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【発明の名称】 畦塗り機
【発明者】 【氏名】安倉 敏行

【氏名】小虎 修一

【要約】 【課題】主フレームと前処理体及び整畦体に動力を伝達するチェンケースとを一体構造として小型・軽量化を図り、また、前処理体及び整畦体の前後作業姿勢及びオフセット調節を可能にする。

【解決手段】畦塗り機1の主フレームと前処理体6及び整畦体7に動力伝達するチェンケース5とを一体にしチェンケースに前処理体への出力軸19と整畦体への入力軸20とを一体に設け、整畦体の多面体ドラム23の先端部がチェンケースの前側部に来るように配設し、ドラム23の基部に畦の頂部を形成する水平円筒部24を一体的に形成し、延長部24aを取付け可能とし、走行機体側ヒッチ11と畦塗り機側ヒッチ10との連結を連結ピン12にて行い、ヒッチ10と畦塗りとを長さ調節可能な連結体27にて接続して、作業姿勢を変えられるようにし、チェンケースの上部に設けた回転軸5aを中心に畦塗り機を回動させることにより作業位置と移動位置とを選択可能とした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 走行機体の後部に着脱可能に連結され、該走行機体から動力を受け、元畦の一部及び圃場を耕耘して元畦側に畦状に盛り上げる前処理体、及びこの前処理体により耕耘された土壌を回転しながら畦に成形する多面体ドラムからなる整畦体を備えた畦塗り機において、畦塗り機の主フレームと前処理体及び整畦体に動力を伝達するチェンケースとを一体構造とし、該チェンケースの下部に、前方に向け前処理体に動力伝達するための出力軸を設けると共に、後方に向け整畦体を駆動するための減速機を設けたことを特徴とする畦塗り機。
【請求項2】 チェンケースに、前処理体へ動力伝達する出力軸と整畦体を駆動する減速機への入力軸とを一体構造にしたことを特徴とする請求項1記載の畦塗り機。
【請求項3】 整畦体の多面体ドラムの先端部がチェンケースの前側部に来るように配設したことを特徴とする請求項1又は2記載の畦塗り機。
【請求項4】 整畦体の多面体ドラムの形状を、多面体ドラム部の基部に畦の頂部を形成する水平円筒部を一体的に形成し、この水平円筒部に延長部を取付け可能としたことを特徴とする請求項1、2又は3記載の畦塗り機。
【請求項5】 走行機体と畦塗り機を連結する走行機体側ヒッチと畦塗り機側ヒッチとの連結を連結ピンにて行い、走行機体側ヒッチと畦塗り機とを長さ調節可能な連結体にて接続して、該連結体の長さを調節することにより畦塗り機の作業姿勢を変えられるようにしたことを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の畦塗り機。
【請求項6】 チェンケースの上部に設けた回転軸を中心に、畦塗り機を回動させることにより畦塗り機の作業位置と移動位置とを選択可能としたことを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の畦塗り機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主フレームと前処理体及び整畦体に動力を伝達するチェンケースとを一体構造として小型・軽量化を図り、また、前処理体及び整畦体の前後作業姿勢及びオフセット調節を可能にした畦塗り機に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、走行機体の後部に着脱可能に連結され、該走行機体から動力を受け、元畦の一部及び圃場を耕耘して元畦側に畦状に盛り上げる前処理体、及びこの前処理体により耕耘された土壌を回転しながら畦に成形する多面体ドラムからなる整畦体を備えた畦塗り機が周知である。そして、走行機体に着脱可能で走行機体からの動力を受ける入力部を有する連結フレームと、この連結フレームにほぼ一体的に装着され、前処理体及び整畦体を支持する作業部支持フレームとを備え、走行機体から入力部に受けた動力を、作業部支持フレームとは別に設けた伝動機構を介して前処理体及び整畦体に伝達するようにしている。また、前処理体及び整畦体を作業位置と走行位置とに左右移動可能に構成したものもある。さらに、作業部支持フレームと動力を前処理体及び整畦体に伝達する伝動ケースを兼ねさせて軽量化を図るようにしたものもある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、作業部支持フレームとは別に設けた伝動機構を介して前処理体及び整畦体に動力伝達するようにしていると、構造が複雑となり、しかも重量が重くなり、軽量化にも限界があるという問題点があった。また、前処理体及び整畦体を作業位置と走行位置とに左右移動(オフセット)させる場合には、伝動機構の構造が複雑となり、重量も重くなるという問題点があった。さらに、整畦体の多面体ドラムは土壌に対して回転しながら多角面で順次接して(叩いて)畦を成形するので、機体振動が大きくなり、直進性が悪くなる、という問題点もあった。本発明は、これらの問題点を解決することを目的になされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために本発明は、以下の構成を特徴としている。
A.走行機体の後部に着脱可能に連結され、該走行機体から動力を受け、元畦の一部及び圃場を耕耘して元畦側に畦状に盛り上げる前処理体、及びこの前処理体により耕耘された土壌を回転しながら畦に成形する多面体ドラムからなる整畦体を備えた畦塗り機において、畦塗り機の主フレームと前処理体及び整畦体に動力を伝達するチェンケースとを一体構造とし、該チェンケースの下部に、前方に向け前処理体に動力伝達するための出力軸を設けると共に、後方に向け整畦体を駆動するための減速機を設けた。
【0005】B.チェンケースに、前処理体へ動力伝達する出力軸と整畦体を駆動する減速機への入力軸とを一体構造にした。
C.整畦体の多面体ドラムの先端部がチェンケースの前側部に来るように配設した。
D.整畦体の多面体ドラムの形状を、多面体ドラム部の基部に畦の頂部を形成する水平円筒部を一体的に形成し、この水平円筒部に延長部を取付け可能とした。
【0006】E.走行機体と畦塗り機を連結する走行機体側ヒッチと畦塗り機側ヒッチとの連結を連結ピンにて行い、走行機体側ヒッチと畦塗り機とを長さ調節可能な連結体にて接続して、該連結体の長さを調節することにより畦塗り機の作業姿勢を変えられるようにした。
F.チェンケースの上部に設けた回転軸を中心に、畦塗り機を回動させることにより畦塗り機の作業位置と移動位置とを選択可能とした。
【0007】
【作用】上記A.〜F.の構成により本発明の畦塗り機は、畦塗り機の主フレームと前処理体及び整畦体に動力を伝達するチェンケースとを一体構造とし、チェンケースに、前処理体へ動力伝達する出力軸と整畦体を駆動する減速機への入力軸とを一体的に設けることで、フレーム構造が簡単となり、軽量・小型化が図られる。また、整畦体の多面体ドラムの先端部がチェンケースの前側部に来るように配設し、整畦体の多面体ドラムの形状を、多面体ドラム部の基部に畦の頂部を形成する水平円筒部を一体的に形成し、この水平円筒部に延長部を取付け可能とすることで、作業部の構成が簡略化されて重量も軽くなる。さらに、走行機体と畦塗り機を連結する走行機体側ヒッチと畦塗り機側ヒッチとの連結を連結ピンにて行い、走行機体側ヒッチと畦塗り機とを長さ調節可能な連結体にて接続して、該連結体の長さを調節することにより畦塗り機の作業姿勢を変えられるようにすることで、畦塗り機の作業姿勢を容易に変更して適正な畦成形作業が行われる。また、チェンケースの上部に設けた回転軸を中心に、畦塗り機を回動させることにより畦塗り機の作業位置と移動位置とを選択可能とすることで、簡単な構成で畦塗り機を作業位置と移動位置とに容易に切り換えられる。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付の図面を参照して具体的に説明する。図1〜図4において、符号1はトラクタ2の後部に設けられた左右一対のロアリンク3にロアリンク連結部4が連結されて昇降可能であり、圃場に導入されて整畦作業を行う畦塗り機である。この畦塗り機1は、主フレームと前処理体6及び整畦体7に動力を伝達するチェンケース5とを一体構造として左右方向に配設している。該チェンケース5の基端部は、支持フレーム8に左右回動(昇降)可能に支持されている。チェンケース5の先端下部には、前方に向け前処理体6に動力伝達するための出力軸を内装した伝動ケース19を一体的に設けると共に、後方に向け整畦体7を駆動するための伝動ケース20及び減速機を内装したデフケース21を一体的に設けている。
【0009】上記支持フレーム8には、左右一対の支持アーム9の基部が連結されて前方に向け延出されており、その両先端部に連結アーム10の基端部が連結軸13により回動可能に連結され、この連結アーム10の先端部は、トラクタ2側に設けられた左右一対の連結フレーム11に、連結ピン12を介して回動可能に枢支されている。
【0010】上記連結フレーム11,11、連結アーム10,10及び支持アーム9,9間を通って、トラクタのPTO軸14からユニバーサルジョイント15,伝動軸16及びユニバーサルジョイント17を介して、上記チェンケース5の基端部から前方に向け突出した入力軸18に動力が伝達される。この入力軸18は、チェンケース5の回転中心5aにもなっている。
【0011】上記伝動ケース19から動力が前処理体6の回転軸に直接伝達されるが、デフケース21からは伝動ケース20と直交するように設けられた伝動軸22を介して整畦体7に動力伝達される。前処理体6は、回転軸の軸周に複数本の耕耘爪6aと土寄せ板6bを放射方向に装着すると共に、カバー6cにより覆われ、元畦の一部及び圃場を耕耘して畦状に盛り上げるロータリ耕耘装置からなるものである。また、整畦体7は、伝動軸22に多角の整畦面が偏心しながら回転して畦法面を叩いて畦に成形する多面体ドラム23を取付け、この多面体ドラム23のドラム中心の基部に畦の頂部を平らに形成する水平円筒部24を一体的に形成してカバー7aにより覆っている。この水平円筒部24には、外側に向け延長部24aが取付け可能である。また、多面体ドラム23の先端部は、チェンケース5の前側部に来るように配設されている。上記支持アーム9の一方には、接地輪(コールタ)25を設けている。この接地輪25は、接地輪上下調節機構26により上下移動調節が可能に支持されている。
【0012】トラクタ2と畦塗り機1を連結するトラクタ2側ヒッチとしての連結フレーム11と畦塗り機1側ヒッチとしての連結アーム10は上述のように連結ピン12により連結され、また、支持アーム9と連結アーム10とは連結軸13により連結されているので、畦塗り機1はトラクタ2に連結された状態で連結ピン12及び連結軸13を中心に上下回動が可能である。連結フレーム11と畦塗り機1との間に長さ調節可能な連結体27が設けられている。この連結体27は、基端部が支持フレーム8に立設した支持部材28に回動自在に支持され、その先端部が連結アーム10に立設した摺動支持板29に前後方向に穿設した摺動孔30に嵌挿されている。そして、連結体27の基端部のクランクハンドルを左右いずれかに回動すると連結体27の長さが伸縮し、畦塗り機1の前後方向の作業姿勢が変えられるようになっている。
【0013】上記チェンケース5にはチェン伝動系5bが内装され、チェンテンショナー5cを設けると共に、基端部には係止板5dを一体的に設けている。支持フレーム8とチェンケース5の先端部との間にガススプリング31が介装されている。このガススプリング31は、シリンダの基端部がチェンケース5に基端部が支点33により枢支された回動支持アーム32の先端部に枢支され、ピストン35の先端部が支持フレーム8に設けられたブラケット34に枢支されている。そして、チェンケース5は、回転軸5aを中心に人力により回動可能であり、図4の実線位置から仮想線位置までの範囲で回動可能である。チェンケース5の回動終端位置でそれぞれ回動ロック装置36により係止板5dがロックされる。また、その回動範囲は、回動ストッパ37,38により規制される。このチェンケース5の回動により、畦塗り機1の作業位置と移動位置とが選択される。このチェンケース5の回動動作時に、ガススプリング31は補助的に作用し、かつ上昇終端位置においては回動アーム32が支点33を越えてチェンケース5が急激に降下しないように保持される。
【0014】このような構成の畦塗り機1においては、トラクタ2の後部にロアリンク3を介してロアリンク連結部4が連結され、連結フレーム11に連結ピン12を介して連結アーム10が連結され、トラクタ2のPTO軸14からユニバーサルジョイント15,伝動軸16及びユニバーサルジョイント17を介してチェンケース5の入力軸18に動力が伝達される。畦塗り機1が整畦作業を行うときは、前処理体6及び整畦体7を、連結体27及びチェンケース5により図1及び図2の状態にする。このとき、チェンケース5は図4の実線で示すように下降していて回動ロック装置36によりロックされている。この状態で入力軸18に受けた動力は、チェンケース5の下部から伝動ケース19を介して前処理体6に伝達され、また、伝動ケース20、デフケース21及び伝動軸22を介して整畦体7に伝達される。そして、トラクタ2の走行と共に、図3に示すような整畦作業が行われる。
【0015】前処理体6の耕耘爪6aと土寄せ板6b及び整畦体7の多角円錐状ドラム23の作用深さを調節するときは、トラクタのロアリンク3により畦塗り機1の支持高さを変えることによって行われるが、接地輪上下調節機構26により接地輪25を上下移動調節することによっても行われる。
【0016】前処理体6では耕耘爪6aにより元畦の一部及び圃場を耕耘して土寄せ板6bにより元畦側に対して畦状に盛り上げ、その盛り上げた土壌を整畦体7の多角円錐状ドラム23の多角の整畦面が偏心回転して畦法面を叩いて目的とする畦に成形する。また、水平円筒体24により多角円錐状ドラム23によって成形された畦の頂部を平らに成形する。この整畦作業時に、偏心回転する多角円錐状ドラム23は、この多角円錐状ドラム23及び水平円筒体24の回転軸心と近い軸線上に設けられた接地輪25により安定した状態に支持される。
【0017】畦塗り機1が作業を行わずトラクタ2に連結されて路上走行するときは、まず連結体27を回動して畦塗り機1を連結ピン12及び連結軸13を中心に回動させて前傾姿勢に上昇させる。次に、回動ロック装置36による係止板5dのロックを解除し、作業者はチェンケース5を持って、手動によりチェンケース5を回転中心5aを中心にして前処理体6及び整畦体7を上昇するようにして、係止板5dが回動ストッパ38に衝突するまで持ち上げる。そして、回動ロック装置36により係止板5dをロックする。その結果、前処理体6及び整畦体7はオフセット位置からトラクタ2の後方位置まで移動して機体幅を狭くして路上を安全に走行する。このようなチェンケース5の回転動作時に、ガススプリング31は補助的に作用してチェンケース5の回転動作が軽快に行われ、かつ上昇終端位置においては回動アーム32が支点33を越えてチェンケース5が急激に降下するのが防止される。
【0018】
【発明の効果】以上説明したように本発明の畦塗り機によれば、上記の構成により以下の作用効果を奏することができる。
【0019】■.畦塗り機の主フレームと前処理体及び整畦体に動力を伝達するチェンケースとを一体構造とし、該チェンケースの下部に、前方に向け前処理体に動力伝達するための出力軸を設けると共に、後方に向け整畦体を駆動するための減速機を設けたので、フレーム構造が簡単となり、軽量化を図ることができ、小型の走行機体に装着して使用することができる。また、走行機体と作業部との前後接近性が良好となり、作業性が向上する。さらに、走行機体とのマッチングバランスが良好となり、安定した作業及び安全な路上走行を行うことができる。
【0020】■.チェンケースに、前処理体へ動力伝達する出力軸と整畦体を駆動する減速機への入力軸とを一体構造にしたので、作業部における伝動機構の構成が簡略化されて重量を軽く、部品点数を少なくすることができるる。
【0021】■.整畦体の多面体ドラムの先端部がチェンケースの前側部に来るように配設したので、機体の前後幅を小さくすることができ、操作性が良好となり、適正な畦成形作業を行うことができる。
【0022】■.整畦体の多面体ドラムの形状を、多面体ドラム部の基部に畦の頂部を形成する水平円筒部を一体的に形成し、この水平円筒部に延長部を取付け可能としたので、構成が簡略化されて軽量化が図れ、作業性能を向上させることができる。
【0023】■.走行機体と畦塗り機を連結する走行機体側ヒッチと畦塗り機側ヒッチとの連結を連結ピンにて行い、走行機体側ヒッチと畦塗り機とを長さ調節可能な連結体にて接続して、該連結体の長さを調節することにより畦塗り機の作業姿勢を変えられるようにしたので、畦塗り機の前後姿勢の調節が容易に行え、適正な畦成形作業を行うことができる。また、前処理体及び整畦体のオフセット量を調節する際に、上下高さを容易に調節することができる。
【0024】■.チェンケースの上部に設けた回転軸を中心に、畦塗り機を回動させることにより畦塗り機の作業位置と移動位置とを選択可能としたので、走行機体に畦塗り機を連結して路上走行するとき、畦塗り機のオフセット量の調整を容易に行うことができる。また、その構成は簡単であり、軽量化を図ることができ、走行機体へのマッチングが良好となる。
【出願人】 【識別番号】390010836
【氏名又は名称】小橋工業株式会社
【出願日】 平成12年4月10日(2000.4.10)
【代理人】 【識別番号】100063565
【弁理士】
【氏名又は名称】小橋 信淳
【公開番号】 特開2001−292602(P2001−292602A)
【公開日】 平成13年10月23日(2001.10.23)
【出願番号】 特願2000−107510(P2000−107510)