| 【発明の名称】 |
電子ディスプレイ装置の画素欠陥検査方法、および、電子ディスプレイ装置の製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】望月 淳
【氏名】堀内 立夫
【氏名】酒井 薫
【氏名】浅野 敏郎
【氏名】中豊留 博文
【氏名】大沢 敦夫
【氏名】古川 正
|
| 【要約】 |
【課題】電子ディスプレイを撮像検査にあたり、発生するモアレを低減して、画素欠陥の発見を容易にして検査精度を向上させ、かつ、その画素欠陥を定量的に評価する。
【解決手段】電子ディスプレイと、撮像素子との相対位置を画素ピッチの1/nづつ微小量変化させ、n枚の画像を画素毎に並べて、撮像時に生じる撮像モアレを低減させる様に、画像データの値の移動平均をとることにより合成し、その合成画像により、その電子ディスプレイの画素欠陥を検出する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】電子ディスプレイ装置の画素欠陥検査方法であって、以下の工程を含むことを特徴とする、電子ディスプレイ装置の表示画面と撮像手段の撮像素子との相対位置を微小量変化させながら前記撮像手段で前記電子ディスプレイ装置の表示画面を撮像して該表示画面の複数の画像データを得る工程、該複数の画像データを合成して該複数の画像データのそれぞれに含まれる撮像モアレを低減させた合成画像データを作成する工程、及び、該合成画像データを用いて前記電子ディスプレイ装置の表示面の画素欠陥を検出する工程。 【請求項2】前記相対位置を微小量変化させることが、前記電子ディスプレイ装置の表示画面の画素のピッチのi/n(nは、2以上の整数,i=0,…,n−1)づつ変化させることであることを特徴とする請求項1記載の電子ディスプレイ装置の画素欠陥検査方法。 【請求項3】前記検査の対象となる合成画像が、前記画素のピッチのi/nづつずらした画像を用いて元の画像データに対して、一辺についてn倍の解像度の画像を構成してその再構成した画像の画素の値について順次移動平均を取り、元の画像データに対して、一辺についてn倍の解像度の画像になるようにした画像であることを特徴とする請求項1記載の電子ディスプレイ装置の画素欠陥検査方法。 【請求項4】前記相対位置を微小量変化させることは、水平及び/または垂直方向へ変化させることであることを特徴とする請求項1記載の電子ディスプレイ装置の画素欠陥検査方法。 【請求項5】前記相対位置を微小量変化させることを、撮像素子を移動させることにより行うことを特徴とする請求項1記載の電子ディスプレイ装置の画素欠陥検査方法。 【請求項6】前記相対位置を微小量変化させることを、被写体たる電子ディスプレイを移動させることにより行うことを特徴とする請求項1記載の電子ディスプレイ装置の画素欠陥検査方法。 【請求項7】前記相対位置を微小量変化を、撮像素子を含むカメラ機構全体を移動させることにより行うことを特徴とする請求項1記載の電子ディスプレイ装置の画素欠陥検査方法。 【請求項8】前記相対位置を微小量変化させるステップにおいて、1回の微小量変化で元の画像で生じる撮像モアレがもつ空間周波数のうち、1個、あるいは相異なる2個の撮像モアレ空間周波数成分の位相を180度反転させ、前記合成画像データを得るステップにおいて、前記微小量変化させるステップにおいて得た画像を元の画像データと合成することを特徴とする請求項1記載の電子ディスプレイ装置の画素欠陥検査方法。 【請求項9】電子ディスプレイ装置の画素欠陥検査方法であって、以下の工程を含むことを特徴とする、電子ディスプレイ装置の表示面を撮像する工程、該撮像により得られた画像のデータを用いて前記表示面の画素欠陥を検出する工程、該検出した画素欠陥の輝度値と該画素欠陥の周りの画素との輝度値の比から欠陥コントラストを求める工程、及び、該画素欠陥を定量的に評価する工程。 【請求項10】前記撮像する工程において前記表示面の第1の画像を得、次に該第1の画像と1画素分以下ずれた複数の画像を得、これら第1の画像と複数の画像とを合成して合成画像を得、前記表示面の画素欠陥を検出する工程において、前記合成画像の画素データに対して空間微分処理を行い、この空間微分処理を行った結果を用いて画素欠陥を検出することを特徴とする請求項9記載の電子ディスプレイ装置の画素欠陥検査方法。 【請求項11】電子ディスプレイ装置の画素欠陥検査方法であって、以下の工程を含むことを特徴とする、電子ディスプレイ装置の表示画面を撮像手段で撮像する工程、該撮像して得た前記表示画面の複数の画像を合成して撮像モアレを低減させた合成画像データを作成する工程、及び、該合成画像データを用いて前記電子ディスプレイ装置の表示面の画素欠陥を検出する工程。 【請求項12】前記撮像するステップにおいて、前記表示画面を1画素分以下ずらして撮像した複数の画像を得、前記合成画像データを作成するステップにおいて、前記1画素分以下ずらして撮像した複数の画像を合成することにより撮像モアレを低減させた合成画像データを作成することを特徴とする請求項11記載の電子ディスプレイ装置の画素欠陥検査方法。 【請求項13】電子ディスプレイ装置の製造方法であって、以下の工程を含むことを特徴とする、電子デイスプレイ装置の表示面の蛍光体の欠落を前記表示面の画素単位で検出する工程、および、前記蛍光体の欠落が発見された部分に対して蛍光体を補填して前記表示面を補修する工程。 【請求項14】電子ディスプレイ装置の製造方法であって、以下の工程を含むことを特徴とする、電子デイスプレイ装置の表示面の欠陥を検出する工程、該検出した欠陥の情報に基づいて前記電子デイスプレイ装置の等級付けを行う工程、及び、前記検出した欠陥の情報及び/または前記等級付けの情報を記録する工程。 【請求項15】前記検出した欠陥の情報及び/または前記等級付けの情報を記録することを、前記電子ディスプレイ装置に添付することにより行うことを特徴とする請求項14記載の電子ディスプレイ装置の製造方法。 【請求項16】請求項14記載の電子ディスプレイ装置の製造方法であって、電子デイスプレイ装置の表示面の欠陥を検出する工程において、画素欠陥の個数、密度、位置、および、欠陥コントラストのうち少なくとも一つを含む情報を欠陥情報として得ることを特徴とする請求項14記載の電子ディスプレイ装置の製造方法。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、電子ディスプレイ装置の画素欠陥検査方法、および、電子ディスプレイ装置の製造方法に係り、特に、プラズマディスプレイやブラウン管などを撮像して検査する際に、欠陥の検出を容易にして検査の精度向上を図り、その欠陥を定量的に評価しうる画素欠陥検査方法、および、欠陥の修正を容易におこなえる電子ディスプレイ装置の製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】自発光型電子ディスプレイの代表的なものとしては、ブラウン管とプラズマディスプレイパネルがあり、これらは、テレビジョン受像機、コンピュータディスプレイなどに広く使用されている。 【0003】ところで、これらのディスプレイは、パネル上の蛍光体が発色する方法を取っているため、製造時には、パネルに蛍光体を均一に塗布する必要がある。製造工程で、塗布した蛍光体が欠落していると、発光しない画素欠陥が発生する。このような欠陥は、画面表示をしたときには、黒点として見え、ディスプレイの画像品質をおおきく損なうこととなる。 【0004】このため、従来は、蛍光体を塗布したあと、目視で、欠落した画素がないかどうか検査し、かつ、完成したディスプレイに対しても黒点がないかどうかを目視で検査してから、出荷していた。そして、欠陥が発見されたときには、全ての蛍光体を剥離して再び蛍光体を塗布しなおすという作業をおこなっていた。 【0005】従来、電子ディスプレイの画素数がそれほど多くないときには、目視検査でもさほどの作業上の困難はなかった。しかしながら、現在の高解像度のディスプレイでは、画素の数が何百万画素のオーダーになっているため、目視検査では、熟練検査員の不足、検査員の高齢化などから欠陥の見逃しが発生する。 【0006】また、目視で検査していたため、正確な欠陥位置がわからず、このため、欠落した部分に蛍光体を塗布する修正作業もできず、全ての蛍光体を塗布しなおすという無駄な作業が必要であった。また、目視検査では、画素欠陥の状況を定量的に評価したり、その状況を詳しくレポートすることはできず、欠陥の状況により、製造されたディスプレイを等級分けして出荷することもできなかった。 【0007】一方、製品自体の要請としては、無欠陥で高画質化、かつ品質の良い製品が求められているため、製造工程における画素欠陥の自動検出と修正が重要な課題となってきた。このような要請により、電子ディスプレイの製造工程における検査方法としては、固体撮像素子を用いたテレビカメラで、ディスプレイの画面を撮像して、それを画像処理し画素欠陥を自動検出する方法がおこなわれている。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】この方法では、固体撮像素子の数がディスプレイの画素数よりも十分大きい場合には問題ないが、ディスプレイの画素数が多くなり、撮像素子の画素数とディスプレイの画素数が同じ程度になると、撮像した画面上にモアレ(撮像モアレ)が発生する。 【0009】このモアレは、撮像画像を標本化して画像処理する際に、ディスプレイの表示解像度に対して撮像素子の解像度が不足して、ナイキスト周波数以上の信号成分による折り返しひずみが発生することによるものである。 【0010】このため、従来は、撮像レンズをデフォーカスすることにより、ナイキスト周波数以上の信号成分を抑制し、モアレの発生を低減していた。ところが、レンズをデフォーカスすると、黒点のコントラストも低下するため、小さな黒点が検出できないなど、検出精度に悪くなるという問題点があった。 【0011】本発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、その目的は、電子ディスプレイを撮像して、その欠陥を検査するにあたり、発生するモアレを低減して、欠陥の発見を容易にして検査精度を向上させ、かつ、その画素欠陥を定量的に評価しうる画素欠陥検査方法を提供することにある。また、その目的は、ディスプレイの欠陥を容易に修正することができ、製造品を客観的に評価しうる電子ディスプレイ製造方法を提供することにある。 【0012】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明の電子ディスプレイ製造における画素欠陥検査方法に係る発明の第一の構成は、電子ディスプレイを撮像して、その撮像画像により、その電子ディスプレイの画素に生じる欠陥を検査する電子ディスプレイ製造における画素欠陥検査方法において、被写体たる電子ディスプレイと、撮像素子との相対位置を微小量変化させ、複数の撮像した画像データを得て、撮像時に生じる撮像モアレを低減させる様に、前記画像データを合成し、その電子ディスプレイの画素欠陥を検出するようにしたものである。 【0013】この検査方法により、被写体と撮像素子の相対位置を画素ピッチの何分の一かにずらして撮像する画素ずらし撮像により、撮像モアレがキャンセルされ、画素欠陥を自動検出することが容易になる。例えば、1/2画素ずらすことにより、撮像モアレの位相は、180度変化するので、ずらしてないときと、ずらしたときとの画像を加算することにより、モアレ成分をキャンセルすることができる。 【0014】撮像素子を1/2画素ずらすには、たとえば、ピエゾ圧電素子を用いた2軸テーブルに撮像素子を固定しておくことにより、微少に撮像素子を移動させ、画素ずらしをおこなうことができる。また、1/2画素ずらしを水平・垂直方向に行うと、撮像画素数としては、4倍になり、解像度としては、ずらしのないときに比べ、2倍になり、モアレ低減とともに、高解像度化も同時に図ることができる。 【0015】上記目的を達成するために、本発明の電子ディスプレイ製造における画素欠陥検査方法に係る発明の第二の構成は、電子ディスプレイを撮像して、その撮像画像により、その電子ディスプレイの画素に生じる欠陥を検査する電子ディスプレイ製造における画素欠陥検査方法において、撮像により得られた画像データに対して空間微分処理をおこなうことにより画素欠陥位置を求めて、その画素欠陥の輝度値と、その画素欠陥の周りとの輝度値との比に定義される欠陥コントラストを求めて、その画素欠陥の定量的評価を行うようにした。 【0016】この検査方法では、上記で得られたモアレのない画像を、空間微分処理することにより、画素欠陥(黒点)を強調して検出し、欠陥コントラストを求める。また、その他に、欠陥位置、大きさ、欠陥密度なども自動計算することができる。 【0017】上記目的を達成するために、本発明の電子ディスプレイの製造方法に係る発明の構成は、パネルに蛍光体を含む電子ディスプレイの製造方法において、画素単位で蛍光体の欠落を検査し、その欠落が発見された部分に対して蛍光体を補填するようにした。 【0018】電子ディスプレイが、プラズマディスプレイ、ブラウン管である場合に、蛍光体塗布の後でこの検査をすると、蛍光体の塗布されていない画素の位置がわかるので、蛍光体のはいったマイクロシリンジを位置決めして、欠落した蛍光体を修正塗布することにより、画素欠陥をなくすことができる。 【0019】また、パネルに通電して点灯しておこなう検査工程で、この検査をおこなうことにより、画素欠陥の位置、個数、欠陥コントラスト、密度などから、客観的にディスプレイの等級を決めることができ、それらを記載したシールを添付して出荷すれば、顧客ニーズにあった高品質のディスプレイを提供することができる。 【0020】 【発明の実施の形態】以下、本発明に係る第1の実施形態を、図1ないし図14を用いて説明する。 【0021】〔電子ディスプレイの製造工程と、画素欠陥検出装置〕先ず、図1を用いて本発明に係る電子ディスプレイの製造工程を説明する。 【0022】図1は、本発明に係る電子ディスプレイ製造工程の全体図である。 【0023】ここでは、プラズマディスプレイパネルの場合を例にとるが、他のデバイス、例えば、ブラウン管にも適用可能である。また、液晶ディスプレイ(LCD)にも、適用可能であるが、このデバイスの場合は、画素欠陥を修正する工程はない。 【0024】蛍光体を塗布するパネルは、背面パネルと呼ばれ、リブ製作工程P1で、画素を空間的に分離するためのリブ(障壁)を製作する。蛍光体塗布工程P2では、そのリブとリブの間(すなわち、画素)に蛍光体を塗布する。 【0025】次に、蛍光体が欠陥無く塗布されているかどうかを、画素欠陥検査工程P3で検査する。そして、この検査により得られた画素欠陥情報I10を用いて、欠陥修正工程P4で、欠落している蛍光体の部分にマイクロシリンジ等を使って、不足している蛍光体を追加塗布する。画素欠陥情報I10とは、欠陥の位置、大きさ、コントラスト、密度などである。従来の製造方法では、欠陥が見つかった場合には、全ての蛍光体を剥離して、塗り直しをおこなっていたが、この方法によれば欠陥のあった位置だけに着目して、修正するため、歩留まり向上に寄与することができる。 【0026】欠陥修正が終わると、組立工程P5で、プラズマディスプレイパネルの場合は、前面板と組合せ、シールをおこない、真空引きする。この組立工程5の後に、画素欠陥検査工程P3′で、そのパネルを点灯させた状態で、画素の欠陥を自動検査する。そして、等級判定工程P7で、得られた画素欠陥情報に基づき、無欠陥のものは、グレード1、1〜2個のものは、グレード2という具合に等級判定する。最後に、シート添付工程P8で、画素欠陥検査結果シート8を添付して出荷する。ブラウン管の場合は、リブ製作工程P1がBM(ブラックマトリクス)製作工程となり、組み立て工程P5では、ファンネル、電子銃と組み合わせることになる。 【0027】次に、図2を用いて画素欠陥検査装置の構成を説明する。 【0028】図2は、本発明に係る画素欠陥検査装置の構成図である。 【0029】この画素欠陥検査装置は、上記の画素欠陥検査工程P3で使われるものである。 【0030】電子ディスプレイ11は、1回目の画素検査工程P3では、紫外線照明28により照明されて蛍光体が発光しており、2回目の画素検査工程P3′では、パネルを点灯させた状態で検査するため、信号発生器27により、単色(赤、緑、青)もしくは、白で点灯している。 【0031】画素ずらしカメラ13には、撮像素子15が、Xステージ16、Yステージ17の上に固定されている。ピエゾ圧電素子18は、Xステージ16、Yステージ17の個々に取りつけられている。そして、Xステージ16、Yステージ17は、このピエゾ圧電素子18により、微少距離を正確に移動することができる。 【0032】電子ディスプレイ11の発光状態は、レンズ12を通して撮像素子15に投影される。撮像素子15の出力は、映像信号処理回路20を通して画像処理装置14に入力される。入力された映像信号は、A/D変換回路21でデジタル化され、画像メモリ22に記憶される。画像メモリ22の内容は、コンピュータ25により解析・計算される。 【0033】また、コンピュータ25の指示により、制御回路23が動作し、直流電源24を制御することにより、Xステージ16、Yステージ17を所定距離駆動することができる。さらに、制御回路23は、映像信号処理回路20、A/D変換回路21、画像メモリ22のタイミングを役割も担っている。コンピュータ25は、画素欠陥の位置、コントラスト、大きさ、密度などを計算し、画素欠陥情報I10として、外部に出力する。 【0034】なお、この図の例では、電子ディスプレイ11と撮像素子15の相対距離を変化させるのに、撮像素子を動かしたが、その他にも、電子ディスプレイ11を動かす方法、また、画素ずらしカメラ13を動かす方法などが可能である。 【0035】〔画素欠陥検査方法〕次に、図3ないし図11を用いて本発明に係る電子ディスプレイの画素欠陥検査方法について説明する。 【0036】先ず、図3を用いて本発明に係る電子ディスプレイの画素欠陥検査方法の手順の概略について説明する。 【0037】図3は、本発明に係る電子ディスプレイの画素欠陥検査方法の手順を示すフローチャートである。 【0038】本発明の電子ディスプレイの画素欠陥検査方法では、図2に示した検査装置の方法などによって、検出時に撮像によるモアレをキャンセルするために、ディスプレイと撮像素子の相対位置を、微小量変化して撮像する(S51)。例えば、縦横1/2画素ずらしたときには、画素ずらし撮像51で、4枚の画像が得られる。次に、撮像した数枚の画像を合成する(S52)。このようにそれぞれの画像を合成することにより、モアレをキャンセルした画像が得られる。このモアレをキャンセルする原理については、後に詳しく説明する。 【0039】次に、得られた画素データに対して、検出性能を上げるため、空間微分処理をおこなう(S53)。空間微分処理S53とは、画像処理では一般的な技術であり、上下左右の画素値との差分をとることにより、画素値の変化を強調する処理である。この空間微分処理S53をおこなうことにより、画素欠陥を強調することができる。そして、空間微分処理をおこなった画像を2値化して(S54)、欠陥位置を求める。そして、S52で合成された画像に対して、欠陥コントラスト、大きさなどの欠陥情報を算出する。この欠陥情報を算出する過程についても後に説明する。 【0040】(I)モアレ発生とモアレを除去する原理次に、図4ないし図5を用いてモアレ発生とモアレを除去する原理について説明する。 【0041】図4は、検査時のディスプレイの撮像により生じるモアレの様子を示す模式図である。 【0042】図5は、モアレを除去する原理を説明するための図である。 【0043】上述の様に、画素ピッチに比べて撮像素子の画素ピッチが大きいなどのときには、折り返しひずみなどの要因によりモアレが生じる。この撮像モアレの様子は、撮像倍率や、電子ディスプレイ1の種類、画素ピッチなどにより、各種のものが発生する。撮像モアレは、図4に示されるように、画像上に波模様で発生する。ここで、図3(a)は、画像上の撮像モアレ31の強い部分を黒くして強調したものであり、図3(b)は、(a)をA−A′断面の画面の明るさ(モアレ波形)の様子を示している。 【0044】そして、このパネル上に画素欠陥32があったとすると、撮像モアレ31とともに存在するため、空間微分等の画像処理をしても、撮像モアレ31の微分出力がでてきて、画素欠陥による微分出力との区別が困難な場合が多い。 【0045】そこで、モアレをキャンセルするために、被写体たる電子ディスプレイと撮像素子を微小量ずらして撮像する。図5(a)に示される様に、画素ずらしをおこなっていないときのモアレ波形41に対して、画素ピッチの1/2をずらしたときには、位相は、180度変化して、モアレ波形42が出力される。そこで、画像を合成すると、モアレ波形に関しては、元のモアレ波形41と1/2画素ずらしをおこなったときの波形は合成されることになるため、波形43は平坦になり、モアレがキャンセルされたことになる。なお、図5は、簡単のために一次元で説明しているが、二次元でも原理は同様である。 【0046】また、図5(b)に示される様に、画素ピッチの1/3ずらしたときには、位相は、元の波形41に対して、120度ずれ、モアレ波形44になり、画素ピッチの2/3ずらしたときには、位相は、元の波形41に対して、240度ずれることになる。したがって、画像を合成することにより、これらの3つの波形を合成すれば、平坦な波形46が得られて、モアレがキャンセルされることになる。 【0047】同様に、画素ピッチの1/nずらしたときには、位相は、2π/nずれ、それらのn個の画像を合成すればモアレがキャンセルされ、合成した画像から撮像モアレが除去できることになる。 【0048】(II)モアレ除去と、欠陥検出のための具体的な処理次に、図6ないし図9を用いて上で説明した原理に基づくモアレを除去して、欠陥を発見する処理をより具体的に説明する。 【0049】図6は、画像を合成する処理を説明するための模式図である。 【0050】図7は、モアレ波形と、その合成を具体的に示した図である。 【0051】図8は、モアレ波形と、その合成波形で、画素欠陥が現れたときの様子を示した図である。 【0052】図9は、図8の波形を別々に示した図である。 【0053】ここでは、縦横に1/2画素づつずらして、その合成画像を作ることを想定する。 【0054】I1は、画素をずらしていないときの画像(l×m画素)、I2は、I1に対して水平方向に1/2画素ずらしたときの画像、I3は、水平・垂直方向にそれぞれ1/2画素ずらしたときの画像、I4は、垂直方向にのみ1/2画素ずらしたときの画像である。これら4枚の画像をずらした方向を考えて組み合わせることにより、2l×2mの画素数の高解像度な画像Icを得ることができる。 【0055】この画像は、位相が反転したモアレを含んだ画像データが並んでいるため、人間が画像を見る限りでは、モアレはなくなったように見える。これは、人間の目の解像度がディスプレイより低いため、隣同士の画素値が平均化されるためである。 【0056】画像処理をおこなうときは、これでは都合が悪いので、図6に示すように、A11,B11,C11,D11の画素値の平均をとり、E11とする。次に、隣のB11,A12,D12,C11の画素値の平均をとり、E12とする。以下、順次平均を取る場所を移動させていき、移動平均画像Imを作成する。これによって、モアレが除去でき、従来よりも4倍の画素数を持つ高解像度の画像が作成されたことになる。 【0057】同様に、1/n画素ずらして、合成画像を作成すれば、モアレが出ない、分解能nの二乗の分解能を持つ高解像度の画像を作成することができる。 【0058】この画像処理を理解するために、モアレ波形と欠陥があるときの様子について説明しよう。ここでは、説明を分かり易くするため一次元に簡易化して説明する。いま、画像データが撮像モアレを含んでおり、それぞれ、I1,I2の波形で示されるする。ここで、各波形の画素にあたるAiと、Bi+1の平均をとると、Ei+1の点になり、合成波形I5が得られる。このように移動平均処理をした合成波形I5は、モアレが、元の波形よりも格段に小さくすることができる。 【0059】このときには、画素欠陥があると、図8に示すように、その部分だけ暗くなり、出力が小さくなる。これを各波形別に示すと、図9に示すようになる。このように、I1やI2の波形では、欠陥部の検出は困難であるが、移動平均処理を行ったI5では、2値化のような簡単な処理でも、欠陥部が検出することができ、検査の精度向上を図ることができる。また、解像度も、上述のように2倍に向上しているので、欠陥が見つけやすくなりその点でも検査の精度向上を図ることができる。 【0060】(III)欠陥情報計算処理での欠陥コントラスト次に、図10および図11を用いて欠陥情報計算処理での欠陥コントラストについて説明する。 【0061】図10は、パネル上に生じた欠陥を示す模式図である。 【0062】図11は、欠陥とその周囲の輝度値の様子を示した図である。 【0063】空間微分処理S53をして、2値化処理S54により、図10に示す様にパネル上に欠陥位置が発見されたとする。例えば、欠陥D1の欠陥位置が特定されたときには、図11に示す様に、その周りの輝度値を測定して、欠陥コントラストをする。ここで、欠陥コントラストとは、例えば、図11の(式1)で定義できる。ここで、V1は、欠陥のない部分の輝度値で、V2は、欠陥部分の輝度値(その最小値)である。この定義によれば、欠陥がないときには、0%になり、欠陥の度合いが大きいときには、欠陥コントラストの値も大きくなり、これにより、欠陥の定量的な評価が可能になる。 【0064】〔欠陥修正工程での欠陥の修復〕次に、図12および図13を用いて欠陥修正工程P4で欠陥を修復処理について説明する。 【0065】図12は、プラズマディスプレイパネルの蛍光体塗布工程P2で蛍光体欠落71が発生したときの様子を示す図である。図12(a)は、上面図であり、(b)は、(a)のB−B′断面図である。 【0066】図13は、蛍光体修正工程で欠陥を修復するときの様子を示す図である。ここで、図13(a)は、プラズマディスプレイパネルのようなストライプ型に対して、修復するときの斜視図、(b)は、CRTのようなドット型のときの様子の斜視図である。すなわち、蛍光体欠落71の部分に蛍光体73のはいったマイクロシリンジ72で、不足している蛍光体70を修正塗布する。 【0067】〔画素欠陥検査結果シート〕最後に、図14を用いて製品出荷の際に添付される画素欠陥検査結果シートについて説明する。 【0068】図14は、画素欠陥検査結果シートの一例を示す図である。 【0069】製品出荷の際には、各々のディスプレイに、これまでの検査によって、得られた情報を画素欠陥検査結果シートに表示して出荷する。この例では、グレード(等級)、画素欠陥位置と欠陥の程度を表す欠陥コントラストなどを記述している。 【0070】これにより、各々のグレードに応じて、出荷値段を変えるなどの柔軟な扱いが可能になる。特に、ディスプレイの高精細化が進んでいるため、現実の使用に差し支えない程度の欠陥を許容して出荷しなければならないこともあるため、現実的に有効な手段である。 【0071】以下、本発明に係る第2の実施形態を、図15ないし図22を用いて説明する。図15は均一な発光強度のディスプレイ画素とその撮像画像の画素値との関係を、模式的に1次元で表現した図である。ディスプレイ画素のピッチをHp=1、発光幅をaHpとする。aはディスプレイ画素の開口率に相当するもので、ここではa=0.6とする。撮像画素のピッチp=0.6とする。撮像画素値A1〜A9に対して、0.5Hp、すなわち、ディスプレイ画素ピッチの1/2ずらした撮像画素値をB1〜B9に示す。 【0072】合成した撮像画素値C1〜C10は、各々、C1=(A1+B1)/2、C2=(A2+B2)/2、...、C10=(A10+B10)/2のように、元の撮像画像と1/2ピッチずらした撮像画像を対応する画素ごとに平均したものである。前記実施例において、「画素ずらしをおこなっていないときのモアレ波形41に対して、画素ピッチの1/2をずらしたときには、位相は、180度変化して、モアレ波形42が出力される。そこで、画像を合成すると、モアレ波形に関しては、元のモアレ波形41と1/2画素ずらしをおこなったときの波形は合成されることになるため、波形43は平坦になり、モアレがキャンセルされたことになる。」と記載したように、合成した画像のモアレは抑制されているものの、この例では完全にキャンセルされるまでには至っていない。以下、その原因について明らかにし、完全にモアレをキャンセルする方法について開示する。 【0073】図16は図15の撮像条件を、フーリエ変換したものである。空間周波数uは図15の横軸「位置」の逆数である。図16の縦軸はスペクトルS(u)であり、対応する空間周波数成分の程度を示すものであり、一般に複素数値を取るが、この例では虚数部分が零であるため実数になる。 【0074】以下、モアレの発生メカニズムを明らかにする。空間周波数u=0〜1/(2p)の部分100に、幅1/(2p)で部分100とN/p、N=整数だけ離れた部分101を重ねたときに、部分101の中に零ではないスペクトルが存在する場合、部分100の空間周波数の範囲0〜1/(2p)におけるその非零スペクトルの空間周波数値に対応する空間周波数をもつモアレが発生する。 【0075】図16では、モアレの原因となるスペクトルを楕円で囲み、空間周波数の範囲0〜1/(2p)におけるモアレ空間周波数値を矢印とし、両者の対応関係を示している。 【0076】一方、発生するモアレの強さは、部分101での非零スペクトルの空間周波数値をu'とすれば、図15の撮像条件ではsinc(pu')=sin(ppu')/(ppu')を前記非零スペクトルの値に乗じたものになる。sinc(x)は図18のように、|x|が大きくなるにつれて、減衰振動する関数であるため、部分101での非零スペクトルの|u'|が大きくなるにしたがい、それによるモアレは弱くなる。 【0077】図17は前記aを限りなく零に近づけた場合のディスプレイ画素の発光強度とそれに対するスペクトルである。スペクトルの値は図16と異なり|u'|がいくら大きくなっても一定値のままで減衰することはない。ディスプレイ画素開口率の影響は、図17のスペクトルにsinc(au)を乗じることであり、その結果が図16のスペクトルと等しいことは自明である。 【0078】Hp=1として0、1/n、……、(n−1)/nずらして撮像したディスプレイ画素を平均したときのスペクトルは、図17のスペクトルに(数1)を乗じたものになる。 【0079】 【数1】
【0080】図19は0、1/2ずらして平均したときのスペクトルであり、2k、k=整数のスペクトル以外は零になる。図20は0、1/3、2/3ずらして平均したときのスペクトルあり、3k、k=整数のスペクトル以外は零になる。一般化すると、0、1/n、……、n−1/nの場合は、nk、k=整数のスペクトル以外は零になる。上記のずらし平均により残る非零スペクトルの空間周波数nkにおいて、sinc(ank)=0になれば、モアレが完全にキャンセルされることになる。このことは、an=正の整数となるnにより実現できる。実現上のコストを考えれば、anが最小になるnを選択することが妥当である。図15、図16の例では、a=0.6であるからn=5、すなわち0、1/5、2/5、3/5、4/5ずらして平均すれば、モアレを完全にキャンセルすることができる。 【0081】2次元の場合についても、図21、図22のようにディスプレイ画素の形状が矩形であれば、水平方向、垂直方向を独立に扱うことができる。これは、1次元のディスプレイ画素開口率の影響sinc(au)が、2次元ではsinc(aHpu)×sinc(bVpv)になることから自明である。ここで、aは水平方向のディスプレイ画素開口率、bは垂直方向のディスプレイ画素開口率、Hpは水平方向ピッチ、Vpは垂直方向ピッチであり、図のように定義する。また、uは水平方向の空間周波数、vは垂直方向の空間周波数である。 【0082】図21はプラズマディスプレイや液晶ディスプレイの画素配列(矩形配列)の例であり、図22はブラウン管の画素配列(三角形配列)の例である。いずれの場合も画素配列には関係なく、水平、垂直個別にモアレを完全にキャンセルするnを前記手段により決定することができる。 【0083】一方、ディスプレイ画素の形状が矩形ではない場合は、ディスプレイ画素開口率の影響をsinc関数では表せないため、モアレを完全にキャンセルするnを求めることはできない。図23は楕円(1次Bessel関数で表せる)であり、通常のブラウン管の画素はこれに近い形状をもつ。図24は液晶ディスプレイの鍵穴形状の画素であり、ディスプレイ画素開口率の影響を解析的に関数表現することはできない。 【0084】ディスプレイ画素開口率の影響がsinc関数ではない画素形状について、本発明に係る異なる一実施形態を、図25ないし図27を用いて説明する。 【0085】図25はディスプレイ画素配列が矩形配列の場合のモアレ発生メカニズムを示す図であり、図26はディスプレイ画素配列が三角形配列の場合のモアレ発生メカニズムを示す図である。水平方向、垂直方向の撮像画素のピッチをpとする。ディスプレイ画素の水平方向ピッチHp、垂直方向ピッチVpは、図21、図22の定義とする。図25、図26の黒丸は、ディスプレイ画素配列によるスペクトルが非零である空間周波数(u,v)の座標点に対応する。 【0086】図16の1次元の場合と同様に、図25、図26においてモアレの発生メカニズムを明らかにする。空間周波数u=0〜1/(2p)、v=0〜1/(2p)の部分102に、水平幅、垂直幅とも1/(2p)で部分102とuがN/p、N=整数、vがM/p、M=整数だけ離れた部分103を重ねたときに、部分103の中に零ではないスペクトルが存在する場合、部分102の空間周波数の範囲u=0〜1/(2p)、v=0〜1/(2p)におけるその非零スペクトルの空間周波数値に対応する空間周波数をもつモアレが発生する。例えば、図21、図22の非零スペクトル105は、折り返し104により非零スペクトル106の空間周波数値をもつモアレのスペクトルになる。 【0087】一方、発生するモアレの強さは、部分103での非零スペクトルの空間周波数値(u',v')におけるディスプレイ画素開口率の影響とsinc(pu')×sinc(pv')との積に比例した値になる。|u'|あるいは|v'|が大きくなるにしたがい、モアレの強さは減衰していく。 【0088】予めディスプレイ画素開口率の影響を定量化しておけば、モアレスペクトル106の中で最大強度のスペクトルを計算により求めることができる。さらに、最大のモアレスペクトル106に対応する部分103内の非零スペクトル105の空間周波数値(u'1,v'1)も計算で求めることができる。同様にして、2番目に強いモアレスペクトルに対する部分103内の非零スペクトル105の空間周波数値(u'2,v'2)を求めることができる。 【0089】モアレスペクトルの位相を180度反転させる画素ずらしはexp{j2pp(hu’+xv’)}=-1であることから、(u'1,v'1)、(u'2,v'2)に対するモアレスペクトルをキャンセルするh、xは、(数2)の1次連立方程式により一意的に求めることができる。ここで、(数2)の画素ずらし比率h、xは、撮像画素ピッチpに対する比率である。 【0090】 【数2】
【0091】前記ディスプレイ画素開口率の影響を定量化する方法を説明する。図24の液晶ディスプレイの鍵穴形状画素を例に取る。図27のように適当な大きさの鍵穴形状画素を1つ含む画像データを作成する。画像データは鍵穴形状画素以外の値をすべ零とし、鍵穴形状画素を画像データの概ね中心付近に設置する。この画像データに対してフーリエ変換を施し空間周波数に対するスペクトルデータ(複素数値)を算出する。図25、図26のディスプレイ画素配列によるスペクトルに、対応する空間周波数値の前記スペクトルデータを乗じることにより、ディスプレイ画素開口率の影響を定量化することができる。 【0092】本実施例では、キャンセルするモアレの選択基準をモアレの強度としているが、それに拘束されるものではなく、選択基準を自由に決定してもかまわない。例えば、特定の空間周波数成分をもつモアレをキャンセルすることも可能である。 【0093】 【発明の効果】本発明によれば、電子ディスプレイを撮像して、その欠陥を検査するにあたり、発生するモアレを低減して、欠陥の発見を容易にして検査精度を向上させ、かつ、その画素欠陥を定量的に評価しうる画素欠陥検査方法を提供することができる。また、本発明によれば、ディスプレイの欠陥を容易に修正することができ、製造品を客観的に評価しうる電子ディスプレイ製造方法を提供することができる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000005108 【氏名又は名称】株式会社日立製作所
|
| 【出願日】 |
平成12年3月10日(2000.3.10) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100075096 【弁理士】 【氏名又は名称】作田 康夫
|
| 【公開番号】 |
特開2000−338000(P2000−338000A) |
| 【公開日】 |
平成12年12月8日(2000.12.8) |
| 【出願番号】 |
特願2000−72450(P2000−72450) |
|