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【発明の名称】 歩行型畦形成機
【発明者】 【氏名】来田 金作

【氏名】来田 孝雄

【氏名】武田 美津子

【要約】 【課題】歩行型牽引車の自重を有効に活用して正確且つ容易に整畦できると共に、コンパクトに構成されて小回りの利く歩行型畦形成機を提供する。

【解決手段】畦形成部に土を盛り上げ状態に連続的に供給する土盛り装置5と、盛土を締め固めて畦を形成する畦形成装置7とを、歩行型牽引車に設ける。畦形成装置7は、歩行型牽引車の車軸10に延長された支持軸に回転整畦具21を設けてなる。回転整畦具21は、畦3の上面を形成する畦上面形成体25と、畦の内側面を形成する畦内側面形成体27と、畦の外側面を形成する畦外側面形成体30を具える。回転整畦具21が盛土に対しスリップ回転して畦の表面を締め固めるように、回転整畦具21の回転を、チェン伝導方式の回転増速装置22で増速する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 歩行型牽引車の進行方向に順次畦を形成する歩行型畦形成機であって、畦形成部に土を盛り上げ状態に連続的に供給する土盛り装置と、前記畦形成部の盛土を締め固めて畦を形成する畦形成装置とを具え、前記畦形成装置は、前記歩行型牽引車の車軸に延長された支持軸に回転整畦具を付設してなり、該回転整畦具が回転増速装置によって強制回転せしめられることによって畦を形成するものであり、該回転整畦具は、畦の上面を形成する畦上面形成体と、畦の内側面を形成する畦内側面形成体とを具え、該畦上面形成体と畦内側面形成体が、前記盛土に対しスリップ回転して畦表面を締め固めるように、前記回転整畦具の回転が、前記回転増速装置によって前記車軸の回転よりも増速されていることを特徴とする歩行型畦形成機。
【請求項2】 歩行型牽引車の進行方向に順次畦を形成する歩行型畦形成機であって、畦形成部に土を盛り上げ状態に連続的に供給する土盛り装置と、前記畦形成部の盛土を締め固めて畦を形成する畦形成装置とを具え、前記畦形成装置は、畦の上面を形成する畦上面形成体と畦の内側面を形成する畦内側面形成体とを具える回転整畦具が、前記車軸に延長された支持軸に回転自在に付設されてなり、前記回転整畦具を、前記歩行型牽引車のミッション装置からの出力軸に伝導要素を介して連結し、前記出力軸の回転によって、前記伝導要素を介し、前記回転整畦具を前記車軸の回転よりも増速させることとし、該増速により、該畦上面形成体と畦内側面形成体が、前記盛土に対しスリップ回転して畦表面を締め固めることを特徴とする歩行型畦形成機。
【請求項3】 歩行型牽引車の進行方向に順次畦を形成する歩行型畦形成機であって、畦形成部に土を盛り上げ状態に連続的に供給する土盛り装置と、前記畦形成部の盛土を締め固めて畦を形成する畦形成装置とを具え、前記畦形成装置は、歩行型牽引車の車軸に延長され該車軸に駆動されて回転する駆動軸に回転整畦具を固定状態に付設してなり、該回転整畦具が前記駆動軸により強制回転せしめられることによって畦を形成するものであり、該回転整畦具は、畦の上面を形成する畦上面形成体と、畦の内側面を形成する畦内側面形成体とを具え、該畦上面形成体と畦内側面形成体が、前記盛土に対しスリップ回転して畦表面を締め固めるように、前記駆動軸の回転が、遊星歯車装置によって前記車軸の回転よりも増速されていることを特徴とする歩行型畦形成機。
【請求項4】 前記回転整畦具は、畦の上面を形成する丸軸からなる畦上面形成体と、内方に向かって大径となる円錐状面を有する畦内側面形成体とを具える如く構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の歩行型畦形成機。
【請求項5】 歩行型牽引車がテーラーであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の歩行型畦形成機。
【請求項6】 前記遊星歯車装置は、前記駆動軸に設けられた太陽歯車と、前記車軸に連結されて該車軸によって強制回転せしめられるキャリアと、該キャリアに軸支されて前記太陽歯車に噛合する遊星歯車と、該遊星歯車に噛合できる内歯を有したリングギアとを具え、該リングギアは固定状態にあることを特徴とする請求項3記載の歩行型畦形成機。
【請求項7】 前記畦内側面形成体が、前記畦形成部の盛土を押圧しながら回転する際における反力によって歩行型牽引車が畦から離れようとするのを防止するため、前記歩行型牽引車の進行は、前記反力に抗し得るように、畦に向かう分力を有するように行われることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の歩行型畦形成機。
【請求項8】 前記畦内側面形成体が、前記畦形成部の盛土を押圧しながら回転する際における反力によって歩行型牽引車が畦から離れようとするのを防止するため、畦から遠い側の車輪の牽引力を増大させたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の歩行型畦形成機。
【請求項9】 前記畦内側面形成体が、前記畦形成部の盛土を押圧しながら回転する際における反力によって歩行型牽引車が畦から離れようとするのを防止するため、畦から遠い側の車輪の牽引力を増大させ得るよう、前記歩行型牽引車のミッション装置に、歩行型牽引車の進行方向で見た左側と右側に左の車軸と右の車軸が突設され、該左右の車軸には左右の車輪が固設され、畦から遠い左の車輪と前記ミッション装置の左右方向中心部との間の距離が、畦に近い右の車輪と前記ミッション装置の前記中心部との間の距離よりも大きく設定されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の歩行型畦形成機。
【請求項10】 前記畦内側面形成体が、前記畦形成部の盛土を押圧しながら回転する際における反力によって歩行型牽引車が畦から離れようとするのを防止するために、畦から遠い車輪の牽引力を増大させ得るよう、畦から遠い車輪が回転する際のその接地面積を増大させることによって該車輪の牽引力を増大させたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の歩行型畦形成機。
【請求項11】 前記畦内側面形成体が、前記畦形成部の盛土を押圧しながら回転する際における反力によって歩行型牽引車が畦から離れようとするのを防止するため、畦から遠い車輪の牽引力を増大させ得るよう、前記歩行型牽引車のミッション装置に、歩行型牽引車の進行方向で見た左側と右側に左の車軸と右の車軸が突設され、該左右の車軸には左右の車輪が固設され、前記車輪は、円環状の車輪本体の外周部に、車軸の長さ方向に長く形成されて田面に接する牽引板が、前記車輪本体の周方向に所要間隔を置いて固設されており、畦から遠い左の車輪の牽引板は、畦に近い右の車輪の牽引板よりも長いことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の歩行型畦形成機。
【請求項12】 前記畦内側面形成体の外周縁側の部分は、先側が細くなる突出部が周方向に並設された切削部として構成され、整畦時に、前記突出部が田面に切り入ることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の歩行型畦形成機。
【請求項13】 前記土盛り装置は、畦の長さ方向と略直交する軸線回りに回転する削り取り掻き上げロータを具え、該削り取り掻き上げロータは、その回転によって、旧畦から田面に亘って切り入り旧畦と田面を削り取ると共に該削り取った土を掬って掻き上げ、削り取られた旧畦上に盛土することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の歩行型畦形成機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、歩行型牽引車の進行方向に順次畦を形成する歩行型畦形成機に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】本発明者は特開平9−215402号において、トラクタの後部に整畦装置を付設してトラクタの進行方向に畦を形成する乗用型の畦形成機を提案した。
【0003】しかしながら、このようなトラクタ利用の乗用型の畦形成機は、その前後方向長さが4〜5m程度と大きなものであった。そのため、かかる大型の畦形成機によって、例えば山間部の階段状になった棚田の整畦を行わんとしても、かかる棚田は耕地面積が小さく又階段状になっているために、前記大型の畦形成機を導入することすら難しかった。仮に導入できたとしても、図21に示すようにトラクタ前端が田の端aに到達した状態において、該トラクタ前端から整畦装置bまでの距離L8部分については整畦できないために、この部分dについては手作業で畦を形成しなければならず労力が大きかった。又、かかる棚田の畦は直線状ではなく曲がりくねっているが、前後方向長さが大きくて小回りの利かない前記大型の畦形成機では、このように曲がりくねった畦を形成することができなかったのである。
【0004】本発明は、かかる問題点に鑑みて開発されたものであり、耕地整理が行われていない田の整畦を容易且つ確実に行うことのでき、しかも整畦を省力化できる、小回りの利く歩行型畦形成機の提供を目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため、本発明は以下の手段を採用する。即ち本発明に係る歩行型畦形成機は、歩行型牽引車の進行方向に順次畦を形成する歩行型畦形成機であって、畦形成部に土を盛り上げ状態に連続的に供給する土盛り装置と、前記畦形成部の盛土を締め固めて畦を形成する畦形成装置とを具える。そして該畦形成装置は、前記歩行型牽引車の車軸に延長された支持軸に回転整畦具を付設してなり、該回転整畦具が回転増速装置によって強制回転せしめられることによって畦を形成するものであり、該回転整畦具は、畦の上面を形成する畦上面形成体と、畦の内側面を形成する畦内側面形成体とを具え、該畦上面形成体と畦内側面形成体が、前記盛土に対しスリップ回転して畦表面を締め固めるように、前記回転整畦具の回転が、前記回転増速装置によって前記車軸の回転よりも増速されていることを特徴とするものである。
【0006】本発明に係る歩行型畦形成機のより具体的な態様は、歩行型牽引車の進行方向に順次畦を形成する歩行型畦形成機であって、畦形成部に土を盛り上げ状態に連続的に供給する土盛り装置と、前記畦形成部の盛土を締め固めて畦を形成する畦形成装置とを具える。そして該畦形成装置は、畦の上面を形成する畦上面形成体と畦の内側面を形成する畦内側面形成体とを具える回転整畦具が、前記車軸に延長された支持軸に回転自在に付設されてなり、前記回転整畦具を、前記歩行型牽引車のミッション装置からの出力軸に伝導要素を介して連結し、前記出力軸の回転によって、前記伝導要素を介し、前記回転整畦具を前記車軸の回転よりも増速させることとし、該増速により、該畦上面形成体と畦内側面形成体が、前記盛土に対しスリップ回転して畦表面を締め固めることを特徴とするものである。
【0007】本発明に係る歩行型畦形成機のより具体的な他の態様は、歩行型牽引車の進行方向に順次畦を形成する歩行型畦形成機であって、畦形成部に土を盛り上げ状態に連続的に供給する土盛り装置と、前記畦形成部の盛土を締め固めて畦を形成する畦形成装置とを具える。そして、前記畦形成装置は、歩行型牽引車の車軸に延長され該車軸に駆動されて回転する駆動軸に回転整畦具を固定状態に付設してなり、該回転整畦具が前記駆動軸により強制回転せしめられることによって畦を形成するものであり、該回転整畦具は、畦の上面を形成する畦上面形成体と、畦の内側面を形成する畦内側面形成体とを具え、該畦上面形成体と畦内側面形成体が、前記盛土に対しスリップ回転して畦表面を締め固めるように、前記駆動軸の回転が、遊星歯車装置によって前記車軸の回転よりも増速されていることを特徴とするものである。
【0008】前記歩行型畦形成機において、前記回転整畦具は、畦の上面を形成する丸軸からなる畦上面形成体と、内方に向かって大径となる円錐状面を有する畦内側面形成体とを具える如く構成するのがよい。
【0009】前記歩行型畦形成機において、前記歩行型牽引車をテーラーとして構成するのがよい。
【0010】本発明に係る歩行型畦形成機を遊星歯車装置を用いて構成する場合、該遊星歯車装置は、前記駆動軸に設けられた太陽歯車と、前記車軸に連結されて該車軸によって強制回転せしめられるキャリアと、該キャリアに軸支されて前記太陽歯車に噛合する遊星歯車と、該遊星歯車に噛合できる内歯を有したリングギアとを具える如く構成し、該リングギアは固定状態にする。
【0011】前記各歩行型畦形成機において、前記畦内側面形成体が、前記畦形成部の盛土を押圧しながら回転する際における反力によって歩行型牽引車が畦から離れようとするのを防止するため、前記歩行型牽引車の進行は、前記反力に抗し得るように、畦に向かう分力を有するように行われる如く構成するのがよい。
【0012】又前記各歩行型畦形成機において、前記畦内側面形成体が、前記畦形成部の盛土を押圧しながら回転する際における反力によって歩行型牽引車が畦から離れようとするのを防止するため、畦から遠い側の車輪の牽引力を増大させるように構成するのがよい。
【0013】又前記各歩行型畦形成機において、前記畦内側面形成体が、前記畦形成部の盛土を押圧しながら回転する際における反力によって歩行型牽引車が畦から離れようとするのを防止するため、畦から遠い側の車輪の牽引力を増大させ得るよう、前記歩行型牽引車のミッション装置に、歩行型牽引車の進行方向で見た左側と右側に左の車軸と右の車軸が突設され、該左右の車軸には左右の車輪が固設され、畦から遠い左の車輪と前記ミッション装置の左右方向中心部との間の距離が、畦に近い右の車輪と前記ミッション装置の前記中心部との間の距離よりも大きく設定されたものとして構成するのがよい。
【0014】又前記各歩行型畦形成機において、前記畦内側面形成体が、前記畦形成部の盛土を押圧しながら回転する際における反力によって歩行型牽引車が畦から離れようとするのを防止するために、畦から遠い車輪の牽引力を増大させ得るよう、畦から遠い車輪が回転する際のその接地面積を増大させることによって該車輪の牽引力を増大させるように構成するのがよい。
【0015】又前記各歩行型畦形成機において、前記畦内側面形成体が、前記畦形成部の盛土を押圧しながら回転する際における反力によって歩行型牽引車が畦から離れようとするのを防止するため、畦から遠い車輪の牽引力を増大させ得るよう、前記歩行型牽引車のミッション装置に、歩行型牽引車の進行方向で見た左側と右側に左の車軸と右の車軸が突設され、該左右の車軸には左右の車輪が固設され、前記車輪は、円環状の車輪本体の外周部に、車軸の長さ方向に長く形成されて田面に接する牽引板が、前記車輪本体の周方向に所要間隔を置いて固設され、畦から遠い左の車輪の牽引板は、畦に近い右の車輪の牽引板よりも長いものとして構成するのがよい。
【0016】前記各歩行型畦形成機において、前記畦内側面形成体の外周縁側の部分を、先側が細くなる突出部が周方向に並設された切削部として構成し、整畦時に、前記突出部が田面に切り入るように構成するのがよい。
【0017】前記各歩行型畦形成機において、前記土盛り装置は、畦の長さ方向と略直交する軸線回りに回転する削り取り掻き上げロータを具え、該削り取り掻き上げロータは、その回転によって、旧畦から田面に亘って切り入り旧畦と田面を削り取ると共に該削り取った土を掬って掻き上げ、削り取られた旧畦上に盛土するように構成するのがよい。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
〔第1の実施の形態〕図1〜3において本発明に係る歩行型畦形成機1は、例えばテーラーとしての歩行型牽引車2の進行方向に順次畦3(図11)を形成するものであって、畦形成部に土を盛り上げ状態に連続的に供給する土盛り装置5と、畦形成部の盛土6を締め固めて畦3を形成する畦形成装置7とを具える。
【0019】そして図1〜4に示すように、前記歩行型牽引車1の略中央の下部に設けたミッション装置8には、歩行型牽引車2の進行方向で見た左側と右側に左の車軸9と右の車軸10が突設されており、該左右の車軸9,10には左右の車輪11,12が固設されている。該左右の車輪11,12は、円環状の車輪本体13の外周部に、田面に接する左右方向(前記車軸の長さ方向)に長い、V字状に屈曲する牽引板15が、そのV字部16(図3)を前記車輪本体13の半径方向外方に向け突出させて、周方向に所要間隔を置いて固設されており、該牽引板15が田面に食い込み状態に接地することによって所要の牽引力が得られるように構成されている。
【0020】そして図4に示すように、畦3から遠い左の車輪本体13aと前記ミッション装置8の左右方向中心部14との間の距離L1は、右の車輪本体13bと前記ミッション装置8の前記中心部14との間の距離L2よりも大きく設定される共に、左の車輪本体13aに設けた牽引板15aの左右方向長さL3は、畦3に近い右の車輪本体13bの牽引板15bの左右方向長さL4よりも長く設定され(例えば2倍程度に長く設定され)、且つ左の車輪本体13aに設けた牽引板15aの内端17と前記ミッション装置8の前記中心部14との間の距離L5と右の車輪本体13bに設けた牽引板15bの内端19と前記ミッション装置8の前記中心部14との間の距離L6は略等しく設定されている。これらによって、左の車輪11の牽引力が右の車輪12の牽引力よりも大きくなっている。
【0021】前記畦形成装置7は、図1、図3〜6に示すように、前記歩行型牽引車2の前記右の車軸10に固定状態に延長された支持軸20(図5)に回転整畦具21を回転自在に付設してなり、該回転整畦具21が回転増速装置22で強制回転せしめられることによって畦3を形成するものである。
【0022】そして該回転整畦具21は、畦の上面23を形成する畦上面形成体25と、畦の内側面26を形成する畦内側面形成体27と、畦の外側面29を形成する畦外側面形成体30とを具え、該畦上面形成体25と畦内側面形成体27と畦外側面形成体30が、前記盛土6に対してスリップ回転して畦表面を締め固めるものである。
【0023】前記畦上面形成体25は、本実施の形態においては図5〜6に示すように円筒状に形成されており、その左右長さは、形成すべき畦の天端幅に応じて所要に設定される。
【0024】又前記畦内側面形成体27は、図5〜6に示すように、前記畦上面形成体25の内端側孔部分32に略密接に嵌め入れられる円形基板部33の外周縁で、内方に向かって大径となる円錐状板部35が連設された円錐台状板体として形成されている。なお本実施の形態において前記円錐状板部35の円錐状外面36は、図3、図6に示すように、多数本の稜線角部37が放射状に配設されることによって、開いた傘の外面のように折れ曲がった面として形成されている。又その外周縁側の部分39は、先側が細くなる突出部40が周方向に並設された切削部として形成されている。本実施の形態において、前記突出部40は、隣り合う稜線角部37,37間の部分が、後述の回転方向Fで見た先側の辺41(図6)が傾斜辺として形成された鋸刃状に構成されている。
【0025】又図5に示すように、前記円形基板部33の中心に挿通孔43が設けられると共に、該円形基板部33の内面には、前記挿通孔43と同心の挿通孔45を有した回転筒部46が突設されている。そして該回転筒部46の挿通孔45の軸線方向の両端部分には、図5に示すように、軸受47,47が設けられている。又該回転筒部46の内端部分には、従動スプロケット38が固設されている。そして前記円形基板部33の外面には、図5〜6に示すように、前記挿通孔43と同心に連結筒部44が突設され、該連結筒部44に延長軸48の基端部分が挿入せしめられ、該延長軸48が前記連結筒部44にボルト固定されている。
【0026】又前記畦外側面形成体30は、図3〜6に示すように、中央部に円形孔50(図6)が設けられた円錐板状に形成されており、その円錐状外面51は、多数本の稜線角部52が放射状に配設されることによって、開いた傘の外面のように折れ曲がった面として形成されている。
【0027】そして前記円形孔50には、実質的に前記支持軸である前記延長軸48の先側をなすネジ軸部53に螺合し得るネジ孔55が中心部に設けられた円形固定板56の内面側に環状鍔部57が同心に突設されてなる固定部材59の該環状鍔部57を略密接に挿入させることができ、該挿入状態の環状鍔部57は、前記円形孔50の内周縁から稍突出する。
【0028】然して、前記畦上面回転体25と畦内側面形成体27と畦外側面形成体30とを前記支持軸20に組み付けるには、先ず、前記畦内側面形成体27の前記回転筒部46に前記支持軸20を挿通させ、該回転筒部46を、該挿通された支持軸20に、前記軸受47,47で回転自在に支持させる。その後、円筒状をなす前記畦上面形成体25の内端側孔部分32に前記円形基板部33を嵌め入れると共に、前記畦外側面形成体30の前記円形孔50の内側周縁部分60を前記畦上面形成体25の外端61に当接させる。然る後、前記円形固定板56のネジ孔55に、前記ネジ軸部53を螺合せしめることにより前記環状鍔部57を前記円形孔50にその外側から挿入させ、該環状鍔部57の、前記円形孔50から内方に突出した内方突出部分62を、前記畦上面形成体25の外端側孔部分63に嵌め入れる。然る後、前記ネジ軸部53の、円形固定板56から突出した部分にナット65を螺合し締め付けることによって、畦内側面形成体27と畦上面回転体25と畦外側面形成体30とが一体化された回転整畦具21が、前記支持軸20に回転自在に付設状態となる。
【0029】又前記回転増速装置22は、本実施の形態においては図1、図3に示すように、前記歩行型牽引車2の進行方向で見た後部において前記車軸と並行して配設されて回転自在の中間駆動軸66を介する、例えばチェンとしての伝導要素を用いたチェン伝導方式のものとして構成されている。該中間駆動軸66は、その基端側に大径スプロケット69が固設され、その先端側に小径スプロケット70が固設されている。そして、歩行型牽引車2のミッション装置8からの出力軸71に固設した駆動スプロケット72と前記大径スプロケット69とにチェン73が巻装されると共に、前記回転筒部46に固設した前記従動スプロケット38と前記小径スプロケット70とにチェン75が巻装されている。
【0030】然して、前記駆動スプロケット72の回転により、前記チェン73を介して前記中間駆動軸66が回転せしめられ、且つ前記チェン75を介して前記回転筒部46が回転し、これによって前記回転整畦具21が、その上側周縁が歩行牽引車の進行方向に回転する。その回転方向を図3に矢印Fで示す。前記各スプロケット72,69,70,38の径は、回転整畦具21の回転が前記車軸9,10の回転よりも増速される(例えば3〜4倍程度に増速せしめられる)ように設定されており、該増速により、畦上面形成体25と畦内側面形成体27と畦外側面形成体30が、前記盛土6に対しスリップ回転して畦表面を締め固めるようになされている。
【0031】なお回転整畦具21の直径は、これと同心である前記車輪11,12の直径よりも稍小さく設定され、歩行型畦形成機1を図2に示すように車輪走行で移動させる際、回転整畦具21が損傷されないようにしている。
【0032】又前記土盛り装置5は、図3に示すように、畦形成部に土を盛り上げ状態に連続的に供給するものであり、図7に示すように、歩行型牽引車2の前端部分に設けた軸受76に支持されて左右方向に延長する回転軸77の、畦側(歩行型牽引車の進行方向右側)に突出する軸部に、削り取り掻き上げロータ80を固設してなる。そして該削り取り掻き上げロータ80は、その上側周縁が歩行型牽引車の進行方向に回転するように回転方向が設定されている。その回転方向を図1、図3、図7に矢印で示す。
【0033】該削り取り掻き上げロータ80は、図1、図3、図7〜8に示すように、旧畦81の上部分82を削り取ると共に該削り取った土を掬って掻き上げ、これを、削り取りによって形成された畦形成部(削出凹部)83に盛土する上部回転体85と、旧畦の内側部分86及び旧畦の畦際田面87を同時に削り取ると共に、該削り取った土を掬って掻き上げ、これを、削り取りによって形成された畦形成部(削出凹部)83に盛土する側部回転体89とから構成されている。
【0034】前記上部回転体85は、本実施の形態においては、前記回転軸77に固設された回転板部90の周縁に、旧畦の左方向と右方向に屈曲する爪部91,91が周方向に交互に並設されており、その回転により、前記左右の爪部91,91が、旧畦81の上部分を削り取ると共に該削り取った土を掬って掻き上げ、これを、削り取りによって形成された畦形成部(削出凹部)83に盛土する。なお該上部回転体85は、旧畦の幅によっては、所要間隔をおいて複数並置状態で前記回転軸77に固設されることもある。
【0035】又前記側部回転体89は、前記回転軸77に固設された回転板部92の周縁に、前記回転軸の左右方向斜め外方に傾斜する左右の傾斜片95,96からなるV字状の削出掬い部97が周方向に並設されており、歩行型牽引車の進行方向で見た右側の傾斜片96の外縁は円弧状に形成されその周縁部分99が櫛歯状に形成されている。そして側部回転体89が回転することにより、前記櫛歯状周縁部分99が、図8に示すように旧畦の内側部分86及び旧畦の畦際田面87を所要に削り取ると共に、左右の傾斜片95,96が形成するV字状の削出掬い部97が、この削り取った土を掬って掻き上げ、これを、削り取りによって形成された畦形成部(削出凹部)83に盛土する。
【0036】なお前記回転軸77は、図2、図7に示すように、歩行型牽引車2の前記ミッション装置8からの駆動プーリ100と、前記回転軸77の左側の突出部に固設された従動プーリ101に巻装されたVベルト102を介して高速で強制回転せしめられる。
【0037】次に、本実施の形態に係る歩行型畦形成機1の作用を、図1、図3に基づいて説明する。歩行型牽引車2を進行させると、前記回転増速装置22の増速作用により、前記回転整畦具21の回転が、車軸9,10の回転よりも増速せしめられる。併せて前記回転軸77が、駆動プーリ100によりVベルト102を介して強制回転せしめられ、それに伴い、前記削り取り掻き上げロータ80が高速で強制回転せしめられる。該削り取り掻き上げロータ80の高速回転によって、前記上部回転体85が旧畦の上部分82を削り取ると共に該削り取った土を掬って掻き上げ、これを、削り取りによって形成された畦形成部(削出凹部)に盛土する。
【0038】同時に前記側部回転体89の前記櫛歯状周縁部分99が、図8に示すように旧畦の内側部分86及び旧畦の畦際田面87を削り取ると共に、左右の傾斜片95,96が形成するV字状の削出掬い部97が、この削り取った土を掬って掻き上げ、これを、削り取りによって形成された畦形成部(削出凹部)に盛土する。この盛土6、即ち、畦内側面形成体27と畦外側面形成体30との間に盛られた土は、前記回転畦形成具21の回転により締め固められて畦3とされるのであるが、前記のように、回転増速装置22によって回転整畦具21の回転が車軸9,10の回転よりも増速されているため、畦上面形成体25と畦内側面形成体27と畦外側面形成体30が、盛土6に対しスリップ回転して畦表面を締め固め、その結果、表面の凹凸が少ない強固な畦が形成されることになるのである。
【0039】もしも回転整畦具21が、増速されずに前記畦上面形成体25と畦内側面形成体27と畦外側面形成体30が転がるだけであるとすれば、回転整畦具21が、畦形成部の盛土の外面を単に撫でるだけに終わってしまい、畦は崩れやすいものとなる。
【0040】又前記整畦は、図4〜5に示すように、前記鋸刃状の突出部40が切削刃となって畦際田面87に切り入る状態となるため、該突出部の外面(前記円錐板部の外面)106が畦の内側面26の下端部分をスリップ回転によって締め固める。従って、安定性に優れた畦を形成できることとなる。そしてこの切り入りは、前記鋸刃状の突出部40が切削刃となって行われるため、田面への切り入りが容易且つ確実に行われることとなる。従って、畦内側面形成体27の外周縁側の部分が田面に円滑に切り入らないで回転整畦具が跳ねる傾向になるのを効果的に防止でき、歩行牽引車の直進走行を極力妨げない状態で安定的に整畦作業を行い得ることとなる。
【0041】そして前記畦形成装置7は、歩行型牽引車の重量が大きく加わる車軸に延長された支持軸20に、回転整畦具21を付設することによって構成されているため、該回転整畦具のスリップ回転による畦表面の締め固めを、歩行型牽引車の自重を有効に活用して、回転整畦具21が極力上下に振動しない状態で、非常に安定的に行うことができるのである。又前記のように、畦から遠い左の車輪11の牽引力が右の車輪12の牽引力よりも大きく設定されているために、円錐状外面を有する前記畦内側面形成体27が前記畦形成部の盛土6を押圧しながら回転する際における反力によって歩行型牽引車が畦から離れようとするのを効果的に防止でき、これによって、歩行型牽引車の直進性を確保しながら前記円錐状外面36が盛土側面を強固に締め固めるように作用させることができ、長期に耐える安定的な畦を形成できることになる。
【0042】又本実施の形態においては、前記畦内側面形成体27と畦外側面形成体30が、その外面に稜線角部37,52が周方向に並設された傘状回転体として形成されているため、該畦内側面形成体27や畦外側面形成体30が回転する際に前記稜線角部37,52が畦側面を順次押し付ける作用が得られ、これにより、畦の締め固めがより良好に行われることになる。
【0043】そして、作業者が歩行する部分の側方に回転整畦具21が配置されるため、回転整畦具21や形成された畦が、歩行型牽引車を歩行操作する障害となることがなく、前記安定的な整畦を容易に行うことができる。
【0044】〔第2の実施の形態〕図9〜10は、本発明に係る歩行型畦形成機1の他の態様を示すものであり、テーラーとしての歩行型牽引車2の進行方向に順次畦3を形成するものであって、畦形成部に土を盛り上げ状態に連続的に供給する土盛り装置5と、畦形成部の盛土6を締め固めて畦3を形成する畦形成装置7を具える構成を有する点、及び、図4に示すと同様に、前記歩行型牽引車2の略中央の下部に設けたミッション装置8には、歩行型牽引車の進行方向で見た右側と左側に左の車軸9と右の車軸10が突設されており、該左右の車軸9,10には左右の車輪11,12が固設されている構成を有する点、左の車輪11の牽引力が右の車輪12の牽引力よりも大きくなるように構成されている点は、前記実施の形態におけると同様である。
【0045】又前記土盛り装置5が、図7に示すと同様に、歩行型牽引車2の前端部分に設けた軸受76に支持されて左右方向に延長する回転軸77の、畦側(歩行型牽引車の進行方向右側)に突出する軸部に、削り取り掻き上げロータ80を固設して構成されており、該削り取り掻き上げロータ80が、その上側周縁が歩行型牽引車2の進行方向に回転するように回転方向(図9〜10に矢印Fで示す)が設定されている点、そして、該削り取り掻き上げロータ80が、旧畦81の上部分82を削り取ると共に該削り取った土を掬って掻き上げ、これを、削り取りによって形成された畦形成部(削出凹部)に盛土する上部回転体85と、旧畦の内側部分及び旧畦の畦際田面を同時に削り取ると共に、該削り取った土を掬って掻き上げ、これを、削り取りによって形成された畦形成部(削出凹部)に盛土する側部回転体89とから構成されている点も、前記実施の形態におけると同様である。
【0046】前記実施の形態における場合と異なるのは畦形成装置7の構成にあり、特に、回転整畦具21の増速を生じさせる回転増速装置22にある。そこで本実施の形態においては、整畦装置7の構成を中心に説明することとする。
【0047】即ち該畦形成装置7は、図11〜12に示すように、歩行型牽引車2の前記右の車軸10に遊星歯車装置107としての回転増速装置22を介して延長された駆動軸109に、前記と同様構成の回転整畦具21を付設してなり、該回転整畦具21が、前記車軸10の回転に伴い強制回転せしめられることによって畦3を形成するものである。そして該回転整畦具21は、畦の上面23を形成する畦上面形成体25と、畦の内側面26を形成する畦内側面形成体27と、畦の外側面29を形成する畦外側面形成体30とを具え、該畦上面形成体25と畦内側面形成体27と畦外側面形成体30が、前記遊星歯車装置107の増速作用によって、前記盛土6に対しスリップ回転して畦表面を締め固めるものである。
【0048】又前記遊星歯車装置107は、図11〜14に示すように、前記車軸9と同心の前記駆動軸109に固設された太陽歯車110と、前記車軸10に連結されて該車軸により強制回転せしめられるキャリア111と、該キャリア111の外面側に軸支され且つ前記太陽歯車110に噛合するように構成された3個の遊星歯車112,112,112と、該遊星歯車112の3個に噛合できる内歯113を有するリングギヤ115とを具えている。本実施の形態において前記遊星歯車装置112は、図11に示すように、中央部分に内側軸受116が設けられた円錐状覆板117と、中央部分に外側軸受119が設けられた平板状覆板120とをその先端周縁部分121,122でボルト固定することにより構成してなる円錐台状カバー部材123の円錐状空所125に納設されている。
【0049】より詳しくは、前記太陽歯車110は、前記外側軸受119と後述するキャリア側の軸受131とで軸支された前記駆動軸109の、前記円錐状空所125に存する部位に固設されている。又前記キャリア111は、円板状部126の内面に同心に軸部127が突設されると共に、該軸部の内端で六角軸部129が同心に突設されており、該円板状部126及び六角軸部129には、その中心で同心に挿通孔130が貫設されている。そして該挿通孔130には、前記駆動軸109を軸支する軸受131が嵌着されている。又前記軸部127は、前記内側軸受116に軸支され、前記六角軸部129は、前記内側軸受116を保持する筒部132の内端から突出している。そして前記円板状部126の内面側には、120度の角度ピッチで支持軸135が外方に向けて突設され、支持軸片135の夫々に前記遊星歯車112が回転自在に軸支されている。
【0050】そして前記六角軸部129は、円板状連結板136の中央部分に貫設した六角孔部137に嵌着せしめられ、該六角孔部137の外側の周縁部分139は前記軸部127の端面140に当接せしめられている。又、該円板状連結板136の前記六角孔部137の内側の周縁部分142には止着板143が当接され、該止着板143は、その周縁側に設けた止着孔145を挿通して前記六角軸部129の端面に設けたネジ孔146に螺合せしめられるボルト147を用いて、前記六角軸部129に固定されている。これによって、円板状連結板136が六角軸部129に固定されている。なお該ボルト147の頭部149は、図12(B)に示すように、前記止着板143の内面に設けた沈み孔150に納められている。
【0051】そして前記円板状連結板136には、前記右の車輪12の中央部分をなす駆動板部151が当接せしめられ、該駆動板部151と前記円板状連結板136とは、その周縁部分においてボルト155で固定一体化されている。従って車軸10の回転に伴い、駆動板部151と円板状連結板136を介し、前記キャリア111が強制回転せしめられる。
【0052】又前記リングギヤ115は前記平板状覆板120に固設され、前記カバー部材123が、図10に示すアーム156を介して歩行型牽引車2の例えば本体前部に固定されることによって、前記リングギヤ115は固定状態とされている。
【0053】然して、リングギヤ115が固定状態にある前記遊星歯車装置107においては、駆動軸109の回転が、遊星歯車装置107の増速作用によって、前記車軸10の回転よりも増速される。例えば3〜4倍程度に増速せしめられる。
【0054】そして前記駆動軸109の、前記平板状覆板120からの突出部分159には、図11に示すように連結駆動軸160が同心にボルト連結されており、該連結駆動軸160は前記駆動軸109と一体となって回転できる。そして該連結駆動軸160は、円形軸部161の外端でネジ軸部162が突設されており、該連結駆動軸160に前記回転整畦具21が付設される。
【0055】前記回転整畦具21を構成する前記畦上面形成体25は、前記と同様の構成を有し、図10〜11、図15に示すように円筒状に形成されており、その左右長さは、形成すべき畦の天端幅に応じて所要に設定される。
【0056】又前記畦内側面形成体27は、図11、図15に示すように、前記畦上面形成体の内端側孔部分32に略密接に嵌め入れられる円形基板部33の外周縁で、内方に向かって大径となる円錐板部35が連設された円錐台状板体として形成されている。なお本実施の形態において前記円錐板部35の円錐状外面36は、多数本の稜線角部37が放射状に配設されることによって、開いた傘の外面のように折れ曲がった面として形成されている。
【0057】又その外周縁側の部分39は、先側が細くなる突出部40が周方向に並設された切削部として形成されている。本実施の形態においては、前記突出部40は、隣り合う稜線角部37,37間の部分が、後述の回転方向Fで見た先側の辺41(図15)が傾斜辺として形成された鋸刃状に構成されている。
【0058】そして、前記円形基板部33の中心に挿通孔43が設けられると共に、円形基板部33の外面には、前記挿通孔43と同心の挿通孔45を有した固定筒部163が突設されている。そして該固定筒部163には、前記円形軸部161に貫設した取付け孔165と位置合わせして固定孔166が設けられている。
【0059】又前記畦外側面形成体30は、中央部に円形孔50が設けられた円錐板状に形成されており、その円錐状外面51は、多数本の稜線角部52が放射状に配設されることによって、開いた傘の外面のように折れ曲がった面として形成されている。
【0060】そして前記円形孔50には、前記連結駆動軸160の先端をなすネジ軸部162に螺合し得るネジ孔55が中心部に設けられた円形固定板56の内面側に環状鍔部57が同心に突設されてなる固定部材59の該環状鍔部57を略密接に挿入させることができ、該挿入状態の環状鍔部57は、前記円形孔50の内周縁から稍突出する。
【0061】然して、前記畦上面回転体25と畦内側面形成体27と畦外側面形成体30とを前記連結駆動軸160に組み付けるには、先ず図11に示すように、前記畦内側面形成体27の前記固定筒部163に前記連結駆動軸160の円形軸部161を挿通させると共に、連通した前記固定孔166と前記取付け孔165にボルト169を挿通させ且つその端部分にナット170を螺合し締め付け、該畦内側面形成体27を連結駆動軸160に固定状態に取り付ける。その後、円筒状をなす前記畦上面形成体25の内端側孔部分32に前記円形基板部33を嵌め入れると共に、前記畦外側面形成体30の前記円形孔50の内側周縁部分60を前記畦上面形成体25の外端61に当接させる。然る後、前記円形固定板56のネジ孔55に前記ネジ軸部162を螺合せしめることにより前記環状鍔部57を前記円形孔50にその外側から挿入させ、該環状鍔部の、前記円形孔から内方に突出した内方突出部分を、前記畦上面形成体25の外端側孔部分63に嵌め入れる。然る後、前記ネジ軸部162の、円形固定板から突出した部分にナット65を螺合し締め付けることによって、畦内側面形成体27と畦上面回転体25と畦外側面形成体30とが一体化された回転整畦具21が、前記連結駆動軸160を介して前記駆動軸109に固定状態に付設状態となる。そして該回転整畦具21は、前記駆動軸109の回転に伴い、その上側周縁が歩行型牽引車の進行方向に回転する。その回転方向を図10に矢印Fで示す。
【0062】本実施の形態に係る歩行型畦形成機1の作用は、基本的には前記第1の実施の形態に係る歩行型畦形成機1の作用と同様であるが、回転整畦具の回転増速の作用が異なっている。
【0063】即ち、歩行型牽引車2を進行させると、前記遊星歯車装置107の増速作用により、前記回転整畦具21の回転が車軸9,10の回転よりも増速せしめられる。併せて前記と同様、前記削り取り掻き上げロータ80が高速で強制回転せしめられる。該削り取り掻き上げロータ80の高速回転によって、図10に示すように、前記上部回転体85が旧畦81の上部分82を削り取ると共に該削り取った土を掬って掻き上げ、これを、削り取りによって形成された畦形成部(削出凹部)83に盛土する。同時に前記側部回転体89の前記櫛歯状周縁部分99が、図8に示すように旧畦の内側部分86及び旧畦の畦際田面87を削り取ると共に、左右の傾斜片95,96が形成するV字状の削出掬い部97が、この削り取った土を掬って掻き上げ、これを、削り取りによって形成された畦形成部(削出凹部)83に盛土する。この盛土31、即ち畦内側面形成体27と畦外側面形成体30との間に盛られた土は、前記回転畦形成具21の回転により締め固められて畦3とされるのであるが、前記のように、遊星歯車装置107によって回転整畦具21の回転が車軸9,10の回転よりも増速されているため、畦上面形成体25と畦内側面形成体27と畦外側面形成体30が、前記盛土6に対しスリップ回転して畦表面を締め固め、その結果、表面の凹凸が少ない強固な畦が形成されることになるのである。
【0064】又前記整畦は前記と同様、図11に示すように、前記鋸刃状の突出部40が切削刃となって畦際田面87に切り入る状態となるため、該突出部の外面(前記円錐板部の外面)106が畦の内側面26の下端部分をスリップ回転によって締め固める。従って、安定性に優れた畦を形成できることとなる。そしてこの切り入りは、前記鋸刃状の突出部40が切削刃となって行われるため、田面への切り入りが容易且つ確実に行われることとなる。従って、畦内側面形成体27の外周縁側の部分39が田面に円滑に切り入らないで回転整畦具が跳ねる傾向になるのを効果的に防止でき、歩行牽引車の直進走行を極力妨げない状態で安定的に整畦作業を行い得ることとなる。
【0065】そして前記畦形成装置7は、歩行型牽引車の重量が大きく加わる車軸に延長された駆動軸109に、回転整畦具21を付設することによって構成されているため、該回転整畦具のスリップ回転による畦表面の締め固めを、歩行型牽引車の自重を有効に活用して、回転整畦具21が極力上下に振動しない状態で、安定的に行うことができるのである。又前記のように、畦から遠い左の車輪11の牽引力が右の車輪12の牽引力よりも大きく設定されているために、円錐状外面を有する前記畦内側面形成体27が前記畦形成部の盛土6を押圧しながら回転する際における反力によって歩行型牽引車が畦から離れようとするのを効果的に防止でき、これによって歩行型牽引車の直進性を確保しながら前記円錐状外面36が盛土側面を強固に締め固めるように作用させることができ、長期に耐える安定的な畦を形成できることになる。
【0066】又本実施の形態においても、前記畦内側面形成体27と畦外側面形成体30が、その外面に稜線角部37,52が周方向に並設された傘状回転体として形成されているため、該畦内側面形成体27や畦外側面形成体30が回転する際に前記稜線角部37,52が畦側面を順次押し付ける作用が得られ、これにより、畦の締め固めがより良好に行われることになる。
【0067】そして、作業者が歩行する部分の側方に回転整畦具21が配置されるため、回転整畦具21や形成された畦が、歩行型牽引車を歩行操作する障害となることがなく、前記安定的な整畦を容易に行うことができる。
【0068】〔その他の実施の形態〕
(1) 図16は回転整畦具21の他の態様を示すものであり、前記畦外側面形成体30を省略して、畦内側面形成対27と畦上面形成体25とで構成した場合を示す。
【0069】(2) 本発明において、畦上面形成体25と畦内側面形成体27とが独立的に回転するように構成し、該畦上面形成体25と畦内側面形成体27の回転を異ならせることもある。
【0070】(3) 畦形成部に土を盛り上げ状態に連続的に供給する土盛り装置5は、旧畦を所要に削り取る回転削出刃と、少なくとも田面部分の土を掻き上げる土盛りロータとの組み合わせで構成することもある。或いは旧畦の削り取りが既に完了している場合は、畦形成部に土を盛り上げ状態に連続的に供給する土盛りロータだけで構成されることもある。
【0071】(4) 前記畦内側面形成体27が前記畦形成部の盛土を押圧しながら回転する際における反力によって歩行型牽引車が畦から離れようとするのを防止するために、畦から遠い車輪の牽引力を増大させるその他の手段としては、歩行型牽引車の進行が、前記反力に抗するように、畦に向かう分力を有するように行うこともできる。例えば図17に示すように、畦3に向けて所要に傾むく規制輪171を歩行型牽引車に付設し、該規制輪171の方向規制作用によって、歩行型牽引車の進行が畦に向かう分力を有するように構成することもできる。なお図17において矢印は、歩行型牽引車の進行方向を示し、又一点鎖線は、前記傾きを示す。
【0072】(5) 前記畦内側面形成体27が前記畦形成部の盛土を押圧しながら回転する際における反力によって歩行型牽引車が畦から離れようとするのを防止するために、畦から遠い車輪の牽引力を増大させるその他の手段としては、畦から遠い車輪が回転する際のその接地面積を増大させる各種の手段を採用できる。又、畦から遠い車輪を畦に近い車輪よりも、ミッション装置からより遠ざけることによって、畦から遠い車輪の牽引力を増大させる等の手段も採用できる。
【0073】(6) 畦形成装置を構成する前記回転整畦具21は、図18に示すように、前記畦内側面形成体を、その円錐の軸線172に対して偏心した回転軸線173回りに回転させることもある。このように構成する場合は、畦内側面形成体27が盛土に対してスリップ現象を伴って偏心回転するため、畦表面の締め固めをより良好に行わせることができる。なおこの場合、畦上面形成体25や畦外側面形成体30も、上下方向の偏心運動を行うように構成してよい。又図19は、前記畦内側面形成体27の円錐の軸線と前記支持軸20や駆動軸109の軸線とを交差させて、該畦内側面形成体27を前記支持軸等に取り付けた状態を示すものであり、このように構成する場合は、該畦内側面形成体の偏心状態の回転によって畦の内側面26への叩き作用が得られ、畦の締め固めがより安定したものとなる。
【0074】(7) 本発明において、前記畦形成装置を構成する回転整畦具21は、畦の上面を形成する畦上面形成体と、畦の内側面を形成する畦内側面形成体とを具え、該畦上面形成体と畦内側面形成体が、畦形成部の盛土に対しスリップ回転して畦表面を締め固めることができるものであれば、該畦上面形成体や畦内側面形成体は、完全な円形面や完全な円錐面として形成されることの他、表面に凹凸を有して、回転状態で円形状の面や円錐状の面を形成する各種態様のものを採用できる。又、回転整畦具を畦上面形成体と畦内側面形成体とに分割して構成した場合、該畦内側面形成体としては、畦内側面を形成する傾斜仕上げ面を有する円錐状の畦内側面形成体を垂直線軸線回りに回転するように構成したり、傾斜仕上げ面を有する円錐状の畦内側面形成体を傾斜軸線回りに回転させるように構成することもある。
【0075】(8) 本発明において、畦内側面形成体の外周縁側の部分を、先側が細くなる突出部が周方向に並設された切削部として形成する場合、この突出部は、前記鋸刃状の突出部には特定されず、三角形状や台形状等を呈する突出部であってもよい。
【0076】(9) 車軸に延長された支持軸に回転整畦具を回転自在に付設する構成は、図5に示すように、回転筒部に支持軸を挿通して行うことの他、回転整畦具に突設した軸を、支持軸の軸心に沿って設けた軸孔に挿入させて行う等、各種の公知手段を採用して行うことができる。
【0077】
【発明の効果】本発明は以下の如き優れた効果を奏する。
(1) 本発明に係る歩行型畦形成機によるときは、歩行型牽引車の重量が大きく加わる車軸に延長された支持軸に回転整畦具を付設する如く構成しているため、歩行型牽引車の自重を有効に活用して、回転整畦具の上下振動を極力抑制しながら安定的に畦を形成することができる。
【0078】(2) そして本発明に係る歩行型畦形成機は、従来のようなトラクタではなく歩行型牽引車を利用して構成しているため、畦形成機を、その前後長さが短い小型に構成できる。従って、山間部の階段状をなす棚田にも、容易に移動して導入できる。又歩行型畦形成機の前後長さが短いために、図20に示すように、畦形成機の前端が田の端175に到達した状態における、畦形成機の前端から回転整畦具21までの畦の塗れない長さL7の旧畦部分176を短くできる。従って、畦の塗れない旧畦部分の長さが長い従来のトラクタ利用の大型畦形成機とは異なり、手作業による整畦作業を少なくして、畦形成の省力化を達成できることになる。又、畦形成機の前後長さが小さく小回りがきくために、耕地整理が行われていない山間部の田の畦等、曲がりくねった畦であっても、これを容易に形成できる。
【0079】(3) 本発明においては、作業者が歩行する部分の側方に回転整畦具が配置されているため、該回転整畦具や形成された畦が歩行型牽引車を歩行操作する際の障害となることなく、整畦を容易に行うことができる。
【0080】(4) 畦から遠い車輪に関して、その牽引力を高め、或いは前記歩行型牽引車の進行が、畦内側面形成体が盛土を押圧しながら回転する際における反力に抗し得るよう、畦に向かう分力を有するように行われるように構成することにより、前記畦内側面形成体が前記畦形成部の盛土を押圧しながら回転する際における反力によって歩行型牽引車が畦から離れようとするのを効果的に防止でき、これによって歩行型牽引車の直進性を確保しながら安定的に整畦できることになる。
【0081】(5) 駆動軸の回転を車軸の回転よりも増速する手段を、遊星歯車装置を用いて構成したときは、回転整畦具の増速手段を、スプロケット間にチェーンを巻装したりプーリー間にVベルトを巻装して構成する場合に比し、コンパクトに構成でき、畦形成機の小型化を達成できることになる。
【0082】(6) 本発明において、畦内側面形成体の外周縁側の部分を、先側が細くなる突出部が周方向に並設された切削部として構成したときは、前記整畦は、前記鋸刃状の突出部が切削刃となって畦際の田面に切り入る状態となるため、該突出部の外面が盛土側面をスリップ回転によって締め固める。従って、畦の内側面を、その下端部分を含めて強固に締め固めることができ、安定性に優れたを畦を形成できることとなる。そしてこの食い込みは、前記鋸刃状の突出部が切削刃となって行われるため、畦内側面形成体の外周部分の田面への切り入りが容易且つ確実に行われることとなる。従って、畦内側面形成体の外周部分が田面に円滑に切り入らないで回転整畦具が跳ねる傾向になるのを効果的に防止でき、歩行型牽引車の直進走行を極力妨げない状態で安定的に整畦作業を行い得ることとなる。
【0083】(7) 土盛り装置を、畦の長さ方向と略直交する軸線回りに回転する削り取り掻き上げロータを具える如く構成し、該削り取り掻き上げロータが、その回転によって、旧畦から田面に亘って切り入り旧畦と田面を削り取ると共に、該削り取った土を掬って掻き上げ、削り取られた旧畦上に盛土する構成としたときは、旧畦の削り取りと盛土を同時に行うことができ、土盛り装置をコンパクトに構成できることになる。
【出願人】 【識別番号】000250247
【氏名又は名称】来田農産株式会社
【識別番号】593088120
【氏名又は名称】武田 美津子
【出願日】 平成11年9月3日(1999.9.3)
【代理人】 【識別番号】100085246
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 清一郎
【公開番号】 特開2001−69805(P2001−69805A)
【公開日】 平成13年3月21日(2001.3.21)
【出願番号】 特願平11−249571