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【発明の名称】 茶葉摘採機等における操舵制御装置
【発明者】 【氏名】松村 鋼司

【氏名】山田 幸男

【要約】 【課題】茶畝の幅が変化した場合でも、茶樹の中心及び茶葉摘採装置等の中心が一致するように、茶葉摘採機の走行装置の進行方向を制御することが可能な茶葉摘採機等における操舵制御装置の提供。

【解決手段】茶樹検知手段を、茶樹裾部との接触状態に応じて揺動可能に配設した左右1対の前進用茶樹検知手段(検知板)71で構成し、左右1対の前進用茶樹検知手段71のうち、一方の前進用茶樹検知手段71と茶樹裾部との当接角度が所定値を越えたことが、予め設定した所要時間を経過しても検出されている場合に、他方の前進用茶樹検知手段71によって検出された当接角度を優先して走行装置3の進行方向を制御する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 茶畝をまたぐようにして車体本体の左右下部に1対の走行装置を配置するとともに、該1対の走行装置に正逆回転可能な駆動源によって駆動される左右1対の駆動手段をそれぞれ配設し、前記駆動源を制御することによって前記左右1対の駆動手段による駆動力を変化させて前記走行装置の進行方向を制御する操舵制御手段、及び両側の茶樹裾部と前記各走行装置との間の距離を測定して該距離を前記操舵制御手段に入力する左右1対の茶樹検知手段を備えた茶葉摘採機等における操舵制御装置であって、前記左右1対の茶樹検知手段のうち、一方の茶樹検知手段によって測定される茶樹裾部との距離が所定範囲を越えたことが、予め設定した所要時間を経過しても検出されている場合に、前記操舵制御手段は前記左右1対の茶樹検知手段のうち、他方の茶樹検知手段によって測定される他方の茶樹裾部までの距離を優先的に用いて前記走行装置の進行方向を制御することを特徴とする茶葉摘採機等における操舵制御装置。
【請求項2】 前記茶樹検知手段は、両側の茶樹裾部と当接するように揺動可能に車体フレームに配設され、且つ茶樹裾部との当接角度を検出して該当接角度を前記操舵制御手段に入力する左右1対の検知板であり、該左右1対の検知板のうち、一方の検知板によって検出される茶樹裾部との当接角度が所定値を越えたことが、予め設定した所要時間を経過しても検出されている場合に、前記操舵制御手段は前記左右1対の検知板のうち、他方の検知板によって測定される他方の茶樹裾部との当接角度に基づく距離データを優先的に用いて前記走行装置の進行方向を制御することを特徴とする請求項1に記載の茶葉摘採機等における操舵制御装置。
【請求項3】 茶畝をまたぐようにして車体本体の左右下部に1対の走行装置を配置するとともに、該1対の走行装置に正逆回転可能な駆動源によって駆動される左右1対の駆動手段をそれぞれ配設し、前記駆動源を制御することによって前記左右1対の駆動手段による駆動力を変化させて前記走行装置の進行方向を制御する操舵制御手段、及び両側の茶樹裾部と前記各走行装置との間の距離を測定して該距離を前記操舵制御手段に入力する左右1対の茶樹検知手段を備えた茶葉摘採機等における操舵制御装置であって、前記操舵制御手段は、前記左右1対の茶樹検知手段によって検知された左右の茶樹までの距離を加算し、該加算された距離に1/2を乗ずることによって平均値を算出し、前記左右1対の走行装置と両側の茶樹裾部までの距離が該平均値となるように該走行装置の進行方向を制御して、車体本体の中心が茶畝の中心と一致するよう所定時間毎に連続的に自動操舵することを特徴とする茶葉摘採機等における操舵制御装置。
【請求項4】 前記操舵制御手段は、前記左右1対の茶樹検知手段によって検知された左右の茶樹までの距離を加算し、該加算された距離に1/2を乗ずることによって平均値を算出し、前記左右1対の走行装置と両側の茶樹裾部までの距離が該平均値となるように該走行装置の進行方向を制御して、車体本体の中心が茶畝の中心と一致するよう所定時間毎に連続的に自動操舵することを特徴とする請求項1または2に記載の茶葉摘採機等における操舵制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、茶葉摘採機等における操舵制御装置に係り、特に茶畝をまたいで走行しながら茶葉の摘採を行う茶葉摘採機の走行方向を自動操舵する操舵制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】茶園管理の省力化及び効率化を図るべく、従来より、クローラ等を備えた走行装置に茶葉摘採装置や茶園管理用の防除装置等を搭載し、茶畝を間に挟んだ状態でクローラにより走行しながら、茶葉の摘採等の作業を行う茶葉摘採機が提案されている。
【0003】このような装置の一例として、特許2760970号公報記載の茶葉摘採機があるが、この茶葉摘採機は、茶畝の両側部を検知する2つのセンサ(検知板)を備え、これらの2つのセンサによって検出される茶畝との当接角度に基づいて、左右に配置されている走行装置の駆動力を制御し、走行装置が茶畝に沿って自動操舵を行いながら走行しうるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前述の公報記載の茶葉摘採機は、茶畝の幅が一定の場合は、湾曲した茶畝の場合でも概ね円滑に自動操舵しながら走行することが可能である。しかし、茶畝の幅が変化しているような場合、例えば右側の茶樹が欠落している茶畝では、茶畝に当接していた右側の検知板が内側に大きく回動して、茶樹裾部との当接角度が変化して所定値を越えるため、走行装置を制御する弁制御装置は、茶畝が左方向にカーブしていると判断し、走行装置を左側に向けるように制御する。すると、左側の検知板は、茶畝から離れて内側に回動するため、再び弁制御装置は茶畝が右側にカーブしていると認識し、今度は、走行装置を右方向に向けるように制御する。
【0005】つまり、片側の茶樹が欠落して幅が狭くなっているような茶畝の場合には、弁制御装置が茶畝の状態を誤って認識することを繰り返すため、走行装置が蛇行を開始するようになり、その結果、クローラが茶畝に食い込んだり、茶樹の中心と茶葉摘採装置等の中心とが一致しない等の事態が発生し、茶葉の摘採作業を円滑に行うことができなくなるという問題点がある。
【0006】本発明は、このような諸事情に対処するために提案されたものであって、茶畝の幅が変化した場合でも、茶樹の中心及び茶葉摘採装置等の中心が一致するように、茶葉摘採機の走行装置の進行方向を制御することが可能な茶葉摘採機等における操舵制御装置を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】(1)上記目的を達成するために、本発明は、茶畝をまたぐようにして車体本体の左右下部に1対の走行装置を配置するとともに、該1対の走行装置に正逆回転可能な駆動源によって駆動される左右1対の駆動手段をそれぞれ配設し、前記駆動源を制御することによって前記左右1対の駆動手段による駆動力を変化させて前記走行装置の進行方向を制御する操舵制御手段、及び両側の茶樹裾部と前記各走行装置との間の距離を測定して該距離を前記操舵制御手段に入力する左右1対の茶樹検知手段を備えた茶葉摘採機等における操舵制御装置であって、前記左右1対の茶樹検知手段のうち、一方の茶樹検知手段によって測定される茶樹裾部との距離が所定範囲を越えたことが、予め設定した所要時間を経過しても検出されている場合に、前記制御手段は前記左右1対の茶樹検知手段のうち、他方の茶樹検知手段によって測定される他方の茶樹裾部までの距離を優先的に用いて前記走行装置の進行方向を制御する。
【0008】(2)上記(1)項において、前記茶樹検知手段は、両側の茶樹裾部と当接するように揺動可能に車体フレームに配設され、且つ茶樹裾部との当接角度を検出して該当接角度を前記操舵制御手段に入力する左右1対の検知板であり、該左右1対の検知板のうち、一方の検知板によって検出される茶樹裾部との当接角度が所定値を越えたことが、予め設定した所要時間を経過しても検出されている場合に、前記操舵制御手段は前記左右1対の検知板のうち、他方の検知板によって測定される他方の茶樹裾部との当接角度に基づく距離データを優先的に用いて前記走行装置の進行方向を制御する。
【0009】(3)茶畝をまたぐようにして車体本体の左右下部に1対の走行装置を配置するとともに、該1対の走行装置に正逆回転可能な駆動源によって駆動される左右1対の駆動手段をそれぞれ配設し、前記駆動源を制御することによって前記左右1対の駆動手段による駆動力を変化させて前記走行装置の進行方向を制御する操舵制御手段、及び両側の茶樹裾部と前記各走行装置との間の距離を測定して該距離を前記操舵制御手段に入力する左右1対の茶樹検知手段を備えた茶葉摘採機等における操舵制御装置であって、前記操舵制御手段は、前記左右1対の茶樹検知手段によって検知された左右の茶樹までの距離を加算し、該加算された距離に1/2を乗ずることによって平均値を算出し、前記左右1対の走行装置と両側の茶樹裾部までの距離が該平均値となるように該走行装置の進行方向を制御して、車体本体の中心が茶畝の中心と一致するよう所定時間毎に連続的に自動操舵する。
【0010】(4)上記(1)項又は(2)項において、前記操舵制御手段は、前記左右1対の茶樹検知手段によって検知された左右の茶樹までの距離を加算し、該加算された距離に1/2を乗ずることによって平均値を算出し、前記左右1対の走行装置と両側の茶樹裾部までの距離が該平均値となるように該走行装置の進行方向を制御して、車体本体の中心が茶畝の中心と一致するよう所定時間毎に連続的に自動操舵する。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る茶葉摘採機等における操舵制御装置の好適な実施形態を添付図面を参照して説明する。
【0012】図1は本発明に係る操舵制御装置を適用した簡易式乗用型茶葉摘採機(以下、「茶葉摘採機」という。)の一実施形態を示した斜視図、図2はその側面図である。図1に示される茶葉摘採機1は、車体本体2と、走行装置3と、摘採装置4等とから構成されている。
【0013】図1に示されるように、車体本体2は、門型フレーム21,22と、昇降フレーム23と、乗車板24とを具備して構成されている。門型フレーム21,22は、走行装置3の構成部材である左右の1対の補強フレーム35の前部及び後部に、その下端がそれぞれ立設され、車体本体としての骨格が形成されている。車体前側に位置している門型フレーム21は、車体後側の門型フレーム22よりも高さが低くなっている。
【0014】門型フレーム21,22間は、それらの左右両側部が走行方向に沿って連結フレーム25によって連結されており、これらの連結フレーム25は、図2に示されるように、車体前側の門型フレーム21から後方に向けて延長される途中部分には段差部が形成され、これにより連結フレーム25の後端部は門型フレーム22と同一高さとなっている。
【0015】乗車板24は、作業者が乗車したときに、曲げ剛性を確保できる板材で構成されており、その上面には作業者が着席する操縦席26と、操縦席26の前方に位置する操縦部27と、手すり用フレーム28とが設けられている。乗車板24の近傍の連結フレーム25の前側上部には、エンジン60が取り付けられているとともに、門型フレーム21にオイルタンク61が取り付けられている。オイルタンク61は、オイルポンプ62に対して供給されるオイルを貯蔵している。
【0016】補強フレーム35における門型フレーム21,22との間には、昇降フレーム23が左右に立設されており、左右の昇降フレーム23の間には、摘採装置4が支持フレーム41及び昇降体47を介して上下動可能に架設されている。連結フレーム25の昇降フレーム23の頂部に対応する部分には、摘採装置4を昇降させるための昇降モータ48が設置されている。昇降モータ48の後方には、支柱部材25A及びエンジン用のバッテリー29が設置されている。支柱部材25Aは、門型フレーム22の頂部と同一高さとなるように配設され、この支柱部材25Aには荷受部材6が配置される。
【0017】昇降フレーム23の内部には、ネジ棒(不図示)が内蔵されており、昇降モータ48の回転力が図示しない減速機構48Aによって適正な回転数に変換されて伝達されるようになっている。昇降フレーム23のネジ棒は、昇降体47に設けられたボールネジと噛み合ってネジ棒の回転方向に応じて上下に昇降動作を行う。昇降体47は、図2に示されるように、昇降フレーム23と平行に立設されたガイドロッド23aを両側から挟み込むようにして配設された計4つのローラ47aを有し、これらのローラ47aによって昇降体47の昇降動作をガイドするようになっている。
【0018】走行装置3は、駆動輪31及び従動輪32との間に捲装されたゴムクローラ33を備えており、駆動輪31には、駆動源としての油圧モータ34,34´が連結されている。駆動輪31及び従動輪32は、補強フレーム35の両端部にそれぞれ回転可能に支持されており、又、複数の転輪36が、補強フレーム35の駆動輪31と従動輪32との間に回転自在に支持されている。
【0019】図1及び図2に示されるように、摘採装置4は、茶畝を覆うことが可能な円弧状の刈刃43を有し、この刈刃43は、支持フレーム41,41の端部に取り付けられた側板42,42によって往復動自在に支持されている。摘採装置4の左右両端には、エンジン44,45が設置されており、これらのうち、エンジン44は、刈刃43を往復動させるとともに、エンジン45は、送風管46に空気を送り込むようになっている。送風管46には、ノズル46aが複数設けられており、刈刃43の上方から後方に向けて圧力風を吹き付けることによって、刈刃43により摘採された茶葉を後方に吹き飛ばし、支持フレーム41に取り付けられた茶袋等に茶葉を収容するようになっている。
【0020】図3は、本実施形態の操舵制御装置に用いられる油圧制御回路のブロック図である。同図に示されるように、摘採機の油圧制御回路は、方向切換弁63と、回転用方向切換弁64,64´とを具備している。方向切換弁63は、エンジン60によって駆動されるオイルポンプ62から供給されるオイルを各油圧モータ34,34´に供給制御するものであり、回転用方向切換弁64,64´は、油圧モータ34,34´へ供給される油量を制御する電磁駆動式の弁である。
【0021】方向切換弁63及び回転用方向切換弁64,64´は、4ポート2位置制御弁で構成されており、それらのうち、方向切換弁63はオイルの供給及び停止を行うことによって走行装置3を停止させる弁として用いられる。
【0022】回転用方向切換弁64,64´に連通する油路中には、可変絞り弁が設けられており、ポートの連通状態が切り換えられて油路が連通した際には、油圧モータ34,34´へのオイルの供給量が減少するようになっている。回転用方向切換弁64,64´は、通常、可変絞り弁を有する油路の連通を遮断しており、この場合は、油圧モータ34,34´は所定の回転数で回転する。
【0023】図4は、本実施形態の操舵制御装置の回路構成を示したブロック図である。同図において、操舵制御部70の入力側にには、図示しないI/Oインターフェースを介して前進用茶樹検知手段71、図示しない始動スイッチ、前進・後進切換スイッチ等が接続されている。一方、出力側には、油圧モータ34,34´を駆動する回転用方向切換弁64,64´と、方向切換弁63(図4には不図示)とが接続されている。
【0024】図2に示されるように、前進用茶樹検知手段71は、ゴムクローラ33の上方で、且つ門型フレーム21の下部に設置されている。図5は、前進用茶樹検知手段71の構造を示した斜視図である。同図に示すように、前進用茶樹検知手段71は、上部ブラケット71Aと、下部ブラケット71Bと、基軸71Cと、検知板71D等とを備えて構成されている。
【0025】上部ブラケット71A及び下部ブラケット71Bは、門型フレーム21に取り付けられているとともに、これらの上部ブラケット71A及び下部ブラケット71Bには、基軸71Cが回転可能となるように、その上端及び下端が後述する位置調整部材78,79等を介して取り付けられている。基軸71Cには、茶樹の側面と当接する検知板71Dの一辺が取り付けられ、これにより、検知板71Dは基軸71Cともに回動可能となる。
【0026】基軸71Cの検知板71Dの反対側となる部分には、引張バネ74及びストッパ75が設けられており、引張バネ74は、その一端が検知板71Dの取付片71Eに取り付けられているとともに、他端が門型フレーム21に取り付けられている。これにより、検知板71Dは、引張バネ74によって矢印S方向に弾性付勢された状態となる。上部ブラケット71Aと下部ブラケット71Bとの間には、ボルト76を固定する二点鎖線で示す固定部材82が設けられており、ストッパ75がボルト76の先端と当接することによって検知板71Dが、車体の内側へ必要以上に回動するのを規制する。
【0027】検知板71Dは、摘採機の前進時に、茶畝裾部の茶樹を破損することを防止するため、茶畝側に対して中央部が凸状になるように傾斜面71D1,71D1´が形成されている。基軸71Cの上端は、支持板81の一方側の水平部81Aに取り付けられ、この支持板81の水平部には角度センサ77が取り付けられている。この角度センサ77は、基軸71Cの回動量、つまり、茶畝の側面と当接する検知板71Dの揺動方向及び揺動量を機械的に或いは光学的に検出し、その検出結果を図4に示される操舵制御部70に入力するようになっている。具体的には、簡易式乗用型茶葉摘採機1を茶畝に乗り入れたときに、検知板71Dが、茶樹の側面と最初に当接した位置が基準位置となる。
【0028】上部ブラケット71A、及び下部ブラケット71Bには、位置調整部材78,79がそれぞれ配設されており、このうち、位置調整部材78はアングル状に形成され、その水平部分には茶畝の幅方向と同一方向の横長なガイド孔78Aが穿孔されている。位置調整部材79は、やはりアングル状に形成され、基軸71Cの下端を支持するとともに、下部ブラケット71Bと平行な面には、茶畝の幅方向と同一方向の横長なガイド孔79Aが穿孔されている。
【0029】基軸71Cを含む検知板71Dは、支持板81及び位置調整部材78と、位置調整部材79とによって、茶畝の幅方向に位置調整可能に取り付けられている。具体的には、基軸71Cの上端は、支持板81の他方側の水平部81Bに形成されている図示しないネジ孔に螺合するボルト80によって、ガイド孔78Aの範囲内で位置調整可能に固定されている。一方、基軸71Cの下端は、位置調整部材79に固定されているとともに、位置調整部材79は、下部ブラケット71Bに形成されている図示しないネジ孔に螺合する2本のボルト80´によって、ガイド孔79の範囲内で位置調整可能に固定されている。実際の茶園管理作業に際しては、茶畝の幅に合わせて、前後左右の各検知板71Dを基軸71Cとともに移動させて、茶畝に対して各検知板71Dが最適な当接状態となるようにすればよい。
【0030】次に、前述のように構成した茶葉摘採機を本実施形態の操舵制御装置によって、茶葉の摘採作業を行う際に、摘採機を茶畝に沿って自動操舵する場合の制御手順について説明するが、以下に示す制御手順は、特に請求項1及び2記載の発明に対応する。
【0031】図4に示すように、操舵制御部70には、前進用茶樹検知手段71、つまり、図5で示した角度センサ77から、茶葉摘採機1が跨いでいる茶畝の側面の茶畝裾部に対する検知板71Dの当接角度が入力されている。即ち、検知板71Dが外側に揺動したことが操舵制御部70に入力された場合には、油圧モータ34,34´のうち、検知板71Dが設けられている側と反対側に位置するクローラ33を駆動する油圧モータへのオイル供給量を減少させるように制御する。一方、検知板71Dが茶畝裾部に入り込む方向、つまり内側に揺動した場合には、油圧モータ34,34´のうち、検知板71Dが設けられている側に位置するクローラ33を駆動する油圧モータへのオイル供給量を減少させるように制御する。
【0032】オイル供給量の制御は、図3に示す回転用方向切換弁64,64´に対して操舵制御部70からの制御信号によってポートの連通状態を切り換えることによって行われる。例えば、回転用方向切換弁64が検知板71Dが設けられている側のクローラ33を駆動する油圧モータ34の切換弁とすると、油圧モータ34に供給されるオイルの一部がリークし、油圧モータ34の回転数が低下するため、クローラ33の速度も低下する。
【0033】一方、検知板71Dが設けられている側と反対側の油圧モータ34´には、通常通りのオイルが供給されるので、油圧モータ34´側のクローラ33は、通常の速度が維持される。その結果、摘採機は、検知板71Dが位置する側と反対方向に向きを変えて進行する。このように、操舵制御部70は、茶畝の幅が変化しない場合には、左右の検知板71Dは茶畝のカーブに沿って平面視ほぼ平行な状態を維持しながら揺動する。このため、同じ幅の茶畝が一定の曲率で湾曲している場合、角度センサ77によって検出される角度の変化量は、左右の検知板71D間でほぼ等しいか、或いは、その差は、それ程大きくない範囲にある。
【0034】以上の操舵制御は、茶畝の幅が変化しない場合であるが、カーブしていない茶畝で、且つ幅が変化している場合は、以下のように制御される。即ち、図6に示されるように、茶葉摘採機1は、左右に配設された1対の検知板71Dが直線状の茶畝90の茶樹裾部と当接しながら矢印Aの方向に進行するが、茶畝90の幅が茶樹の欠落等によって一部変化すると、一方の検知板71D(図6中左側)によって検出される茶樹裾部との当接角度は変化し、他方の検知板71D(図6中右側)による検出角度は変化しないか、或いは所定範囲内に保たれる。この場合、従来の操舵制御では、一方の検知板71Dが揺動することにより茶畝90がカーブしていると判断し、油圧モータ34,34´へのオイルの給排制御を行って走行装置3の進行方向を変化させるが、そうすると、茶樹の中心と摘採機1の中心とが一致しなくなり、古葉を刈り込んだり、或いは茶畝90への食い込み現象(蛇行)が生ずる場合がある。
【0035】そこで、本実施形態では、一方の検知板71Dが予め設定してある所定の角度を超えて揺動したことが検出され、且つ他方の検知板71Dの茶樹との当接角度が予め設定してある所定角度以内にあることが、設定時間(例えば2秒)を越えて検出された場合は、操舵制御部70は、他方の検知板71Dによって検出される当接角度に基づく茶樹裾部との距離データを優先的に利用して走行装置3の進行方向を制御する。
【0036】このため、本実施形態の操舵制御によれば、図6に示されるように、直線状をなす茶畝90の幅が、図中左側で例えば1〜2m等の短い区間で一部が急激に狭くなっている場合でも、茶畝90の中心と摘採機1の中心とが一致した状態を、概ね維持しながら走行装置3を走行させて茶葉の刈り取りを行うことができる。このため、クローラ33が茶畝90に食い込んで、茶畝90を破損するといった事態を未然に防止することができる。これにより、摘採機1の運転の自動化を一歩進めることができ、作業者の運転に要する作業負担を軽減することが可能である。
【0037】一方、摘採機1が茶畝90から離れると、左右の検知板71Dが内側一杯まで回動し、角度センサ77からデータが操舵制御部70に出力されるが、その場合は、図示しない警報装置からブザー等の警報音が発せられて、作業者に注意を喚起する。このため、例えば、作業者が運転席から離れているような場合でも自走して障害物に衝突する等の危険を未然に回避できる。なお、本実施形態では、茶樹検知手段として検知板71Dを用いているが、茶樹裾部との距離を検出することができる各種のセンサ、例えば、光センサ、タッチセンサ等を用いることも可能である。
【0038】次に、本発明の請求項3及び4に対応する操舵制御装置の制御手順について説明する。前述した請求項1及び2に係る制御手順では、左右1対の茶樹検知手段(検知板71D)のうち、一方の検知板71Dと茶樹裾部との当接角度が所定値を越えたことが、予め設定した所要時間を経過しても検出されている場合に、他方の検知板71Dによって検出された当接角度を優先して走行装置3の進行方向を制御している。
【0039】これに対して、請求項3及び4の制御手順は、例えば、図7に示されるように、左側の茶樹が、例えば10mに亘って徐々に幅が狭くなっているような茶畝92の場合には、操舵制御部70は、茶畝92が斜めになり始めた最初の段階で、左の検知板71Dによって検出される当接角度に基づいて、左側の茶樹までの距離L1を算出し、この距離L1と、右側の検知板71Dと茶樹までの距離(図7の場合は0)を加算し、この加算値に1/2を乗ずることによって両側の茶樹裾部までの平均距離L2を算出する。そして、操舵制御部70は、左右の走行装置3と両側の茶樹裾部との距離が、それぞれ平均距離L2となるように走行装置3の進行方向を制御する。この制御手順では、検知板71Dによって所定時間毎に茶樹裾部との当接角度(距離)が検出され、検出された距離から算出される平均距離となるように、つまり、茶樹に当接する左右の検知板71Dの角度が同じ角度になるように走行装置3の進行方向を随時制御する。
【0040】従来は、最初の検知板と茶樹裾部との当接位置を基準として、検知板が常に基準位置となるように自動操舵を行っていたため、茶畝へ茶葉摘採機を進入させる際に、進行方向を作業者自身が微妙にハンドルを操作して正確に進入させなければならなかったが、本実施形態によれば、茶畝への進入時に、誤って一方側に偏って進入したとしても自動的に茶葉摘採機1の中心が茶畝の中心と一致するように自動操舵されるために、ハンドル操作に要する作業負担を軽減できる。
【0041】尚、以上の実施形態では、茶葉摘採機に適用した場合について説明したが、これに限らず、乗用型の防除機、剪枝機等に適用することも可能である。さらに、前述の実施形態では、走行装置の駆動手段としてゴムクローラを用いた場合について説明したが、ホイール(タイヤ)を用いたもの、鉄製のキャタピラを用いたものでもよい。
【0042】加えて、本実施形態は、摘採装置が全面刈りのものに適用した場合ついて説明したが、片面刈りの摘採装置にも本発明を適用可能である。本実施形態では、前進用茶樹検知手段71のみを有する茶葉摘採機について説明したが、後進用茶樹検知手段を有する茶葉摘採機に適用可能なことは勿論である。この場合、後進用茶樹検知手段のみをクローラ33の外側に位置するように設置することも可能である。本実施形態では、駆動手段であるクローラ33の駆動源として油圧モータ34,34´を用いているが、これに限らず、電気モータ或いは内燃機関等、摘採機を走行させることが可能であれば、どのような駆動源を利用してもよい。
【0043】
【発明の効果】請求項1又は2記載の発明によれば、直線状をなす茶畝の幅が一方側で変化した場合に、一方側の検知手段によって検出される茶樹裾部とのデータを利用することなく、他方側の検知手段によって検出されるデータを優先的に利用して、走行装置を制御するようにする。このため、茶葉摘採装置等は、その中心と茶樹の中心とを自動操舵によって一致させながら走行させることが可能であり、古葉の刈り込みや茶畝への食い込み現象を未然に防止することができる。
【0044】請求項3及び4記載の発明によれば、茶畝への進入時に、誤って一方側に茶葉摘採機等が偏って進入した場合でも、自動的に摘採機を茶畝の中心に導くように自動操舵するようにしている。このため、茶葉摘採機等の運転時にハンドル操作に要する負担を軽減することができる。
【出願人】 【識別番号】000250270
【氏名又は名称】落合刃物工業株式会社
【出願日】 平成11年10月29日(1999.10.29)
【代理人】 【識別番号】100063565
【弁理士】
【氏名又は名称】小橋 信淳
【公開番号】 特開2001−120007(P2001−120007A)
【公開日】 平成13年5月8日(2001.5.8)
【出願番号】 特願平11−309965