トップ :: G 物理学 :: G06 計算;計数




【発明の名称】 移動体用コンピュータ
【発明者】 【氏名】服部 克己

【要約】 【課題】車両等の移動体に搭載されたコンピュータにおいて、ソフトウエアのバージョンアップ処理等の大量のデータのやり取りを伴う処理を高速に実行できるようにする。

【解決手段】移動体用コンピュータでは、電源電圧などがある程度変動しても正常に動作するように、クロック周波数や通信速度などがハードウエア自体の最高性能より低い値に設定されている。そこで、バージョンアップの指示が入力された場合(S12)、電源であるバッテリの電圧や周辺温度などの環境情報を取得し(S14)、環境が一定の条件を満足していれば(S16)、クロック周波数や通信速度などを通常時よりも高い値に切り替えることにより(S18)、バージョンアップ処理を高速に実行する(S20)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 通常モードと、それより動作速度の速い高速モードの少なくとも2つの動作モードで動作することが可能なハードウエアを有する移動体用コンピュータであって、通常時には前記ハードウエアを通常モードで動作させる通常時制御手段と、予め登録された所定の処理が指示された場合に、前記ハードウエアの動作モードを高速モードに切り替える切替手段と、を有する移動体用コンピュータ。
【請求項2】 前記高速モードでは、前記ハードウエアのクロック周波数を前記通常モード時より高い所定値に変更すること、前記ハードウエアの電源電圧を前記通常モード時より高い所定値に変更すること、又は前記ハードウエアの通信速度の設定を前記通常モード時より高い所定値に変更すること、のうち少なくとも一つが実行されることを特徴とする請求項1記載の移動体用コンピュータ。
【請求項3】 前記切替手段は、前記ハードウエアの環境が、高速モード動作に適した環境条件として予め登録された条件を満足するか否かを判定する手段を有し、前記ハードウエアの環境が前記高速モード動作に適した環境条件を満足すると判定した場合にのみ高速モードへの切替を行うことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の移動体用コンピュータ。
【請求項4】 前記高速モード動作に適した環境条件には、前記移動体用コンピュータの電源電圧が所定値以上であることが含まれることを特徴とする請求項3記載の移動体用コンピュータ。
【請求項5】 前記高速モード動作に適した環境条件には、前記移動体用コンピュータを搭載した移動体が停止状態にあることが含まれることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の移動体用コンピュータ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両等の移動体に搭載される移動体用コンピュータに関する。
【0002】
【従来の技術】最近の自動車には、エンジン制御や走行制御、ナビゲーションや情報通信などのために、多くのコンピュータが搭載されている。近年コンピュータのハードウエア性能は著しく向上しているが、車載コンピュータは必ずしもその高いハードウエア性能を最大限に利用しているわけではない。それには次のような理由がある。
【0003】一つは、車載環境の厳しさである。自動車は寒暑様々な環境で使用されるので、それら車載コンピュータの使用環境も様々に変わる。また、車載コンピュータは、車載バッテリを電源としているため電源電圧が変動しやすい。したがって、良好な使用環境を期待できるオフィス用等のコンピュータと異なり、厳しい環境でも正常に動作するような配慮が必要となる。このため車載コンピュータは、ハードウエアが持っている本来の性能より抑えた性能設定で使用されていた。例えば、プロセッサは、温度や電源電圧が低くなると動作保証できるクロック周波数も低くなる。車載コンピュータは、CPU、通信制御用など、様々なプロセッサを有しているが、それらプロセッサは、寒冷時やエンジンスタート時等大電力を使用する時でも安定な動作を保証するために、本来発揮できる最高のクロック周波数よりも低いクロック周波数で使用されていた。
【0004】ハードウエアの最高性能を発揮させられないもう一つの理由は、他の車載機器に対する干渉を避けるためである。自動車には、ラジオ等の機器が搭載されている。コンピュータの発する高周波が近くのテレビやラジオのノイズ源になることはよく知られているが、この事情は車載コンピュータでも同様である。このため、車載コンピュータは、ラジオ等のノイズを抑えるために、プロセッサの最高クロック周波数よりもかなり低い周波数で使用されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】自動車における情報処理の高度化・多様化により、車載用のソフトウエアの改良、新規開発が盛んに行われており、車両販売後のソフトウエアのバージョンアップやインストールを考慮する必要が出てきている。ここで問題となるのが、バージョンアップ等の処理に要する時間である。高度な機能を実現するソフトウエアはそのサイズも大きくなるので、バージョンアップ等にかかる時間も長くなりがちである。特に、車載コンピュータは、前述の如くクロック周波数を抑えて使用しているため、バージョンアップ等の処理に要する時間はかなり長くなる。バージョンアップ等は、例えば車両販売店の業務として提供されたり、ユーザが自分でおこなったりすることが考えられるが、いずれの場合でも時間が長くかかることは好ましくない。
【0006】また、自動車と外部との情報通信はこれからますます増えることが予想され、画像データなどの大量のデータをやり取りすることも十分考えられる。このようなデータ通信も、処理にあまりに時間が掛かったのでは実用性の面で問題となる。
【0007】なお、このような問題は、自動車に搭載するコンピュータに限らず、環境の変動や電源電圧の変動が起こりやすい移動体用のコンピュータに共通する問題である。
【0008】本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、移動体用コンピュータにおいて、ソフトウエアのバージョンアップやデータ通信などの処理速度を改善することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明に係る移動体用コンピュータは、通常モードと、それより動作速度の速い高速モードの少なくとも2つの動作モードで動作することが可能なハードウエアを有する移動体用コンピュータであって、通常時には前記ハードウエアを通常モードで動作させる通常時制御手段と、予め登録された所定の処理が指示された場合に、前記ハードウエアの動作モードを高速モードに切り替える切替手段とを有する。
【0010】この構成では、バージョンアップ処理やデータ送受信処理など大量のデータの転送を伴う処理を、高速モードが望ましい処理として予め移動体用コンピュータに登録しておくことにより、その処理をユーザが移動体用コンピュータに指示した場合は、切替手段が移動体用コンピュータのハードウエアの動作モードを通常モードから高速モードに切り替える。これにより、通常時に抑えられていたハードウエアの動作速度が高速になるので、バージョンアップ等の処理に要する時間を短縮することができる。
【0011】高速モードは、例えばハードウエアのクロック周波数を通常モード時より高い所定値に変更したり、ハードウエアの電源電圧を通常モード時より高い所定値に変更したり、あるいは通信速度の設定を通常モード時より高い所定値に変更したりすることにより実現できる。クロック周波数を上げればハードウエアの処理速度が向上するので処理時間を短縮できる。ただし、クロック周波数を上げられるのはそのハードウエアの仕様の上限までであることは言うまでもない。また、一般にプロセッサの最高クロック周波数は電源電圧が高いほど高くなるので、電源電圧を上げることによりクロック周波数を上げることが可能になる。また、記録媒体にフラッシュメモリ等を用いている場合、電源電圧が上がると書込/消去時間が短くなるので、バージョンアップ等の処理速度が向上する。また、移動体用コンピュータが接続されたLAN等のネットワークの通信速度を上げれば、データ転送速度が速くなり、処理速度が向上する。
【0012】本発明の好適な態様では、前記切替手段は、前記ハードウエアの環境が、高速モード動作に適した環境条件として予め登録された条件を満足するか否かを判定する手段を有し、前記ハードウエアの環境が前記高速モード動作に適した環境条件を満足すると判定した場合にのみ高速モードへの切替を行う。
【0013】この態様では、移動体用コンピュータのハードウエアの環境が高速モードに適していると判定された場合にのみ高速モードへの切替が行われるので、切替後のハードウエアの安定動作を保証することができる。
【0014】高速モード動作に適した環境条件としては、例えば、電源電圧が所定値以上であることが考えられる。このように電源電圧が所定値以上であるかどうかを検査することにより、高速モード時の高いクロック周波数でのハードウエアの安定動作を保証することができる。また、高速モード動作に適した環境条件として、移動体用コンピュータを搭載した移動体が停止状態にあることを確認することも好適である。停止状態では、移動時に比べて環境が遥かに安定しているため、高速モード動作の途中でハードウエアの動作が不安定になる可能性が低くなる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態(以下実施形態という)について、図面に基づいて説明する。以下では、移動体用コンピュータとして自動車に搭載される車載コンピュータを例にとって説明する。
【0016】図1は、本発明が適用される車載コンピュータ10を含んだ車内ネットワークシステムを概略的に示す図である。図1には、車内ネットワークシステムのうち、本実施形態に関連する部分のみを示す。
【0017】車載コンピュータ10の処理内容を記述したプログラム、データ等は、フラッシュメモリ104に保存されている。フラッシュメモリ104内のプログラムは、CPU102により実行される。発振回路108は、CPU102を含む車載コンピュータ10の各種処理回路に供給するクロック信号を出力する。発振回路108は、複数の異なる周波数のクロック信号を生成することができる。発振回路108が出力するクロック信号の周波数(クロック周波数)は、クロック周波数制御回路110により制御される。クロック周波数制御回路110は、CPU102から供給されるクロック制御信号に応じて、クロック周波数を制御する。
【0018】電源回路112は、フラッシュメモリ104やCPU102など各種処理回路に電源供給を行うための回路であり、CPU102からの指示に基づき出力電圧を可変することができる。温度センサ114は、車載コンピュータ10内に設けられ、車載コンピュータ10内の温度を検出する。
【0019】また、車載コンピュータ10は、通信制御回路106a、106bを介して車内LAN30、モデム116に接続されている。車内LAN30には、ディスプレイ20やラジオ22などの各種車載機器や、車載バッテリの電圧を監視するバッテリ電圧監視部24や、車速を検出する車速センサ26などが接続されている。バッテリ電圧監視部24や車速センサ26は、特に本実施形態のために設けたものではなく、従来の自動車にも一般に装備されているものである。また、モデム116は、自動車電話や携帯電話などの通信装置12に接続されている。
【0020】車載コンピュータ10には、クロック周波数や電源電圧、通信制御回路106a,106bやモデム116の通信速度など様々な動作パラメータがある。車載コンピュータ10では、ある程度の悪条件下でも安定動作を保証し、かつ周辺のラジオ等の機器への干渉を低減するため、これらのパラメータのデフォルト値が、最高性能値よりも低い値に定められている。例えば、クロック周波数は、電源電圧低下による安定動作可能なクロック周波数の低下や、ラジオ22などへの高周波干渉などを考慮して、可能な最高周波数より低い所定の周波数(通常周波数と呼ぶ)に設定されている。また、通信制御回路106a,106bの通信速度も、同様の理由で最高速度(通常速度と呼ぶ)より小さな値に設定されている。車載コンピュータ10が、このようなデフォルトの動作パラメータで動作するモードのことを、通常モードと呼ぶ。車載コンピュータ10は、後述する高速モード動作の場合以外は、この通常モードで動作する。
【0021】このようなシステムにおいて、車載コンピュータ10のソフトウエアのバージョンアップを行う場合を考える。この場合、例えば、車内LAN30に接続されたコネクタに書換ツール40を接続する。書換ツール40は、例えばCD−ROMドライブやフロッピー(登録商標)ディスクドライブなどであり、新バージョンのソフトウエアなどを記憶したCD−ROMやフロッピーディスクが挿入される。なお、新バージョンのソフトウエアの記録媒体は、ROMなどでもよい。書換ツール40を接続後、車載コンピュータ10でバージョンアップ処理用のプログラムを実行することにより、フラッシュメモリ104上のソフトウエアの書換処理が開始される。バージョンアップ処理のためのプログラムは、フラッシュメモリ104に予め保存されていてもよいし、書換ツール40の記録媒体に保存されていてもよい。
【0022】ここで、本実施形態では、書換処理の処理時間を短縮するために、実際の書換処理を始める前に、動作モードを通常モードから高速モードへ切り替える処理を行う。高速モードでは、クロック周波数や通信速度などを通常モードより上げることにより、高速な処理が可能になる。ただし、ただ単に高速モードに切り替えるだけでは、その時の環境によっては、車載コンピュータ10の動作が不安定になる可能性も考えられる。そこで、本実施形態では、環境条件が良好であることを確認した後、高速モードに切り替える仕組みを採っている。
【0023】本実施形態では、このような仕組みを、図2に示す環境情報取得部200、モード切替判定部202、環境条件記憶部204、及びモード切替処理部206により実現する。
【0024】環境条件記憶部204には、高速モード動作に適した環境条件が記憶されている。このような環境条件には、例えば高速モード動作に必要な最低限のバッテリ電圧や、高速モード動作に適した温度の範囲などが含まれる。このような条件を満たさない環境で高速モードへの切り替えを行うと、各種処理回路の安定動作は保証できない。また、安全面やバージョンアップ処理の確実性を考慮すれば、環境条件として車両が停止していることを確認することも好適である。この場合、環境条件記憶部204には、車両停止を判定するための例えば車速に関する条件が登録される。
【0025】環境情報取得部200は、温度センサ114、バッテリ電圧監視部24、車速センサ26から温度、バッテリ電圧、車速などの環境情報を取得する。なお、温度情報は、エアコンディショナーなどから得てもよく、このようにすれば温度センサ114は必ずしも必要ない。
【0026】モード切替判定部202は、取得した環境情報に基づき、現在の環境が、環境条件記憶部204に記憶されている環境条件を満足しているか否かを判定し、環境条件を満足している場合にモード切替処理部206に対し、高速モードへの切り替え指令を発する。なお、車両が停止しているか否かの判定は、車速の代わりに車輪速で判定してもよく、更にエンジンスイッチやシフトポジションなどの情報を加味して判定してもよい。
【0027】モード切替処理部206は、この切り替え指令を受けると、例えばクロック周波数を通常周波数より高い所定の高速モード周波数に切り替えることを指示するクロック制御信号をクロック周波数制御回路110に与える。高速モード周波数は、例えば車載コンピュータ10のCPU102等の各種処理回路が対応可能な最高周波数であり、これは各種処理回路の定格から予め求めることができる。このような切り替えにより、車載コンピュータ10におけるクロック周波数が高くなり、高速な処理が可能になる。
【0028】なお、クロック周波数の切り替えと同時に、通信制御回路106aの通信速度の設定を、通常速度より速い所定速度に切り替えたり、電源回路112から出力される電源電圧を通常モード時より高い値に切り替えることも好適である。
【0029】通信速度を上昇させれば、書換ツール40から車載コンピュータ10へのデータ転送速度が増大し、バージョンアップ処理時間が短縮される。ここで、通信制御回路106aの通信速度を上昇させる場合には、車内LAN30の形式によっては、車内LAN30を管理するコンピュータに対して通信速度を上げる旨の通知を行う必要がある。この場合、この通知を受けたLAN管理コンピュータは、データ転送に関係する車載コンピュータ10と書換ツール40を除く他の車内LAN30上のシステムに対してデータ転送動作の禁止を指示する。これにより、それら他のシステムの誤動作が防止できると共に、バージョンアップ処理のためのデータ転送用の帯域が確保できる。
【0030】また、電源電圧を上昇させると、各種処理回路の最高動作周波数が高くなるので、電源電圧を上昇させない場合よりクロック周波数を高い値に設定することができる。また、フラッシュメモリ104の書込/消去時間は電源電圧が高いほど短くなるので、この効果によってもバージョンアップ処理時間が短縮される。
【0031】このような各種動作パラメータの切り替えにより、高速モード動作が可能となる。なお、クロック周波数、通信速度、電源電圧の切り替えは、処理速度向上の観点から言えばすべて行うことが好適であるが、以上の説明からすれば、いずれか1つの切り替えのみでも(もちろん2つの組合せでも)速度向上効果が得られることは明らかであろう。
【0032】また、モード切替処理部206は、以上のような動作パラメータの高速モード時の値への切り替えに加え、ラジオ22など、高速モード動作により影響の出る車載機器に関する対応処置を実行する。このような対応処置としては、ラジオ22などに対し、電源オフやボリューム低下などを指示する信号を出力する処理が可能である。これにより、不快なノイズが聞こえなくなる。また、ノイズ発生のおそれを知らせる警告をディスプレイ20等に表示するという処置も可能である。テレビもラジオと同様車載コンピュータ10からの高周波の影響を受けるので、テレビを搭載した車両では、テレビについても同様の処置を行うことが好適である。なお、このような処置をとる代わりに、ラジオやテレビがオフ状態であることを高速モードへ切り替えるための環境条件としてもよい。
【0033】そして、モード切替処理部206は、バージョンアップ処理が終了すると、クロック周波数や通信速度などを通常モード時の設定値に戻す。
【0034】以上説明した高速モードへの切り替えのための構成は、車載コンピュータ10でソフトウエア的に実現される。すなわち、環境情報取得部200、モード切替判定部202、モード切替処理部206の処理内容を記述したプログラムや、環境条件記憶部204の環境条件データは、バージョンアップ処理が指示されると呼び出されるプログラムとしてフラッシュメモリ104に保存しておいてもよく、またバージョンアップ処理プログラムの一部として書換ツール40に保存しておおいてもよい。いずれにしても、バージョンアップ処理が指示されると、これらプログラムやデータがCPU102で実行される。ここで、バージョンアップ処理プログラムは、フラッシュメモリ104や書換ツール40から、車載コンピュータ10のメインメモリ(図示省略)にロードして処理しても良い。これにより、図2に示したそれら各種処理ユニットが実現される。
【0035】次に、図3を参照して、本実施形態の処理手順を説明する。本実施形態では、ユーザインタフェースを介して処理指示の入力を受けると(S10)、車載コンピュータ10は、指示された処理がバージョンアップ処理か否かを判定する(S12)。バージョンアップ処理でない場合は、指示された処理がそのまま実行される(S24)。バージョンアップ処理の場合、図2に示した機能構成が車載コンピュータ10内に実現され、高速モードへの切り替えの可否を判定する。すなわち、まず温度、バッテリ電圧などの環境情報を取得し(S14)、その環境情報が所定の環境条件を満足しているか否かを判定する(S16)。環境条件を満足している場合には、クロック周波数や通信速度の切り替え、ラジオ等へのボリューム低下などの処置が行われ、この結果、車載コンピュータの動作モードが通常モードから高速モードに移行する(S18)。そして、この高速モードで、バージョンアップ処理が実行される(S20)。バージョンアップ処理が完了すると、クロック周波数や通信速度などのパラメータが通常モード時の値に戻され、ラジオ等の状態が元に戻される(S22)。このような処理により、バージョンアップ処理を、高速かつ確実に実行することができる。
【0036】なお、S16において環境条件が満たされなかった場合は、通常モードのままバージョンアップ処理が実行される(S24)。この場合、バージョンアップ処理を始める前に、このまま通常モードでのバージョンアップ処理を実行するか否かをユーザに選択させてもよい。このとき、ユーザの判断を助けるため、高速モード動作のためにはどの環境条件を整えればよいかや、通常モードと高速モードでのおおよそのバージョンアップ所要時間などをディスプレイ20等に表示することも好適である。
【0037】また、S12におけるバージョンアップ処理か否かの判定は、S14〜S22の処理がバージョンアップ用プログラム(あるいはバッチファイル)として一体になっている場合は、そのパージョンアップ用プログラムの実行が指示されたか否かということである。すなわちこの場合、明示的な判定処理は行われず、そのバージョンアップ用プログラムの実行指示により、S14以降の処理が行われることになる。
【0038】以上、本発明の好適な実施形態を説明した。以上説明した本実施形態の方式は、車両に搭載された各種コンピュータに適用可能である。
【0039】以上では、書換ツール40を車内LAN30に接続してバージョンアップを行ったが、書換ツール40を専用の通信ケーブルで直接車載コンピュータ10に接続してバージョンアップを行う場合にも、上記のモード切替処理は有効である。
【0040】また、モデム116及び通信装置12を介し、インターネットや商用ネットワークなどからソフトウエアをダウンロードしてバージョンアップを行う場合にも、本実施形態の方式は適用可能である。この場合、高速モード動作のために、通信制御回路106bやモデム116の通信速度の設定を、高い値に切り替えることが好適である。
【0041】また、例えばディーラ(車両販売店)でバージョンアップ処理を行う運用形態をとった場合、ディーラでは環境が整っている(あるいは予め技術者が環境条件を検査する)ことが一般的なので、車載コンピュータ側で環境条件のチェックを行うことは不要になる。
【0042】また、以上では、車載コンピュータ10のソフトウエアのバージョンアップ処理を例にとって説明したが、本実施形態の手法は、バージョンアップ以外にも、画像データその他の大量のデータを、例えば車両と外部のネットワークとの間でやり取りするする場合にも適用可能である。この場合、高速モードに切り替えることが好適な処理が予め車載コンピュータ10に登録されており、その処理の実行が指示された場合に、図3のS14以降の処理を行えばよい。
【0043】また、以上では、自動車に搭載される車載コンピュータを例にとったが、本実施形態の方式は、その他様々な移動体に搭載されるコンピュータにも適用可能である。
【出願人】 【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【出願日】 平成10年11月12日(1998.11.12)
【代理人】 【識別番号】100075258
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 研二 (外2名)
【公開番号】 特開2000−148475(P2000−148475A)
【公開日】 平成12年5月30日(2000.5.30)
【出願番号】 特願平10−321895