| 【発明の名称】 |
電流検出回路 |
| 【発明者】 |
【氏名】高木 幸一
【氏名】星野 孝志
|
| 【要約】 |
【課題】PTCサーミスタを用いながら電流を精度良く検出する。
【解決手段】PTCサーミスタ2は第1、第2の抵抗部21,22を備え、両抵抗部21,22の一端が共通で、第2の抵抗部22は第1の抵抗部21から分岐して構成され、各抵抗部21,22の抵抗値の比率が所定比率にされる。電位制御回路3は第1の抵抗部21の他端の電位V1と第2の抵抗部22の他端の電位V2とを同電位にする。抵抗素子7は、抵抗値R0が既知である。過電流検出回路6は、トランジスタ31と抵抗素子7との接続点の電位V0を検出し、この電位V0からランプ9への供給電流I1を求める。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 電源部から負荷に供給される供給電流を検出する電流検出回路において、上記電源部と上記負荷との間に介設された第1の抵抗部、及び上記電源部とアースとの間に介設され、上記第1の抵抗部から分岐して構成された第2の抵抗部を有し、上記第2の抵抗部の抵抗値が上記第1の抵抗部の抵抗値に対して所定比率だけ大きい値に設定されている正特性サーミスタと、上記第2の抵抗部に流れる電流を検出するとともに、この検出された電流と上記所定比率とから上記第1の抵抗部に流れる上記供給電流を求める電流検出手段とを備えたことを特徴とする電流検出回路。 【請求項2】 請求項1記載の電流検出回路において、上記第1の抵抗部の上記負荷側の電位と上記第2の抵抗部の上記アース側の電位とを同電位にさせる電位制御手段を備えたことを特徴とする電流検出回路。 【請求項3】 請求項2記載の電流検出回路において、上記正特性サーミスタは、サーミスタ部と、このサーミスタ部を挾むように配設された一対の電極板とを備えたもので、上記一対の電極板の一方は第1の電極板と第2の電極板とに分割されており、上記第1の電極板及び上記一対の電極板の他方によって挾まれる上記サーミスタ部により上記第1の抵抗部が構成され、上記第2の電極板及び上記一対の電極板の他方によって挾まれる上記サーミスタ部により上記第2の抵抗部が構成され、上記第1の電極板の面積と上記第2の電極板の面積との比率が上記所定比率になるように構成されていることを特徴とする電流検出回路。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、正特性サーミスタを用いて電源部から負荷に供給される負荷電流を検出する電流検出回路に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来、回路に流れる電流を検出するときは、その電流の経路に抵抗値が既知の抵抗体を挿入し、その抵抗体の両端に発生する電圧値と上記既知の抵抗値とから電流を求める方法がよく用いられている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】ところが、抵抗体により回路電流を検出する場合には、抵抗体で消費される電力量は回路電流に比例するので、回路電流が増大する場合には、予め定格電力の大きい抵抗体を採用しておく必要があることから、抵抗体の大型化やコストの上昇を招く。また、回路電流が増大すると抵抗体で消費される電力量が増大するので、回路の電力効率が低下してしまうこととなる。 【0004】一方、従来、温度上昇に従って抵抗値が増大する正特性(Positive Temperature Coefficient)サーミスタ(以下「PTCサーミスタ」という。)を回路に挿入することにより、過電流や過熱等の異常から回路を保護するようにしたものが知られており、このPTCサーミスタを上記抵抗体として利用することが考えられるが、PTCサーミスタは温度変化により抵抗値が変化するため、そのままでは利用することができない。 【0005】本発明は、上記に鑑みてなされたもので、PTCサーミスタを用いながら電流を精度良く検出することが可能な電流検出回路を提供することを目的とする。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明は、電源部から負荷に供給される供給電流を検出する電流検出回路において、上記電源部と上記負荷との間に介設された第1の抵抗部、及び上記電源部とアースとの間に介設され、上記第1の抵抗部から分岐して構成された第2の抵抗部を有し、上記第2の抵抗部の抵抗値が上記第1の抵抗部の抵抗値に対して所定比率だけ大きい値に設定されている正特性サーミスタと、上記第2の抵抗部に流れる電流を検出するとともに、この検出された電流と上記所定比率とから上記第1の抵抗部に流れる上記供給電流を求める電流検出手段とを備えたものである。 【0007】この構成によれば、電源部から第1の抵抗部を介して負荷に電流が供給されるとともに、第1の抵抗部から分岐して構成された第2の抵抗部に電源部から電流が流れ、第2の抵抗部に流れる電流が検出される。第2の抵抗部の抵抗値は、第1の抵抗部の抵抗値に対して所定比率だけ大きい値に設定されているので、検出された電流と所定比率とから第1の抵抗部に流れる電流が求められることによって、負荷への供給電流が簡易な構成で求められることとなる。また、温度が上昇すると正特性サーミスタの抵抗値が増大するので、供給電流のレベルが低下することとなり、回路部品の保護が可能になる。 【0008】また、上記第1の抵抗部の上記負荷側の電位と上記第2の抵抗部の上記アース側の電位とを同電位にさせる電位制御手段を備えるようにしてもよい。この構成によれば、第2の抵抗部の抵抗値が第1の抵抗部の抵抗値に対して所定比率だけ大きい値に設定されていることから、第1の抵抗部の負荷側の電位と第2の抵抗部のアース側の電位とが同電位にされることにより、第1の抵抗部に流れる電流と第2の抵抗部に流れる電流との比率が上記所定比率になる。従って、第2の抵抗部に流れる電流と上記所定比率とから、負荷への供給電流が容易に求められることとなる。 【0009】また、上記正特性サーミスタは、サーミスタ部と、このサーミスタ部を挾むように配設された一対の電極板とを備えたもので、上記一対の電極板の一方は第1の電極板と第2の電極板とに分割されており、上記第1の電極板及び上記一対の電極板の他方によって挾まれる上記サーミスタ部により上記第1の抵抗部が構成され、上記第2の電極板及び上記一対の電極板の他方によって挾まれる上記サーミスタ部により上記第2の抵抗部が構成され、上記第1の電極板の面積と上記第2の電極板の面積との比率が上記所定比率になるように構成されているとしてもよい。 【0010】この構成によれば、サーミスタ部を挾むように配設された一対の電極板の一方は第1の電極板と第2の電極板とに分割されており、第1の電極板及び一対の電極板の他方によって挾まれるサーミスタ部により第1の抵抗部が構成され、第2の電極板及び一対の電極板の他方によって挾まれるサーミスタ部により第2の抵抗部が構成され、第1の電極板の面積と第2の電極板の面積との比率が上記所定比率になるように構成されていることにより、第1の抵抗部の特性と第2の抵抗部の特性がほぼ一致することとなり、これによって負荷への供給電流が精度良く求められることとなる。 【0011】 【発明の実施の形態】図1は本発明に係る電流検出回路の一実施形態の回路図である。この回路は、電源部1、PTCサーミスタ2、電位制御回路3、FET4、駆動回路5、過電流検出回路6、抵抗素子7及び制御回路8を備え、電源部1からランプ(負荷)9への電流供給を制御するものである。PTCサーミスタ2は第1の抵抗部21と第2の抵抗部22とを備え、電位制御回路3はPNPトランジスタ31とコンパレータ32とを備えている。 【0012】第1の抵抗部21の一端は電源部1に接続され、他端はFET4のドレインに接続され、FET4のソースはランプ9を介して接地されており、ゲートは駆動回路5に接続されている。第1の抵抗部21の他端は、更にコンパレータ32の非反転入力端子に接続されている。 【0013】第2の抵抗部22の一端は電源部1に接続され、他端はトランジスタ31のエミッタ及びコンパレータ32の反転入力端子に接続されており、トランジスタ31のベースはコンパレータ32の出力端子に接続され、コレクタは抵抗素子7を介して接地されている。 【0014】このように、第1の抵抗部21の一端と第2の抵抗部22の一端が共通で、第2の抵抗部22は第1の抵抗部21から分岐して構成されており、各抵抗部21,22の抵抗値の比率は、後述するように、所定比率になされている。 【0015】電位制御回路3は、第1の抵抗部21の他端(すなわちFET4のドレイン)の電位V1と第2の抵抗部22の他端(すなわちトランジスタ31のエミッタ)の電位V2とを同電位にするもので、その動作については後述する。駆動回路5は、図略のチャージポンプ回路などを備え、FET4のゲートに駆動電圧を印加してFET4をオンオフさせるものである。制御回路8は、駆動回路5を介してFET4のオンオフを制御することにより、ランプ9を点灯消灯させるものである。なお、抵抗素子7は、抵抗値R0が既知のものが採用されている。 【0016】過電流検出回路6は、以下の機能を有する。 (1) トランジスタ31と抵抗素子7との接続点(すなわちトランジスタ31のコレクタ)の電位V0を検出し、この電位V0からランプ9への供給電流I1を求める機能。 【0017】(2) 求められた供給電流I1が所定レベルを超えると過電流であると判定し、駆動回路5を制御してFET4をオフにさせる機能。 【0018】図2はPTCサーミスタ2を示す図で、(a)は斜視図、(b)は平面図、(c)は(b)のC−C線断面図である。PTCサーミスタ2には、チタン酸バリウム等のセラミックを主成分とする無機タイプと、ポリエチレン等の絶縁性高分子に導電性カーボンを配合して混練、成型、架橋処理した樹脂タイプの双方が適用可能である。 【0019】ここで、上記架橋処理を行う手段としては、電離放射線を高分子材料に照射して生成したラジカル同士の結合を生じさせる方法や、過酸化物を高分子材料に配合し、高温高圧雰囲気中でラジカルを発生させて化学結合を生じさせる方法等も有効である。このような架橋処理をすれば、過電流異常や過熱異常の状態から正常状態に戻った際、PTCサーミスタの通電性は上記異常状態が発生する前と同レベルまで復帰することが可能になる。 【0020】上記チタン酸バリウムを用いた場合、バリウム原子の一部をストロンチウム原子や鉛原子に置換することにより、抵抗が増大し始める温度を少なくとも50〜 200℃の範囲で制御することができる。一方、樹脂タイプのものでは、抵抗が増大し始める温度はベース樹脂の融点に支配される。このベース樹脂の融点は当該樹脂の結晶性を制御することによって若干調節できるが、その範囲は無機タイプと比べてかなり小さい。ポリエチレンの場合、融点の範囲はその結晶性によって100〜135℃程度に変わる。これを用いてPTCサーミスタを製造する場合、導電性カーボンを混練するために抵抗増大開始温度は上述の融点より若干低くなるが、電流値は混練するカーボン量や面積、厚みにより制御でき、この面積や厚み、形状制御は無機タイプのものより容易である。ポリエチレン以外では、ポリフッ化ビニリデン等の使用も考えられる。この場合、ポリフッ化ビニリデンの結晶性により融点が140〜150℃に変化する。よって、これにカーボンを混練することにより、抵抗増大開始温度が130〜140℃のPTCサーミスタを製造することが可能である。 【0021】PTCサーミスタ2は、図2(a)に示すように、サーミスタ部23と、このサーミスタ部23を挾むように配設された一対の電極板24,25とから構成されている。 【0022】一対の電極板24,25は、例えばニッケル箔などがサーミスタ部23の表面に張り合わせて形成されており、この一対の電極板24,25によってサーミスタ部23に配線の接続が可能になっている。 【0023】図2(a)(b)(c)に示すように、一対の電極板24,25の一方の電極板24は、例えばフォトエッチング法で切欠くことによって、第1の電極板241と第2の電極板242とに分割されている。このとき、第1の電極板241の面積と第2の電極板242の面積との比率が、N:1になるように分割されている。 【0024】そして、図1において、一対の電極板24,25の他方の電極板25が電源部1に接続され、第1の電極板241がFET4のドレインに接続され、第2の電極板242がトランジスタ31のエミッタに接続されている。すなわち、電極板25及び第1の電極板241によって挾まれたサーミスタ部23により第1の抵抗部21が構成され、電極板25及び第2の電極板242によって挾まれたサーミスタ部23により第2の抵抗部22が構成されている。 【0025】従って、第1の電極板241の面積と第2の電極板242の面積の比率をN:1にしているので、第1の抵抗部21の抵抗値をR1、第2の抵抗部22の抵抗値をR2とすると、R1:R2=1:Nになる。 【0026】次に、図1の回路の動作について説明する。制御回路8によって駆動回路5から駆動電圧がFET4に印加されるとFET4がオンになり、ランプ9に電流が供給されて、ランプ9が点灯する。 【0027】そして、コンパレータ32により第1の抵抗部21の他端の電位V1と第2の抵抗部22の他端の電位V2とが比較され、V1≧V2のときはコンパレータ32からローレベル信号が出力され、トランジスタ31がオンにされて、第2の抵抗部22に電流が流れて電位V2が上昇する。一方、V1<V2のときはコンパレータ32からハイレベル信号が出力され、トランジスタ31がオフにされて、第2の抵抗部22に電流が流れずに電位V2が低下する。このように、トランジスタ31のオンオフによってV1=V2に維持される。 【0028】従って、第1の抵抗部21に流れる電流、すなわちランプ9への供給電流をI1、第2の抵抗部22に流れる電流をI2とすると、V1=V2、かつR1:R2=1:Nであることから、I1:I2=N:1になる。 【0029】そこで、過電流検出回路6が検出する電位をV0とすると、抵抗素子7の抵抗値がR0であるので、I2=V0/R0になる。従って、I1=N・I2=N・V0/R0になり、過電流検出回路6によってランプ9への供給電流I1が求められる。 【0030】このように、第1の抵抗部21と、この第1の抵抗部21から分岐した第2の抵抗部22とを備えるようにPTCサーミスタ2を構成し、第2の抵抗部22に流れる電流によってランプ9への供給電流を検出するようにしたので、簡易な構成で電流検出を行うことができる。 【0031】また、第1の抵抗部21の抵抗値と第2の抵抗部22の抵抗値との比率が所定比率になるようにPTCサーミスタ2を構成し、両抵抗部21,22の他端の電位を同電位に維持するようにしたので、第1の抵抗部21に流れる電流、すなわちランプ9への供給電流に対して、第2の抵抗部22に流れる電流を比例させることができ、これによって、第2の抵抗部22に流れる電流を検出することによりランプ9への供給電流を求めることができる。 【0032】また、図2に示すように、1個のPTCサーミスタ2を用いて第1、第2の抵抗部21,22を構成しているので、第1の抵抗部21の特性と第2の抵抗部22の特性とがほぼ一致することとなり、温度依存性などの製造ばらつきによる特性の相違がなくなる。これによって、温度が上昇した場合でも、第1、第2の抵抗部21,22の抵抗値が同様に比例して増大することになる。従って、第2の抵抗部22に流れる電流から、第1の抵抗部21に流れる電流、すなわちランプ9への供給電流を精度良く求めることができる。 【0033】また、PTCサーミスタ2により第1の抵抗部21を構成しているので、例えば雰囲気温度の上昇や流れる電流レベルの増大によってPTCサーミスタ2の温度が上昇すると、第1の抵抗部21の抵抗値が増大することから、ランプ9への供給電流を低減することができ、これによって過電流や過熱に対してFET4を保護することができる。また、供給電流が低減することから、PTCサーミスタ2やFET4などの回路部品の小型化及び低コスト化を図ることができる。 【0034】なお、本発明は、上記実施形態に限られず、以下の変形形態を採用することができる。 【0035】(1)一方の電極板24を、第1の電極板241と第2の電極板242とに分割する方法は、フォトエッチングに限られない。例えば蒸着法を用いることも可能である。 【0036】(2)図3に示すように、電極板24だけでなく、サーミスタ部23も分割するようにしてもよい。この場合の分割は、例えばレーザトリミング法を用いることができる。 【0037】(3)上記実施形態では、ランプ9への電流供給を制御する回路に適用しているが、これに限られず、他の回路において電流を検出する場合に適用することができる。 【0038】 【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、電源部と負荷との間に介設された第1の抵抗部、及び電源部とアースとの間に介設され、第1の抵抗部から分岐して構成された第2の抵抗部を有し、第2の抵抗部の抵抗値が第1の抵抗部の抵抗値に対して所定比率だけ大きい値に設定されている正特性サーミスタと、第2の抵抗部に流れる電流を検出するとともに、この検出された電流と所定比率とから第1の抵抗部に流れる供給電流を求める電流検出手段とを備えるようにしたので、負荷への供給電流を簡易な構成で求めることができるとともに、温度上昇に対して回路部品を保護することができる。 【0039】また、第1の抵抗部の負荷側の電位と第2の抵抗部のアース側の電位とを同電位にさせることにより、第1の抵抗部に流れる電流と第2の抵抗部に流れる電流との比率が上記所定比率になるので、第2の抵抗部に流れる電流と上記所定比率とから、負荷への供給電流を容易に求めることができる。 【0040】また、サーミスタ部を挾むように配設された一対の電極板の一方は第1の電極板と第2の電極板とに分割され、第1の電極板及び一対の電極板の他方によって挾まれるサーミスタ部により第1の抵抗部を構成し、第2の電極板及び一対の電極板の他方によって挾まれるサーミスタ部により第2の抵抗部を構成し、第1の電極板の面積と第2の電極板の面積との比率が上記所定比率になるように構成していることにより、第1の抵抗部の特性と第2の抵抗部の特性がほぼ一致することとなり、これによって負荷への供給電流を精度良く求めることができる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】395011665 【氏名又は名称】株式会社ハーネス総合技術研究所 【識別番号】000183406 【氏名又は名称】住友電装株式会社 【識別番号】000002130 【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
|
| 【出願日】 |
平成10年6月18日(1998.6.18) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100067828 【弁理士】 【氏名又は名称】小谷 悦司 (外2名)
|
| 【公開番号】 |
特開2000−9764(P2000−9764A) |
| 【公開日】 |
平成12年1月14日(2000.1.14) |
| 【出願番号】 |
特願平10−171730 |
|