トップ :: H 電気 :: H05 他に分類されない電気技術




【発明の名称】 蓋体を具えた電気機器
【発明者】 【氏名】鈴木 昭廣

【要約】 【課題】蓋体を前進させてから蓋体を開閉する電気機器に於いて、簡素な構成で、蓋体の枢支部の浮き上がりを防止することにある。

【解決手段】電気機器は、蓋体4から突出した枢軸31をキャビネット2に回動自在に嵌めて、蓋体4は、枢軸31の軸方向に直交して、キャビネット2から外向きに突出した前進位置と、キャビネット2内に収納された後退位置との間で水平移動可能に設けられている。キャビネット2と蓋体4の間には、開き状態の蓋体4の後退を規制するストッパ機構が設けられている。蓋体4の枢支部近傍にはカム面42が形成され、該カム面42は、後退位置にある蓋体4の閉じ状態にてキャビネット2に押さえられる第1当たり面43と、前記ストッパ機構を構成する第2当たり面44を具える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 キャビネット(2)又は蓋体(4)の一方から突出した枢軸(31)を他方に回動自在に嵌めて、蓋体(4)は枢軸(31)の軸方向に直交して、キャビネット(2)から外向きに突出した前進位置と、キャビネット(2)内に収納された後退位置との間で水平移動可能に設けられ、キャビネット(2)と蓋体(4)の間には、開き状態の蓋体(4)の後退を規制するストッパ機構が設けられた電気機器に於いて、蓋体(4)の枢支部近傍にはカム面(42)が形成され、該カム面(42)は、後退位置にある蓋体(4)の閉じ状態にてキャビネット(2)に押さえられる第1当たり面(43)と、前記ストッパ機構を構成する第2当たり面(44)を具えることを特徴とする電気機器。。
【請求項2】 蓋体(4)はキャビネット(2)の電池収納開口(10)に被さり、蓋体(4)の電池収納開口(10)との対向面内には、キャビネット(2)に対して係脱可能に設けられ蓋体(4)の後退位置にてキャビネット(2)に係止して蓋体(4)の前進を規制するロックレバー(5)が配備され、該ロックレバー(5)には電池収納開口(10)に挿入されるべき乾電池の誤挿入を防ぐ誤挿入防止突起(50)が設けられている請求項1に記載の電気機器。
【請求項3】 キャビネット(2)からは、後退位置にある蓋体(4)の閉じ状態にて第1当たり面(43)を押さえる押さえ片(20)が突出している請求項1又は2に記載の電気機器。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、蓋体を具えた電気機器、特に乾電池を収容するケースの上面開口を覆う蓋体を具えた電気機器に関する。
【0002】
【従来の技術】図8(a)、(b)は、従来の電気機器の側面図である。キャビネット(2)の側部は一段凹んで電池ケース(1)を形成し、該電池ケース(1)には、複数本の乾電池(9)(9)が挿入される。該電池ケース(1)の上面開口は蓋体(4)にて覆われる。乾電池(9)(9)は周知の如く、電池ケース(1)内に設けられた圧縮バネ(図2参照)により上向きに付勢される。蓋体(4)は外向きに突出した軸(49)が、キャビネット(2)の側部に開設された長孔(29)に嵌まって水平移動可能かつ回動自在に設けられている。以下の記載にて、蓋体(4)がキャビネット(2)から突出する向きを前方、キャビネット(2)に向けて引込む向きを後方とする。蓋体(4)の裏面には、乾電池(9)の極に接する端子板(6)が設けられ、蓋体(4)の自由端部には鉤片(40)が設けられている。電池ケース(1)には、蓋体(4)の閉じ位置にて鉤片(40)に係合する爪片(12)が立設している。開いた蓋体(4)を閉じて鉤片(40)と爪片(12)を係合させるには、蓋体(4)を一旦前進させてから、図8(b)に示すように、蓋体(4)を軸(49)を中心として下降回動させ、鉤片(40)を爪片(12)の前方に対向させる。蓋体(4)を長孔(29)に沿って後退させると、図8(a)に示すように、鉤片(40)と爪片(12)が係合して、蓋体(4)がキャビネット(2)にロックされる。
【0003】仮に、開いた蓋体(4)がキャビネット(2)に対して後退した状態で、蓋体(4)を閉じようとすると、鉤片(40)が爪片(12)の上端に当たり、蓋体(4)をキャビネット(2)にロックすることができない。また、蓋体(4)を強く閉じると、鉤片(40)が爪片(12)に衝突して爪片(12)を破損させる虞れもある。この点に鑑みて、前進した蓋体(4)の回動移行路の側方にて、軸(49)の下方にストッパ片(21)をキャビネット(2)に設けて、前進位置でしか蓋体(4)を開閉できない工夫が成されている。図8(a)に示すように、後退位置では蓋体(4)の下端はストッパ片(21)に対向しており、蓋体(4)は開き方向に回動できない。前進位置では、図8(b)に示すように、蓋体(4)はストッパ片(21)には当たらず、蓋体(4)を開閉方向に回動できる。然るに、開いた蓋体(4)を後退させようとしても、蓋体(4)はストッパ片(21)に当たって後退できない。蓋体(4)は前進位置でしか開閉できないから、閉じ状態にて鉤片(40)は爪片(12)の上端に当たる虞れはなく、蓋体(4)がキャビネット(2)にロックされない状態を予め防ぐことができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】多数本の乾電池を収納する電池ケース(1)にあっては、蓋体(4)の閉じ位置にて多数の乾電池が端子板(6)を上向き付勢しているから、蓋体(4)が浮き上がりやすくなる。蓋体(4)は先端部にて鉤片(40)と爪片(12)が係合しているが、枢支部では軸(49)がキャビネット(2)の長孔(29)に嵌まっているだけであるから、蓋体(4)が浮くことにより、蓋体(4)が外れ易くなる。従って、蓋体(4)の閉じ状態にて蓋体(4)の枢支部の浮き上がりを防止する必要があるが、蓋体(4)の浮き上がり防止に新たに部品を追加すると、部品を配備する空間が必要であり、構成が複雑になる。本発明の目的は、蓋体を前進させてから蓋体を開閉する電気機器に於いて、簡素な構成で、蓋体の枢支部の浮き上がりを防止することにある。
【0005】
【課題を解決する為の手段】電気機器は、キャビネット(2)又は蓋体(4)の一方から突出した枢軸(31)を他方に嵌めて、蓋体(4)は、枢軸(31)の軸方向に直交して、キャビネット(2)から外向きに突出した前進位置と、キャビネット(2)内に収納された後退位置との間で水平移動可能に設けられている。キャビネット(2)と蓋体(4)の間には、開き状態の蓋体(4)の後退を規制するストッパ機構が設けられている。蓋体(4)の枢支部近傍にはカム面(42)が形成され、該カム面(42)は、後退位置にある蓋体(4)の閉じ状態にてキャビネット(2)に押さえられる第1当たり面(43)と、前記ストッパ機構を構成する第2当たり面(44)を具える。
【0006】
【作用及び効果】第1当たり面(43)は、後退位置にある蓋体(4)の閉じ状態にてキャビネット(2)に押さえられ、蓋体(4)の枢支部がキャビネット(2)から浮き上がることを防ぐ。また、第2当たり面(44)は、キャビネット(2)に接して開き状態の蓋体(4)の後退を規制する。即ち、蓋体(4)の枢支部の浮き上がり防止と、開き状態の蓋体(4)の後退の規制の両動作を両当たり面(43)(44)を含むカム面(42)にて行うことができる。カム面(42)は、蓋体(4)の枢支部近傍に形成されており、これにより、簡素な機構で蓋体(4)の浮き上がり防止と、開き状態の蓋体(4)の後退の規制を行うことができる。また、カム面(42)は蓋体(4)の枢支部近傍に形成されているから、蓋体(4)の枢支部の浮き上がりを効果的に防止できる。
【0007】
【発明の実施の形態】(全体構成)以下、本発明の一例を図を用いて詳述する。図1は、キャビネット(2)の斜視図であり、上下逆にして示す。本例に関わる電気機器はデジタルスチルカメラに関し、キャビネット(2)の背面には、撮像した画像を表示する液晶パネル(25)が設けられている。キャビネット(2)の側部は、一段凹んで電池ケース(1)を形成し、電池ケース(1)の上面には、蓋体(4)が回動自在に設けられている。蓋体(4)は、電池ケース(1)に開設された電池収納開口(10)に被さり、該電池収納開口(10)は1本の乾電池が縦向きに挿入される小開口(11)(11)を4つ連ねて形成される。蓋体(4)の自由端部には鉤片(40)(40)が設けられ、電池ケース(1)の上面にて鉤片(40)(40)に対応する位置には爪片(12)(12)が立設している。従来と同様に、蓋体(4)は前進位置にて開閉方向に回動し、鉤片(40)と爪片(12)は、閉じ状態の蓋体(4)が前進位置から後退位置に移動して係合する。また、乾電池交換時には、後記のロックレバー(5)を押して、蓋体(4)を前進させて開く。
【0008】蓋体(4)の裏面には、2枚の端子板(6)(60)が設けられ、各端子板(6)(60)には乾電池の正極と負極が接する。負極が接する箇所には、端子板(6)(60)の裏側から誤挿入防止突起(50)(50)が設けられている。誤挿入防止突起(50)(50)は絶縁体にて形成されて、蓋体(4)又は後記するロックレバー(5)から端子板(6)を貫通し、先端が端子板(6)の表面と略同一面内に位置する。図2は、電池ケース(1)の側面断面図であり、左側の乾電池(9)が誤挿入された状態を示す。電池収納開口(10)の各小開口(11)奥部には、乾電池(9)を上向きに付勢する圧縮バネ(90)が設けられている。誤挿入防止突起(50)に対向する小開口(11)には、乾電池(9)は負極を上にして挿入され、該負極が端子板(6)に接する。然るに、誤って正極を上にして挿入したときは、誤挿入防止突起(50)と乾電池(9)の正極が接する。正極は、誤挿入防止突起(50)により端子板(6)との当接が妨げられるから、端子板(6)に電流が流れず、装置に通電されない。これにより、乾電池(9)の誤挿入が判る。
【0009】図1に示すように、電池ケース(1)上面にて電池収納開口(10)の内側には、嵌合爪(13)が設けられ、該嵌合爪(13)は後記するように、蓋体(4)の不用意な前進を規制する為に設けられている。図3は、蓋体(4)の裏面図であり、図示しない端子板(6)(60)はこの上に被さる。蓋体(4)の裏面には、中央部に窓孔(30)を開設した回動部材(3)と、該窓孔(30)内に位置するロックレバー(5)を設けている。回動部材(3)は後端部からキャビネット(2)に回動自在に嵌まる枢軸(31)(31)を内向きに突出しており、蓋体(4)は回動部材(3)上を前後に移動する。即ち、蓋体(4)は回動部材(3)とともにキャビネット(2)上を回動し、且つ回動部材(3)に沿って前後移動する。蓋体(4)からは窓孔(30)内に位置する壁片(41)(41)が立設し、回動部材(3)は窓孔(30)の前端部から突片(32)を内向きに突出している。壁片(41)の前端が突片(32)の先端に接すると、蓋体(4)の前進が規制される。蓋体(4)の後端部には、カム面(42)が形成され、該カム面(42)は蓋体(4)の前進位置にてキャビネット(2)に接近して蓋体(4)が開き状態のまま後退することを防ぐ。
【0010】(ロックレバー)ロックレバー(5)は、外向きに突出した受け軸(51)の両端が壁片(41)(41)に回動自在に嵌まって、蓋体(4)と同じ面内を回動する。ロックレバー(5)は図4に示すように、受け軸(51)の後側に係止片(52)及びその両側にバネ片(53)(53)を設けており、係止片(52)が前記電池ケース(1)上の嵌合爪(13)に引掛かる。受け軸(51)からは支持板(54)が前向きに突出しており、該支持板(54)の一方の面からは前記誤挿入防止突起(50)が、他方の面からは使用者が押す押圧釦(55)が夫々突出している。
【0011】(蓋体の移動)図5(a)、(b)は夫々閉じ状態の蓋体(4)の後退位置と前進位置を示す側面断面図であり、図1のA−A線で破断している。ロックレバー(5)の押圧釦(55)は蓋体(4)に開設された透孔(45)に嵌まり、該押圧釦(55)の先端は蓋体(4)の上面と同一面内又は内側に位置する。ロックレバー(5)の係止片(52)が電池ケース(1)上の嵌合爪(13)に引掛って、蓋体(4)は前進を規制されている。図5(a)、(b)にあっては、図示の便宜上、ロックレバー(5)のバネ片(53)を省くが、バネ片(53)は蓋体(4)の裏面に接して、ロックレバー(5)を時計方向、即ち押圧釦(55)が蓋体(4)に嵌まる向きに付勢している。
【0012】後退位置鉤片(40)と爪片(12)は、蓋体(4)の後退位置にて係合して、蓋体(4)は開かない。蓋体(4)の後端部はカム面(42)を形成している。カム面(42)は、水平面内に位置する第1当たり面(43)と該第1当たり面(43)の下側に位置する円弧状の第2当たり面(44)を一体に設けている。キャビネット(2)は、第1当たり面(43)に被さる押さえ片(20)と、該押さえ片(20)の下方に位置して前方に向かって下向き円弧形に形成されたストッパ片(21)を設ける。該ストッパ片(21)は電池ケース(1)の上面に繋がる。蓋体(4)は図5(a)に示す後退位置では、閉じ状態にて押さえ片(20)が第1当たり面(43)に接する。これにより、蓋体(4)の枢支部である枢軸(31)が上向きに付勢されても、蓋体(4)の浮き上がりは防止される。また、蓋体(4)の第2当たり面(44)は、ストッパ片(21)の上端部に接して、蓋体(4)は後退位置から後退しない。
【0013】前進動作蓋体(4)を前進させるには、図5(b)に示すように、ロックレバー(5)の押圧釦(55)を押し込む。ロックレバー(5)は反時計方向に回動し、係止片(52)と嵌合爪(13)の嵌合が外れて、蓋体(4)は前進可能になる。蓋体(4)の前進完了後に、ロックレバー(5)の押し込みを解除する。ロックレバー(5)はバネ片(53)により時計方向に付勢されて、押圧釦(55)が透孔(45)に再び嵌まる。尚、ロックレバー(5)の誤挿入防止突起(50)は乾電池の負極を一旦圧縮バネ(90)に抗して押すが、蓋体(4)が前進して、ロックレバー(5)の押し込みが解除されると、乾電池は元の位置に復帰する。
【0014】開閉動作図6は、蓋体(4)の開き状態を示す側面断面図である。前進位置にて蓋体(4)の第1当たり面(43)は押さえ片(20)から脱出し、使用者は蓋体(4)を手で開くことができる。蓋体(4)を枢軸(31)を中心に開閉している途中では、第2当たり面(44)はストッパ片(21)に接近しており、仮に蓋体(4)を後退させても、第2当たり面(44)がストッパ片(21)に接して後退を妨げる。従って、蓋体(4)は前進位置でしか開閉できないから、閉じ状態にて鉤片(40)は爪片(12)の上端に当たる虞れはない。これにより、蓋体(4)とキャビネット(2)がロックされない状態を予め防ぐことができる。尚、蓋体(4)の回動中に、第2当たり面(44)がストッパ片(21)を擦ってもよいが、使用者が蓋体(4)の回動に抵抗感を感じる問題がある。
【0015】図7は、蓋体(4)の開き完了状態の要部を拡大した断面側面図である。蓋体(4)の第2当たり面(44)の一端がストッパ片(21)に当接し、蓋体(4)はこれ以上の回動を規制される。電池収納開口(10)が露出し、乾電池の交換ができる。蓋体(4)の開き完了状態から蓋体(4)を閉じて後退させるには、上記と逆の動作を行えばよい。
【0016】本例にあっては、蓋体(4)の枢支部の浮き上がり防止と、開き状態の蓋体(4)の後退の規制の両動作を両当たり面(43)(44)を含むカム面(42)にて行うことができる。カム面(42)は、蓋体(4)の枢支部近傍に形成されており、これにより、簡素な機構で蓋体(4)の浮き上がり防止と、開き状態の蓋体(4)の後退の規制を行うことができる。更に、押さえ片(20)とストッパ片(21)は、何れも蓋体(4)の枢支部近傍に位置しており、キャビネット(2)上に接近して設けることができるから、押さえ片(20)を設けても、キャビネット(2)は大型化しない。また、誤挿入防止突起(50)の1つをロックレバー(5)上に設けており、蓋体(4)上の面積を有効に利用している。換言すれば、蓋体(4)を大型化することなく、誤挿入防止突起(50)を設けている。
【0017】また、蓋体(4)の回動中心である枢軸(31)は蓋体(4)から内向きに突出しており、キャビネット(2)の外部からは見えない。これにより、外部からの見栄えがよくなる。また、従来にあっては、蓋体(4)の軸(49)がキャビネット(2)の長孔(29)に沿って移動するが(図8参照)、蓋体(4)が僅かに傾いた際に軸(49)が長孔(29)の周縁に引掛かり、使用者が蓋体(4)の前後移動時に抵抗感を感じることがある。然るに、本例にあっては、蓋体(4)は回動部材(3)の上面に沿って移動するから、蓋体(4)が回動部材(3)の上面内で、多少傾いても前後移動時に抵抗感を感じることはない。
【0018】上記実施例の説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或は範囲を減縮する様に解すべきではない。又、本発明の各部構成は上記実施例に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
【出願人】 【識別番号】000001889
【氏名又は名称】三洋電機株式会社
【出願日】 平成11年4月23日(1999.4.23)
【代理人】 【識別番号】100066728
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 敏之 (外2名)
【公開番号】 特開2000−307263(P2000−307263A)
【公開日】 平成12年11月2日(2000.11.2)
【出願番号】 特願平11−115731