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【発明の名称】 農機具の支持装置
【発明者】 【氏名】中島 健一郎

【氏名】平田 光喜

【氏名】大野 貴章

【氏名】黒原 孝仁

【氏名】岡村 誠一

【要約】 【課題】農機具16を非作業状態としたときに、走行車両2Aや他の農機具15との干渉を好適に防止できるようにする。

【解決手段】農機具16を下向きの作業状態と上向きの非作業状態とに上下反転自在に支持する反転支持具20を備え、該反転支持具20は、前記農機具16を作業状態から非作業状態としたときに該農機具16の左右位置を変更するように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 農機具を下向きの作業状態と上向きの非作業状態とに上下反転自在に支持する反転支持具を備えている農機具の支持装置において、前記反転支持具は、作業状態と非作業状態との間で前記農機具の左右位置を変更するように構成されていることを特徴とする農機具の支持装置。
【請求項2】 農機具を下向きの作業状態と上向きの非作業状態とに上下反転自在に支持する反転支持具を備えている農機具の支持装置において、複数の農機具を左右に並設するとともに、隣接する農機具のうち少なくとも一方の農機具の反転支持具が、当該農機具を作業状態から非作業状態としたとき該農機具を他方の農機具から左右に離反する方向へ位置変更するように構成されていることを特徴とする農機具の支持装置。
【請求項3】 走行車両の後部に、農機具を下向きの作業状態と上向きの非作業状態とに上下反転自在に支持する反転支持具を備えている農機具の支持装置において、前記反転支持具は、前記農機具を作業状態から非作業状態としたとき該農機具を走行車両から左右に離反する方向へ位置変更するように構成されていることを特徴とする農機具の支持装置。
【請求項4】 前記農機具を非作業状態としたときに、該農機具を、他方の農機具又は走行車両から左右に離反する方向へ傾斜させるようにしたことを特徴とする請求項2又は3に記載の農機具の支持装置。
【請求項5】 前記反転支持具は、前記農機具を上下回動自在に支持し、且つその軸心が左右方向に対して上下に傾斜した支軸を有していることを特徴とする請求項4に記載の農機具の支持装置。
【請求項6】 前記支軸の軸心が、左右方向に対して前後にも傾斜されていることを特徴とする請求項5に記載の農機具の支持装置。
【請求項7】 前記反転支持具は、前記農機具を上下回動自在に支持し、且つその軸心が左右方向に対して前後に傾斜した支軸を有し、前記農機具を非作業状態としたときに該農機具を前方に傾斜させるようにしたことを特徴とする請求項3に記載の農機具の支持装置。
【請求項8】 走行車両の後部に上下昇降自在に支持フレームを備えるとともに、該支持フレームの昇降位置を調整する昇降調整機構を備え、前記支持フレームに、農機具を下向きの作業状態と上向きの非作業状態とに反転自在に備えている農機具の支持装置において、前記昇降調整機構は、前記支持フレームを上昇したときに非作業状態の農機具と走行車両との干渉を避けるように、その上昇限界を設定するストッパ具を備えていることを特徴とする農機具の支持装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、培土器、畝立器、ゲージ輪、土寄せ板、プラウ等を支持する農機具の支持装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、ロータリ耕耘機のゲージ輪を取り付ける支持フレームに、農機具としての培土器(又は畝立器)を取付け、ロータリで耕耘しながら培土器等で土壌を左右に盛り上げて畝立て等を行うようにしたものが知られている。また、この場合において、培土器等を支持フレームに対して左右方向の支軸回りに上下反転自在に取り付けるとともに、畝立等の作業を行う際には培土器を下向きの姿勢とし、作業を行わないときには180°反転させて上向きの姿勢に退避するようにしたものも従来より周知である(例えば、特開平10−164906号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記のような培土器(又は畝立器)には、支持フレームの左右中央に取り付けられるとともに、溝を形成しながら左右両側に土寄せして畝立て等を行う両培土器や、支持フレームの左右端部に取り付けられるとともに、あぜ際等で左右片側に土寄せして畝立てやあぜとの切り離し等を行う片培土器がある。従来、これらは別々に支持フレームに着脱して使用されるようになっていたが、各々をその都度着脱したのでは作業が煩雑となり、また、両者は支持フレームに対する取付位置が異なるとともに、同時に使用されることもないことから、支持フレームに対して共着することも考えられている。
【0004】しかし、トラクタの移動時など、両方の培土器を使用しないときに共に上向きの非作業姿勢に反転した場合、特にロータリ耕耘機の幅が狭い場合には両者が左右にオーバーラップして干渉してしまうという不都合が生じ、そのため、両者を共着して用いることはほとんど行われていないのが現状であった。他方、従来技術のものでは、培土器を上向きの非作業姿勢とした状態で、3点リング機構や支持フレームの昇降調整機構を介して支持フレームを上昇すると、培土器がトラクタのロプス等に接触して破損等を招来する恐れもあった。
【0005】本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、農機具を非作業状態とした場合に、トラクタ(走行車両)側との干渉や、他の農機具との干渉を好適に防止することができる農機具の支持装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達成するために以下の技術的手段を講じている。ずなわち、本発明は、農機具を下向きの作業状態と上向きの非作業状態とに上下反転自在に支持する反転支持具を備えている農機具の支持装置において、前記反転支持具は、作業状態と非作業状態との間で前記農機具の左右位置を変更するように構成されていることを特徴とするものである。これによれば、例えば、トラクタ等の走行車両の後部に農機具を支持する反転支持具を設けている場合には、該農機具を非作業状態としたときに走行車両から左右に離反する方向へ位置変更することで、農機具がトラクタのロプス等と干渉して損傷するようなことを防止できるようになる。
【0007】また、両培土器と片培土器など、複数の農機具を左右に並設する場合には、隣接する農機具のうち少なくとも一方の農機具を非作業状態としたとき、この一方の農機具を他方の農機具に対して左右に離反する方向へ位置変更するように反転支持具を構成することができる。このようにすることで、支持フレーム等に複数の農機具を共着した場合でも、農機具同士の干渉防止が可能となる。前記農機具は、全体として左右に位置変更するように構成してもよいが、他方の農機具又は走行車両から左右に離れる方向に傾斜させるようにするのが好ましい。
【0008】更にこの構成は、反転支持具が、農機具を上下に回動自在に支持する支軸を有している場合には、この支軸の軸心を左右方向に対して上下に傾斜させることによって容易に実現することができる。これによって、農機具の支持位置(支軸の位置)を変更することなく、回動操作するだけで簡単に農機具の左右位置を変更することが可能となる。また、この場合には、支軸の軸心を前後にも傾斜させることができる。支軸の軸心を左右方向に対して前後に傾斜させる場合には、農機具を非作業状態としたときに該農機具を前方(走行車両側)に傾斜させるようにすることによって、走行車両から左右外側へ離れるように位置変更させることができ、走行車両との干渉が確実に防止できるとともに、走行車両の前後重量バランスも好適に保てるようになる。
【0009】本発明は、走行車両の後部に上下昇降自在に支持フレームを備えるとともに、該支持フレームの昇降位置を調整する昇降調整機構を備え、前記支持フレームに、農機具を下向きの作業状態と上向きの非作業状態とに上下反転自在に備えている農機具の支持装置において、前記昇降調整機構は、前記支持フレームを上昇したときに非作業状態の農機具と走行車両との干渉を避けるべくその上昇限界を設定するストッパ具を備えていることを特徴とするものである。
【0010】これによれば、農機具を上向きの非作業姿勢とした状態で、支持フレームを昇降調整機構を介して上昇させたとしても、その上昇限界がストッパ具によって規制されるために、農機具が走行車両と接触して損傷するようなことを確実に防止できるものとなる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1及び図2において、1は、ロータリー耕耘機であり、トラクタで例示する走行車両2の後部に、3点リンク機構3を介して着脱自在に装着されており、機枠4と、耕耘部5と、耕耘カバー6と、支持フレーム7とを有して構成されている。機枠4は、その幅方向中央部に縦長のロータリケース9を有し、該ロータリケース9の上部には、トラクタ2のPTO軸からの動力が伝達されるPIC軸8が設けられている。耕耘部5は、ロータリケース9の左右両側から外方に延伸する耕耘爪軸5Aと、該耕耘爪軸5Aの外周に多数取り付けられた耕耘爪5Bとを有し、PIC軸8に入力された動力が、ロータリケース9内のベベルギヤ機構及びチェーン伝動機構を介して耕耘爪軸5A及び耕耘爪5Bに伝達され、該耕耘爪5Bを爪軸5Aの軸心回りに回転駆動させるようになっている。
【0012】耕耘カバー6は、耕耘部5の上方を覆う上部カバー6Aと、後方を覆う後部カバー6Bと、前方を覆う前部カバー6Cと、側方を覆う側部カバー6Dとを有している。なお、前部カバー6Cは前後に折り畳み自在に備えられており、その詳細な構成は後述する。支持フレーム7は、その前部側がロータリケース9の上部から左右に延びるサポートアーム10に対して左右方向の軸心回りに上下揺動自在に連結されている。また、サポートアーム10から前方突出する連結片11に3点リンク機構3のロワーリンク3Aが連結され、ロータリケース9上端に設けた側面視V字状のトップマスト12に、トップリンク3Bが連結されるようになっている。
【0013】また、トップマスト12の後部材12Aと、支持フレーム7の前後中途部との間には、支持フレーム7の上下昇降位置を調整する昇降調整機構13が設けられている。支持フレーム7の後端部には、左右方向に延伸するツールバー7Aが設けられており、このツールバー7Aに対して、ゲージ輪、培土器、畝立器等の農機具15,16が装着されるようになっている。本実施形態では、農機具15,16としてツールバー7Aの左右方向略中央に両培土器15(以下単に培土器という)を設け、これと並んでツールバーの一端(右端)に片培土器16を設けるようにしており、培土器15及び片培土器16は、それぞれ支持杆15A、16Aの先端部に培土作用(又は畝立て作用)等を為す本体部15B,16Bを取付けてなり、各支持杆15A,16Aの基端がそれぞれ反転支持具19,20を介してツールバー7Aに取り付けられている。
【0014】培土器15側の反転支持具19は、図6に示すように、断面コ字上の取付部材21を有し、該取付部材21をツールバー7Aに対して後側から嵌合するとともに、該取付部材21の両端部に対して取付ピン22を挿通し、固定ネジ23を締め付けることによってツールバー7Aに固定するようにしている。取付部材21の下部には、板面部を左右方向に向けた支持板24が設けられ、他方、支持杆15Aの基端部には、前後方向に突出する連結板25が設けられており、この連結板25を支持板24に面接するとともに、両者を左右方向の支軸26によって連結することで、支持杆15A及び本体部15Bが上下回動(反転)自在とされている。
【0015】また、支持板24及び連結板25には、培土器15の姿勢を下向きの作業状態と(図1の2点鎖線)、上向きの非作業状態(図1の実線)とに位置決めする位置決め手段27が設けられており、該位置決め手段27は、連結板25に形成された孔27Aと、支持板24に形成された複数の孔27Bのいずれかとを適合するとともに、これらに位置決めピン27Cを挿脱自在に挿通することによって構成されている。片培土器16の反転支持具20は、図3〜図5に示すように、ツールバー7Aの右端部に外嵌される取付筒29と、該取付筒29から下方に突出する支持板30と、該支持板30の左右両面に面接して左右から挟み込む一対の連結板31と、該連結板31の左右外側に取付片32を介して固定された保持筒33と、を有しており、該保持筒33に対して片培土器16の支持杆16Aの基端部が上下位置調整自在に挿入及び固定されるようになっている。また、前記取付筒29は、ツールバー7Aに対して左右位置調整自在とされるとともに固定ボルト40により固定されるようになっている。
【0016】前記支持板30と一対の連結板31とには、これらを直交状に貫通するように支軸34が設けられており、該支軸34回りに連結板31及び保持筒33が回動自在とされ、この保持筒33に取り付けられた片培土器16が、支軸34を支点として下向きの作業状態(図1の2点鎖線)と上向きの非作業状態(図1の実線)とに上下に回動(反転)するようになっている。また、支持板30及び連結板31には、片培土器16を作業姿勢と非作業姿勢とに位置決めする位置決め手段35が設けられており、該位置決め手段35は、連結板に形成された孔35Aと、支持板に形成された複数の孔35Bと、該孔35Bのいずれかと前記孔35Aとを適合したときに、これらに挿入される位置決めピン35Cとを有している。
【0017】位置決めピン35Cは、左右外側の連結板31に設けたホルダー36に軸方向移動自在に保持され、このホルダー36と位置決めピン35Cに設けたピン37との間には圧縮コイルバネ38が介装されており、この圧縮コイルバネ38によって、位置決めピン35Cに対して前記各孔35A、35Bに挿入する方向への付勢力が付与されている。位置決めピン35Cの外端部は90°屈曲されるとともに、その屈曲部39がホルダ36先端のカム面36Aに当接するようになっている。
【0018】このカム面36は、位置決めピン35Cをその軸心回りに回動させることにより、各孔35A,35Bから抜け出る方向へ移動させるように屈曲部39を介して案内し、また、圧縮コイルバネ38の付勢力によって、屈曲部39を介して逆方向に位置決めピン35Cを回動させながら各孔35A,35Bに挿入する方向へ移動させるように案内する。また、位置決めピン35Cの軸心回りの回動量は、カム面36Aの両端に設けたストッパ36Bによって所定範囲内に規制されるようになっている。
【0019】なお、図3及び図5においては、片培土器16を下向きの作業状態とした場合を実線で示し、上下反転して上向きの非作業状態とした場合を2点鎖線で示している。本発明にかかる反転支持具20には、片培土器16を作業状態から非作業状態としたときに、該片培土器16の左右位置を変更する位置変更手段を備えており、該位置変更手段は、以下に説明する反転支持具20の構成により実現されるようになっている。
【0020】前記支持板30及び連結板31は、その左右外側の面を後下方に向けるように(左右内側の面を前上方に向けるように)傾斜して配置されており、したがって、この面に直交する支軸34の軸心Xは、左右外方側が後方及び下方を向くように、左右方向に対して前後に角度α1、上下に角度α2だけ傾斜して設けられるようになっている。また、前記保持筒33は、片培土器16の作業状態でその軸心が上下方向を向くように、傾斜された連結板31に対して更に角度α3だけ左右方向に傾斜して設けられるようになっている。
【0021】したがって、片培土器16は、作業状態ではその支持杆16Aが略垂直となり、非作業状態に反転することによって支持杆16Aが左右外側に傾き、特に本体部16Bが作業状態のときよりも大きく左右外側へ位置変更するようになっている。これにより、培土器15と片培土器16を共に非作業状態としたとしても両者が左右方向に離反することとなって干渉を防止でき、また、3点リンク機構3や昇降調整機構13を介して片培土器16を持ち上げた場合であっても、該片培土器16をトラクタ2側から左右外側へ離反することとなって、トラクタ2のロプス2A等に干渉するようなことも防止できるようになっている。
【0022】また、作業状態では保持筒33が支軸34よりも前側に位置し、非作業状態では保持筒33が支軸34よりも後側に位置するようになっており、これによって、非作業状態の片培土器16をトラクタ2側から遠けることができ、更に、作業状態よりも非作業状態の方が、保持筒33の位置が左右内方側に位置することから、非作業状態としたときのロータリー耕耘機1後部側の左右方向の重量バランスを好適に保てるようになっている。なお、片培土器16の非作業状態においては、図1及び図2に1点鎖線で示すように、支持杆16Aを前方(トラクタ2側)に傾斜させて姿勢保持するようにしてもよい。
【0023】この場合、前記支軸34の傾斜、特に前後方向の角度α1の傾斜により、支持杆16Aを前方に傾倒すればするほど片培土器16を左右外方に位置変更することができるようになり、これによって、トラクタ1の前後重量バランスを好適に保ちながら、片培土器16とトラクタ2のロプス2A等との干渉も確実に防止できるようになっている。支持フレーム7の昇降調整機構13は、図7に示すように、トップマスト12の後部材12Aの先端に対して左右軸心回りに回動自在に連結された筒状のホルダ42と、該ホルダ42に軸心回り回動自在に保持されたネジ軸43と、該ネジ軸43の前端部に固定されたハンドル44と、一端部が、支持フレーム7の前後中途部に左右軸心回り回動自在に連結され、他端部が前記ネジ軸43に螺合された可動体45とを有する。
【0024】そして、ハンドル44を介してネジ軸43を回転させることによって、該ネジ軸43の軸心方向に可動体45が出退移動し、これによって支持フレーム7が上下に昇降して位置調整される。本発明における昇降調整機構13には、支持フレーム7が上昇する方向への可動体45の移動を所定に規制するストッパ具46が設けられており、このストッパ具46は、板バネ等によって断面C形に形成されるとともに、ネジ軸43の露出した部分(可動体45とホルダ42との間)に着脱自在に嵌合され、可動体45の前方移動限界、すなわち、支持フレーム7の上昇限界を所定に規制するようになっている。
【0025】この支持フレーム7の上昇限界は、前記片培土器16又は培土器15を上向きの非作業状態とし且つ3点リンク機構3を介してロータリー耕耘機1を最大に上昇した状態で、昇降調整機構13を介して可動体45を前側(上側)に移動したとき、片培土器16又は培土器15がトラクタ2側(特にロプス2A)に干渉しない限度のところに設定されるようになっている。したがって、培土器15又は片培土器16を非作業状態としてロータリ耕耘機1を上昇させた場合であっても、培土器15又は片培土器16がトラクタ2側に干渉することは無く、これらの破損等を防止できるようになっている。
【0026】なお、この昇降調整機構13のストッパ具45は、長さの異なるものを付け替えることによって、農機具の種類に応じて支持フレーム7の上昇限界を容易に変更できるようになっている。図8には、耕耘カバー6を構成する前部カバー6Cの詳細を示しており、本実施形態にかかる前部カバー6Cは、上部カバー6Aに対して前後に折り畳み自在(回動自在)に設けられたものとなっている。従来、この種の折り畳み自在な前部カバー6Cは、トラクタの走行振動等により、その回動支軸を中心として上下に振動したり、回動支軸部分でガタつきを生じたり、また、走行振動等に共振してカバーが板面方向に振幅するようなことが生じていた。
【0027】そこで、以下に説明する本実施形態の前部カバー6Cでは、かかる振動等の問題を好適に防止できる構造を採用している。前記前部カバー6Cは、カバー本体51と、カバー本体51の左右側部に取り付けられた枠部材52とを有し、この枠部材52の一端には左右方向に貫通する取付孔54が形成され、該取付孔54に左右外方に突出する枢支軸(第1枢支軸)55が挿入されている。また、側部カバー6Dには、左右方向に貫通する軸孔53が形成され、該軸孔53に第1枢支軸55が抜止された状態で挿通されるようになっている。
【0028】また、枠部材52の他端部は左右外方に屈曲されており、この屈曲部52Aには挿通孔52Bが形成されるとともに、ロッド57が挿入されるようになっている。このロッド57の一端部は左右外方に屈曲され、その屈曲部57Aが、前記枢支軸55の前側において側部カバー6Dに回動自在に挿通され、屈曲部57A近傍に取り付けた座58と枠部材52の屈曲部52Aとの間のロッド57上には、圧縮コイルバネ59が圧縮された状態で套嵌されるようになっている。なお、60は挿通孔52Bに対するロッド57の抜止めを為す抜止ピンである。
【0029】カバー本体51後部の左右略中央には、後方が開放したコ字状の取付部材61が設けられており、該取付部材61の一側面には左右方向に貫通する第2の取付孔62が形成され、この第2取付孔62には左右方向の第2枢支軸63が挿通されている。また、上部カバー6Aの前端左右略中央には、連結片64が前方突出されるとともに、この連結片64に第2の軸孔65が貫通して形成され、この第2の軸孔65に前記第2枢支軸63が抜止された状態で挿入されるようになっている。
【0030】図9には前部カバー6Cの作用状態を、図11には折り畳み状態を、図10には折り畳み途中の状態(作用状態と折り畳み状態との略中間の状態)をそれぞれ示しており、図9の作用状態から、前部カバー6Cを第1,第2枢支軸55,63を支点として後方(矢示A方向)に回動すると、その途中で、図10に示すように圧縮コイルバネ59が大きく圧縮され、この状態を超えて更に矢示A方向に回動すると、圧縮コイルバネ59の弾性復元力によって、図11に示す折り畳み状態へと姿勢変更する。
【0031】逆に、この状態から前方(矢示B方向)に前部カバー6Cを回動すると、上記と同様に回動途中で圧縮コイルバネ59が大きく圧縮され、その弾性復元力により作用状態に姿勢変更するようになっている。また、圧縮コイルバネ59は、作用状態又は折り畳み状態においても圧縮された状態となっており、その弾性復元力が前部カバー6Cを各姿勢に保持するように作用し、走行振動等に伴って前部カバー6Cが枢支軸55,63回りに振動するのを防止できるようになっている。
【0032】なお、上記のロッド57や圧縮コイルバネ59は、前部カバー6Cの左右片方のみに設けることも可能であるが、左右幅の広い前部カバー6Cの場合には、図例のように左右両方に設ける方が好ましい。前記第1,第2枢支軸55,63は、互いに軸心Y1,Y2が偏心して設けられている。具体的には、第1の枢支軸55の軸心Y1に対して第2の枢支軸63の軸心Y2が間隔tだけ前上方(作用状態の前部カバー6Cの板面方向)に偏心されており、図10に示す折り畳み中途状態のときに、第1,第2軸孔53,65及び第1,第2取付孔54,62と、第1、第2枢支軸55,63との位置関係が適正に設定(前部カバー6Cに撓みを生じさせることがないように設定)されている。
【0033】そして、前部カバー6Cを作用状態に姿勢変更すると、各枢支軸55,63の偏心によって、カバー本体51の左右中央部を左右両側に相対して押し上げるような力が発生し、この力によって、カバー本体51に板面方向に強制的に撓みを生じさせるとともに、その撓みに対する弾性復元力で、各軸孔53,65及び各取付孔54,62に対して各枢支軸55,63を押しつけるようになっている。逆に、折り畳み状態に姿勢変更したときには、各枢支軸55,63の偏心によって、カバー本体51の左右中央部を左右両側に相対して押し下げるような力が発生し、カバー本体51に逆方向の撓みを生じさせるとともに、その弾性復元力により各軸孔53,65及び各取付孔54,62に対して各枢支軸55,63を押しつけるようになっている。
【0034】このように、作用状態及び折り畳み状態でカバー本体51をその板面方向に強制的に撓ませる(外力を加える)ことにより、走行振動等に伴ってカバー本体51が同方向に共振するのを防止できるようになり、また、各枢支軸55,63と、各孔53,54,62,65との間のガタつきも防止できるようになっている。なお、第1、第2枢支軸55,63と、各軸孔53,65との間をガタつきを防止する手段としては、上記構成に代えて又は加えて、図12に示すように、各軸55,63と各軸孔53,65との間にブッシュ66を介装するようにしてもよい。
【0035】また、第2枢支軸63の左右位置は、カバー本体51の左右中央に限ることなく、左右方向の中途位置であれば良く、また、複数の第2枢支軸63を左右等間隔で又は不等間隔で設けるようにしても良い。本発明は、上記実施形態に限ることなく適宜設計変更可能である。例えば、両培土器及び片培土器を非作業状態としたときに、両培土器側を片培土器から左右に離反するように位置変更させてもよい。また、農機具としては、培土器(両培土器、片培土器)に限定されるものではなく、畝立器、プラウ等のあらゆる農機具を対象とすることができる。
【0036】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、農機具を非作業状態としたときに、走行車両や他の農機具との干渉を好適に防止することができるようになる。
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成12年2月4日(2000.2.4)
【代理人】 【識別番号】100061745
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 敏雄
【公開番号】 特開2001−211706(P2001−211706A)
【公開日】 平成13年8月7日(2001.8.7)
【出願番号】 特願2000−28166(P2000−28166)