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【発明の名称】 甘藷挿苗機における苗供給装置
【発明者】 【氏名】三木 芳郎

【要約】 【課題】苗供給機構に苗をセットするという手間のかかる作業を二人で行えるように機械を改良した甘藷挿苗機の苗供給装置を提供することを目的とする。

【解決手段】挿苗爪12の左右に苗供給ベルト17を2台配備し、それぞれ機体4の中央方向に向けて回転して、苗供給ベルト17の一側縁に沿って多数の苗挟持片18を等間隔に取付け、これらの苗挟持片18の回転方向前方に柔軟な仕切りラグ19を起立して苗載せ部を形成し、苗挟持片18には苗供給ベルト17の回転方向に向けて開口する挟持溝20を設け、その溝奥を苗供給ベルト17より外側に位置させ、苗供給ベルト17の回転により、左右の苗供給ベルト17の苗挟持片18が交互に挿苗爪12の前方を通過するようにしてなることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】上下動する開閉自在な挿苗爪により苗供給ベルトの苗を1本づ摘み取って地中に挿し込む甘藷挿苗機において、前記挿苗爪の左右に苗供給ベルトを2台配備し、これらの苗供給ベルトをそれぞれ機体の中央方向に向けて回転し、前記2台の苗供給ベルトの前側の側縁に沿って多数の苗挟持片を等間隔に取り付け、これらの苗挟持片には、苗供給ベルトの回転方向に向けて開口する挟持溝を形成して、その溝奥を苗供給ベルトの外周より外側に位置させるとともに、苗供給ベルトの回転により、左右の苗供給ベルトの苗挟持片が交互に前記挿苗爪の前方を通過するようにしてなる苗供給装置。
【請求項2】前記2台の苗供給ベルトにベルト回転方向と直交する柔軟な仕切りラグを多数外向きに起立し、各ラグを前記苗挟持片の前方に配置して成る請求項1記載の苗供給装置。
【請求項3】前記苗挟持片の上面に苗供給ベルトの回転方向に沿ってその溝奥に連なるすり割りを形成し、前記苗供給ベルトの下降傾斜部に沿うように複数の苗押えバネを機枠に固定し、この苗押えバネにより前記苗挟持片のすり割りを通して上から押圧してなる請求項1または2に記載の苗供給装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、甘藷(さつまいも)の苗を移植する装置に関し、特にそのうちの苗供給装置に関する。
【0002】
【従来の技術】甘藷は、種藷を苗床に伏せ込んで芽を出させ、茎が30数センチ程度に伸びてから、これを切取って移植する。移植は、苗の切り取った端を下に向けて苗の株元を地中に挿すように1本づつ斜めに埋め込む。この移植作業を機械化した甘藷挿苗機の従来例を図6と図7に示す。この装置は歩行型で、畝をまたいでその頂上に沿って移動しながら、苗を1条植え付けるようになっている。この装置は植込機構7と苗供給機構8を装備している。植込機構7は、挿苗爪13により苗を掴んで下降し、地中に挿し込んだら苗を放し、また上昇して苗を掴むという作業を繰り返す。苗供給機構8はこの植込機構7に苗を1本づつ供給する仕組みになっている。36は苗供給機構8を構成する無端の苗供給ベルトで、甘藷挿苗機1の走行方向とは直交する方向に回転する。苗供給ベルト36には、その外周にV字状に口元を開いた苗受台37を一定間隔で配置し、各苗受台37のV字状の底にクリップバネの苗ホルダ(図示せず)を設ける。そして甘藷挿苗機1に積んだ苗を、作業者が手で一本ずつ分けながら、その株元を苗ホルダに挿入して苗をセットする。この苗は苗供給ベルト36の回転により下方に移動し、最下点に到達してV字状の苗受台37が下向きになった位置で、苗供給ベルトから苗を取出し、挿苗爪13により苗の株元をつまんでさらに下降して畝に移植する。作業者はこの苗をセットする作業を行うと同時に、甘藷挿苗機1を運転する。ところで、甘藷苗の茎は腰が弱くて枝葉も付いているため、束ねると互いに絡み付きやすく1本づつ分けるのに手間取り、取扱いが難しいという性質がある。苗の準備、その運搬と苗置台へ搭載等に補助の作業者を付けるとしても、有効な作業能率の改善にならず、この作業で挿苗機全体の作業速度を制約されてしまい、機械式とはいえ植付け速度が遅く能率が低いという問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような問題点を解決するもので、苗供給機構に苗をセットするという手間のかかる作業を二人で行えるように機械を改良して能率を向上することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明では、挿苗爪の左右に苗供給ベルトを2台配備し、これらの苗供給ベルトをそれぞれ機体の中央方向に向けて回転するように構成する。そして苗供給ベルトの一側縁に沿って多数の苗挟持片を等間隔に取り付ける。これらの苗挟持片には、苗供給ベルトの回転方向に向けて開口する挟持溝を形成して、その溝奥を苗供給ベルトより外側に位置させ、苗供給ベルトの回転により、左右の苗供給ベルトの苗挟持片が交互に挿苗爪の前方を通過するようにする。請求項2の発明は、請求項1の発明に加えて、苗挟持片の回転方向の前方に柔軟な仕切りラグを苗供給ベルトの回転方向とは直交して起立する。請求項3の発明は、請求項1または2の発明において、苗挟持片の上面に苗供給ベルトの回転方向に沿ってその溝奥に連なるすり割りを形成し、苗供給ベルトの下降傾斜部に沿うように複数の苗押えバネを機枠に固定し、苗押えバネにより苗挟持片のすり割りを通して上から押圧する。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明の実施形態を添付図面により説明する。図1は本発明の甘藷挿苗機の側面図、図2はその平面図である。甘藷挿苗機1は、前方左右のガイド車輪2と、後方左右の駆動車輪3により機体4を支持する。機体4の前部には、油圧パッケージ40、燃料タンク41及び灌水タンク33を設け、機体4のほぼ中央にエンジン5とミッション6を設ける。機体4の後部中央に植込機構7を設け、植込機構7の左右には2台の苗供給機構8a、8bを設ける。甘藷挿苗機1の走行は、エンジン5の出力をミッション6より駆動車輪3の駆動輪スプロケット3aに伝達して行う。植込機構7は、植込ミッション9、植込クランク10及び挿苗杆13より構成し、エンジン5の出力をミッション6から植込スプロケット9aに伝達して植込ミッション9を駆動する。植込ミッション9には、植込クランク10と、先端に挿苗爪12を備えた挿苗杆13を設ける。
【0006】図3は苗供給機構の要部斜視図、図4は同要部側面図である。苗供給機構8a、8bの前方に、苗を貯留する苗置台21を設ける。苗置台21には、横長の柔軟な樹脂シートを多数の山谷状に折りたたみ蛇腹状にまとめた苗容器22を載置し、あらかじめこの蛇腹の谷部に苗を1本づつ分けて置き、苗の株元を手前に揃えた状態で多数の苗を貯留しておく。左側の苗供給機構8aは、甘藷挿苗機1の走行方向に沿って上部に2本のガイドローラ15を平行に配設し、内側のガイドローラ15の回転方向斜め下方に駆動ローラ16aを平行に配置し、2本のガイドローラ15と駆動ローラ16aの間に、無端状の苗供給ベルト17aを張設して構成する。右側の苗供給機構8bは、左側の苗供給機構8aとは対称に構成する。すなわち甘藷苗機1の走行方向に沿って上部に2本のガイドローラ15を平行に配設し、内側のガイドローラ15の回転方向斜め下方に駆動ローラ16bを平行に配置し、2本のガイドローラ15と駆動ローラ16bの間に、無端状の苗供給ベルト17bを張設して構成する。苗供給ベルト17a、17bはそれぞれ機体4の中央に向けて回転する。各ベルトとも、2本のガイドローラ15、15の間は水平で、内側のガイドローラ15から駆動ローラ16a、16bに向けて下降し、機体4を中心に駆動ローラ16aと駆動ローラ16bの間で両者は最も近接し、この位置で挿苗杆13の挿苗爪12の正面前方に向き合うことになる。左右の苗供給ベルト17a、17bの間の下降部に沿い、一定間隔をあけて断面V字状のガイド板34を機枠に固定する。苗供給ベルト17a、17bの水平部分には、それぞれその後側に沿って、起立辺を有する苗ガイド46を設ける。駆動ローラ16a、16bのローラ軸30、31の端部にガイド円板35を取付ける。ガイド円板35は駆動ローラ16a、16bの径を上回る外径で、両方のガイド円板35の間に苗の株元が通る間隙を設ける。さらに、駆動ローラ16a、16bとガイド円板35の間に苗支えアーム44を設け、その一端を機枠に旋回自在に支持し、スプリングにより上方に付勢し、アームストッパ45により押さえ、他端を駆動ローラ16a、16bとガイド円板35の間にのぞませる。
【0007】苗供給ベルト17a、17bの外周には、それぞれの一側縁に沿って多数の苗挟持片18を等間隔に取り付け、それぞれの苗挟持片18の回転方向前方に、柔軟な仕切りラグ19を苗供給ベルト17a、17bの回転方向と直交するように起立する。さらに、苗供給ベルト17a、17bの内周に、それぞれの苗挟持片18から苗供給ベルト17a、17bを貫通して突出爪47を突出する。さらに、これら突出爪47の間に、苗供給ベルト17a、17bから突出して複数の突出爪47を等間隔に配設する。さらに、駆動ローラ16a、16bには、その外周に突出爪47と噛合する複数の凹陥溝48を形成する。また同時に、ガイドローラ15に、駆動ローラ16a、16bの突出爪47に対向する位置に段凹部(図示せず)を形成して、突出爪47との衝突を回避する。また、苗供給ベルト17a、17bは、あらかじめその苗挟持片18がそれぞれ半ピッチずれるように、駆動ローラ16a、16bに係合して、回転の際に苗挟持片18や仕切りラグ19が互いに衝突しないようにする。苗供給ベルト17a、17bの傾斜下降部分で、苗供給ベルト17a、17bの回転により、仕切りラグ19の先端はガイド板34に沿ってたわみながら摺動する。苗挟持片18には、苗供給ベルト17a、17bの回転方向に向け挟持溝20を開口し、その溝奥が苗供給ベルト17a、17bより外側になるようにする。さらに苗挟持片18の上部中央には、苗供給ベルト17a、17bの回転方向に伸びるすり割り18aを設け、このすり割り18aは挟持溝20に連通する。
【0008】ガイド板34の苗挟持片18に対向する後方に、図5に示すように、機枠に複数のピンを立設して、それぞれ苗押えバネ43の巻き径部分を挿入して保持し、苗押えバネ43の一端を機枠に固定し、他端を苗供給ベルト17a、17bの回転方向に向けて延伸して苗挟持片18のすり割り18aにのぞませ、その先端はすり割り18aを通して苗挟持片18の溝底に向けて押圧する。
【0009】以上の構成により、苗を装着する際に、苗置台21の苗容器22から苗の株元を掴み、苗の株元を苗ガイド46に突き当て、苗挟持片18の挟持溝20に挟み、苗の葉先を仕切りラグ19からはみ出さないように収容する。苗供給ベルト17aが回転し、苗を挟持した苗挟持片18が上方のガイドローラ15から駆動ローラ16aに至る傾斜下降部分にさしかかると、苗挟持片18の挟持溝20は下向きに開口した状態になり、複数の苗押えバネ43の一端が順次苗挟持片18のすり割り18aを通して苗の株元を押さえる。同時に、仕切りラグ19の先端がガイド板34を摺動して、苗供給ベルト17の回転方向と逆に折り曲ってたわみ、ガイド板34の面に沿って苗の葉先を包み込む。苗の葉先を包み込むことにより、苗の葉の垂れ下りや葉の引っかかりを避け、挿苗爪12による苗の取り落し等の事故を防止できる。苗を挟持した苗挟持片18が、駆動ローラ16a、16bの間に達すると、苗の株元は苗押えバネ43の押圧により支えられ、駆動ローラ軸30,31に取付けたガイド円板35により中央に寄せられた状態に保持する。これにより、左右の苗供給ベルト17a、17bから送られる苗は一点に集中して、苗の株元は挿苗杆13の挿苗爪12の下降軌跡に一致する。左右の苗供給ベルト17a、17bの回転中に、落下したり、ガイド円板35から脱落した苗は、その下方に設けた苗支えアーム44に支えられ、挿苗機の可動部分に巻き込まれないように除去する。ついで、同期して下降する挿苗爪12が苗の株元を掴んでさらに下降し、支えアーム44を引き下げて苗を抜き取り、さらに挿苗杆13が下降して苗を挿苗爪12から畑の畝に植え込む。半ピッチ遅れて苗供給ベルト17bが回転し、苗の株元をガイド円板35により中央に寄せ、その位置で同様に下降する挿苗爪12が苗の株元を挟み、さらに下降して、支えアーム44を引き下げて苗を抜き取り、挿苗杆13の下降により挿苗爪12から畝に植え込む。2名の作業者により左右の苗供給ベルト17a、17bに苗を供給する場合、運転速度を調整して挿苗杆13が1回転(360度)する間に、減速機構により左右の苗供給ベルト17a、17bはそれぞれ1/4回転(90度)して苗を挿苗杆13に供給して、同期して挿苗することができる。作業者が1名で作業を行う場合、左右いずれか一方の苗供給ベルトのみを駆動して、運転速度を調整して挿苗杆13が1回転(360度)する間に、減速機構によりいずれか一方の苗供給ベルトを1/2回転(180度)して、同様に苗を挿苗杆13に供給して、同期して挿苗することができる。
【0010】
【発明の効果】本発明の甘藷挿苗機の基本は、1台の挿苗爪に対し2台の苗供給ベルトを有する構成にある。苗供給ベルトが2台あるため、手間のかかる苗のセット作業を運転者と専任の作業者の2人で共同して行うことができ、その結果、能率が一挙に2倍になる一方、挿苗爪は1台なので機械の横幅が一畝をまたぐだけの大きさで足り、従来と比べても嵩張るようなことがなく、歩行型で充分構成できるという効果がある。また苗供給ベルトの一側縁に沿って多数の苗挟持片を等間隔に取り付け、苗挟持片に形成した挟持溝の溝奥を苗供給ベルトより外側に位置させるので、苗をこの溝奥に保持することにより、左の苗供給ベルトの苗も、右の苗供給ベルトの苗も、両ベルトが最も近くに寄った場所の共通ポイントに送ることができる。しかも挟持溝は苗供給ベルトの回転方向に向けて開口するので、挿苗爪が苗を掴んで前記の共通ポイントを下降するだけで、円滑に苗を挟持溝より抜き取ることができる。従って本発明によれば、左右の2台の苗供給ベルトより中央の1台の挿苗爪に苗を支障なく供給できるという効果を奏する。また、苗供給ベルトの苗挟持片の回転方向前方に、柔軟な仕切りラグを回転方向と直角に起立することにより、苗の葉先を仕切りラグにより支えて、苗の落下や葉の垂下りやはみだしを抑えて確実に挿苗できるという効果も奏する。さらに、苗挟持片の上面に苗供給ベルトの回転方向に沿って溝底に連通するすり割りを設け、このすり割りに対向して、機枠に苗供給ベルトの回転方向に沿って一端を固定した複数の苗押えバネを配列し、すり割りを通して苗押えバネにより苗挟持片の溝底を押圧することにより、苗供給ベルトの進行中に苗の落下やズレを抑えて、挿苗爪が苗を掴む共通ポイントに確実に送り、連続して挿苗作業を行うことができるという効果を奏する。
【出願人】 【識別番号】000113816
【氏名又は名称】マメトラ農機株式会社
【出願日】 平成11年7月12日(1999.7.12)
【代理人】 【識別番号】100077779
【弁理士】
【氏名又は名称】牧 哲郎 (外2名)
【公開番号】 特開2001−16919(P2001−16919A)
【公開日】 平成13年1月23日(2001.1.23)
【出願番号】 特願平11−198115