| 【発明の名称】 |
作業車 |
| 【発明者】 |
【氏名】福本 俊也
【氏名】仲井 章平
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| 【要約】 |
【課題】車体のディスプレイに作業に必要な各種情報を表示させると共に、センサ類のメンテナンスに必要な状態をディスプレイに表示させる。
【解決手段】ディスプレイ35に対して作業時に必要な表示を行わせると共に、調整モードでは調整に必要な操作を促すメッセージとセンサ類の情報とをディスプレイ35に表示し、診断モードでセンサ類のチェック情報をディスプレイ35に表示する制御装置90を備えた。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 走行車体に備えた複数のセンサからの情報に基づき文字表示が可能なディスプレイに対して各種情報を表示する表示用制御装置を備えた作業車であって、前記表示用制御装置が、作業時においてディスプレイに対して作業に必要な情報を表示する通常表示モードでの表示と、非作業時において前記センサからの信号を補正する際の情報をディスプレイに表示する調整モードでの表示と、非作業時において前記センサからの信号をチェックする際の情報をディスプレイに表示する診断モードでの表示との何れかのモードに従う表示を行うよう制御形態が設定されている作業車。 【請求項2】 前記通常表示モードにおいては、燃料残量情報と、エンジンの冷却水温情報とのうちの少なくとも1つを前記ディスプレイに表示する恒常表示を行うと共に、この恒常表示を行っている際に前記センサで異常値を検出した場合には、恒常表示に優先して、そのセンサに対応した異常を示す情報をディスプレイに対して文字で表示する警告表示を行うよう前記表示用制御手段の制御形態が設定されている請求項1記載の作業車。 【請求項3】 前記調整モードでは作業者が行うべき操作のメッセージをディスプレイに対して表示し、前記診断モードでは対象とするセンサの情報をディスプレイに対して表示するよう前記表示用制御手段の制御形態が設定されている請求項1又は2記載の作業車。 【請求項4】 前記調整モードでは、前記作業者が行うべき複数種の操作を示すメッセージを予め設定された順序でディスプレイに表示すると共に、この表示の後に、表示された操作が適正に行われていることをセンサからの信号に基づいて判別した場合には、この判別以降その操作の表示を行わず、表示された操作が適正に行われていないことをセンサからの信号に基づいて判別した場合には、作業者が行うべき操作を示すメッセージをディスプレイに再度表示するよう前記表示用制御手段の制御形態が設定されている請求項3記載の作業車。 【請求項5】 前記診断モードでは、診断対象のセンサからの信号が異常な値である場合には、診断対象のセンサが異常であることを示す文字をディスプレイに表示する、若しくは、診断対象のセンサからの信号値の数値をディスプレイに表示するよう前記表示制御手段の制御形態が設定されている請求項3記載の作業車。 【請求項6】 作業用の複数のスイッチをON操作した状態で、エンジンを始動するスイッチを電力供給位置に操作することで前記調整モードと診断モードとの一方を選択できる制御が開始されるよう構成されている請求項1記載の作業車。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、走行車体に備えた複数のセンサからの情報に基づき文字表示が可能なディスプレイに対して各種情報を表示する表示用制御装置を備えた作業車に関する。 【0002】 【従来の技術】上記のようにディスプレイを備えた作業車に関連する技術として、特開昭58‐26652号公報や特開昭62‐39716号公報に示されるものが存在し、これら従来例では複数種の情報を1つのディスプレイに表示するものとなっており、従来例の前者では車両走行情報と警報項目との表示とを切換えて表示でき、従来例の後者ではエンジン始動前には点検画像を表示し、エンジン始動後には車両走行情報を表示するものとなっている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】作業車として農用トラクタを例に挙げると、近年開発されているものでは耕耘装置の昇降制御やローリング制御ばかりでなく、ステアリング操作に基づいた前車輪の変速制御や、ステアリング操作に基づいた後車輪の制動制御等の多様な制御を行うものとなっており、例えば、耕耘装置の昇降制御を行うために必要なセンサ類だけを考えても、耕耘装置の対車体目標高さを設定する設定器や、後カバーの揺動角度を計測するセンサや、耕耘装置の対車体高さを計測するもの等を挙げることが可能であり、更に、これらの昇降を円滑に行うためにエンジン回転数センサを備えてエンジン回転数に基づき制御の補正を行うものも存在する。そして、ディスプレイは作業時に必要な燃料残量や、エンジン冷却水温等の情報を表示し続けることが肝要であるが、前記従来例の前者のように正常な作業を行えなくなった場合には、その状況を迅速に作業者に認識させるために利用することや、前記従来例の後者のように車体に備えたセンサ類の調整や点検に利用することも有用である。 【0004】ここで、車体に備えた多数のセンサの保守や点検を行う場合を考えるに、従来例の後者では、センサ類の信号に基づいて正常、あるいは、異常の判別をディスプレイの表示に基づいて判断できるので点検を容易に行えるものの、センサ類の信号値を補正することまでは利用できず改善の余地がある。特に、この従来例の後者ではエンジンが始動する直前に必ず点検画像(セーフティモニタ画面)に表示される情報が多過ぎることから、表示が煩わしい面もある。 【0005】本発明の目的は、車体に備えられたディスプレイを合理的に利用して作業に必要な各種情報を表示すると共に、車体に備えられた多数のセンサ類の状態の把握と、チェックとを無理なく行う点にある。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明の第1の特徴(請求項1)は、走行車体に備えた複数のセンサからの情報に基づき文字表示が可能なディスプレイに対して各種情報を表示する表示用制御装置を備えた作業車において、前記表示用制御装置が、作業時においてディスプレイに対して作業に必要な情報を表示する通常表示モードでの表示と、非作業時において前記センサからの信号を補正する際の情報をディスプレイに表示する調整モードでの表示と、非作業時において前記センサからの信号をチェックする際の情報をディスプレイに表示する診断モードでの表示との何れかのモードに従う表示を行うよう制御形態が設定されている点にあり、その作用、及び、効果は次の通りである。 【0007】本発明の第2の特徴(請求項2)は請求項1において、前記通常表示モードにおいては、燃料残量情報と、エンジンの冷却水温情報とのうちの少なくとも1つを前記ディスプレイに表示する恒常表示を行うと共に、この恒常表示を行っている際に前記センサで異常値を検出した場合には、恒常表示に優先して、そのセンサに対応した異常を示す情報をディスプレイに対して文字で表示する警告表示を行うよう前記表示用制御手段の制御形態が設定されている点にあり、その作用、及び、効果は次の通りである。 【0008】本発明の第3の特徴(請求項3)は請求項1又は2において、前記調整モードでは作業者が行うべき操作のメッセージをディスプレイに対して表示し、前記診断モードでは対象とするセンサの情報をディスプレイに対して表示するよう前記表示用制御手段の制御形態が設定されている点にあり、その作用、及び、効果は次の通りである。 【0009】本発明の第4の特徴(請求項4)は請求項3において、前記調整モードでは、前記作業者が行うべき複数種の操作を示すメッセージを予め設定された順序でディスプレイに表示すると共に、この表示の後に、表示された操作が適正に行われていることをセンサからの信号に基づいて判別した場合には、この判別以降その操作の表示を行わず、表示された操作が適正に行われていないことをセンサからの信号に基づいて判別した場合には、作業者が行うべき操作を示すメッセージをディスプレイに再度表示するよう前記表示用制御手段の制御形態が設定されている点にあり、その作用、及び、効果は次の通りである。 【0010】本発明の第5の特徴(請求項5)は請求項3において、前記診断モードでは、診断対象のセンサからの信号が異常な値である場合には、診断対象のセンサが異常であることを示す文字をディスプレイに表示する、若しくは、診断対象のセンサからの信号値の数値をディスプレイに表示するよう前記表示制御手段の制御形態が設定されている点にあり、その作用、及び、効果は次の通りである。 【0011】本発明の第6の特徴(請求項6)は請求項1において、作業用の複数のスイッチをON操作した状態で、エンジンを始動するスイッチを電力供給位置に操作することで前記調整モードと診断モードとの一方を選択できる制御が開始されるよう構成されている点にあり、その作用、及び、効果は次の通りである。 【0012】〔作用〕 【0013】上記第1の特徴によると、作業時には通常表示モードでの表示を行わせることで作業に必要な情報をディスプレイから知り得るものとなり、非作業時においてセンサからの信号を補正する際には調整モードでの表示を行わせることで必要な情報をディスプレイから知り得るものとなり、非作業時において前記センサからの信号をチェックする際には診断モードでの表示を行わせることで必要な情報をディスプレイから知り得るものとなる。 【0014】上記第2の特徴によると、通常表示モードでの表示で作業を行っている場合には、恒常表示によって燃料残量情報とエンジンの冷却水温情報との少なくとも1つの情報をディスプレイを介して知り得るものとなり、又、センサで異常を検出した場合には恒常表示に優先してディスプレイに対して異常を示す警告表示が行われるものとなり、作業者は警告表示に基づいて異常に対処する適切な処置を行い得るものとなる。 【0015】上記第3の特徴によると、調整モードでは、ディスプレイに表示されたメッセージに基づいて操作を行うことで作業者が行うべき操作を誤りなく行えるものとなり、又、診断モードでは、ディスプレイに表示されたセンサの情報によってセンサの状態を判別できるものとなる。 【0016】上記第4の特徴によると、調整モードでは、ディスプレイに表示されたメッセージに従った操作を行えると共に、このメッセージに従った操作が適正である場合には、これ以降同じメッセージが表示されることがなく、メッセージに従った操作を行えなかった場合や誤った場合には、そのメッセージが再度表示されるので、表示に従って操作を行えるものとなり、このメッセージが表示されなくなるまで操作を行うことで必要な操作を適正に行えるものとなる。 【0017】上記第5の特徴によると、診断モードでは、診断対象のセンサからの信号が異常な値である場合に、そのセンサが異常であることを示す文字がディスプレイに表示される、若しくは、センサの信号値がディスプレイに表示されるので、センサの状態を容易に判断できるものとなる。 【0018】上記第6の特徴によると、調整モード、あるいは、診断モードを実行する場合には、通常のエンジン始動時には行うことのない形態でエンジンを始動するスイッチを電力供給位置に操作する必要があるので、通常の作業時に調整モードや診断モードの制御が開始されることがなく、意識を持って操作した場合にのみ調整モードと診断モードの一方を選択できるものとなる。 【0019】〔発明の効果〕従って、車体に備えられたディスプレイを利用して作業に必要な各種情報を表示すると共に、車体に備えられた多数のセンサ類の状態の把握と、チェックとを無理なく行えるものとなったのである(請求項1)。又、作業時には必要なディスプレイの表示を確認できると共に、異常発生時にもディスプレイの表示に基づいて異常の解消を即座に行えるものとなり(請求項2)、センサの調整を行う場合にはマニュアルを確認しなくともディスプレイの表示に基づいて誤りなく調整を行えるものとなり、センサの診断を行う場合にはディスプレイの表示に基づいて誤りのない情報を容易に把握して調整や、交換の必要性を簡単に判断できるものとなり(請求項3、4、5)、エンジン始動用のスイッチの操作で調整モードと診断モードとの制御を開始するものでありながら、エンジンの始動操作時には調整モードと診断モードとの制御が行われることがなく煩わしさを感ずることもない(請求項6)。 【0020】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1及び図2に示すように、操向操作自在に構成された駆動型の前車輪1及び駆動型の後車輪2を備えた車体の前部にエンジンEを搭載すると共に、このエンジンEからの動力が主クラッチ3を介して伝えられるミッションケース4を車体の中央部から後部に亘って配置し、車体の中央部に運転座席5とステアリングハンドル6とを配置し、又、このミッションケース4の後端位置の縦向き姿勢の油圧式の左右一対のリフトシリンダ7、7で駆動昇降される左右一対のリフトアーム8、8を備え、このリフトアーム8、8で昇降操作される3点リンク機構Lを介してロータリ耕耘装置Aを車体の後端に支持して作業車の一例としての農用トラクタを構成する。 【0021】前記3点リンク機構Lは車体後端の上部位置に備えたトップリンク9と車体後部両側部に備えた左右一対のロアーリンク10,10とで構成され、この左右のロアーリンク10,10と前記左右のリフトアーム8,8とをリフトロッド11,11で吊り下げ状態に支持することでリフトアーム8の揺動作動によってロータリ耕耘装置Aが昇降自在に構成されている。そして、リフトアーム8の揺動量を計測するポテンショメータ型のリフトアームセンサ8Sを備えている。又、リフトロッド11,11の一方に介装された油圧式で複動作動するローリングシリンダ12の伸縮作動によって該ロータリ耕耘装置Aがローリング作動自在に構成されている。又、車体の後部位置には車体のローリング姿勢を計測するポテンショメータ型のローリングセンサRSを備え、ローリングシリンダ12の作動量を計測するようローリングシリンダ12の伸縮作動部にインナーワイヤ14Aとアウタワイヤ14Bを支持したセンサワイヤ14の他方の端部に該センサワイヤ14で操作される回転操作式でポテンショメータ型のストロークセンサSSを備えている。 【0022】図1、図2、図6に示すように、このロータリ耕耘装置Aは横向き姿勢の駆動軸周りで回転する多数の耕起爪16を備えると共に、装置本体17の後部位置に横向き姿勢の軸芯周りで揺動自在な後カバー18を備え、この後カバー18に揺動自在に連結したロッド19を装置本体17のフレーム17Fとの間に外装し、圧縮バネで該後カバー18に対して下方に向かう付勢力を作用させよう構成してあり、又、このロッド19と後カバー18との支持位置を変更することで後カバー18を吊り上げ状態に固定し得るよう構成されている。そして、この後カバー18の揺動量を計測するカバーセンサ18Sを本体上面に備えている。 【0023】図3及び図10に示すように、前記運転座席5には連結及び解除自在な左右のシートベルト20を備え、この運転座席5の右側部に前記リフトアーム8の揺動角度を調節してロータリ耕耘装置Aを昇降制御するポジションレバー21と、コントロールパネルCPとを配置し、運転座席5の左側部には走行速度を設定する主変速レバー22とクリープ変速レバー23とを配置してあり、前記ステアリングハンドル6の左側部に前後方向に揺動操作自在な前後進切換レバー24を配置し、ステアリングハンドルの右側部にアクセルレバー25と強制昇降レバー26を配置してある。又、ステップの左側には踏み込み操作で前記主クラッチ3を切り操作する主クラッチペダル27を配置してあり、ステップの右側には踏み込み操作で左右の後車輪2,2を独立して制動操作するサイドブレーキペダル28,28を配置してある。ステアリングハンドル6の前方位置のパネル部にメータ部Mと表示切換スイッチ29と選択スイッチ30とキースイッチ31とを配置してあり、前記選択スイッチは押し操作によって「2WD」「4WD」「倍速」「AD倍速」の4モードのいずれか1つを選択できるものとなっている。 【0024】又、「2WD」「4WD」「倍速」「AD倍速」の4モードでの制御形態は後述するが、「2WD」の制御モードでは前車輪1に対する伝動を遮断して後車輪2の駆動力だけでの走行を行わせるものとなり、「4WD」の制御モードでは前車輪1に対して周速度が後車輪2と等しくなる速度の駆動力を伝えて前後の車輪の同時駆動による走行を行わせる(標準駆動状態)ものとなり、「倍速」の制御モードでは前車輪1が予め設定された操向角度より大きく操作された際に、「4WD」の標準駆動状態から前車輪1の駆動速度を増大する駆動状態に切換えて小半径での旋回を行わせるものとなり、「AD倍速」の制御モードでの制御は前車輪1が予め設定された操向角度より大きく操作された際に、「4WD」の標準駆動状態から前車輪1の駆動速度を増大する駆動状態に切換えると同時に旋回内側の後車輪2を制動して一層小半径での旋回を行わせるものとなっている。 【0025】前記メータ部Mは図10に示すように、中央位置に指針式のエンジン回転数計34を配置し、この上部に液晶式のディスプレイ35を配置し、左側に複数の報知ランプ類等を備えた報知部36を配置し、右側に作業モードを示す表示ランプ類を備えた表示部37を配置してある。具体的に報知部36には、警報状態にあることを示すシンボルマークを記したランプ、サイドブレーキペダル28,28同士を連結する連結金具(図示せず)の連結が解除された状態にあることを示す「ブレーキ連結解除」の文字を記したランプ、駐車ブレーキが制動状態にあることを示す「P」の文字を記したランプ、前記「AD倍速」の制御モードにあることを示す「AD倍速」の文字を記したランプ、前記「倍速」の制御モードにあることを示す「倍速」の文字を記したランプ、4輪駆動状態にあることを示す「4WD」の文字を記したランプ夫々を備えて成り、又、表示部37には、ロータリ耕耘装置Aがローリング制御状態にあることを示す「モンロ」の文字を記したランプ、前記カバーセンサ18Sを用いた対地基準の昇降制御が行われていることを示す「オート」の文字を記したランプ、エンジンEの回転数の変化に基づいてロータリ耕耘装置Aの昇降が行われる状態にあることを示す「Eオート」の文字を記したランプ、前記強制昇降レバー26の操作による昇降制御が行われていることを示す「ポンパ」の文字を記したランプ、車体の後進時に自動的にロータリ耕耘装置Aを設定高さまで上昇させる制御を行う状態にあることを示す「バックアップ」の文字を記したランプ、前車輪1が設定角度以上操作された場合にロータリ耕耘装置Aを設定高さまで上昇させる制御を行う状態にあることを示す「オートアップ」の文字を記したランプ夫々を備えて成っている。 【0026】前記ミッションケース4の内部には図5に示す伝動系が内装されている。つまり、前記エンジンEから前記主クラッチ3を介して伝えられる動力を4段に変速するよう4組のギヤと、2組のシンクロメッシュ式のシフト部材41,42とを備えた第1変速機構T1、この第1変速機構T1の伝動下手に配置された油圧クラッチC、この油圧クラッチCの伝動下手に配置され動力を2段に変速するよう2組のギヤと1つのシンクロメッシュ式のシフト部材43とを備えた第2変速機構T2、この第2変速機構T2の動力を正転状態で伝える状態と逆転状態で伝えるよう逆転ギヤ系とシンクロメッシュ式の1つのシフト部材44とを備えた前後進変速機構Tfr、この前後進変速機構Tfrの伝動下手に配置され動力を2段に変速するよう2組のギヤと1つのシンクロメッシュ式のシフト部材45とを備えた第3速機構T3、この第3変速機構T3の伝動下手に配置され第3変速機構T3からの変速状態をそのまま伝える状態と大きく減速する1組のギヤとコンスタントメッシュ式のシフト部材47とを備えたクリープ変速機構Tcrとを備えている。そして、この変速系からの動力は後車輪2に対する差動装置48を介して後車輪2に伝えられると共に、シフト部材49の操作によって前車輪1の周速度を後車輪2の周速度と一致させて駆動する標準駆動状態と、前車輪1の周速度を後車輪2の周速度より高速化させて駆動する増速駆動状態と、前車輪1に対する伝動を遮断する状態とに切換え可能な前輪変速装置TF及び前車輪駆動軸50を介して前車輪1に伝えられるよう走行伝動系が構成されている。尚、この前輪増速装置TFは、前記「倍速」の制御時、及び、「AD倍速」の制御時に前車輪1が予め設定された操向角度より大きく操作された際に、シフト部材49の作動によって前車輪1に対して増速駆動力を伝える機能を有している。 【0027】又、前記第1変速機構T1と第2変速機構T2とで前進走行速度を8段に変速する主変速装置TMが構成され、この主変速装置にTMは3つのシフト部材41,42,43を夫々を操作する第1油圧シリンダP1、第2油圧シリンダP2、第3油圧シリンダP3を備え、前後進変速機構Tfrのシフト部材44は前記前後進切換レバー24と機械的に連係し、第3変速機構T3にはシフト部材45を操作する第4油圧シリンダP4を備え、クリープ変速機構Tcrのシフト部材47は前記クリープ変速レバー23と連係している。 【0028】図7に示すように、前記夫々の油圧シリンダP1〜P4と油圧クラッチCとを制御する油圧系が構成されている。つまり、前記第1、第2、第4油圧シリンダP1,P2,P4はシフト部材41、42、45を両操作端と中立位置とに設定し得る複動型に構成され、前記第3油圧シリンダP3はシフト部材43を両操作端に設定し得る複動型に構成され、これらの油圧シリンダP1,P2,P3,P4を制御する7つの電磁操作式のシリンダ制御弁V1,V1,V2,V2,V3,V4,V4に対して前記エンジンEで駆動される油圧ポンプ51からの作動油を供給する油路系が形成されると共に、前記油圧クラッチCに対してパイロット操作型の開閉弁Vcを介して油圧ポンプ51からの作動油を供給する油路系が形成され、又、電磁比例型の圧力制御弁Vpによって油圧クラッチCの入り操作時の圧力を調節する油路が形成され、オリフィス52を介してパイロット油路53に対して作動油を供給する油路系が形成されている。更に、このパイロット油路53の圧力で前記開閉弁Vcを操作する油路を形成し、又、このパイロット油路53に対して5つのチェック弁54…を介して圧力を低下させる系を備えている。この5つのチェック弁54…のうち4つは前記油圧シリンダP1,P2,P3,P4の作動時に機械的に開閉操作され、あと1つのチェック弁54は前記前後進切換レバー8にの操作時に開閉操作されるよう連係しており、このパイロット油路53には圧力センサ55が備えられている。 【0029】尚、複動型の第1、第2、第4油圧シリンダP1,P2,P4は、2つの制御弁から同時に圧油が供給するとシリンダ内のピストンが中立状態となり、一方の制御弁からの作動油を供給するとピストンが一方の端部まで作動し、他方の制御弁からの作動油を供給するとピストンが他方の端部まで作動するものとなっている。 【0030】そして、油圧シリンダP1,P2,P3,P4の作動開始時には対応するチェック弁54が開放してパイロット油路53の圧力を低下させることで開閉弁Vcをドレン位置に切換えて油圧クラッチCを切り操作するものとなっており、このように油圧クラッチCが切り状態にあるタイミングで油圧シリンダの作動によって変速が行われるものとなっている。この後、油圧シリンダの作動終了時にはチェック弁54が閉じ状態に戻される結果、開閉弁Vcが作動油供給位置に操作され、これによって供給される作動油の圧力が制御弁Vpで調節され乍ら油圧クラッチCに送られ、該油圧クラッチCが入り状態に達するものとなっており、変速時には主クラッチ3を人為的に切り操作しないで済むものとなっている。 【0031】これと同様に、前後進切換レバー24を操作した際にも対応したチェック弁54が開放してパイロット油路53の圧力を低下させることで開閉弁Vcをドレン位置に切換えて油圧クラッチCを切り操作した状態で変速を行い、この後、前後進切換レバー8の操作の終了時にチェック弁54が閉じ状態に戻される結果、開閉弁Vcが作動油供給位置に操作され、これによって供給される作動油の圧力が制御弁Vpで調節され乍ら油圧クラッチCに送られ、該油圧クラッチCが入り状態に達するものとなっている。又、このように変速操作される際には、パイロット油路53の圧力が低下した後に上昇するものとなっており、この圧力変化を電気スイッチ型の圧力センサ55で検出すると、制御装置(後述する)が制御弁Vpの電磁ソレノイドに対する電流を調節することで、油圧クラッチCに供給される作動油の供給圧を所定の特性に従って調節しながら油圧クラッチCの昇圧を図り、ショックを発生させること無く円滑に入り状態に切換えるものとなっている。 【0032】又、前記前輪変速装置TFのシフト部材49をシフト操作する変速シリンダPFを備え、この変速シリンダPFは前記第1油圧シリンダP1と同様にシフト部材49を両操作端と中立位置とに設定し得る複動型に構成され、この変速シリンダPFを制御する電磁操作式の変速制御弁VF、VFに対して前記油圧ポンプ51からの作動油を供給する油路系が形成されている。 【0033】図8に示すようにロータリ耕耘装置Aの昇降制御と、ローリング制御とを行う油路系が構成されている。つまり、前記油圧ポンプ51からの作動油が供給される油路にフロープライオリティ弁57を備え、このフロープライオリティ弁57の制御油の流路側に前記ローリングシリンダ12に対する作動油を制御する電磁式のローリング弁58を備え、又、フロープライオリティ弁57の余剰油の流路側に前記リフトシリンダ7,7に対する作動油を制御する電磁比例制御弁Vを備えている。この電磁比例制御弁Vは作動油をリフトシリンダ7,7に供給する位置に配置された上昇弁59と、この上昇弁59を開閉操作するパイロット圧制御用の上昇用パイロット弁60と、リフトシリンダ7,7からの作動油を排出する位置に配置された下降弁61と、この下降弁61を開閉操作するパイロット圧制御用の下降用パイロット弁62と、リリーフ弁63とを備えて構成されている。又、上昇用パイロット弁60と下降用パイロット弁62とは電磁ソレノイドに供給する制御電力の電流値の調節でパイロット圧を変化させて上昇弁59、下降弁61の開度を調節し得るよう構成され、この開度の調節によってロータリ耕耘装置Aの上昇速度と下降速度を任意に設定できるものとなっている。 【0034】図4に示すように、ミッションケース4から左右の後車輪2,2に動力を伝える伝動軸系にサイドブレーキ66を備えており、この左右のサイドブレーキ66,66を制動操作するアーム66A,66Aと前記サイドブレーキペダル28,28の踏み込み操作で左右独立して制動できるよう操作ロッドや、操作ワイヤ等の連係部材67を介して連係され、又、この左右のサイドブレーキ66,66をを独立して制動操作する油圧式のブレーキシリンダ68,68を備えている。 【0035】同図に示すように、前記ステアリングハンドル6の操作力が伝えられる油圧式のパワーステアリングユニット69を備え、このパワーステアリングユニット69のピットマンアーム69Aと左右の前車輪1,1のナックルアーム70,70との間にタイロッド71,71を配置して操向操作系を構成してあり、ナックルアーム71の揺動量から前車輪1のステアリング角度を計測するポテンショメータ型の切れ角センサASを備えている。そして、図9に示すように、前記油圧ポンプ51からパワーステアリングユニット69と、左右のブレーキシリンダ68、68を制御する電磁式のブレーキ弁VB、VBに対する油路が形成されている。 【0036】図11に示すように、前記コントロールパネルCPは中央部に開閉自在な蓋体75を備え、この蓋体75を閉じた状態で、蓋体75より前部に露出する位置に耕深設定ダイヤル76を配置し、蓋体75より後部に露出する位置にオートアップのON・OFF用のスイッチ77とランプ77Lとのセット、バックアップ制御のON・OFF用のスイッチ78とランプ78Lとのセット、標準感度の自動耕深制御及び標準のローリング制御を一括してON・OFFするスイッチ79とランプ79Lとのセット、手動ローリングスイッチ80夫々を配置してある。又、蓋体75で覆われる部位には前記3点リンク機構Lの仕様に対応して制御基準値を補正するためのリンク仕様選択スイッチ81と2つのランプ81Lのセット、感度を標準に設定した標準自動耕深制御と感度を敏感に設定した敏感自動耕深制御とエンジン負荷に対応したエンジン負荷耕深制御との何れか1つを選択する耕深制御モード選択スイッチ82と3つのランプ82Lのセット、標準のローリング制御と傾斜地でのローリング制御とのいずれかを選択するローリング制御モードスイッチ83と2つのランプ83Lのセット、ロータリ耕耘装置Aの仕様に対応して制御基準値を補正するためのロータリ仕様選択スイッチ84と3つのランプ84Lのセット、ローリング角度設ダイヤル85、上限設定ダイヤル86夫々が備えられている。尚、このスイッチ類とセット状態で配置されたランプはスイッチがON操作された場合や、スイッチで選択されたモード等を示す位置で点灯するものとなっている。 【0037】図12に示すようにマイクロプロセッサを有した制御装置90(表示用制御装置の一例)を備えて制御系が構成されている。前記キースイッチ31はグロープラグ91、セルモータ92に通電する電力系を備え、このキースイッチ31からグロープラグに通電する系からの信号を制御装置90入力する系が形成されている。又、この制御装置90に対して前記表示切換スイッチ29、選択スイッチ30、主変速レバー22の操作位置を検出するポテンショメータ型の主変速センサ22S、昇降用センサ類、ローリングセンサ類、切れ角センサAS、計測系センサ類夫々からの信号が入力する系が構成されるとともに、ディスプレイ35、報知部36、表示部37、シリンダ制御弁V1,V2,V3,V4、上昇用、下降用パイロット弁60,61、ローリング弁58,変速制御弁VF、VF、ブレーキ弁VB、VB夫々に対する出力系が形成されている。昇降用センサ類はポジションレバー21の操作位置を検出するレバーセンサ21S、リフトアームセンサ8S、耕深設定ダイヤル76で操作される耕深設定器76S、カバーセンサ18S、エンジンEの回転数を計測する回転数センサES等が含まれ、ローリング用センサ類はローリングセンサRS、ストロークセンサSS、ローリング角設定ダイヤル85で操作されるローリング角設定器85S、手動ローリングスイッチ80等が含まれ、計測系センサ類は燃料タンク内の燃料の残量を計測する燃料残量センサ、バッテリーの電圧を計測する電圧センサ、エンジンEの冷却水温を計測するエンジン冷却水温センサ、エンジンオイルの圧力を計測するオイル圧センサ等(図示せず)が含まれる。 【0038】前記主変速レバー22は駐車位置、中立位置、及び、前進12段、後進8段の変速位置に操作可能に構成され、この主変速レバー22を操作した場合には、制御装置90が主変速センサ22Sからの信号に基づいて変速段を検出し、この変速段に対応した変速状態を得るため、前記油圧シリンダP1〜P4のうち駆動対象を選択し、このように選択した油圧シリンダに対応するシリンダ制御弁を選択して通電することで変速を行うものとなっている。尚、主変速機構TMで4段の変速が可能であり、第2変速機構T2で2段の変速が可能であり、更に、第3変速機構T3と2段の変速が可能であることから、前進の走行速度として16段の変速が可能であるが、変速比が小さい段での変速を行わないようにソフトウエア的に12段の変速を行うよう設定されている。 【0039】又、前記選択スイッチ30は繰り返して押し操作することで、「2WD」のモード、「4WD」のモード、「倍速」のモード、「AD倍速」のモードが順次選択できるものとなっており、夫々のモードを選択した場合には、制御装置90が報知部36の対応する「4WD」「倍速」「AD倍速」のランプを点灯させるものとなっている。そして、制御装置90は「2WD」のモードが選択された場合には、変速制御弁VF、VFを制御して前輪変速装置TFを中立状態に設定して前車輪1への伝動を断ち、「4WD」のモードが選択された場合には、変速制御弁VF、VFを制御して前輪変速装置TFを、後車輪2の周速度と等しい周速度となる駆動速度の動力を前車輪1に伝える状態に設定し、「倍速」のモードが選択された場合には、切れ角センサASからの信号から前車輪1の切れ角が予め設定された角度以下にあることを判別した場合に、変速制御弁VF、VFを制御して前輪変速装置TFを、後車輪2の周速度と等しい周速度となる駆動速度の動力を前車輪1に伝える状態に設定しておき、切れ角センサASからの信号から前車輪1の切れ角が予め設定された角度を越えたことを判別した場合には、変速制御弁VF、VFを制御して前輪変速装置TFを、後車輪2の周速度より高速となる駆動速度の動力を前車輪1に伝える状態に設定し、更に、「AD倍速」のモードが選択された場合には「倍速」のモードが選択された場合と同様に、切れ角センサASからの信号から前車輪1の切れ角が予め設定された角度以下にあることを判別した場合に、変速制御弁VF、VFを制御して前輪変速装置TFを、後車輪2の周速度と等しい周速度となる駆動速度の動力を前車輪1に伝える状態に設定しておき、切れ角センサASからの信号から前車輪1の切れ角が予め設定された角度を越えたことを判別した場合には、変速制御弁VF、VFを制御して前輪変速装置TFを、後車輪2の周速度より高速となる駆動速度の動力を前車輪1に伝える状態に設定すると同時に、旋回内側の後車輪1に対応するブレーキ弁VBを制御して、旋回内側の後車輪1のサイドブレーキ66を制動操作するものとなっている。 【0040】次に、ロータリ耕耘装置Aを昇降させる制御モードを説明する。 【0041】〔ポジション制御〕このポジション制御は、車体を基準にした目標高さにロータリ耕耘装置Aの高さを設定維持する制御であって、制御を行う際には、ポジションレバー21を任意の位置に設定することで、レバーセンサ21Sからの信号値を制御目標に設定すると共に、この目標高さに対応する信号がリフトアームセンサ8Sで計測されるように電磁比例制御弁Vに信号を出力してリフトシリンダ7の作動によってロータリ耕耘装置Aを昇降させ、この昇降によってロータリ耕耘装置Aが目標高さに達すると昇降を停止するものとなっている。 【0042】〔オート耕深制御〕このオート耕深制御は、地面を基準にした目標耕深にロータリ耕耘装置Aを維持する昇降制御であって、制御を行う際には、前記耕深モード選択スイッチ82で標準と敏感との何れかの感度のオート耕深制御モードを選択し、後カバー18を図6(イ)に示す如く自由揺動可能な状態に設定し、耕深設定ダイヤル76を目標耕深に設定した状態でポジションレバー21を最深位置に設定することで、耕深設定器76Sからの信号値を制御目標に設定すると共に、カバーセンサ18Sからの信号値が制御目標に維持されるよう電磁比例制御弁Vに信号を出力してロータリ耕耘装置Aを昇降させ、車輪が地面に沈下した場合や車体が前後傾斜した場合でも、地面を基準にしたロータリ耕耘装置Aの高さを目標高さに維持するようロータリ耕耘装置を自動的に昇降するものとなっている。 【0043】〔エンジン負荷制御〕(Eオート)このエンジン負荷制御は、地面を基準にした目標耕深にロータリ耕耘装置Aを維持すると共に、この目標高さにおけるエンジンEの回転数を維持するようロータリ耕耘装置Aを昇降する制御であって、制御を行う際には前記耕深モード選択スイッチ82でエンジン負荷耕深制御モードを選択し、前記ロッド19によって図6(ロ)に示す如く後カバー18を吊り上げた状態に設定し、耕深設定器76Sを目標耕深に設定した状態でポジションレバー21を最深位置に設定することで、耕深設定器76Sからの信号値に対応するリフトアーム8の揺動角度が求められ、この揺動角を制御目標に設定すると共に、リフトアームセンサ8Sからの信号値が制御目標に維持されるよう電磁比例制御弁Vに信号を出力してロータリ耕耘装置Aの昇降が行われ、ロータリ耕耘装置Aが制御目標となるレベルに維持された時点でのエンジンEの回転数がエンジン回転数センサESで計測され、この計測値がメモリに記憶され、この後に、車輪が地面に沈下した場合や車体が前後傾斜した場合のようにエンジンEに作用する負荷が変動した場合にはエンジン回転数を維持する方向にロータリ耕耘装置Aを自動的に昇降する制御が行われるものとなっている。 【0044】〔強制昇降制御〕この強制昇降制御は、ロータリ耕耘装置Aを昇降制御する制御に優先してロータリ耕耘装置Aを上限まで上昇させる制御と、この上昇制御が行われる以前の高さまでロータリ耕耘装置Aを下降させる制御とを行うものであり、ロータリ耕耘装置Aを上昇させる場合には前記強制昇降レバー26を上方に操作することにより、上限設定ダイヤル86で設定される制御目標の値をリフトアームセンサ8Sで計測するまでロータリ耕耘装置Aの上昇を行うよう電磁比例制御弁Vに信号を出力するものとなり、この上昇の後、前記強制昇降レバー26を下方に操作することで元の制御モードに復帰し、上昇前のレベルまで下降する制御が行われるものとなっている。 【0045】〔バックアップ制御〕このバックアップ制御は、ロータリ耕耘装置Aが上限以外のレベルにある状態で前後進切換レバー24が後進位置にセットされた場合にロータリ耕耘装置Aを上限まで上昇させる制御であり、この制御を行う際には、前記バックアップ用のスイッチ78をON操作しておくだけで良く、制御時には、上限設定ダイヤル86で設定される制御目標の値をリフトアームセンサ8Sで計測するまでロータリ耕耘装置Aの上昇を行うよう電磁比例制御弁Vに信号を出力するものとなり、この上昇の後には前記強制昇降レバー26を下方に操作することで、上昇制御以前の制御モードに復帰する制御が行われるものとなっている。 【0046】〔オートアップ制御〕このオートアップ制御は、ロータリ耕耘装置Aがオート耕深制御によって昇降制御されている場合や、エンジン負荷制御によって昇降制御されている場合において、前車輪1が設定された角度以上ステアリング操作された場合にロータリ耕耘装置Aを上限まで上昇させる制御であり、この制御を行う際には、前記オートアップ用のスイッチ77をON操作しておくだけで良く、制御時には、上限設定ダイヤル86で設定される制御目標の値をリフトアームセンサ8Sで計測するまでロータリ耕耘装置Aの上昇を行うよう電磁比例制御弁Vに信号を出力するものとなり、この 上昇の後には前記強制昇降レバー26を下方に操作することで、上昇前の制御モードに復帰する制御が行われるものとなっている。 【0047】このトラクタでは車体がローリングした場合にロータリ耕耘装置Aを設定されたローリング姿勢に維持するローリング制御を行えるものとなっており、このローリング制御を行う場合には、標準感度の自動耕深制御及び標準のローリング制御を一括してON・OFFするスイッチ79をON状態に操作しておくことで、車体が左右に傾斜した場合にはローリングセンサRSからの信号と、ローリング角設定器85Sで設定された信号値とからローリングシリンダ12の目標作動量を演算によって求め、この目標の値をストロークセンサ22で計測するまでローリングシリンダ12を伸縮作動させる制御を行うよう電磁比例制御弁Vに信号を出力するものとなっている。又、ローリング角設定器85Sを水平位置に設定した場合には車体がローリングした際にもロータリ耕耘装置Aが水平姿勢に維持されるよう制御が行われ、手動ローリングスイッチ80を押し操作した場合には、このローリング制御に優先してロータリ耕耘装置Aを任意の方向にローリング作動させ、押し操作を解除した場合には元のローリング制御に復帰させる制御が行われるものとなっている。 【0048】又、前記ローリング制御モードスイッチ83は、車体を傾斜地面の等高線に沿って走行させる場合に使用されるものであり、基本的には標準のローリング制御と同様の制御が行われるが、傾斜地面の谷側の車輪の沈下を見越して自動的に目標傾斜角度の補正が行われるものとなっている。 【0049】次に、前記ディスプレイの表示内容を説明する。 【0050】このディスプレイ35は文字表示可能に構成され、通常の作業時には、図13(イ),(ロ),(ハ)に示すように燃料の残量と冷却水温とをバーグラフの形態でディスプレイ35の右側の領域の上下位置に並列的に表示すると共に、ディスプレイの左端部に走行変速系の変速段を数字で表示し、これらに挟まれる中央部に対して、稼動時間を積算した積算値の数値、若しくは、走行距離のトリップ値を示す数値、若しくは、走行速度を示す数値の何れかが表示されるものとなっており、この中央部の表示は前記選択スイッチ30をON操作することで選択できるものとなっている(これらの表示を恒常表示と称する)。尚、同図の(イ)では主変速レバー22がパーキング位置にセットされ駐車ブレーキが制動状態にあることを表し、(ロ)では主変速レバー22がニュートラル位置にあることを表し、(ハ)では主変速レバー22が3段にセットされていることを表している。 【0051】又、エンジンEを始動させる目的でキースイッチ31を操作してグロープラグ91に通電した場合には図14(イ)に示すように、ディスプレイ35の左端部の変速段が表示される領域に対してグロープラグ91のシンボルが表示されると共に、ディスプレイ35の右側の領域に前述と同様に燃料の残量と冷却水温とを表示し、中央部には選択された数値を表示する。次に、エンジンEが始動した直後には、シートベルト20が連結されていない場合には、図14(ロ)に示すように、ディスプレイ35の全面に対して「シートベルトをして下さい」のメッセージを3秒程度表示し、又、このエンジンEの始動時にカバーセンサ18Sからの信号に基づいて後カバー18が吊り上げ状態にあることを判別すると、図14(ハ)に示すように、「Eオートかオート切りに」のメッセージを表示するものとなっている。尚、後カバー18が吊り上げ状態にある場合には、自動耕深制御モードでの制御は不能であるので、このことを作業者に認識させる目的から、この表示が行われるものとなっている。 【0052】又、作業時において前述した恒常表示状態において異常発生時には、ディスプレイ35の全面に以下のような警告表示を行うものとなっている。 【0053】つまり、警告表示としては燃料残量センサで燃料残量が、予め設定された量より低下していることを計測すると図15(イ)に示すように「燃料を給油」のメッセージと給油を示すシンボルを表示し、バッテリー(図示せず)の電圧が低下していることを電圧センサで計測すると図15(ロ)に示すように「充電系異常」のメッセージとバッテリーを示すシンボルを表示し、エンジンオイルの圧力が低下していることをオイル圧センサで計測するとは図15(ハ)に示すように「エンジン油圧異常」の文字を表示するものとなっている。 【0054】又、冷却水温センサで冷却水の温度が予め設定された設定温度を越えて上昇していることを計測すると図16(a)、(b)に示すように、「オーバヒート」のメッセージと「アイドリングに」のメッセージとを交互に切り換えて表示し、この表示の後に、冷却水温が所定の温度まで低下すると図16(c)に示すように「冷却後点検」のメッセージを表示するものとなっている。 【0055】又、恒常表示状態でセンサからの信号が異常な値を示した場合や、電磁弁の電磁ソレノイドの短絡や断線を検出した場合にはディスプレイ35の全面に以下の警告表示を行うものとなっている。尚、電磁ソレノイドの短絡や断線の検出には以下の手段を用いている。つまり、その電磁ソレノイドが通電した電流値をフィードバックして電流の制御を行うものでは、このフィードバック系からの信号に基づいて短絡や断線を検出し、又、フィードバックしないものでは、専用のセンサを用いてこのセンサからの信号に基づいて短絡や断線を検出するものとなっている。 【0056】その表示の一部を例に挙げると、ストロークセンサSSに異常が発生した場合には図17(a)、(b)に示すように「ストロークセンサ異常」のメッセージと「手動スイッチで」のメッセージとを1.5秒間隔で切り換えて表示し、この表示によって作業者に対してストロークセンサに異常が発生したこと認識させると同時に、ロータリ耕耘装置Aのローリング姿勢の調節が必要な場合には手動ローリングスイッチの操作で行えることを示すものとなっている。又、カバーセンサ18Sに異常が発生した場合には図18(a)、(b)に示すように、「カバーセンサ異常」のメッセージと「Eオートで使用可」のメッセージとを1.5秒間隔で切り換えて表示し、この表示によって作業者に対してカバーセンサ18Sに異常が発生したこと認識させると同時に、Eオートでの昇降制御が可能であることを示すものとなっている。又、主変速センサ22Sに異常が発生した場合には図19(a)、(b)に示すように、「主変速センサ異常」のメッセージと「変速不可+保持」のメッセージとを1.5秒間隔で切り換えて表示し、この表示によって作業者に対して主変速センサ22Sに異常が発生したこと認識させると同時に、変速操作を行えなくなり現在の変速状態が維持されることを示すものとなっている。又、シリンダ制御弁V1のソレノイドに異常が発生した場合には図20(a)、(b)に示すように、「シフトソレノイド1異常」のメッセージと「1、2、9変使用不可」のメッセージとを1.5秒間隔で切り換えて表示し、この表示によって作業者に対してシリンダ制御弁V1に異常が発生したこと認識させると同時に、一部の変速段に設定できないことを示すものとなっている。又、切れ角センサASに異常が発生した場合には図21(a)、(b)に示すように、「切れ角センサ異常」のメッセージと「倍速、オートアップ不可」のメッセージとを1.5秒間隔で切り換えて表示し、この表示によって作業者に対して切れ角センサASに異常が発生したこと認識させると同時に、倍速モードの制御とオートアップ制御が不可能であることを示すもとなっている。 【0057】このように通常の作業時にはディスプレイ35に対して作業に必要な情報を継続的に表示する恒常表示を行い、この表示された情報に基づいて無理のない作業を行い得るものとなっており、又、異常発生時には恒常表示に優先して異常な状態を具体的に示すメッセージをディスプレイ35の全面に表示することで、異常の発生を認識させると共に、異常に対処するメッセージが表示されるものでは迅速に間違いのない処置を行えるものとなっている。尚、恒常表示と警告表示とが通常表示モードでの表示内容に相当する。 【0058】更に、このトラクタでは、ディスプレイ35の全面に対してセンサを微調整する調整モードでの表示と、センサや電磁弁のソレノイドの状態を判別する診断モードでの表示とを行えるものとなっている。つまり、この調整モードと診断モードとの何れかのモードでの制御を行う場合には、例えば、表示切換スイッチ29と選択スイッチ30等の2つのスイッチを同時にON操作した状態でキースイッチを電力供給位置に設定する操作を必要としており、この操作が行われた場合にはディスプレイ35に対して図22(a)に示すように「微調」「診断」「機種選択」の3種のメッセージが表示されると共に、その1つが選択状態であることを反転表示状態でブリンクさせて示すものとなっている。この選択表示の切換は前記表示切換スイッチ29のON操作で順次行えるものとなっており、選択を決定する場合には、表示切換スイッチ29を2秒以上ON操作することで完了する。尚、「機種選択」のモードは車体の種類や装備する装置類に対応した設定を行うものであるため説明は省略する。 【0059】又、「微調」(センサを微調整する調整モード)が選択された場合には、図22(b)に示すように「倍速」「MA」「変速」の3種のメッセージが表示されると共に、その1つが選択状態であることを反転表示状態でブリンクさせて示すものとなっている。尚、この選択表示の切換は前記表示切換スイッチ29のON操作で順次行えるものとなっており、選択の決定する場合には、前述と同様に表示切換スイッチ29を2秒以上ON操作することで完了する。 【0060】そして、「MA」が選択された場合には図22(c)に示すように「MA微調整モード」のメッセージが表示された後、車体のローリング姿勢を水平に設定することを促すため図22(d)に示すように「トラクタ水平に」のメッセージが表示され、次に、リフトアーム8を上限まで上昇させることを促すため図22(e)に示すように「リフトアーム上端に」のメッセージが表示され、次に、ロータリ耕耘装置Aのローリング姿勢を水平に設定することを促すため図22(f)に示すように「ロータリ水平に」のメッセージが表示され、次に、ポジションレバー21を上昇側の限界位置まで操作することを促すために図22(g)に示すように「レバー上端に」のメッセージが表示され、次に、ローリング角設定ダイヤル85を水平位置に設定することを促すため図22(h)に示すように「設定角度水平に」のメッセージが表示され、次に、上限設定ダイヤル86を「高」位置に操作することを促すため図22(i)に示すように「上限設定「高」に」のメッセージが表示され、これら(d)〜(i)の表示が1.5秒間隔でこの順次で繰り返して表示されるものとなっている。そして、これらのメッセージに従う設定が既に行われている場合や、この設定を行った場合には、その表示が再び行われることがなく、設定されないものだけが繰り返して表示されるものとなっている。そして、これらの全ての表示に従う設定が完了した場合には、図23(j)、(k)に示すように、設定が完了したことを示す「条件セットOK」のメッセージと表示切換スイッチ29の操作を促す「表示切3秒以上押す」のメッセージが1.5秒間隔で繰り返して表示され、この表示に従って、表示切換スイッチ29を3秒以上押し操作した場合には、ローリングセンサRS、リフトアームセンサ8S、カバーセンサ18S、ストロークセンサSS、レバーセンサ21S、ローリング角設定器85S、上限設定器86S夫々からの信号が入力されて、この信号値と理想値との差が補正値としてEEPROM等の不揮発性メモリに保存され、これ以降の制御時には補正値に基づいた補正を行えるものとなっている。そして、この操作が完了した場合には図23(l)、(m)に示すように、微調整の制御が完了したことを示す「微調整完了」のメッセージと、キースイッチ31の切り操作を促す「キースイッチ切りに」のメッセージが表示され、この表示に従ってキースイッチ31を切り操作することで制御は終了する。 【0061】更に、センサ類の診断を行う診断を行う場合にも、前述と同様に予め決められた2つのスイッチを同時にON操作した状態でキースイッチ31を電力供給位置に設定する操作を必要としており、この操作が行われた場合にはディスプレイに対して図24(a)に示すように「微調」「診断」「機種選択」の3種のメッセージが表示される。そして、その中から「診断」を選択し、次に、図24(b)に示すように「倍速」「MA」「変速」の中から「倍速」を選択するものとなる。 【0062】そして、「倍速」が選択された場合には図24(c)に示すように「倍速自己診断モード」のメッセージが表示された後、前車輪1を直進状態に設定することを促すため図24(d)に示すように「前輪を直進に」のメッセージが表示され、これと同時に診断が行われ、「倍速」のモードと「AD倍速」のモードとに使用されるセンサ類電磁弁のソレノイドがチェックされ、これらが正常である場合には図24(e)に示すように「正常です」のメッセージが表示されるものとなっている。又、この自己診断によって切れ角センサASが異常であると判別された場合には図24(f)に示すように「切れ角センサ異常です」のメッセージが表示され、変速制御弁のうち4WDを設定する側のものが異常であると判別された場合には図24(g)に示すように「4WDSOL異常」のメッセージが表示され、変速制御弁のうち倍速を設定する側のものが異常であると判別された場合には図24(h)に示すように「倍速SOL異常」のメッセージが表示され、又、ブレーキ弁のうち左側のものが異常であると判別された場合には図24(i)に示すように「ADSOL(左)異常」のメッセージを表示し、これと同様に、変速制御弁のうち倍速を設定する側のものが異常であると判別された場合には図24(j)に示すように「ブレーキ弁のうち右側のものが異常であると判別された場合には「ADSOL(右)異常」のメッセージを表示するものとなっている。 【0063】このように、本発明では車体に備えられたディスプレイ35を利用して作業に必要な燃料残量や冷却水温や変速段等の情報を表示すると共に、エンジンEの始動直後にはシートベルト20の装着や耕深制御モードの確認を行わせ、更に、作業時において車体に備えられた多数のセンサ類や電磁弁のソレノイド等が故障した場合には即座に異常の発生と異常箇所をディスプレイ35の全面に表示すると共に、必要な場合には必要な処置や、代替え可能な制御形態等を表示して適切な操作を容易に行えるものとしている。更に、センサ類の補正値を設定する場合には微調整モードを選択した後に、微調整を行う対象を選択するだけで、ディスプレイ35に対して必要とする操作を促すメッセージが表示されるものとなり、この表示に従って操作を行うだけで誤りのない操作を行えるものとなり、又、センサ類の故障の有無を判断する場合には、自己診断モードを選択した後に、自己診断を行う対象を選択するだけで、ディスプレイ35に対して必要とする操作を促すメッセージが表示され、この後に、自己診断の結果が表示されるものとなり、異常がある場合には、その異常箇所が表示されるものとなっている。つまり、作業時には必要な情報をディスプレイ35の表示を確認できると共に、異常発生時にもディスプレイ35の表示に基づいて異常の発生を即座に知り得ると共に、適切な処置を可能にし、又、センサ類の調整を行う場合にはマニュアルを確認しなくともディスプレイ35の表示に基づいて誤りなく調整を行えるものとなり、センサ類の診断を行う場合にはディスプレイ35の表示に基づいて誤りのない情報を容易に把握して調整や、交換の必要性を簡単に判断できるものとなり、エンジン始動用のキースイッチ31の操作で調整モードと診断モードとの制御を開始するものでありながら、作業時にエンジンEを始動操作時には調整モードと診断モードとの制御が行われることがなく、煩わしさを感ずることもないのである。 【0064】〔別実施の形態〕本発明は上記実施の形態以外に、例えば、自己診断モードにおいてポテンショメータ型のセンサを任意に選択し、夫々のセンサの実電圧値をディスプレイに表示するよう制御形態を設定することも可能である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001052 【氏名又は名称】株式会社クボタ
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| 【出願日】 |
平成11年7月27日(1999.7.27) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100107308 【弁理士】 【氏名又は名称】北村 修一郎
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| 【公開番号】 |
特開2001−37302(P2001−37302A) |
| 【公開日】 |
平成13年2月13日(2001.2.13) |
| 【出願番号】 |
特願平11−212334 |
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