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【発明の名称】 物体検出装置
【発明者】 【氏名】田口 康治

【氏名】上里 良英

【要約】 【課題】物体に設けられた電波反射体からの反射電波を確実に受信することで物体を検出する。

【解決手段】車両Aに直線偏波の電波を送信する送信機10を設け、車両Bの後部に反射体12及びポラライザ14を設ける。ポラライザ14は、反射体12で反射した電波を円偏波に変換する。反射体12の反射面と車両Bの車体との距離が送信電波の波長λの1/4であっても、反射体12からの反射電波は円偏波、車体からの反射電波は直線偏波であるため常に打ち消されることはなく、反射体12からの反射電波を受信できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 電波を送信し、物体で反射された電波を受信することにより物体を検出する装置であって、検出すべき物体に設けられた反射手段と、前記反射手段の前面に設けられた偏波手段と、を有することを特徴とする物体検出装置。
【請求項2】 請求項1記載の装置において、送信電波は直線偏波であり、前記偏波手段は、前記反射手段からの反射電波を円偏波とすることを特徴とする物体検出装置。
【請求項3】 請求項2記載の装置において、さらに反射電波の互いに直交する偏波成分を受信する受信手段を有することを特徴とする物体検出装置。
【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の装置において、前記物体は車両であることを特徴とする物体検出装置。
【請求項5】 請求項4記載の装置において、前記反射手段及び偏波手段は、車両の前部と後部に設けられ、かつ、前記偏波手段の偏波特性は車両の前部と後部で異なることを特徴とする物体検出装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は物体検出装置、特に物体からの反射電波の偏波特性を用いた物体検出に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、車両に搭載した送信機から電波を送信し、反射電波を受信して物体を検出する装置が知られている。例えば、特開平10−74297号公報には、路面に電波反射体を設け、車載の送信機から電波を送信して電波反射体からの電波を受信する技術が記載されている。電波反射体を例えば車両の後部に設け、先行車の後部に設けられた電波反射体からの反射電波を受信することで、先行車までの車間距離を計測したり、あるいは先行車との追突を防止するシステムを構築することもできる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、電波反射体からの反射電波を受信することで物体を検出する場合、電波反射体の設置位置によっては、反射電波を受信できない場合が生じ得る。車両を例にとり説明すると、車両に電波反射体を設けた場合、車体と電波反射体の反射面との距離が、送信電波の波長λの1/4(あるいはその奇数倍)近傍であると、電波反射体で反射した電波と、電波反射体が設置されていない車体部分で反射した電波では、光路差が往復でλ/2(あるいはその奇数倍)となり、位相が逆になって互いに打ち消し合い、電波反射体からの反射電波を検出できなくなってしまう。もちろん、電波反射体を車両以外、例えば道路のコーナ部に設けた場合でも、電波反射体を設ける部材と電波反射体との距離がλ/4(あるいはその奇数倍)近傍となる場合には同様の問題が生じることになる。
【0004】本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みなされたものであり、その目的は、検出すべき物体に設けられた電波反射体からの反射電波と物体のその他の部分から反射した反射電波とが互いに打ち消しあって強度が低下することを防止し、もって物体を確実に検出することができる装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、第1の発明は、電波を送信し、物体で反射された電波を受信することにより物体を検出する装置であって、検出すべき物体に設けられた反射手段と、前記反射手段の前面に設けられた偏波手段とを有することを特徴とする。偏波手段(ポラライザ)で反射電波の偏波特性を変化させることで、ポラライザが設けられていないその他の部分からの反射電波と打ち消し合うことを防止できる。なお、本発明における偏波手段(ポラライザ)とは、入射電波の振動ベクトルの互いに直交する2成分の間に有限の位相差を生じさせ、入射電波の偏波面を変化させる手段を意味する。
【0006】また、第2の発明は、第1の発明において、送信電波は直線偏波であり、前記偏波手段は、前記反射手段からの反射電波を円偏波とすることを特徴とする。これにより、反射手段からの反射電波は円偏波となる一方、その他の部分からの反射電波は直線偏波のままとなるので、両電波の光路差による打ち消しを防止することができる。
【0007】また、第3の発明は、第2の発明において、さらに反射電波の互いに直交する偏波成分を受信する受信手段を有することを特徴とする。円偏波は偏波面が回転しているため、反射電波の互いに直交する偏波成分を時間平均すると、その強度はほとんど同一となる。一方、直線偏波は偏波面が固定されているため、反射電波の互いに直交する偏波成分には偏りが生じる(一方が他方より常に大きい)。したがって、互いに直交する偏波成分を受信する受信手段を用いることで、円偏波と直線偏波を識別することができ、反射手段が設けられた物体のみを確実に検出することができる。
【0008】また、第4の発明は、第1〜第3の発明において、前記物体は車両であることを特徴とする。車両に反射手段及び偏波手段を設けることで、周囲に存在する車両を確実に検出することができる。
【0009】また、第5の発明は、第4の発明において、前記反射手段及び偏波手段は、車両の前部と後部に設けられ、かつ、前記偏波手段の偏波特性は車両の前部と後部で異なることを特徴とする。車両の前部と後部で偏波特性を異にすることで、例えば先行車からの反射電波の偏波特性と対向車からの反射電波の偏波特性が異なることになるので、先行車と対向車をともに検出するのみならず、先行車と対向車を識別することも可能となる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づき本発明の実施形態について、車両に搭載する場合を例にとり説明する。
【0011】図1には、本実施形態の構成ブロック図が示されている。車両Aの前部には送信機10が設けられ、車両Bの後部にはコーナキューブ等の反射体12及び複屈折板等のポラライザ14が設けられている。反射体12及びポラライザ14は一体的に設けられ、ポラライザ14は反射体12の前面に設けられている。したがって、車両Aの送信機10から電波(例えばλ=5mmのミリ波)を送信すると、ポラライザ14を透過して反射体12で反射し、さらにポラライザ14を透過して車両Aの方に反射することになる。車両Aには図示しない受信機(送信機10と共用でもよい)が設けられ、反射電波を受信して反射体12(すなわち車両B)までの距離や方向を検出する。
【0012】送信機10からは、直線偏波された電波を送信する。すると、車両Bの反射体12及びポラライザ14が設けられた部分以外の車体で反射した電波は、直線偏波(但し、偏角は90度回転している)として車両Aの受信機で受信される。一方、ポラライザ14の偏波特性を、入射電波の水平偏波成分と垂直偏波成分との間に45度の位相差を生じさせるような特性に設定する(ポラライザ14の厚さを調整する)と、送信機10から射出した電波はポラライザ14を透過する際に45度の位相差を生じて直線偏波から楕円偏波に変換され、反射体12で反射して再びポラライザ14を透過する際にさらに45度の位相差を生じて楕円偏波から円偏波に変換される。すなわち、車両Aの受信機に到達する反射電波は、反射体12及びポラライザ14が存在する部分から反射した円偏波と、車両Bのそれ以外の部分から反射した直線偏波の2種類となる。
【0013】図2には、車両Bの反射体12及びポラライザ14が設けられた部分とそれ以外の部分(車体部分)で反射した電波が模式的に示されている。車両Aの送信機10から射出した直線偏波100は車体部分で反射され、直線偏波200として車両Aの方に反射される。一方、反射体12及びポラライザ14が設けられた部分で反射した電波は、円偏波300として車両Aの方に反射される。したがって、仮に反射体12の反射面と車体との距離がλ/4(あるいはその奇数倍:λ=5mmとすると1.25mm及びその奇数倍)であったとしても、直線偏波と円偏波であるため干渉しても常に打ち消し合うことはなく(円偏波の偏波方向が直線偏波の偏波方向と一致する瞬間には打ち消しあうことになるがそれ以外は打ち消しあうことはない)、受信機では円偏波、すなわち反射体12で反射した電波を継続的に受信することができる。
【0014】なお、車両Aに搭載される受信機として、互いに直交する偏波成分(例えば、水平偏波成分と垂直偏波成分)を受信する一組の受信機を用い、水平偏波成分と垂直偏波成分の強度を比較することにより反射電波を受信することもできる。円偏波が入射する場合には、水平偏波成分と垂直偏波成分の時間平均強度はほぼ同一であるが、直線偏波の場合にはいずれかに偏るため、強度比を監視することで円偏波、すなわち反射体12から反射した電波のみを検出することができる。これは、反射体12から反射した電波を受信可能とするだけでなく、反射体12及びポラライザ14が設けられた物体とそうでない物体との識別も可能となることを意味する。したがって、円偏波のみを受信することで周囲物体から検出すべき物体のみを検出することができる。
【0015】また、本実施形態では車両Bの後部に反射体12とポラライザ14を設けたが、車両前部にも反射体12及びポラライザ14を設けることも可能である。但し、この場合には前部に設けられたポラライザと後部に設けられたポラライザの偏波特性が互いに異なるように設定するのが好適である。
【0016】図3には、車両の前部と後部に反射体12及びポラライザを設ける場合の例が示されている。車両Aと同一方向に走行している車両Bの後部には図1と同様に反射体12及びポラライザ14が設けられる一方、対向車である車両Cの前部には反射体12及びポラライザ15が設けられている。ポラライザ15はポラライザ14と同様に反射体12の前面に設けられているが、その偏波特性はポラライザ14と異なっている。すなわち、ポラライザ14は入射電波の水平偏波成分と垂直偏波成分に45度の位相差を生じさせるが、ポラライザ15は入射電波に−45度の位相差を生じさせる。すると、車両Cの反射体12から反射した電波は車両Bの反射体12から反射した電波と同様に円偏波となるが、その旋回方向が車両Bの反射体12から反射した電波と逆になる(車両Bからの円偏波が右円偏波である場合、車両Cからの円偏波は左円偏波となる)。したがって、車両Aの受信機で円偏波を抽出し、さらにその円偏波が右円偏波か左円偏波かを識別することで、先行車である車両Bと対向車である車両Cを識別することも可能となる。なお、円偏波の旋回方向を識別するためには、受信機の前面にもポラライザを設けて反射してきた円偏波を直線偏波に変換し、その偏角を検出すればよい。
【0017】以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は車両に限定されず任意の物体、例えば路側に設けられたインフラストラクチャ検出に適用することができる。
【0018】また、本実施形態では、直線偏波を送信し、ポラライザを用いて円偏波に変換しているが、直線偏波を楕円偏波に変換して受信側に反射するようなポラライザを用いることも可能である。さらに、送信電波に円偏波、あるいは楕円偏波を用い、ポラライザで円偏波あるいは楕円偏波を直線偏波に変換することで互いに打ち消し合うことを防止することも可能である。
【0019】
【発明の効果】本発明によれば、反射体が設けられた部分から反射した電波とそれ以外の部分から反射した電波とが互いに干渉して打ち消し合うことを確実に防止し、物体を確実に検出することができる。
【出願人】 【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】富士通テン株式会社
【出願日】 平成11年1月26日(1999.1.26)
【代理人】 【識別番号】100075258
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 研二 (外2名)
【公開番号】 特開2000−214246(P2000−214246A)
【公開日】 平成12年8月4日(2000.8.4)
【出願番号】 特願平11−17419