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【発明の名称】 プラウ用刃先材
【発明者】 【氏名】宅間 靖雄

【氏名】小寺 聡

【要約】 【課題】刃先材の耐摩耗性を高め、低摩擦係数を付与することにより従来問題点を解消して高機能舗装にも対応できるとともに、すそ引き現象の発生を回避できるプラウ用刃先材を提供すること。

【解決手段】芯材11を超高分子量ポリエチレン製とし、その表裏両面に0.1〜5mmのゴム材12,13を設けたこと。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 芯材を超高分子量ポリエチレン製とし、その表裏両面に0.1〜5mmのゴム層を設けたプラウ用刃先材。
【請求項2】 上記超高分子量ポリエチレンに5〜50重量部の弾性材を混入させたことを特徴とする請求項1記載のプラウ用刃先材。
【請求項3】 上記弾性材が産業廃棄物を破砕した材料であることを特徴とする請求項2記載のプラウ用刃先材。
【請求項4】 上記超高分子量ポリエチレンに5〜30重量部のプラスチック粉砕片、繊維屑、木粉を混入させたことを特徴とする請求項1記載のプラウ用刃先材。
【請求項5】 上記超高分子量ポリエチレンに5〜30重量部の無機質材料を混入させたことを特徴とする請求項1記載のプラウ用刃先材。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はプラウ用刃先材に関し、詳しくは除雪車や排土車などに装着されるプラウの接地部分に取り付ける刃先材に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、除雪車に装着されるスノープラウ用刃先材は一般にウレタンゴムが使用されていた。しかるに、最近では一般道路及び高速道路に、騒音防止やスリップ防止等を目的として開発された水捌けのよい高機能舗装、すなわち砂利や小石などの骨材間に空隙を介在させた舗装面が多く施行されている。斯る高機能舗装においては、従来の舗装路面に比べて刃先材の摩耗が促進されるために、従来のウレタン製刃先材では耐久性が不足し耐久性の向上が要請されている。また従来の刃先材では、路面との摩擦係数が大きいために除雪車の燃費が高いとともに、廃棄された刃先材を焼却処理する際に生成するガスの有毒性が高い問題点があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者らはウレタンゴムに代わる超高分子量ポリエチレンを用いて刃先材を作製することにより、高機能舗装に対する耐摩耗性を高めて刃先材の耐久性を高めるとともに、上記従来の問題点を解消し得ることを確認できた。しかしながら、超高分子量ポリエチレン製の刃先材を使用した場合には、新たな問題点、すなわち刃先材が摩耗したときに全体的に摩耗するのではなく、端面とくに後端面に残材Pが薄膜状に残るすそ引き現象(図7参照)を生じる不具合が発見された。この残材Pが刃先材からちぎれて路面に分散された場合には、その上を走行する車両のスリップ発生の原因になることもあるので、前記すそ引き現象を回避する必要がある。
【0004】本発明は、上記従来事情に鑑みて、刃先材の耐摩耗性を高め、低摩擦係数を付与することにより従来問題点を解消して高機能舗装にも対応できるとともに、前記すそ引き現象の発生を回避できるプラウ用刃先材を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】斯る本発明のプラウ用刃先材は、芯材を超高分子量ポリエチレン製とし、その表裏両面に0.1〜5mmのゴム層を設けたことを特徴とする。上記芯材として超高分子量ポリエチレン材を用いることにより、耐摩耗性および高摺動性(低摩擦係数)が改善される。また芯材は、その耐摩耗性を向上させるために超高分子量ポリエチレンを架橋構造とすることが好ましく、また摩擦係数を高めるために好ましくは、超高分子量ポリエチレンにシリコンオイル等の潤滑剤を混入させる。そして、超高分子量ポリエチレン製芯材の表裏両面にゴム層を設けることにより、超高分子量ポリエチレンのみの場合に発生しやすいすそ引き現象を回避することができる。上記ゴム層は、除雪等の作業が主としてプラウの前進時になされるので、芯材の裏面に設けることが効果的であるが、プラウの後退時にも刃先材が接地面に摺動するため芯材の表面にもゴム層を設ける。このゴム層は、表裏各層の厚さをそれぞれ0.1〜5mmとし、各層の厚さが0.1未満の場合では前述したすそ引き現象が解消し得ず、5mmを超える場合には、耐摩耗性が低下して刃先材としての表面積減少率が増加することになり、好ましくは0.5〜3mmとする。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を除雪車に装着されるスノープラウの刃先材について説明する。刃先材Aは、所定長さ(約900mm)からなる複数の刃先ブロック10,10…により構成される場合を例示し、各刃先ブロック10は、スノープラウBの先端に形成された装着溝1に上端部を差し込み配列し、それぞれボルト止めすることにより装着されるものである。各刃先ブロック10は、主体部分である芯材11の表裏両面にゴム材12,13を接着して構成される。この各刃先ブロック10は、規格寸法によれば厚さ(t)が30mm、幅(w)が200mm、長さ(L)が900mmであるが、若干増減された寸法のものが使用される。
【0007】芯材11は、超高分子量ポリエチレンを所定厚さのブロック状に成形したものである。超高分子量ポリエチレンは、高摺動性(低摩擦係数)、耐摩耗性、耐薬品性等の面で優れた特性を有しており、しかも同様な特性を有するフッ素樹脂等に比べてコストが安いことからスノープラウの刃先材として有用である。超高分子量ポリエチレンとしては、従来のウレタンゴムより耐摩耗性を高めるため分子量が250万以上で融点が120℃以上、または極限粘度[η]が20dl/g以上の超高分子量ポリエチレンが好ましく、その他に、メルトフローレートが0.01g/10min以下のエチレン単独重合体、もしくはエチレンと他のα−オレフィン、例えばポロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン等のエチレンを主体とした共重合体で結晶性のものでもよい。
【0008】上記超高分子量ポリエチレンには、ポリブテンやゴム等の弾性材を適宜に混入させ、それにより芯材のクッション性を改善するようにする。その場合には、超高分子量ポリエチレン100重量部に対して弾性材を5〜〜50重量部とする。5重量部未満では改善の効果が少なく、50重量部を超えると前述した超高分子量ポリエチレンの特性が損なわれるからである。なお、弾性材として廃棄タイヤ等の産業廃棄物を利用することもよい。また同様に、上記超高分子量ポリエチレンには、工場等の製造工程で発生するプラスチック粉砕片、繊維屑、木粉などを適宜に混入させることもよい。その場合には、それら混入材の上限は超高分子量ポリエチレンの特性を維持するために30重量部とする。さらに、上記超高分子量ポリエチレンには、無機質材料たとえばタルクやガラスビーズを適宜に混入させて、それにより芯材の剛性を高めるようにする。その場合にも、所期の効果を発揮し、かつ超高分子量ポリエチレンの特性を維持するために、超高分子量ポリエチレン100重量部に対して無機質材料を5〜〜30重量部とする。なお、上記弾性材、プラスチック破砕片等あるいは無機質材料を適宜に混合させて混入させることもよく、その場合の混入量は5〜30重量部とする。
【0009】上記芯材11にゴム材12,13を接着する方法として、例えば特公昭62−24249号のように、未加硫ゴムシートを超高分子量ポリエチレン製芯材11に貼り合わせ、所定の温度に加熱された熱板により単独プレス又は段プレス方式でプレス加硫することで積層するような技術が知られている。ゴム材12,13は、超高分子量ポリエチレンと接着するゴムであればよく、例えば天然ゴム(NR)、スチレン−ブタジェンゴム(SBR)、ブタジェンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、クロロプレンゴム(CR)、ニトリルゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)、クロルスルフォン化ポリエチレン(CSM)、エピクロルヒドリンゴム(CO、ECO)、アクリルゴム(ACM、ANM)、ウレタンゴム(U)、エチレン−プロピレンゴム(EPM)、エチレン−α−オレフィン−ジェン共重合ゴム(EPDM)、フッ素ゴム(FKM)、シリコンゴム(SiR)等を使用できる。このうち、特に接着性や加工容易性の点から、スチレン−ブタジェンゴム(SBR)、エチレン−プロピレンゴム(EPM)、エチレン−α−オレフィン−ジェン共重合ゴム(EPDM)がさらに好適である。
【0010】斯る刃先材Aの一例に、芯材11として分子量が600万、融点が135℃、極限粘度[η]が31dl/gの超高分子量ポリエチレンに3重量部のシリコンオイル及び0.3重量部のグラファイトを入れたものを用い、ゴム材12,13にそれぞれスチレン−ブタジェンゴム(SBR)を用い、それらを芯材11の表裏面全体に接着した刃先ブロック10を作製した。この刃先ブロック10の寸法は、芯材11の厚さ(t1)が28mm、各ゴム材11,12の厚さ(t2)が1mmとし、ブロック10の幅(w)が201mm、長さ(L)が900mmであり、そのブロック10を5個組み合せて刃先材Aとした(図2〜4参照)。
【0011】上記刃先材Aを除雪車のスノープラウBに装着し、舗装面に刃先材Aを接地した状態で耐久テストを行なった。テストは、降雪、降雨なしの完全な乾燥路面の高速道路(中央自動車道)を、走行速度50Km/Hで走行距離4.9Kmを走行することで実施した。テスト結果は、テスト前(図4(a)参照)とテスト後(図4(b)参照)における刃先材Aの表面積の減少率を測定したものであり、減少率は14.2%であった。また、テスト後の刃先材Aにすそ引き現象は発生していなかった。
【0012】比較例として、厚さ(t)が30mmのウレタンゴムを使用した従来の刃先材C1を用いて耐久テストを行なった。具体的なテスト前およびテスト後の寸法は図5に示すとおりであった。テストは、刃先ブロックを4個組み合せた態様であり先のテストと異なるが、テスト条件は先のテストと日時を違えた(先のテストより前)以外は同一の条件下で実施した。そのテスト結果は減少率が38.7%であった。また、他の比較例(試行例)として、厚さ(t)が30mmの超高分子量ポリエチレンのみからなる刃先材C2を用いて耐久テストを行なった。具体的なテスト前およびテスト後の寸法は図6に示すとおりであった。テストは、前記比較例と同じく刃先ブロックを4個組み合せた態様であり、テスト条件は前記比較例と同日に同一の条件下で実施した。そのテスト結果は減少率が13.0%であったが、テスト後の刃先材C2に前記すそ引き現象(図7参照)が発生していた。
【0013】上記耐久テストの結果より、本発明の刃先材Aは、比較例のウレタンゴム製刃先材に較べて耐摩耗性、高摺動性(低摩擦係数)が改善されて、耐久性を高め得ることが確認された。また、比較例(試行例)に較べると、本発明の刃先材Aは、減少率が若干高いことから、耐摩耗性、高摺動性において僅かに劣るもののすそ引き現象が回避されて有用性を向上し得ることが確認された。
【0014】なお、本発明の他のテスト例は次のとおりであった。
■ 芯材11の超高分子量ポリエチレン100重量部に対して弾性材(廃棄タイヤ)を25重量部混入させた耐久テストにおいては、減少率が23.3%でありすそ引き現象は生じなかった。
■ 芯材11の超高分子量ポリエチレン100重量部に対してプラスチック粉砕片(ポリプロピレン)を20重量部混入させた耐久テストにおいては、減少率が25.8%でありすそ引き現象は生じなかった。
■ 芯材11の超高分子量ポリエチレン100重量部に対して無機質材料(タルク)を25重量部混入させた耐久テストにおいては、減少率が27.5%でありすそ引き現象は生じなかった。
【0015】なお、上記実施の形態は除雪車のスノープラウの場合について説明したが、雪の場合だけでなく、道路上の土砂やゴミ等を排除する車両に装着されるプラウの刃先材においても同様の課題があり、本発明の刃先材はそれらのプラウにも適用できるものである。
【0016】
【発明の効果】本発明によれば、超高分子量ポリエチレンの耐摩耗性、高摺動性により従来のウレタンゴム製の刃先材に較べて、耐久性を高めて高機能舗装にも対応可能な刃先材を提供することができるとともに、装着する車両の燃費を抑制することができ、さらに廃棄された刃先材を焼却処理する際でも有毒ガスを発生する問題が解消される、また、超高分子量ポリエチレン製の芯材にゴム層を設けたので、超高分子量ポリエチレンのみからなる場合に発生するすそ引き現象を回避することができ、道路上の安全性を確保することができる。さらに、上記超高分子量ポリエチレンに弾性材やプラスチック粉砕片等を混入すれば、刃先材のクッション性を高めることができるとともに、その弾性材が廃棄タイヤ等の産業廃棄物であれば、刃先材の製造コストを抑制して安価な刃先材を提供することができる。また、上記超高分子量ポリエチレンにタルク等の無機質材料を混入すれば、製造コストの低下に加えて刃先材の剛性を高めることができる。
【出願人】 【識別番号】391033827
【氏名又は名称】作新工業株式会社
【出願日】 平成11年10月7日(1999.10.7)
【代理人】 【識別番号】100068607
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 政名 (外3名)
【公開番号】 特開2001−103801(P2001−103801A)
【公開日】 平成13年4月17日(2001.4.17)
【出願番号】 特願平11−287308