トップ :: G 物理学 :: G02 光学




【発明の名称】 光ファイバーを用いたレーザ照明装置
【発明者】 【氏名】八木 武人

【要約】 【課題】簡単で安価な構成で、レーザ光を用いて広い領域を照明でき、かつ干渉縞の発生を大幅に抑制できるレーザ照明装置を提供する。

【解決手段】一様な屈折率のコア部およびクラッド部を有する光ファイバー12と、光ファイバーのコア部にレーザ光1を入射するレーザ装置14とを備える。光ファイバーはレーザ光の一部1aを漏洩する漏洩部13を有し、この漏洩部は、光の伝搬角θが臨海角θcを越えるように光ファイバーが曲げられている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 一様な屈折率のコア部およびクラッド部を有する光ファイバー(12)と、該光ファイバーのコア部にレーザ光(1)を入射するレーザ装置(14)とを備え、前記光ファイバーはレーザ光の一部(1a)を漏洩する漏洩部(13)を有し、該漏洩部は、光の伝搬角θが臨海角θcを越えるように光ファイバーが曲げられている、ことを特徴とするレーザ照明装置。
【請求項2】 前記レーザ装置は、光ファイバーの両端面にレーザ光を入射するように構成されている、ことを特徴とする請求項1に記載のレーザ照明装置。
【請求項3】 前記レーザ装置はパルスレーザ装置である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のレーザ照明装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光ファイバーを用いたレーザ照明装置に関する。
【0002】
【従来の技術】スチールカメラやCCDカメラを用いた計測を行う場合、状況に応じて照明が必要となる。この場合、特に解像度を必要とする場合にレーザ光を照明に用いることがある。また、瞬間写真等を撮影するためにパルスレーザ光を用いることもある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、レーザ光を照明に用いる場合には、レーザ光の細い光束をコリメータ、エキスパンダ、フライアイ、レンズ系等の光学部品を用いて照明領域を広げる必要があり、光学系が複雑となり、コストがかかる問題点があった。更に、レーザ光は波長の位相のそろったコヒーレント光であるため、互いに干渉しやすく干渉縞がでやすい問題点があった。
【0004】本発明は、かかる問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、簡単で安価な構成で、レーザ光を用いて広い領域を照明でき、かつ干渉縞の発生を大幅に抑制できるレーザ照明装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、一様な屈折率のコア部およびクラッド部を有する光ファイバー(12)と、該光ファイバーのコア部にレーザ光(1)を入射するレーザ装置(14)とを備え、前記光ファイバーはレーザ光の一部(1a)を漏洩する漏洩部(13)を有し、該漏洩部は、光の伝搬角θが臨海角θcを越えるように光ファイバーが曲げられている、ことを特徴とするレーザ照明装置が提供される。
【0006】本発明の構成によれば、漏洩部(13)が、光の伝搬角θが臨海角θcを越えるように光ファイバー(12)が曲げられているので、この部分で転送ロスが生じ、コア内部からのレーザ光(1)の一部(1a)が漏洩して照明に用いることができる。従って、単に湾曲部を複数設けるだけで、ファイバー以外の光学部品を必要とせずに広い領域を照明することができる。また、漏洩光は同一のレーザ光であり、波長が揃っているので、スチールカメラやCCDカメラで高解像度を得ることができる。更に、複数の湾曲部からの漏洩光は、漏洩方向が互いに相違するためコヒーレント性が失われており、干渉縞の発生を防止することができる。
【0007】本発明の好ましい実施形態によれば、前記レーザ装置(14)は、光ファイバーの両端面にレーザ光を入射するように構成されている。この構成により、漏洩部を複数設けた場合に、各漏洩部からの照明強度をほぼ一様にすることができる。なお、照明強度は、曲率Rの大きさと巻き数により調整が可能であり、照射方向は、湾曲の開始及び終了ポジションにより決定され、照明強度分布については、巻き方や曲率を変化させることにより調整が可能となる。
【0008】また、前記レーザ装置はパルスレーザ装置である、ことが好ましい。この構成により、高解像度の瞬間写真を容易に撮影することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は、本発明のレーザ照明装置の構成図である。この図において、(A)は全体構成図、(B)はそのA−A断面図、(C)はそのB部拡大図である。
【0010】図1(A)に示すように、本発明のレーザ照明装置10は、光ファイバー12とレーザ装置14とからなる。光ファイバー12は、この例では、2本の光ファイバー12a,12bからなる。各光ファイバー12a,12bは、図1(C)に示すように、一様な屈折率のコア部およびクラッド部からなる。
【0011】また、図1(B)(C)に示すように、各光ファイバー12a,12bは、相対的に小さい曲げ半径Rで曲げられた複数の湾曲部13(以下、漏洩部と呼ぶ)を有する。湾曲部13(漏洩部)の半径Rは、光の伝搬角θが臨海角θcを越えるように光ファイバーが曲げられており、レーザ光1の一部1aがこの部分で漏洩するように構成されている。
【0012】レーザ装置14は、光ファイバー12aの一端面又は両端面にレーザ光1を入射するように構成されている。このレーザ装置14は好ましくはパルスレーザ装置であるのがよい。
【0013】図1の例では、2本の光ファイバー12a,12bが互いに逆巻きに巻かれており、それぞれの光ファイバー12a,12bの一端面にレーザ光1を入射し、他端面には全面反射コーテングが施されている。
【0014】図2は、本発明のレーザ照明装置による照度分布の模式図である。この図において、横軸は漏洩部13に沿って位置、縦軸は照射強度である。また、図中の破線は、2本の光ファイバーの照射強度、実線は平均照度を示している。この図に示すように、漏洩部13の半径Rを一定に保持した場合に、漏洩部13の漏洩光1aの強度は徐々に低下するが、この例のように、2本の光ファイバー12a,12bを互いに逆巻きにし、かつ照明領域に対して逆方向からレーザ光1を入射することにより、全体の平均照度をほぼ一様にすることができる。
【0015】また、これと相違し、2本の光ファイバー12a,12bの両端面にレーザ光1を入射してもよく、或いは光ファイバー12の全体を1本の光ファイバーで構成し、その両端面にレーザ光1を入射してもよい。この構成により、各漏洩部13からの照明強度をほぼ一様にすることができる。更に、照明強度は、曲率Rの大きさと巻き数により調整が可能であり、照射方向は、湾曲の開始及び終了ポジションにより決定され、照明強度分布については、巻き方や曲率を変化させることにより調整が可能となる。
【0016】図3は、ある光ファイバーの漏洩特性を示す図である。この図において、横軸は曲げ回数、縦軸は透過率(%)、図中の折線は下方から曲げ直径10、20、30、40、50、100、200mmの場合を示している。なお、40〜200mmは、ほぼ重複し、2本の折線でしめされている。この図は、開口数NAが0.2、コア径が400μmの光ファイバーの例である。透過率の低下分は光の漏洩によるものである。従って、光の伝搬角θが臨海角θcを越えるように光ファイバーを曲げることにより、漏洩光1aの強度を自由に調整できることがわかる。
【0017】上述した本発明の構成によれば、漏洩部13が、光の伝搬角θが臨海角θcを越えるように光ファイバー12が曲げられているので、この部分で転送ロスが生じ、コア内部からのレーザ光1の一部1aが漏洩して照明に用いることができる。従って、単に湾曲部を複数設けるだけで、ファイバー以外の光学部品を必要とせずに広い領域を照明することができる。また、漏洩光は同一のレーザ光であり、波長が揃っているので、スチールカメラやCCDカメラで高解像度を得ることができる。更に、複数の湾曲部からの漏洩光は、漏洩方向が互いに相違するためコヒーレント性が失われており、干渉縞の発生を防止することができる。
【0018】なお、本発明は、上述した実施例に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々に変更できることは勿論である。
【0019】
【発明の効果】上述したように、本発明は、光ファイバーでは転送ロスとして扱われてきた漏れ光を積極的に用いることにより、光ファイバー以外の光学部品を必要とせずに照明を行うもので、相対的に低コスト化が可能となる。また、フライアイ等の特殊な光学部品を必要とせずに、照明強度の一様性も比較的容易に調整が可能であり、照明形態が発光部がランダムに存在するため、照明光としてのコヒーレンス性の高い(波長の位相のそろった光)レーザ光を用いた場合に発生する干渉等の抑制が期待できる。
【0020】従って、本発明の光ファイバーを用いたレーザ照明装置は、簡単で安価な構成で、レーザ光を用いて広い領域を照明でき、かつ干渉縞の発生を大幅に抑制できる、等の優れた効果を有する。
【出願人】 【識別番号】000000099
【氏名又は名称】石川島播磨重工業株式会社
【出願日】 平成11年2月3日(1999.2.3)
【代理人】 【識別番号】100097515
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 実 (外1名)
【公開番号】 特開2000−221332(P2000−221332A)
【公開日】 平成12年8月11日(2000.8.11)
【出願番号】 特願平11−25769