネジ16bが、開口調節板16cによりホッパー11に取付けられている。開閉ネジ16bを締めることにより落下口16の開口量を少なくし、開閉ネジ16bを緩めることにより開口量を大きくして粉粒肥料12の落下量を調節することができる。
【0024】通常畑作物は、ひとつの畝に数条の播種を行って生産される。このため、ひとつのホッパー11に対して落下口16を複数設け、それぞれに連通された施肥パイプ17により数条の播種位置に施肥する。
【0025】前記攪拌部材13は、ポッパー11内に回転可能に取付けられ回転軸15と、回転軸15に複数枚取付けられた攪拌翼14から構成されている。攪拌翼14は、粉粒肥料12の粉体の粘度、摩擦抵抗に応じ、粉体流動化に適した翼の形態を選ぶことができる。また、図1,2に示す実施の形態では、4枚の翼としているが、一枚でも良い。
【0026】前記作物1本1本に対応して施肥する攪拌部材13は、前記回転手段18を構成するモーター18aと駆動ベルト18で回転軸15が回転可能に連結されており、回転手段18が制御手段50の電気信号により間欠的に回転停止することにより攪拌部材13が回転停止し、粉粒肥料12を間欠的に流動化して一定量を落下口16に導く働きを行う。
【0027】図1に示す播種機20は、種子25を収納する種子ホッパー22と、種子ホッパー22の下部に開口して播種パイプと連通して設けられた種子落下口26と、種子落下口25を閉じるように設けられたシャツター24と、シャツター24を開閉させるソレノイド23とを備えている。ソレノイド23は、制御手段50の電気信号によりシャツター24を開き一定量の種子25を播種する働きを行う。
【0028】図1に示すマルチフィルム敷設機30は、基台1に架設されたロール支持棒33と、ロール支持棒33の上端に設けられた巻き付けローラー34と、巻き付けローラー34に繰り出し自在に架装されたマルチフィルムロール35と、基台1の下部に畝3bとの摩擦により回転するように設けられ、繰り出されたマルチフィルム31を畝3bに敷設しながら鎮圧する鎮圧ロール37と、鎮圧ロール37に向かう繰り出されたマルチフィルム31に対面して接触するようにロール支持棒33に取付けられたマイクロスイッチ36とを備えている。
【0029】前記マイクロスイッチ36は、鎮圧ロール37に向かう繰り出されたマルチフィルム31に対面して、マルチフィルム31に開けられている播種孔32が上部にきたときON信号を、通過するとOFF信号を制御手段50に伝える配線L1が接続されている。
【0030】次に、複合農作業装置100を用いた複合作業について説明する。トラクターまたはティラーなどで牽引された複合農作業装置100は、畝成形された畝3b面を図1に示す矢印Nの方向に進む。架装されたマルチフィルム31には作物に適した大きさの播種孔32が10〜30センチ間隔で進行方向に直線的にあらかじめ開けられている。
【0031】このマルチフィルム31は、巻き付けローラー34から繰り出され、鎮圧ロール37の下を通り畝3b面に密着し、土掛ディスク40でマルチフィルム31の両端に土が掛けられて固定される。
【0032】マルチフィルム31が巻き付けローラー34から繰り出され、マルチフィルム31に開けられている播種孔32が、マルチフィルム31が畝面に接する点より展開寸法Aの位置にきたとき、マイクロスイッチ36が作動しON信号を配線L1を通じて制御手段50に伝える。
【0033】マイクロスイッチ36からのON信号を受けた制御手段50は、配線L2を通じて電流を流し、回転手段18をあらかじめ設定された時間回転させて間欠定量施肥機10の攪拌部材13を動作させ粉粒肥料12を流動化し一定量を落下口16から施肥パイプ17を通じて耕土壌内3a内に施肥する。同時に配線L3を通じて電流を流し、播種機20のソレノイド23を作動させ、シャッター24を開き種子25を種子パイプ21を通じて耕土壌面3に播種させる。
【0034】この時、マルチフィルム31に10〜30センチ間隔で開けられた播種孔32の真下に施肥、播種されるように同期が取られる。このため、播種孔32を感知するマイクロスイッチ36と、感知された播種孔32が畝3bと接するまでの展開寸法Aと、播種機20の播種パイプ21までの寸法A、または、間欠定量施肥機10の施肥パイプ17までの寸法が展開寸法Aと等しいか、またはその倍数の寸法になるように搭載されている。
【0035】人参の播種について、事例を述べると、株間10センチに播種する場合、時速1キロメートルで作業を行う場合、複合農作業機100の秒速は0.27mで進行する。施肥播種の間隔は10センチであるから、0.37秒に一回施肥と播種を間欠的に繰り返すこととなる。このため、間欠定量施肥機10は0.3秒以下の運転停止で所定量の肥料を落下口16から供給することが求められる。
【0036】本発明の間欠定量施肥機10は、粉粒肥料12を強制的に流動化する攪拌部材13により、前述のような短時間内に間欠的に定量の肥料を施肥することが実験で確かめられている。
【0037】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、播種機構と、施肥機構と、マルチング機構を組み合わせ、これらの同時作業が行えるので作業時間および労力の大幅な省力化が達成できると共に、それぞれの専用機を用意する必要がないので設備費用が経済的である。
【0038】また、施肥パイプが、播種パイプの前方に配置され、且つ播種パイプの先端より深い耕土壌内に挿し込まれており、且つ同期をとる制御手段とを備えていることにより、一定の間隔で定量の肥料が施肥パイプ先端から散布されると共に、施肥された肥料の直上部の耕土壌面に播種され、マルチフィルムの播種孔が播種位置の上になるようにマルチフィルムを敷設することができる。
【0039】請求項2の発明によれば、回転によって粉粒肥料を流動化して落下口に導く攪拌部材と、前記攪拌部材を間欠的に回転させる回転手段とを備えていることから、制御手段からの信号により一定の間隔で正確に微量の肥料を施肥パイプ先端から散布することができる。このため作物が必要とし、吸収できる微量の肥料を、作物の根の吸収範囲内の種子の真下に固まりで施肥することができ、残留肥料による環境汚染を防止できると共に、肥料の消費量を半減させることができる。
【0040】また、リン酸成分など土壌と混合させると土壌内の金属質と化合し固定化され作物が吸収できない無効な肥料も、固まりで施肥することにより土との接触面が少なく作物の根の成長に伴い吸収される形態で有効に作用させることができる。
【出願人】 【識別番号】596000523
【氏名又は名称】総和工業株式会社
【出願日】 平成11年9月2日(1999.9.2)
【代理人】 【識別番号】100093399
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬谷 徹 (外1名)
【公開番号】 特開2001−69814(P2001−69814A)
【公開日】 平成13年3月21日(2001.3.21)
【出願番号】 特願平11−248962