| 【発明の名称】 |
半導体熱処理用ダミーウェーハ |
| 【発明者】 |
【氏名】市島 雅彦
【氏名】外谷 栄一
【氏名】永田 智浩
|
| 【要約】 |
【課題】使用時の熱応力や繰り返し使用による応力の蓄積によるクラックや割れを防止し、長寿命化、CVD等の工程歩留も高く、さらにCVD等の操炉回数もく生産性向上にも寄与する半導体熱処理用ダミーウェーハを提供する。
【解決手段】ヤング率が25GPa〜35GPaであるガラス状カーボン基材よりなることを特徴とする半導体熱処理用ダミーウェーハ。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ヤング率が25GPa〜35GPaであるガラス状カーボン基材よりなることを特徴とする半導体熱処理用ダミーウェーハ。 【請求項2】 上記ガラス状カーボン基材は耐熱衝撃温度が700℃以上であることを特徴とする請求項1に記載の半導体熱処理用ダミーウェーハ。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は半導体熱処理用ダミーウェーハに係わり、特にガラス状カーボン基材で形成される半導体熱処理用ダミーウェーハに関する。 【0002】 【従来の技術】従来から半導体回路装置の製造において、半導体ウェーハは熱処理炉の炉芯管内で各種の熱処理が施されているが、これらの熱処理はボート等の保持装置に被処理ウェーハを載置し、被処理ウェーハが載置された保持装置を加熱された炉芯管内に装入して、更に昇温し処理ガスを導入して熱処理するものである。 【0003】これらの熱処理炉においては、従来から複数のダミーウェーハをボートの所定箇所に載置し、導入されるガスが被処理ウェーハに直接あたらないようにしてウェーハの汚染を防止している。また、ダミーウェーハによりガス流を制御して炉内の均熱化が図られており、熱処理炉用のダミーウェーハは、シリコン製、石英製およびSiC製のものが主として使用されている。 【0004】さらに、CVD工程においても、炉内での均熱やCVD膜厚の均一化のため、ダミーウェーハが使用されており、ダミーウェーハ上にもCVDにより成膜され、その膜厚が厚くなると膜剥離が生じ、この剥離した膜がシリコンウェーハの上に落下してパーティクルとなるため、一定時間使用すると酸洗浄を行ない、ダミーウェーハ上に付着した被膜を除去した後、再使用するのが一般的である。 【0005】またSiC製ダミーウェーハは酸洗浄による消耗は比較的少なく繰返し使用が可能であるが、基材自体の耐熱衝撃性が低くヤング率が大きいため、使用時の熱衝撃や繰返し使用による応力の蓄積、CVD膜種との熱膨脹係数の違いによる熱応力により、クラックや割れが発生する問題がある。 【0006】このクラックや割れが発生した場合、多量のパーティクルが発生するため、炉内部材の全ての洗浄を行わなければならない。 【0007】上述したダミーウェーハの問題点を解決するため、本願発明者等は特開平9−139329号のようなガラス状カーボン製ダミーウェーハを提案している。 【0008】この発明者等が開示したダミーウェーハは、熱膨張係数が3.0〜3.5×10-6/℃であるガラス状カーボン基材で形成し、かつ少なくとも一面の表面粗さRaが3〜30μmに形成したものである。この開示のダミーウェーハは、成膜処理に用いて剥離等のダストの発生を防止することができ、また、成膜中にダミーウェーハ上に付着する被膜を処理工程中強固に保持することができ、さらに被膜の剥離によるウェーハ汚染を防止することができるので、歩留りよく均質な処理ウェーハを得ることができる。また、ダミーウェーハに用いられるガラス状カーボン基材は、耐食性および耐熱性に優れ、ダミーウェーハとしての要件を充分に満足し、特に、ダミーウェーハ上の被膜をフッ酸やフッ硝酸水溶液等で洗浄除去して表面状態を回復再生でき、再使用が可能であり実用的である。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】本願発明者等は上記開示されたガラス状カーボン製ダミーウェーハをさらに改良したもので、本発明に係わるガラス状カーボン製ダミーウェーハは、使用時の熱応力や繰り返し使用による応力の蓄積によるクラックや割れを防止し、長寿命化、CVD等の工程歩留の向上、さらにCVD等の操炉回数向上させて生産性向上にも寄与する半導体熱処理用ダミーウェーハを提供する。 【0010】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するためになされた本願請求項1の発明は、ヤング率が25GPa〜35GPaであるガラス状カーボン基材よりなることを特徴とする半導体熱処理用ダミーウェーハであることを要旨としている。 【0011】本願請求項2の発明では上記ガラス状カーボン基材は耐熱衝撃温度が700℃以上であることを特徴とする請求項1に記載の半導体熱処理用ダミーウェーハであることを要旨としている。 【0012】 【発明の実施の形態】以下、本発明について詳しく説明する。 【0013】一般に、熱処理に使用されるダミーウェーハは、石英製ボートに載置される被処理シリコンウェーハとほぼ同等の形態に形成され、例えば直径が200mm、厚さが約800μmである。また、ボートに載置される本発明に係わるダミーウェーハの枚数及び載置位置は、各処理条件に応じて適宜選択される。通常、ボートの上部と下部に、それぞれ約1〜15枚ずつ載置される。 【0014】本発明に係わるダミーウェーハを形成するガラス状カーボン基材は、外観がガラス状の高硬質炭素で、耐摩耗性、ガス不透過性であり、基本的に固相炭素化により製造されるものである。 【0015】本発明において、好ましいガラス状カーボン基材は耐熱衝撃温度700℃以上で、ヤング率が25GPa〜35GPaである。 【0016】ダミーウェーハを用い半導体熱処理により成膜処理される場合、ダミーウェーハ上にも成膜組成物が形成されることになるが、本願発明者らによれば、異なる材質(基材)に形成される被膜が圧縮応力には強いが引張り応力には弱いことが知見された。 【0017】この異なる材質に形成された被膜は、引張り応力には弱いため、成膜組成物の熱膨張係数より大きな熱膨張係数を有する基材のダミーウェーハにすれば、高温のダミーウェーハ上に形成される被膜は、成膜後の冷却時において剥離や反りが低減することを見出した。 【0018】上記ガラス状カーボン基材で形成された本発明に係わるダミーウェーハは、基材の耐熱衝撃温度が700℃以上であるので、熱処理に使用時の熱衝撃や繰返し使用による応力の蓄積に起因したクラックや割れを防止することができる。 【0019】ガラス状カーボン基材の耐熱衝撃温度が700℃未満であると、使用時の熱衝撃や蓄積された応力によりクラックや割れが発生する。また基材のヤング率が25GPa〜35GPaであるので、基材とCVD膜種との熱膨脹係数の違いにより生じる熱応力を基材の反りにより逃がすことができるため、基材のクラックや割れを防止することができる。基材のヤング率が35GPaより大きいと、基材とCVD膜種との熱膨脹係数の違いにより生じる熱応力を基材の反りにより逃がすことができず、基材のクラックや割れを防止することができず、またヤング率が25GPaより小さいと基材の反り量が大きくなり同様にクラックや割れが発生する。 【0020】本発明で用いるガラス状カーボン基材は、一般に、極めて高硬度であり加工が困難であることから、予め所定形状に成形した後、炭素化して製造する。 【0021】例えば、フラン系樹脂、フェノール系樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下、約800℃以上の温度で緩やかに長時間焼成することにより生成される。 【0022】特に、本発明に用いるガラス状カーボンとしては、熱硬化性樹脂に有機スルホン酸を添加して常温重合させ流動状重合物とし、流動状態で成形型に注入して緩やかに昇温して硬化させて成形体を形成し、得られた成形体を800〜1200℃に所定の速度で昇温して焼成炭化し、要すれば表面加工した後、更に、2000〜2500℃に加熱して純化処理する方法である。この方法で得られるガラス状カーボン基材は、基材の熱衝撃性が高く、ヤング率が小さい、すなわち、耐熱衝撃温度700℃以上で、ヤング率が25GPa〜35GPaであり、基材のクラックや割れを防止する場合に適用することができ、さらに粒界が存在することなく、最大気孔径が0.1μm以下の極小で開気孔率が0.01%以下のものも製造することができ、特に、カーボン微粒子等の飛散のおそれがなく、汚染を極端に嫌う場合に適用することができる。 【0023】本発明に係わるダミーウェーハは、上記ガラス状カーボン基材で構成されて、耐熱性、熱伝導性に優れてクラックや割れに強く、また、清浄性に富むのでポリシリコンの成膜処理においてはダスト発生防止に効果がある。さらにガラス状カーボン基材は高耐食性であり、HNO3 −HF水溶液で表面洗浄することができるので、簡便に表面状態を回復させることができる。 【0024】 【実施例】(1)評価試験の目的ダミーウェーハを用いCVDを行い、■ダミーウェーハの寿命■製品ウェーハのCVD工程歩留■CVD操炉回数を調べる。 【0025】(2)試料の作製■実施例フリフリルアルコールに0.4重量部のp−トルエンスルホン酸を添加重合して得られた流動性ポリマーを用い、直径260mm、厚さ1.5mmの円板形状に成形し、加熱して硬化した。この硬化体を窒素雰囲気中で10℃/hrの速度で昇温し、1000℃で加熱焼成し、さらに表面加工し、表面加工後2000℃水素雰囲気炉内で脱炭処理を行い、基材の耐熱衝撃温度(ΔT)800℃で、ヤング率28GPa、直径200mm、厚さ約800μmのガラス状カーボン製ダミーウェーハを得た。 【0026】■比較例1フリフリルアルコールに0.4重量部のp−トルエンスルホン酸を添加重合して得られた流動性ポリマーを用い、直径260mm、厚さ1.5mmの円板形状に成形し、加熱して硬化した。この硬化体を窒素雰囲気中で7℃/hrの速度で昇温し、1000℃で加熱焼成し、さらに表面加工し、表面加工後約1000℃水素雰囲気炉内で脱炭処理を行い、基材の耐熱衝撃温度(ΔT)600℃で、ヤング率47GPa、直径200mm、厚さ約800μmのガラス状カーボン製ダミーウェーハを得た。 【0027】■比較例2フリフリルアルコールに0.4重量部のp−トルエンスルホン酸を添加重合して得られた流動性ポリマーを用い、直径260mm、厚さ1.5mmの円板形状に成形し、加熱して硬化した。この硬化体を窒素雰囲気中で13℃/hrの速度で昇温し1000℃で加熱焼成し、さらに表面加工し、表面加工後3300℃水素雰囲気炉内で脱炭処理を行い、基材の耐熱衝撃温度(ΔT)1000℃で、ヤング率20GPa、直径200mm、厚さ約800μmのガラス状カーボン製ダミーウェーハを得た。 【0028】■従来例SiCダミーウェーハを用意した。このSiCダミーウェーハは直径200mm、厚さ約800μmの円板形状で基材の耐熱衝撃温度(ΔT)350℃で、ヤング率320GPaである。 【0029】(3)評価試験方法ポリシリコンのCVD工程において、各試料をボートの上下に各10枚ずつの合計20枚を載置する。酸洗浄は堆積した膜厚が10μmに達した時点で行い、再使用する。 【0030】ダミーウェーハにクラックや割れが発生した場合には、その都度新しいダミーウェーハと交換した。 【0031】(4)評価結果評価結果を表1に示す。 【0032】 【表1】
■耐熱衝撃温度(ΔT)が低いとクラックや割れ数が増加し、パーティクルの発生によりCVD工程歩留(ダスト歩留)が低下することがわかった。 【0033】実施例は、耐熱衝撃温度が800℃で、耐熱衝撃温度1000℃の比較例2と共にダストによるパーティクルの発生は極めて少なく、パーティクルが発生したCVDウェーハを除外した製品歩留は97%と高位にある。 【0034】耐熱衝撃温度600℃の比較例1、耐熱衝撃温度350℃の従来例では共にクラックの発生があり、クラック発生により多量のダストを発生し、パーティクルにより製品歩留はそれぞれ79%、71%と低い。 【0035】■ヤング率が大きいとCVDによってダミーウェーハ表面に堆積した被膜がこの被膜とダミーウェーハ基材の熱膨脹係数の違いから、被膜に応力が生じ被膜にクラックを生じ、ダスト発生数の増加につながることがわかった。 【0036】実施例はヤング率が28GPaで、ヤング率20GPaの比較例2と共にダストの発生によるパーティクルの発生は極めて少なく、製品歩留は97%と高位にある。 【0037】ヤング率47PGaの比較例1、ヤング率320GPaの従来例はで、クラックが発生し多量のダストによるパーティクルにより製品歩留はそれぞれ79%、71%と低い。 【0038】■ヤング率が小さいとCVDによってダミーウェーハ表面に堆積した被膜がこの被膜とダミーウェーハ基材の熱膨脹係数の違いから生じる熱応力を反りにより逃がし、ダストによる歩留低下を防止できるが、ヤング率が低すぎると、反り量が大きくなり操炉中自動搬送での不具合し、またクラックや割れの原因となってダミーウェーハの寿命は短縮され寿命までのCVD操炉回数が減少することがわかった。 【0039】ヤング率が28GPaの実施例はCVD操炉回数が1800回と最も高位で生産性が高い。これに対し、ヤング率が20GPaの比較例2は、上述のようにクラックの発生、突発ダスト不良発生共なく、ダスト歩留は97%と実施例と同様に高位であるが、寿命が実施例の6ケ月に対して3ケ月と極めて短く、操炉回数も少ない。また、操炉中の反り量が大きくCVD炉の自動搬送において不都合が発生し、操炉回数も低下する。 【0040】■実施例だけがCVD工程歩留も高く、寿命も長く、寿命までのCVD操炉回数も最も多い。 【0041】 【発明の効果】本発明の半導体熱処理用ダミーウェーハは、ガラス状カーボンを基材としているので、酸洗浄により消耗せず、また基材のヤング率が25GPa〜35GPaであるので、使用時の熱応力や繰り返し使用による応力の蓄積、CVD膜種との熱膨脹係数の違いによる熱応力によるクラックの発生や割れを防止でき、寿命が長く、CVD等の工程歩留も高く、さらにCVD操炉回数もく生産性向上にも寄与し、さらにヤング率が25GPa〜35GPaで耐熱衝撃温度が700℃以上なので、一層効果的に寿命を長くでき、CVD等の工程歩留向上および生産性向上が可能である。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000221122 【氏名又は名称】東芝セラミックス株式会社
|
| 【出願日】 |
平成10年7月10日(1998.7.10) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100078765 【弁理士】 【氏名又は名称】波多野 久 (外1名)
|
| 【公開番号】 |
特開2000−30997(P2000−30997A) |
| 【公開日】 |
平成12年1月28日(2000.1.28) |
| 【出願番号】 |
特願平10−196095 |
|