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【発明の名称】 パルス位置検出器、その検出方法、および電話線ネットワーク
【発明者】 【氏名】コリン・ディ・ナイラー

【要約】 【課題】電話線ネットワーク中で、たとえパルスが大きく歪んでいても、受信パルスの到着位置を一意に特定することが可能である、システムを提供する。

【解決手段】この発明のシステムでは、絶対値検出器24が、電話線から供給された受信パルス信号の絶対値を決定し、波形エンベロープを生成する。ローパスフィルタ26がエンベロープの高周波成分を取除く。積分器28が濾波されたエンベロープを積分し、受信パルス信号のエネルギを表わす積分波形を生成する。スライス回路30が積分波形がしきい値レベルを超える瞬間を決定し、受信パルス信号の到着時間に対応する時間位置を検出する。到着時間位置は電話線から受信されたデータを表わすデジタル値に変換される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 入来パルス信号を受信するための入力回路と、前記入力回路から供給された受信信号を時間的に積分し、入来パルス信号のエネルギを表わす積分信号を生成するための積分器と、積分信号がしきい値レベルに達したときの、入来パルス信号の時間的な位置を表わすパルス位置信号を生成するためのスライス回路とを含む、電話線ネットワークのパルス位置検出器。
【請求項2】 前記入力回路が、受信パルス信号の振幅の絶対値を表わすエンベロープを生成するための絶対値検出器を含む、請求項1に記載のパルス位置検出器。
【請求項3】 前記入力回路が、前記エンベロープの高周波成分を濾波して取除くためのフィルタをさらに含む、請求項2に記載のパルス位置検出器。
【請求項4】 前記積分器が、前記フィルタから供給された前記濾波されたエンベロープの積分を実行する、請求項3に記載のパルス位置検出器。
【請求項5】 前記スライス回路が、前記積分信号がしきい値レベルに達したときスライス時間表示信号を生成するための比較器を含む、請求項4に記載のパルス位置検出器。
【請求項6】 入力回路から供給された受信信号に応答して前記スライス回路内でしきい値レベルを確立するための制御回路をさらに含む、請求項1に記載のパルス位置検出器。
【請求項7】 前記制御回路が、前記積分信号がしきい値レベルに達したとき前記積分器をリセットするように適合された、請求項6に記載のパルス位置検出器。
【請求項8】 前記制御回路が、前記入力回路と結合されて雑音レベルを決定する、請求項6に記載のパルス位置検出器。
【請求項9】 前記制御回路が、前記積分器に前記雑音レベルを表わす雑音レベル信号を供給するように適合された、請求項8に記載のパルス位置検出器。
【請求項10】 前記積分器が、前記受信信号が前記雑音信号を超えなければ前記受信信号の積分の実行を妨げられるようにされた、請求項9に記載のパルス位置検出器。
【請求項11】 前記制御回路が前記パルス位置信号に応答し、前記入来パルス信号の時間的な位置を特定するビットパターンを生成する、請求項6に記載のパルス位置検出器。
【請求項12】 前記ビットパターンが前記入来パルス信号によって表わされたデータとしてデータネットワークに転送される、請求項11に記載のパルス位置検出器。
【請求項13】 前記入来パルス信号が建物内の基本的電話サービス線の配線から供給される、請求項12に記載のパルス位置検出器。
【請求項14】 建物内の電話線の配線上にデータコミュニケーションを提供するための電話線ネットワークであって、電話線から供給された入来パルスに応答し、前記パルスの時間的位置を検出して前記時間的な位置を表わすデジタル値を生成するためのパルス位置検出器と、前記デジタル値に応答し、受信者に入来するデータを提供するための媒体アクセスコントローラとを含み、前記パルス位置検出器は、電話線の配線に結合された入力回路と、前記入力回路から供給された受信信号を時間的に積分し、前記入来パルスのエネルギを表わす積分信号を生成するための積分器と、前記積分信号が予め設定されたしきい値レベルに達すると、時間表示信号を生成するためのスライス回路と、前記時間表示信号に応答し、前記媒体アクセスコントローラに転送される前記デジタル値を生成するための出力回路とを含む、電話線ネットワーク。
【請求項15】 前記出力回路が前記時間表示信号に応答して前記積分器をリセットする、請求項14に記載の電話線ネットワーク。
【請求項16】 前記出力回路が前記入力回路からの受信信号に応答して前記しきい値レベルを設定するように適合された、請求項14に記載の電話線ネットワーク。
【請求項17】 前記出力回路が前記入力回路に結合されて雑音レベルを検出する、請求項14に記載の電話線ネットワーク。
【請求項18】 前記積分器が前記受信信号が前記雑音レベルを超えたときに前記受信信号の積分を開始するように適合した、請求項17に記載の電話線ネットワーク。
【請求項19】 前記入力回路が、入来パルスの振幅の絶対値を表わすエンベロープを生成するための絶対値検出器を含む、請求項14に記載の電話線ネットワーク。
【請求項20】 建物内の電話線の配線上にデータコミュニケーションを提供するための電話線ネットワークにおいて、電話線の配線から供給される入来パルスの時間的な位置を検出する方法であって、入来パルスの振幅の絶対値を表わすエンベロープを生成するステップと、時間的にエンベロープを積分して入来パルスのエネルギと比例する積分信号を生成するステップと、積分信号が予め設定されたしきい値レベルに達する瞬間を検出して入来パルスの到着に対応する時間的な位置を表示するステップとを含む、検出方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明はデータコミュニケーションに関し、より特定的には、電話線ネットワークのためのパルス位置検出器に関する。
【0002】
【発明の背景】近年、費用対効果の高いコミュニケーションネットワークの需要が著しく増大している。そのようなネットワークの1つが電話線ネットワークであり、これは基本的電話サービス(Plain Old Telephone Service )線の配線のように建物内に存在する電話線の配線をコンピュータ間のデータ転送のための媒体として用いる。
【0003】電話線ネットワークでは、受信された帯域制限されたパルスの時間的な到着位置が、デジタル情報を伝達するのに用いられ得る。受信された帯域制限されたパルスの波形が図1に示される。従来、受信パルスの到着位置は受信信号の絶対値を表わす波形エンベロープを用いて検出される(図2に示す)。エンベロープは、受信パルスの到着位置を特定するために選択されたしきい値レベルを有するスライス回路に供給される。エンベロープがしきい値レベルを超えると、スライス回路はパルスの到着位置を検出する。
【0004】しかしながら、電話線ネットワークでは、受信されたエンベロープの波形は配線トポロジィに大いに依存する。配線トポロジィは多数の信号反射を引起こし得るので、受信パルスの形状は大きく歪み、エンベロープが複数の局所的最大値点を有する可能性がある。さらに、配線トポロジィは場所によって変化する。したがって、受信パルスの歪みは予測不可能である。
【0005】図3は、配線トポロジィによる複数の局所的最大値点を有する受信パルス信号の波形を示す。図4は、このようなパルス信号の波形エンベロープを示す。複数の最大値点を有する波形エンベロープに応答して、スライス回路はエンベロープがしきい値レベルを超える複数のパルス位置を特定するであろう。その結果、受信パルスの到着位置の一意の時間値は検出不可能となる。このことはデータ回復エラーを引起こし得る。
【0006】したがって、たとえ受信パルスが大きく歪んでいてもパルスの到着位置を一意に特定することが可能なパルス位置検出器を提供することが所望される。
【0007】
【発明の開示】したがって、この発明の利点は、たとえパルスが大きく歪んでいても受信パルスの到着位置を一意に特定することが可能なパルス位置検出器を提供することである。
【0008】この発明の前記および他の利点は、入来パルス信号の受信のための入力回路を含むパルス位置検出器を提供することによって少なくとも部分的には達成される。たとえば、入来パルス信号は、建物内の基本的電話サービス線の配線から供給され得る。積分器は、入力回路から供給された受信信号の時間積分を実行し、入来パルス信号のエネルギを表わす積分信号を生成する。スライス回路は、積分信号がしきい値レベルに達したとき、パルス位置表示を与える。
【0009】この発明の好ましい実施例に従うと、入力回路は、受信パルス信号の振幅の絶対値を表わすエンベロープを生成する絶対値検出器を含み得る。エンベロープの高周波の構成要素を濾波して取除くためにフィルタが設けられ得る。積分器は、フィルタから供給された濾波されたエンベロープの積分を実行する。スライス回路は積分信号がしきい値レベルに達したとき、パルス位置表示信号を生成する比較器を含み得る。
【0010】制御回路は入力回路から供給された受信信号のレベルを決定し、スライス回路内でしきい値レベルを確立することができる。制御回路は、積分信号がしきい値レベルに達すると積分器をリセットすることができる。
【0011】さらに、制御回路は入力回路と結合して情報信号の不在時の雑音レベルを決定することができる。雑音レベルを表わす雑音レベル信号を積分器に供給して、積分器が、受信信号が雑音レベルを超えなければ受信信号の積分を実行しないようにすることができる。
【0012】積分信号がしきい値レベルに達すると、制御回路はスライス回路からのパルス位置表示信号を与えられ、入来パルス信号の時間的な位置を特定するビットパターンを生成することができる。入来パルス信号によって表わされるデータに対応するこのビットパターンはデータネットワークへ転送され得る。
【0013】この発明の別の局面に従うと、建物内の電話線の配線によりデータコミュニケーションを提供する電話線ネットワークは、電話線の配線から供給されたパルスの時間的な位置を検出するパルス位置検出器を含み得る。媒体アクセスコントローラは時間位置を表わすデジタル値を、入来するデータを受信者へ届けるデータネットワークへ転送する。電話線ネットワークにおけるパルス位置検出器は、電話線の配線に結合された入力回路と、入力回路から供給された受信信号の時間的な積分を実行し、入来パルスのエネルギを表わす積分信号を生成する積分器と、積分信号が予め設定されたしきい値レベルに達したとき時間表示信号を生成するスライス回路と、時間表示信号に応答して、媒体アクセスコントローラに転送されるデジタル値を生成する出力回路とを含む。
【0014】この発明の方法に従うと、電話線の配線から供給された入来パルスの時間的な位置を検出するために以下のステップが実行される。
【0015】入来パルス振幅の絶対値を表わすエンベロープを生成するステップと、入来パルスのエネルギと比例した積分信号を生成するために時間的にエンベロープを積分するステップと、積分信号が予め設定されたしきい値レベルに達する瞬間を検出して入来パルスの到着に対応する時間的な位置を表示するステップとである。
【0016】この発明のさらに他の目的および利点は以下の詳細な説明から当業者には容易に明らかになるが、この発明の好ましい実施例のみが図示および記述されており、単にこの発明の実施を意図した最良の様態を例示するためだけのものである。当然のことながら、この発明は他のおよび異なった実施例も可能であり、それぞれの詳細は種々の明らかな点において、すべてこの発明から離れることなく、変形可能である。したがって、図面および説明は例示的なものであって、限定的なものではない。
【0017】
【発明を実施するための最良の様態】この発明はデータ処理の分野において一般的に応用可能であるが、この発明を実施するための最良の様態は、部分的には、建物内に存在する基本的電話サービス(Plain Old Telephone Service )線の配線のような、電話線をコンピュータ間のデータ転送のための媒体として用いる電話線ネットワーク中でのパルス位置検出器の実現に基づいている。
【0018】図5に示されるように、パルス位置検出器2は、建物内の電話機器のような複数の電話端末を接続する電話線の配線上にデータを転送する、電話線ネットワークの受端に配置され得る。送信局は転送データを、建物内の電話線の配線上を伝搬するパルス信号に変換する。パルス位置検出器2は電話線の配線から受信したパルスの時間的な位置を検出し、転送データを回復する。たとえば、パルス位置検出器2は受信パルスの時間的な到着位置を特定することができる。到着時間位置は転送データを表わすビットパターンに一意に変換される。たとえば、パルス位置検出器2は、パルスが到着するであろう各タイムスロットに対して、一意なビットパターンを有する変換表を記憶することができる。受信パルスが到着したタイムスロットに対応するビットパターンは、回復したデジタルデータを表わす。
【0019】パルス位置検出器によって生成されるビットパターンは、アドバンスト・マイクロ・ディバイシズ・インコーポレイテッドが製造するAM79C940イーサネット用媒体アクセスコントローラ(MACE)のような媒体アクセスコントローラ(MAC)4に供給される。MAC4は回復したデジタルデータをイーサネット(ANSI/IEEE802.3)ネットワークのようなデータコミュニケーションネットワーク6へ転送し、受信者に届ける。
【0020】図6を参照して、電話カプラ20を介して電話線と結合されたパルス位置検出器2は、電話線から受信されたパルス信号を次の処理に十分な振幅まで増幅する増幅器22を含む。増幅器22の出力と結合された絶対値エンベロープ検出器24は、受信信号の絶対値を決定して受信信号の絶対値を表わす波形エンベロープを生成する。図7に示されたタイミング図は、検出器24によって生成された受信波形エンベロープを表わす。ローパスフィルタ26はエンベロープ検出器24と結合され、受信波形エンベロープの高周波成分を濾波して取除く。
【0021】フィルタ26は濾波された波形エンベロープを積分器28に供給する。積分器28は、時間積分という数学的処理を実行し、受信パルス信号のエネルギに比例する積分信号を生成する。図7は、積分器28の出力での積分信号の波形を示す。積分器28はデジタルあるいはアナログの積分回路で実現され得る。
【0022】スライサ30は積分器28の出力と結合され、積分された波形が予め設定されたしきい値レベルを超える瞬間を検出する。たとえば、スライサはアナログの比較器で実現され得る。代替的には、スライサは積分波形値が予め設定されたしきい値に達する瞬間を検出するデジタル装置であってもよい。
【0023】スライサ30と結合された制御ロジック32は、積分波形をスライスするしきい値レベルを規定するスライスしきい値信号を与える。たとえば、制御ロジック32は前に受信した信号のレベルを測定し、現在の受信パルスの最適しきい値レベルを決定することができる。制御ロジック32はしきい値レベルを雑音レベルより高く、しかし、波形エンベロープの最大レベルよりは低く設定する。たとえば、制御ロジック32はフィルタ26の出力から供給された波形エンベロープを用いてしきい値レベルを確立することができる。
【0024】スライサ30が積分信号がしきい値レベルに達したと検出すると、スライサ30は制御ロジック32に供給されるスライス時間表示信号を生成する。スライス時間表示信号は受信パルス信号の時間的な到着位置に対応する。
【0025】スライス時間表示信号に応答して、制御ロジック32はクリア信号を生成し、これは積分器28に供給されてそれをリセットする。図7に示すように、積分信号がしきい値に達すると、積分器28がリセットされることによって積分値が実質的に0レベルまで落ちる。結果として、積分器28は次に受信する波形エンベロープの積分を実行する準備ができる。
【0026】さらに、制御ロジック32は積分器28に供給する雑音レベル信号を生成し、積分器28の最小動作レベルを規定する雑音レベルを設定することができる。制御ロジック32は、情報信号の不在時にフィルタ26の出力で検出される雑音に基づいて雑音レベルを確立する。雑音レベル信号は受信波形エンベロープが雑音レベルを超えなければ積分器28が積分を実行しないようにする。結果として、積分の正確さが改良される。
【0027】スライサ30によって生成されたスライス時間表示信号に基づいて、制御ロジック32は電話線から受信したデータに対応するデジタル値を決定する。制御ロジック32は、フィルタ26の出力で検出された雑音レベルおよび信号を扱うためのレジスタおよび記憶領域を有し、スライサ30によって生成されたスライス時間表示信号を処理するプログラム可能なゲートアレイ装置であり得る。
【0028】スライス時間表示信号は受信パルスの時間的な到着位置を表わす。制御ロジック32は現在の受信パルスの時間位置と前の受信パルスの時間位置とを比較し、現在のパルスが到着したタイムスロットを決定する。制御ロジック32は各タイムスロットに対して一意のビットパターンを含む変換表を備え得る。決定されたタイムスロットに基づいて、制御ロジック32は受信パルスの到着時間に対応するビットパターンを見つけ出す。このビットパターンは電話線から受信されたデータを表わす。決定されたビットパターンはデータネットワーク6にインターフェイスを提供するMAC4に転送され得る。
【0029】したがって、この発明のシステムは電話線から受信されたパルスのエネルギを表わす積分波形を生成し、受信パルスの時間位置を検出する。積分波形は立上がり区間においては常に正傾斜を有するので、スライス回路のしきい値は、たとえ受信パルスが電話線ネットワーク中の多数の反射によって大きく歪んでいたとしても、常に一意の到着時間位置に対応することになる。
【0030】このように、電話線ネットワーク中でパルス位置を検出するシステムを述べてきた。受信パルス信号はパルス信号の振幅による絶対値を決定する絶対値検出器へと電話線から供給され、波形エンベロープを生成する。ローパスフィルタはエンベロープの高周波成分を濾波して取除く。積分器は濾波されたエンベロープの時間積分を実行し、受信パルス信号のエネルギを表わす積分波形を生成する。スライス回路は、積分波形がしきい値レベルを超える瞬間を決定し、受信パルス信号の到着時間に対応する時間位置を検出する。到着時間位置は電話線から受信されたデータを表わすデジタル値へと変換される。
【0031】この開示では、この発明の好ましい実施例のみが図示され記述されたが、この発明はここに明示された発明の概念の範囲内で変更および変形が可能であることは言うまでもない。
【出願人】 【識別番号】591016172
【氏名又は名称】アドバンスト・マイクロ・ディバイシズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ADVANCED MICRO DEVICES INCORPORATED
【出願日】 平成10年12月10日(1998.12.10)
【代理人】 【識別番号】100064746
【弁理士】
【氏名又は名称】深見 久郎 (外3名)
【公開番号】 特開2000−9774(P2000−9774A)
【公開日】 平成12年1月14日(2000.1.14)
【出願番号】 特願平10−351171