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【発明の名称】 車両用前照灯装置
【発明者】 【氏名】川口 裕司

【要約】 【課題】本発明は、点灯回数によりばらつく高圧放電バルブの寿命を精度良く報知させることができる車両用前照灯装置を提供することにある。

【解決手段】本発明の車両前照灯装置は、高圧放電バルブ5のオンオフ回数をカウントする点灯回数計測部10、高圧放電バルブ5の点灯時間をカウントする点灯時間計測部11、累積した点灯回数および点灯時間にしたがって高圧放電バルブ5の寿命を判定する寿命判定部12、高圧放電バルブ5が寿命と判定されたときその旨を報知する報知ランプ13を設けることにより、点灯時間だけでなく点灯回数を考慮して高圧放電バルブ5の寿命を判定して、点灯回数によりばらつきやすい同バルブ5の寿命(交換時期)を精度良く得られるようにした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 共通な高圧放電バルブから発せられた光を複数の灯具へ導くように構成された集中光源装置と、前記高圧放電バルブのオンオフ回数をカウントする点灯回数計測手段と、前記高圧放電バルブの点灯時間をカウントする点灯時間計測手段と、累積した前記点灯回数および前記点灯時間にしたがって前記高圧放電バルブの寿命を判定する寿命判定手段と、前記高圧放電バルブが寿命と判定されたときその旨を報知する報知手段とを具備したことを特徴とする車両用前照灯装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、共通の高圧放電バルブからの光を複数の灯具へ導光させる車両用前照灯装置に関する。
【0002】
【従来の技術】ディスチャージバルブ(高圧放電バルブ)は、フィラメント式バルブに比べて、光量が多く明るい、点灯寿命が長い、消費電力が少ない等の特徴をもつ。
【0003】このため、近時、自動車の前照灯装置として用いられるようになった。
【0004】ところが、ディスチャージバルブは、高価である上、点灯制御機器が必要なので、コスト的な負担が大きい。
【0005】そこで、1つのディスチャージバルブから発せられる光を光ファイバ(導光部材)で車幅方向左右の灯具へ分光させる集中光源装置を採用して、1つのディスチャージバルブの光だけで、所望の配光をもつ照明光が得られるようにした技術が提案されている。
【0006】ところで、前照灯として用いられるディスチャージバルブは、寿命がある。
【0007】すなわち、前照灯として用いられるディスチャージバルブは、短時間で、所定の明るさに達する必要があるため、高電圧(例えば2万ボルト)を印加して放電を開始するシステムとしており、発光部を覆う透明ガラス体と電極で瞬間的に大きな温度差が発生し、微少なスキが発生し、内部ガスが漏れる。このため、同バルブの点灯時間が長くなると、内部ガスの漏れ多くなり、高電圧を印加しても放電しなくなり、バルブから光が発せられなくなることがある。
【0008】このようなトラブルが、自動車の夜間走行中、集中光源装置で生ずると、左右の灯具に分光していた光が同時に消灯して、前照灯装置としての機能が果たせなくなる。
【0009】そこで、特公平6−34395号公報では、ディスチャージバルブの点灯時間をカウントし、点灯時間が該バルブの予定の使用時間、すなわちバルブ寿命になると、ディスチャージバルブを消灯させて、運転者にバルブ交換時期を報知させることが行なわれている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ところで、ディスチャージバルブの寿命は、点灯時間だけでなく、オンオフ回数(点灯回数)にも大きく左右される。
【0011】すなわち、前照灯では、点灯するときディスチャージバルブをオン、消灯するとき同ディスチャージバルブをオフするが、オンオフの都度、点灯に必要な高電圧(例えば2万ボルト)が繰り返し同バルブに印加される。この時が透明ガラスと電極の温度差が大きく内部ガスが漏れる量が多くなるため、ディスチャージバルブの予定の使用時間に関わらず、バルブのオンオフ回数が多ければ多い程、ディスチャージバルブの寿命が短くなる傾向にある。
【0012】そのため、上記のように点灯時間だけで、ディスチャージバルブの寿命を判定したのでは、オンオフ回数が多く既にバルブが寿命をきたしているのに、未だバルブ寿命がきていないと判定して、夜間走行中、全前照灯が突然、消灯しまうことが生ずるおそれある。特に自動車の前照灯は、夜間走行の頻度や夜間走行の状況等に左右されるので、自動車毎にディスチャージバルブは寿命に大きくばらつきやすく、バルブの寿命がきたことを精度良く報知できなかった。
【0013】本発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、全前照灯が突然、消灯し、走行不能にならないよう、点灯回数によりばらつく高圧放電バルブの寿命を精度良く報知させることができる車両用前照灯装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために請求項1に記載した車両用前照灯装置は、高圧放電バルブのオンオフ回数をカウントする点灯回数計測手段、高圧放電バルブの点灯時間をカウントする点灯時間計測手段、累積した点灯回数および点灯時間にしたがって高圧放電バルブの寿命を判定する寿命判定手段、高圧放電バルブが寿命と判定されたときその旨を報知する報知手段を設けることにより、点灯時間だけでなく点灯回数を考慮して高圧放電バルブの寿命を判定して、点灯回数によりばらつきやすい同バルブの寿命(交換時期)が精度良く報知されるようにした。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図1ないし図3に示す一実施形態にもとづいて説明する。
【0016】図1は、本発明を適用した自動車用前照灯装置の概略構成を示していて、図中1は例えば自動車の車体2の前部に配設され集中光源装置を示している。
【0017】集中光源装置1は、例えば車幅方向中央に配置した集中光源3を有している。集中光源3は、高圧放電バルブ、例えばディスチャージバルブ5(発光部4aと電極4cを、封入ガスが封入された透明ガラス体4b内に内蔵してなる)が内蔵されたハウジング6をもつ。ハウジング6は、同ハウジング6の左右両側に接続されている導光部材、例えば一対の光ファイバ7を介して、車体2の前部両側に取付けられた灯具8に接続されていて、共通な1つのディスチャージバルブ5から発せられる光をハウジング6内、光ファイバ7を通じて各灯具8(本実施形態では2つ)へ導けるようにしてある。そして、各灯具8にて所望の配光が形成される構造にしている。
【0018】ディスチャージバルブ5には、点灯制御装置9(たとえばマイクロコンピュータ、点灯回路から構成されるもの)が接続されていて、外部から入力される点灯指令信号、消灯指令信号に応じて、同バルブ5の点灯/消灯が行なえるようにしてある(点灯制御)。
【0019】この点灯制御装置9には、ディスチャージバルブ5のオンオフ回数(点灯回数)をカウントして累積するオンオフ回数計測部10(点灯回数計測手段に相当)、ディスチャージバルブ5の点灯時間をカウントし累積する点灯時間計測部11(点灯時間計測手段に相当)が設けてある。
【0020】また点灯制御装置9には、あらかじめ図2に示されるようなディスチャージバルブ5の寿命マップが記憶してある。同マップは、ディスチャージバルブ5の予定の使用時間、すなわちバルブ寿命(時間)が、点灯時間だけでなく、バルブオンオフ回数によっても変わることを示している。具体的には、バルブ寿命(バルブ使用時間)は、バルブオンオフ回数が多い程、短くなる傾向を示す。そして、バルブ寿命判定ラインで表される斜めの実線が、バルブの正常動作を保証する領域Aとバルブの寿命となる領域Bとの境界を示している。なお、バルブ寿命判定ラインは、バルブ寿命がきても、すぐに消灯といったトラブルが起きないよう、二点鎖線で示している本来のディスチャージバルブ5の判定ラインより、領域A側へ若干ずらして、余裕(安全率:大)をもたせている。
【0021】さらに点灯制御装置9には、このディスチャージバルブ5の寿命マップを用いて、ディスチャージバルブ5の寿命判定を行なうバルブ寿命判定部12が設けてある。バルブ寿命判定部12は、計測により得た累積オンオフ回数にもとづく累積点灯時間と、寿命マップから得た累積オンオフ回数に対応した点灯時間とを対比して、累積点灯時間がバルブ寿命判定ラインの点灯時間値を越えたか否かを判定する機能で形成してある。
【0022】点灯制御装置9には、バルブ寿命、すなわちバルブの交換時期を運転者に知らせる報知手段として、例えばインストルメントパネル内に形成してあるバルブ寿命用のワーニングランプ13(表示部)が接続されている。そして、バルブ寿命判定部12でバルブ寿命と判定されると、同ワーニングランプ13を点灯させて、ディスチャージバルブ5が交換時期であることを知らせるようにしてある。
【0023】なお、オンオフ回数計測部10、点灯時間計測部11は、バルブの交換を行なうと、それまで累積していたオンオフ回数、点灯時間がリセットされる機能を有している。
【0024】こうしたディスチャージバルブ5の寿命判定を行なう制御が図3のフローチャートに示されている。
【0025】つぎに、このフローチャートにもとづきバルブ交換時期の報知について説明すれば、今、ディスチャージバルブ5をオンし、各灯具8から照明光を照射させて、例えば自動車が夜間走行しているとする。
【0026】夜間走行では、信号機の有る交差点で待機している間で、ディスチャージバルブをオフし前照灯を消灯させ、信号機が切り換わると、ディスチャージバルブを再びオンして前照灯を点灯させながら、再び走行を始めることを繰り返す。交差点の多い都市部になる程、また夜間走行をする頻度が高い程、ディスチャージバルブがオンオフを繰り返す回数が多くなる。
【0027】こうしたステップS5の前照灯を点灯させた夜間走行中、ディスチャージバルブ5の点灯制御装置9は、ステップS1およびステップS2に示されるように逐次、ディスチャージバルブ5のオンオフ回数をカウントして累積し、ディスチャージバルブ5の点灯(オン)時間をカウントして累積している。
【0028】続いてステップ3において、この計測で得た累積オンオフ回数にもとづく累積点灯時間と、図2に示す寿命マップから得た累積オンオフ回数に対応した点灯時間とを対比している。
【0029】ディスチャージバルブ5のオンオフ回数の計数、同じく点灯時間の計数が進み、今、累積オンオフ回数にもとづく累積点灯時間が、図2に示すバルブ寿命判定ラインを超えて、バルブ正常動作保証域Aからバルブ寿命域B内へに入ったとする。
【0030】これにより、点灯制御装置9のバルブ寿命判定部12は、オンオフ回数を考慮すると、ディスチャージバルブ5は、使用時間に達している、すなわちバルブ寿命になったと判定する。
【0031】この背景には、ディスチャージバルブ5のオンオフの都度、点灯に必要な高電圧(例えば2万ボルト)が同バルブ5に印加され、発光部4aと電極4cを覆う透明ガラス体4bと電極4c間に瞬間的に大きな温度差が発生し、電極4cとガラスとのスキが発生し、微量の内部ガスが漏れるため、ディスチャージバルブの予定の使用時間に関わらず、バルブのオンオフ回数が多ければ多い程、ディスチャージバルブ5の寿命が短くなるという理由による。
【0032】ディスチャージバルブ5が寿命であると判定されると、ステップS4へ進み、ワーニングランプ13を点灯させ、運転者に現在、前照灯で用いているディスチャージバルブ5が交換時期であることをうながす。
【0033】このようにディスチャージバルブ5の寿命判定の際、点灯時間だけでなくディスチャージバルブ5のオンオフ回数を考慮したので、オンオフ回数によりばらつきやすいディスチャージバルブ5の寿命(交換時期)を精度良く運転者に報知することができる。
【0034】この結果、未然に全前照灯が突然に消灯するようなトラブルを防ぐことができる。
【0035】しかも、判定基準となるバルブ寿命判定ラインは、予めバルブ正常動作保証域A側へずらして定めてあるので、たとえバルブ寿命と判定されても、前照灯が即、消灯となるような事態は起こらない。
【0036】またオンオフ回数リセット機能、点灯時間リセット機能により、ディスチャージバルブ5の交換を行なうと、累積したオンオフ回数、累積した点灯時間がリセットされるようにしてあるので、別途、リセット作業を必要とせずに、常に交換を終えた新規バルブに対して寿命判定を行なうことができる。
【0037】なお、一実施形態ではワーニングランプの点灯によってディスチャージバルブ寿命を報知するようにしたが、これに限らず、他の手段でディスチャージバルブの寿命を報知させてもよい。
【0038】また1つの集中光源に対して2つの灯具を接続した前照灯装置に本発明を適用したが、これに限らず、他の3つ以上の灯具を接続した前照灯装置に本発明を適用してもよい。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように請求項1に記載の発明によれば、点灯時間だけでなく点灯回数を考慮して高圧放電バルブの寿命を判定するようにしたので、点灯回数によりばらつく高圧放電バルブの寿命を精度良く運転者に報知でき、未然に全前照灯が突然に消灯するようなトラブルを防ぐことができる。
【出願人】 【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
【出願日】 平成11年2月8日(1999.2.8)
【代理人】 【識別番号】100058479
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦 (外3名)
【公開番号】 特開2000−228293(P2000−228293A)
【公開日】 平成12年8月15日(2000.8.15)
【出願番号】 特願平11−29880