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【発明の名称】 電線のスプライス方法および該方向で製造された電線のスプライス構造
【発明者】 【氏名】飛田 哲男
【課題】作業性良く、低コストに、信頼性の高いスプライス部を形成できる電線のスプライス方法を提供する。

【解決手段】中間部に他の電線51が接続される電線50を、該接続位置で切断して分割し(50A、50B)、これら分割端より絶縁被覆2を皮剥ぎして芯線50a、50bを露出させ、この分割した電線50A、50Bを対向配置すると共に露出させた芯線50a、50bを重ね合わせ、かつ、他の電線端末より露出した芯線51aを更に重ね合わせ、これら重ね合わせた芯線をジョイント端子52でかしめ圧着する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 電線の中間部に他の電線を接続するスプライス方法であって、上記中間部に他の電線が接続される電線を、該接続位置で切断して分割し、これら分割端より絶縁被覆を皮剥ぎして芯線を露出させ、この分割した電線を対向配置すると共に露出させた芯線を重ね合わせ、かつ、他の電線端末より露出した芯線を更に重ね合わせ、これら重ね合わせた芯線をジョイント端子でかしめ圧着している電線のスプライス方法。
【請求項2】 電源側に接続される電線の端末を絶縁被覆を皮剥ぎして芯線を露出させる一方、負荷側に接続される複数の電線の各上流端の絶縁被覆を皮剥ぎしで芯線を露出させ、上記電源側の電線に対して上記負荷側の電線を対向配置すると共に、露出させた芯線を重ね合わせ、これら重ね合わせた芯線をジョイン卜端子でかしめ圧着している電線のスプライス方法。
【請求項3】 上記電源側の電線は大径電線あるいは/および耐熱電線であり、上記負荷側の電線は小径電線あるいは/および非耐熱電線である請求項2に記載の電線のスプライス方法。
【請求項4】 請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の方法で形成された電線のスプライス構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は自動車用ワイヤハーネスにおける電線のスプライス方法および該方向で製造された電線のスプライス構造に関し、特に、中間皮剥ぎ機を使用することなく電線の中間部に他の電線をスプライスできるようにするものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ワイヤハーネスの中間分岐スプライス部は、図3に示すように、両端末に端子1を圧着し、中間部の絶縁被覆2を皮剥ぎして芯線10aを露出させた本線(電線)10と、一方の端末に端子1を圧着し、他方の端末の絶縁被覆2を皮剥ぎして芯線11aを露出させた支線(電線)11とを用意し、支線(電線)11の端末の芯線11aを本線(電線)10の中間部の芯線10aに重ね合わせ、これら重ね合わせた芯線11a、10aをジョイント端子12でかしめ圧着することで形成していた。
【0003】上記本線(電線)10の中間部の皮剥ぎは、通常、専用の中間皮剥ぎ機を用いて、電線を保持した状態で先鋭刃21を絶縁被覆2に当てて切れ込みを入れ(図4(A))、該先鋭刃21を所定距離スライドさせ(図4(B))、所定部分の絶縁被覆2を所定長さだけ芯線と剥離して移動させ、芯線を露出させている(図4(C))。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、上記中間皮剥ぎした場合、先鋭刃21を電線から離すと、剥いだ絶縁被覆2が切れ込み位置に戻るため、支線11の端末の芯線11aを芯線10aに重ねてジョイント端子12でかしめる際に、剥いだ絶縁被覆2が戻らないように手で押さえていなければならず、作業性が悪いという問題点があった。
【0005】また、ジョイント端子12でかしめる部分のみが露出するように先鋭刃21をスライドさせて皮剥ぎしても、絶縁被覆2のだぶり2a(図4(C))によって、露出部(かしめ部分)に隣接する部分の芯線11aから絶縁被覆2が剥がれるため、ここの芯線11aと絶縁被覆2の間に隙間が空いて水分や異物物等を吸い込みやすくなり、中間分岐部の信頼性が低下するといった問題点がある。
【0006】また、中間皮剥ぎ機の機構上、電線保持に必要な電線長が必要であるため、本線の端末に近い位置に中間分岐部を設ける場合に、電線の全長を設計寸法よりも長くする必要を生じ、これがコスト高の原因になっていた。
【0007】本発明は上記した問題点に鑑みてなされたもので、作業性良く、低コストに、信頼性の高いスプライス部を形成できる電線のスプライス方法及びスプライス構造を提供することを課題としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため、本発明は、請求項1で、電線の中間部に他の電線を接続するスプライス方法であって、上記中間部に他の電線が接続される電線を、該接続位置で切断して分割し、これら分割端より絶縁被覆を皮剥ぎして芯線を露出させ、この分割した電線を対向配置すると共に露出させた芯線を重ね合わせ、かつ、他の電線端末より露出した芯線を更に重ね合わせ、これら重ね合わせた芯線をジョイント端子でかしめ圧着している電線のスプライス方法を提供している。
【0009】該電線のスプライス方法を用いると、絶縁被覆を皮剥ぎした電線の端末芯線同士をジョイント端子でかしめ圧着するだけで、電線の中間部に他の電線をスプライスすることができる。よって、従来の中間皮剥ぎを行った場合のような剥いだ絶縁被覆の逆戻りや絶縁被覆と芯線間の不要な隙間の発生等を起こすこなく、簡単な作業で、信頼性の高いスプライス部を形成することができる。また、中間部に他の電線をスプライスする電線に中間皮剥ぎを施す必要がないので、必要最低限の電線長の電線でよく、コストも削減できる。
【0010】また、請求項2で、電源側に接続される電線の端末を絶縁被覆を皮剥ぎして芯線を露出させる一方、負荷側に接続される複数の電線の各上流端の絶縁被覆を皮剥ぎしで芯線を露出させ、上記電源側の電線に対して上記負荷側の電線を対向配置すると共に、露出させた芯線を重ね合わせ、これら重ね合わせた芯線をジョイン卜端子でかしめ圧着している電線のスプライス方法を提供している。
【0011】該電線のスプライス方法を用いると、電源側電線(本線)と複数の支線(負荷側電線)にそれぞれに相応しい性能(線径、物性等)の電線を用いて所望の分岐構造のワイヤハーネスを得ることができる。よって、ワイヤハーネスの性能及び信頼性を向上させることができる。具体的には、例えば、上記電源側の電線は大径電線あるいは/および耐熱電線とし、上記負荷側の電線は小径電線あるいは/および非耐熱電線とする(請求項3)。
【0012】また、本発明は、請求項4で、上記請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の方法で形成された電線のスプライス構造を提供している。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図に基づいて説明する。図1は第1実施形態によるスプライス形成工程を示している。先ず、図1(A)に示すように、本線(電線)50を用意し、両端に端子1を圧着した状態で支線をスプライスする中間部で電線50Aと電線50Bとに二分割し、それぞれ分割端より絶縁被覆2を皮剥ぎして芯線50a、50bを露出させる。
【0014】一方、中間部に接続する支線(電線)51は一方の端末に端子1を圧着し、他方の端末の絶縁被覆2を皮剥ぎして芯線51aを露出させた状態とする。
【0015】ここで、本線(電線)50A、50Bの分割端の露出した芯線50a、50bの長さと、支線(電線)51の露出した芯線51aの長さは略同一長さとする。
【0016】次に、図1(B)に示すように、分割した本線(電線)50A、50Bを対向配置し、露出させた芯線50a、50bを重ね合わせ、更に、支線(電線)51の露出した芯線51aを重ね合わせたの後、ジョイント端子52で芯線50a、50b、51bをかしめ圧着する。これにより、本線(電線)50の中間部に支線(電線)51がスプライスによりジョイントして分岐した中間分岐スプライス構構造が得られる。
【0017】本実施形態では、本線を中間皮剥せず、端末を皮剥ぎして芯線を露出させるので、従来のような芯線露出部における絶縁被覆の逆戻りが発生せず、ジョイント端子のかしめ圧着を作業性良く行うことができる。よって、従来の中間皮剥ぎ機を使用する場合に比して、作業時間を短縮できる。また、端末皮剥ぎであるので、従来のような絶縁被覆と芯線間に不要な隙間が形成されてしまうといった不具合を発生せず、信頼性の高いスプライス部(スプライス構造)を得ることができる。また、中間皮剥ぎ機を使用しないため、本線の電線長を設計通りの必要最低限の長さにでき、コストも削減できる。
【0018】図2は第2実施形態によるスプライス形成工程を示している。第1実施形態は電線の中間部に他の電線を接続して電線の分岐構造を得ているが、本実施形態は複数の電線の一端末同士をスプライスして電線の分岐構造を得ている。
【0019】図2(A)に示すように、電源側に接続される大径電線61、負荷側に接続される複数の小径電線62、63、64を用意し、大径電線61の電源側への接続端に端子1を圧着する一方、他方の端末は絶縁被覆2を皮剥ぎして芯線61aを露出させる。一方、小径電線62、63、64のそれぞれについて、負荷側への接続端に端子1を圧着する一方、他方の端末(電源に対する上流端)は絶縁被覆を皮剥ぎして芯線61a、62a、63a、64aを露出させる。ここで露出した芯線61a、62a、63a、64は略同一長さにしている。
【0020】次に、図2(B)に示すように、電源側に接続される大径電線61に対して、負荷側の電線62、63、64を対向配置して、互いの露出させた芯線61a、62a、63a、64aを重ね合わせ、これら重ね合わせた芯線をジョイン卜端子65でかしめ圧着する。これにより、電源側の大径電線61に負荷側の小径電線62、63、64をスプライスにより分岐接続したワイヤハーネスを得ることができる。
【0021】本実施形態では、電源側電線とこれより分岐させる複数の負荷側電線をそれぞれについてそれぞれに相応しい線径の電線を用いて所望の分岐構造のワイヤハーネスを簡単に製造することができる。
【0022】なお、ここでは電源側の電線を大径電線とし、負荷側の電線を小径電線としたが、電源側の電線を耐熱電線とし、負荷側の電線を非耐熱電線とする形態、或いは、電源側の電線を大径の耐熱電線とし、負荷側の小径の非耐熱電線とする形態とすることもできる。すなわち、電源側の電線と負荷側の電線、更に、負荷側のそれぞれの電線について、個別にその機能に応じた最適な性能(物性)の電線を用いることができ、高性能かつ信頼性の高い分岐構造のワイヤハーネスを簡単に製造することができる。
【0023】
【発明の効果】以上の説明より明らかなように、本発明によれば、中間部に他の電線が接続される電線を分割し、該分割端より絶縁被覆を皮剥ぎして芯線を露出させ、この露出させた芯線を重ね合わせて、他の電線端末より露出した芯線と共にジョイント端子でかしめ圧着するようにしたので、従来のような電線に中間皮剥ぎを施す必要なく、絶縁被覆を皮剥ぎした電線の端末芯線同士をジョイント端子でかしめ圧着するだけで、電線の中間部に他の電線をスプライスすることができる。よって、簡単な作業で、信頼性の高いスプライス部を形成することができる。また、中間部に他の電線をスプライスする電線に中間皮剥ぎを施す必要がないので、該電線を必要最低限の電線長にでき、材料コストも削減できる。
【0024】更に、本発明によれば、電源側に接続される電線の端末を絶縁被覆を皮剥ぎして芯線を露出させ、これに負荷側に接続される複数の電線の各上流端の絶縁被覆を皮剥ぎして露出させた芯線を重ね合わせてジョイン卜端子でかしめ圧着して、電源側に接続される電線の下流端に負荷側に接続される電線を分岐接続するようにしたので、電源側電線とこれより分岐させる複数の負荷側電線をそれぞれに相応しい性能(物性)の電線で構成でき、所望の分岐構造を有する高性能のワイヤハーネスを簡単に製造することができる。
【出願人】 【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
【出願日】 平成10年8月7日(1998.8.7)
【代理人】 【識別番号】100072660
【弁理士】
【氏名又は名称】大和田 和美
【公開番号】 特開2000−59946(P2000−59946A)
【公開日】 平成12年2月25日(2000.2.25)
【出願番号】 特願平10−224974