トップ :: G 物理学 :: G02 光学




【発明の名称】 プラズマアドレス表示装置
【発明者】 【氏名】松島 康浩

【要約】 【課題】中間基板の損傷が発生しないプラズマアドレス表示装置を提供する。

【解決手段】中間基板を共通基板としてプラズマセルと液晶セルとが積層形成されてなるプラズマアドレス表示装置であって、前記液晶セルを構成する対向基板と前記中間基板との液晶層側にはそれぞれ配向層が形成され、少なくとも前記中間基板に形成された配向層は光を照射することにより配向処理が行われたものであることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 中間基板を共通基板としてプラズマセルと液晶セルとが積層形成されてなるプラズマアドレス表示装置であって、前記液晶セルを構成する対向基板と前記中間基板との液晶層側にはそれぞれ配向層が形成され、少なくとも前記中間基板に形成された配向層は光を照射することにより配向処理が行われたものであることを特徴とするプラズマアドレス表示装置。
【請求項2】 前記中間基板の配向層は複数の領域を有し、該複数の領域は隣り合う2つの領域の配向状態が異なることを特徴とする請求項1記載のプラズマアドレス表示装置。
【請求項3】 前記複数の領域は、互いに平行であることを特徴とする請求項2記載のプラズマアドレス表示装置。
【請求項4】 前記対向基板は、ラビング法により配向処理が行われたものであることを特徴とする請求項1乃至3に記載のプラズマアドレス表示装置。
【請求項5】 前記中間基板の厚みは、70μm以下20μm以上であることを特徴とする請求項1乃至4に記載のプラズマアドレス表示装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラズマアドレス表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、液晶セルを用いたマトリクスタイプの電気光学装置、例えば液晶表示装置を高解像度化、高コントラスト化するための方法としては、各画素毎に薄膜トランジスタ等のスイッチング素子を設け、これを線順次で駆動する方式が一般に知られている。しかしながら、この場合、薄膜トランジスタのような半導体素子を基板上に多数設ける必要があり、特に大面積の大型表示にした場合、製造歩留りが悪くなるという問題があった。
【0003】そこで、この問題を解決する方法として、特開平1−217396号公報においては、薄膜トランジスタ等からなるスイッチング素子に代えてプラズマスイッチを利用するプラズマアドレス表示装置を提案している。
【0004】このプラズマアドレス表示装置の一例を図8に示す。これは、ガラス等からなる薄い誘電体の中間基板103と対向基板111との間に電気光学材料層である液晶層101を挟持した液晶セル100と、中間基板103とガラス基板104との間にプラズマの放電がなされるプラズマ室102が形成されたプラズマセル110とが、中間基板103を共通基板として積層形成されたものである。
【0005】プラズマセル110は以下のようにして形成されている。まず、ガラス基板104上に互いにほぼ平行な帯状の導電ペーストよりなる一対のプラズマ電極105a、105bが複数本等間隔をもって配置され、一対のプラズマ電極105a、105bの各一端部にはこれらプラズマ電極105a、105bに電圧を印加するための端子(図示せず)が交互に設けられている。さらに、各一対のプラズマ電極105a、105b毎に隔絶するようにガラスペーストよりなるバリアリブ106が互いに平行に形成され、各プラズマ電極105a、105b毎にプラズマ室102とされている。このプラズマ室102内にはイオン化可能なガスが封入され、各放電領域102内では、各プラズマ電極105a、105bがそれぞれアノード及びカソードとして機能する。そして、これらバリアリブ106の上端部及びガラス基板104の周縁部に設けられたフリットシール107により中間基板103の下部が支持固定されている。
【0006】液晶セル100を構成する中間基板103上には液晶の配向を整えるための配向層108aが、また対向基板111上には複数のデータ電極112及び配向層108bが形成され、これらの配向層108a,108b間にネマティック液晶等からなる液晶層101がその周囲を液晶シール109に支持されて設けられている。データ電極112は、各プラズマ電極105と直交しており、各プラズマ電極105との各交差領域が各画素に対応している。
【0007】このようなプラズマアドレス表示装置においては、プラズマ電極105a、105bに電圧を印加するための各端子により、プラズマ放電が行われるプラズマ室102を順次切り替え走査するとともに、液晶層101側のデータ電極112にこれと同期して信号電圧を印加することによって該信号電圧が各画素に保持され、液晶層101が駆動される。したがって、各プラズマ室102がそれぞれ1走査ラインに相当し、走査単位毎に放電領域が分割されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記従来のプラズマアドレス表示装置においては、中間基板及び対向基板に設けられた配向層の配向処理方法として、布を使用したラビング法が用いられていた。1mm程度の厚みのガラスを使用した液晶表示装置では、ラビングを行なったとしてもほとんどガラスの破損は発生しなかったが、プラズマアドレス表示装置においては、中間基板として通常厚みの薄いガラスが用いられるため、中間基板をラビングした場合、しばしば中間基板の破損が発生していた。
【0009】また、中間基板貼合わせ後は、プラズマ室内部の洗浄を行なうことが困難であり、ラビングを行なった場合、多くのダストが発生してプラズマ室内部に残留することがあった。
【0010】また、このようなプラズマアドレス表示装置の広視野角化を図るために、特開平7−120728号公報に示されるような軸対称の配向を行うことが考えられているが、こういった配向を行うためには対向基板に壁等を形成する必要があるため工程が複雑であった。
【0011】本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、製造プロセスが簡単で、さらには広視野角化を実現することができるプラズマアドレス表示装置を実現するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明のプラズマアドレス表示装置は、中間基板を共通基板としてプラズマセルと液晶セルとが積層形成されてなるプラズマアドレス表示装置であって、前記液晶セルを構成する対向基板と前記中間基板との液晶層側にはそれぞれ配向層が形成され、少なくとも前記中間基板に形成された配向層は光を照射することにより配向処理が行われたものであることを特徴とする。
【0013】また、本発明のプラズマアドレス表示装置は、前記中間基板の配向層は複数の領域を有し、該複数の領域は隣り合う2つの領域の配向状態が異なることを特徴とする。
【0014】また、本発明のプラズマアドレス表示装置は、前記複数の領域が互いに平行であることを特徴とする。
【0015】また、本発明のプラズマアドレス表示装置は、対向基板がラビング法により配向処理が行われたものであることを特徴とする。
【0016】また、本発明のプラズマアドレス表示装置は、前記中間基板の厚みが70μm以下20μm以上であることを特徴とする。
【0017】以下、作用について説明する。本発明のプラズマアドレス表示装置によれば、従来のラビング法による配向処理のように薄い基板に直接力が加わることがないため、基板の破損が発生することがない。また、照射する光を制御することで、10°以下のプレチルト角の制御が容易に行えるので、所望のプレチルト角の設定が簡単にできる。さらに、ダストがプラズマ室内部に残留するといった問題も生じない。
【0018】また、本発明のプラズマアドレス表示装置は、中間基板の配向層が複数の領域を有し該複数の領域は隣り合う2つの領域の配向状態が異なるので、例えば、軸対称配向を行うための複雑なプロセスを必要とせずに簡単に広視野角のプラズマアドレス表示装置を実現することができる。
【0019】また、本発明のプラズマアドレス表示装置は、中間基板の配向層の複数の領域は互いに平行であるので、マスクパターンとしてはストライプ状の開口部を形成しておけばよくマスクの設計が容易となる。
【0020】また、本発明のプラズマアドレス表示装置は、対向基板がラビング法により配向処理が行われたものであるので、基板の厚みにあった配向処理により、簡単でより安定した配向状態を得ることができる。
【0021】また、本発明のプラズマアドレス表示装置は、中間基板の厚みは70μm以下であるので、データ電極に印加する電圧が小さく、結果として、低消費電力のプラズマアドレス表示装置を実現することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】(実施形態1)図1乃至図3に本実施形態に係るプラズマアドレス表示装置の製造工程の概要を示す。以下、これらの図にしたがって具体的に説明する。図1に示すように、まず、ガラス基板14上部に、スクリーン印刷によりNi等の金属を用いた放電電極15a、15bを形成し、次にスクリーン印刷によりバリアリブ16を200μmの高さで形成する。
【0023】次に、図2に示すように、ガラス基板14の周縁部に、フリットシール17をディスペンサにより塗布し、このフリットシール17により、厚み50μmのガラス製の中間基板13をガラス基板14に対向するように接合することで、プラズマセル30が完成する。
【0024】ここで、中間基板13の厚みについて説明する。データ電極(図示せず)に印加された電圧が液晶層の容量と中間基板13の容量により分圧されて液晶層に電圧が印加されるため、データ電圧の低電圧化のためには中間基板13の容量は大きいほうが望ましく、また液晶層の容量は小さいほうが望ましい。したがって、中間基板13の厚みは薄いほうが望ましいが、あまり薄くしてしまうと中間基板自体の取り扱いが困難となるため、70μm以下20μm以上、望ましくは50μm以下20μm以上がよい。
【0025】その後、光によって配向されるポリイミド系もしくはポリシロキサン系材料等による光配向膜18aを中間基板13上に塗布し、光を照射することにより配向処理を行う。このように光による配向処理を行うことで、従来ラビング法を用いて配向処理を行った場合に多数発生していた中間基板13の破損を無くすことができる。また、10°以下のプレチルト角の制御を容易に行うことができるので、好ましいプレチルト角の設定が簡単に行える。また、配向膜18aへの配向処理は必要に応じて垂直配向処理、水平配向処理を行ってもよい。
【0026】次に、図3に示すように、シール材料19及びスペーサ20を介して対向基板11との貼り合わせが行なわれ、その後液晶材料1が注入されて液晶セル31が出来上がり、上述したプラズマセル30と併せてプラズマアドレス表示装置が完成する。対向基板11には少なくともデータ電極10、配向膜18b、カラーフィルタ(図示せず)が形成される。ここで、対向基板11には通常よく用いられている1mm程度の厚みのガラスが使用されているので、対向基板11の配向処理としては光配向処理に限らず、ラビング処理等他の方法を用いてもかまわない。
【0027】(実施形態2)以下、第2の実施形態について説明を行う。図4は、本実施形態に係るプラズマアドレス表示装置の要部平面図であり、2個のバリアリブ16に挟まれた1個のプラズマ室とプラズマ電極15a、15bと3本のデータ電極10が示されている。本実施形態においては、バリアリブ16に沿って、プラズマ室が領域A(点線内)と領域B(点線内)との2つの領域に分割され、領域Aと領域Bそれぞれに異なった配向方向の配向処理を行う。
【0028】次に、配向処理について説明する。図5に示すように、中間基板13上部に光によって配向されるポリシロキサン等の光配向膜51を形成する。次に、マスク50を光配向膜51の上部に配置して光54を照射するが、このマスク50に開口部52を形成しておくことにより、図4の領域Aのみに配向処理を行い、Bの領域には配向処理を行わないようにする。
【0029】次に、図6に示すように、マスク55に開口部56を形成し、光54とは異なる方向より光57を照射することにより、Bの領域のみに配向処理を行い、Aの領域には配向処理を行わないようにする。このようにして、領域Aと領域Bとを異なる配向状態とする。
【0030】図4においては、バリアリブ16・16間を上下に分割し、領域A、領域Bとしているが、図7に示すように、バリアリブ16・16間を左右に分割して、領域C(点線内)領域D(点線内)を形成する構成としてもよい。このように、領域を上下もしくは左右に分割することで、片側の領域に光を照射するためのマスクパターンとしてはストライプ状の開口部を形成しておけばよいので、マスクの設計が容易になる。
【0031】次に、実施形態1(図3)と同様に、シール材料19及びスペーサ20を介して対向基板11との貼り合わせが行なわれ、その後液晶材料が注入されることによりプラズマアドレス表示装置が完成する。対向基板11には少なくともデータ電極10、配向膜18b、カラーフィルタ(図示せず)が形成される。ここで、対向基板11には通常よく用いられている1mm程度の厚みのガラスが使用されているので、対向基板11の配向処理としては光配向処理に限らず、ラビング処理等他の方法を用いてもかまわない。
【0032】以上説明したように、本実施形態2のプラズマアドレス表示装置においては、プラズマ領域を複数に分割し、隣り合う2つの領域が、それぞれ異なった配向方向の配向処理を行っているので、広視野角のプラズマアドレス表示装置が実現できる。
【0033】本実施形態2では、領域を2分割した場合について説明したが、プラズマ領域を3分割以上に分割してもよいことは言うまでもない。さらに、分割したそれぞれの領域の面積を変化させてもよい。
【0034】
【発明の効果】本発明のプラズマアドレス表示装置は、従来のラビング法による配向処理のように薄い基板に直接力が加わることがないため、基板の破損が発生することがない。また、照射する光を制御することで、10°以下のプレチルト角の制御が容易に行えるので、所望のプレチルト角の設定が簡単にできる。さらに、ダストがプラズマ室内部に残留するといった問題も生じない。
【0035】本発明のプラズマアドレス表示装置は、さらに中間基板の配向層が複数の領域を有し該複数の領域は配向状態が異なるので、例えば、軸対称配向を行うための複雑なプロセスを必要とせず簡単に広視野角のプラズマアドレス表示装置を実現することができる。
【0036】本発明のプラズマアドレス表示装置は、さらに中間基板の配向層の複数の領域は互いに平行であるので、マスクパターンとしてはストライプ状の開口部を形成しておけばよくマスクの設計が容易となる。
【0037】本発明のプラズマアドレス表示装置は、対向基板がラビング法により配向処理が行われたものであるので、基板の厚みにあった配向処理により、簡単でより安定した配向状態を得ることができる。
【0038】本発明のプラズマアドレス表示装置は、中間基板の厚みは70μm以下であるので、データ電極に印加する電圧が小さく、結果として、低消費電力のプラズマアドレス表示装置を実現することができる。
【出願人】 【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
【出願日】 平成10年7月14日(1998.7.14)
【代理人】 【識別番号】100103296
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 隆彌
【公開番号】 特開2000−29001(P2000−29001A)
【公開日】 平成12年1月28日(2000.1.28)
【出願番号】 特願平10−198463