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【発明の名称】 四輪駆動型の農用トラクタ
【発明者】 【氏名】渡部 良

【氏名】片山 良行

【氏名】飯田 聡

【要約】 【課題】機体の後部に対地作業装置を昇降操作自在に連結した四輪駆動型の農用トラクタにおいて、畦際での旋回時の操作性を向上させる。

【解決手段】畦際での旋回時に前輪変速装置が標準状態から増速状態に切換操作され旋回中心側のサイドブレーキが弱制動状態に切換操作されると、対地作業装置56用のアクチュエータ57を上昇側に自動的に作動させる操作手段を備えるとともに、その自動的に作動させる操作手段を作動状態と作動停止状態とに切り換えることのできる切換手段を設けてある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 前輪(1)と後輪(2)とが略同じ速度で駆動される標準状態、及び前輪(1)が後輪(2)よりも高速で駆動される増速状態に切換操作自在な前輪変速装置(7)と、前記前輪(1)を右又は左に操向操作するパワーステアリング機構(21)と、前記左右の後輪(2)を各々独立に制動可能なサイドブレーキ(27)と、機体の後部に連結される対地作業装置(56)を昇降操作するアクチュエータ(57)とを備えるとともに、前記前輪(1)が操向操作されると、前記前輪変速装置(7)を標準状態から増速状態に切換操作し前記パワーステアリング機構(21)によって前記旋回中心側のサイドブレーキ(27)を弱制動状態に操作し前記アクチュエータ(57)を上昇側に自動的に作動させる操作手段を設け、人為的操作具(63)からの操作信号に基づいて、前記対地作業装置(56)を自動的に上昇させる前記操作手段を、作動状態と作動停止状態とに選択切換操作可能な切換手段を備えてある四輪駆動型の農用トラクタ。
【請求項2】 エンジン(3)の停止操作に連動して、切換手段を作動停止状態側に切換操作する牽制手段を備えてある請求項1記載の四輪駆動型の農用トラクタ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、機体の後部にロータリ耕耘装置等の対地作業装置を昇降操作自在に連結した四輪駆動型の農用トラクタに関する。
【0002】
【従来の技術】前述のような農用トラクタにおいて、機体の後部にロータリ耕耘装置(対地作業装置に相当)を連結して圃場の耕耘作業を行う場合には、機体が畦際に達すると昇降レバー等を操作してロータリ耕耘装置を上昇操作し、操縦ハンドルを操作して機体を180°旋回させ、昇降レバー等を操作しロータリ耕耘装置を再び下降操作して耕耘作業を行うような操作を行っている。そして、前輪と後輪とが略同じ速度で駆動される標準状態、及び前輪が後輪よりも高速で駆動される増速状態に切換操作自在な前輪変速装置を備えて、前輪が右又は左に設定角度以上に操向操作されると、前輪変速装置が標準状態から増速状態に切換操作されるように構成して、前輪の増速作用により畦際で円滑に小回り旋回が行えるように構成した農用トラクタがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前述のような農用トラクタでは圃場での作業時に機体が畦際に達すると、作業者は昇降レバー等による対地作業装置の上昇操作を行い、操縦ハンドルによる機体の旋回操作を行うと言うように、2つの操作を行わなければならないので、操作性の面で改善の余地がある。本発明は前述のような農用トラクタにおいて前輪変速装置を装備した場合、この前輪変速装置を有効に利用して旋回時の操作性を向上させることを目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の特徴は以上のような四輪駆動型の農用トラクタにおいて、次のように構成することにある。つまり、[ 1]前輪と後輪とが略同じ速度で駆動される標準状態、及び前輪が後輪よりも高速で駆動される増速状態に切換操作自在な前輪変速装置と、前輪を右又は左に操向操作するパワーステアリング機構と、左右の後輪を各々独立に制動可能なサイドブレーキと、機体の後部に連結される対地作業装置を昇降操作するアクチュエータとを備えるとともに、前輪が操向操作されると、前輪変速装置を標準状態から増速状態に切換操作しパワーステアリング機構によって旋回中心側のサイドブレーキを弱制動状態に操作しアクチュエータを上昇側に自動的に作動させる操作手段を設け、人為的操作具からの操作信号に基づいて、対地作業装置を自動的に上昇させる操作手段を、作動状態と作動停止状態とに選択切換操作可能な切換手段を備えてある。
【0005】[ 2]前項[ 1] の構成において、エンジンの停止操作に連動して、切換手段を作動停止状態側に切換操作する牽制手段を備えてある。
【0006】
【作用】[ I]前項[ I] のように構成すると、作業者が操縦ハンドルを操作して前輪を右又は左に操向操作して機体を旋回させ始めると、前輪変速装置が標準状態から増速状態に切換操作されパワーステアリング機構によって旋回中心側のサイドブレーキが弱制動状態に切換操作されて機体が小回り旋回を開始すると、下降操作されている対地作業装置が自動的に上昇操作される。これにより、作業者は操縦ハンドルによる前輪の操向操作を行うだけでよく、昇降レバー等を操作して対地作業装置を上昇操作する必要がない。
【0007】対地作業装置の種類によっては地面に接地した状態で機体を旋回させると支障の生じるものや、全く上昇させずに接地した状態のままで機体を旋回させても良いようなものがある。そこで、前項[ I] のように構成すると、作業者が操作具を操作して前記操作手段を作動停止状態に設定することができ、地面に接地した状態で機体を旋回させると支障の生じる対地作業装置の場合には、操縦ハンドルにより前輪を操向操作する前に、対地作業装置を上昇操作してから機体を旋回させればよく、全く上昇させずに接地した状態のままで機体を旋回させても良い対地作業装置の場合には、そのまま対地作業装置を上昇操作させずに機体を旋回させればよい。
【0008】[II]前項[2]のように構成すると、前項[1]の構成の場合と同様に前項[I]に記載の「作用」を備えており、これに加えて以下のような「作用」を備えている。前項[2]のように構成すると、作業者が農用トラクタのエンジンを一度停止させてしまうと、対地作業装置を自動的に上昇させる操作手段が作動停止状態に切換操作されるのであり、次にエンジンを始動した際には常に、前記操作手段が作動停止状態となっている。これにより、エンジンの始動後に作業者が意識しない限り、旋回時に対地作業装置が自動的に上昇操作される作動状態は設定されないことになる。
【0009】
【発明の効果】請求項1のように構成すると、作業者が操縦ハンドルを操作して機体を旋回させ始めると、前輪変速装置が標準状態から増速状態に切換操作されて機体が小回り旋回を開始すると、対地作業装置が自動的に上昇操作されるので、このときに作業者が昇降レバー等を操作して対地作業装置を上昇操作する必要がなくなり、旋回時の操作性を向上させることができた。切換手段を操作することによって、対地作業装置の種類や作業状態に応じて操作手段を作動状態及び作動停止状態に設定できるので、農用トラクタの作業性を向上させることができる。
【0010】請求項2のように構成すると、請求項1のように構成した場合と同様に前述の請求項1の「発明の効果」を備えている。そして、請求項2のように構成すると、エンジンの始動後に作業者が操作具を意識して操作しない限り、旋回時に対地作業装置が自動的に上昇操作される作動状態は設定されないので、作業者は作動停止状態となっていると思っていても実際には作業状態が設定されていると言うような、作業者の勘違いを少なくすることができる。
【0011】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
[1]図10に示すように前輪1及び後輪2で支持された機体の前部にエンジン3、機体の後部にミッションケース4を搭載して、四輪駆動型の農用トラクタを構成している。ミッションケース4の後部の一本のトップリンク53及び2本のロアリンク55により、ロータリ耕耘装置56(対地作業装置に相当)が昇降自在に連結されている。ミッションケース4の上部に左右一対のリフトアーム58が揺動自在に支持され、リフトアーム58とロアリンク55とがリフトロッド59によって連結されており、リフトアーム58を上下に揺動操作する油圧シリンダ57(アクチュエータに相当)がミッションケース4に備えられている。
【0012】図2に示すように、エンジン3からの動力はミッションケース4内の走行用の主変速装置(図示せず)、第1副変速装置(図示せず)及び第2副変速装置(図示せず)に伝達され変速操作されて、後輪デフ機構5から左右の後輪2に伝達され、後輪デフ機構5から分岐した動力が、前輪変速装置7から前輪伝動軸8及び前輪デフ機構6を介して左右の前輪1に伝達される。
【0013】[2]次に、前輪変速装置7について説明する。図9に示すように、後輪デフ機構5の直前から分岐した動力が伝動ギヤ16から第1標準ギヤ12に伝達され、この第1標準ギヤ12及び伝動軸11を介して第1増速ギヤ13に伝達される。前輪1への前輪伝動軸8に第2標準ギヤ9及び第2増速ギヤ10が相対回転自在に外嵌されており、第1及び第2標準ギヤ12,9、第1及び第2増速ギヤ13,10の各々が咬合している。
【0014】前輪伝動軸8にスプライン構造にてスライド自在にシフト部材14が外嵌されており、このシフト部材14を第2標準ギヤ9に咬合させると、前輪1が後輪2と略同じ速度で駆動される標準状態で動力が伝達される。逆に、第2増速ギヤ10と前輪伝動軸8との間に構成された摩擦クラッチ15を、シフト部材14により押圧入り操作すると、前輪1が後輪2よりも高速で駆動される増速状態で動力が伝達される。
【0015】次に、前輪変速装置7のシフト部材14の操作系の構造について説明する。図9に示すように、シフト部材14用のシフトフォーク17が、軸芯方向に摺動自在な操作軸18に融通用のバネ19を介して外嵌され、バネ19よりも付勢力の弱いバネ20により、シフトフォーク17が第2標準ギヤ9との咬合側(標準状態側)に付勢されている。図2及び図3に示すように、パワーステアリング機構21に前輪1の操向操作用のピットマンアーム22が支持されて、ピットマンアーム22にカム板23が固定されており、機体固定部の縦軸芯P1周りに揺動自在に支持されたカムアーム24のピン24aが、カム板23のカム孔23aに係入されている。そして、ワイヤ25がカムアーム24の先端と図9の操作軸18とに亘って接続されている。
【0016】以上の構造により、図10に示す操縦ハンドル26を操作してパワーステアリング機構21により、ピットマンアーム22が直進位置から右又は左に設定角度以上に揺動操作されると(前輪1が直進位置から右又は左に設定角度以上に操向操作されると)、図4に示すようにカム孔23aとピン24aとのカム作用により、カムアーム24が紙面左方に揺動操作されて、ワイヤ25がカムアーム24側に引き操作される。これにより、図9の操作軸18及びシフトフォーク17が紙面左方にスライド操作され、シフト部材14が摩擦クラッチ15を押圧入り操作して前輪1が増速駆動される。
【0017】[3]図2に示すように、左右の後輪2を各々独立に制動可能なサイドブレーキ27を左右一対備えている。次に、この左右のサイドブレーキ27の操作構造について説明する。図2に示すように左右一対のサイドブレーキ27に対して、一対のブレーキ操作機構33が備えられている。このブレーキ操作機構33は図6及び図7に示すように、軸芯P2周りにL字状のブレーキアーム28が揺動自在に支持されており、ブレーキアーム28の紙面下端とサイドブレーキ27とが、連係ロッド29により各々連動連結されている。図2及び図3に示すように機体の操縦部の右側に左右一対のサイドブレーキペダル30が備えられており、サイドブレーキペダル30とブレーキアーム28の一端が、連係ロッド31及び連結ピン32により連動連結されている。
【0018】以上の構造により例えば左側のサイドブレーキペダル30を踏み操作すると、図8に示すように連係ロッド31が紙面上方に引き操作され、ブレーキアーム28が紙面反時計方向に揺動して、連係ロッド29により左側のサイドブレーキ27が制動側に操作される。
【0019】[4]次に、左右のサイドブレーキ27と前輪1用のパワーステアリング機構21との連係について説明する。図6及び図7に示すように、ブレーキ操作機構33の軸芯P2周りに操作アーム34が、ブレーキアーム28に対して独立に揺動自在に支持されており、操作アーム34の先端の支持ピン35周りに、連係アーム36が揺動自在に支持されている。連係アーム36を図7の紙面時計方向に付勢するバネ37が支持ピン35に取り付けられており、連係アーム36の紙面左側辺に縦長状の凹部36aが形成されている。これによりバネ37の付勢力で、連係アーム36の凹部36a内に、ブレーキアーム28の連結ピン32が入り込んでいる。
【0020】図2,3,5に示すように、機体前部の右のフレーム38の縦軸芯P3周りに右操作アーム39が揺動自在に支持されており、右のブレーキ操作機構33の操作アーム34の支持ピン35と右操作アーム39とが、バネ40及びワイヤ41により連動連結されている。左のフレーム38の縦軸芯P4周りに支持軸42が回動自在に支持されており、支持軸42の上端に左第1操作アーム43が固定され、下端に左第2操作アーム44が固定されている。左のブレーキ操作機構33の操作アーム34の支持ピン35と左第2操作アーム44とが、バネ40及びワイヤ41により連動連結されている。右操作アーム39及び左第2操作アーム44を図3に示す姿勢で止めるストッパー46が、左右のフレーム38に固定されている。又、図7及び図6に示すように、ブレーキ操作機構33の操作アーム34の支持ピン35に、操作アーム34を図7の紙面時計方向側に付勢するバネ45が取り付けられている。
【0021】図4に示すように、例えば前輪1を左に設定角度以上に操向操作すると、ピットマンアーム22が紙面下方に揺動して、カム板23が左第1操作アーム43に接当し、左第1及び左第2操作アーム43,44が紙面時計方向に揺動操作される。これにより、左のワイヤ41が左第1及び左第2操作アーム43,44側に引き操作されて、左のブレーキ操作機構33の操作アーム34が紙面反時計方向に揺動する。
【0022】この場合、図4に示すように連係アーム36の凹部36a内にブレーキアーム28の連結ピン32が入り込んでいるので、操作アーム34の揺動に伴い連係アーム36が紙面上方に引き上げられ、凹部36aと連結ピン32との係合によりブレーキアーム28も紙面反時計方向に揺動操作されて、左のサイドブレーキ27が弱制動状態に操作される。このサイドブレーキ27の弱制動状態とは、機体の旋回に伴い旋回中心側(制動側)の後輪2が引きずられるような状態になると、サイドブレーキ27の制動力が負けて旋回中心側(制動側)の後輪2が少し回転するような状態である。この場合、図4に示すように左右のワイヤ41のアウター41aの両端を、固定のブラケット54に対して各々一対のナット47により固定して、アウター41aの固定位置を調節できるように構成し、ワイヤ41の引き操作量(サイドブレーキ27の制動側への操作量)を調節して、サイドブレーキ27の制動力を微調節できるようにしている。
【0023】前述のように前輪1の操向操作により一方のサイドブレーキ27が弱制動状態に操作されると、図4に示すカム板23とカムアーム24との作用によりワイヤ25が引き操作されて、前述のように前輪変速装置7が標準状態から増速状態に切換操作される。これにより、前輪1を設定角度以上に操向操作すると、前輪変速装置7が増速状態に切換操作されて前輪1が増速駆動され、右又は左のブレーキ操作機構33の作用により、旋回中心側の後輪2のサイドブレーキ27が弱制動状態に操作される。
【0024】図4及び図7に示すように、サイドブレーキペダル30側の連係ロッド31に長孔31aを設けて、この長孔31aに連結ピン32を挿入している。これにより、前述のように前輪1を設定角度以上に操向操作して、図4に示すように操作アーム34及びブレーキアーム28が紙面反時計方向に揺動しても、長孔31a内を連結ピン32が紙面上方に移動するだけで、サイドブレーキペダル30は操作されない。又、図3に示す状態(直進状態でワイヤ41が引き操作されていない状態)において、サイドブレーキペダル30を踏み操作して連係ロッド31が紙面上方に移動した場合、図8に示すようにブレーキアーム28が紙面反時計方向に揺動して、連結ピン32が連係アーム36の凹部36a内を紙面上方に移動するだけであり、操作アーム34及び連係アーム36は図3及び図8に示す姿勢のままで動くことはない。
【0025】[5]次に、前輪1を設定角度以上に操向操作した場合に、前述のように旋回中心側のサイドブレーキ27が自動的に弱制動状態に操作される状態と、操作されない状態との切換構造について説明する。図2及び図7に示すように、機体の操縦部に操作レバー50が揺動操作自在に支持されており、左右のブレーキ操作機構33の連係アーム36の各々と操作レバー50とに亘って、一対のワイヤ51が接続されている。
【0026】図7の実線に示す状態は、操作レバー50をON位置に操作している状態であり、左右のブレーキ操作機構33における連係アーム36が紙面時計方向に揺動操作されて、連係アーム36の凹部36a内にブレーキアーム28側の連結ピン32が入り込んでいる状態である。この状態で、例えば前輪1を左に設定角度以上に操向操作すると、図4に示すように左のブレーキ操作機構33の操作アーム34が紙面反時計方向に揺動し、凹部36aと連結ピン32との係合により、ブレーキアーム28が紙面反時計方向に揺動操作されて左のサイドブレーキ27が弱制動状態に操作される。
【0027】次に操作レバー50をOFF位置に操作すると、一対のワイヤ51が操作レバー50側に引き操作され、図7の二点鎖線に示すように左右のブレーキ操作機構33の連係アーム36が紙面反時計方向に揺動操作されて、連係アーム36の凹部36aがブレーキアーム28側の連結ピン32から紙面右方に離れる。この状態で、例えば前輪1を左に設定角度以上に操向操作しても、左のブレーキ操作機構33の操作アーム34が紙面反時計方向に揺動するだけで、ブレーキアーム28が紙面反時計方向に揺動操作されることはなく、左のサイドブレーキ27は弱制動状態に操作されることはない。
【0028】[6]次に、ロータリ耕耘装置56の昇降操作について説明する。この農用トラクタは、ロータリ耕耘装置56を地面から設定高さに維持し耕耘深さを一定に保つ自動耕深制御手段、及び機体に対するロータリ耕耘装置56の高さを設定位置に維持するポジション制御手段を制御装置49に備えている。
【0029】図1に示すように、ロータリ耕耘装置56に上下揺動自在に設けられた後部カバー56aの上下揺動角度を検出する耕深センサー56bを設けている。これにより自動耕深制御手段は、耕深センサー56bの検出値が機体に設けられたポテンショメータ型式の耕深設定器48の設定耕耘深さとなるように、油圧シリンダ57用の制御弁60を切換操作して、油圧シリンダ57及びリフトアーム58によりロータリ耕耘装置56を自動的に昇降操作する。
【0030】リフトアーム58の基部に、機体に対するリフトアーム58の上下角度を検出する角度センサー52を設けている。これによりポジション制御手段は、角度センサー52の検出値が機体に設けられた昇降レバー61(人為的に操作される操作具に相当)で設定される目標値となるように、制御弁60を切換操作して油圧シリンダ57によりリフトアーム58を上下に揺動操作する。従って、ロータリ耕耘装置56が地面より上方に位置している場合には、作業者が昇降レバー61を操作することによって、ポジション制御手段により機体に対するロータリ耕耘装置56の位置を任意に上下に変更操作することができる。そして、昇降レバー61によりロータリ耕耘装置56を地面に接する位置にまで下降操作すると、自動耕深制御手段が作動する状態に自動的に切り換わり、耕深センサー56bの検出値が耕深設定器48の設定耕耘深さとなるようにロータリ耕耘装置56が自動的に昇降操作される。
【0031】ロータリ耕耘装置56を機体に対する所定の高さまで一気に上昇操作する昇降スイッチ62(人為的に操作される操作具に相当)を備えている。これにより、昇降スイッチ62を押して入り操作すると、前述のポジション制御手段及び自動耕深制御手段に優先して制御弁60が操作されて、ロータリ耕耘装置56が機体に対する所定の高さまで一気に上昇操作されるのであり、昇降スイッチ62をもう一度押して切り操作すると、ロータリ耕耘装置56が元の位置にまで下降操作されて、前述のポジション制御手段又は自動耕深制御手段の状態に戻る。
【0032】[7]次に、ロータリ耕耘装置56の昇降操作と前輪変速装置7及び左右のサイドブレーキ27との関係について、図11及び図12に基づいて説明する。図2及び図3に示すように、前輪変速装置7用のカムアーム24が揺動操作された際に、カムアーム24が接触するリミットスイッチ64が左のフレーム38の内側に固定されている。そして、旋回時にロータリ耕耘装置56を自動的に上昇操作する自動上昇手段を制御装置49に備えている。
【0033】これにより、自動上昇手段用の切換スイッチ63(図1参照)(人為的に操作される操作具に相当)を一度押し操作してON操作すると(ステップS2)、切換スイッチ63に内蔵されるランプ63aが点灯して(ステップS3)、自動上昇手段が作動状態に設定される(ステップS4)(切換手段に相当)。
【0034】この状態において、機体が畦際に達し作業者が操縦ハンドル26を操作して、ピットマンアーム22が直進位置から例えば左の設定角度以上に揺動操作されると(前輪1が直進位置から左に設定角度以上に操向操作されると)、図4に示すようにカムアーム24が紙面左方に揺動操作され、前輪変速装置7が増速状態に切換操作されて前輪1が増速駆動されるのであり、カム板23により左第1操作アーム43が揺動操作されて、左のサイドブレーキ27が弱制動状態に操作される。
【0035】そして、これと同時にカムアーム24がリミットスイッチ64に接触して(ステップS5)、リミットスイッチ64からの信号により制御装置49が制御弁60を切換操作して、自動的にロータリ耕耘装置56が地面から大きく上昇操作される(ステップS6)。又、リミットスイッチ64から信号が来る前に、作業者が昇降レバー61を上昇側に操作したり、昇降スイッチ62を押し操作してON操作すれば、ロータリ耕耘装置56が上昇操作される。以上、前輪1を設定角度以上に操向操作すると、前輪変速装置7を標準状態から増速状態に切換操作しパワーステアリング機構21によって旋回中心側のサイドブレーキ27を弱制動状態に操作しアクチュエータ57を上昇側に自動的に作動させる操作手段と称する。
【0036】以上のようにして畦際での180°の旋回が終了すると、作業者は昇降スイッチ62を押し操作するか、又は昇降レバー61を下降側に操作すれば(ステップS7)、制御装置49により制御弁60が切換操作されて、上昇状態のロータリ耕耘装置56が下降操作される(ステップS8)(下降操作手段に相当)。
【0037】以上の状態において、切換スイッチ63をもう一度押し操作してOFF操作すると(ステップS9)、ランプ63aが消えて(ステップS10)、ステップS1,S2からステップS11に移行し、自動上昇手段が作動停止状態に設定される(切換手段に相当)。この状態では、前述のようにピットマンアーム22が直進位置から右又は左の設定角度以上に揺動操作されても、ロータリ耕耘装置56は自動的には上昇操作されず、作業者は昇降スイッチ62を押し操作するか、又は昇降レバー61を上昇側に操作することにより、ロータリ耕耘装置56を上昇操作する。
【0038】そして、エンジン3を一度停止操作すると(ステップS1)、自動上昇手段が作動停止状態に設定される(ステップS11)(牽制手段に相当)。従って、図1のキースイッチ65によりエンジン3を再び始動操作した際には、自動上昇手段が作動停止状態に設定されているのであり、切換スイッチ63を押してON操作しない限り、自動上昇手段は作動停止状態となっている。
【0039】[別実施例]前述の実施例では前輪変速装置7用のカムアーム24に一つのリミットスイッチ64を設けているが、これを図13に示すように右操作アーム39及び左第2操作アーム44の各々に、一対のリミットスッチ64を設けるように構成してもよい。
【0040】尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を便利にする為に符号を記すが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。
【出願人】 【識別番号】594094098
【氏名又は名称】渡部 良
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成6年6月6日(1994.6.6)
【代理人】 【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
【公開番号】 特開2001−178207(P2001−178207A)
【公開日】 平成13年7月3日(2001.7.3)
【出願番号】 特願2000−344917(P2000−344917)