トップ :: H 電気 :: H01 基本的電気素子




【発明の名称】 電池の製造法
【発明者】 【氏名】松久 一朗

【氏名】横山 敬士

【要約】 【課題】電解液の電池への含浸性を向上し、生産性の高い電池の製造法を提供する。

【解決手段】電解質濃度が異なる2種類以上の電解液を使用し濃度の薄い電解液から順に注入して含浸することにより、電池内部の空気と電解液の置換速度を速くし電池内に電解液を含浸しやすくする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 組成が異なる2種類以上の電解液を分注することを特徴とする電池の製造法。
【請求項2】 溶媒組成が同じで電解質濃度が異なる2種類以上の電解液を分注することを特徴とする電池の製造法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電池製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】電池は一般的に正極,負極,セパレータからなる構成群を電池ケースに挿入し、しかるのち電解液を注入して開口部を封口蓋等を用いて封口して作製している。なかでも、近年需要の高まっている非水溶液電池では、既存のアルカリ乾電池,アルカリ蓄電池といった水溶液系電池に使用されている電解液に比較して電解液の電気伝導性が10分の1以下である。そこで、30ミクロン程度の厚みのセパレータや数百ミクロンの厚みの極板を密に巻いて極間距離を狭くしている。しかし、このような構成であれば、電解液の粘度が高いこともあり、電解液を構成群に含浸させることが困難である。従って、少量の電解液を注入後減圧することを何度も繰り返す手段が採用されているが、工程が複雑になり、しかも溶媒が蒸発して所定の電解液量が確保しにくい問題がある。また、電解液を構成群にあらかじめ含浸させた状態で電池容器に納める、たとえば特開平7−14609号公報に示されている技術や、あらかじめ溶媒を含浸させた電極板で構成群を構成する技術が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来の電解液注入方法では、構成群中の空気と電解液を置換して電解液を構成群中に含浸させるのに複雑な設備が必要となったり、電解液含浸に長時間が必要となるので、生産設備の上で必要時間を確保するためのスペースが必要になり、電池の生産性向上を図る上での障害となっていた。
【0004】本発明はこのような課題に対応すべく、非水電解液電池製造での電解液注入工程の電池生産性の向上を目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決するために、組成が異なる2種類以上の電解液を分注したり、溶媒組成が同じで電解質濃度が異なる2種類以上の電解液を使用して、低粘度の電解液から順に分注することとしたものであり、本発明の製造法を用いることで、構成群中の空気、あるいは構成群と電池ケース間の空気と電解液との置換が容易になり、電解液の含浸性が向上する。特に構成群中の電解液の含浸性を飛躍的に向上させることができる。この手段により、電解液の含浸速度が速くなり、電解液注液工程に必要な時間が短縮でき、生産性が向上できる。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を以下に示す。
【0007】図1に示すように、カーボンを負極活物質として銅箔に塗着して構成した負極と、コバルト酸リチウムを正極活物質とした正極を、セパレータを介在して複数回渦巻状に巻回し構成群1とする。そして、構成群1は、ニッケルメッキ鋼板製の電池ケース2に挿入し、負極リード3は電池ケース2の内底部に接続され、正極リード4は、封口蓋5に接続される。次に、電解質濃度の低いものから順に注液して最終的に所定の液量で所定の電解質濃度となるように注液した後、封口蓋5で電池ケース2の開口部は封口される。6は構成群1の上部絶縁板、7は構成群1の下部絶縁板を示す。電池ケース2の開口部付近に溝部8を設け、この溝部8に封口蓋5を載せ、電池ケース2の開口部をかしめる。
【0008】
【実施例】以下本発明の実施例を説明する。
【0009】図1において、正極活物質としてLiCoO2 、負極活物質としてカーボンをそれぞれ使用した円筒形リチウムイオン二次電池の縦断面を示す。尚、電池ケース2の径は17.9mm、溝部8の内径は15.0mm、開口時、溝部8から電池開口端部までは5.0mm、電池ケース2の底部から電池開口端部までは63.2mm、そして、構成群1は外径が17.0mm、長さが58.2mmである。
【0010】ここで、上記円筒形リチウムイオン二次電池として、図1で示すものを用いて電池を作製し、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートの混合溶媒に1.25モル/リットルのLiPF6 を溶解させた電解液を使用して表1に示す注液方法にて電池を作製し、従来例の電池とした。また、表2に示す注液方法を使用した以外は従来例の電池と全く同じ構成で電池を作製し、本発明の実施例の電池とした。
【0011】
【表1】

【0012】
【表2】

【0013】これら従来例の電池,実施例の電池共に、注液においては、電解液を注入後減圧し、上面の電解液が構成群等に含浸されたことを確認後、次の電解液を注入し減圧する工程を繰り返した。ここで、各注液工程での要した時間を表3にまとめた。
【0014】
【表3】

【0015】これらの結果より、実施例の電池は従来例の電池より短い時間で電解液が含浸していることがわかる。さらに、最終の電解液注入後電解液が含浸したことを確認後、電池重量を測定し重量変化を調べたところ、従来例の電池では0.15gの電解液の減量に対して、実施例の電池は0.07gであった。また、これらの電池の性能を比較するために、充放電を行い電池容量を確認した。充電は最大電流980mA,4.2V定電流定電圧充電を2時間行い、放電は1400mA定電流と280mAで3.0Vまで行った。その結果を表4に示す。
【0016】
【表4】

【0017】これらの結果より、従来例の電池,本発明の実施例の電池共に同容量の電池容量を示し、電池特性上差がないことがわかった。
【0018】上記のような検討を有機電解液を使用する電池系について実施したところ、同様の効果を得られることがわかった。
【0019】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明によれば、電解液の注入ならびに含浸に要する時間が短縮でき、さらに蒸発による減量も少ないので、生産性が飛躍的に向上し、安定した信頼性の高い電池を供給することができる。
【出願人】 【識別番号】000005821
【氏名又は名称】松下電器産業株式会社
【出願日】 平成10年12月25日(1998.12.25)
【代理人】 【識別番号】100097445
【弁理士】
【氏名又は名称】岩橋 文雄 (外2名)
【公開番号】 特開2000−195549(P2000−195549A)
【公開日】 平成12年7月14日(2000.7.14)
【出願番号】 特願平10−369187