トップ :: A 生活必需品 :: A01 農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業




【発明の名称】 農作業機
【発明者】 【氏名】宮崎 智一

【氏名】小園 千秋

【要約】 【課題】本機の後方にリアヒッチを介して作業部を昇降自在に連結し、しかも、本機とリアヒッチとの間に介設した昇降用油圧シリンダにより作業部を昇降可能とした農作業機において、作業部の急激な接地によるダッシングやエンスト等の不具合を防止する。

【解決手段】作業部が所定の高さに達すると、作業部の降下速度を減速する降下速度減速機構を設けて、作業部の急激な接地を防止する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 本機(1) の後方にリアヒッチ(2) を介して作業部(3) を昇降自在に連結し、しかも、本機(1) とリアヒッチ(2) との間に介設した昇降用油圧シリンダ(33)により作業部(3) を昇降可能とした農作業機(A) において、作業部(3) が所定の高さに達すると、作業部(3) の降下速度を減速する降下速度減速機構(M) を設けて、作業部(3) の急激な接地を防止することを特徴とする農作業機。
【請求項2】 上記降下速度減速機構(M) は、上記昇降用油圧シリンダ(33)の作動を制御する油圧制御弁40に絞りを設けて緩速降下位置(D2)を設定すると共に、リアヒッチ(2) にクッションワイヤ(63)を介し油圧制御弁(40)に連動連結した回動リンク(42)を設け、本機(1) 側に作業部(3) が所定の高さまで降下すると回動リンク(42)に当接する当接体(47)を設けて、作業部(3) が所定の高さまで降下すると、油圧制御弁(40)を緩速降下位置(D2)に操作することを特徴とする請求項1記載の農作業機。
【請求項3】 上記所定の高さを作業部(3) に設けた耕耘爪(28)が接地する直前の地上高に設定したことを特徴とする請求項1又は2記載の農作業機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、農作業機に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、牽引力を有する農業用トラクタ等の本機の後方に、リアヒッチを介してロータリ耕耘機等の作業部を連結し、しかも、作業部を油圧装置により、下方の作業位置と上方の非作業位置との間で昇降自在にした農作業機がある。
【0003】そして、作業部の急激な接地によるダッシング等のショックやエンスト等を防止するために、作業部を昇降させるための油圧シリンダ中に、同シリンダのストロークエンド近傍で作用する絞りを設けて、作業部の降下速度を減速することで、急激な接地による不具合を防止するようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記油圧シリンダ中に絞りを設けたのでは、作業機の重量や作動油の油温によって降下速度が変化して上記不具合を十分に解決できず、また、降下速度減速の開始位置を変更できないので、多様な作業部には対応できず、更に、湿田で本機の沈下量が大きい場合など、減速開始前に作業部が接地したりするなどの問題がある。
【0005】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明では、本機の後方にリアヒッチを介して作業部を昇降自在に連結し、しかも、本機とリアヒッチとの間に介設した昇降用油圧シリンダにより作業部を昇降可能とした農作業機において、作業部が所定の高さに達すると、作業部の降下速度を減速する降下速度減速機構を設けて、作業部の急激な接地を防止することを特徴とする農作業機を提供せんとするものである。
【0006】また、次のような特徴を併せ有するものである。
【0007】上記降下速度減速機構は、上記昇降用油圧シリンダの作動を制御する油圧制御弁に絞りを設けて緩速降下位置を設定すると共に、リアヒッチにクッションワイヤを介し油圧制御弁に連動連結した回動リンクを設け、本機側に作業部が所定の高さまで降下すると回動リンクに当接する当接体を設けて、作業部が所定の高さまで降下すると、油圧制御弁を緩速降下位置に操作すること。
【0008】上記所定の高さを、作業部に設けた耕耘爪が接地する直前の地上高に設定したこと。
【0009】
【発明の実施の形態】本機の後方にリアヒッチと昇降用油圧シリンダとを介して作業部を昇降可能に連結した農作業機において、作業部の急激な接地を防止するための降下速度減速機構を次のように構成する。
【0010】リアヒッチに回動支点を介して回動リンクの基端を回動自在に枢着し、同回動リンクをバネ付勢により、リアヒッチに対する一定姿勢を保持させる。
【0011】本機側に当接体を突設して、作業部が上方位置にある時は、当接体が上記回動リンクに当接せず、作業部が所定の高さまで降下すると回動リンクに当接体が下方から当接するようにする。
【0012】作業機の昇降作動を制御する油圧制御弁中に絞りを設けて、緩速降下位置を設定する。
【0013】上記回動リンクの先端にクッションワイヤのインナの一端を連結し、同インナの他端を上記油圧制御弁のスプールに連動連結する。
【0014】そして、作業部が降下して当接体と回動リンクとが当接すると、回動リンクを上方に押し上げて上記インナを弛緩させ、油圧制御弁のインナを緩速降下位置に移動させて作業部の降下速度を減速することにより、急激な接地による不具合を防止するようにしている。
【0015】また、前記当接体とリアヒッチとの相対位置を変更したり、上記油圧制御弁近傍に減速開始位置調節レバーを設けてクッションワイヤの油圧制御弁側のアウター位置を変更したりすることで、上記緩速降下の開始位置を調節することができるようにしている。
【0016】
【実施例】本発明の実施例について図面を参照して説明する。
【0017】図1は、本発明に係る農作業機Aを示しており、同農作業機Aは、前方に配置した本機1としての農業用トラクタの後方に、リアヒッチ2を介し、作業部3としてのロータリ耕耘機を連結している。
【0018】本機1は、前低後高に傾斜させて配置した平面視略矩形状・側面視略へ字形状のメインフレーム4の下方にサブフレーム5を連結して機体フレーム6を構成し、メインフレーム4の前端部を前高後低に傾斜させて延出し、その上面に操作コラム7を立設し、その上面、左右側面及び左右側方に、それぞれステアリングホイル8、各種操作レバー9及び各種ペダル10等を配設している。
【0019】上記操作コラム7の後方には、所定間隔を設けて座席11を配置し、その右側に作業部3の昇降作動を制御するための昇降レバー12を前後傾動自在に配設し、同座席11の後方にエンジン13を内蔵した原動機部14を配置している。
【0020】また、上記機体フレーム6の下部に前後車軸15,16 を配置して、同前後車軸15,16 の左右端部に、それぞれ左右側の前後車輪17,18 を配設し、メインフレーム4とサブフレーム5との間に配置した走行駆動機構19を介して、上記エンジン13の出力軸20からの動力を左右側の前後車輪17,18 を駆動し、更に、上記出力軸20と、リアヒッチ2の昇降回動中心であるヒッチ軸21と同軸的に設けたPTO軸22とを、テンションクラッチ23を具備するベルト伝動機構24を介し連動連結して、作業部3の昇降作動にかかわりなく作業部3への動力伝達を可能にしている。
【0021】リアヒッチ2は、サブフレーム5の後面に枢支部21a を後方向に突設し、同枢支部21a に左右方向に伸延したヒッチ軸21を架設し、同ヒッチ軸21にリアヒッチ2の前端部を上下回動自在に連結し、メインフレーム4の後端部とリアヒッチ2の上面との間に介設した昇降用油圧シリンダ33の伸縮作動により、同リアヒッチ2の後部に上下係止ピン2a,2b を介して着脱自在に連結した作業部3を昇降させるようにしている。
【0022】作業部3は、作業部フレームを兼ねる伝動ケース25を前高後低に傾斜させて配置し、同伝動ケース25の上下部に、それぞれ左右方向に伸延した入力軸26と耕耘軸27とを軸架し、同入力軸26と耕耘軸27とを伝動ケース25中に設けたチェン伝動機構により連動連結し、入力軸26と前記PTO軸22との間にベルトを巻回して、エンジン13からの動力により、耕耘軸27に多数植設した耕耘爪28を回動させて、耕耘作業を行うようにしている。
【0023】上記耕耘爪28の上方はロータリカバー29で覆われており、耕耘爪28の後方を覆うリアカバー30の上端縁を上記ロータリカバー29の後端縁に回動自在に枢着し、耕土表面に摺接したリアカバー30後端の上下動を、フィードバックロッド31及びフィードバックワイヤ32を介し、昇降用油圧シリンダ33の伸縮作動を制御する油圧制御弁40(図2参照)に伝達して、作業部3の昇降作動をフィードバック制御して耕深を一定に保持するようにしている。
【0024】かかる農作業機Aにおいて本実施例では、降下速度減速機構Mを設け、同降下速度減速機構Mが作動を開始する所定の高さを、前記耕耘爪28が接地する直前の地上高に設定して、作業部3を降下させる際に、耕耘爪28の接地位置近傍での降下速度を減速して、急激な接地によるダッシングやエンスト等の不具合を防止するようにしている。
【0025】降下速度減速機構Mは、図2及び図3で示すように、リアヒッチ2の一側面に左右方向に伸延した回動支点41を突設し、同回動支点41に前後方向に伸延した回動リンク42の中途部を回動自在に枢着し、同回動リンク42の後端部とリアヒッチ2の側面との間に引きバネ43を介設し、回動リンク42の後端部をリアヒッチ2の側面に突設したストッパ44に当接させて、回動リンク42を付勢状態でリアヒッチ2に対する一定姿勢を保持させている。
【0026】また、前記枢支部21a の後端部に当接体支持部45を後方向に突設し、同当接体支持部の後端部に、先端にローラ46を軸支した当接体47を、調整ナット48,48 を介して上方向に突設し、作業部3が接地寸前までリアヒッチ2が下降した際に、ローラ46が前記回動リンク42の下面に当接して、回動支点41を中心として回動リンク42の前端を上方向に回動させるようにしている。
【0027】上記回動リンク42の前端には、上方に伸延したクッションワイヤ49のインナ50の一端を連結し、アウタ51の回動リンク42側の端部を、サブフレーム5のヒッチ軸21よりも上方に突設したアウタ係止具52に係止して、リアヒッチ2を上方位置に回動させた際に、上記回動リンク42の前端とアウタ係止具52とが接近するようにしている。
【0028】また、油圧制御弁40の前方に枢軸53を架設し、同枢軸53に作動アーム54の中途部を回動自在に枢着し、同作動アーム54の上端に前記インナ50の他端を連結し、同作動アーム54の中途部を油圧制御弁40のスプール55に当接させ、作動アーム54の下端とサブフレーム5との間に引きバネ43を介設して、スプール戻しバネ56の力よりも、2本の引きバネ43,43 によるインナ50の張力が小さくなると、スプール55が作動するようにしている。
【0029】また、上記油圧制御弁40の後方に調整レバー57を前後傾動自在に立設し、同調整レバー57の下端に、前記アウタ51の油圧制御弁40側の端部を連結して、調整レバー57の操作により、スプール55の作動開始位置を調整できるようにしている。
【0030】油圧制御弁40には、スプール55の作動に対応して、上昇位置U1、緩速上昇位置U2、中立位置N、緩速降下位置D2、降下位置D1の五つの操作位置(流通状態)が設定されており、スプール55は、上述したインナ50の緊張・弛緩と、前記昇降レバー12の操作とによって作動するように構成されている。図中、58は油圧制御弁40中に設けた絞りである。
【0031】上記の構成によって、作業部3の所定の高さ、即ち、耕耘爪28の接地位置近傍において、前記回動リンク42に当接体47が当接するようにしておけば、昇降用油圧シリンダ33を伸張させて作業部3を降下させて行くと、作業部3の下端が接地する直前に当接体47が回動リンク42に当接して回動リンク42の前端を押し上げ、クッションワイヤ49のインナ50を弛緩させ、その結果、それまで降下位置D1にあった油圧制御弁40のスプール55を、緩速降下位置D2に移動させ、昇降用油圧シリンダ33の伸張速度を減速し、作業部3の降下速度を減速して、作業部3の急激な接地によるダッシングやエンスト等の不具合を防止することができる。
【0032】図4及び図5は、前述した耕深のフィードバック制御と、上述した急激な接地によるダッシングやエンスト等の不具合防止とを両立させた他実施例を示しており、油圧制御弁40は前記と同一構成であり、操作軸60を中心として前後傾動自在の昇降レバー12の中途部をスプール55に当接させて、同昇降レバー12によって油圧制御弁40を直接操作可能とすると共に、同操作軸60にフードバックアーム61の下端部を傾動自在に枢着し、同フィードバックアーム61の上端に前記フィードバックワイヤ32の前端を連結し、同フィードバックアーム61の中途部をスプール55に当接させて、リアカバー30の昇降作動を油圧制御弁40に伝達することで、耕深を一定に保持するフィードバック制御を行い、更に、同操作軸60にクッションアーム62の下端部を傾動自在に枢着し、同クッションアーム62の上端にクッションワイヤ63のインナ64を連結し、同クッションアーム62の中途部をスプール55に当接させている。
【0033】一方、前記リアヒッチ2上面のヒッチ軸21よりも後方位置に、上記クッションワイヤ63のインナ64を連結して、作業部3が接地寸前までリアヒッチ2が回動すると、同インナ64が緊張して油圧制御弁40のスプール55を緩速降下位置D2に移動させて、急激な接地による不具合を防止するようにしている。図中、65はリアヒッチ2が下降限度に達すると自動的に昇降レバー12を中立位置Nに復帰させるためのオートリターンワイヤである。
【0034】図6及び図7は、畦の法面の除草を可能とした作業部の他実施例を示しており、前記リアヒッチ2に連結した伝動ケース70の下端部左右側面に、それぞれ左右出力軸71,71 を突設すると共に、同伝動ケース70の左右側面中途部から下方向に屈折した正面視略L字形状の左右支持枠72,72 を突設し、同左右支持枠72,72 の下端部と上記左右出力軸71,71 との間に、それぞれ左右除草軸73,73 を上下ユニバーサルジョイント74,74 を介して架設し、同左右除草軸73,73 に略円筒形状の左右除草ブラシ75,75 をスプライン嵌合して、伝動ケース70を介して伝達された動力により、左右除草ブラシ75,75 を回転させることにより、畦76の左右法面77,77 の雑草等を除草するようにしている。図中、78は左右除草ブラシ75,75 の高さ及び傾斜角度を調整するための長孔、79は除草軸73の下端を支持するベアリングボックス、80は上記ベアリングボックス79を固定するためのナットである。
【0035】また、左右除草ブラシ75,75 の代わりに耕耘爪を具備した耕耘軸を装着することで、上記左右法面77,77 の中耕作業を行うこともできる。
【0036】
【発明の効果】本発明によれば次のような効果を得ることができる。
【0037】請求項1記載の発明では、本機の後方にリアヒッチを介して作業部を昇降自在に連結し、しかも、本機とリアヒッチとの間に介設した昇降用油圧シリンダにより作業部を昇降可能とした農作業機において、作業部が所定の高さに達すると、作業部の降下速度を減速する降下速度減速機構を設けているので、作業部が上記所定高さまで降下すると、その降下速度を自動的に減速して、作業部の急激な接地等による不具合を防止することができる。
【0038】請求項2記載の発明では、上記降下速度減速機構は、上記昇降用油圧シリンダの作動を制御する油圧制御弁に絞りを設けて緩速降下位置を設定すると共に、リアヒッチにクッションワイヤを介し油圧制御弁に連動連結した回動レバーを設け、本機側に作業部が所定の高さまで降下すると回動レバーに当接する当接体を設けて、作業部が所定の高さまで降下すると、油圧制御弁を緩速降下位置に操作することによって、簡単な構造にもかかわらず、上記不具合の防止を実現することができる。
【0039】請求項3記載の発明では、上記所定の高さを、作業部に設けた耕耘爪が接地する直前の地上高に設定しているので、作業部の急激な接地を防止することにより、ダッシングやエンスト等の不具合を防止することができる。
【出願人】 【識別番号】000005164
【氏名又は名称】セイレイ工業株式会社
【出願日】 平成11年9月14日(1999.9.14)
【代理人】 【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
【公開番号】 特開2001−78508(P2001−78508A)
【公開日】 平成13年3月27日(2001.3.27)
【出願番号】 特願平11−259805