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【発明の名称】 移植機のマーカ機構
【発明者】 【氏名】石飛 芳夫

【氏名】塚原 譲

【要約】 【課題】サイドマーカ及びトレースマーカを有するマーカ装置をユニット化して、組付け作業の向上を図る。

【解決手段】乗用田植機1は、植付部10の昇降に伴って機体側方に下降繰出される作業位置と、上昇待機される非作業位置とに夫々移動可能なマーカ装置20を備えていて、このマーカ装置20は、圃場に機体の走行中心線を線引きするサイドマーカ22と、隣接既植苗列に沿って機体を走行する際の指標となるトレースマーカ24とを有している。そして、これらサイドマーカ22及びトレースマーカ24をユニット化して構成することで、マーカ装置20を機体5に取付ける場合には、該ユニット化した状態のマーカ装置20を一体として取付ければ足り、組付け作業の向上と格納作業の簡単化が図られる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 上昇待機される非作業位置と下降繰出される作業位置とに夫々移動可能なマーカ装置を備えた移植機のマーカ機構において、前記マーカ装置は、圃場に機体の走行中心線を線引きするサイドマーカと、隣接既植苗列に沿って機体を走行する際の指標となるトレースマーカとを有し、これらサイドマーカ及びトレースマーカをユニット化して構成した、ことを特徴とする移植機のマーカ機構。
【請求項2】 前記サイドマーカ及びトレースマーカの取付部材を、機体左右方向に沿い伸縮自在に配置すると共に、機体左右方向に沿う軸心に対し回動自在に配置し、サイドマーカ及びトレースマーカを上昇待機位置から格納位置に向け移動可能とした、ことを特徴とする請求項1記載の移植機のマーカ機構。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、乗用田植機等の移植機に係り、詳しくはサイドマーカとトレースマーカとを有するマーカ装置をユニット化した移植機のマーカ機構に関する。
【0002】
【従来の技術】乗用田植機等の移植機は、植付作業時に適切な隣接条間を保ち、かつ機体の直進性を良好にすべく、次工程の機体走行基準線となる走行中心線を田面に引く線引マーカ(サイドマーカ)を備えていて、この線引マーカは、機体左右側に夫々設けられたマーカを自動的に交互に作動させる自動マーカ機能と、任意方向にマーカを作動させる手動マーカ機能、更に左右側のマーカを同時に作動させる両側作動マーカ機能等を有している。
【0003】このような線引マーカとして、従来、例えば本件出願人の出願に係る特公平7−102006号公報に記載の技術が公知であり、この従来例によれば、自動マーカ機能の場合、機体後部(植付部)に設けられた線引マーカを機体側方に下降繰り出す作業位置から上昇収納する非作業位置へ移動するのに、植付部の昇降動作に連動して行い、かつ左右いずれか一方のマーカを非作業位置にて保持する機械的なロック部材を植付部の昇降作動に伴って左右交互に切換えて、圃場端における機体回向時に、植付部を昇降することにより左右マーカを自動的に作業位置に切換えるように構成されている。
【0004】そして、線引マーカの繰り出しを制御する切換え制御部は、植付部の昇降に連動しかつ左右マーカに夫々連結している左右作動体と、これら作動体の移動により切り換えられる切り換え部材と、該切り換え部材の切り換えによりその付勢方向が切り換えられて左右作動体のいずれか一方の移動を規制するロック部材とを有し、このロック部材が左右いずれか一方の作動体方向に付勢されてその先端が作動体側面に当接し、該作動体が移動して当接が解除されると突出し該作動体の逆方向への移動を規制することで、植付部の昇降に伴い左右マーカを作業位置と非作業位置とに交互に切換えるように構成されている。
【0005】これにより、例えば最初に右マーカを作業位置に繰り出して圃場面に線を引き、枕地にて回向した後は、次に反対側の左マーカを作業位置に繰り出して圃場面に線を引きながら移植作業を行うことにより、前記基準線を目安として走行しながら、該基準線に沿って整列状の移植が可能となる。
【0006】一方、圃場条件により線引マーカが使用できない場合等には、機体前部の左右側方に夫々取付けられたトレースマーカにより、隣接する既植苗列に沿って機体を走行すれば適切な隣接条間が保たれる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来のマーカ装置は、線引マーカが機体後部(植付部)に設けられ、かつ機体前部にトレースマーカが設けられていたため、機体への装着時にはこれら線引マーカとトレースマーカとを夫々別個に取付ける必要があり、機体への装着作業が煩雑であった。また、移植機をトラック等により輸送する場合等には、植付部を完全に上昇させてから線引マーカをマーカフックに係止して格納しなければならず、更にトレースマーカも機体側部に収納する必要があるため、トラック等への積込み作業が困難であった。
【0008】本発明は、斯かる課題を解消するためになされたもので、その目的とするところは、サイドマーカ及びトレースマーカを有するマーカ装置をユニット化して組付け作業の向上を図ると共に、該マーカ装置の格納作業を容易とした移植機のマーカ機構を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、上昇待機される非作業位置と下降繰出される作業位置とに夫々移動可能なマーカ装置(20)を備えた移植機(1)のマーカ機構において、前記マーカ装置(20)は、圃場に機体(5)の走行中心線を線引きするサイドマーカ(22)と、隣接既植苗列に沿って機体(5)を走行する際の指標となるトレースマーカ(24)とを有し、これらサイドマーカ(22)及びトレースマーカ(24)をユニット化して構成した、ことを特徴とする。
【0010】請求項2記載の発明は、前記サイドマーカ(22)及びトレースマーカ(24)の取付部材(34)を、機体左右方向に沿い伸縮自在に配置すると共に、機体左右方向に沿う軸心に対し回動自在に配置し、サイドマーカ(22)及びトレースマーカ(24)を上昇待機位置から格納位置に向け移動可能とした、ことを特徴とする。
[作用]以上の発明特定事項に基づき、移植機(1)のマーカ機構は、上昇待機される非作業位置と下降繰出される作業位置とに夫々移動可能なマーカ装置(20)を備えていて、このマーカ装置(20)は、圃場に機体の走行中心線を線引きするサイドマーカ(22)と、隣接既植苗列に沿って機体を走行する際の指標となるトレースマーカ(24)とを有している。そして、これらサイドマーカ(22)及びトレースマーカ(24)をユニット化して構成することで、マーカ装置(20)を機体(5)に取付ける場合には、該ユニット化した状態のマーカ装置(20)を一体として取付ければ足りるので、組付け作業の向上が図られると共に、マーカ装置(20)を格納する場合にも作業が簡単となり、例えば移植機(1)を運搬する時にもトラック等への積み込みが容易となる。
【0011】なお、上述した括弧内の符号は、図面を対照するためのものであって、本発明を何ら限定するものではない。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
【0013】図1及び図2に示すように、移植機としての乗用田植機1は、前輪2及び後輪3により支持された走行機体5を有しており、該走行機体5にはその前輪前方のボンネット4内にエンジン(図示せず)が搭載され、走行機体5の中間部には座席シート7及びステアリングホイール8を有する運転席9が配設されている。また、走行機体5の後方には、昇降リンク機構13を介して植付部10が昇降自在に支持されていて、座席シート7の側方には、この植付部10の昇降及び植付クラッチの操作を可能とする手動操作レバーが設けられている。更に、前記ボンネット4の中央前部にはセンタポール6が設けられ、その左右側には夫々施肥タンク11,11及びその上部に補助苗載せ台12,12が設けられている。
【0014】図3に示すように、前輪2の前方でかつボンネット4の下部には、例えば植付部10の昇降に伴って機体側方に下降繰り出される作業位置と、上昇収納される非作業位置とに自動的かつ交互に切換え可能なマーカ装置20が走行機体5の左右側に夫々一対づつ設けられている。
【0015】本発明では、前記マーカ装置20は、圃場に機体5の走行中心線を線引きするサイドマーカと、隣接既植苗列に沿って機体を走行する際の指標となるトレースマーカとを有し、これらサイドマーカ及びトレースマーカをユニット化して構成したものである。
【0016】図4〜図6において、前記マーカ装置20は、圃場に機体5の走行中心線を線引きするサイドマーカ22と、隣接既植苗列に沿って機体を走行する際の指標となるトレースマーカ24とを有していて、これらサイドマーカ22とトレースマーカ24とはマーカ取付部27に取付けられている。このマーカ取付部27は保持ケース26を有し、該保持ケース26の下部に形成された支持枠31には回動軸28が軸支されていると共に、保持ケース26の一側壁には支持軸25が植設されている。そして、前記サイドマーカ22は、前記回動軸28に一体的に固定され、かつ長手方向の中途部が伸縮自在に連結されていて、隣接条を走行する機体の走行幅を広狭任意に選択することができる。また、前記支持軸25には、トレースマーカ24が回動可能に軸着されていて、このトレースマーカ24は、サイドマーカ22の長手方向の基端側に設けられたホルダ30の係止部30aに係着されている。
【0017】図7(a)〜(c)に示すように、前記保持ケース26は、長手方向の一端が開放され他端に側壁32を有し、該側壁32から内側パイプ34が一体的に延設されている。この内側パイプ34にはリブ35,36が固定されていて、該内側パイプ34は外側パイプ38に対し長手方向に沿い伸縮自在かつ回動自在に挿通されている。そして、前記一方のリブ35は、外側パイプ38に対し内側パイプ34を機体側方に伸長した作業可能状態で、固定ノブ(図示せず)により機体フレームに位置決め固定する固定孔35aを有し、前記他方のリブ36は、外側パイプ38に対し内側パイプ34を収縮した状態でマーカ装置20を格納する時に、固定ノブ(図示せず)により内側パイプ34を機体フレームに固定する固定孔36aを有している。
【0018】また、図8及び図9に示すように、前記保持ケース26内には、電動シリンダ40が内蔵されていて、その作動杆41の先端側に連結ボルト42を介してカラー43が取付けられ、このカラー43にピン44が挿入されている。更に、前記回動軸28には扇形のレバー29,29が取付けられ、このレバー29に複数個の穴29aが穿設されていて、この穴29aにカラー43が嵌入されている。そして、このカラー43に前記ピン44が挿入され、このピン44により作動杆41と前記レバー29とが連結されている。このため、前記作動杆41が収縮すると、連結ボルト42とピン44を介してレバー29が回動軸28を中心として図8のD方向に回動し、サイドマーカ22が略々垂直状態に立設した上昇待機位置に収納移動される。また、前記作動杆41が伸長すると、レバー29が回動軸28を中心として図8のC方向に回動し、サイドマーカ22が略々水平状態となった下降繰り出し位置に移動される。
【0019】一方、前記外側パイプ38に対する内側パイプ34の機体左右方向への伸縮は、手動により行われ、更に外側パイプ38に対し内側パイプ34を収縮させた位置から機体後方への回動による格納作業も手動により行われる。また、前記保持ケース26の内側側壁には、検出スイッチ46,47が設けられていて、これらの検出スイッチ46,47は検出子46a,47aを有し、作動杆41に固定された検出金具48が該検出子46a,47aに当接して、作動杆41の前進位置と後退位置とが検出される。
【0020】以上のような、マーカ装置20が機体前部の左右側に夫々一対づつ設けられているため、オペレータにとってサイドマーカ22及びトレースマーカ24の確認が容易となると共に、一般に乗用田植機1は、その後部に植付部10が昇降自在に支持されていて機体後部の重量が大きくなりやすいが、機体前部に前記マーカ装置20を取付けることにより、機体前後の重量バランスが図られることになる。
【0021】次に、作用について説明する。
【0022】図1において、マーカ装置20を使用するには、該マーカ装置20の格納状態(二点鎖線)から、外側パイプ38に対し内側パイプ34を手動にてA方向に回動し、更に図4に示すように、外側パイプ38に対し内側パイプ34を手動にて機体側方に引き延ばし、所定量引き延ばした位置でリブ35の穴35aに固定ノブを取付けて位置固定する。こうして、サイドマーカ22及びトレースマーカ24が圃場面に対し略々垂直に立設された状態が上昇待機位置である。
【0023】本実施の形態では、便宜上サイドマーカ22とトレースマーカ24とがホルダ30により一体的に移動可能とした場合について説明する。このサイドマーカ22及びトレースマーカ24の待機状態から、制御部からのマーカ装置20の繰り出し指令により電動シリンダ40が作動し、作動杆41が伸長すると、レバー29が回動軸28を中心として図8のC方向に回転し、サイドマーカ22及びトレースマーカ24が下降繰り出されて作業状態となる(図3参照)。このときの作動杆41の伸長量は、検出スイッチ46の検出子46aが検出金具48を検出することにより行われる。こうして、苗の移植に伴いサイドマーカ22により機体の走行中心線を線引きし、及びトレースマーカ24により隣接既植苗列に沿って機体が走行するが、やがて枕地に至ると、植付部10を上昇させて機体を旋回する。この植付部10の上昇に伴いサイドマーカ22及びトレースマーカ24が非作業位置に上昇待機する。このときのサイドマーカ22及びトレースマーカ24の上昇移動は、制御部からのマーカ装置20の上昇指令により電動シリンダ40が作動し、作動杆41が収縮して、レバー29が回動軸28を中心として図8のD方向に回転して行われる。このときの作動杆41の収縮量は、検出スイッチ47の検出子47aが検出金具48を検出することにより行われる。
【0024】機体の旋回が完了したら、植付部10を下降させると共にサイドマーカ22及びトレースマーカ24が作業位置に下降繰り出される。このとき、線引マーカ跡にセンタポール6を合わせるようにするか、又は隣接苗にトレースマーカ24を合わせるようにすると、正しい隣接条間が得られる。サイドマーカ22及びトレースマーカ24は自動的に次に植える行程側に倒れる。このようにして、各条ごとに苗の移植を行い、最後の条の移植作業が終了して枕地に達すると、植付部10の上昇に伴いサイドマーカ22及びトレースマーカ24が非作業位置に上昇待機する。
【0025】こうして移植作業が終了し、サイドマーカ22及びトレースマーカ24の上昇待機状態からマーカ装置20を格納するには、前述した内容と逆の操作を行う。すなわち、サイドマーカ22及びトレースマーカ24を施肥タンク11に干渉しないように、外側パイプ38に対し内側パイプ34を手動にて若干回動させながら内側パイプ34を収縮させる。次いで、外側パイプ38に対し内側パイプ34を回動させてサイドマーカ22及びトレースマーカ24を機体後方に倒す。更に、リブ36の穴36aに固定ノブを取付けて格納を終了する。
【0026】
【発明の効果】以上説明した通り、請求項1記載の発明によれば、サイドマーカ及びトレースマーカをユニット化して構成したことにより、機体への取付時にはユニット化されたマーカ装置を一体として取付けることができるので、組付け作業の向上を図ることができる。
【0027】請求項2記載の発明によれば、サイドマーカ及びトレースマーカの取付部材を、機体左右方向に沿い伸縮自在に配置すると共に、機体左右方向に沿う軸心に対し回動自在に配置し、サイドマーカ及びトレースマーカを上昇待機位置から格納位置に向け移動可能としたことで、マーカ装置の格納作業が容易となり、移植機を運搬するときのトラック等への積み込みを容易に行うことができる。
【出願人】 【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱農機株式会社
【出願日】 平成11年9月1日(1999.9.1)
【代理人】 【識別番号】100082337
【弁理士】
【氏名又は名称】近島 一夫 (外1名)
【公開番号】 特開2001−69809(P2001−69809A)
【公開日】 平成13年3月21日(2001.3.21)
【出願番号】 特願平11−248054