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【発明の名称】 半導体発光装置及び半導体発光装置の駆動方法
【発明者】 【氏名】波多腰 玄一

【氏名】山本 雅裕

【氏名】石川 正行

【要約】 【課題】発光ダイオードを交流で直接駆動するにも拘わらず、効率の低下を防止する。

【解決手段】pn接合を有する複数の発光ダイオード10からなる半導体発光装置において、発光ダイオード10は全てが並列接続され、かつ発光ダイオード10のうち、10a1,10a2,〜,10anと10b1,10b2,〜,10bnとは極性が互いに逆に接続され、これらの発光ダイオード10を交流電源11により駆動する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】pn接合を有する複数の半導体発光素子が並列接続され、かつそのうちの半数は残りと電気的極性が逆になるように接続されていることを特徴とする半導体発光装置。
【請求項2】RGBの各色を発光する3種の半導体発光素子が直列接続された発光素子群が複数個並列接続され、かつ複数の発光素子群のうちの半数は残りと電気的極性が逆になるように接続されていることを特徴とする半導体発光装置。
【請求項3】発光層とp型層及びn型層を備えた半導体発光素子を同一チップ上に複数個集積化した半導体発光装置において、任意の発光素子のp型層が隣接する他の発光素子のn型層に接続されるように複数の発光素子が直列接続され、各発光素子の接続点が発光素子の1つおきに第1の電源配線と第2の電源配線に交互に接続されてなることを特徴とする半導体発光装置。
【請求項4】発光層とp型層及びn型層を備えた半導体発光素子を同一チップ上に複数個集積化した半導体発光装置において、全ての半導体発光素子は並列接続され、かつ隣接する半導体発光素子同士は電気的極性が互いに逆になるように接続されていることを特徴とする半導体発光装置。
【請求項5】請求項1〜4のいずれかに記載の半導体発光装置を交流電流で駆動することを特徴とする半導体発光装置の駆動方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数の半導体発光素子を有する半導体発光装置及び半導体発光装置の駆動方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ディスプレイ装置や交通信号等の光源として、発光ダイオード(LED)を始めとする各種の半導体発光素子が用いられている。このような応用では、素子の高信頼性と共に、高効率及び低価格な素子が必要とされている。従来の電球や蛍光管に比べ、LEDは高い信頼性を持っているが、電気/光変換効率は必ずしも高いわけではなく、また電球が交流で直接駆動できるのに対して、LEDは直流が必要なため、例えば家庭で用いるためには交流/直流変換の回路が必要とされる。
【0003】なお、LEDを交流で直接駆動することは可能ではあるが、その場合、半分は極性が反転して逆バイアスの状態であるため、LEDに耐圧がなければ破壊されることになる。また、たとえ破壊されないとしても、逆バイアス状態の時は発光しないので、電気/光変換効率は直流駆動の場合に比べて約半分と低いものとなる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このように従来、LED等の半導体発光素子を光源として用いる場合には、一般に用いられている交流での直接駆動が困難であり、たとえ交流駆動ができたとしても、効率が低下するという問題があった。
【0005】本発明は、上記事情を考慮して成されたもので、その目的とするところは、交流で直接駆動でき、かつ高効率の半導体発光装置及びその駆動方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】(構成)上記課題を解決するために本発明は次のような構成を採用している。
(1) pn接合を有する複数の半導体発光素子からなる半導体発光装置において、半導体発光素子が並列接続され、かつそのうちの半数は残りと電気的極性が逆になるように接続されていること。
(2) (1) において、半導体発光素子はRGBの3種の素子からなり、RGB各々の素子はそれぞれ半数が残りと電気的極性が逆になるように接続されていること。
(3) pn接合を有する複数の半導体発光素子からなる半導体発光装置において、RGBの各色を発光する3種の半導体発光素子が直列接続された発光素子群が複数個並列接続され、かつ複数の発光素子群のうちの半数は残りと電気的極性が逆になるように接続されていること。
【0007】(4) pn接合を有する複数の半導体発光素子からなる半導体発光装置において、複数の半導体発光素子と抵抗素子が直列接続された発光素子群が複数個並列接続され、発光素子群はRGBの3種の素子群からなり、RGB各々の素子群はそれぞれ半数が残りと電気的極性が逆になるように接続されていること。
(5) (4) において、発光素子群における複数の半導体発光素子の直列抵抗値の総和と抵抗素子の抵抗値との合計が各々等しくなるように設定されていること。
【0008】(6) 発光層とp型層及びn型層を備えた半導体発光素子を同一チップ上に複数個集積化した半導体発光装置において、任意の発光素子のp型層が隣接する他の発光素子のn型層に接続されるように複数の発光素子が直列接続され、各発光素子の接続点が発光素子の1つおきに第1の電源配線と第2の電源配線に交互に接続されてなること。
(7) 発光層とp型層及びn型層を備えた半導体発光素子を同一チップ上に複数個集積化した半導体発光装置において、全ての半導体発光素子は並列接続され、かつ隣接する半導体発光素子同士は電気的極性が互いに逆になるように接続されていること。
(8) (1) 〜(7) の半導体発光装置を交流電流で駆動すること。
【0009】(作用)本発明によれば、pn接合を有する半導体発光素子を交流電流で駆動しても半分ずつが交互に発光することになり、交流のいずれの極性も駆動に利用できるため、交流駆動による効率の低下を抑えることができる。即ち、pn接合を有する半導体発光素子を交流で直接駆動でき、かつその効率の向上をはかることが可能となる。また、発光素子にRGBの3種の素子を用いることにより、完全な白色光ではないが、擬似的な白色光源を実現することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の詳細を図示の実施形態によつて説明する。
(第1の実施形態)図1は、本発明の第1の実施形態に係わる半導体発光装置を示す回路構成図である。
【0011】図中10(10a1,10b1,10a2,10b2,〜,10bn)はpn接合又はpin接合を有する発光ダイオードであり、11は交流電源である。この例では、発光ダイオード10は全て並列に接続されており、10a1,10a2,〜,10anと10b1,10b2,〜,10bnとは極性が互いに逆に接続されている。
【0012】このような構成で発光ダイオード10を駆動すると、交流の極性が下側が正の時には10a1,10a2,〜,10anが発光し、上側が正の時には10b1,10b2,〜,10bnが発光する。前者の場合には、10b1,10b2,〜,10bnに逆バイアスが印加されるが、発光している10a1,10a2,〜,10anには順バイアスで電流が流れるため、これが保護回路の役目を果たし、10b1,10b2,〜,10bnが破壊されることはない。逆の場合も同様である。また、順逆どちらの場合にも、どちらかの発光ダイオードは発光しているので、効率も高い。
【0013】(第2の実施形態)図2は、本発明の第2の実施形態に係わる半導体発光装置を示す回路構成図である。
【0014】この実施形態の基本部分は第1の実施形態とほぼ同様であるので、説明は省略する。図中の20は発光ダイオード、21は交流電源、22は変圧器である。本実施形態では、例えば家庭用の100V電源を用いる場合を示したもので、電圧を変換する変圧器22が設けられている。このような簡単な回路で発光素子を駆動できることが特徴である。
【0015】なお、図1、図2に示した実施形態における発光素子は、GaAlAs系,GaAsP系,InGaAlP系,InGaAlN系,ZnSe系等のいずれであっても良く、またこれらを組み合わせて用いてもよい。また、発光ダイオードに限定されるものではなく、半導体レーザであっても良い。
【0016】(第3の実施形態)図3は、本発明の第3の実施形態に係わる半導体発光装置を示す回路構成図である。
【0017】図中の30a1,30a2,〜,30anは赤色発光ダイオード、30b1,30b2,〜,30bnは緑色発光ダイオード、30c1,30c2, 〜,30cnは青色発光ダイオード、31は交流電源であり、各発光ダイオード30は全て並列に接続されている。
【0018】ここで、赤色発光ダイオードとしてはGaAlAs系或いはInGaAlP系等のLEDを、緑色発光ダイオードとしてはInGaAlP系,InGaAlN系,ZnSe系等のLEDを、また青色発光ダイオードとしてはInGaAlN系等のLEDを用いることができる。また、RGBの各発光ダイオード30は、それぞれ半数が残りと電気的極性が逆になるように接続されている。即ち、ai,bi,ciのiが奇数番目と偶数番目で逆極性に接続されている。
【0019】このような構成であれば、第1の実施形態と同様の効果が得られるのは勿論のこと、白色光源とほぼ同等の光源を実現できる。
(第4の実施形態)図4は、本発明の第4の実施形態に係わる半導体発光装置を示す回路構成図である。
【0020】図中の40a1,40a2,〜,40anは赤色発光ダイオード、40b1,40b2,〜,40bnは緑色発光ダイオード、40c1,40c2, 〜,40cnは青色発光ダイオード、41は交流電源である。第3の実施形態と異なる点は、3種類の発光ダイオードが直列に接続されていることである。即ち、RGBの3種の発光ダイオードが直列接続された発光素子群が複数個並列接続され、かつ複数の発光素子群のうちの半数は残りと電気的極性が逆になるように接続されている。
【0021】本実施形態の場合、印加する交流の振幅としては、3種類の発光ダイオードのバンドギャップ電圧及び素子の直列抵抗による電圧低下分の合計値を設定すればよい。これにより、第3の実施形態と同様の効果が得られる。
【0022】(第5の実施形態)図5は、本発明の第5の実施形態に係わる半導体発光装置を示す回路構成図である。
【0023】図中の50a1,50a2,〜,50alは赤色発光ダイオード、50b1,50b2,〜,50bmは緑色発光ダイオード、50c1,50c2, 〜,50cnは青色発光ダイオード、51は交流電源である。本実施形態では、各色の発光ダイオードをそれぞれ直列に接続し(発光素子群)、その極性を逆にしたものを交互配置している。また、それぞれの発光素子群には抵抗ra ,rb ,rc が接続されている。
【0024】本実施形態の場合、各発光素子群における素子数(図中l,m,n)は同じである必要はなく、例えば所定の光度を得るのに必要な数を配置すればよい。その場合、色によって必要な電圧の合計が異なる場合があるが、これは各抵抗ra ,rb ,rc で調整が可能である。即ち、50a1,50a2,〜,50alのバンドギャップ電圧及び素子の直列抵抗値の和とraの合計、50b1,50b2,〜,50bmのバンドギャップ電圧及び素子の直列抵抗値の和とrbの合計、50c1,50c2, 〜,50cnの直列抵抗値の和とrcの合計が同じ値(例えば100V)となるように設定すればよい。
【0025】なお、各発光素子群のダイオード数は同じにして、並べる数を変えることにより、総光度を設定することも勿論可能である。また、付加する各抵抗は固定抵抗でもよいが、図に示したように可変抵抗とすることによって、各列の電流値或いは光度を独立に調整することが可能となる。
【0026】また、図1〜図5の実施形態では、各発光部として個別の素子を用いる場合を示したが、これらが同一基板上に集積化されている場合においても本発明を適用できる。
【0027】(第6の実施形態)図6は、本発明の第6の実施形態に係わる半導体発光装置の素子構造を示す断面図である。
【0028】図中の60はサファイア基板、61はi−GaN層、62はn−GaNコンタクト層、63はn−GaAlNクラッド層、64はInGaN多重量子井戸からなる発光層、65はp−GaAlNクラッド層、66はp−GaNコンタクト層、67はSiO2 膜、68は透明電極、69は金属電極、70は溝、71は交流電源である。サファイア基板60上に形成した各層61〜66からなる発光ダイオードは公知のデバイスである。
【0029】本実施形態では、同一基板上に形成された複数の発光ダイオードが溝70によって電気的に分離された後、各素子のp電極と隣の素子のn電極とが金属電極69によって接続されている。そして、図のように電極リードが引き出されて交流電源71に接続されている。即ち、発光ダイオードのp型層が隣接する他の発光素子のn型層に接続されるように複数の発光ダイオードが直列接続され、各発光ダイオードの接続点が発光ダイオードの1つおきに第1の電源配線と第2の電源配線に交互に接続されている。
【0030】本実施形態の構成において、交流電源71からの交流を印加すると、複数の発光ダイオードの一つおきに互いに逆のバイアスが印加され、図1等に示した実施形態と同様の動作で高効率の発光が実現される。
【0031】なお、分離溝70を埋めている絶縁体67はSiO2 に限らず、弗素樹脂等を用いることも可能である。また、実施形態では透明電極68を用いた面発光型としたが、これに限るものではなく、端面発光型でも良い。さらにまた、LEDではなくレーザであっても良い。
【0032】(第7の実施形態)図7は、本発明の第7の実施形態に係わる半導体発光装置の素子構造を示す斜視図である。なお、図6と同一部分には同一符号を付して、その詳しい説明は省略する。
【0033】本実施形態の基本部分は第6の実施形態とほぼ同じであり、本実施形態が第6の実施形態と異なる点は、電極を2次元的に配置したことである。電極配置を分かりやすく説明するため、上から見た図を図8に示した。図中の斜線部が金属電極69に相当する。
【0034】隣接する発光ダイオードで、表面側に露出するp側コンタクト層66(実際はその上が透明電極68で覆われている)とn側コンタクト層62が相互に逆になるように配置し、接続のための金属電極69の数を減らしている。この場合も、複数の発光ダイオードの一つおきに互いに逆のバイアスが印加され、図1等に示した実施形態と同様の動作で高効率の発光が実現される。
【0035】(第8の実施形態)図9及び図10は、本発明の第8の実施形態に係わる半導体発光装置の素子構造を示す平面図である。なお、図6と同一部分には同一符号を付して、その詳しい説明は省略する。
【0036】本実施形態の基本部分の構成は、図6及び図7の場合と同様である。本実施形態では、図9に示したように、複数の発光ダイオードを行方向及び列方向に2次元的に配置してある。図9の構造に金属電極69を付けたものが図10であり、この構成で図6及び図7の実施形態と同様の交流駆動が可能となる。
【0037】(第9の実施形態)図11は、本発明の第9の実施形態に係わる半導体発光装置の素子構造を示す平面図である。なお、図6と同一部分には同一符号を付して、その詳しい説明は省略する。
【0038】本実施形態は基本的には第8の実施形態と同様であるが、表面に露出するp側コンタクト層66とn側コンタクト層62の面積比を適切に設定することによって、金属電極69のパターンをライン状に簡略化している。この構成により、図6及び図7の実施形態と同様の交流駆動が可能となる。なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、種々変形して実施することができる。
【0039】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、pn接合を有する複数の半導体発光素子を並列接続し、かつそのうちの半数を残りと電気的極性が逆になるように接続しているので、交流電流で駆動しても半分ずつが交互に発光することになり、交流のいずれの極性も駆動に利用して交流駆動による効率の低下を抑えることができる。つまり、pn接合を有する半導体発光素子を交流で直接駆動でき、かつその効率の向上をはかることが可能となる。また、半導体発光素子にRGBの3種の素子を用いることにより、擬似的な白色光源を実現することも可能となる。
【出願人】 【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
【出願日】 平成10年9月25日(1998.9.25)
【代理人】 【識別番号】100058479
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦 (外6名)
【公開番号】 特開2000−101136(P2000−101136A)
【公開日】 平成12年4月7日(2000.4.7)
【出願番号】 特願平10−271297