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【発明の名称】 電子部品の位置認識方法及び装置
【発明者】 【氏名】森 利宏

【要約】 【課題】実装機においてノズル2に吸着された電子部品1の吸着位置を、電子部品を回転させないか、又は最少限の回転を与えるだけで、高速且つ高精度に認識する。

【解決手段】実装機のヘッドユニットに装備されたノズル2に吸着された電子部品1に、ノズル2と直交する3方向から平行光LL,LM,LRを順次に照射し、リニアセンサ6に形成された投影像の両端位置を計測する。この3組の両端測定位置から、それを得た平行光の入射角方向に延ばした直線に基づき、演算制御部7によって、電子部品のコーナー点P1,P2,P3,P4を演算し、ノズル1の回転中心の位置と比較することにより、正規のノズル吸着位置に対する電子部品のXY方向のずれΔx,Δyと、角度のずれΔθを算出する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 実装機のヘッドユニットに装備されたノズルに吸着された電子部品に、ノズルと直交する3方向から平行光を順次に照射し、その影像をリニアセンサに投影させて、この投影像の両端位置を測定し、この3組の両端位置から、それを測定した平行光の入射角度方向に夫々延ばした直線に基づいて電子部品のコーナー点の位置を演算し、このコーナー点の位置をノズルの位置と比較して、正規のノズル吸着位置に対する電子部品のXY方向のずれΔx,Δyと、角度のずれΔθを求めることを特徴とする電子部品の位置認識方法。
【請求項2】 実装機のヘッドユニットに装備されたノズルに吸着された電子部品に、ノズルと直交する3方向から平行光を照射する平行光源と、平行光源に対してノズルに吸着された電子部品を挟んで対向する位置に配置されたリニアセンサと、平行光源から、方向の異なる3つの平行光を順次に照射させ、リニアセンサに投影された各投影像の両端位置を測定し、この3組の両端位置から、それを測定した平行光の入射角度方向に夫々延ばした直線に基づいて電子部品のコーナー点の位置を演算し、このコーナー点の位置をノズルの位置と比較して、正規のノズル吸着位置に対する電子部品のXY方向のずれΔx,Δyと、角度のずれΔθを算出する演算制御部を備えたことを特徴とする電子部品の位置認識装置。
【請求項3】 平行光源として、3個のLED又はレーザー発光ダイオードを、単一レンズの焦点位置に、光軸と直交する方向に収差を無視できる程度に離隔・配置したものを用いることを特徴とする請求項2に記載した電子部品の位置認識装置。
【請求項4】 平行光源と、これに電子部品を挟んで対向するリニアセンサが所定の位置関係を持って組立てられた一部品としての投受光器を構成していることを特徴とする請求項2又は3に記載した電子部品の位置認識装置。
【請求項5】 ノズルと直交する3方向から平行光を順次に照射したとき、リニアセンサ上に形成される電子部品の投影像の端部が、電子部品の4つのコーナー点の全てに対応して形成されるように、1方向の平行光を利用して電子部品のリニアセンサ上の投影長を測定し、この測定値が、その平行光の照射角度と、位置認識対象とする電子部品の外形寸法によって決まる所定の範囲内に入るように、電子部品の角度姿勢を修正する角度修正手段を備えたことを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載した電子部品の位置認識装置。
【請求項6】 ノズルと直交する3方向から平行光を順次に照射して、リニアセンサ上の電子部品の投影像の両端を測定し、さらに、この3組の両端位置から、それを測定した平行光の入射角度方向に夫々延ばして得られる6本の直線の交点を演算して、同一座標の3個の交点が求められたとき、電子部品が測定できない傾き角であると判定し、同一座標の交点が2個になるように、電子部品の角度姿勢を修正する角度修正手段を備えたことを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載した電子部品の位置認識装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子部品の実装機において、ノズルに吸着された電子部品の吸着位置を認識する電子部品の位置認識方法、及びこれを具体化した電子部品の位置認識装置に関する。
【0002】
【従来の技術】電子部品の実装機は、テープフィーダ等の部品供給部から、図11に示すようにIC等の電子部品1をノズル2によって吸着し、プリント基板上の所定位置に移送して装着する。このノズル2は、実装機のヘッドユニットに装備されているもので、このヘッドユニットがX軸,Y軸,Z軸の各方向に移動すると共に、ノズル2が回転することにより、電子部品1のノズル2による移送と装着が行われる。
【0003】一方、ノズル2への電子部品1の吸着位置は、部品供給部における電子部品の吸着前の姿勢の影響を受けるため一定ではなく、一般に、図12に示すように、点線で示す正規の吸着位置に対してXY方向のずれΔx、Δy(ノズル2の回転中心に対するずれ)と回転方向のずれΔθを持っている。
【0004】このため、一般に、プリント基板に実装する前に、その吸着位置を位置検出ポジションにおいて検出し、電子部品1を吸着したノズル2をプリント基板の所定位置に移送する際に位置補正している。
【0005】このようなノズル2に対する電子部品1の位置を光学的に検出する方法として、従来は、テレビカメラ等により電子部品下面の2次元画像を撮像して行う方法と、電子部品に平行光を横方向から照射し、その影像をリニアセンサによって撮像して行う方法(特表平10−504393)と、電子部品に点光源から出る拡散光を横方向から照射し、その影像をリニアセンサによって撮像して行う方法(特開平9−214198号)が知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記2次元画像を撮像する方法は、画像処理によって、電子部品の位置を認識する。しかし、テレビカメラ等はサイズが大きく、部品供給部からプリント基板に到るノズルの通常の経路から離れた場所を撮像ポジションとしなければならない。このため、ノズルを、この撮像ポジションに、一旦移動させる無駄な動きが生じ、実装速度を低下させる問題がある。
【0007】上記平行光又は拡散光を用いるものは、矩形電子部品を回転させ、リニアセンサに投影される影像の一端が他端に向かって、最も近づくときの角度を検出して、矩形電子部品の位置検出を行う。これらの方法は、回転角度自体を演算の要素としているので、必要な検出精度を得るために回転のステップを微細にしなければならない。また、隣接する2辺に、光源と対向する姿勢を取らせるため、矩形電子部品を90°以上回転させる必要があり、このため、実装速度が大きく低下する問題がある。
【0008】そこで、本発明は、ノズルに吸着された電子部品を回転させないか、又は必要時に最小限の回転を行うだけで位置測定を行い、検出時間を短縮できる電子部品の位置認識方法及び装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に係る発明は、実装機のヘッドユニットに装備されたノズルに吸着された電子部品に、ノズルと直交する3方向から平行光を順次に照射し、その影像をリニアセンサに投影させて、この投影像の両端位置を測定し、この3組の両端位置から、それを測定した平行光の入射角度方向に夫々延ばした直線に基づいて電子部品のコーナー点の位置を演算し、このコーナー点の位置をノズルの位置と比較して、正規のノズル吸着位置に対する電子部品のXY方向のずれΔx,Δyと、角度のずれΔθを求めることを特徴とする電子部品の位置認識方法である。この方法は、次のような原理に基づく。図5に示すように電子部品が矩形であるとき、照射角度が異なる3つの平行光LL,LM,LR を電子部品1を挟んでリニアセンサ6に順次に照射し、リニアセンサ上の投影像の両端を測定すると、6つの点L1,L2,M1,M2,R1,R2の位置が求められる。この6つの点から、これを得た平行光の照射角度方向に延ばした6つの直線は電子部品のコーナー点を通る。 したがって、これらの直線の交点を演算すれば、電子部品のコーナー点P1,P2,P3,P4の座標を求めることができ、この座標をノズルの回転中心の座標と比較することにより、正規のノズル吸着位置に対する電子部品のXY方向のずれΔx,Δyと、角度のずれΔθを求めることができる。
【0010】上記コーナー点の算出は、電子部品の姿勢を仮定して行い、その結果より仮定の正しさを確認する手法によって行う。この手法の一例について説明する。いま、点線で示すように中央の平行光LMに対して平行な姿勢1Sを、電子部品の正規の姿勢ということにすると、これに対する電子部品の正負の傾きに基づき、図6又は図7に示すように2つの平行光を選択し、これに対応する4本の直線の交点を演算することによって、2つのコーナー点の座標を求めることができる。
【0011】図6は電子部品が正方向(反時計回り方向)に傾いている場合で、中央の平行光LMによって得られる2本の直線と、負方向に角度φ1を持つ平行光LLによって得られる2本の直線を組合わせ、夫々の交点を、例えばノズルの回転中心を原点(0,0)として演算することによって、電子部品の2つのコーナー点の座標P1(x1,y1),P3(x3,y3)を求めることができる。
【0012】図7は電子部品が負方向(時計回り方向)に傾いている場合で、中央の平行光LMによって得られる2本の直線と、正方向に角度φ2を持つ平行光LRによって得られる2本の直線を組合わせ、夫々の交点を、例えばノズルの回転中心を原点(0,0)として演算することによって、電子部品の2つのコーナー点座標P2(x2,y2),P4(x4,y4)を求めることができる。
【0013】上述したように、2つのコーナー点の座標を求めることができるが、実際に演算を行う場合、電子部品の傾きが、正負のいずれであるかは不明である。そこで、実際には正方向又は負方向の演算を行ってみて、この演算結果が矛盾していないか判別する。例えば、負方向の傾きを持つ電子部品の測定結果に対し、正方向の傾きがあるとして演算を行なうと、求められた2点を結ぶ直線の長さが、実際の電子部品の対角線の長さとは異なるものになる。この場合は、正と負の仮定を変更して演算をやり直す。矩形電子部品の位置の特定には、少なく共3つのコーナー点を求める必要がある。そこで、電子部品が矩形であることを利用し、上記図6,図7で、交点を求めるために用いられなかった2本の直線を用いることにより、残りの2つのコーナー点の座標を、電子部品を回転させないで求めることができる。
【0014】初めに、電子部品が正方向に傾いている図6の場合について説明する。電子部品の1つの対角線の両端の2つのコーナー点P1,P3の座標(x1,y1),(x3,y3)が求められたとすると、図8に示すように、この対角線を直径とする円は、他の2点のコーナー点(x2,y2),(x4,y4)を通る。この円は、 (x−a)2+(y−b)2=R2但し、a=(x1+x3)/2,b=(y1+y3)/2R=√〔(x1−x32+(y1−y32〕/2 ……■で表される。
【0015】コーナー点(x2,y2)は、このコーナー点を通る傾きφ2の直線と、上記円の交点として求めることができる。この直線は、原点であるノズルの回転中心からリニアセンサまでの距離L0とすると、 y=mx+n 但し、m=tanφ2、n=r2−L0・tanφ2 ……で表される(r2は、点R2の上記原点を基準としたY座標値)。上記■式より、コーナー点P2(x2,y2を求めることができる。また、コーナー点P4(x4,y4)についても、点R1のY座標値r1と角度φ2を用いて、同様に求めることができる。
【0016】電子部品が負方向に傾いている図7の場合も、上記図6の場合と同様に、残りの2つのコーナー点P1,P3の座標(x1,y1),(x3,y3)を求めることができる。
【0017】このようにして、電子部品の4つのコーナー点の座標P1(x1,y1),P2(x2,y2),P3(x3,y3),P4,(x4,y4)が求められると、これをノズルの回転中心(座標原点)と比較することにより、電子部品のXY方向の位置ずれΔx,Δyと、傾きのずれΔθを求めることができる。なお、上記正負の傾きの仮定が誤っていると、傾きのずれΔθが負の値になっるので、これによっても仮定の誤りを発見できる。
【0018】上記例は、電子部品を回転させないで演算できる角度姿勢の場合を説明したが、図9に示すような正方向の傾きオーバー、又は図10に示すような負方向の傾きオーバーの場合は、2つのコーナー点しか求めることができないので、所定角度回転させた後に上記演算を行う。この場合に必要な回転角は、90°よりかなり小さい角度で足り、回転後の角度が計測できればよいので回転速度を大きくすることができる。また、本発明では、電子部品が、どのような姿勢であっても、2つのコーナー点を求めることができるので、電子部品を所定角度回転させる毎に2つのコーナー点を求め、コーナー点間の距離が所定範囲内にあること等によって正しいと確認されたコーナー点と、その演算の傾きの仮定と、回転角を複数組集めることによって、電子部品の全てのコーナー点を求めることが可能である。このように、コーナー点を2つづつ求める方法を採用した場合には、矩形以外の異形電子部品の場合にも、位置認識が可能になる。
【0019】請求項2にかかる発明は、上記請求項1に係る電子部品の位置認識方法を実施するための電子部品の位置認識装置であって、実装機のヘッドユニットに装備されたノズルに吸着された電子部品に、ノズルと直交する3方向から平行光を照射する平行光源と、平行光源に対してノズルに吸着された電子部品を挟んで対向する位置に配置されたリニアセンサと、【0020】平行光源から、方向の異なる3つの平行光を順次に照射させ、リニアセンサに投影された各投影像の両端位置を測定し、この3組の両端位置から、それを測定した平行光の入射角度方向に夫々延ばした直線に基づいて電子部品のコーナー点の位置を演算し、このコーナー点の位置をノズルの位置と比較して、正規のノズル吸着位置に対する電子部品のXY方向のずれΔx,Δyと、角度のずれΔθを算出する演算制御部を備えたことを特徴とする。
【0021】この構成において、演算制御部は、平行光源から角度の異なる平行光を照射させる毎に、リニアセンサ上の電子部品の影像の両端位置を測定する。そして、3つの平行光の照射によって、3組の両端位置が求められると、電子部品の傾きの正負によって決められる前記演算式を用いて、コーナー点を算出する。このコーナー点と、ノズル回転中心の座標(0,0)を比較することによって、正規のノズル吸着位置に対する電子部品のXY方向のずれと、角度のずれΔθを算出する。
【0022】上記請求項2の装置において、電子部品の傾きの正負判別と、角度修正、及び異形電子部品への対応は前記方法と同様に行われる。
【0023】請求項3に係る発明は、請求項2に記載した装置で用いる平行光源の具体的な構造を示すもので、この平行光源は、3個のLED又はレーザー発光ダイオードを、単一レンズの焦点位置に、光軸と直交する方向に収差を無視できる程度に離隔・配置して構成される。この平行光源は、単一のコリメートレンズと、3つの点光源を組み合わせるだけで、本発明で必要とする照射角度が異なる3つの平行光を作り出すことができ、構造が簡単なため、小型かつ低コストに提供できるという特長を有する。
【0024】請求項4に係る発明は、請求項2の装置を実施する場合において、電子部品の実装機に容易に組込める投受光器の構造を提供するものである。
【0025】この投受光器は、平行光源と、これに電子部品を挟んで対向するリニアセンサが所定の位置関係を持って組立てられた一部品としての投受光器を構成していることを特徴とする。
【0026】本発明では演算の要素として、リニアセンサ上の投影像の両端位置と、リニアセンサに対する3つの平行光の照射角度を用いる。したがって、一体構造で両者の位置関係が一定の投受光器を用いると、実装機への取付作業が簡単で、位置認識精度の確保が容易に行える。
【0027】請求項5及び請求項6に係る発明は、請求項2から請求項4に記載した装置を実施する場合において、電子部品の傾きが、位置認識できる角度範囲外にある場合に、これを検出して角度修正するための手段を提供するものである。請求項2から請求項4に記載した装置において、1回の測定で電子部品の位置認識を行うためには、平行光源から3つの平行光を順次に照射したとき、リニアセンサ上に形成される電子部品の投影像の端部が、電子部品の4つのコーナー点の全てに対応して形成されていることが必要になり、図9に示す正方向オーバーの場合や、図10の負方向オーバーの場合は、投影像の端部が2つのコーナー点についてのみ形成されるので4つのコーナー点を特定することができない。
【0028】したがって、このような正方向オーバーと負方向オーバーの場合は、電子部品を回転させ、位置認識できる角度範囲に修正する必要がある。
【0029】請求項5にかかる発明は、ノズルと直交する3方向から平行光を順次に照射したとき、リニアセンサ上に形成される電子部品の投影像の端部が、電子部品の4つのコーナー点の全てに対応して形成されるように、1方向の平行光を利用して電子部品のリニアセンサ上の投影長を測定し、この測定値が、その平行光の照射角度と、位置認識対象とする電子部品の外形寸法によって決まる所定の範囲内に入るように、電子部品の角度姿勢を修正する角度修正手段を備えたことを特徴とする。電子部品の姿勢が、位置認識できる角度範囲内であるときは、上記測定値は所定の範囲に入る。したがって、測定値が、この範囲から外れたときは、この範囲内に入るように実装機によってノズルを回転させて、電子部品の角度姿勢を修正する。
【0030】請求項6にかかる発明は、ノズルと直交する3方向から平行光を順次に照射して、リニアセンサ上の電子部品の投影像の両端を測定し、さらに、この3組の両端位置から、それを測定した平行光の入射角度方向に夫々延ばして得られる6本の直線の交点を演算して、同一座標の3個の交点が求められたとき、図9又は図10に示すように電子部品の姿勢が測定できない傾き角であると判定し、同一座標の交点が2個になるように、電子部品の角度姿勢を修正する角度修正手段を備えたものである。
【実施形態】本発明方法を実施するための電子部品の位置認識装置3の構成を、図1の平面図及び、その側面図である図2で説明する。
【0031】図1において、4は平行光源5とリニアセンサ6から構成される投受光器で、平行光源5とリニアセンサ6は、実装機のヘッドユニットに装備されたノズル2に吸着されて検出位置に運ばれた電子部品1を挟むように対向配置されている。7はCPU等によって構成された演算制御部で、平行光源5の発光タイミング制御、リニアセンサ出力からの電子部品位置の演算・認識、及び電子部品の姿勢修正を行う。
【0032】図1の平行光源5は、コリメートレンズ8の焦点位置に、3つの点光源9L,9M,9Rをコリメートレンズ8の光軸と直交する方向に所定間隔をおいて配置したものである。この点光源9L,9M,9Rは、例えばLED又はレーザー発光ダイオードであり、この点光源の配置間隔dをコリメートレンズ8の焦点距離に比べて、十分に短いものとすれば、レンズの収差に影響されないで、良質な平行光が得られる。
【0033】3つの点光源9L,9M,9Rは間隔を取って配置されているので、これらによって作られる平行光は相互に所定の角度を持つ。コリメートレンズ8の光軸上に配置された点光源9Mによって得られる平行光LMは、この光軸と平行で角度0°である。また、この両側に配置された点光源9L,9Rによって得られる平行光LL,LRの角度φ1,φ2は、その間隔をd、コリメートレンズ8の焦点距離をfとすると、φ1=−φ2=arctan(d/f)となる。
【0034】リニアセンサ6に入射する平行光は、電子部品の厚さ方向に所定の幅を持つ計測範囲を通ったものに制限する必要がある。このため、リニアセンサ6の前方にスリット10を設ける。例えば位置認識をしようとする電子部品1の最少の厚みが0.25mmのときは、スリット10の開口幅dSを0.05mmとすれば、リニアセンサ6に不要な光が入射することはない。
【0035】リニアセンサ6は、例えば所定ピッチで必要な分解能が得られる個数の受光素子を並べた1次元リニアアレイCCDを用いる。このリニアセンサ6に、電子部品1の影像を投影させると、各受光素子に光量に比例した電気信号を取り出せるので、その光量差が大きく表われる影像の両端の投影位置を測定できる。
【0036】上記投受光器4は、平行光源5とリニアセンサ6を相互の位置関係が所定の設計寸法になるように図示しないケース内に組立られ、実装機のノズル通過路に取付けられる。この投受光器4は、使用部品が少なく小型であるので、配置スペースが限られている実装機内の通常のノズルの通過経路に容易に取付けることができる。したがって、ノズルの通過経路を最短のものとすることができ、特別に設けた検出ポジションにノズルを移動させるような無駄な動きを必要としないので、実装時間の短縮化を図ることができる。
【0037】次に、演算制御部7による、電子部品の位置認識の手順を、図3に示すフローチャートに基づき説明する。本発明で位置認識するためには、先に述べたように、電子部品1の短軸又は長軸を、投受光器4の光軸(中央にある平行光の光軸)に対して、所定の角度範囲内におく必要がある。
【0038】この電子部品の位置制御は、電子部品1をノズルに吸着した後に位置決め治具等に当てる機械的な方式もあるが、全ての電子部品に対して機械的な修正動作を行うので、実装時間が長くなる。
【0039】そこで、図1の演算制御部7に設けた角度修正手段によって、所定の角度範囲内に入っているか調べ、範囲外であるとき角度修正を行う。この角度修正手段は、初めに、本発明装置の中央の点光源9Mを用いて、電子部品1のリニアセンサ6への投影長さを測定し、その測定長が既知の電子部品の短軸と長軸の長さに対し、所定の増減幅の範囲に入っているか調べる。この範囲から外れているときは、実装機に信号を送ってノズル2を所定角度だけ回転させ、この範囲内に収める。ノズル2による電子部品1の吸着姿勢は、この修正角度と、演算して求めた角度データの和となる。なお、実装時の補正は、角度修正後の角度姿勢に対して行われるので演算して求めたずれ角Δθを用いれば良い。このとき、計測データがない場合は電子部品の吸着ミスと判断できる。また計測値が極端に小さい場合や、ノズルを上下に動かし、所定の長さ以上に計測物がある場合は、電子部品の立ちや斜め吸着などの吸着異常判別が可能である。
【0040】上述した位置認識可能な角度姿勢を持つ電子部品、又は角度姿勢を修正した電子部品に対する位置認識は、次のように行われる。
【0041】演算制御部7は、3方向の平行光LL,LM,LRを順次に照射し、各照射毎のリニアセンサ出力から、電子部品の投影像の端部を測定する。この結果として、図5に示すような3組の両端測定値[L1,L2],[M1,M2],[R1,R2]が得られる。
【0042】この両端測定値は、[M1,M2]が中央に位置する角度0°の平行光源LMによって得られ、[L1,L2]は負方向に角度φ1を持つ平行光LLによって得られ、[R1,R2]は正方向に角度φ2を持つ平行光LRによって得られたものである。
【0043】ノズルの回転中心を原点(0,0)とすると、これに対してリニアセンサ6の配置は一定であるので、各両端測定位置から、それを測定した平行光の照射角度方向に延ばした6本の直線を決定できる。この6本の直線から電子部品の4つのコーナー点を求める方法は、電子部品の傾きによって異なる。正方向に傾いている場合は、図6で先に説明したように、角度0°の平行光LMによって得られる2直線と、負方向に角度φ1を持つ平行光LLによって得られる2直線の交点として、図6上で、電子部品の右上のコーナー点P1の座標(x1,y1)と、左下のコーナー点P3の座標(x3,y3)を先に求める。さらに、図8のようにコーナー点P1,P3を結ぶ対角線を直径とする円弧と、正方向に角度φ2を持つ平行光LRによって得られる直線の交点として、コーナー点P2,P4を求める。
【0044】図7のように電子部品が負方向に傾いている場合は、角度0°の平行光LMによって得られる直線と、正方向に角度φ2を持つ平行光LRによって得られる直線の交点として、図7上で電子部品のコーナー点P2,P4の座標を求めた後、図8で説明したのと同様に、コーナー点P2,P4を結ぶ対角線を直径とする円弧と、負方向に角度φ1を持つ平行光LLによって得られる直線の交点として、コーナー点P1,P3を求める。
【0045】実際には、認識しようとする電子部品1が、正負いずれの方向に傾いているかは不明である。そこで、正及び負に対応した上記演算の双方を行い、最初に計測する2つのコーナー点の距離(対角線の長さ)を求め、この計測値が、認識対象の電子部品の対角線の長さに近い値になる方を正しい方向とする選択処理を行う。
【0046】以上のようにして、4つのコーナー点P1,P2,P3,P4の座標(x1,y1),(x2,y2),(x3,y3),(x4,y4)が求められると、X方向とY方向のずれΔx,Δyと、角度のずれΔθを、次の計算により求める。
Δx=(x1+x2+x3+x4
Δy=(y1+y2+y3+y4
Δθ=arc tan〔(x1+x2+x3+x4)/(y1+y2+y3+y4)〕
【0047】また、電子部品のX方向に沿う辺の長さDx、及びY方向に沿う辺の長さDyは、次式より求められる。
x = √〔(x1−x42+(y1−y42
= √〔(x2−x32+(y2−y32
y = √〔(x1−x22+(y1−y22
= √〔(x3−x42+(y3−y42
【0048】この演算において、辺の長さDx,Dyが位置認識を行う電子部品の大きさと比較して、不合理な大きさになっている場合は、電子部品の位置が、本発明装置の投受光器の位置認識領域から外れた位置にある場合であるので、ノズルを動かして再度位置認識させる等の方法で対応する。
【0049】上記角度修正手段によって行われる、電子部品の傾きが位置認識できる角度範囲内にあるか否かの判断は、次の方法を採用してもよい。位置認識できる角度範囲内にない場合は、上記6本の直線は、正方向に傾きがオーバーしていると、図9に示すように、2つのコーナー点P1,P3において、直線が3本づつ交差し、負方向に傾きがオーバーしていると、図10に示すように、2つのコーナー点P2,P4において、直線が3本づつ交差する。
【0050】そこで、この現象を利用することにより、電子部品の角度修正を行うことができる。これは、図4のフローチャートに示す手順によって行われるもので、3方向の平行光による各投影像の両端を測定して、前記6本の直線を決定し、これらが、夫々3本づつ2つのコーナー点において交差している場合は、角度オーバーとする。図9の正方向のオーバーであるか、図10の負方向のオーバーであるかは、この2つのコーナー点の座標の位置関係から判定する。角度オーバーの大きさは演算できないので、正しく演算できるようになるまでノズルを回転させて角度修正を行う。以上の説明は、矩形電子部品の位置を最短時間で求める手順を示すものであったが、図1及び図2の電子部品位置認識装置は、ノズルの回転角を変えながら2つのコーナー点のみを求めることを複数回繰返す方法で使用することも可能である。これは、演算できた2つのコーナー点と、この演算で仮定として用いた傾きの正負を複数組記憶し、これらを組み合わせて、4つのコーナー点を演算するもので、この組合わせ演算は、演算制御部7で行う場合と実装機側で行う場合がある。この方法によれば、矩形以外の異形電子部品の位置認識も可能となる。この方法は、図3のフローチャートにおいて、一回で計測できない角度範囲と判断したとき、角度修正する処理に進めない手法として採用することができる。
【0051】
【発明の効果】本発明は、検出が、静止状態の電子部品の一姿勢に対して行うだけで完了するので検出時間が早く、演算処理に要する時間は、高速のマイクロコンピュータを使用することにより軽減できるので、高速な位置認識が可能になる。
【0052】また、ノズルに吸着された電子部品を、静止状態で検出し、投受光器の照射タイミングとノズルの回転の同期を取る必要がない。したがって、ノズルを回転させながら測定を行い、ノズルの回転角度とリニアセンサの測定値の双方を用いて演算する方式のように、測定原点であるノズルの中心が、回転に伴って偏心又は振動することによる誤差発生のおそれがない。したがって、高精度の測定が可能である。
【0053】さらに、高速な位置認識が可能であるので、複数回の位置認識を行い、その平均値を採用するという手法を採用することもできる。これは、実装機の設計者における選択処理として行われるもので、例えば実装機側の走査によりノズルの回転角度や、チップ部品の高さを変えて、複数回の位置認識の平均値を用いることにより、実装精度を向上しようとするものである。
【出願人】 【識別番号】000242600
【氏名又は名称】北陽電機株式会社
【出願日】 平成11年3月29日(1999.3.29)
【代理人】 【識別番号】100064584
【弁理士】
【氏名又は名称】江原 省吾 (外3名)
【公開番号】 特開2000−277992(P2000−277992A)
【公開日】 平成12年10月6日(2000.10.6)
【出願番号】 特願平11−86392