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【発明の名称】 熱転移装置とその製造方法、電子回路装置、および基板に実装された電子部品の冷却方法
【発明者】 【氏名】ポール エル ウェナー

【要約】 【課題】少ない部材のみが要求される単純な取付方法を用いて、回路やその回路上の発熱性部品と結合可能な熱転移装置を提供する。

【解決手段】一つの形態の熱転移装置(100)は、対向する第一と第二の主表面(120、130)、対向する第一と第二の小表面(140、150)、および第二の小表面の長さに沿って伸びる取付用凹部を持つ伸長ボディ(110)と、第一の主表面から伸びて第一の横寸法を持つ第一の部品取付領域(121)を画定する第一のレッジ(125)と、第二の主表面から伸びて、第一の横寸法とは異なる第二の横寸法を持つ第二の部品取付領域(131)を画定する第二のレッジ(135)とを有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 基板に実装された電子部品を冷却するために使用される熱転移装置において、対向する第一と第二の主表面、対向する第一と第二の小表面、前記第二の小表面の長さに沿って伸びる取付用凹部を持つ伸長ボディと、前記第一の主表面から伸びて第一の横寸法を持つ第一の部品取付領域を画定する第一のレッジと、前記第二の主表面から伸びて、前記第一の横寸法とは異なる第二の横寸法を持つ第二の部品取付領域を画定する第二のレッジと、を有することを特徴とする熱転移装置。
【請求項2】 前記取付用凹部は、前記第二の小表面の長さに沿って伸びる冷却チャネルとなるように構成されることを特徴とする請求項1に記載の熱転移装置。
【請求項3】 前記第一の小表面の長さに沿って伸びるチャネルが設けられ、このチャネルは、熱を放散させ、かつ、前記装置に部品を固定するためのスプリングクリップ用の受け部を提供するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の熱転移装置。
【請求項4】 前記第一の主表面から伸びる第一の補助レッジが設けられ、この第一の補助レッジは、前記第一のレッジと平行しており、かつ、前記装置に部品を固定するためのスプリングクリップ用の受け部を画定するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の熱転移装置。
【請求項5】 前記第二の主表面から伸びる第二の補助レッジが設けられ、この第二の補助レッジは、前記第二のレッジと平行しており、かつ、前記装置に部品を固定するためのスプリングクリップ用の受け部を画定するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の熱転移装置。
【請求項6】 前記取付用凹部にピンが押し込まれ、このピンを前記基板の孔に押し込むことによってこの基板上に前記装置を実装するように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の熱転移装置。
【請求項7】 前記第一のレッジに対してヒートシンクが着脱可能に取り付けられることを特徴とする請求項1に記載の熱転移装置。
【請求項8】 前記第二のレッジに対してヒートシンクが着脱可能に取り付けられることを特徴とする請求項1に記載の熱転移装置。
【請求項9】 2個以上の発熱性電子部品と、基板と、この基板に実装された電子部品を冷却するために使用される熱転移装置を備えた電子回路装置において、前記熱転移装置は、対向する第一と第二の主表面、対向する第一と第二の小表面、前記第二の小表面の長さに沿って伸びる取付用凹部を持つ伸長ボディと、前記第一の主表面から伸びて第一の横寸法を持つ第一の部品取付領域を画定する第一のレッジと、前記第二の主表面から伸びて、前記第一の横寸法とは異なる第二の横寸法を持つ第二の部品取付領域を画定する第二のレッジと、を有することを特徴とする電子回路装置。
【請求項10】 前記取付用凹部は、前記第二の小表面の長さに沿って伸びる冷却チャネルとなるように構成されることを特徴とする請求項9に記載の電子回路装置。
【請求項11】 前記第一の小表面の長さに沿って伸びるチャネルが設けられ、このチャネルは、熱を放散させ、かつ、前記装置に部品を固定するためのスプリングクリップ用の受け部を提供するように構成されることを特徴とする請求項9に記載の電子回路装置。
【請求項12】 前記第一の主表面から伸びる第一の補助レッジが設けられ、この第一の補助レッジは、前記第一のレッジと平行しており、かつ、前記装置に部品を固定するためのスプリングクリップ用の受け部を画定するように構成されることを特徴とする請求項9に記載の電子回路装置。
【請求項13】 前記第二の主表面から伸びる第二の補助レッジが設けられ、この第二の補助レッジは、前記第二のレッジと平行しており、かつ、前記装置に部品を固定するためのスプリングクリップ用の受け部を画定するように構成されることを特徴とする請求項9に記載の電子回路装置。
【請求項14】 前記取付用凹部にピンが押し込まれ、このピンを前記基板の孔に押し込むことによってこの基板上に前記装置を実装するように構成されたことを特徴とする請求項9に記載の電子回路装置。
【請求項15】 前記第一のレッジに対してヒートシンクが着脱可能に取り付けられることを特徴とする請求項9に記載の電子回路装置。
【請求項16】 前記第二のレッジに対してヒートシンクが着脱可能に取り付けられることを特徴とする請求項9に記載の電子回路装置。
【請求項17】 基板に実装された電子部品を冷却するための方法において、前記基板に熱転移装置を固定するステップを有し、前記熱転移装置は、対向する第一と第二の主表面、対向する第一と第二の小表面、前記第二の小表面の長さに沿って伸びる取付用凹部を持つ伸長ボディと、前記第一の主表面から伸びて第一の横寸法を持つ第一の部品取付領域を画定する第一のレッジと、前記第二の主表面から伸びて、前記第一の横寸法とは異なる第二の横寸法を持つ第二の部品取付領域を画定する第二のレッジと、を有することを特徴とする、基板に実装された電子部品の冷却方法。
【請求項18】 前記取付用凹部は、前記第二の小表面の長さに沿って伸びる冷却チャネルとなるように構成されることを特徴とする、請求項17に記載の基板に実装された電子部品の冷却方法。
【請求項19】 前記第一の小表面の長さに沿って伸びるチャネルが設けられ、このチャネルは、熱を放散させ、かつ、前記装置に部品を固定するためのスプリングクリップ用の受け部を提供するように構成されることを特徴とする、請求項17に記載の基板に実装された電子部品の冷却方法。
【請求項20】 前記第一の主表面から伸びる第一の補助レッジが設けられ、この第一の補助レッジは、前記第一のレッジと平行しており、かつ、前記装置に部品を固定するためのスプリングクリップ用の受け部を画定するように構成されることを特徴とする、請求項17に記載の基板に実装された電子部品の冷却方法。
【請求項21】 前記第二の主表面から伸びる第二の補助レッジが設けられ、この第二の補助レッジは、前記第二のレッジと平行しており、かつ、前記装置に部品を固定するためのスプリングクリップ用の受け部を画定するように構成されることを特徴とする、請求項17に記載の基板に実装された電子部品の冷却方法。
【請求項22】 前記取付用凹部にピンが押し込まれ、このピンを前記基板の孔に押し込むことによってこの基板上に前記装置を実装するように構成されたことを特徴とする、請求項17に記載の基板に実装された電子部品の冷却方法。
【請求項23】 前記第一のレッジに対してヒートシンクが着脱可能に取り付けられることを特徴とする、請求項17に記載の基板に実装された電子部品の冷却方法。
【請求項24】 前記第二のレッジに対してヒートシンクが着脱可能に取り付けられることを特徴とする、請求項17に記載の基板に実装された電子部品の冷却方法。
【請求項25】 基板に実装された電子部品を冷却するための熱転移装置を製造するための方法において、押し出し成型品を形成するステップを有し、前記押し出し成型品は、対向する第一と第二の主表面、対向する第一と第二の小表面、前記第二の小表面の長さに沿って伸びる取付用凹部を持つ伸長ボディと、前記第一の主表面から伸びて第一の横寸法を持つ第一の部品取付領域を画定する第一のレッジと、前記第二の主表面から伸びて、前記第一の横寸法とは異なる第二の横寸法を持つ第二の部品取付領域を画定する第二のレッジと、を有することを特徴とする、熱転移装置の製造方法。
【請求項26】 前記取付用凹部は、前記第二の小表面の長さに沿って伸びる冷却チャネルとなるように構成されることを特徴とする、請求項25に記載の熱転移装置の製造方法。
【請求項27】 前記第一の小表面の長さに沿って伸びるチャネルが設けられ、このチャネルは、熱を放散させ、かつ、前記装置に部品を固定するためのスプリングクリップ用の受け部を提供するように構成されることを特徴とする、請求項25に記載の熱転移装置の製造方法。
【請求項28】 前記第一の主表面から伸びる第一の補助レッジが設けられ、この第一の補助レッジは、前記第一のレッジと平行しており、かつ、前記装置に部品を固定するためのスプリングクリップ用の受け部を画定するように構成されることを特徴とする、請求項25に記載の熱転移装置の製造方法。
【請求項29】 前記第二の主表面から伸びる第二の補助レッジが設けられ、この第二の補助レッジは、前記第二のレッジと平行しており、かつ、前記装置に部品を固定するためのスプリングクリップ用の受け部を画定するように構成されることを特徴とする、請求項25に記載の熱転移装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一般的には熱転移装置に関し、特に、単独またはモジュラー熱制御システムのユニットとして使用可能な熱転移装置に関するものである。
【0002】電子回路設計において根本的に重要なことは、回路の動作中に発生する熱を制御することである。熱の蓄積によって引き起こされる部品あるいは回路の破損を回避するために極めて重大である。制御回路および部品の熱を制御するために一般的に好ましい方法は、温度が損傷レベルまで上がる前に回路周囲の雰囲気中に熱を放散させることである。このために、設計者は通常の場合、ヒートシンクなどの熱転移装置を発熱性部品と結合している。ヒートシンクは、部品からの熱を吸収してその熱を周囲の雰囲気中に放射するように設計される。
【0003】熱転移装置は、一般的に、好ましい熱転移特性あるいは熱伝導特性を有する材料から構成される。すなわち、その材料は、効率よく熱を吸収して周囲雰囲気中にその熱を効率よく放射できる必要がある。銅、アルミニウム、鉄、およびそれらの合金を含む幾つかの金属は、好ましい熱伝導特性を持つ。これらの材料のいずれも、ヒートシンクとして使用可能であるが、銅は高価であり、鉄はあまり展性がないため、一般的にはアルミニウムが好ましい。アルミニウムが好ましい他の理由は、熱転移装置の製造には押し出し成型プロセスが好ましく、そのようなプロセスは、アルミニウムに有利だからである。
【0004】商業的に入手可能な熱転移装置は、多様な形状と寸法になっている。設計者は、これらの商業的に入手可能な装置を発熱性の回路や部品と結合する多様な方法を開発してきた。これらの方法は、低プロファイル電子システムの場合を除いて、一般的には満足できるものである。そのような商業的に入手可能な熱転移装置のうち、極めて限られたスペース内の多数の部品によって発生する熱を制御するのに適したものは極めて少ないことが判っている。
【0005】大半の商業的に入手可能な熱転移装置は、単に1個か2個の電子部品の熱を制御できるにすぎない。これは、単一の回路に対して幾つかの熱転移装置が要求されることを意味する。このことは、電子システムの大型化につながるため、その電子システムが、スペースの限定されるコンパクトあるいは低プロファイルシステムである場合には、明らかに不利である。
【0006】多くの場合、回路基板上には熱スプレッダが取り付けられ、この熱スプレッダ上に発熱性部品が取り付けられる。コンパクトシステムの場合には、そのようなスプレッダは、特別に設計しなければならないことが多く、システムのコストを増大させる上、製造工程における補助的な収納や取り扱いに関する問題を生じさせる。これらのスプレッダは、熱制御システムの設計において、カスタム熱転移装置と組み合わされることが多い。
【0007】カスタム熱転移装置が使用される場合、その装置とそれに関連する電子部品とは、一般的に、クランプ、ナット、およびネジと共に組み立てられ、それらの固定方法のいずれも、取り扱いが面倒な多数の小型部材を含む。この種の従来の組立プロセスは、カスタム化されたジグ、取付具、および他のハンドツールの助けを借りて手動操作される幾つかの小型部材を必要とする。この種の操作は、製造プロセスを複雑化し、低速化し、高コスト化し、本質的に信頼性を低下させる。さらに、多くの完成回路は、振動や手作業による曲げや配列不良により、品質保持の理由から廃棄される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の目的は、組立プロセスにおいて、従来方法よりかなり少ない部材のみが要求される単純な取付方法を用いて、回路やその回路上の発熱性部品と結合可能な熱転移装置を提供することである。そのような装置は、多くの発熱性部品の取り扱いを有利にし、低プロファイルシステムの製造に有用である。そのような装置が、熱制御システムにおける他の装置と組み合わせて一つの部品として機能するだけでなく、独立の熱制御装置として機能する場合には、この装置は非常に有利に使用可能である。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために、本発明は、基板に実装された電子部品を冷却するための熱転移装置を提供する。本発明はまた、その熱転移装置を用いて電子部品を冷却する方法、およびその熱転移装置を製造する方法を提供する。熱転移装置の一つの形態は、対向する第一と第二の主表面、対向する第一と第二の小表面、前記第二の小表面の長さに沿って伸びる取付用凹部を持つ伸長ボディと、前記第一の主表面から伸びて第一の横寸法を持つ第一の部品取付領域を画定する第一のレッジと、前記第二の主表面から伸びて、前記第一の横寸法とは異なる第二の横寸法を持つ第二の部品取付領域を画定する第二のレッジと、を有する。
【0010】広い視野において、本発明は、独立ベースのあるいはより大きな熱転移システムの部品として機能可能な熱転移装置を提供する。特に、この装置は、幾つかの好ましい特徴を持ち、これらの特徴は、低プロファイルシステムに使用された場合に従来よりも明らかな利点を提供する。この装置は、発熱性部品が取り付けられた熱転移装置として単独で使用可能であるが、他の商業的に入手可能なヒートシンクと組み合わせて多数の装置用の熱制御を提供することも可能である。この装置は、スプレッダの代わりに回路上で使用可能であるため、少ない部材を用いて回路の設計や製造を行うことができ、コスト面でも明らかに有利である。
【0011】本発明の多様な形態において、装置の取付用凹部は、冷却チャネルとして機能するように構成される。他の形態は、第一の小表面の長さに沿って伸びるチャネルを提供し、このチャネルは、熱を放散させ、かつ、装置に部品を固定するためのスプリングクリップ用の受け部を提供するように構成される。本発明の他の形態は、装置に部品を固定するために使用される複数のスプリングクリップ用の複数の受け部を提供する。そのような一つの形態においては、第一の補助レッジが第一の主表面から第一のレッジと平行に伸びており、装置に部品を固定するためのスプリングクリップ用のスプリングクリップ受け部を画定する。他の形態において、装置は、第二の主表面から第二のレッジと平行に伸びる第二の補助レッジを有しており、この第二の補助レッジは、装置に部品を固定するためのスプリングクリップ用のスプリングクリップ受け部を画定する。
【0012】本発明の特に有利な反復は、取付用凹部を押し込まれるピンを提供する。このピンは、このピンを基板の孔に押し込むことによってこの基板上に装置を実装するために使用される。この装置の他の有利な反復においては、第一または第二のレッジに対してヒートシンクが着脱可能に取り付けられる。
【0013】本発明はまた、基板に実装された電子部品を冷却するための方法を提供する。熱転移装置が基板に取り付けられた場合に、他の熱転移装置をモジュラーシステムの形で組み合わせることもできる。この方法は、低プロファイルまたはコンパクトな電子システムに有用である。
【0014】本発明はまた、熱転移装置を製造するための方法を提供する。この方法は、装置の押し出し成型を要求する。この押し出し成型品は、多様な形態を含む。押し出し成型品が必要とされるあらゆる長さに切断可能であるという事実は本発明の特に望ましい特徴である。これにより、装置を実装する基板の寸法および装置に組み合わせる部品の数に合わせて装置を調整することができる。
【0015】より広い視野において、本発明の好ましい別の特徴は、当業者であれば、以下の詳細な説明から容易に理解可能である。本発明の別の特徴については、以下に説明するが、それらはいずれも特許請求の範囲に記載の主題を形成する。当業者であれば、以下の説明で開示された特定の形態に基づいて、他の構造を容易に設計することが可能であり、それによって、本発明と同じ目的を容易に達成可能である。当業者であれば、広義の意味で本発明の技術思想から離れることなしに、それと等価な構造を実現可能である。
【0016】
【発明の実施の形態】最初に、図1においては、本発明の原理にしたがって構成された熱転移装置100の斜視図が示されている。この熱転移装置100は、本発明の特に好ましい形態を表現している。この熱転移装置100は、伸長ボディ110を有しており、この伸長ボディ110は、対向する第一と第二の主表面120、130、対向する第一と第二の小表面140、150を持つ。この熱転移装置100を基板に実装するために、取付用凹部155が、第二の小表面150の長さに沿って伸びている。
【0017】第一の横寸法(A−B)を持つ第一の部品取付領域121を画定するように、第一のレッジ125が、熱転移装置100の第一の主表面120から伸びている。第二のレッジ135は、第二の横寸法(C−D)を持つ第二の部品取付領域131を画定するように、第二の主表面130から伸びている。第一の横寸法(A−B)は第二の横寸法(C−D)と異なる寸法であり、それによって、2個の異なるサイズの発熱性部品を熱転移装置100に取り付けることができる。例えば、片側には、比較的寸法の小さい「TO−220」電子部品のみを取り付け、反対側には、「TO−220」電子部品とそれより大きい「TO−247」電子部品の両方を取り付けることができる。
【0018】図示された形態における熱転移装置100の利点は、この熱転移装置100の構造中に組み込まれた冷却形状部分の数が多い点である。そのような一つの冷却形状部分は、第一の小表面140の長さに沿って伸びる冷却チャネル141である。取付用凹部155もまた、第二の小表面150の長さに沿って伸びる冷却チャネルとして作用するように構成される。他の冷却形状部分は、第一の主表面120から第一のレッジ125と平行に伸びる第一の補助レッジ126と、第二の主表面130から第二のレッジ135と平行に伸びる第二の補助レッジ136を含む。当業者であれば、第一の主表面120、第二の主表面130、第一のレッジ125、第二のレッジ135、第一の補助レッジ126、第二の補助レッジ136、冷却チャネル141、および取付用凹部155を組み合わせた表面領域が、熱転移装置100が独立したヒートシンクとして作用するのに十分な表面領域を提供することは容易に理解できる。後述するような本発明の他の特徴を組み合わせた場合には、この独立したヒートシンクとしての特徴は、表面領域を増大できるため、従来技術に比べて大きな利点を示す。
【0019】次に、図2の(A)においては、図1の熱転移装置100の端部立面図が示されている。熱転移装置100のプリント配線基板あるいは回路基板である基板170に対する関係を明示するために、熱転移装置100はそれが実装される基板170上に浮遊した状態で示されている。
【0020】第一のレッジ125と第一の補助レッジ126は、その両方が第一の主表面120から伸びているが、それらのレッジ125、126間の関係は、図2の(A)において明瞭である。第二の主表面130から伸びる第二のレッジ135と第二の補助レッジ136についても同様に明瞭である。第一のレッジ125と第一の補助レッジ126は、熱転移装置100に部品を固定するためのスプリングクリップを受けるための受け部127を画定するように形成されている。同様の受け部137が、第二の主表面130上の第二のレッジ135と第二の補助レッジ136によって画定されている。同様の受け部141が、第一の小表面140の長さに沿って伸びる冷却チャネル141によって形成されている。3個の受け部127、137、141の全てが、類似の形状とされており、同じ種類のスプリングクリップを受け入れて、その熱転移装置100に部品あるいは他の装置を固定するようになっている。
【0021】次に、図2の(B)においては、熱転移装置100の一つの形態における取付用凹部155の端部立面図が示されている。この取付用凹部155は、その内部に第一と第二のスナップ溝153、154を有する。これにより、熱転移装置100を基板上に2段階で実装することができる。第一段階においては、第一のスナップ溝153によって熱転移装置100を部分的な取付位置に固定して、組立プロセス中に熱転移装置100の周囲に作業用のスペースを形成する。熱転移装置100を完全に設置する用意ができた場合には、第二のスナップ溝154と外部のスナップ部160によって熱転移装置100を完全な取付位置に保持する。取付用凹部155の上部は、ピンストッパ157であり、熱転移装置100が取り付けられる基板中のピンの上端部を受ける。外部にはまた、熱転移装置を適切に配列するための絶縁配列溝161が設けられている。
【0022】次に、図3の(A)は、熱転移装置100を基板に取り付けるために使用される取付ピン200と共に、図1の熱転移装置を示す斜視図である。取付ピン200の一端は、熱転移装置100上の取付用凹部155内に押し込められる。取付ピン200の他端は、次に、基板の孔内に配置され、はんだ付けされる。
【0023】次に、図3の(B)は、図1または図3の(A)の熱転移装置100の取付用凹部155内に係合された、図3の(A)の取付ピン200を示す端面図である。この形態において、熱転移装置100の取付用凹部155は、取付ピン200の周囲にチャネル156を有する。このチャネル156は、取付ピン200が挿入された取付用凹部155内を通して空気を循環させるエアバイパスルートを提供する。この特徴部分は、熱転移装置100が基板に実装された場合に、熱伝導と熱対流によって、付加的な冷却を提供する。取付ピン200が基板にはんだ付けされた場合に、この取付ピン200は、基板の銅平面への伝導ルートを与えるため、付加的な冷却メカニズムを提供する。取付用凹部155は、図2の(B)に示すように取付ピン200が挿入された場合に取付ピン200の長さを正確に制御して、ピンストッパ157で停止させるように設計されている。取付用凹部155内のチャネル156は、取付ピン200と協同して、層流エアフローを乱流エアフローに変化させることによって熱転移特性を向上する。
【0024】図4の(A)においては、組立電子回路(図示せず)のヒートシンク上部プレートのカバー300の斜視図が示されている。ヒートシンク上部プレートのカバー300は、図4の(B)に示すようなタイプの、多くのネジ361、ナット363、およびクランプ362を有する一つ以上のスプレッダ350の上部に固定されることによって回路上に配置される。
【0025】図4の(B)は、図4の(A)のカバー300とともに使用される従来のスプレッダアセンブリの展開斜視図を示している。この図4の(B)は、スプレッダ350を、多様な部材および発熱性部品360とともに示している。それらは組み立てられて電子アセンブリを完成する。図4の(C)は、クランプ362によって発熱性部品360とともに組み立てられたスプレッダ350を示している。発熱性部品360は、小型のネジ361をまず、その発熱性部品360を定位置に保持するためのクランプ362に挿入し、続いてスプレッダ350に挿入することによってスプレッダ350に固定される。ネジ361は、小型のナット363によってスプレッダ350に固定される。スプレッダ350は、取り付けられた発熱性部品360とともに、基板に固定され、この基板上には、多数のネジ(図示せず)により、一つ以上のスプレッダ350の上部にカバー300を取り付けることによって、このカバー300が配置される。
【0026】電子システム、特に、コンパクトなシステムを組み立てる場合に、スプレッダ350とカバー300を使用することには、多くの不都合がある。まず、組み立てられた電子システムの全体の高さは、基板上の最も高い電子部品、多くの場合、それはコンデンサや電磁要素であるが、その高さと少なくとも等しいことが有利である。所望のシステム高さが、最も高い部品の高さより低い場合には、カバー300に孔を設けてその部品を挿入することになる。図示されるタイプのカバー300のさらに不利な点は、大半の電子システムが、他の製品に使用不可能なカスタムメードのヒートシンク上部プレートのカバー300を要求することである。このことは、カバー300を要求するのは、生産ラインにおける限定数の部品であり、そのようなカバー300の作製には、比較的高いコストがかかる。多くの製品を作製する場合に、各製品が異なるカバーを要求する場合には、在庫品の制御が複雑化する。本発明の熱転移装置100によれば、個別に設計されたカバー300が不要となるため、電子システムの製造コストを低減できる。
【0027】図4の(B)には、スプレッダアセンブリを組み立てるのに必要な多くの小型部材が示されている。図示されているようなスプレッダアセンブリは、多くの小型部品を要求するため、アセンブリ全体のコストは、要求される付加的な労力に応じて増大する。後述するように、本発明は、そのような複雑性を低減する機会を提供するものであり、電子システムを完成するための、付加的な取付具、空気ツール、複雑なアセンブリ処理が不要となる。取付具を収納する必要がないため、コストをさらに低減できる。
【0028】次に、図5〜図7においては、上述したような従来技術の問題点を解消するための本発明による有利な形態が示されている。図中においては、基板上に実装される2個の熱転移装置100と、付加的な冷却を提供するための商業的に入手可能なヒートシンク400が示されている。ヒートシンク400はまた、熱転移装置として作用するとともに、回路の全体または一部の保護カバーとして作用する。図5は、図1および図3の(A)に示された種類の2個の熱転移装置100と、商業的に入手可能なヒートシンク400を示す分解斜視図である。各熱転移装置100上の第一の主表面120は、他方の熱転移装置100上の第一の主表面120に対向するように示されている。この配置において、各熱転移装置100の第一の補助レッジ126は、同じ高さであり、互いに対向している。ヒートシンク400は、支持用の第一の補助レッジ126を用いて、熱転移装置100上に取り付けられる。
【0029】次に、図6は、図5のアセンブリの組立斜視図を示している。図から明らかなように、ヒートシンク400は上部プレートカバーとして使用されている。本発明の熱転移装置100は、押し出し成型プロセスを用いて作製可能であるため、熱転移装置100は、異なる長さに容易に切断可能である。これらの異なる長さの熱転移装置100は、異なる設計および寸法を有する商業的に入手可能な量産されたヒートシンク400と組み合わせ可能であり、これにより、回路設計者は、カスタムメードのカバー300の代わりに本発明のこの形態を使用することができる。
【0030】次に、図7は、図6のアセンブリと、スプリングクリップ455、456、457によって所定の位置に保持された2つのサイズの発熱性部品460、470を示す端面図である。スプリングクリップ455、456、457は、発熱性部品460、470を固定するために使用され、スプリングクリップ458は、ヒートシンク400を熱転移装置100に固定する。3つのスプリング用の受け部127、137、141がほぼ同一である場合には、スプリングクリップ455、456、458を、ほぼ同一にすることができる。
【0031】図7においては、本発明によるこの形態の2つの有利な特徴が示されている。第一の特徴は、熱転移装置100が、2つの異なるサイズの発熱性部品460、470をその主表面120、130に固定できる点である。この特徴は、2つの異なるサイズの部品取付領域121、131を設けることによって得られる。第一の主表面120上の第一の部品取付領域121に、あるサイズの発熱性部品460が取り付けられていると共に、第二の主表面130上の第二の部品取付領域131には、より大きな発熱性部品470が取り付けられている。
【0032】図7に示される第二の有利な特徴は、発熱性部品460、470とヒートシンク400の熱転移装置100に対する取り付け方法である。多様な部品400、460、470をスプリングクリップによって熱転移装置100に取り付ける方法は、電子アセンブリの作製に必要な部材の数を削減でき、また、スプリングクリップを容易に操作できるため、組立プロセスの効率を向上できる。
【0033】この場合、図示されているような本発明の最適な形態は、ヒートシンク取付装置と組み合わされる。このようなヒートシンク取付装置としては、米国出願(代理人番号: WERNER 2−1)の「Heat Sink Alignment and Method」において開示されているヒートシンク取付装置が使用可能である。
【0034】各発熱性部品460、470から伸びる電気リード465、475は、発熱性部品460、470と、熱転移装置100を取り付けた基板上の回路との間の電気接続を提供する。上記の米国出願において記載されているヒートシンク取付装置の一つの形態は、電気リード465、475を基板に対して位置合わせ・接続するためのガイドを提供する。
【0035】本発明の熱転移装置を製造する方法は、押し出し成型プロセスを使用する。熱転移装置100を押し出し成型によって形成する場合に、熱転移装置100は、それが取り付けられる基板のサイズに基づいて所望の長さに切断可能であり、異なるサイズの発熱性部品460、470を冷却することができる。押し出し成型によって、本発明に包含される多様な熱転移装置が形成できる。熱転移装置100を製造するための実際の方法は、上記の説明から明らかである。
【0036】上述したように、本発明は、独立ベースのあるいはより大きな熱転移システムの部品として機能可能な熱転移装置を提供する。熱転移装置100は、十分な冷却表面を有するため、発熱性部品を取り付けた熱転移装置として単独で使用可能であるが、商業的に入手可能なヒートシンクと組み合わせてより多数の電子部品用の熱制御を提供することも可能である。この設計は、独立したヒートシンクとして機能しない熱スプレッダの代わりに熱転移装置100を回路上で使用可能にすると共に、より少ない部材と労力を用いて回路の設計・製造を可能にし、この両方が、コスト面で貢献する。さらに、熱転移装置100は、特に、低プロファイル電子システムに使用された場合に、従来装置に比べて明らかに有利である。
【0037】また、図8〜図10においては、本発明による熱転移装置、商業的に入手可能なヒートシンク、および発熱性部品、からなる異なる構成が示されている。これらの構成は、本発明の有用性、汎用性、および柔軟性を明瞭に示している。
【0038】なお、本発明は、上記の形態に限定されるものではなく、当業者であれば、他にも本発明の範囲内で多種多様な変形例が実施可能であり、それらはいずれも本発明に包含されるものである。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、従来方法よりかなり少ない部材のみが要求される単純な取付方法を用いて、回路やその回路上の発熱性部品と結合可能な熱転移装置を提供することができる。
【出願人】 【識別番号】596077259
【氏名又は名称】ルーセント テクノロジーズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Lucent Technologies Inc.
【住所又は居所原語表記】600 Mountain Avenue,Murray Hill, New Jersey 07974−0636U.S.A.
【出願日】 平成12年4月24日(2000.4.24)
【代理人】 【識別番号】100081053
【弁理士】
【氏名又は名称】三俣 弘文
【公開番号】 特開2000−323877(P2000−323877A)
【公開日】 平成12年11月24日(2000.11.24)
【出願番号】 特願2000−123008(P2000−123008)