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【発明の名称】 苗植機の苗植深さ制御装置
【発明者】 【氏名】長井 博

【氏名】塩崎 孝秀

【氏名】和泉 満孝

【要約】 【課題】苗植付土壌面が硬軟に変化するときの、苗植姿勢の安定化を図る。

【解決手段】土壌硬度センサ1によって軟い土壌面を検出することによって、土壌面を滑走しながら苗植装置を支持するフロート3の苗植支架位置を、深植側へ移動制御する苗植機の苗植深さ制御装置の構成。
【特許請求の範囲】
【請求項1】土壌硬度センサ1によって軟い土壌面を検出することによって、土壌面を滑走しながら苗植装置2を支持するフロート3の苗植支架位置を、深植側へ移動制御する苗植機の苗植深さ制御装置。
【請求項2】土壌硬度センサ1によって硬い土壌面を検出することによって、フロート3の苗植支架位置を浅植側へ移動する移動制御は、苗植装置2の車体4に対する上昇制御時に行わせることを特徴とする苗植機の苗植深さ制御装置。
【請求項3】苗植機の走行速度が高くなることによって、前記フロート3の苗植支架位置を深植側へ移動すると共に、このフロート3の迎角揺動を規制制御することを特徴とする苗植機の苗植深さ制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、苗植機の苗植深さを自動制御する苗植深さ制御装置に関する。乗用形態のトラクタ車体の後部に苗植装置を昇降制御可能に設ける乗用苗植機や、車体の左右両側に車輪を昇降制御可能に設ける走行形態の苗植機等に利用できる。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】苗植機は、水田土壌中の耕盤近くに車輪を支持させて駆動走行し、土壌面にフロートを滑走させながら均平して、この均平面に苗植装置による苗植を行わせる。走行土壌耕盤の深さは常に変化しているから、この変化に応じて車体に対する苗植装置を昇降制御したり、車輪の昇降制御等によって、苗植装置による苗植深さを一定に維持するように構成している。
【0003】しかしながら、このような場合でも土壌面の硬度が変化するときは、苗植姿勢を正確に維持できないことがある。とくに土壌面の硬度が軟い所では、所定の植付深さになっていても、土壌面による植付姿勢が十分に支持されず、傾斜し易く、甚だしきは浮苗を生じることとなる。
【0004】
【課題を解決するための手段】この請求項1の発明は、土壌硬度センサ1によって軟い土壌面を検出することによって、土壌面を滑走しながら苗植装置2を支持するフロート3の苗植支架位置を、深植側へ移動制御する苗植機の苗植深さ制御装置の構成とする。又、請求項2の発明は、前記土壌硬度センサ1によって硬い土壌面を検出することによって、フロート3の苗植支架位置を浅植側へ移動する移動制御は、苗植装置2の車体4に対する上昇制御時に行わせるように構成する。
【0005】又、請求項3の発明は、苗植機の走行速度が高くなることによって、前記フロート3の苗植支架位置を深植側へ移動すると共に、このフロート3の迎角揺動を規制制御する構成とする。
【0006】
【発明の効果】前記請求項1記載の発明は、苗植機の走行において、苗植装置2は、フロート3の土壌面に対する接地滑走によって一定の高さに支持されて、このフロート3で均平される土壌面に苗植付けを行う。このとき土壌面は土壌硬度センサ1によって硬度検出が行われていて、基準の硬度域よりも軟い土壌面を検出したときは、フロート3による苗植装置2の苗植支架位置を深植側へ移動制御して、基準の植付よりも深く植付ける。
【0007】又、土壌硬度センサ1の検出が基準の硬度域になれば、前記苗植支架位置も基準の植付深さに戻される。このため、土壌面が軟い所では深く植付けられて、安定した苗植を行うことができ、浮苗や倒伏苗等を少くすることができる。又、前記請求項2記載の発明は、前記硬度センサ1が基準域の土壌面よりも硬い土壌を検出するときは、前記フロート3による苗植支架位置を浅植側へ移動制御するが、この浅植側への移動制御は、苗植装置2が車体4に対して上昇制御される時に同期して行われ、下降制御される時には行われない。
【0008】このため、フロート3による苗植支架位置を浅植側への移動制御が、抵抗力少く円滑に行われ、制御負荷の軽減を図ることができる。又、前記請求項3記載の発明は、苗植機の走行速度が基準速度域よりも高速度になると、前記フロート3の苗植支架位置を深植側へ移動して、これと同時にこのフロート3の大きい迎角揺動を行わせないように規制制御する。
【0009】このように高速走行で深植側に制御されると、フロート3による泥押作用が大きくなり、フロート3の前側が押上げられて迎角が大きくなろうとしても、このフロートの大きくなろうとする迎角揺動が規制されて、フロート3による安定した整地性を維持できる。
【0010】
【発明の実施の形態】乗用苗植機を図面に例示する。車体4の前部には、ステアリングハンドル5で操向しうる左右の前車輪6を配置し、後部には左右の後車輪7を配置して、これら前、後車輪6,7を操縦席8下に搭載のエンジン9からの伝動によって駆動走行しうる。10は車体4の前部に搭載される補助苗載棚、11は後部に搭載の施肥装置である。
【0011】前記車体4の後部には、上下一対の平行リンク機構からなるリフトリンク12が、リフトシリンダ13の油圧力による伸縮で昇降可能に設けられて、このリフトシリンダ13後端のヒッチリンク14に対して、苗植装置2がローリング軸15回りにローリング自在にして取付連結される。又、この苗植装置2は、車体4の動力取出軸16から連動されるように連結されている。
【0012】前記苗植装置2は、苗植フレーム17の下側にフロート3が配置される。このフロート3は、中央部のセンタフロート18とこの左右のサイドフロート28とからなる。さらには、上側にマット苗を収容して繰出す苗タンク19と、この苗タンク19から繰出される苗を分離して該各フロート3で均平される均平土壌面に挿苗する苗植爪20と等が構成される。
【0013】前記苗植装置2は、センタフロート18及び左右一対のサイドフロート28の各フロート毎に各々2条植を行う多条植形態としている。苗植フレーム17は後部に苗植爪20を配置するが、各センタフロート18とサイドフロート28とを装着する部分の間の間隔部を、伝動ケース21部で連結している。22は前記苗フレーム17の前上部に一体の苗タンク支持フレームである。左右方向へ往復移動する苗タンク19を支持案内する。
【0014】前記センタフロート18及びサイドフロート28は、中央部及び左右両側部の苗植フレーム17の下側に位置して、横方向のアーム軸23の回りに上下回動されるフロートアーム24の後端にフロート軸25で枢支される。該アーム軸23は、左右の苗植フレーム17部に亘って支持されて、フロートアーム24を後方に向けて突出させて、後端のフロート軸25は苗植爪20による苗植位置上に対向させている。
【0015】前記センタフロート18は、サイドフロート28よりも前側に長く形成されていて、このセンタフロート18がフロート軸25の回りに上下動することによって、このセンタフロート18の前端上部と苗植フレーム17との間に設けられるフロートセンサ43で、この上下揺動量を検出させて、前記リフトシリンダ13の油圧切替制御弁を連動し、苗植装置2を昇降制御する。植付深さ設定ダイヤル49による設定基準のもとに、耕盤の深い土壌では苗植装置2を上昇させ、又耕盤の浅い土壌では下降させて、苗植装置2による苗植深さを設定の一定深さに維持制御する。
【0016】前記アーム軸23には、レバー26が設けられて、このレバー26をレバーガイド27に沿って回動させて係止することにより、前記各フロートアーム24の上下回動位置を手動で調節できる。このフロートアーム24の回動によってフロート軸25が上下に調節されて、各フロート3の苗植フレーム17に対する支持位置を変更できる。フロート軸25が上側へ移動調節されると苗植装置2の支持位置が低くなるため、この苗植装置2による苗植は深植となり、逆にフロート軸25が下側へ移動調節されると浅植となる。
【0017】前記苗植深さ制御装置は、前記フロートアーム24を回動する制御モータ29と、このフロートアーム24によって上下動されるフロート3と、該制御モータ29を作動する土壌硬度センサ1と等によって構成される。制御モータ29は、前記レバーガイド27をレバー26と共に移動させて、各フロート3のフロート軸25を上下移動させる(図5参考)。
【0018】前記レバーガイド27は、苗植フレーム17と一体の苗タンク支持フレーム22の一部のレバーガイド軸30の回りに回動自在に支持され、このレバーガイド27と一体のラック31がギヤドモータからなる制御モータ29のピニオン32と噛合される。制御モータ29によってピニオン32と噛合のラック31が駆動されて、レバーガイド27が前記レバー26を係合した状態のままで回動される。このレバーガイド27の回動で前記フロートアーム24が回動される。
【0019】前記土壌硬度センサ1は、土壌中にアクチュエータ45を一定深さに差込んで、土壌硬度を検出するもので、このアクチュエータ45の上下動でポテンショメータ46等を作動させて、土壌硬度を検出させて、コントローラ42を経て前記制御モータ29を出力する。この土壌硬度センサ1は、アーム軸23に対して取付けられて、フロートアーム24と一体として上下動して、苗植深さの調節に拘らず、土壌中への作用深さを一定に維持する構成としている。
【0020】44はアーム軸23から突出される取付アームで、この取付アーム44に対してアクチュエータ45を軸47支して、このアクチュエータ45のばね48に抗する上下回動量をポテンショメータ46で検出するように取付けられる。前記制御モータ29によってフロートアーム24が回動されて、フロート3がフロート軸25の上下動によって移動制御されるが、この調節制御に伴って、サイドフロート28の上動位置を係止するストッパー33を有したストッパプレート34を連動して、サイドフロート28の迎角揺動を規制するものである。
【0021】前記ストッパプレート34の連動は、前記制御モータ29によって作動されるレバーガイド27から、苗タンク支持フレーム22に軸35支されるアーム36、リンクロッド37、及びリンクロッド38を介して連動される。39はリンクロット37と38との連結部を支持するガイドアームで、苗植フレーム17部に軸40支される。41はばねで、ストッパプレート34を上げ側へ弾発している。
【0022】前記制御モータ29で、レバーガイド27が上動Aされると、フロートアーム24によるフロート3のフロート軸25は下動Bされて、浅植状態となるが、このとき、レバーガイド27によって支軸35及びアーム36が回動されて、リンクロッド37,38等を介してストッパプレート34のストッパー33部が上側Cへ回動されるように連動される。このため、浅植側の調節制御では、ストッパー33が上方へ逃げるようになってサイドフロート28の上昇揺動を制限し難い状態となる。
【0023】しかしながら、逆にレバーガイド27が反矢印A方向の深植側へ作動されるときは、フロートアーム24は上動されて、各フロート3の支軸25部が反矢印B方向の上側へ調節され苗植装置2の植付は深植側となる。このときは、アーム36やリンクロッド37,38等を介して連動されるストッパー33は、ばね24に抗して下動されてサイドフロート28側へ接近するようになり、サイドフロート28の迎角が大きく上揺動されるのを防止する。
【0024】このように、苗植の深植側への調節制御では、ストッパー33を連動して、サイドフロート28の迎角が大きくなるのを防止するが、同時にセンターフロート18の迎角が大きくなるのを防止するように構成するもよい。しかしながら図例で、センタフロート18の迎角揺動は規制していないのは、このセンタフロート18が、前記苗植装置2の車体4に対する昇降制御のためのセンサフロートとしての機能を有しており、特別にばね等で迎角揺動が制限される構成となっているため、前記ストッパー33による規制を不要としたものである。
【0025】前記車体4前部のステアリングポスト50内には、車体4の前後方向の傾斜角を検出する前後傾斜センサ51と、この傾斜速度を検出する前後傾斜角速度センサ52とを設けている。又、前記リフトリンク12と苗植装置2を連結するヒッチリンク14との間には、ピッチングシリンダ53を設けて、このピッチングシリンダを油圧回路やギヤドモータ等の制御で伸縮することによって、リフトリンク12に対する苗植装置2の連結ピッチング角度を補正制御できる。
【0026】前記センタフロート18の上下迎角の変化によってリフトシリンダ13を伸縮して苗植装置2を昇降して、植付深さを一定に維持制御する苗植昇降制御において、車体4のピッチングを前後傾斜センサ51で検出して、ピッチングシリンダ53を伸縮して苗植装置2の迎角がほぼ一定の姿勢を維持するようにピッチング補正を行う。
【0027】このとき、前記前後傾斜センサ51の他に前後傾斜角速度センサ52が設けられているため、走行開始時や係止時等で前後傾斜センサ51が傾斜を検出しても、前後傾斜角速度センサ52が変化を検出しないときは、前後傾斜センサ51が走行速度変化の影響を受けていると判断してピッチング補正を行わせないようにすることで、ピッチングの誤検出を防止できる(図6)。前記前後傾斜センサ51が液面式センサ形態の場合は、ピッチング時の揺動の影響を受け易いため、一層有効である。
【出願人】 【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
【出願日】 平成11年7月28日(1999.7.28)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−37307(P2001−37307A)
【公開日】 平成13年2月13日(2001.2.13)
【出願番号】 特願平11−213682