トップ :: G 物理学 :: G07 チエツク装置

【発明の名称】 抽せん機
【発明者】 【氏名】小林 平和

【要約】 【課題】従来、複数(多数)個の球体のなかから無作為に1個乃至特定個を取り出す種類の抽せん器として福引き用のドラム型の抽せん器があったが、ドラムの中が見えないという公平さに欠け、また、ショーアップできないという解決すべき課題があった。

【解決手段】シャッター4が設けられた切り欠き部分を円周方向の少なくとも1箇所に有し透明または半透明材料で作られた円筒3と、その円筒3によって囲まれ、円筒3の中心軸の周りに駆動機構によって回転される床面1とからなる本体部を具え、数字または記号または文字をそれぞれ表記した複数の球体2が上記床面1に置かれ、かつ床面1が上記駆動機構によって回転されるとき、遠心力により円筒3の内壁に押しつけられた複数の球体2のうち、上記切り欠き部分に位置した球体が上記シャッター4を開くことによって切り欠き部分から取り出され得るように構成した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 シャッターが設けられた切り欠き部分を円周方向の少なくとも1箇所に有して透明または半透明材料で作られた円筒と、該円筒によって囲まれ、前記円筒の中心軸の周りに駆動機構によって回転される床面とからなる本体部を具え、数字または記号または文字をそれぞれ表記した複数の球体が前記床面に置かれ、かつ前記床面が前記駆動機構によって回転されるとき、遠心力により前記円筒の内壁に押しつけられた前記複数の球体のうち、前記切り欠き部分に位置した球体が前記シャッターを開くことによって前記切り欠き部分から取り出され得るように構成されていることを特徴とする抽せん機。
【請求項2】 請求項1記載の抽せん機において、該抽せん機はさらに、前記本体部の上方に透明または半透明材料で作られた攪拌手段を具え、該攪拌手段によって攪拌された前記複数の球体が前記本体部の床面に置かれるように構成されていることを特徴とする抽せん機。
【請求項3】 請求項1または2記載の抽せん機において、該抽せん機はさらに、前記本体部の下方に前記本体部と同一構造の別の本体部を少なくとも1個配置し、上方の本体部の前記切り欠き部分から取り出されなかった複数の球体のうちからも下方の本体部の前記切り欠き部分からは取り出され得るようにしたことを特徴とする抽せん機。
【請求項4】 請求項1乃至3のいずれか1項記載の抽せん機において、前記シャッターは、該シャッターが「開」状態のとき前記円筒の内壁に押しつけられた前記球体を急激な曲率半径の変化を伴うことなく前記円筒の外部に誘導するように、前記床面の回転方向でない側の前記切り欠き部分の一端を支点として開閉する開閉型のシャッターであることを特徴とする抽せん機。
【請求項5】 請求項3記載の抽せん機において、前記下方に配置した前記本体部のうち、少なくとも最下方に配置した本体部を除く本体部の前記床面には外周から前記円筒の中心軸に近づくに従って低くなるように傾斜が設けられ、かつ該傾斜が設けられた床面の中心軸の近傍には、シャッター付きのすき間が設けられていることを特徴とする抽せん機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、宝くじの抽せん等に供し得る抽せん機に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、宝くじや年賀状の当り番号の抽せん会では、それぞれが色分けされ、数字が表示されている複数の扇形区域に区分された回転円板を回転させて前方から矢を射り、その回転円板表面上に矢の刺さった位置の数字を当り番号とする抽せん機が多く使用されている。
【0003】また、商店会、デパートなどで福引きの抽せんによく使われる簡単な抽せん機として、何種類かの色の異なった多数の小球が閉じ込められたドラムをハンドルで回転させ、出てきた小球の色によって等級が決まるというものもある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記前者の回転円板を回転させて前方から矢を射る種類の抽せん機は、矢の刺さる位置が全くの偶然で決まるため、その公平性の高さと、それ自体ショー的要素をもっていることから長年にわたって使用されてきた。
【0005】また、後者の抽せん機は、出てくる小球は偶然性で決まるものの、閉じ込められている小球が前もって示されていないことや、ドラムの中が見えないことなどから生じる疑念のため宝くじの抽せんには使用できないが、小まわりのきく抽せん機として大へん便利なものである。
【0006】本発明の目的は、最近のゲーム機の隆盛の影響を受けて、やや飽きられてきた回転円板式の抽せん機に代って、いっそう刺激的で、時代感覚にマッチしてショーアップ効果が高められ、しかも完全に公平性が確保できる、宝くじや年賀状等の抽せん会用の抽せん機を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明抽せん機は、ある回転軸の周りに回転している床面の上に球体を置くと、その球体は遠心力により回転軸から遠ざかる方向に転がっていくということに着目してなされている。また、本発明抽せん機は、上記説明した従来の後者の抽せん機と異なり、球体がドラムの中に閉じ込められていて見えないということがなく、従って、公平性をきわめて高く保つことができるようにしたものである。
【0008】すなわち、本発明抽せん機は、シャッターが設けられた切り欠き部分を円周方向の少なくとも1箇所に有して透明または半透明材料で作られた円筒と、該円筒によって囲まれ、前記円筒の中心軸の周りに駆動機構によって回転される床面とからなる本体部を具え、数字または記号または文字をそれぞれ表記した複数の球体が前記床面に置かれ、かつ前記床面が前記駆動機構によって回転されるとき、遠心力により前記円筒の内壁に押しつけられた前記複数の球体のうち、前記切り欠き部分に位置した球体が前記シャッターを開くことによって前記切り欠き部分から取り出され得るように構成されていることを特徴とするものである。
【0009】また、本発明抽せん機は、該抽せん機がさらに、前記本体部の上方に透明または半透明材料で作られた攪拌手段を具え、該攪拌手段によって攪拌された前記複数の球体が前記本体部の床面に置かれるように構成されていることを特徴とするものである。
【0010】また、本発明抽せん機は、該抽せん機がさらに、前記本体部の下方に前記本体部と同一構造の別の本体部を少なくとも1個配置し、上方の本体部の前記切り欠き部分から取り出されなかった複数の球体のうちからも下方の本体部の前記切り欠き部分からは取り出され得るようにしたことを特徴とするものである。
【0011】また、本発明抽せん機は、前記シャッターが、該シャッターが「開」状態のとき前記円筒の内壁に押しつけられた前記球体を急激な曲率半径の変化を伴うことなく前記円筒の外部に誘導するように、前記床面の回転方向でない側の前記切り欠き部分の一端を支点として開閉する開閉型のシャッターであることを特徴とするものである。
【0012】また、本発明抽せん機は、前記下方に配置した前記本体部のうち、少なくとも最下方に配置した本体部を除く本体部の前記床面には外周から前記円筒の中心軸に近づくに従って低くなるように傾斜が設けられ、かつ該傾斜が設けられた床面の中心軸の近傍には、シャッター付きのすき間が設けられていることを特徴とするものである。
【0013】
【発明の実施の形態】以下に添付図面を参照し、発明の実施の形態に基づいて本発明を詳細に説明する。図1は、本発明抽せん機の基本構成を床面が回転しているときの状態で示し、(a)は上面図、(b)は上面図のX−X′線で切断して示す断面図である。図1(a),(b)において、1は中心軸の周りに回転される床面、2は数字または記号または文字を表記した球体、3は固定の(回転しない)円筒、4はシャッター(円筒3の切り欠き部分に設けられる)、および5は球体取り出し口である。
【0014】上記において、まず、床面1に複数の球体2が落とされ、かつ床面が静止している場合、床面1は中心(円筒3の中心軸)に向かうに従って低くなっているから、それら球体は床面1の中心軸に近い部分に転がって集まる。次に、図1(a),(b)に矢印pで示すように、床面1が回転を始めてある速度に達すると、各球体2に、図1(b)に矢印qで示す遠心力が働らき、全ての球体2は床面1の回転とともに転がりながら逐には円筒3の内壁に押しつけられるようになる。図1(a),(b)は、この状態を示している。また、円筒3は透明アクリル樹脂や透明強化ガラス等の透明または半透明材料で作られていて、中の球体2が外部から見えるようになっている。なお、床面1と円筒3とからなる部分を特許請求の範囲では、本体部と称している。
【0015】この状態において、円筒3の1箇所に設けられ、例えば、上下方向に移動するシャッター4を開けると、そのシャッター4に押しつけられていた特定の球体2が遠心力で飛び出して球体取り出し口5に送られ、球体取り出し口5の下向きの開口から下方に落下することになる。
【0016】床面1の回転中にシャッター4を開け、円筒3の内壁に押しつけられていた特定の球体2を取り出す機械−電気系の一例の構成を図2に示す。図2において、床面1は、モーター6および動力伝達手段7からなる駆動機構によって駆動される。本例では、動力伝達手段7としてプーリーとベルトが設けられている。
【0017】次に、シャッター4を上下に移動するために、シャッター4の上端下端にそれぞれリードが接続され、上端に接続されたリードは、常時は、シャッター4が「閉」の位置に来るようにスプリング9で引っ張られている。また、下端に接続されたリードは、指示があったときシャッター4を下方向に移動させ、シャッター4を「開」にするためにモーター8(減速機構を含む)で巻き取られるようになっている。
【0018】動作につき説明する。まず、スイッチSW1 が閉成されると電源Eから電力が供給されてモーター6が回転し、従って、床面1も回転させられる。この状態(床面1の回転中)において、スイッチSW2 が押圧されるとモーター8が回転してシャッター4の下端に接続されたリードを巻き取り、これによってシャッター4は「開」になる。ところが、リードには突起10が設けられ、これがスイッチSW3 に当たることにより当初閉であったこのスイッチSW3 を開にし、モーター8に電力を供給することを停止する。これにより、モーター8がスプリング9に引っ張られて逆回転するとともに、シャッター4は「閉」になる。なお、一定時間後にスイッチSW3 を閉に復帰させるには、時定数回路を使用するなど適宜の方法が講じられる。
【0019】また、いったん「開」にしたシャッター4を「閉」にする別の構成として、例えば、飛び出した球体により球体取り出し口5の球体2の当たる位置に取り付けたマイクロスイッチの押し釦11(図2参照)を押圧させるようにして、いったん開かれたシャッター4を2個目の球体2が飛び出さないうちに直ちに閉じるように構成してもよい。ただし、連続して複数の球体2を取り出し、それら取り出し順序が明確に判定できるように抽せん機を構成する場合には、この限りではない。
【0020】上述の本体部の構成例においては、球体2を取り出すめたの切り欠き部分を、球体2が1個通れる程度の狭い切り欠き部分とし、シャッター4は上下方向に移動するものとしたが、本発明抽せん機はこれに限られるものでなく、各種の変形例を含み得るものである。
【0021】上述例は本発明抽せん機の基本構成を説明するものであるが、この構成では、切り欠き部分が球体1個通れる程度で、床面の回転の速さや、シャッターを開にしたときの球体の位置によっては球体が取り出せないことが懸念される。この点を改良するため、以下に説明する別の構成例においては、広幅の切り欠き部分を設けるものとする。
【0022】図3は、本構成例を上面図で示している。本構成例では、シャッター付きの切り欠き部分が円周方向に2箇所設けられているが、それぞれの切り欠き部分は床面の回転方向に対応させて使用されるものである。
【0023】図3においては、床面1が矢印方向に回転しているとき、1個の球体がシャッター付きの切り欠き部分から取り出される状況を示している。この場合、円筒3には湾曲したシャッター4′の長さにほぼ等しい切り欠き部分が設けられ、シャッター4′が「開」になると、円筒3の切り欠き部分に存在したすべての球体2は一端(床面の回転方向でない側の切り欠き部分の一端)を支点として開くシャッター4′に沿って(すなわち、急激な曲率半径の変化を伴うことなく)外に出ようとするが、先頭の1個の球体が球体取り出し口5′に入ったことをセンサ(図示しない)が確認すると、直ちにシャッター4′を閉じて円筒3からはみ出していた球体2をもとの円筒3内に押し戻す。
【0024】この構成によれば、シャッター4′を開けたにもかかわらず、球体が取り出せないなどといった事態を生ずることもなく、また、1個の球体の取り出しを確認すると、直ちにシャッター4′を閉じて円筒3からはみ出していた残りの球体2を円筒3内に押し戻すようにしているから、切り欠き部分が広いにもかかわらず、2個以上の球体が球体取り出し口5′から取り出されるといった事態も生じ得ない。この場合の、シャッター4′の駆動系は、前述のスプリング9とモーター8(図2参照)に代えて、支点のバネとバネの力に抗してシャッター4′を開けるための電磁石(いずれも図示しない)を使用することでより安定化される。
【0025】以上のようにして、それぞれ数字または記号または文字が表記されている複数の球体2のうちから、全くの偶然性によって決まる1個の球体2を球体取り出し口5または5′から取り出し、取り出された球体2に表記された数字または記号または文字を当選番号(記号や文字の場合、当りくじ)として認識することができる。また、当選番号の桁数が多い場合には、その桁数に応じ、本発明抽せん機に入れるそれぞれ異なる数字が表記された球体の数、あるいは抽せん回数を適宜調整することによって、如何なるケースにも対応し得ることは明らかである。
【0026】上述した本発明抽せん機は、図1(a)または図3において、偶々シャッター4または4′の場所にあった球体2がシャッター4または4′を開けることにより取り出されるのであるから、抽せんに作偽的な要素が入り込む余地はなく、また、床面1には蓋がされていないので全ての球体2は見える状態にあり、十分な公平性を確保することができる。
【0027】しかし、本発明抽せん機の床面1に落とされた複数の球体2に関して、表記された数字などの片寄りが心配され、抽せんをより慎重に行わなければならない抽せん会に使用される抽せん機においては、上記説明した抽せん機の上方に複数の球体2の片寄りを防止するための攪拌器を設けるのがよい。
【0028】以下に、攪拌器を設けた本発明抽せん機について説明する。図4は、本発明による攪拌器付き抽せん機を正面上方から見た図で示している。図4において、符号1から5までは図1(a),(b)に付したものと同一物を指しているのでその説明は省略する。次に、符号12は抽せんする全ての球体2をあらかじめ並べて確認できるようにするカートリッジ、13,16はシャッター、また、14は球状の、前述の円筒3と同様透明アクリル樹脂や透明強化ガラス等の透明または半透明材料を用いて作られ、内部に攪拌フィン15を内蔵した攪拌器である。
【0029】攪拌器14においては、球体2に表記された数字などを確認するため、球体2を数字順にカートリッジ12に並べた場合であっても、全ての球体2をシャッター13を開けて攪拌器14に入れ(このとき、排出用シャッター16は閉じているものとする)、攪拌フィン15により攪拌した後には近い数字の球体2が塊となって残らないように、透明容器の外部から実際に見ながら十分に攪拌する。
【0030】攪拌器14における球体2の攪拌は、本例では、ミキサー等で使用されている攪拌フィン(図4に、符号15で示す)でかき混ぜるものとしたが、これは、フィンに代えて棒状のものでかき混ぜてもよい。また、球体2がある程度軽い場合には、エアー吹き上げによる攪拌も考えられる。さらに、フィンとエアーの両方によって攪拌すれば一層の攪拌効果が期待できる。
【0031】また、本発明抽せん機においては、図1(a),(b)または図3に示す抽せん機を上下方向に複数個配置し、上方の抽せん機の球体取り出し口から取り出されなかった複数の球体のうちからも下方の抽せん機の球体取り出し口からは取り出され得るようにすることもできる。
【0032】図5は、上述(図1(a),(b)参照)の抽せん機を上下方向に3個配置して構成した場合を概略の断面図で示している。図5は、上方の抽せん機による抽せんが終了し、上方の抽せん機の床面1の回転が遅くなった状態を示し、上方の抽せん機の球体取り出し口17から取り出された1個を除いて残りの球体2が、上方の抽せん機の床面1の中心軸の周りのすき間を通って中方の抽せん機の床面1に落下する様子を示している。
【0033】本例のように、抽せん機を上下方向に複数個配置する場合には、上方の抽せん機にある全ての球体2が下方の抽せん機の床面1に落ちるように、床面1は円筒3の中心軸に近づくに従って低くなるように傾斜が設けられるものとする。また、球体2が下方の抽せん機の床面1に落ちるためには、球体落下用のすき間が必要であり、このすき間は落下時以外はシャッター18によって閉ざされている。図5において、上方の抽せん機のシャッター18は、斜線で示すように下側にずれた位置にあり球体2が落下するすき間を形成している。一方、中方の抽せん機のシャッター18は開かないので、図示のように、完全にすき間を閉ざしている。なお、符号19は上方、中方および下方の中せん機を貫ぬく中心軸を示し、これはまた、シャッター18の滑り軸ともなっている。
【0034】また、図5の構成例では、上方、中方、下方それぞれの抽せん機の床面1からそれぞれシャッター4を開くことによって取り出される球体は全て球体取り出し口17を介して下方に落下するようになっているが、これは、各抽せん機ごとに球体取り出し口5(図1(a),(b)参照)を設けるようにしてもよい。また、取り出した球体2に表記されている数字(当選番号)などを観客に対してどのように呈示するか、およびそのための装置に関しては、本発明の範囲ではないので、その説明は省略する。
【0035】
【発明の効果】本発明抽せん機によれば、従来福引き等で使用されているドラム型の抽せん機のように、複数(多数)個の球体のなかから無作為に1個乃至特定個を取り出すという種類の抽せん機を、上述した構成にするとともに、抽せん機の構成要素である円筒や攪拌器を透明または半透明材料で作ることによって抽せんの全てのプロセスが外部から見えるようにし、従って、公平性をきわめて高く保って、ショー的要素が要求される大規模な抽せん会に使用するのに最適な抽せん機として実現した。
【出願人】 【識別番号】595071933
【氏名又は名称】株式会社エヌ・エイチ・ケイ・アート
【出願日】 平成11年1月14日(1999.1.14)
【代理人】 【識別番号】100059258
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 暁秀 (外8名)
【公開番号】 特開2000−207603(P2000−207603A)
【公開日】 平成12年7月28日(2000.7.28)
【出願番号】 特願平11−7469