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【発明の名称】 移動農機における車高調整装置
【発明者】 【氏名】三木 芳郎

【要約】 【課題】簡単な操作で移動農機の車高を変更調整すると共に、その車高を安定して維持する車高調整装置を提供する。

【解決手段】車高変更油圧シリンダ29の一端に上下動するように案内したスライド板25を連結し、このスライド板25にゆるく係合する調節子28をナットブロック24に固定し、ネジ杆21をナットブロック24に挿通してナットブロック24をネジ杆21に沿って移動可能に設け、ネジ杆21によりナットブロック24の位置を移動してスライド板25の下死点を規定したことを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】前輪の車軸を支持する前輪支持杆と後輪の車軸を支持する後輪支持杆をリンクで連結し、これら前輪支持杆または後輪支持杆のいずれか一方に連結した車高変更油圧シリンダにより前輪支持杆と後輪支持杆を互いに逆方向に旋回して、前輪と後輪を接近または離間することにより機体を上昇または下降する移動農機において、前記車高変更油圧シリンダの一端に上下動するように案内したスライド板を連結し、このスライド板にゆるく係合する調節子をナットブロックに固定し、ナットブロックにはネジ杆を挿通してナットブロックをネジ杆に沿って移動可能に設け、しかしてネジ杆によりナットブロックの位置を上下に移動してスライド板の下死点を規定することを特徴とする車高調整装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、移動農機における車高調整装置に関する。
【0002】
【従来の技術】野菜や甘藷(さつまいも)等の苗の移植機では、地表面からの機体の高さ即ち車高を調節して苗の植付け深さを均一にする。また土壌消毒機でも地中に打ち込む薬液注入杆の深さを車高を変更して調節する。このような一般の移動農機では、機体に回転自在に取付けた前輪支持杆と後輪支持杆を油圧シリンダにより移動して前輪と後輪の間隔を変えることにより車高を変更する。前輪と後輪が接近して間隔が狭くなると車高は高くなる。ところが油圧シリンダは、微調整が困難で車高を精密に調整しにくいし、また停止状態で長時間経過すると油洩れを起し、車高が次第に低下する等の問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、このような油圧シリンダの欠点を改良して、簡単な操作で移動農機の車高を正確に調整すると共に、その車高を安定して維持する車高調整装置を提供する。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明では、車高変更油圧シリンダの一端に上下動するように案内したスライド板を連結し、このスライド板にゆるく係合する調節子をナットブロックに固定し、ネジ杆をナットブロックに挿通してナットブロックをネジ杆に沿って移動可能に設ける。そしてネジ杆によりナットブロックの位置を移動してスライド板の下死点を規定しる。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明の実施形態を苗移植機を例に添付図面を参照して説明する。図1は本発明の移植機の要部詳細側面図、図2はその平面図、図3は本発明の移植機の車高を上げた状態を示す側面図である。移植機1は、前方左右の前輪2と後方左右の後輪3により機体4を支持する。機体4の前部には、油圧装置35、燃料タンク34を設け、機体4のほぼ中央にエンジン5とミッション6を設ける。機体4の後部中央に植込機構7を設ける。移植機1の走行は、エンジン5の出力をミッション6とチェーンケース13に内蔵する動力伝達機構(図示せず)を介して後輪3に伝達して行う。機体4の下面に進行方向と平行に所定の間隔をあけて左右一対の揺動軸支片8を取付け、左右一対の揺動軸支片8に揺動軸9を回転自在に挿通して、揺動軸9を進行方向と直角に配置する。揺動軸9の両端に一対の前輪支持杆10を平行に取付け、前輪支持杆10の先端を前方斜め下方に突出し、その先端にそれぞれ前輪2を回転自在に軸支する。さらに揺動軸9には前輪支持杆10と所定角度ずらして一対の連結アーム11を平行に取付け固定する。
【0006】機体4の後方下部にエンジン5,ミッション6を介して駆動軸12を設け、駆動軸12を進行方向と直角に回転自在に取付ける。駆動軸12の両端に同心筒状にスイングアーム14を被せ、駆動軸12との間に軸受(図示せず)を介して軸心を揃えて回転自在に保持する。スイングアーム14の他端に後輪支持杆を兼ねるチェーンケース13を一体に取付け、チェーンケース13内に駆動軸12を突出して、その先端に駆動側スプロケット(図示せず)を一体に取付け、駆動側スプロケットから駆動チェーン(図示せず)を介して車輪側スプロケツト(図示せず)に連結して、この連結部分をチェーンケース13内に収容し、車輪側スプロケツトに連結した後輪8に連結する。駆動軸10の回転により、駆動側スプロケット、駆動チェーン、車輪側スプロケツトを介して後輪3を回転し、エンジン5の動力を後輪3に伝える。
【0007】図4は本発明の車高調節機構の詳細を示す斜視図、図5は車高調節機構の動作説明図である。駆動軸10を覆ったスイングアーム14の外周に、チェーンケース13と反対側にそれぞれ一定角度をなして突出する駆動輪リンク15と、ガイド輪リンク16を熔接により一体に形成する。ガイド輪リンク16の先端から連結棒17を介して、揺動軸9に固定した連結アーム11に連結する。揺動軸9には、図1示すように、その両端に前輪支持杆10を一体に取付け、前輪支持杆10の先端には前輪2を回転自在に支持する。車高調節機構は、機体4上に一端を固定して所定角度に後方に傾斜して案内板18を設ける。案内板18は、中央に引掛け片27を摺動自在に挿通する長方形の孔を設けた板材の両側を内側に断面コ字状に折り曲げて、断面コ字状の間にスライド支持部19を形成し、その上端に蓋体20を設けて封止し、蓋体20の中央にネジ杆21を支持する軸受22を設け、上方から軸受22を通して案内板18内にネジ杆21を挿入する。蓋体20から外に突出したネジ杆21の上部に調節ハンドル23を取付ける。
【0008】スライド板25は、案内板18の上部開放に合わせて断面コ字状で、その両側にスライド支持部19に嵌入するスライド片25aを形成し、上面には長手方向に所定長さのスリット26を形成する。蓋体20に近いスライド板25の内側から下方に向け引掛け片27を固定し、その先端を案内板18の長方形の孔を通して下方に突出する。スライド板25のスリット26の下方に、釣合いアーム31を円弧状のスリット31aを介して旋回自在に取付ける。釣合いアーム31には、中央に円弧状のスリット31aを、その両端の対称位置に連結孔31bを設ける。案内板18内にナットブロック24を配置し、ナットブロック24の上面をスライド板25により覆い、スライド板25を案内板18に挿入して摺動自在に保持する。スライド板25のスリット26を通して、調節子28をナットブロック24に固定し、スリット26の範囲内でスライド板25とナットブロック24を摺動自在に保持する。ナットブロック24をネジ杆21の先端に螺合し、ネジ杆21の回転によりナットブロック24に追従して、スライド板25をスライド支持部19に沿って摺動する。案内板18の下方に、案内板18と平行して車高変更油圧シリンダ29を配置し、その一端を機体4に旋回自在に取付け、その可動ロッド30の先端をスライド板25の引掛け片27に連結する。釣合いアーム31の連結孔31bに連結ロッド32の一端を接続し、連結ロッド32の他端をスイングアーム14の駆動輪リンク15に連結する。図4および図5では、釣合いアーム31の一方の連結孔31bに連なる構成について図示しており、釣合いアーム31の他の連結孔31bには対称に同等の構成を配備する。
【0009】以上の構成により、移植機1の車高を上げる場合に、油圧装置35により車高変更油圧シリンダ29を駆動して可動ロッド30を押し出し、スライド板25の引掛け片27を上方に押し上げる。この時、スライド板25はナットブロック24と離れてスリット26に沿って上方に移動し、スライド板25に取付けた釣合いアーム31を引き上げ、釣合いアーム31によりスイングアーム14の駆動輪リンク15を引き上げて、スイングアーム14を駆動軸12の回りに回転する。スイングアーム14の回転により、チェーンケース13を前方に回転し、先端に設けた駆動輪12を前方に引き寄せる。同時にガイド輪リンク16を回転して、連結棒17を介して連結アーム11を揺動軸9の回りに逆方向に回転し、前輪支持杆10に取り付けた前輪2を後方に引き寄せる。この状態で前輪2と後輪3の間隔が狭まり、機体4は上方に押し上げられ、移植機1の車高を高い位置に保つ。図1および図3に示すように、前輪2と後輪3の間隔を狭める(AからBへ)ことにより、移植機1の前方に搭載した燃料タンク34、エンジン5、油圧装置35等の重量物は後輪3側に引き寄せられ、運転ハンドル33を押し下げると、機体4は後輪3を支点として「てこ」により容易に上方に持ち上げられ、その状態で後輪3を支点として移動自在に保持される。このように、車高変更油圧シリンダ29を作動することにより、前輪2と後輪3の間隔を狭めて車高を高くすることができ、また油圧を下げることにより自重で容易に元の状態に戻すことができるため、移植作業中に方向転換や、畝間の移動する場合に簡単に余分な労力を要せずに対応することができる。また、車高変更油圧シリンダ29の油圧を維持すれば、移植機1の車高を高い状態を保つことができるが、長時間では車高変更油圧シリンダ29のオイル漏れ等により低い状態に戻る恐れがあり、長距離の移動等の場合、調節ハンドル23によりネジ杆21を回転して、ナットブロック24をスライド板25の位置まで引上げて固定し、車高を高くした状態を保つことが出来る。この時、既に車高変更油圧シリンダ29で支えられているため、直接ネジ杆21の回転に要する力は、ネジ杆21単独で車高を高くする場合に比して軽く、調節ハンドル23を簡単に回転できる。
【0010】
【発明の効果】本発明では、車高変更油圧シリンダによりリンク機構を介して前輪と後輪を互いに引き寄せて容易に車高を高めることができ、この状態で調節ハンドルを操作してナットブロックにより支持し、車高を高い位置で安定して保持することができる。また、車高変更油圧シリンダにより車高を高い位置に保持して、この間に調節ハンドルによりナットブロックを戻し、車高変更油圧シリンダの油圧を下げることにより、容易に移植作業に最適な車高に戻すことができる。このいずれの場合も、調節ハンドルの回転負荷を低くし、容易に操作することができる。
【出願人】 【識別番号】000113816
【氏名又は名称】マメトラ農機株式会社
【出願日】 平成11年7月12日(1999.7.12)
【代理人】 【識別番号】100077779
【弁理士】
【氏名又は名称】牧 哲郎 (外2名)
【公開番号】 特開2001−16920(P2001−16920A)
【公開日】 平成13年1月23日(2001.1.23)
【出願番号】 特願平11−198114