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【発明の名称】 電磁波シールドパネル
【発明者】 【氏名】原川 健一

【氏名】影山 健二

【氏名】脇中 義孝

【氏名】高橋 好明

【氏名】亀井 義宣

【要約】 【課題】一対の板部材間に電磁波吸収体を設けることによりシールド率を向上できる電磁波シールドパネルを得る。

【解決手段】電磁波シールドパネル10は金属製で相互に絶縁された一対の板部材12を備え、一対の板部材12間の中間部分にカーボンファイバー16をポリウレタン14に保持させた状態で設ける。電磁波の波長をλとすると、λ/2の自然数倍が一対の板部材12間の間隔に等しい電磁波が一対の板部材12間に入射しても、カーボンファイバー16がこの電磁波を吸収する。さらに、λ/2の奇数倍が一対の板部材12間の間隔に等しい電磁波では一対の板部材12間の中間部分で電磁界が最大となるため、カーボンファイバー16が効率的にこの電磁波を吸収できる。このため、電磁波が一対の板部材12間で共振することを防止でき、電磁波シールドパネル10のシールド率を向上できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 互いに対向して設けられ、それぞれ導電性を有しかつ相互に絶縁された一対の板部材と、前記一対の板部材間に充填された充填材と、前記充填材に設けられ、前記一対の板部材間に入射する電磁波を吸収する電磁波吸収体と、を備えた電磁波シールドパネル。
【請求項2】 前記一対の板部材間で共振を起こす電磁波による電磁界が最大となる位置に前記電磁波吸収体を配置したことを特徴とする請求項1記載の電磁波シールドパネル。
【請求項3】 前記電磁波吸収体を前記一対の板部材間の全体に配置したことを特徴とする請求項1または請求項2記載の電磁波シールドパネル。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、互いに対向して設けられ、それぞれ導電性を有しかつ相互に絶縁された一対の板部材により製作される電磁波シールドパネルに関する。
【0002】
【従来の技術】高性能の電磁波シールドパネルは、例えば、一対の板部材により製作されており、一対の板部材はそれぞれ金属製とされると共に互いに対向している。さらに、一対の板部材間には、例えば、ポリウレタン等の充填材が充填されている。ここで、一対の板部材は相互に絶縁されており、これにより、電磁波シールドパネルが電磁波をシールドできる。
【0003】しかしながら、このような電磁波シールドパネルでは、板部材が金属製とされると共に、一対の板部材間に充填される充填材が電磁波吸収性の充分でない材料で構成されているため、一対の板部材間で単位時間に消費される電磁波のエネルギーが小さい。
【0004】また、この一対の板部材間で共振を起こす電磁波(電磁波の波長をλとして、λ/2の自然数倍が一対の板部材間の間隔に等しい電磁波、以下「共振電磁波」という)の周波数(共振周波数)をfとすると、一対の板部材間のQ(振動系の鋭さを表す量)は、Q=2πf(一対の板部材間に貯えることができる電磁波のエネルギーの最大値)/(一対の板部材間で単位時間に消費される電磁波のエネルギー)により定義される。
【0005】ここで、上述のように一対の板部材間で単位時間に消費される電磁波のエネルギーが小さいため、上式(Qの定義式)の分母が小さくなり、これにより、上記Qが大きくなってしまう。
【0006】Qが大きい場合には、共振電磁波がこの一対の板部材間に入射すると、この電磁波は一対の板部材間で共振し、これにより、電磁波シールドパネルのシールド率が低下する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記事実を考慮し、一対の板部材間に電磁波吸収体を設けることによりシールド率を向上できる電磁波シールドパネルを得ることが目的である。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の電磁波シールドパネルは、互いに対向して設けられ、それぞれ導電性を有しかつ相互に絶縁された一対の板部材と、前記一対の板部材間に充填された充填材と、前記充填材に設けられ、前記一対の板部材間に入射する電磁波を吸収する電磁波吸収体と、を備えている。
【0009】請求項1に記載の電磁波シールドパネルによれば、一対の板部材間に充填された充填材に電磁波吸収体を設けたため、電磁波吸収体が一対の板部材間に入射する電磁波を吸収する。このため、一対の板部材間で単位時間に消費される電磁波のエネルギーが大きくなる。
【0010】また、一対の板部材間で共振を起こす電磁波(電磁波の波長をλとして、λ/2の自然数倍が一対の板部材間の間隔に等しい電磁波、以下「共振電磁波」という)の周波数(共振周波数)をfとすると、一対の板部材間のQ(振動系の鋭さを表す量)は、Q=2πf(一対の板部材間に貯えることができる電磁波のエネルギーの最大値)/(一対の板部材間で単位時間に消費される電磁波のエネルギー)により定義される。
【0011】ここで、上述のように、一対の板部材間で単位時間に消費される電磁波のエネルギーが大きくなるため、上式(Qの定義式)の分母が大きくなり、これにより、上記Qを小さくすることができる。
【0012】このため、共振電磁波がこの一対の板部材間に入射しても、この電磁波が一対の板部材間で共振することを防止でき、電磁波シールドパネルのシールド率を向上できる。
【0013】請求項2に記載の電磁波シールドパネルは、請求項1に記載の電磁波シールドパネルにおいて、前記一対の板部材間で共振を起こす電磁波による電磁界が最大となる位置に前記電磁波吸収体を配置したことを特徴としている。
【0014】請求項2に記載の電磁波シールドパネルによれば、一対の板部材間で共振を起こす電磁波(共振電磁波)による電磁界が最大となる位置に電磁波吸収体を配置したため、電磁波吸収体が効率的にこの電磁波を吸収できる。このため、上記Qを効率的に小さくでき、これにより、電磁波シールドパネルのシールド率を効率的に向上できる。
【0015】請求項3に記載の電磁波シールドパネルは、請求項1または請求項2に記載の電磁波シールドパネルにおいて、前記電磁波吸収体を前記一対の板部材間の全体に配置したことを特徴としている。
【0016】請求項3に記載の電磁波シールドパネルによれば、電磁波吸収体を一対の板部材間の全体に配置したため、一対の板部材間で共振を起こす共振電磁波の周波数(共振周波数)に拘らず、この電磁波による電磁界が最大となる位置に電磁波吸収体が存在する。したがって、共振電磁波の周波数(共振周波数)に拘らず上記Qを小さくでき、これにより、電磁波シールドパネルを広帯域の周波数の電磁波に対して使用しても、電磁波シールドパネルのシールド率を向上できる。
【0017】
【発明の実施の形態】図1には、本発明の実施の形態に係る電磁波シールドパネル10の概略構成が断面図にて示されている。
【0018】本発明の実施の形態に係る電磁波シールドパネル10は、一対の板部材12を備えており、一対の板部材12は互いに対向している。一対の板部材12はそれぞれ金属製とされると共に、互いに絶縁されている。
【0019】一対の板部材12間の中間部分には電磁波吸収材としてのカーボンファイバー16が設けられており、カーボンファイバー16は板部材12との間に充填された充填材としてのポリウレタン14に保持されている。このカーボンファイバー16は一対の板部材12間に入射する電磁波を吸収し、この電磁波のエネルギーを熱に変換する性質を有しており、これにより、一対の板部材12間で単位時間に消費される電磁波のエネルギーが大きくされる。さらに、一対の板部材12間に入射する電磁波の波長をλとして、λ/2の奇数倍が一対の板部材間の間隔に等しくなるような電磁波(例えば、図1の周波数f1 の電磁波では、λ/2が一対の板部材間の間隔に等しくなる)では、一対の板部材12間の中間部分でこの電磁波の電磁界が最大となる。ここで、上述のように、カーボンファイバー16は一対の板部材12間の中間部分に位置しており、これにより、カーボンファイバー16が効率的にこの電磁波(λ/2の奇数倍が一対の板部材間の間隔に等しくなるような電磁波)を吸収できる。
【0020】また、一対の板部材12間で共振を起こす電磁波(電磁波の波長をλとして、λ/2の自然数倍が一対の板部材12間の間隔に等しい電磁波、以下「共振電磁波」という)の周波数(共振周波数)をfとすると、一対の板部材12間のQ(振動系の鋭さを表す量)は、Q=2πf(一対の板部材12間に貯えることができる電磁波のエネルギーの最大値)/(一対の板部材12間で単位時間に消費される電磁波のエネルギー)により定義される。
【0021】ここで、上述のように、一対の板部材12間に設けられたカーボンファイバー16が一対の板部材12間に入射する電磁波を吸収することにより、上式の「一対の板部材12間で単位時間に消費される電磁波のエネルギー」を大きくできる。このため、上式の分母を大きくでき、上式で定義されるQを小さくできる構成である。
【0022】次に、本実施の形態の作用を説明する。
【0023】以上の構成の電磁波シールドパネル10では、一対の板部材12間に設けられたカーボンファイバー16がこの一対の板部材12間に入射する電磁波を吸収し、この電磁波のエネルギーを熱に変換する。これにより、上述したQの定義式の「一対の板部材12間で単位時間に消費される電磁波のエネルギー」(Qの定義式の分母)を大きくでき、このため、上記Qを小さくできる。
【0024】このように、上記Qを小さくできるため、共振電磁波(例えば、図1の周波数f1 の電磁波)がこの一対の板部材間に入射しても、この電磁波が一対の板部材間で共振することを防止でき、電磁波シールドパネルのシールド率を向上できる。
【0025】また、λ/2の奇数倍が一対の板部材間の間隔に等しくなるような電磁波(例えば、図1の周波数f1 の電磁波)では、この電磁波の電磁界が最大となる位置は一対の板部材12間の中間部分である。ここで、カーボンファイバー16は一対の板部材12間の中間部分に位置しているため、カーボンファイバー16がこの電磁波(λ/2の奇数倍が一対の板部材間の間隔に等しくなるような電磁波)を効率的に吸収できる。したがって、Qを効率的に小さくでき、電磁波シールドパネル10のシールド率を効率的に向上できる。
【0026】またここで、本実施の形態の実験例によれば、電磁波シールドパネル10は周波数の小さな電磁波をシールドできるのみならず、数百GHz以上の周波数の電磁波もシールドできる。
【0027】なお、本実施の形態では、カーボンファイバー16は一対の板部材12間の中間部分に配置したが、これに限らず、共振電磁波の電磁界が最大となる位置に対応して、種々の位置にカーボンファイバー16を設置してもよい。これにより、カーボンファイバー16が効率的に電磁波を吸収でき、電磁波シールドパネルのシールド率を効率的に向上できる。
(変形例)図2には、本実施の形態の変形例に係る電磁波シールドパネル20の概略構成が断面図にて示されている。
【0028】本変形例に係る電磁波シールドパネル20では、一対の板部材12間に充填材としての発泡材がカーボンファイバー16が一様に混入された状態で充填されている。これにより、一対の板部材12間全体にカーボンファイバー16が配置されている。
【0029】本変形例に係る電磁波シールドパネル20によれば、一対の板部材12間全体にカーボンファイバー16を配置したため、一対の板部材12間で共振を起こす共振電磁波の周波数(共振周波数)に拘らず、この電磁波による電磁界が最大となる位置にカーボンファイバー16が存在する。したがって、共振電磁波の周波数(共振周波数)に拘らず上記Qの定義式の分母を大きくでき、これにより、上記Qを小さくできる。このため、電磁波シールドパネル20を広帯域の周波数の電磁波に対して使用しても、電磁波シールドパネル20のシールド率を向上できる。
【0030】なお、以上の実施の形態(変形例含む)では、金属製の板部材12を使用したが、これに限らず、ガラス等に透明導電膜をコーティングした板部材を使用してもよい。
【0031】また、以上の実施の形態(変形例含む)では、電磁波吸収体としてカーボンファイバー16を使用したが、これに限らず、カーボン含有繊維、ニードルカーボン、フェライト、メタルファイバー、導電性繊維等を使用したり、これらを組み合わせたものを使用してもよい。
【0032】さらに、以上の実施の形態(変形例含む)では、充填材としてポリウレタン14や発泡材を使用したが、充填材を空気として一対の板部材12間の電磁波吸収体を配置した以外の部分は中空となるようにしてもよい。
【0033】
【発明の効果】請求項1に記載の電磁波シールドパネルによれば、一対の板部材間に充填された充填材に電磁波吸収体を設けたため、電磁波吸収体が一対の板部材間に入射する電磁波を吸収する。このため、電磁波が一対の板部材間で共振することを防止でき、これにより、電磁波シールドパネルのシールド率を向上できる。
【0034】請求項2に記載の電磁波シールドパネルによれば、一対の板部材間で共振を起こす共振電磁波による電磁界が最大となる位置に電磁波吸収体を配置したため、電磁波吸収体が効率的にこの電磁波を吸収できる。このため、電磁波シールドパネルのシールド率を効率的に向上できる。
【0035】請求項3に記載の電磁波シールドパネルによれば、電磁波吸収体を一対の板部材間の全体に配置したため、一対の板部材間で共振を起こす共振電磁波の周波数(共振周波数)に拘らず、この電磁波による電磁界が最大となる位置に電磁波吸収体が存在する。このため、電磁波シールドパネルを広帯域の周波数の電磁波に対して使用しても、電磁波シールドパネルのシールド率を向上できる。
【出願人】 【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
【出願日】 平成11年4月15日(1999.4.15)
【代理人】 【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳 (外3名)
【公開番号】 特開2000−299588(P2000−299588A)
【公開日】 平成12年10月24日(2000.10.24)
【出願番号】 特願平11−108007