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【発明の名称】 平面曲げ疲労試験装置
【発明者】 【氏名】平尾 義弘
【氏名】都築 教利
【課題】本発明は、試験片に対し、その一面側への平面曲げ揺動時と他面側への平面曲げ揺動時とで同一の疲労試験条件が得られることや、振動の影響を低減すること、金属板新素材を試験片として用いた場合であっても平面曲げ疲労試を精度よくなし得る平面曲げ疲労試験装置を提供することを課題とする。

【解決手段】本発明、平面曲げ疲労試験装置1は、基部2と、基部2に保持され平面曲げ疲労試験片9Aの一端91aを拘束する固定側拘束台3と、基部2に揺動自在に保持された揺動軸4a、4cと揺動軸4a、4cに固定された揺動腕4b、4dと揺動腕4b、4dに固定され試験片9Aの他端92aを拘束する揺動側拘束台4eとをもつ揺動部材4と、揺動軸4aを揺動させる揺動駆動手段5と、を具備することを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】基部と、該基部に保持され平面曲げ疲労試験片の一端を拘束する固定側拘束台と、該基部に揺動自在に保持された揺動軸と該揺動軸に固定された揺動腕と該揺動腕に固定され該試験片の他端を拘束する揺動側拘束台とをもつ揺動部材と、該揺動軸を揺動させる揺動駆動手段と、を具備することを特徴とする平面曲げ疲労試験装置。
【請求項2】前記揺動駆動手段は、前記揺動軸と垂直な回転軸をもつ回転腕と該回転軸を回転駆動させる駆動モータと該回転腕の一端と該揺動軸とを連結し該回転腕の回転を該揺動軸の揺動に変える連結腕とからなる請求項1記載の平面曲げ疲労試験装置。
【請求項3】前記揺動駆動手段は、前記揺動軸に同軸的に固定された従動プーリと前記連結腕により揺動し駆動プーリをもつ駆動軸と該従動プーリおよび該駆動プーリを連結するタイミングベルトをもつ請求項2記載の平面曲げ疲労試験装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、平面曲げ疲労試験対象とする試験片(金属板)に対し、疲労破壊に至たるまでの間、繰り返し応力を作用させるための揺動を付与できる平面曲げ疲労試験装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、平面曲げ疲労試験を施す装置として、回転駆動部の一方向の回転運動を往復運動に変換し、試験片を載置した揺動載置台に揺動駆動力として伝達するクランク機構を用いた構成が知られている。例えば、図18に示される従来の平面曲げ疲労試験装置1Dは、平面曲げ疲労試験片(以下、試験片と称す)9Aの取り付け孔k1を備えた一端91aを第1押さえ板8aとで拘束する載置面31をもつ固定側拘束台3Dと、図略の軸受け部材に水平に保持された中心軸40dを備え試験片9Aの取り付け孔k1を備えた他端92aを第2押さえ板8bとで拘束する載置面41をもつ揺動側拘束台4Dと、前記中心軸40dと平行な位置で図略の軸受け部材に保持された回転駆動軸60を中心として回転可能な回転体6と、一端70を回転体6の回転駆動軸60から半径外方向の所定の位置に軸支(回転可能な状態で連結)されるとともに、他端71を揺動側拘束台4Dの揺動端部41dに軸支され、回転体6の回転駆動力を前記揺動端部41dに円弧状軌跡を描く往復運動(揺動)に変換して伝達するリンク7と、よりなる。
【0003】なお、前記載置面31、41および第1押さえ板8a、第2押さえ板8bには、それぞれ取り付けボルトk3を螺合するネジ孔kおよび挿通する取り付け孔k2が形成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】(1)前記従来のクランク機構を用いた平面曲げ疲労試験機1Dによると、試験片9Aは、平面曲げ疲労試験に先立ち、一端91aおよび他端92aが固定側拘束台3Dの載置面31および揺動側拘束台4Dの載置面41と、取り付けボルトk3によって締め付けられた第1押さえ板8aおよび第2押さえ板8bとで挟持され、かつ拘束される。
【0005】ついで、平面曲げ疲労試験機1Dは、回転体6の回転駆動力を、リンク7により円弧状軌跡を描く往復運動に変換して揺動側拘束台4Dの揺動端部41dに直接、伝達する。すると、揺動側拘束台4Dは、リンク7によって、揺動端部41dを上方向側(水平基準位置X1から試験片9Aの一面900側への揺動角度θ1)に突き上げる作用と、前記突き上げ作用に引き続く下方向側(水平基準位置X1から試験片9Aの他面901側への揺動角度θ2)に引き戻す作用とを交互に繰り返され、かつ中心軸40dを中心として揺動する。
【0006】以下に、回転体6の回転駆動、リンク7の往復運動、揺動端部41dの揺動に伴う移動位置の関係を、図20に基づき、リンク7の他端71におけるクランク上死点A、下死点B間の往復運動中、例えば、揺動角度θ1=θ2と仮定した場合を説明する。ここで、回転体6の回転駆動時における回転体6上のリンク7の一端70の軸支点の軌跡は、円周CR上となる。そしてクランク上死点Aのとき、リンク7の一端70の軸支点はa位置、クランク下死点Bのとき、リンク7の一端70の軸支点はb位置となるが、クランク中間点Cの時、上昇行程と下降行程とは、例えばCa位置およびCb位置であるとすると、bからCaを経てaに至る行程と、aからCbを経てbに至る行程とでは、移動量が同じであっても、直線Y(クランク上死点A、クランク下死点B、a位置、回転体6の回転駆動軸60、b位置を通る直線)に直交する直線Xを基準とする回転体6の回転角度θ10およびθ20とに角度差が発生する。
【0007】これは、クランク構造がクランク上死点A、クランク中間点C、クランク下死点Bの順に、円弧を描く軌跡となるために生じる差であり、行程差を回避することができない。また、回転体6は、同一速度で回転するため、その結果としてクランク上死点Aからクランク下死点Bに移動するまでの時間と、クランク下死点Bからクランク上死点Aに移動するまでの時間とで差を生じることになる。
【0008】さらに、例えば、a位置からCb位置に移動する場合と、Ca位置からa位置に移動する場合とで同じ距離となるように、回転体6の回転駆動軸60(あるいはモータの回転軸)を設定したとしても、b位置からCa位置に移動する場合と、Ca位置からa位置に移動する場合の行程差、すなわち時間差が生じるため、正の曲げと、負の曲げが同一条件とはならない。
【0009】このため、試験片9Aの平面曲げ疲労試験における条件は、リンク7による突き上げ作用と引き戻し作用とで同一とならず、試験片9Aに対し、その平面曲げ疲労試験精度の低下を免れない。
(2)また、前記クランク機構を用いた従来の平面曲げ疲労試験装置1Dは、リンク7が上下方向運動するものであるため、それ自体に上下振動を発生しやすく、かつ試験片9Aは上下方向の曲げ作用に伴い振動の影響を受け、平面曲げ疲労試験精度の低下を免れない。
(3)さらに、近年、曲げ強度を高めた金属板新素材として例えば高張力ステンレス板が市場に提供されている。この金属板新素材を前記従来の平面曲げ疲労試験装置1Dを用いて精度よく平面曲げ疲労試験を行うには、無理がある。
【0010】すなわち、前記(1)の理由からと、クランク機構を用いては、物理的な曲げ角度に機構上ゆえの限界があるので曲げ角度を大きく設定することができないが、試験片としては曲げ角度を大きく設定することを要求される場合があり、かつこの場合に対応できない。本発明は、前記問題点に鑑みなされたもので、試験片に対し、その一面側への平面曲げ揺動時と他面側への平面曲げ揺動時とで同一の疲労試験条件が得られることや、振動の影響を低減すること、金属板新素材を試験片として用いた場合であっても平面曲げ疲労試験を精度よくなし得る平面曲げ疲労試験装置を提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】請求項1の平面曲げ疲労試験装置は、基部と、該基部に保持され平面曲げ疲労試験片の一端を拘束する固定側拘束台と、該基部に揺動自在に保持された揺動軸と該揺動軸に固定された揺動腕と該揺動腕に固定され該試験片の他端を拘束する揺動側拘束台とをもつ揺動部材と、該揺動軸を揺動させる揺動駆動手段と、を具備する。
【0012】請求項2の平面曲げ疲労試験装置は、請求項1記載の構成において、前記揺動駆動手段は、前記揺動軸と垂直な回転軸をもつ回転腕と該回転軸を回転駆動させる駆動モータと該回転腕の一端と該揺動軸とを連結し該回転腕の回転を該揺動軸の揺動に変える連結腕とからなる。請求項3の平面曲げ疲労試験装置は、請求項1記載の構成において、前記揺動駆動手段は、前記揺動軸に同軸的に固定された従動プーリと前記連結腕により揺動し駆動プーリをもつ駆動軸と該従動プーリおよび該駆動プーリを連結するタイミングベルトをもつ。
【0013】
【発明の実施の形態】前記揺動駆動手段は、駆動源と、駆動源からの駆動力を揺動側拘束台に伝達する駆動力伝達部材とで構成することができる。駆動源としては、揺動側拘束台に対して、予め設定された所定の平面曲げ角度で板状の試験片の一面側および他面側に確実に精度よく繰り返し揺動させるための駆動力を供給できるものであればよく、揺動部材の揺動軸に直接あるいは間接的に連動するように設けられたものを用いることができる。
【0014】例えば、前記駆動源は、回転駆動モータや、直線的に往復移動する軸を備えた油圧シリンダーあるいはソレノイドや、ピニオンによって直線的に往復移動するラックや、リニアモータなどを用いることができる。また揺動駆動手段としては、厚みの異なる複数種類の試験片毎や、金属(材質)の種類、金属板の形状など種々の試験条件に応じて、試験片に付与する平面曲げ角度を種々設定するための平面曲げ角度調整部を備えた構成を用いることや、試験片の一面(表面)側および他面(裏面)側に、同じ揺動角度で繰り返し揺動できるように、試験片の厚み方向の中心位置(試験片の表面より厚さ方向に1/2の位置)を揺動中心に一致させるための水平位置調整部(揺動中心位置調整部)を備えた構成を用いることができる。
【0015】駆動力伝達部材は、その構成要素を、駆動源の種類毎に応じて種々選択し、適するものを採用することができる。例えば、駆動源が回転駆動モータである場合に採用される駆動力伝達部材としては、回転駆動モータに連動し、かつ入力された回転駆動力を揺動力に変換して出力するクランク機構と、クランク機構から出力された揺動力によって水平方向で直線的に往復運動する水平往復移動部材(スライダー)と、水平往復移動部材の直線的な往復運動を揺動運動に変換する変換部材(揺動部カムフォロア)と、変換部材の揺動量に応じた揺動角で揺動し、かつ変換部材の揺動中心となる駆動側揺動軸(スイングシャフト)と、駆動側揺動軸に装着された駆動側タイミングプーリ(駆動側プーリ)と、揺動部材の揺動軸に装着された従動側タイミングプーリ(従動側プーリ)と、駆動側タイミングプーリと従動側タイミングとに架設されたタイミングベルトとを主構成要素とすることができる。
【0016】この場合には、回転駆動モータの回転駆動力は、クランク機構に入力され、クランク機構から水平往復移動部材、変換部材、駆動側揺動軸、駆動側タイミングプーリ、タイミングベルト、従動側タイミングプーリ、揺動部材の揺動軸を経て揺動側拘束台を往復揺動させ得る。前記クランク機構は、回転駆動モータの出力軸に連結された回転円盤と、回転円盤の回転中心に交差する水平位置の直線に沿って半径方向に位置調整および固定可能に装着された水平移動台と、この水平移動台に前記直線上でかつ前記出力軸と平行に直立する位置に軸支されるとともに、水平方向に揺動可能な揺動腕と一体に形成された駆動側回転軸〔第1駆動伝達垂直軸(第1ボール・ジョイント)〕と、案内レールに水平方向で直線的に往復移動可能に案内される往復水平移動台と、往復水平移動台に直立に軸支されるとともに、水平方向に揺動可能な揺動腕と一体に形成された従動側回転軸〔第2駆動伝達垂直軸(第2ボール・ジョイント)〕と、一端および他端を駆動側回転軸の揺動腕および従動側回転軸の揺動腕に連結された連結腕(クランク・ロッド)とで構成される。
【0017】駆動側回転軸は、揺動側拘束台の揺動角度を調整設定するための回転駆動モータの出力軸に取り付けられた円盤(カウンタ・ディスク)の回転中心に交差する直線上を半径方向に水平移動できる揺動量調整用の水平移動台(スライド・ブロック)に直立した状態で軸支され揺動可能である。この駆動側回転軸は、水平移動台を位置調整することによって回転中心から半径方向に最大13mm隔てた位置の範囲内で位置移動可能であり、回転駆動モータの回転時に前記回転中心に対し同心円状の軌跡で周回し、回転力を揺動力に変換して連結腕(クランク・ロッド)に伝達する機能をもつ。
【0018】前記駆動側回転軸は、回転駆動モータの回転に伴い、出力軸および回転円盤の回転中心から揺動側拘束台の揺動角度の約1/2(例えば、駆動側タイミングプーリの歯数と従動側タイミングプーリの歯数とが1:1.8の場合である。なお、この比率は目的に応じて種々設定可能である。)に相当する回転半径で前記回従って、駆動側回転軸の前記回転半径は、予め前記揺動量調整用の水平移動台の位置を種々設定することによって、目的とする揺動側拘束台の揺動角度の1/2の値に対応する値とすることができる。
【0019】水平移動台の位置を調整するための調整機構としては、例えば、回転円盤あるいは回転円盤に連結された保持部材に両端部を回転可能に保持されたネジ軸と、揺動量調整用水平移動台に装着され前記ネジ軸に螺合するとともに、ネジ軸の時計方向および反時計方向の回転によってネジ軸の軸心線に沿って前進および後退する雌ねじ部材と、よりなるものや、先端部を軸方向の遊びなく、かつ回転可能に揺動量調整用水平移動台に装着されたネジ軸と、前記ネジ軸に螺合するとともに、回転円盤あるいは回転円盤に連結された保持部材に係合する雌ねじ部材と、よりなるものを用いることができる。
【0020】この調整機構によって水平移動台は、前記回転円盤の回転中心から半径方向〔半径外方向(回転中心から離れる方向)側および半径内方向(回転中心に接近する方向)側〕への移動量を微調整され、かつ駆動側回転軸の前記回転半径を精密に設定できる。また、従動側回転軸は、クランク機構の駆動力の出力側に用いられ、前記駆動側回転軸に一端を連結された連結腕(クランク・ロッド)の他端に連結されるとともに、下端を前記水平往復移動部材に直立した状態で軸支され揺動可能である。この従動側回転軸は、連結腕からの揺動力を水平往復移動部材の水平方向の直線的な往復移動に変換させて伝達する機能をもつ。
【0021】前記連結腕(クランク・ロッド)は、駆動側回転軸と従動側回転軸とを連結するとともに、その間の長さを伸縮調整機能をもつ構成が用いられる。連結腕の長さを伸縮調整することによって、揺動側拘束台をその揺動開始時点の水平基準位置(揺動側拘束台に拘束された試験片の一面側への揺動および他面側への揺動の中心水平位置に相当する平面曲げ角度ゼロ位置)に一致させることができる。
【0022】前記連結腕の長さを伸縮調整する構成としては、例えば、連結腕の両端の一方および他方に形成された逆ネジ部および正ネジ部を、駆動側回転軸と従動側回転軸との対向する位置に形成された逆ネジ孔および正ネジ孔に螺合させたものを用いることができる。この場合、連結腕は、時計方向の回動に伴いその両端が逆ネジ孔および正ネジ孔にネジ込まれて前記長さを短縮でき、反時計方向の回動に伴いその両端が逆ネジ孔および正ネジ孔からネジ戻されて前記長さを伸長できる。
【0023】前記変換部材としては、水平移動台から付与される運動力を、垂直線上の揺動中心の上方位置あるいは下方位置のいずれに設定してもよい。前記タイミングベルトは、駆動側タイミングプーリの歯と従動側タイミングプーリの歯に対しバックラッシのない噛み合いで、駆動側タイミングプーリの時計方向および反時計方向における回転角量相当の往復駆動量を、誤差なく確実に従動側タイミングプーリに伝達できる。
【0024】また、駆動側タイミングプーリの側に振動が発生した場合であっても、タイミングベルトのもつ弾力によって振動を吸収減衰でき、かつ従動側タイミングプーリの側に伝達される振動を低減できる。タイミングベルトは、その内周側に形成された歯および歯溝を、駆動側タイミングプーリの歯溝および歯と、従動側タイミングプーリの歯溝および歯に確実に噛み合わせることができる。
【0025】さらに、前記タイミングベルトは、駆動側タイミングプーリおよび従動側タイミングプーリとに架設された状態で駆動側タイミングプーリと従動側タイミングプーリとの間隔を微調整した場合であっても、前記噛み合わせ状態を安定保持できるように、テンション(緊張力)を付与させるテンションプーリ(回転ローラ)を外周面に係合する構成を用いることができる。
【0026】また、駆動側タイミングプーリの歯数と従動側タイミングプーリの歯数とは、1:1〜1:1.8あるいは1:1〜1.8:1のように、いずれにも調整できる。駆動側タイミングプーリの歯数と従動側タイミングプーリの歯数とが同じ(1:1)場合には、付加した移動量と同一の回転角となる。
【0027】駆動側タイミングプーリの歯数<従動側タイミングプーリの歯数の場合には、付加した移動量>回転角となる。駆動側タイミングプーリの歯数>従動側タイミングプーリの歯数の場合には、付加した移動量<回転角となる。駆動源として前記回転駆動モータを用いず、直線的に往復運動する機構を用いた場合には、前記回転駆動モータに連動するクランク機構を除いた他の構成要素をそのまま使用することができる。
【0028】すなわち、この場合には、直線的に往復運動する機構から直接、前記水平移動台に入力され、かつ水平往復移動部材から変換部材、駆動側揺動軸、駆動側タイミングプーリ、タイミングベルト、従動側タイミングプーリ、揺動部材の揺動軸を経て揺動側拘束台を往復揺動させ得る。
【0029】
【実施例】本発明、平面曲げ疲労試験装置の実施例を図1〜図18に基づいて説明する。図1に平面、図2に側面を示す実施例の平面曲げ疲労試験装置(以下、試験装置と称する)1は、その構成要素として基部2と、基部2に保持された固定側拘束台3と、揺動部材4と、揺動駆動手段5と、よりなる。この試験装置1は、平面曲げ疲労試験片(以下、試験片と称する)9A(図4参照)に曲げモーメントを繰り返し与える機能をもつ。
【0030】前記試験片9Aは、JIS Z2275に規定された形状、寸法を備えた1号試験片に相当のものである。試験片9Aは、厚さが0.5mmのステンレス製の平板で、長手方向Sに沿って所定間隔を隔てた位置で対向するそれぞれ四角形状の一端91aおよび他端92aと、一端91aと他端92aとの間に両側部分が円弧(7.5R)状に欠損した中央部93aをもつ。
【0031】また、試験片9Aの一端91aおよび他端92aには、取り付けネジk3(図6参照)を挿通するための取り付け孔k1が設けられている。以下、試験装置1を構成する各構成要素を説明する。基部2(図1、図2参照)は、所定の剛性を備え堅固な組付け体であり、鋼またはアルミ合金製の略長方形で、四隅に垂下する脚部21を備え水平に保持された下方基盤2aと、下方基盤2aより上方に向かって垂直に延びる4本の柱2bと、各柱2bの上端部に載置、連結され水平に固定、保持された上方基盤2cとを備える。
【0032】下方基盤2aの上面20には、後で述べる駆動側揺動軸5jを水平位置に軸支するための軸受け部材25(図2参照)を装着した厚板24が載置固定されている。上方基盤2bの上面22には、後で述べる固定側拘束台3および揺動部材4を軸支するための2つの軸受け部材26、27(図2参照)が所定の間隔を隔てた平行位置に装着されている。
【0033】固定側拘束台3は、図6に示されるようにネジ孔kを備え試験片9Aの一端91aを載置する載置面31と、揺動部材4の揺動軸4a、4cの中心線Z2に一致する位置に沿って設けられた嵌挿孔3a、3b(図7参照)が形成された垂直側壁32、33と、載置面31の後辺側に若干の間隔(中心線Z3に沿う方向の間隔)を隔てて直立し取り付け孔3c、3dが形成された後方突起34、35とを備える。
【0034】前記載置面31のネジ孔kには、第1押さえ板8aとで試験片9Aの一端91aを載置、拘束するための取り付けネジk3が螺合される。後方突起34、35の取り付け孔3c、3dは、その中心線Z3位置を載置面31に載置固定される試験片9Aの板厚の1/2の延長線上に設定される。これは、ロードセル3hに付与される出力を試験片9Aの曲げ中心に合致するための配慮である。
【0035】この固定側拘束台3は、図7に示されるように垂直側壁32、33の嵌挿孔3a、3bにブッシュ3e、3fを嵌挿した状態で揺動部材4の揺動軸4a、4cに軸支され、載置面31を水平基準位置(揺動角度ゼロ位置)X1(図1、図3、図6参照)と平行位置に保持される。また、固定側拘束台3の後方突起34、35(図1参照)の下方には、下方基盤2aの上面20に装着されたロードセル・ベース(取り付け台)3g、ロードセル3h、連結シャフト3j、ロッドエンド3kが上方に向って順に設置されている。
【0036】後方突起34、35には、それらの間に介置されたロッドエンド3kが連結される。この連結は、図7に示されるように後方突起35の取り付け孔3d、ロッドエンド3kの取り付け孔36、後方突起34の取り付け孔3cに挿通するとともに、取り付け孔3cより外部に突出する支軸37の先端部にその軸方向に交差する小孔38に抜け止めピン39を取り付けることによってなされる。
【0037】ロッドエンド3kは、平面曲げ疲労試験時の試験片9Aに発生する荷重の伝達方向を図1の鉛直方向に変換し、連結シャフト3jを介してロードセル3hに伝達する機能をもつ。連結シャフト3jは、図1に示されるようにロッドエンド3kとロードセル3hとを連結するとともに、連結長さを素早く容易に調整可能な上下逆ねじ30j、31jを備える。
【0038】ロードセル3hは、試験片9Aに発生する荷重を電気信号に変換する荷重変換器である。揺動部材4は、図2、図6、図8に示されるように基部2の上方基盤2cに装着された軸受け部材26、27に揺動自在に軸支された2つの揺動軸4a、4cと、揺動軸4a、4cに固定された揺動腕4b、4dと、揺動腕4b、4dに連結された揺動側拘束台4eと、試験片9Aの他端92aを拘束するとともに揺動側拘束台4eに摺動可能に保持された摺動部材(スライド・ブロック)4fとよりなる。
【0039】揺動軸4aには、図2に示されるように軸受け部材26より外側に向かって順に従動側タイミングプーリ5nとロータリ・エンコーダ4fが装着される。ロータリ・エンコーダ4fは、試験片9Aの振れ角(揺動角度)をパルス数(数値)に変換する機能をもつ。このパルス数は、図略の表示装置に出力され、かつ視認可能に表示される。
【0040】揺動側拘束台4eは、図6、図7に示されるように、摺動載置面41と、垂直側壁42、43とをもつ。垂直側壁42、43の頂端面420、430にはネジ孔k4が形成されている。摺動部材4fは、試験片9Aの他端92aを載置、拘束するための載置面40f及びネジ孔k5と、揺動側拘束台4eの摺動載置面41に摺動可能に載置される摺動面41fを備える。
【0041】また、摺動部材4fの載置面40fには、前記他端92aを載置する領域に隣合う両側に、摺動部材4fが揺動側拘束台4eの摺動載置面41を摺動する場合、上方向の移動(試験に支障を来すガタツキ)を回避できるように、左右2個の押さえ部材4gを摺接させている。押さえ部材4gは、略逆L字状のもので、取り付け孔k6を備えた上方水平部40gと、上方水平部40gから下方に垂下する垂直部41gとよりなる。
【0042】各押さえ部材4gは、揺動側拘束台4eの摺動載置面41に摺動部材4fが載置された状態で、取り付け孔k6に挿通された取り付けネジk3を前記頂端面420、430のネジ孔k4に螺合することによって、揺動側拘束台4eの揺動腕4b、4dに固定される。このとき、各押さえ部材4gの垂直部41gは、摺動部材4fの載置面40fの両側に下端面42gを摺接させる。
【0043】前記摺動部材4fの載置面40fは、前記固定側拘束台3の載置面31とともに、試験片9に対しその厚み方向の中央(試験片9Aの厚みの1/2)位置を中心として表面(一面)900側と裏面(他面)901側とに、同じ曲げ角度で繰り返し曲げ作用(揺動)を付与できるように配慮されている。なお、揺動側拘束台4eの摺動載置面41に摺動可能に載置それた摺動部材4fには、その載置面40fに、試験片9Aの他端92aが、板厚の1/2位置(板厚の中心)と水平基準位置(ゼロ角度を基準とする位置)Z1とが一致する状態に、前記他端92aを直接載置することができる板厚に設定することや、前記他端92aを設置位置調整用の図略のシムを介して間接的に設置することができる。
【0044】各載置面31、40fは、揺動側拘束台4eを揺動させる回転軸4aの中心線Z2と交差する水平基準位置(揺動角度ゼロ位置)X1に対し、前記拘束された状態にある試験片9Aの表面900からその厚み方向の中央(試験片9Aの厚みの1/2位置)が一致し、かつ揺動中心となるように設定される。これによって予め試験片9Aの厚みを種々、設定された複数の前記試験に対応することができる。
【0045】例えば、試験片9Aの厚さを最大1mmとした範囲内で用いることができるように設定する場合には、予め各載置面31、40fを、前記水平基準位置X1より0.5mm下位置に平行にセットすることによって、厚さを1mmの試験片9Aの厚みの1/2位置に揺動中心を一致することができる。ここで、試験片9Aの最大厚みが1mm以下の場合には、試験片9Aの厚みの1/2位置が確実に回転軸4aの中心線Z2と交差する水平基準位置X1と一致するように、各載置面31、40fと試験片9Aとの間に所定の厚みをもつ厚さ調整板部材〔(シム)図示せず〕を介置することによって調整がなされる。
【0046】要するに、前記固定側拘束台3と揺動側拘束台4eとは、平面曲げ疲労試験に際して用いられる試験片9Aの厚みがその都度、異なるような場合であっても、試験片9Aに対し、その厚みの1/2位置の水平基準位置X1を中心として、表面(一面)900側と裏面(他面)901側とに、同じ曲げ角度で繰り返し曲げ作用(揺動)を付与できる。
【0047】揺動側拘束台4eあるいは揺動腕4dに若干の間隔を保持した位置に、揺動側拘束台4eの水平位置検出用のファイバーセンサ4gおよび揺動側拘束台4eの揺動方向検出用の位置検出フォトセンサ4hが設置されている(図2参照)。ファイバーセンサ4gは、揺動側拘束台4eが上方向から下方向に揺動する途中でその下面44位置(図6参照)が水平基準位置X1と平行になった瞬間を測定し、かつ水平基準位置X1に対応する垂直揺動軸51jの垂直基準位置(垂直揺動角度ゼロ位置)Y(図1、図3、図9参照)を検出するとともに、ロータリ・エンコーダ4fの原点位置を設定するための情報(信号)を図略の演算装置に出力する。
【0048】フォトセンサ4hは、揺動側拘束台4eが上方向から下方向に揺動する途中でその下面44位置(図6参照)が水平基準位置X1と平行になった瞬間を測定し、揺動側拘束台4eの接近方向の判別するとともに、ロータリ・エンコーダ4fの原点位置を設定するための情報(信号)として図略の演算装置に出力する。揺動駆動手段5(図1参照)は、基部2の下方基盤2aに装着されるとともに、上方向に垂直伸び回転駆動する駆動軸m1をもつ回転駆動モータMと、回転駆動モータMからの回転駆動力を往復揺動力に変換するとともに、前記揺動部材4の揺動軸4aに伝達するための以下に示す各機能部品よりなる。
【0049】各機能部品は、前記回転駆動モータMの駆動軸m1に装着されて駆動軸m1の回転駆動により連動し水平位置で回転する回転円盤(カウンタ・ディスク)5aと、回転円盤5aに設置され揺動側拘束台4eの揺動角度θ(水平基準位置X1である揺動角度ゼロ位置より上方側への揺動角度θ1+下方側への揺動角度θ2)を調整可能な揺動角度調整部5bと、揺動角度調整部5bに直立した状態で回転可能に軸支されるとともに水平に揺動する水平揺動腕50cをもつ駆動側回転軸(第1ボール・ジョイント)5cと、基部2の下方基盤2aに装着された案内レール5gに水平方向で直線的に往復移動可能に案内される水平往復移動部材5fと、水平往復移動部材5fに直立した状態で回転可能に軸支されるとともに水平に揺動する水平揺動腕50eをもつ従動側回転軸(第2ボール・ジョイント)5eと、前記駆動側垂直揺動軸5cの水平揺動腕50cに螺合する一端側逆ネジ部50dおよび前記従動側揺動垂直軸5eの揺動腕50eに螺合する他端側逆ネジ部51d、一端側逆ネジ部50dと他端側正ネジ部51dとの間に設けられ操作用工具を係合させる六角形状の係合操作部52dとをもつ連結腕(クランク・ロッド)5dと、下方基盤2aに装着された軸受け部材25に水平位置で揺動可能に軸支される駆動側揺動軸(スイング・シャフト)5jと、水平往復移動部材(スライダー)5fに係合するベアリング50hを水平に軸支し駆動側揺動軸5jを揺動中心として揺動する垂直揺動部材(カムフォロア)5hと、駆動側揺動軸5jに装着された駆動側タイミングプーリ5kと、前記揺動部材4の揺動軸4aに装着された従動側タイミングプーリ5nと、駆動側タイミングプーリ5kおよび従動側タイミングプーリ5nに架設されたタイミングベルト5mとよりなる。
【0050】従って、回転円盤5aの回転駆動力は、駆動側回転軸5c、連結腕5d、従動側回転軸5e、水平往復移動部材5f、垂直揺動部材5h、駆動側揺動軸5j、駆動側タイミングプーリ5k、タイミングベルト5m、従動側タイミングプーリ5n、揺動部材4の揺動軸4aの順に揺動側拘束台4eに伝達される。前記モータMは、回転速度を目的の値に制御可能なものである。モータMには、その1回転を試験片9Aの1往復揺動数とし、かつ揺動回数に対応するモータの回転数を計測する機能をもつ回転検出フォトセンサ51aが設置されている。
【0051】前記揺動角度調整部5bは、前記回転円盤5aに固定、保持され前記中心線Pと直交する水平方向に伸びる所定巾、深さの案内溝51bを形成する断面略凹状の案内部材50bと、案内溝51bに回転円盤5aの半径方向〔半径外方向(図9の矢印R1参照)および半径内方向(図9の矢印R2参照)〕に摺動可能に収容、保持された断面略凸状の水平移動台(スライド・ブロック)52bと、案内溝51bの長手方向の前端側、後端側を覆うように案内部材50bに装着され水平移動台52bの摺動を制限する第1ストッパー53b、第2ストッパー54bと、案内部材50bの長手方向に沿う両側部上面b1および水平移動台52bの肩部分b2、b2を覆うように案内部材50bに装着されたカバー板55b、55bと、水平移動台52bの一部に軸支、連結される先端部b3および先端部b3より後方に伸び、第1ストッパー53bに形成されたb4に螺合し外部に突出する軸ネジ部b5をもつ調整ネジ56bと、調整ネジ56bの軸ネジ部b5に螺合し第1ストッパー53bとでロックおよびロック解除する締め付けナット57bと、よりなる。
【0052】前記、連結腕5dの一端側逆ネジ部50dおよび他端側正ネジ部51dには、締め付けナット53dおよび54dが螺合されている。締め付けナット53d、54dは、駆動側回転軸5cの水平揺動腕50c、従動側回転軸5eの水平揺動腕50eに対し、連結腕5dを回動しないように固定(ロック)すること、および固定(ロック)解除して連結腕5dの時計方向の回動、反時計方向の回動を許容することができる。
【0053】連結腕5dは、回動をロック状態に保持する締め付けナット53dおよび54dを緩めロックを解除操作した後、図1、2を右側から視認して、操作部52dを反時計方向に回動することにより一端側逆ネジ部50dおよび他端側正ネジ部51dがネジ戻され前記長さL1を伸長することができる。逆に、操作部52dを時計方向に回動することにより一端側逆ネジ部50dおよび他端側正ネジ部51dがネジ込まれ前記長さL1を短縮することができる。
【0054】また、連結腕5dの長さL1を調整することによって、試験片9Aの他端92aの揺動中心位置(上方向および下方向へ所定角度で揺動する中心となる揺動角度ゼロ位置)を、揺動水平基準位置X1に一致させることができる。軸受け部材25は、図略の取り付けボルトによって下方基盤2aに装着されているが、取り付けボルトを緩めることによって、取り付けボルトを案内軸とする図略の長孔あるいは溝に沿って、駆動側揺動軸5jを従動側揺動軸4aに平行状態を保持したままの状態で互いに接近あるいは離れる方向に微量、移動可能な構成である。この軸受け部材25は、併設された揺れ中心微調整ネジ部材28を用い、前記接近方向に押したり、離れる方向に引っ張ることによって、前記連結腕5dで調整しきれない微量の振れを調整可能である。
【0055】前記タイミングベルト5mは、駆動側タイミングプーリ5kの歯50kと従動側タイミングプーリ5nの歯50nに対しバックラッシのない噛み合いで、駆動側タイミングプーリ5kの時計方向および反時計方向における回転角量相当の往復駆動量を、誤差なく確実に従動側タイミングプーリ5nに伝達できる。駆動側タイミングプーリ5kの歯50kと従動側タイミングプーリ5nの歯50nの歯数の比率は、1:1.8に設定される。また、タイミングベルト5mには、常時、所定のテンションを付与するためのテンションプーリ5pを係合させている。
【0056】前記のように構成された実施例の試験装置1を用い、試験片9A(図3参照)の平面曲げ疲労試験を施す場合を以下に説明する。この試験片9Aは、平面曲げ疲労試験の対象領域となる中央部93aを除き、かつ中央部93aを介して面方向に対向する一端91aと他端92aが、それぞれ固定側拘束台3の載置面31および揺動側拘束台4e上の摺動部材4fの載置面40fに、板厚の1/2位置(板厚の中心)と水平基準位置(ゼロ角度を基準とする位置)Z1とが一致する状態に載置される。
【0057】一方、一端91aに第1押さえ板8aが載置されるとともに、締め付けボルトk3を前記取り付け孔k2、k1の順に挿通し、かつネジ孔kに螺合することによって、試験片9Aの一端91aが固定側拘束台3の載置面31と第1押さえ板8aとで拘束される。また、他端92aに第2押さえ板8bが載置されるとともに、締め付けボルトk3を前記取り付け孔k2、k1の順に挿通し、かつネジ孔k4に螺合することによって、試験片9Aの他端92aが摺動部材4fの載置面40fと第2押さえ板8bとで拘束される。
【0058】この後、揺動側拘束台4eは、試験片9Aの他端92aを目的とする揺動角度θで揺動できるように、平面曲げ揺動角度調整部5bを用いて調整、設定するための操作が行われる。この操作は、回転円盤5の回転停止を定められた位置にセットした状態で行われる。すなわち、まず、回転円盤5は、その回転中心線Pに水平に直交する水平線Z(水平調整移動台51bが移動する半径方向に伸びる線)が、揺動軸5jの揺動中心線Z1および揺動軸4aの揺動中心線Z2と平行となる位置にセットされる。
【0059】一方、これに連動して駆動側回転軸5cの揺動中心線P1は、回転円盤5の回転中心線Pと一致する。また、垂直揺動部材5hは、前記駆動側水平揺揺動垂直軸5cの位置合わせに伴い、連結腕5d、従動側水平揺動垂直軸5e、水平往復移動部材5fを介して垂直基準線Yと一致した垂直位置に保持される。そして揺動側拘束台4eは、垂直揺動部材5hに連動する駆動側揺動軸5j、駆動側タイミングプーリ5k、タイミングベルト5m、従動側タイミングプーリ5n、揺動軸4a、揺動腕4cを介して水平基準線X1に一致した位置に保持される。
【0060】この状態において、揺動角度調整部5bの操作がなされる。すなわち、この操作は、揺動角度調整部5bの締め付けナット57bを緩め、調整ネジ56bを時計方向に回動することによって、水平移動台52bを基準水平線Zに沿って、水平移動させる。すると、駆動側回転軸5cは、水平移動台52bの移動に伴いその揺動軸心線P1を、前記調整ネジ56bの回転量に対応する量、回転円盤5aの回転中心線Pから半径外方向(図3、9の矢印R1参照)に移動する。
【0061】この駆動側回転軸5cの移動は、連結腕5d、従動側回転軸5e、水平往復移動部材5fを介して垂直揺動部材5hに伝達され垂直揺動部材5hを垂直基準線Yより右方向(時計方向)に揺動し、さらに垂直揺動部材5hより駆動側揺動軸5j、駆動側タイミングプーリ5k、タイミングベルト5m、従動側タイミングプーリ5nを介して揺動部材4の揺動軸4aに伝達され揺動側拘束台4eを水平基準線X1より下方向(時計方向)に揺動し、その揺動角度が最大60°に設定される。
【0062】この後、揺動角度調整部5bの締め付けナット57bを締め付けることによって調整ネジ56bを固定、保持する。ついで、前記揺動角度の中心位置を揺動角度水平基準位置X1に一致させる位置合わせのための揺動腕5dの長さLの調整、設定する操作が行われる。この操作は、連結腕5dの長さ(駆動側回転軸5cの揺動腕50と従動側揺動垂直軸5eの揺動腕50eとの間の長さ)L1を伸長、調整することによって行われる。
【0063】すなわち、連結腕5dは、回動をロック状態に保持する締め付けナット53dおよび54dを緩めロックを解除操作した後、図1、2を右側から視認して、操作部52dを反時計方向に回動することにより一端側逆ネジ部50dおよび他端側正ネジ部51dがネジ戻され前記長さL1を伸長し、かつ伸長した分が移動力として、連結腕5dから従動側回転軸5e、水平往復移動部材5fを介して垂直揺動部材5hに伝達され垂直揺動部材5hを左方向(反時計方向)に揺動し垂直基準線Yに一致する。
【0064】すると、この垂直揺動部材5hの揺動は、垂直揺動部材5hより駆動側揺動軸5j、駆動側タイミングプーリ5k、タイミングベルト5m、従動側タイミングプーリ5nを介して揺動部材4の揺動軸4aに伝達され揺動側拘束台4eを上方向(反時計方向)に揺動し、水平基準線X1に一致する。このように、連結腕5dの長さL1を調整することによって、試験片9Aの他端92aの揺動中心位置(上方向および下方向へ所定角度で揺動する中心となる揺動角度ゼロ位置)を、揺動水平基準位置X1に一致させることができる。この後、連結腕5dは、締め付けナット53dおよび54dを締め付けることによって回動をロック状態に保持される。
【0065】また、平面曲げ揺動角度調整部5bを用いる場合には、試験片9Aの他端92aおよび揺動側拘束台4eの揺動角度θ〔水平基準位置(ゼロ角度を基準とする位置)X1を境界とし、上方向(図1参照)への上方揺動角度θ1が最大60°および下方向(図1参照)への下方揺動角度θ2が最大60°〕の範囲を繰り返し往復揺動させ得る状態に設定を完了できる。
【0066】ついで、試験装置1を作動する操作がなされ、回転駆動モータMの駆動軸m1が回転円盤5aを回転数(最大1500rpm)で反時計方向(図2参照)に回転駆動させる。すると、駆動側回転軸5cは、回転円盤5aの回転中心Pから半径外方向(図3の矢印R1参照)に半径値L(13mm)隔てた位置P1で円軌跡を描いて周回する。
【0067】このとき、駆動側回転軸5cは、回転円盤5aに保持された水平移動台50bに軸支されているため、周回しつつ、前記位置P1を揺動中心として水平揺動腕50cを水平方向に揺動し、かつ回転運動を連結腕5d、従動側回転軸5eを介して水平往復移動部材5fの水平位置での直線方向の往復運動に変換する。この水平往復移動部材5fの往復運動は、ベアリング40hを介して連動する垂直揺動部材5hによって円弧状の往復運動に変換され、かつ垂直揺動部材5hの揺動中心である駆動側揺動軸5jを往復揺動する。
【0068】駆動側揺動軸5jの往復揺動は、駆動側タイミングプーリ5k、タイミングベルト5m、従動側タイミングプーリ5n、揺動部材4の揺動軸4a、揺動腕4bの順に揺動側拘束台4eに伝達される。従って、揺動側拘束台4eの水平基準位置X1から上方への揺動角度θ1および下方への揺動角度θ2への揺動は、試験片9Aの揺動側他端面92aとともに、所定の速さで、試験片9Aの中央部93aが破損するまで繰り返される。
【0069】なお、揺動側拘束台4eの前記揺動角度θ1および揺動角度θ2への揺動時に、試験片9Aに対して、試験に不都合な圧縮応力が発生した場合には、これを解消する方向に、試験片9Aの他端92aを取り付けネジk3とで拘束している摺動部材4fが、前記応力によって極めて僅かに摺動し、前記試験片9Aへの試験結果に影響しない。
【0070】試験片9Aに繰り返し付与される揺動作用に伴う荷重は、その都度、固定側拘束台3の後方突起34、35からロッドエンド3k、連結シャフト3jを介してロードセル3hに伝達され、かつ前記荷重を電気信号に変換し、図略の演算装置に出力される。なお、回転円盤5aの回転駆動に伴い、前記半径値Lで周回する駆動側回転軸5cは、回転中心線Pを回転中心Oとして揺動軸心線P1までを半径値Lとして周回し、その円軌跡上で前記基準水平線Zと交差する円周位置O1から90°位相する円周位置O2と、180°位相する円周位置O3と、270°位相する円周位置O4を経て360°の元の円周位置O1に戻る。
【0071】この駆動側回転軸5c(揺動軸心線P1)の円周位置と、垂直揺動部材50jの揺動状態と、試験片9Aの曲げ揺動状態との関係は、図10、図11、図12と 図13、図14、図15と図16、図17、図18のようになる。すなわち、駆動側回転軸5cがO1、O3の円周位置にある場合には、垂直揺動部材50jが垂直位置、試験片9Aが水平位置にある。
【0072】駆動側回転軸5cがO2の円周位置にある場合には、垂直揺動部材50jが垂直基準線Yより左に揺動した位置、試験片9Aが水平基準位置X1より上方に揺動した位置にある。駆動側回転軸5cがO4の円周位置にある場合には、垂直揺動部材50jが垂直基準線Yより右に揺動した位置、試験片9Aが揺動水平基準位X1より下方に揺動した位置にある。
【0073】回転円盤5aの回転に伴う駆動側水平揺動軸5cの周回運動は、水平揺動腕50cから連結腕5d、従動側水平揺動軸5eの水平揺動腕50eを介して水平往復移動体5fに、その直線往復運動に変換して伝達される。このため、水平往復移動体5fは、案内レール5gに沿い水平直線上で往復移動する。
【0074】この水平往復移動体5fの水平方向の直線的な往復運動は、水平位置に保持され揺動中心となる駆動側揺動軸5jとともに、駆動側揺動軸5jの半径方向に伸びる垂直揺動部材51jを半径としてその端部に軸支されたベアリング5hを介して、それらを垂直基準位置Yから反時計方向側に所定の揺動角度位置Y1および時計方向側に所定の揺動角度位置Y2にまでの往復揺動運動に変換させて伝達される。
【0075】従って、駆動側揺動軸5jは、水平往復移動体5fの往復運動に伴い、矢印S1方向に回動角最大約27.5°、矢印S2方向に回動角最大約27.5°で繰り返し回動する。この繰り返し揺動運動は、駆動側揺動軸5jに装着された駆動側タイミングプーリ5kからタイミングベルト5mを介して揺動側拘束台4eの揺動軸4aに装着された従動側タイミングプーリ5nに伝達される。
【0076】従動側タイミングプーリ5nに伝達された繰り返し揺動運動は、揺動側拘束台4eの揺動軸4aを図1に示される水平基準位置(ゼロ角度を基準とする位置)X1を境界とし、上方向側(水平基準位置X1から試験片9Aの一面900側)への揺動角度θ1が最大60°および下方向側(水平基準位置X1から試験片9Aの他面901側)への揺動角度θ2が最大60°の範囲を交互に繰り返し往復揺動させる。
【0077】この結果、揺動側拘束台4eは、試験片9Aの他端92aを連動させ、かつ試験片9Aの平面曲げ疲労試験の対象領域となる中央部93aを上方向側および下方向側に繰り返し曲げる。そして、前記試験片9Aの中央部93aは、平面曲げ疲労限界に達した時点で破損する。
【0078】試験片9Aの中央部93aが破損すると、これを検出部で検出し、平面曲げ疲労耐久値として測定でき、この時点で回転体の回転駆動モータの駆動停止制御するための信号としてフィードバックされ、かつ回転駆動モータMが停止する。このように試験片9Aは、その材質により条件が異なるが、例えば高張力ステンレス鋼の場合おおむね試験条件として、往復揺動角度θ(θ1+θ2)が30°、往復揺動回転数1200rpmで中央部93aが疲労破壊した時点の平面曲げ回数を測定される。
【0079】以上のように、実施例の試験装置1によれば、試験片9Aに対し、その一端91aおよび他端92aを固定側拘束台3および揺動側拘束台4eに拘束した状態で繰り返し揺動させるために必要とする駆動力を、前記試験片9Aの揺動中心と同軸の揺動軸4aから揺動側拘束台4eに付与することができる。このため、実施例の試験装置1の場合には、図19に示す前記従来の上下突き上げ方式の試験装置1Dの駆動力の伝達系統(揺動側拘束台4Dの揺動中心40dより半径方向の最も隔てた位置の揺動後端部41dに軸支、連結され上下往復移動するクランク7からの駆動力伝達方式)における駆動力のアンバランスを起因として発生する振動を低減でき、かつ試験片9に対し、その一面900側への平面曲げ揺動時と他面901側への平面曲げ揺動時とで同一の疲労試験条件が得られ、目的とする条件に沿った平面曲げ疲労試験を精度よく、確実になし得る。
【0080】さらに、実施例の試験装置1によれば、前記従来の上下突き上げ方式の試験装置1Dでは、前記(1)(2)(3)などの理由からJIS Z2275に規定された形状、寸法を備えた1号試験片などに適用して平面曲げ疲労試験を精度よく行うことが困難であった、最近の金属板新素材に対しても、ベルト式駆動力伝達方式としたため、平面曲げ疲労試験を精度よく行うことができる。
【0081】なお、前記実施例では、図4に示す試験片9Aを用いた場合に適用して説明したが、前記試験片9Aに限定されるものではなく、その他、種々の形状、寸法を備えた試験片用いることができる。例えば、図5に示す試験片9Bを用いることもできる。この試験片9Bは、厚さが0.3mmのステンレス製板で、全体が長方形の長手方向Pの中央位置で両側辺側からそれぞれU字形の対称的に切り欠き、二つのU字の円弧状底辺間隔(中央部平面巾)を5mmに設定した中央部平面93bと、中央部平面93bを境にした両側の正方形の一端91bおよび他端92bとよりなる。
【0082】また、前記実施例では、各部品の数値の一例を示したが限定されるものではなく、目的に応じて種々設定できる。
【0083】
【発明の効果】(1)請求項1の平面曲げ疲労試験装置によれば、予め、平面曲げ疲労試験対象とする板状の試験片は、一端が固定側拘束台に拘束され、他端が揺動側拘束台に拘束し、かつセットされる。一方、試験片の他端を拘束した揺動側拘束台は、平面曲げ疲労試験装置の運転に先立ち、目的とする揺動角度で試験片を平面曲げすることができるように、揺動角度を調整、設定される。
【0084】この後、揺動側拘束台は、さらに試験片の一面側への揺動角度と他面側への揺動角度とが同じものとなるように、試験片の揺動中心位置(試験片の厚さの1/2の位置)を水平基準位置(揺動角度ゼロ位置)と一致するように調整、設定される。前記のように、揺動角度および揺動中心位置が調整、設定された後の揺動側拘束台は、揺動駆動手段から揺動軸、揺動腕を経て伝達された揺動駆動力によって、前記揺動軸を揺動中心軸として揺動する。
【0085】すると、試験片は、前記揺動側拘束台の揺動に伴い、他端を中央部の揺動中心位置から一面側および他面側に揺動する。従って、請求項1の平面曲げ疲労試験装置によれば、試験片の他端を揺動側拘束台とともに、繰り返し揺動させるために必要とする揺動駆動手段からの揺動駆動力を、前記試験片の揺動中心と同軸の揺動軸から揺動側拘束台に付与することができる。
【0086】このため、請求項1の平面曲げ疲労試験装置は、前記従来のクランク機構のリンクによる揺動側拘束台の揺動端部を突き上げ、引き戻し時の揺動作用に比べ、著しく振動を抑えた状態で揺動できるため、試験片の一面側の揺動時と他面側の揺動時とで同じ曲げ応力を精度よく確実に付与することができる。すなわち、試験片の中央部には、平面曲げ疲労破壊の発生に至るまでの間、前記振動を抑えた状態の揺動を繰り返し付与できる。
【0087】そして試験片への揺動付与開始から疲労破壊した時点までの値(回数)を測定することによって、試験後の試験片に対し、精度のよい平面曲げ疲労データを得ることができる。
(2)請求項2の発明、平面曲げ疲労試験装置の場合には、前記請求項1記載の構成において、揺動部材の揺動軸に伝達されるとともに、試験片の他端の揺動中心と同軸の揺動軸から揺動側拘束台に付与される揺動駆動力を、駆動モータから回転軸をもつ回転腕、回転腕の一端と揺動軸とを連結し前記回転腕の回転を揺動軸の揺動に変える連結腕とからなる揺動駆動手段が用いられる。
【0088】このため、請求項2の発明、平面曲げ疲労試験装置によれば、前記請求項1記載の構成と同じ効果を得ることができる他、前記揺動駆動手段の駆動モータの回転駆動力を回転軸をもつ回転腕から連結腕に伝達するとともに、前記連結腕によって前記回転腕の回転を揺動駆動力に変換して揺動軸に伝達することができ、かつ揺動駆動力の駆動原として市販の駆動モータを利用できるため、コスト面で有利となる。
(3)請求項3の発明、平面曲げ疲労試験装置の場合には、請求項1記載の構成において、揺動部材の揺動軸に伝達されるとともに、試験片の他端の揺動中心と同軸の揺動軸から揺動側拘束台に付与される揺動駆動力を、駆動源から駆動プーリをもつ駆動軸、前記駆動プーリからタイミングベルトを介して従動プーリに同期して揺動軸に伝達する揺動駆動手段が用いられる。
【0089】このため、請求項3の発明、平面曲げ疲労試験装置によれば、前記請求項1記載の構成と同じ効果を得ることができる他、駆動源からの駆動力は、若干の振動を伴っていても、駆動プーリ側からタイミングベルトを介して従動プーリに伝達される過程で、前記タイミングベルトがもつ弾性によって吸収、減衰できるため、前記請求項2記載の構成の場合よりも、試験片に対しその試験中に発生する振動の影響を低減できる。なお、例えば、金属製歯車などを用いて駆動力を伝達する場合に比べ、揺動側拘束台の振動は殆ど平面曲げ疲労試験に影響を与えない。
【出願人】 【識別番号】595035647
【氏名又は名称】株式会社ハーディック
【出願日】 平成10年10月16日(1998.10.16)
【代理人】 【識別番号】100081776
【弁理士】
【氏名又は名称】大川 宏
【公開番号】 特開2000−121524(P2000−121524A)
【公開日】 平成12年4月28日(2000.4.28)
【出願番号】 特願平10−295750