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【発明の名称】 多層配線基板
【発明者】 【氏名】野本 勝

【氏名】武田 茂人

【氏名】株元 正尚

【氏名】鍋 義博

【要約】 【課題】多層配線基板の信号配線を終端処理する場合、余分な貫通導体等が必要で、容易にかつ精度よく終端処理構造を形成することが困難であった。

【解決手段】信号配線S1および接地配線G1を含む第1の平行配線群L1を有する第1の絶縁層I1上に、信号配線S2および接地配線G2を含み第1の平行配線群L1と直交する第2の平行配線群L2を有する第2の絶縁層I2を積層し、第1および第2の平行配線群L1・L2を貫通導体群Tで電気的に接続して成る積層配線体を具備して成り、第1および/または第2の平行配線群L1・L2の信号配線S2の一部は、その終端が同じ絶縁層において隣接する接地配線G2に終端抵抗体Rを介して接地されている多層配線基板である。終端処理構造を容易にかつ精度よく形成することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 信号配線および接地配線を含む第1の平行配線群を有する第1の絶縁層上に、信号配線および接地配線を含み前記第1の平行配線群と直交する第2の平行配線群を有する第2の絶縁層を積層し、前記第1および第2の平行配線群を貫通導体群で電気的に接続して成る積層配線体を具備して成り、前記第1の平行配線群および/または前記第2の平行配線群の前記信号配線の一部は、その終端が同じ絶縁層において隣接する前記接地配線に終端抵抗体を介して接地されていることを特徴とする多層配線基板。
【請求項2】 前記第1および第2の平行配線群は、それぞれ複数の信号配線と、各信号配線に隣接する電源配線または接地配線とを有することを特徴とする請求項1記載の多層配線基板。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電子回路基板等に使用される多層配線基板に関し、より詳細には高速で作動する半導体素子を搭載する多層配線基板における配線構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、半導体集積回路素子等の半導体素子が搭載され、電子回路基板等に使用される多層配線基板においては、内部配線用の配線導体の形成にあたって、アルミナ等のセラミックスから成る絶縁層とタングステン(W)等の高融点金属から成る配線導体とを交互に積層して多層配線基板を形成していた。
【0003】従来の多層配線基板においては、内部配線用配線導体のうち信号配線は通常はストリップ線路構造とされており、信号配線として形成された配線導体の上下に絶縁層を介していわゆるベタパターン形状の広面積の接地(グランド)層または電源層が形成されていた。
【0004】また、多層配線基板が取り扱う電気信号の高速化に伴い、絶縁層を比誘電率が10程度であるアルミナセラミックスに代えて比誘電率が3.5 〜5と比較的小さいポリイミド樹脂やエポキシ樹脂を用いて形成し、この絶縁層上に蒸着法やスパッタリング法等の気相成長法による薄膜形成技術を用いて銅(Cu)からなる内部配線用導体層を形成し、フォトリソグラフィ法により微細なパターンの配線導体を形成して、この絶縁層と配線導体とを多層化することにより高密度・高機能でかつ半導体素子の高速作動が可能となる多層配線基板を得ることも行なわれていた。
【0005】一方、多層配線基板の内部配線の配線構造として、配線のインピーダンスの低減や信号配線間のクロストークの低減等を図り、しかも高密度配線を実現するために、各絶縁層の上面に平行配線群を形成し、これを多層化して各層の配線群のうち所定の配線同士をビア導体やスルーホール導体等の貫通導体を介して電気的に接続する構造が提案されている。
【0006】例えば、特開昭63−129655号公報には、第1の方向に延びる複数の第1の信号線およびそれと交互に配置された第1の電力線を含む第1の導電層と、第1の方向と交差する第2の方向に延びる第2の信号線およびそれと交互に配置された第2の電力線とを含む第2の導体層とが、絶縁層と交互に積層され、対応する電圧を受け取る第1および第2の電力線が相互接続されている多層配線構造体が開示されている。これによれば、実装される半導体チップのチップ面積を有効に利用して集積密度を高め、消費電力を減らし、動作速度を高めることが可能になるというものである。
【0007】また、特開平1−96953 号公報には、各組が少なくとも第1および第2の配線面を含み、各配線面が主配線方向に向いた導電性配線および直交線の交点に配置された複数の接続部位を有し、第1の配線面の主配線方向が第2の配線面の主配線方向に対して鋭角をなす複数組の配線面を備えた配線構造体が開示されている。これによれば、標準化された1組または数組の配線面を用いて、配線の長さを短縮し、最適化または最小にすることができるというものである。
【0008】また、特開平5−343601号公報には、2層以下の平行導体パターンからなるコンダクター(配線導体)層を導体パターン同士を直交させて積層し、コンダクター層のうち一部のコンダクターを信号用とし、残りを電源用として用い、電源用コンダクターにより信号用コンダクター相互間をシールドするように、コンダクター層の各コンダクター同士を接続した集積回路の接続システムが開示されている。これによれば、信号パターンを一対の電源パターンで挟むように導体コンダクターの格子を形成したため、信号パターン間の間隔を小さくすることができるとともに信号パターンを並列して長く形成することができ、キャリア表面が有効に利用され、また、クロストークが減少しS/N比が良好になるというものである。
【0009】さらに、特開平7−94666 号公報には、少なくとも第1および第2の相互接続層から成り、相互接続層のそれぞれは複数の平行導電性領域から成り、第2相互接続層の導電性領域は第1相互接続層の導電性領域に対して直交して配置されており、第1および第2の相互接続層の導電性領域は、少なくとも2つの導電性平面が本質的に各相互接続層と相互に組み合わされ、各導電性平面が両方の相互接続層上に表れるように、またさらに、選択された導電性領域は少なくとも1つの信号回路を形成するように2つの導電性平面から電気的に隔離が可能なように、電気的に相互に接続されている電気的相互接続媒体が開示されている。これによれば、平行電力および接地平面の特質である低インダクタンス電力配分、および光学的リソグラフィ製造技術の特質である信号相互接続配線の高配線密度の利点を失うことなしに、相互配線数を低減した相互配線媒体となるというものである。
【0010】さらにまた、特開平9−18156 号公報には、第1の信号配線部と第1の電源配線部と複数の第1のグランド配線部とを有する第1層と、第2の信号配線部と第2の電源配線部と第1層における複数の第1のグランド配線部のそれぞれに接続される複数の第2のグランド配線部とを有し第1層に積層する第2層とから構成され、第1層における第1の信号配線部と第2層における第2の信号配線部とがねじれの位置にある、すなわち直交する位置にある多層プリント配線板が開示されている。これによれば、配線層総数の削減が可能になり、さらに、グランド配線部の配線幅を狭くしても合成コンダクタンス値および合成抵抗値を低くコントロールできることからIC等の素子の高密度の配置が可能になり、伝送信号に対する雑音を低く抑えることができるというものである。また、グランド配線部および電源配線部のシールド効果により、信号配線部の特性インピーダンスによるノイズを抑えることができ、第1の信号配線部と第2の信号配線部とがねじれの位置にあることから、2本の信号配線部間の電磁結合および静電結合によって発生するクロストークノイズの影響をコントロールすることが可能となるというものである。
【0011】以上のような平行配線群を有する多層配線基板においては、この多層配線基板に搭載される半導体素子等の電子部品とこの多層配線基板が実装される実装ボードとを電気的に接続するために、多層配線基板内で各平行配線群のうちから適当な配線を選択し、異なる配線層間における配線同士の接続はビア導体等の貫通導体を介して行なわれる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】多層配線基板においては、その内部配線において、信号配線の終端部における信号の反射によって高周波信号に生じるノイズの影響を防ぐために、信号配線の端部を終端抵抗を介して接地配線に接続する終端処理か行なわれる。
【0013】しかしながら、以上のような従来のストリップ線路構造の多層配線基板においては、図3(a)〜(c)にそれぞれ絶縁層10a・10b・10c毎の平面図で、また図4にそれらを積層した状態の断面図で示すように、ストリップ線路による信号配線2と接地層3a・3cとは異なる絶縁層間に配設されているため、信号配線2と同一平面にパターン化した抵抗層等を形成して終端抵抗体4を設けてその一端を信号配線2の端部に接続した場合に、その終端抵抗体4の他端を接地層3aに電気的に接続するためには、絶縁層1bを貫通するビア導体やスルーホール導体等の貫通導体5ならびにこの貫通導体5と終端抵抗体4とを接続するための接地ランド6等を形成する必要があった。そのため、終端抵抗体4を接続するための貫通導体5や接地ランド6等の余分な配線パターンが必要となり、配線構造が複雑なものとなってしまうという問題点があった。なお、図4において1dは、絶縁層1c上に積層された、多層配線基板の表面層となる絶縁層である。
【0014】また、終端抵抗体のみならず、貫通導体や接地ランド等の抵抗も含めて所定の抵抗値に合わせ込む必要があることから、終端抵抗体4の抵抗値の精度が悪く、所望通りの抵抗値を得ることが困難であるという問題点もあった。
【0015】このような問題点は、前述のような直交させた平行配線群を有する多層配線基板についても、信号配線の端部を他の絶縁層に配線された接地配線に終端抵抗体を介して接続して終端させる場合には同様の問題点があった。
【0016】本発明は上記問題点に鑑み案出されたものであり、その目的は、余分な貫通導体の形成を必要とせず、形成が容易で高精度の終端抵抗体で信号配線を終端させることができる、高速で作動する半導体素子等の電子部品を搭載する電子回路基板やパッケージ等に好適な多層配線基板を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明の多層配線基板は、信号配線および接地配線を含む第1の平行配線群を有する第1の絶縁層上に、信号配線および接地配線を含み前記第1の平行配線群と直交する第2の平行配線群を有する第2の絶縁層を積層し、前記第1および第2の平行配線群を貫通導体群で電気的に接続して成る積層配線体を具備して成り、前記第1の平行配線群および/または前記第2の平行配線群の前記信号配線の一部は、その終端が同じ絶縁層において隣接する前記接地配線に終端抵抗体を介して接地されていることを特徴とするものである。
【0018】また、本発明の多層配線基板は、上記構成において、前記第1および第2の平行配線群は、それぞれ複数の信号配線と、各信号配線に隣接する電源配線または接地配線とを有することを特徴とするものである。
【0019】本発明の多層回路基板によれば、信号配線および接地配線を含む平行配線群を互いに直交配置して貫通導体群で接続して成る積層配線体において、終端処理を行なう信号配線である平行配線群の信号配線の一部の終端を、同じ絶縁層において隣接する接地配線に対して同じ絶縁層に形成された終端抵抗体を介して電気的に接続して接地されていることから、終端抵抗体は信号配線や接地配線と同様に厚膜印刷法や各種の薄膜形成法等により形成でき、信号配線の終端処理に際して従来のように余分な貫通導体を形成する必要がないため、配線構造が複雑なものとなることはなく容易に終端処理構造を形成することができる。
【0020】また、従来のように貫通導体や接地ランドが必要ではなく、終端抵抗体のみの抵抗値を合わせ込むだけでよいことから、終端抵抗体の抵抗値の精度が高く、高精度の終端処理を行なって良好な高周波特性を有する多層配線基板を得ることができる。
【0021】これにより、本発明の多層配線基板によれば、余分な貫通導体の形成を必要とせず、形成が容易で高精度の終端抵抗体で信号配線を精度よく終端させることができ、高速で作動する半導体素子等の電子部品を搭載する電子回路基板やパッケージ等に好適な多層配線基板となる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の多層配線基板について添付図面に示す実施例に基づき詳細に説明する。
【0023】図1は本発明の多層配線基板に係る積層配線体の実施の形態の一例を示す分解平面図であり、同図(a)は第2の絶縁層の、(b)は第1の絶縁層の平面図をそれぞれ示している。また、図2はこれらを積層して成る積層配線体を含む本発明の多層配線基板の実施の形態の一例を示す断面図である。
【0024】これらの図において、I1〜I3はそれぞれ第1〜第3の絶縁層であり、L1およびL2はそれぞれ第1および第2の絶縁層I1・I2の上面に略平行に配設された第1および第2の平行配線群、S1およびS2はそれぞれ第1および第2の平行配線群L1・L2中の信号配線、G1およびG2はそれぞれ第1および第2の平行配線群L1・L2中の接地配線、P1およびP2はそれぞれ第1および第2の平行配線群L1・L2中の電源配線、T1は第1の平行配線群L1と第2の平行配線群L2とを所定の箇所で電気的に接続する貫通導体群である。また、Rは、ここでは第2の絶縁層I2上に、第2の平行配線群L2の信号配線S2とそれに隣接する接地配線G2との間に形成された終端抵抗体である。これらにより本発明の多層配線基板に係る積層配線体が構成されている。
【0025】なお、同じ平面に配設された複数の信号配線S1・S2はそれぞれ異なる信号を伝送するものとしてもよく、同じ平面に配設された複数の電源配線P1・P2はそれぞれ異なる電源を供給するものとしてもよいことは言うまでもない。
【0026】このような本発明の多層配線基板の表面には、例えばMPU(Micro Processing Unit )・ASIC(Application Specific Integrated Circuit )・DSP(Digital Signal Processor)のような半導体素子が、例えばいわゆるバンプ電極により、あるいは接着剤・ろう材等により搭載部に取着されるとともにボンディングワイヤ等を介して、搭載実装される。
【0027】貫通導体群Tは、ここでは絶縁層I2を貫通して上下の配線同士を、あるいは配線と半導体素子または多層配線基板の表面に形成される外部接続端子等とを電気的に接続するものであり、通常はスルーホール導体やビア導体等が用いられ、接続に必要な箇所に形成される。
【0028】本発明の多層配線基板の積層配線体においては、信号配線S1および接地配線G1を含む第1の平行配線群L1は第1の方向に略平行に配線され、この上に積層される同じく信号配線S2および接地配線G2を含む第2の平行配線群L2は第1の方向と直交する第2の方向に略平行に配設されており、これらの各配線が第2の絶縁層I2を貫通する貫通導体群Tで電気的に接続されて、積層配線体を構成している。
【0029】このような積層配線体によれば、第1の平行配線群L1と第2の平行配線群L2とが直交するように積層されていることから、それら平行配線群L1・L2の配線間におけるクロストークノイズを減少させて最小とすることができる。
【0030】また、この積層配線体の第2の平行配線群L2の信号配線S2の一部の終端には、その信号配線S2と隣接する接地配線G2との間に、信号配線S2の終端と接地配線G2との間に電気的に接続されて信号配線S2の終端処理を行なうための終端抵抗体Rが形成され、これにより一部の信号配線S2の終端処理が行なわれている。
【0031】このような終端抵抗体Rは、第1の平行配線群L1に対して形成してその信号配線S1の終端処理に用いてもよく、平行配線群L1・L2と同様にして厚膜印刷法や蒸着・スパッタリング等の薄膜形成法により形成すればよい。
【0032】また、終端抵抗体Rの抵抗値は、搭載される半導体素子のデバイス特性や多層配線基板の仕様等に応じて適宜設定すればよいが、通常は配線の特性インピーダンスと同じ50Ωに設定すればよい。
【0033】なお、終端抵抗値Rの抵抗値のばらつきは、特性インピーダンスのミスマッチにより生じる反射ノイズを半導体素子等のデバイスが誤動作しないレベルに抑えるためには、±5%以内となるようにすることが好ましい。
【0034】このような終端抵抗体Rを形成するための抵抗材料としては、抵抗温度係数が低く、また許容電流値が大きいものとして、例えばタングステン・レニウム・モリブデンやニクロム・窒化タンタルあるいはそれらの合金を用いることができる。中でも、タングステン−レニウム合金を用いると、抵抗温度係数が約100 ppm/℃と低く、絶縁層にセラミックスを用いる場合に絶縁層との同時焼成が可能である点で好適なものとなる。
【0035】また、終端抵抗体Rの幅や長さ、厚み等は、選択した材料の抵抗率等により適宜設定すればよい。一例として、タングステン−レニウム合金を用いる場合であれば、幅を150 μm程度、厚みは信号配線と同程度の厚みとし、長さは所望の抵抗値、例えば50Ωとなるように設定すればよい。
【0036】また、図1および図2に示す例では、積層配線体を構成する第1および第2の平行配線群L1・L2は信号配線S1・S2に電源配線P1・P2または接地配線G1・G2をそれぞれ隣接するように配設している。これにより、同じ絶縁層I1・I2上の信号配線S1・S2間を電磁的に遮断して、同じ平面上の左右の信号配線S1・S2間のクロストークノイズを良好に低減することができる。
【0037】さらに、信号配線S1・S2に必ず電源配線P1・P2または接地配線G1・G2を隣接させることで、同じ平面上の電源配線P1・P2と信号配線S1・S2および接地配線G1・G2と信号配線S1・S2との相互作用が最大となり、電源配線P1・P2および接地配線G1・G2のインダクタンスを減少させることができる。このインダクタンスの減少により、電源ノイズおよび接地ノイズを効果的に低減することができる。
【0038】なお、このことは、第3の平行配線群以降の配線層として同様に直交する平行配線群を用いた場合には、これらについても適用することができる。
【0039】また、本発明の多層配線基板においては、積層配線体の上下には種々の配線構造の多層配線部を積層して多層配線基板を構成することができる。例えば、積層配線体と同様に平行配線群を直交させて積層した構成の配線構造、あるいはストリップ線路構造の配線構造、その他、マイクロストリップ線路構造・コプレーナ線路構造等を多層配線基板に要求される仕様等に応じて適宜選択して用いることができる。
【0040】また、例えば、ポリイミド絶縁層と銅蒸着による導体層といったものを積層して、電子回路を構成してもよい。また、チップ抵抗・薄膜抵抗・コイルインダクタ・クロスコンデンサ・チップコンデンサ・電解コンデンサといったものを取着して半導体素子収納用パッケージを構成してもよい。
【0041】また、第1および第2の絶縁層I1・I2を始めとする各絶縁層の形状は、図示したような略正方形状のものに限られるものではなく、長方形状や菱形状・多角形状等の形状であってもよい。
【0042】なお、第1および第2の平行配線群L1・L2は、第1および第2の絶縁層I1・I2の表面に形成するものに限られず、それぞれの絶縁層I1・I2の内部に形成したものであってもよい。
【0043】また、図2に示す例に対して、第2の平行配線群L2を第2の絶縁層I2の内部に形成した場合には、第2の平行配線群L2は表面に露出しないため、第3の絶縁層I3は必ずしも必要ではない。
【0044】本発明の多層配線基板において、第1および第2の絶縁層I1・I2を始めとする各絶縁層は、例えばセラミックグリーンシート積層法によって、酸化アルミニウム質焼結体や窒化アルミニウム質焼結体・炭化珪素質焼結体・窒化珪素質焼結体・ムライト質焼結体・ガラスセラミックス等の無機絶縁材料を使用して、あるいはポリイミド・エポキシ樹脂・フッ素樹脂・ポリノルボルネン・ベンゾシクロブテン等の有機絶縁材料を使用して、あるいはセラミックス粉末等の無機絶縁物粉末をエポキシ系樹脂等の熱硬化性樹脂で結合して成る複合絶縁材料などの電気絶縁材料を使用して形成される。
【0045】これら絶縁層は、例えば酸化アルミニウム質焼結体から成る場合であれば、酸化アルミニウム・酸化珪素・酸化カルシウム・酸化マグネシウム等の原料粉末に適当な有機バインダ・溶剤等を添加混合して泥漿状となすとともに、これを従来周知のドクターブレード法を採用してシート状となすことによってセラミックグリーンシートを得、しかる後、これらのセラミックグリーンシートに適当な打ち抜き加工を施すとともに各平行配線群および各貫通導体群ならびに導体層となる金属ペーストを所定のパターンに印刷塗布して上下に積層し、最後にこの積層体を還元雰囲気中、約1600℃の温度で焼成することによって製作される。
【0046】これら絶縁層の厚みとしては、使用する材料の特性に応じて、要求される仕様に対応する機械的強度や電気的特性・貫通導体群の形成の容易さ等の条件を満たすように適宜設定される。
【0047】また、第1および第2の平行配線群L1・L2やその他の配線層ならびに貫通導体群T等は、例えばタングステンやモリブデン・モリブデン−マンガン・銅・銀・銀−パラジウム等の金属粉末メタライズ、あるいは銅・銀・ニッケル・クロム・チタン・金・ニオブやそれらの合金等の金属材料の薄膜などから成る。
【0048】例えば、タングステンの金属粉末メタライズから成る場合であれば、タングステン粉末に適当な有機バインダ・溶剤等を添加混合して得た金属ペーストを絶縁層となるセラミックグリーンシートに所定のパターンに印刷塗布し、これをセラミックグリーンシートの積層体とともに焼成することによって、各絶縁層の上面に配設される。
【0049】また,金属材料の薄膜から成る場合であれば、例えばスパッタリング法・真空蒸着法またはメッキ法により金属層を形成した後、フォトリソグラフィ法により所定の配線パターンに形成される。第1および第2の平行配線群L1・L2の各配線の幅および配線間の間隔は、使用する材料の特性に応じて、要求される仕様に対応する電気的特性や絶縁層I1・I2への配設の容易さ等の条件を満たすように適宜設定される。
【0050】なお、各平行配線群L1・L2の厚みは1〜10μm程度とすることが好ましい。この厚みが1μm未満となると配線の抵抗が大きくなるため、配線群による半導体素子への良好な電源供給や安定したグランドの確保・良好な信号の伝搬が困難となる傾向が見られる。他方、10μmを超えるとその上に積層される絶縁層による被覆が不十分となって絶縁不良となる場合がある。
【0051】貫通導体群Tの各貫通導体は、横断面形状が円形のものの他にも楕円形や正方形・長方形等の矩形、その他の異形状のものを用いてもよい。その位置や大きさは、使用する材料の特性に応じて、要求される仕様に対応する電気的特性や絶縁層への形成・配設の容易さ等の条件を満たすように適宜設定される。
【0052】例えば、絶縁層に酸化アルミニウム質焼結体を用い、平行配線群にタングステンの金属メタライズを用いた場合であれば、絶縁層の厚みを200 μmとし、配線の線幅を100 μm、配線間の間隔を150 μm、貫通導体の大きさを100 μmとすることによって、信号配線のインピーダンスを50Ωとし、上下の平行配線群間を高周波信号の反射を抑えつつ電気的に接続することができる。そして、終端抵抗体Rとして例えばタングステン−レニウム合金を用い、厚み15μm・幅150 μmで長さを1.9 mmとすることによって、終端抵抗体Rのインピーダンスも50Ωとすることができ、信号配線S1・S2の終端とそれらに隣接する接地配線G1・G2との間を安定して接続し接地することができ、良好な終端処理構造を形成することができる。
【0053】なお、本発明は以上の実施の形態の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることは何ら差し支えない。例えば、上述の例では終端抵抗体を信号配線の端部に接続したものを示したが、終端抵抗体は、半導体素子間の出力−入力間で行なわれるように、信号配線の途中に接続するものであってもよい。また、絶縁層に有機絶縁材料として例えばポリイミドを用いる場合であれば、終端抵抗体の材料にはニクロムや珪酸タンタル等を用いればよい。
【0054】
【発明の効果】本発明の多層回路基板によれば、信号配線および接地配線を含む平行配線群を互いに直交配置して貫通導体群で接続して成る積層配線体において、平行配線群の信号配線のうち終端処理を行なうものの終端を、同じ絶縁層に配設されこの信号配線に隣接する接地配線に対して、同じ絶縁層に形成された終端抵抗体を介して電気的に接続して接地されていることから、終端抵抗体は信号配線や接地配線と同様に容易に精度よく形成することができ、従来のように他の配線層との間を接続するための余分な貫通導体を形成する必要がないため、配線構造が複雑なものとなることはなく、容易に高精度の終端処理構造を形成することができる。
【0055】また、終端抵抗体の抵抗値を高精度に制御することができるので、高精度の終端処理により良好な高周波特性を有する多層配線基板を得ることができる。
【0056】以上により、本発明によれば、余分な貫通導体の形成を必要とせず、形成が容易で高精度の終端抵抗体で信号配線を精度よく終端させることができ、高速で作動する半導体素子等の電子部品を搭載する電子回路基板やパッケージ等に好適な多層配線基板を提供することができた。
【出願人】 【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
【出願日】 平成11年6月11日(1999.6.11)
【代理人】
【公開番号】 特開2000−353873(P2000−353873A)
【公開日】 平成12年12月19日(2000.12.19)
【出願番号】 特願平11−165323