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【発明の名称】 歩行型畦形成機
【発明者】 【氏名】来田 金作

【氏名】武田 美津子

【要約】 【課題】コンパクトに構成されて小回りがきき、耕地整理が行われていない田の整畦を容易且つ確実に行うことのできる歩行型畦形成機を提供する。

【解決手段】畦形成部に土を盛り上げ状態に連続的に供給する土盛り装置と、盛土を締め固めて畦を形成する畦形成装置7とを、歩行型牽引車2に設ける。畦形成装置7は、畦3の上面を形成する畦上面形成体57と、畦の内側面を形成する畦内側面形成体60と、畦の外側面を形成する畦外側面形成体62を具える。そして、畦内側面形成体60が、前記畦形成部の盛土を押圧しながら回転する際における反力によって歩行型牽引車が畦から離れようとするのを防止するため、畦から遠い側の車輪11の牽引力を増大させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 歩行型牽引車の進行方向に順次畦を形成する歩行型畦形成機であって、畦形成部に土を盛り上げ状態に連続的に供給する土盛り装置と、前記畦形成部の盛土を締め固めて畦を形成する畦形成装置とを具え、前記畦形成装置は、畦の上面を形成する畦上面形成体と畦の内側面を形成する畦内側面形成体とを具える回転整畦具を前記歩行型牽引車に付設してなり、又前記畦内側面形成体が、前記畦形成部の盛土を押圧しながら回転する際における反力によって歩行型牽引車が畦から離れようとするのを防止するため、畦から遠い側の車輪の牽引力を増大させたことを特徴とする歩行型畦形成機。
【請求項2】 歩行型牽引車の進行方向に順次畦を形成する歩行型畦形成機であって、畦形成部に土を盛り上げ状態に連続的に供給する土盛り装置と、前記畦形成部の盛土を締め固めて畦を形成する畦形成装置とを具え、前記畦形成装置は、畦の上面を形成する畦上面形成体と畦の内側面を形成する畦内側面形成体とを具える回転整畦具を前記歩行型牽引車に付設してなり、又前記畦内側面形成体が、前記畦形成部の盛土を押圧しながら回転する際における反力によって歩行型牽引車が畦から離れようとするのを防止するため、畦から遠い側の車輪の牽引力を増大させ得るよう、前記歩行型牽引車のミッション装置に、歩行型牽引車の進行方向で見た左側と右側に左の車軸と右の車軸が突設され、該左右の車軸には左右の車輪が固設され、畦から遠い左の車輪と前記ミッション装置の左右方向中心部との間の距離が、畦に近い右の車輪と前記ミッション装置の前記中心部との間の距離よりも大きく設定されていることを特徴とする歩行型畦形成機。
【請求項3】 歩行型牽引車の進行方向に順次畦を形成する歩行型畦形成機であって、畦形成部に土を盛り上げ状態に連続的に供給する土盛り装置と、前記畦形成部の盛土を締め固めて畦を形成する畦形成装置とを具え、前記畦形成装置は、畦の上面を形成する畦上面形成体と畦の内側面を形成する畦内側面形成体とを具える回転整畦具を前記歩行型牽引車に付設してなり、又前記畦内側面形成体が、前記畦形成部の盛土を押圧しながら回転する際における反力によって歩行型牽引車が畦から離れようとするのを防止するために、畦から遠い車輪の牽引力を増大させ得るよう、畦から遠い車輪が回転する際のその接地面積を増大させることによって該車輪の牽引力を増大させたことを特徴とする歩行型畦形成機。
【請求項4】 歩行型牽引車の進行方向に順次畦を形成する歩行型畦形成機であって、畦形成部に土を盛り上げ状態に連続的に供給する土盛り装置と、前記畦形成部の盛土を締め固めて畦を形成する畦形成装置とを具え、前記畦形成装置は、畦の上面を形成する畦上面形成体と畦の内側面を形成する畦内側面形成体とを具える回転整畦具を前記歩行型牽引車に付設してなり、又前記畦内側面形成体が、前記畦形成部の盛土を押圧しながら回転する際における反力によって歩行型牽引車が畦から離れようとするのを防止するため、畦から遠い車輪の牽引力を増大させ得るよう、前記歩行型牽引車のミッション装置に、歩行型牽引車の進行方向で見た左側と右側に左の車軸と右の車軸が突設され、該左右の車軸には左右の車輪が固設され、前記車輪は、円環状の車輪本体の外周部に、車軸の長さ方向に長く形成されて田面に接する牽引板が、前記車輪本体の周方向に所要間隔を置いて固設されており、畦から遠い左の車輪の牽引板は、畦に近い右の車輪の牽引板よりも長いことを特徴とする歩行型畦形成機。
【請求項5】 前記畦内側面形成体の外周縁側の部分は、先側が細くなる突出部が周方向に並設された切削部として構成され、整畦時に、前記突出部が田面に切り入ることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の歩行型畦形成機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、歩行型牽引車の進行方向に順次畦を形成する歩行型畦形成機に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】本発明者は特開平9−215402号において、トラクタの後部に整畦装置を付設してトラクタの進行方向に畦を形成する乗用型の畦形成機を提案した。
【0003】しかしながら、このようなトラクタ利用の乗用型の畦形成機は、その前後方向長さが4〜5m程度と大きなものであった。そのため、かかる大型の畦形成機によって、例えば山間部の階段状になった棚田の整畦を行わんとしても、かかる棚田は耕地面積が小さく又階段状になっているために、前記大型の畦形成機を導入することすら難しかった。仮に導入できたとしても、図22に示すようにトラクタ前端が田の端aに到達した状態において、該トラクタ前端から整畦装置bまでの距離L8部分については整畦できないために、この部分dについては手作業で畦を形成しなければならず労力が大きかった。又、かかる棚田の畦は直線状ではなく曲がりくねっているが、前後方向長さが大きくて小回りの利かない前記大型の畦形成機では、このように曲がりくねった畦を形成することができなかったのである。
【0004】本発明は、かかる問題点に鑑みて開発されたものであり、耕地整理が行われていない田の整畦を容易且つ確実に行うことができ、しかも整畦を省力化できる、小回りの利く歩行型畦形成機の提供を目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため、本発明は以下の手段を採用する。即ち本発明に係る歩行型畦形成機は、歩行型牽引車の進行方向に順次畦を形成する歩行型畦形成機であって、畦形成部に土を盛り上げ状態に連続的に供給する土盛り装置と、前記畦形成部の盛土を締め固めて畦を形成する畦形成装置とを具え、前記畦形成装置は、畦の上面を形成する畦上面形成体と畦の内側面を形成する畦内側面形成体とを具える回転整畦具を前記歩行型牽引車に付設してなる。又前記畦内側面形成体が、前記畦形成部の盛土を押圧しながら回転する際における反力によって歩行型牽引車が畦から離れようとするのを防止するため、畦から遠い側の車輪の牽引力を増大させたことを特徴とするものである。
【0006】本発明に係る歩行型畦形成機の他の態様は、歩行型牽引車の進行方向に順次畦を形成する歩行型畦形成機であって、畦形成部に土を盛り上げ状態に連続的に供給する土盛り装置と、前記畦形成部の盛土を締め固めて畦を形成する畦形成装置とを具え、前記畦形成装置は、畦の上面を形成する畦上面形成体と畦の内側面を形成する畦内側面形成体とを具える回転整畦具を前記歩行型牽引車に付設してなる。又前記畦内側面形成体が、前記畦形成部の盛土を押圧しながら回転する際における反力によって歩行型牽引車が畦から離れようとするのを防止するため、畦から遠い側の車輪の牽引力を増大させ得るよう、前記歩行型牽引車のミッション装置に、歩行型牽引車の進行方向で見た左側と右側に左の車軸と右の車軸が突設され、該左右の車軸には左右の車輪が固設され、畦から遠い左の車輪と前記ミッション装置の左右方向中心部との間の距離が、畦に近い右の車輪と前記ミッション装置の前記中心部との間の距離よりも大きく設定されていることを特徴とするものである。
【0007】又本発明に係る歩行型畦形成機の他の態様は、歩行型牽引車の進行方向に順次畦を形成する歩行型畦形成機であって、畦形成部に土を盛り上げ状態に連続的に供給する土盛り装置と、前記畦形成部の盛土を締め固めて畦を形成する畦形成装置とを具え、前記畦形成装置は、畦の上面を形成する畦上面形成体と畦の内側面を形成する畦内側面形成体とを具える回転整畦具を前記歩行型牽引車に付設してなる。又前記畦内側面形成体が、前記畦形成部の盛土を押圧しながら回転する際における反力によって歩行型牽引車が畦から離れようとするのを防止するために、畦から遠い車輪の牽引力を増大させ得るよう、畦から遠い車輪が回転する際のその接地面積を増大させることによって該車輪の牽引力を増大させたことを特徴とするものである。
【0008】又本発明に係る歩行型畦形成機のその他の態様は、歩行型牽引車の進行方向に順次畦を形成する歩行型畦形成機であって、畦形成部に土を盛り上げ状態に連続的に供給する土盛り装置と、前記畦形成部の盛土を締め固めて畦を形成する畦形成装置とを具え、前記畦形成装置は、畦の上面を形成する畦上面形成体と畦の内側面を形成する畦内側面形成体とを具える回転整畦具を前記歩行型牽引車に付設してなる。又前記畦内側面形成体が、前記畦形成部の盛土を押圧しながら回転する際における反力によって歩行型牽引車が畦から離れようとするのを防止するため、畦から遠い車輪の牽引力を増大させ得るよう、前記歩行型牽引車のミッション装置に、歩行型牽引車の進行方向で見た左側と右側に左の車軸と右の車軸が突設され、該左右の車軸には左右の車輪が固設され、前記車輪は、円環状の車輪本体の外周部に、車軸の長さ方向に長く形成されて田面に接する牽引板が、前記車輪本体の周方向に所要間隔を置いて固設されており、畦から遠い左の車輪の牽引板は、畦に近い右の車輪の牽引板よりも長いことを特徴とするものである。
【0009】前記各歩行型畦形成機において、前記畦内側面形成体の外周縁側の部分を、先側が細くなる突出部が周方向に並設された切削部として構成し、整畦時に、前記突出部が田面に切り入るように構成するのがよい。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1〜3において本発明に係る歩行型畦形成機1は、例えばテーラーとしての歩行型牽引車2の前進方向に順次畦3(図3)を形成するものであって、畦形成部に土を盛り上げ状態に連続的に供給する土盛り装置5と、畦形成部の盛土6を締め固めて畦3を形成する畦形成装置7とを具える。
【0011】そして図1〜4に示すように、前記歩行型牽引車1の略中央の下部に設けたミッション装置8には、歩行型牽引車2の進行方向で見た左側と右側に左の車軸9と右の車軸10が突設されており、該左右の車軸9,10には左右の車輪11,12が固設されている。該左右の車輪11,12は、円環状の車輪本体13の外周部に、田面に接する左右方向(前記車軸の長さ方向)に長い、V字状に屈曲する牽引板15が、そのV字部16(図3)を前記車輪本体13の半径方向外方に向け突出させて、周方向に所要間隔を置いて固設されており、該牽引板15が田面に食い込み状態に接地することによって所要の牽引力が得られるように構成されている。
【0012】そして図4に示すように、畦3から遠い左の車輪本体13aと前記ミッション装置8の左右方向中心部14との間の距離L1は、右の車輪本体13bと前記ミッション装置8の前記中心部14との間の距離L2よりも大きく設定される共に、左の車輪本体13aに設けた牽引板15aの左右方向長さL3は、畦3に近い右の車輪本体13bの牽引板15bの左右方向長さL4よりも長く設定され(例えば2倍程度に長く設定され)、且つ左の車輪本体13aに設けた牽引板15aの内端17と前記ミッション装置8の前記中心部14との間の距離L5と右の車輪本体13bに設けた牽引板15bの内端19と前記ミッション装置8の前記中心部14との間の距離L6は略等しく設定されている。これらによって、左の車輪11の牽引力が右の車輪12の牽引力よりも大きくなっている。
【0013】又前記歩行型牽引車2の前端には、図5〜6に示すように、該歩行型牽引車2の前進方向と直角方向に延びる駆動軸20がギアボックス21を介して軸支されており、その両端の左軸部22と右軸部23が、歩行型牽引車の両側で突設されている。そして図2に示すように、前記左軸部22に固設されたスプロケット25と歩行型牽引車2のミッション装置8からの出力軸26に固設されたスプロケット27とにチェーン29が巻装され、該スプロケット27の回転により、前記チェーン29を介して前記駆動軸20が回転せしめられる。又前記ギアボックス21の前進方向右側部には、前記右軸部23を挿通させ且つ該右軸部23と同心の円筒状枢軸30(図5)が設けられ、該右軸部23の端部に駆動スプロケット31が固設されている。
【0014】前記土盛り装置5は、図1、図3、図5に示すように、前記ギアボックス21から前方に向けて突設された回転軸32に固設された削り取り掻き上げロータ33と、該削り取り掻き上げロータ33の上側に被るように設けられた案内カバー35とを具える。前記回転軸32は、前記ギアボックス21内に装置された図5に示す傘歯車装置36によって、前記駆動軸20の回転により、前記前進方向に見て時計回りに回転せしめられる。然して、該回転軸32の回転によって強制回転せしめられる前記削り取り掻き上げロータ33は、図7に示すように、旧畦37の内側部分39及び旧畦37の畦際田面部分40を同時に削り取ると共に、該削り取った土を掬って掻き上げるのであり、該掻き上げられた土は、図7に矢印で示すように、前記案内カバー35に案内されて、削り取りによって形成された畦形成部41に盛土6される。
【0015】前記畦形成装置7は、図1、図3〜6に示すように、回転増速装置42(図6)により強制回転せしめられることによって前記畦3を形成する回転整畦具43を、前記歩行型牽引車2に、回動腕44を具える高さ調節手段45を介して、その高さを調節可能に且つ調節された高さで位置固定可能に付設してなる。該回動腕44は、本実施の形態においては、前記歩行型牽引車2の、前記前進方向の右側の車輪12の外側において、前記前進方向に沿って配設された前後に長い部材であって、その略中央部位には、前記回転整畦具43を取り付けるための取付部46(図6)が設けられ、該取付部46には、前記車軸9,10と平行して支持軸47(図6)が外方に突設されている。又回動腕44の前端側部分49は、歩行型牽引車2の前端側に設けられた前記円筒状枢軸30に嵌め合わされ、これによって回動腕44は、上下方向で回動可能となるように枢着されている。
【0016】そして前記回動腕44の後側部分にはハンドル50が設けられており、該ハンドル50は、図3、図6に示すように、その基端側部分51が、歩行型牽引車2の後部に付設された規制板52の上下に長いガイド孔53に納められた状態で、該ガイド孔53の長さの範囲で上下動できるように構成されている。そして該ガイド孔53には、上下複数段で係合凹部55が横向きに連設されており、図1、図3に示すように前記ハンドルの基端側部分51を所要の係合凹部55に係合させることにより、前記回動腕44の上下方向の回動状態を所要に調節可能且つその状態を固定可能となされている。
【0017】然して回動腕44は、前記ハンドルの基端側部分51が前記ガイド孔53に存する状態において手でハンドル50を上下動させることにより、回動させることができる。前記基端側部分51を、図8に一点鎖線で示すように上の係合凹部55と係合させるほど、前記回転整畦具43を高位置で固定できる一方、該基端側部分51を図8に実線で示すように下の係合凹部55と係合させるほど、前記回転整畦具43を低位置で固定できる。この回転整畦具43の高さの調節は、形成すべき畦の高さや回転整畦具の直径等に応じて適宜に設定する。
【0018】前記回転整畦具43は、図1、図3〜4、図6、図9に示すように、畦の上面56を形成する畦上面形成体57と、畦の内側面59を形成する畦内側面形成体60と、畦の外側面61を形成する畦外側面形成体62とを具え、該畦上面形成体57と畦内側面形成体60と畦外側面形成体62が、前記盛土6に対してスリップ回転して畦表面を締め固めるものである。
【0019】前記畦上面形成体57は、本実施の形態においては、図6、図9に示すように円筒状に形成されており、その左右長さは、形成すべき畦の天端幅に応じて所要に設定される。
【0020】又前記畦内側面形成体60は、図9に示すように、前記畦上面形成体57の内端側孔部分63に略密接に嵌め入れられる円形基板部65の外周縁で、内方に向かって大径となる円錐状板部66が連設された円錐台状板体として形成されている。なお本実施の形態において前記円錐状板部66の円錐状外面67は、図3、図6に示すように、多数本の稜線角部69が放射状に配設されることによって、開いた傘の外面のように折れ曲がった面として形成されている。又その外周縁側の部分70は、先側が細くなる突出部71が周方向に並設された切削部として形成されている。本実施の形態において、前記突出部71は、隣り合う稜線角部69,69間の部分が、後述の回転方向F(図1、図3)で見た先側の辺72(図6)が傾斜辺として形成された鋸刃状に構成されている。
【0021】又図9に示すように、前記円形基板部65の中心に挿通孔73が設けられると共に、該円形基板部65の内面には、前記挿通孔73と同心の挿通孔75を有した回転筒部76が突設されている。そして該回転筒部76の挿通孔75の軸線方向の両端部分には、軸受77,77が設けられている。又該回転筒部76の内端部分には、従動スプロケット79が固設されている。そして前記円形基板部65の外面には、前記挿通孔73と同心に連結筒部80が突設され、該連結筒部80に延長軸81の基端部分が挿入せしめられ、該延長軸81が前記連結筒部80にボルト固定されている。
【0022】又前記畦外側面形成体62は、図3〜4、図6、図9に示すように、中央部に円形孔82(図9)が設けられた円錐板状に形成されており、その円錐状外面83は、多数本の稜線角部85が放射状に配設されることによって、開いた傘の外面のように折れ曲がった面として形成されている。
【0023】そして前記円形孔82には、実質的に前記支持軸である前記延長軸81の先側をなすネジ軸部86に螺合し得るネジ孔87が中心部に設けられた円形固定板89の内面側に環状鍔部90が同心に突設されてなる固定部材91の該環状鍔部90を略密接に挿入させることができ、該挿入状態の環状鍔部90は、前記円形孔82の内周縁から稍突出する。
【0024】然して、前記畦上面回転体57と畦内側面形成体60と畦外側面形成体62とを前記支持軸47に組み付ける要領を図9で説明すれば、先ず、前記畦内側面形成体60の前記回転筒部76に前記支持軸47を挿通させ、該回転筒部76を、該挿通された支持軸47に、前記軸受77,77で回転自在に支持させる。その後、円筒状をなす前記畦上面形成体57の内端側孔部分63に前記円形基板部65を嵌め入れると共に、前記畦外側面形成体62の前記円形孔82の内側周縁部分92を前記畦上面形成体57の外端93に当接させる。然る後、前記円形固定板89のネジ孔87に、前記ネジ軸部86を螺合せしめることにより前記環状鍔部90を前記円形孔82にその外側から挿入させ、該環状鍔部90の、前記円形孔82から内方に突出した内方突出部分95を、前記畦上面形成体57の外端側孔部分96に嵌め入れる。然る後、前記ネジ軸部86の、円形固定板89から突出した部分にナット97を螺合し締め付けることによって、畦内側面形成体60と畦上面回転体57と畦外側面形成体62とが一体化された回転整畦具43が、延長軸81を介して前記支持軸47に回転自在に付設状態となる。
【0025】又前記回転増速装置42は、本実施の形態においては図5、図6に示すように、例えばチェーンとしての伝動要素を用いた伝動方式のものとして構成されており、前記従動スプロケット79と前記駆動スプロケット31とにチェーン99を巻装して構成されている。なお本実施の形態においては、該チェーン99が前記回動腕44に付設されたチェーンケース100内に納められている。
【0026】然して、駆動軸20がチェーン29を介して強制回転せしめられることにより、前記チェーン99を介して前記回転筒部76が回転し、これによって前記回転整畦具43が、その上側周縁が例えば歩行型牽引車2の進行方向に回転する。その回転方向を図1、図3に矢印Fで示す。前記各スプロケット27,25,31,79の径は、回転整畦具43の回転が前記車軸9,10の回転よりも増速される(例えば3〜4倍程度に増速せしめられる)ように設定されており、該増速により、畦上面形成体57と畦内側面形成体60と畦外側面形成体62が、前記盛土6に対しスリップ回転して畦表面を締め固めるようになされている。
【0027】次に、本実施の形態に係る歩行型畦形成機1の作用を、図1、図3に基づいて説明する。整畦に先立ち、形成すべき畦の高さに応じて、前記回転整畦具43の整畦時の高さを所要にセットする必要がある。本実施の形態においては、回転整畦具43の直径との関係で、前記ハンドル50の基端側部分51を前記最下段に位置する係合凹部55に嵌め入れる場合を考える。
【0028】回転整畦具43の整畦時の高さはこのようにセットされるのであるが、整畦作業を行うには先ず図10に示すように、前記ハンドル50を前記ガイド孔53内で上方向に動かすことによって前記回転整畦具43を旧畦37の上方に上げ、前記畦内側面形成体60と畦外側面形成体62が旧畦37を跨ぐように位置設定する。その後図11に示すように、回転整畦具43が、形成すべき畦高さに応じた所要高さになるまで前記ハンドル50を下げ、この状態でハンドル50を外側に押して、図8に実線で示すように、前記基端側部分51を前記係合凹部55の所要のものに係合状態として回転整畦具43の高さを固定する。
【0029】回転整畦具43をこのように整畦状態にセットした後、歩行型牽引車2を前進させると、前記回転増速装置42の増速作用により、前記回転整畦具43の回転が、車軸9,10の回転よりも増速せしめられる。併せて前記駆動軸20が、チェーン29を介して強制回転せしめられ、それに伴う回転軸32の回転により、前記削り取り掻き上げロータ33が高速で強制回転せしめられる。該削り取り掻き上げロータ33は、その高速回転によって、図7に示すように、旧畦の内側部分39及び旧畦の畦際田面部分40を同時に削り取ると共に該削り取った土を掬って掻き上げ、これを前記案内カバー35に案内させて、前記削り取りによって形成された畦形成部(削出凹部)41に図7に一点鎖線で示すように盛土する。
【0030】この盛土6、即ち、畦内側面形成体60と畦外側面形成体62との間に盛られた土は、前記回転畦形成具43の回転により締め固められて畦3とされるのであるが、前記のように、回転増速装置42によって回転整畦具43の回転が車軸9,10の回転よりも増速されているため、畦上面形成体57と畦内側面形成体60と畦外側面形成体62が、盛土6に対しスリップ回転して畦表面を締め固め、その結果、表面の凹凸が少ない強固な畦が形成されることになるのである。
【0031】又前記整畦は、図4、図9に示すように、前記鋸刃状の突出部71が切削刃となって畦際田面部分40に切り入る状態となるため、該突出部の外面(前記円錐板部の外面)103が畦の内側面59の下端部分をスリップ回転によって締め固める。従って、安定性に優れた畦を形成できることとなる。そしてこの切り入りは、前記鋸刃状の突出部71が切削刃となって行われるため、田面への切り入りが容易且つ確実に行われることとなる。従って、畦内側面形成体60の外周縁側の部分が田面に円滑に切り入らないで回転整畦具が跳ねる傾向になるのを効果的に防止でき、歩行型牽引車の直進走行を極力妨げない状態で安定的に整畦作業を行い得ることとなる。
【0032】又整畦の際、前記のように、畦から遠い左の車輪11の牽引力が右の車輪12の牽引力よりも大きく設定されているために、円錐状外面を有する前記畦内側面形成体60が前記畦形成部の盛土6を押圧しながら回転する際における反力によって歩行型牽引車2が畦3から離れようとするのを効果的に防止でき、これによって、歩行型牽引車の直進性を確保しながら前記円錐状外面67が盛土側面を強固に締め固めるように作用させることができ、長期に耐える安定的な畦を形成できることになる。
【0033】又本実施の形態においては、前記畦内側面形成体60と畦外側面形成体62が、その外面に稜線角部69,85が周方向に並設された傘状回転体として形成されているため、該畦内側面形成体60や畦外側面形成体62が回転する際に前記稜線角部69,85が畦側面を順次押し付ける作用が得られ、これにより、畦の締め固めがより良好に行われることになる。
【0034】そして、作業者が歩行する部分の側方に回転整畦具43が配置されるため、回転整畦具43や形成された畦が、歩行型牽引車を歩行操作する障害となることがなく、前記安定的な整畦を容易に行うことができる。
【0035】所定の整畦が完了した後は、前記ハンドル50を内側に押して前記基端側部分51と前記係合凹部55との係合状態を解除して後、前記ガイド孔53内で前記ハンドル50を上方向に動かし、前記回転整畦具43を、図12に示すように、形成された畦3に当たらない高さにまで上げ、図8に一点鎖線で示すように、ハンドルの基端側部分51を上の係合凹部55に係合状態として該回転整畦具43を位置固定し、その後の歩行型牽引車の走行によって回転整畦具43を畦3から外す。
【0036】図13は、前記回動腕44の基端側部分51を、上位置の係合凹部55に係合させることによって、回転整畦具43の整畦時の高さをセットした状態を示すものであり、畦内側面形成体60の下端60aが田面104に略一致している。回転整畦具43の位置をこのように高く設定して整畦を行う場合は、前記よりも高さの高い畦3を形成できることになる。
【0037】又図14は、畦内側面形成体60の直径が前記よりも大なる回転整畦具43を前記支持軸47に装着した場合を示すものであり、該回転整畦具の直径に合わせて、前記基端側部分51を上位置の係合凹部55に係合させ、回転整畦具43の整畦時の高さを固定した状態を示すものである。
【0038】〔その他の実施の形態〕
(1) 図15は、回転整畦具43の前記高さ調節手段45の他の態様を示すものであり、歩行型牽引車2に付設されて上下動できる可動部材105に、回転整畦具43を回転自在に支持する支持軸47を突設した構成を有しており、該回転整畦具43を前記と同様にチェーン伝動装置106を用いて所要に強制回転可能となされている。そして前記可動部材105は、上下に長い長孔107の長さの範囲で上下でき、ボルト109の締め付けによって所要高さで位置固定される。前記高さ調節手段45は、その他にも、各種の倍力機構を応用した手動の装置として構成される他、回転整畦具を油圧装置や電動装置等で上下動させその調節状態を固定可能とするもの等としても構成され得る。
【0039】(2) 又回転整畦具を強制回転させる手段は、前記構成の回転増速装置による他、歩行型牽引車の動力源からの出力軸に伝動要素を介して行うもの等、各種に構成され得る。
【0040】(3) 図16は、前記回動腕44の前記中間部位に設けた軸受110で支持軸47を回転自在に支持せしめ、該支持軸47の外側部分に回転整畦具43を固設する一方、前記支持軸47の例えば内端側部分にスプロケット111を固設し、該スプロケット111と前記駆動軸のスプロケットとにチェーン112等の伝動要素を巻装し、駆動軸20の回転に伴ない該チェーン112等を介して前記回転整畦具43を前記車軸11,12の回転よりも増速させるように構成した場合を示すものである。
【0041】(4) 図17は回転整畦具43の他の態様を示すものであり、前記畦外側面形成体62を省略して、畦内側面形成体60と畦上面形成体57とで構成した場合を示すものである。該回転整畦具43には前記突出部71が設けられていないが、図3に示すと同様にして突出部71が設けられることもある。
【0042】(5) 本発明において、畦上面形成体57と畦内側面形成体60とが独立的に回転するように構成し、該畦上面形成体57と畦内側面形成体60の回転を異ならせることもある。
【0043】(6) 畦形成部に土を盛り上げ状態に連続的に供給する土盛り装置5は、旧畦を所要に削り取る回転削出刃と、少なくとも田面部分の土を掻き上げる土盛りロータとの組み合わせで構成することもある。或いは旧畦の削り取りが既に完了している場合は、畦形成部に土を盛り上げ状態に連続的に供給する土盛りロータだけで構成されることもある。
【0044】(7) 前記畦内側面形成体60が前記畦形成部の盛土を押圧しながら回転する際における反力によって歩行型牽引車が畦から離れようとするのを防止するために、畦から遠い車輪の牽引力を増大させるその他の手段としては、歩行型牽引車の進行が、前記反力に抗し得るように、畦に向かう分力を有するように行うこともできる。例えば図18に示すように、畦3に向けて所要に傾く規制輪113を歩行型牽引車に付設し、該規制輪113の方向規制作用によって、歩行型牽引車の進行が畦に向かう分力を有するように構成することもできる。なお図18において矢印は、歩行型牽引車の進行方向を示し、又一点鎖線は、前記傾きを示す。
【0045】(8) 前記畦内側面形成体60が前記畦形成部の盛土を押圧しながら回転する際における反力によって歩行型牽引車が畦から離れようとするのを防止するために、畦から遠い車輪の牽引力を増大させるその他の手段としては、畦から遠い車輪が回転する際のその接地面積を増大させる各種の手段を採用できる。又、畦から遠い車輪を畦に近い車輪よりも、ミッション装置からより遠ざけることによって、畦から遠い車輪の牽引力を増大させる等の手段も採用できる。
【0046】(9) 畦形成装置を構成する前記回転整畦具43は、図19に示すように、前記畦内側面形成体を、その円錐の軸線115に対して偏心した回転軸線116回りに回転させることもある。このように構成する場合は、畦内側面形成体60が盛土に対してスリップ現象を伴って偏心回転するため、畦表面の締め固めをより良好に行わせることができる。なおこの場合、畦上面形成体57や畦外側面形成体62も、上下方向の偏心運動を行うように構成してよい。又図20は、前記畦内側面形成体60の円錐の軸線と前記支持軸47の軸線とを交差させて、該畦内側面形成体60を前記支持軸47に取り付けた状態を示すものであり、このように構成する場合は、該畦内側面形成体の偏心状態の回転によって畦の内側面への叩き作用が得られ、畦の締め固めがより安定したものとなる。
【0047】(10)本発明において、前記畦形成装置を構成する回転整畦具43は、畦の上面を形成する畦上面形成体と、畦の内側面を形成する畦内側面形成体とを具え、該畦上面形成体と畦内側面形成体が、畦形成部の盛土に対しスリップ回転して畦表面を締め固めることができるものであれば、該畦上面形成体や畦内側面形成体は、完全な円形面や完全な円錐面として形成されることの他、表面に凹凸を有して、回転状態で円形状の面や円錐状の面を形成する各種態様のものを採用できる。又、回転整畦具を畦上面形成体と畦内側面形成体とに分割して構成した場合、該畦内側面形成体としては、畦内側面を形成する傾斜仕上げ面を有する円錐状の畦内側面形成体を垂直軸線回りに回転するように構成したり、傾斜仕上げ面を有する円錐状の畦内側面形成体を傾斜軸線回りに回転させるように構成することもある。
【0048】(11)本発明において、畦内側面形成体の外周縁側の部分を、先側が細くなる突出部が周方向に並設された切削部として形成する場合、この突出部は、前記鋸刃状の突出部には特定されず、三角形状や台形状等を呈する突出部であってもよい。
【0049】(12)車軸に延長された支持軸に回転整畦具を回転自在に付設する構成は、図9に示すように、回転筒部に支持軸を挿通して行うことの他、回転整畦具に突設した軸を、支持軸の軸心に沿って設けた軸孔に挿入させて行う等、各種の公知手段を採用して行うことができる。
【0050】
【発明の効果】本発明は以下の如き優れた効果を奏する。
(1) 本発明に係る歩行型畦形成機は、従来のようなトラクタではなく歩行型牽引車を利用して構成しているため、畦形成機を、その前後長さが短い小型に構成できる。従って、山間部の階段状をなす棚田にも、容易に移動して導入できる。又歩行型畦形成機の前後長さが短いために、図21に示すように、畦形成機の前端が田の端117に到達した状態における、畦形成機の前端から回転整畦具43までの畦の塗れない長さL7の旧畦部分119を短くできる。従って、畦の塗れない旧畦部分の長さが長い従来のトラクタ利用の大型畦形成機とは異なり、手作業による整畦作業を少なくして、畦形成の省力化を達成できることになる。又、畦形成機の前後長さが小さく小回りがきくために、耕地整理が行われていない山間部の田の畦等、曲がりくねった畦であっても、これを容易に形成できる。
【0051】(2) 又本発明に係る歩行型畦形成機は、畦から遠い側の車輪に関して、その牽引力を高めるように構成しているため、前記畦内側面形成体が前記畦形成部の盛土を押圧しながら回転する際における反力によって歩行型牽引車が畦から離れようとするのを効果的に防止でき、これによって歩行型牽引車の直進性を確保しながら安定的に整畦できることになる。
【出願人】 【識別番号】000250247
【氏名又は名称】来田農産株式会社
【識別番号】593088120
【氏名又は名称】武田 美津子
【出願日】 平成12年3月2日(2000.3.2)
【代理人】 【識別番号】100085246
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 清一郎
【公開番号】 特開2001−238502(P2001−238502A)
【公開日】 平成13年9月4日(2001.9.4)
【出願番号】 特願2000−200916(P2000−200916)