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【発明の名称】 自然空冷電子機器筐体
【発明者】 【氏名】加茂谷 嘉泰

【要約】 【課題】発熱体の温度分布に着目し、温度差を有効に生かした煙突効果を持つ自然空冷の電子機器筐体を得る。

【解決手段】四辺を覆い、下部を空気吸入口、上部を排出口として、内部に発熱体を収容するダクト形状の筐体において、内部に収容する相対的に大きな発熱体を筐体の上部に、相対的に小さな発熱体を下部に収容する構造とした。更に、筐体の内部に収容する発熱体を、その相対的な発熱量の大きいものから小さいものを、順次対応して、ダクト形状筐体の上部から下部に配置した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 四辺を覆い、下部を空気吸入口、上部を排出口として、内部に発熱体を収容するダクト形状の筐体において、上記内部に収容する相対的に大きな発熱体を上記筐体の上部に、相対的に小さな発熱体を下部に収容する構造とすることを特徴とする自然空冷電子機器筐体。
【請求項2】 内部に収容する発熱体を、その相対的な発熱量の大きいものから小さいものを、順次対応して、ダクト形状筐体の上部から下部に配置したことを特徴とする請求項1記載の自然空冷電子機器筐体。
【請求項3】 ダクト形状筐体の内部に、+極放電体と、−極吸電板とを設けたことを特徴とする請求項1記載の自然空冷電子機器筐体。
【請求項4】 全体ダクト形状筐体の一部を横断する形状の部分ダクトを設けて、該部分ダクトを内部に発熱体を有する基板の、該発熱体を覆うよう装着し、上記全体ダクト形状の上下方向とは方向が異なる水平方向に挿抜する構造とし、挿入時には上記部分ダクトを含めて、全体ダクト形状筐体を形成するようにしたことを特徴とする請求項1記載の自然空冷電子機器筐体。
【請求項5】 各部分ダクトは、それぞれ放熱対象である内部発熱体のみを分離して独立に覆う構造とし、挿入後は上記それぞれの放熱対象毎に上下方向の全体ダクト形状筐体を形成するようにしたことを特徴とする請求項4記載の自然空冷電子機器筐体。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、電子部品を内蔵した筐体の自然空冷のための構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図5は、例えば、実開昭57−125594号公報に示された従来の電子機器筐体の構造を示す斜視図である。図において、1は筐体架で、2は筐体架1内部に搭載された発熱ユニット、3は発熱ユニット2から鉛直上方へ伸びているエアダクト、4はエアダクト3の開口部、5はエアダクト4内を流れ出る空気の風向きを示す矢印である。
【0003】次に、動作について説明する。発熱ユニット2内部に実装された電子部品(図示せず)で発生した発熱は、発熱ユニット2内部の空気に伝わる。受熱して浮力がついた暖かい空気は、エアダクト3の内部を通って開口部4から矢印5の向きに進み、筐体架1外へ放出される。これにより、発熱ユニット2内部の電子部品で発生した発熱は外部へ放熱される。
【0004】つまりこの放熱方法は、ファンを使用しない通風方式の自然空冷放熱であるが、この暖かい空気が流れる力、つまり通風力が大きいほど放熱性能は高くなる。通風力は空気温度とエアダクト3の長さに比例するが、これを煙突効果という。図5は、エアダクト3を長くして通風力を大きすることをねらったものである。
【0005】なお、第2の従来例として、特開昭61−15399号公報によれば、筐体内に多数の発熱体を持つ基板を収容する場合、空基板部分による放熱効果の低下を防ぐため、ダミーの発熱体を入れる構造が示されている。しかし、このために余分な電力を消費することになる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来の電子機器筐体は上記のように構成されており、使用電力や騒音やスペースの制約からファンを用いた強制風冷が出来ない場合に、有効な煙突効果があるダクト構造を用いながら、発熱体をひとかたまりとしてしかとらえていない。自然空冷の場合、下から上への通風の力は、上下の空気温度差とダクトの長さで決まる。しかし上記構成であると、発熱体の内部に温度差があっても、それらが混ざり合ってしまい、発熱体部分で内部温度が平均化して、煙突効果を有効に生かしていないという課題があった。
【0007】この発明は上記の課題を解決するためになされたもので、発熱体の温度分布に着目し、温度差を有効に生かした煙突効果を持つ自然空冷の電子機器筐体を得ることを目的とする。また、発熱体を基板に実装して、この基板を筐体に挿入形式で実装する構成をとる場合に、発熱体を分離して集中的に煙突効果が形成できる筐体を得ることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明に係る自然空冷電子機器筐体は、四辺を覆い、下部を空気吸入口、上部を排出口として、内部に発熱体を収容するダクト形状の筐体において、内部に収容する相対的に大きな発熱体を筐体の上部に、相対的に小さな発熱体を下部に収容する構造とした。
【0009】また更に、基本構造に加えて、筐体の内部に収容する発熱体を、その相対的な発熱量の大きいものから小さいものを、順次対応して、ダクト形状筐体の上部から下部に配置した。
【0010】また更に、基本構造に加えて、ダクト形状筐体の内部に、+極放電体と、−極吸電板とを設けた。
【0011】また更に、基本構造に加えて、全体ダクト形状筐体の一部を横断する形状の部分ダクトを設けて、この部分ダクトを内部に発熱体を有する基板の、発熱体を覆うよう装着し、全体ダクト形状の上下方向とは方向が異なる水平方向に挿抜する構造とし、挿入時にはこの部分ダクトを含めて、全体ダクト形状筐体を形成するようにした。
【0012】また更に、基本構造に加えて、各部分ダクトは、それぞれ放熱対象である内部発熱体のみを分離して独立に覆う構造とし、挿入後はそれぞれの放熱対象毎に上下方向の全体ダクト形状筐体を形成するようにした。
【0013】
【発明の実施の形態】実施の形態1.自然空冷であって、他の補助的な力を用いないで効果的に煙突効果を十分に生かした望ましい構成を説明する。図1は、本実施の形態における電子機器筐体の構成を示す斜視図であり、内部構成が判りやすいように一部を切り欠いて示している。図において、6は自然空冷電子機器筐体で、7は自然空冷電子機器筐体6の外側のケース、8は自然空冷電子機器筐体6の下部に設けた空気取り入れ口、9は自然空冷電子機器筐体6の上部に設けられた空気排出口で、共に小さな孔の集合体からできている。10は自然空冷電子機器筐体6内部に収容された、電子部品が搭載されたプリント基板、11はプリント基板10に実装された発熱体でもある電子部品、12は電子部品11の発熱を伝導するヒートシンク、13はヒートシンク12の熱を放熱するためのダクトで、主な発熱体であるヒートシンクを取り囲むように設けられている。16は空気の通風方向を示している。図1の構成で、ヒートシンク12は複数有り、この場合は下から上への通風方向16に対応して、下から上へ、順次発熱量が大きなものであるよう配置されている。図では、ヒートシンクの大きさが、発熱量の大きさを表している。
【0014】この構成による筐体の通風動作を説明する。電子部品11による発熱はヒートシンク12に伝えられ、空気取り入れ口8からの空気は、通風の風下にいくに従ってより大きい発熱量のヒートシンク12が配置されているので、ダクト13で囲まれて順次、放熱による浮力を得て加速され、上方の空気排出口9から排出される。こうして自然風冷でありながら十分な通風力を得て、高い煙突効果が得られる。ダクト13は、放熱が必要な部分のみを囲って浮力を与える構造としており、従って例えばプリント基板の他の発熱が少ない部分の空気と混ざって通風効率が低下することを防いでいる。
【0015】なお図1の構成では、ダクト13を電子機器筐体6の内部に設けたが、もちろんダクト13を電子機器筐体6の外側に設ける構成としてもよく、その場合にも自然空冷の効果は全く変わらない。
【0016】実施の形態2.発熱量の大きい電子部品の発熱だけでは必要な通風力を得ることができない場合に、先の実施の形態とは異なる工夫をした構成を説明する。図2は、本実施の形態における電子機器筐体の構成を示す斜視図であり、内部構造が分かりやすいように一部を切り欠いて示している。6〜16は先の実施の形態1における同番号を付与した要素とそれぞれ同じものである。その他の要素として、17は発熱量の大きな部品で、18はその発熱部品17に実装された熱伝導部材、19は一端を熱伝導部材18に固定されてダクト13側に熱を伝えるヒートパイプ、20はヒートパイプ19の他端に取り付けられたヒートシンクであり、発熱部品17の発熱をダクト13内で放熱する。23はダクト13内に取り付けられた+極放電線、24はダクト13内に+極放電線23の上方に取り付けられた−極吸電板であって、それぞれ空気が通る孔が開けられている。
【0017】次に、通風動作について説明する。プリント基板10に給電すると、プリント基板10上に実装された発熱量の大きい電子部品11は発熱し、ヒートシンク12に伝導し、周囲の空気に熱が伝わる。それとともに、+極放電線23と−極吸電板24にも給電される。すると、ヒートシンク12から受熱して浮力がついた暖かい空気は、+極放電線23と−極吸電板24の間で生じるマイナスイオン風の力で加速され、ダクト13の内部を通って矢印で示される通風方向16の方向に上昇し、ダクト13の空気排出口15、ケース7の空気排出口9を通過して自然空冷電子機器筐体6外へ排出される。
【0018】つまり、エアダクト内の空気をマイナスイオン風の力で加速することで、発熱量の大きい電子部品の発熱だけでは足りない通風力をカバーすることができる。ダミーの発熱素子を付加することよりは少ない電力で効率よく通風力を増強できる。
【0019】また、発熱量の大きい電子部品を全てエアダクトで囲むことが困難な場合は、エアダクトで囲まれていない発熱量の大きい電子部品にヒートパイプを取り付け、そのヒートパイプの他の一端にヒートシンクを取り付け、そのヒートシンクをエアダクト内に入れることによって、通風力を向上させることができ、発熱量の大きい電子部品の放熱を有効利用することができる。
【0020】実施の形態3.先の実施の形態では、自然空冷電子機器筐体が1つの場合を説明した。ここでは多数のプリント基板を収容する大きな筐体において、発熱体の近辺で空気が混ざることなく煙突効果を保持し、かつ通常は通風方向とは垂直な方向にプリント基板を挿抜する構造に対処した構成を説明する。図3は、本実施の形態における電子機器筐体の構成を示す斜視図で、電子機器筐体6のケース7の中に、複数のプリント基板10を水平方向に挿抜する。矢印22は挿抜の方向を示す。通風は他の実施の形態と同様に図の下方から上方に抜ける。13Cは、プリント基板10に搭載された発熱体の周囲を囲む部分ダクトであり、電子機器筐体6に固定された補助ダクト13Bと、プリント基板10の挿入時には一体となり、全体としてダクト13を形成する。
【0021】この構成によれば、発熱体周辺での空気の滞留を防ぎ、かつ大規模な回路構成の全体放熱が効率よく可能となる。図でも明らかなように、補助ダクト13Bがダクト13の長さを長くして煙突効果を高めるだけでなく、隣接プリント基板間の空気の混入を防ぎ、ダクト断面積を小さくして通風力を高めている。また、他のプリント基板が抜き去られても、全体の放熱効果に影響することがない、優れた効果がある。なお、これら実施の形態の構成は、組み合わせて使用することもできる。
【0022】大規模な電気回路を実現するために複数のプリント基板を用いる場合であって、それぞれの基板が内部に大きな発熱体を持つ場合の他の構成を説明する。図4は、本実施の形態における基板毎にダクト構造を採用した場合の構成を示す斜視図である。図において、6は1つのプリント基板毎に周囲を覆ってダクト形状にした電子機器筐体、28は自然空冷電子機器筐体6に取り付けられたレールガイド凸部である。29は自然空冷電子機器筐体6を複数実装するためのブックシェルフ形のシャーシ全体、30はシャーシ29の背面に取り付けられたバックボード、31はバックボード上に実装されたコネクター、32はバックボード30を覆う金属板、33はシャーシに取り付けられたレールガイド凹部である。
【0023】このような構造にすることで、複数の自然空冷電子機器筐体6をシャーシ29に実装することができ、かつ、自然空冷電子機器筐体6の(図示はしていない)コネクターが、電子機器筐体の挿入によってバックボード30のコネクター31に差し込まれる。大規模な電気回路を複数のプリント基板で構成して、かつ、それぞれの基板毎に分離した独立のダクト形状筐体によって発生発熱体毎の煙突効果が得られる。
【0024】また、図4において、レールガイド凸部28を、自然空冷電子機器筐体6の中にあるプリント基板10の両端を露出させることで兼用し、かつ、自然空冷電子機器筐体6のコネクター(図示せず)をこのプリント基板10上に実装すれば、自然空冷電子機器筐体6のコネクター(図示せず)とバックボード30のコネクター31との間の位置ずれを抑えることができ、自然空冷電子機器筐体6をシャーシ29に取り付けやすくなるという効果も付加される。
【0025】
【発明の効果】以上のようにこの発明によれば、発熱体をダクト形状で覆い、かつ、ダクトの上部に大きな発熱体を配置したので、空気の滞留をなくして煙突効果が高められる。
【0026】また更に、イオン風を利用する構造としたので、更に、煙突効果が向上する。
【0027】また更に、基板搭載の部分ダクトを設け、それが全体ダクトの一部を構成するようにしたので、煙突効果が損なわれずに、挿抜可能な構造がとれる効果が加わる。
【出願人】 【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
【出願日】 平成11年2月12日(1999.2.12)
【代理人】 【識別番号】100102439
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 金雄 (外2名)
【公開番号】 特開2000−232287(P2000−232287A)
【公開日】 平成12年8月22日(2000.8.22)
【出願番号】 特願平11−33694