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【発明の名称】 光デバイスの特性評価システム
【発明者】 【氏名】後藤 俊夫

【氏名】西澤 典彦

【要約】 【課題】波長可変短パルス光源を用いて、光デバイスの特性を的確に、かつ、容易に評価することができる光デバイスの特性評価システムを提供する。

【解決手段】fsファイバーレーザー1から出力される短パルスを光ファイバー3に入射し、光ファイバー3中の非線形効果によって、波長のシフトしたfsソリトンパルスSを生成する。このソリトンパルスSの波長は励起パルスRの強度を変化させるだけで、ほぼ線形に変化させることができる。このfsソリトンパルスSを被測定デバイス4に入射し、サンプリングオシロスコープ5を用いて時間応答を観測する。更に、その観測結果をパーソナルコンピューター6を用いてフーリエ変換し、被測定デバイス4の周波数応答特性を得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 光デバイスの特性評価システムにおいて、(a)波長可変短パルス光源と、(b)該波長可変短パルス光源から出力される短パルス光を導入する被測定デバイスと、(c)該被測定デバイスの特性を評価する装置とを具備することを特徴とする光デバイスの特性評価システム。
【請求項2】 請求項1記載の光デバイスの特性評価システムにおいて、前記被測定デバイスは光受光器であることを特徴とする光デバイスの特性評価システム。
【請求項3】 請求項1記載の光デバイスの特性評価システムにおいて、前記被測定デバイスは光増幅器であることを特徴とする光デバイスの特性評価システム。
【請求項4】 請求項1記載の光デバイスの特性評価システムにおいて、前記被測定デバイスは光発光素子であることを特徴とする光デバイスの特性評価システム。
【請求項5】 請求項1記載の光デバイスの特性評価システムにおいて、前記被測定デバイスは光ファイバーであることを特徴とする光デバイスの特性評価システム。
【請求項6】 請求項1記載の光デバイスの特性評価システムにおいて、前記波長可変短パルス光源から出力されるソリトンパルスとソリトンパルスに変換されなかった励起パルスを前記被測定デバイスに入射し、出力において励起パルスとソリトンパルスの時間差を測定し、波長分散の波長依存性を評価することを特徴とする光デバイスの特性評価システム。
【請求項7】 請求項1記載の光デバイスの特性評価システムにおいて、前記波長可変短パルス光源から得られる2つのソリトンパルスで前記被測定デバイスを励起し、後から入射されるソリトンパルスで反作用の時間変化を測定し、その2つの出力を分波して、それぞれ受光器で検波して観測し、観測結果をコンピュータに取り込み、解析し、前記被測定デバイスの時間応答を得ることを特徴とする光デバイスの特性評価システム。
【請求項8】 請求項7記載の光デバイスの特性評価システムにおいて、前記被測定デバイスは可飽和吸収素子であることを特徴とする光デバイスの特性評価システム。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光デバイスの特性評価システムに係り、特に波長可変短パルス光源を用いた光デバイスの特性評価システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年の光通信技術の発展に伴い、光デバイスの時間応答にますます高速化が求められるようになり、それらの特性を評価することは徐々に難しくなってきている。また、広い波長帯を用いる波長多重光通信の発展に伴い、デバイスの波長依存性を評価することが重要な課題となってきている。
【0003】短パルス光を光デバイスに外部から入射し、その時間応答を測定することによって、デバイスの周波数特性を評価することはできるが、これまで、短パルス光源は、装置が大きく、取り扱いが困難であった。また、これまで短パルス光の波長を変化させるには、複雑な光学装置が必要で、波長依存性の測定は容易ではなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本願発明者は、光ファイバーとフェムト秒(fs)ファイバーレーザーの組み合わせによって、コンパクトで安定な波長可変fsソリトンパルス生成装置を既に特願平10−275604号として提案している。
【0005】本発明は、かかる波長可変短パルス光源を用いて、光デバイスの特性を的確に、かつ、容易に評価することができる光デバイスの特性評価システムを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達成するために、〔1〕光デバイスの特性評価システムにおいて、波長可変短パルス光源と、この波長可変短パルス光源から出力される短パルス光を導入する被測定デバイスと、この被測定デバイスの特性を評価する装置とを具備するようにしたものである。
【0007】〔2〕上記〔1〕記載の光デバイスの特性評価システムにおいて、前記被測定デバイスは光受光器である。
【0008】〔3〕上記〔1〕記載の光デバイスの特性評価システムにおいて、前記被測定デバイスは光増幅器である。
【0009】〔4〕上記〔1〕記載の光デバイスの特性評価システムにおいて、前記被測定デバイスは光発光素子である。
【0010】〔5〕上記〔1〕記載の光デバイスの特性評価システムにおいて、前記被測定デバイスは光ファイバーである。
【0011】〔6〕上記〔1〕記載の光デバイスの特性評価システムにおいて、前記波長可変短パルス光源から出力されるソリトンパルスとソリトンパルスに変換されなかった励起パルスを前記被測定デバイスに入射し、出力において励起パルスとソリトンパルスの時間差を測定し、波長分散の波長依存性を評価するようにしたものである。
【0012】〔7〕上記〔1〕記載の光デバイスの特性評価システムにおいて、前記波長可変短パルス光源から得られる2つのソリトンパルスで前記被測定デバイスを励起し、後から入射されるソリトンパルスで反作用の時間変化を測定し、その2つの出力を分波して、それぞれ受光器で検波して観測し、観測結果をコンピュータに取り込み、解析し、前記被測定デバイスの時間応答を得るようにしたものである。
【0013】〔8〕上記〔7〕記載の光デバイスの特性評価システムにおいて、前記被測定デバイスは可飽和吸収素子である。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0015】図1は本発明の第1実施例を示す波長可変fs短パルス光源を用いた光デバイスの特性評価装置の模式図、図2は本発明の第1実施例を示すサンプリングオシロスコープで観測した光受光器の時間応答の測定例を示す図、図3は時間応答から求めた光受光器の周波数応答の解析例を示す図である。
【0016】図1において、1は短パルス光源(fsファイバーレーザー)、2は短パルス光源1からの光特性を調整する光特性調整器、3はこの光特性調整器2から入射パルスを入射するとともに、出力パルスの波長を線形に変化させることができる光ファイバー、Rは励起パルス、Sはソリトンパルス、4はそのソリトンパルスSが入射される被測定デバイス(光受光器)、5はサンプリングオシロスコープ、6はパーソナルコンピュータである。
【0017】このように、fsファイバーレーザー1から出力される短パルスを光ファイバー3に入射し、光ファイバー3中の非線形効果によって、波長をシフトしたfsソリトンパルスSを生成する。このソリトンパルスSの波長は励起パルスの強度を変化させるだけで、ほぼ線形に変化させることができる。このfsソリトンパルスSを被測定デバイス4に入射し、サンプリングオシロスコープ5を用いて時間応答を観測する。更に、その観測結果をパーソナルコンピュータ6を用いてフーリエ変換することにより、光デバイスの周波数応答特性を得ることができる。
【0018】また、ソリトンパルスの波長を変化させることによって、光受光器の周波数応答や光デバイスの量子効率の波長依存性を測定することができる。
【0019】被測定デバイス4が光受光器である場合には、図2に示すように、サンプリングオシロスコープ5で観測した光受光器4の時間応答の測定を行うことができる。なお、図2において、縦軸は強度、横軸は時間を示している。
【0020】そして、図3に示すように、その時間応答から求めた光受光器4の周波数応答の測定を行うことができる。図3において、縦軸は応答、横軸は周波数を表している。
【0021】図4は本発明の第2実施例を示す波長可変fs短パルス光源を用いた光デバイスの特性評価装置の模式図である。なお、上記した実施例と同様の部分には同じ符号を付している。
【0022】図4において、1は短パルス光源(fsファイバーレーザー)、2は短パルス光源1からの光特性を調整する光特性調整器、3はこの光特性調整器2から入射パルスを入射するとともに、出力パルスの波長を線形に変化させることができる光ファイバー、Rは励起パルス、Sはソリトンパルス、7はそのソリトンパルスSが入射される被測定デバイスとしての光発光素子、5はサンプリングオシロスコープ、6はパーソナルコンピュータである。
【0023】このように被測定デバイスとしては、発光素子7を挙げることができ、その発光素子7の時間応答から求める周波数測定と、その波長依存性の測定を行うことができる。
【0024】図5は本発明の第3実施例を示す波長可変短パルス光源を用いた光デバイスの特性評価装置の模式図である。なお、上記した実施例と同様の部分には同じ符号を付してそれらの説明は省略する。
【0025】この実施例では、光デバイスとして、被測定光増幅器を用いて、その特性評価を行う。すなわち、短パルス光源1から波長可変ソリトンパルスSを被測定光増幅器31に入射し、透過光を高速受光器13で検波し、サンプリングオシロスコープ(光パワーメータでもよい)14で観測する。
【0026】すると、透過光の波形の変化から、被測定光増幅器31の周波数特性を測定することができる。
【0027】また、ソリトンパルスSの強度を調整することによって、光増幅器の入射光強度依存性を測定することができる。
【0028】さらに、ソリトンパルスSの波長を変化させることによって、波長依存性を測定することができる。
【0029】図6は本発明の第4実施例を示す波長可変fsソリトンパルス光源を用いた光ファイバーの波長分散の測定系を示す図である。なお、第1実施例と同じ部分については、同じ符号を付してそれらの説明は省略する。
【0030】この図において、1は短パルス光源(波長可変fsソリトンパルス光源)、11は光結合器(カプラ)、12は被測定ファイバー、13は高速受光器、14はサンプリングオシロシコープ、15はパーソナルコンピュータである。
【0031】図6に示すように、短パルス光源(波長可変fsソリトンパルス光源)1からは、波長を可変にできるソリトンパルスSと、ソリトンパルスSに変換されなかった励起パルスR1 が光結合器(カプラ)11を介して被測定ファイバー12へ出力される。この2つのパルスを、被測定ファイバー12に入射し、2つのパルスR1 ,Sの時間差の変化を測定することによって、被測定ファイバー12の波長分散を測定する。また、ソリトンパルスSの波長をシフトさせることによって、波長分散の波長依存性を得ることができる。時間波形は高速光受光器13で受光し、サンプリングオシロスコープ14を用いて観測する。観測された時間波形はパーソナルコンピュータ15にて解析され、被測定ファイバー12の分散値の波長依存性が規定される。
【0032】図7は本発明に係る波長可変fsソリトンパルス光源から得られる2つのパルスの時間波形の測定例を示す図であり、ここで、縦軸は強度、横軸は時間を示している。図7(a)は10kmファイバーの入射前のパルスの時間波形、図7(b)は10kmファイバーの伝搬後のパルスの時間波形図である。
【0033】図8はその2つのパルスの時間差から求めた波長分散の測定例を示す図である。ここで、横軸は波長(nm)、縦軸は群速度分散β2 (ps2 /km)を示している。
【0034】なお、この実施例では、波長分散の2次分散β2 について述べたが、波長分散の3次分散β3 についての測定を行うこともできる。また、光損失の波長依存性についての測定を行うこともできる。
【0035】図9は本発明の第5実施例を示す波長可変fs短パルス光源を用いた光デバイスの特性評価装置の模式図である。なお、上記実施例と同じ部分については、同じ符号を付してそれらについては説明を省略する。
【0036】この実施例においては、波長可変短パルス光源1から得られる光ファイバー3に2つのパルスS1 ,S2 を生成させて、この2つのソリトンパルスS1 ,S2を光結合器(カプラ)11を介して前記被測定デバイスである光ファイバー12に入射し、該2つのパルスS1 ,S2 の時間差の変化を測定し、波長分散の波長依存性を評価するようにしている。
【0037】図10は本発明の第6実施例を示す波長可変短パルス光源を用いた被測定デバイスの時間応答の測定例を示す模式図である。なお、上記した実施例と同様の部分については、同じ符号を付してそれらの説明は省略する。
【0038】この図に示すように、短パルス光源(波長可変短パルス光源)1を用いると、時間差を持った2つのfsパルスS1 ,S2 を生成することができる。この2つのパルスS1 ,S2 を被測定デバイス4(例えば、半導体可飽和吸収光素子)に入射し、先に入射するパルスS2 で被測定デバイス4を励起し、2つ目のパルスS1 でその反作用の時間変化を測定する。2つの出力はPBS(偏光ビームスプリッタ)21で分波され、それぞれ受光器22,23で検波され、ディジタルオシロスコープ24で観測される。観測結果はパーソナルコンピュータ25に取り込まれ、解析の結果、被測定デバイス4の時間応答が得られる。このような、半導体可飽和吸収光素子の場合、時間応答(周波数特性)とその波長特性、光吸収率の波長依存性、光吸収率の強度依存性についての測定を行うことができる。
【0039】図11は本発明の第7実施例を示す波長可変fs短パルス光源を用いた光デバイスの特性評価装置の模式図である。なお、上記実施例と同じ部分については、同じ符号を付してそれらについては説明を省略する。
【0040】この実施例においては、波長可変短パルス光源1から先に出力されるソリトンパルスに変換されなかった励起パルスR1 で前記被測定デバイス4を励起し、後から入射するソリトンパルスS3 で反作用の時間変化を測定し、その2つの出力を分波して、それぞれ受光器22,23で検波して観測し、観測結果をコンピュータ25に取り込み、解析し、前記被測定デバイス4の時間応答を得る。
【0041】このように、本発明によれば、1つのシステムで光デバイスの周波数特性と、その波長依存性を従来よりも広帯域に測定することができる。
【0042】また、システムが従来と比較して非常にコンパクトであり、操作が容易である。
【0043】更に、光源の調整、特に波長の調整が容易なため、特性評価を容易に行うことができる。
【0044】本発明は、特に、光通信の分野に広く用いられることが期待される。
【0045】なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【0046】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明によれば、以下のような効果を奏することができる。
【0047】fsファイバーレーザーから出力される短パルス光を光ファイバーに入射し、ファイバー中の非線形効果によって、波長のシフトしたfsソリトンパルスを生成する。このソリトンパルスの波長は励起パルスの強度を変化させるだけで、ほぼ線形に変化させることができる。このfsソリトンパルスを被測定デバイスに入射し、サンプリングオシロスコープを用いて時間応答を観測する。更に、観測結果をコンピュータを用いてフーリエ変換し、被測定デバイスの周波数応答特性を評価することができる。
【0048】また、ソリトンパルスの波長を変化させることによって、周波数応答や光デバイスの量子効率の波長依存性を測定することができる。
【0049】更に、励起光とソリトンパルスを用いて、光ファイバーの波長分散の測定を広帯域に渡って行うこともできる。
【0050】また、2つの短パルスを生成することによって、光スイッチ等に用いられる半導体可飽和吸収素子の時間応答特性を測定できる。
【出願人】 【識別番号】396020800
【氏名又は名称】科学技術振興事業団
【出願日】 平成11年3月8日(1999.3.8)
【代理人】 【識別番号】100089635
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 守
【公開番号】 特開2000−258299(P2000−258299A)
【公開日】 平成12年9月22日(2000.9.22)
【出願番号】 特願平11−60413