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【発明の名称】 ステアリング操作装置
【発明者】 【氏名】下 薗 亮

【要約】 【課題】従来のステアリング操作装置は、車両へのセッティングに多くの手間と時間がかかるなどの問題点があった。

【解決手段】シートSに固定する基台1と、基台1に対して回動自在な支柱2と、支柱2に対してその軸線方向および軸回り方向に移動可能なモータ支持体3と、モータ支持体3に対して回動自在なステアリング操作用モータ4と、ステアリングホイールHに対して着脱可能なステアリングアーム5と、ステアリング操作用モータ4の出力軸6の回転をステアリングアーム5に伝達する自在継手7を備えたステアリング操作装置とし、セッティングの簡略化を実現した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 車両の運転席のシートに固定する基台と、基台に対して下端部を車両左右方向の軸回りに回動自在に取付けた支柱と、支柱に対してその軸線方向に位置調整可能で且つ軸回り方向に回動自在なモータ支持体と、モータ支持体に対して車両左右方向の軸回りに回動自在なステアリング操作用モータと、ステアリングホイールに対して着脱可能なステアリングアームと、ステアリング操作用モータの出力軸の回転をステアリングアームに伝達する自在継手を備えたことを特徴とするステアリング操作装置。
【請求項2】 ステアリングアームが、自在継手への連結部分を中心にして放射状に複数の保持アームを備えており、各保持アームは、軸線方向をステアリングホイールの半径方向とした調整用ボルトにより同半径方向に移動可能なスライド体と、スライド体の移動を拘束解除する固定手段を備え、スライド体に、ステアリングホイールの外周部に係合するフックを備えたことを特徴とする請求項1に記載のステアリング操作装置。
【請求項3】 モータ支持体が、ステアリング操作用モータを間にして自在継手と同軸上に配置される第2の自在継手を備えていることを特徴とする請求項1または2に記載のステアリング操作装置。
【請求項4】 支柱に対してモータ支持体が着脱可能であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のステアリング操作装置。
【請求項5】 ステアリング操作用モータとステアリングアームの間に双方を結合分離する着脱手段を備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のステアリング操作装置。
【請求項6】 請求項1〜3のいずれかに記載のステアリング操作装置において、支柱に対してモータ支持体を着脱可能に設けると共に、ステアリング操作用モータとステアリングアームの間に双方を結合分離する着脱手段を設け、モータ支持体に換えて支柱に対して着脱可能な軸支持体と、軸支持体に対して一端部を車両左右方向の軸回りに回動自在に連結した軸体を備え、軸支持体が、支柱に対してその軸線方向に位置調整可能で且つ軸回り方向に回動自在であると共に、軸体の他端部に、着脱手段のステアリング操作用モータ側の機構を設けたことを特徴とするステアリング操作装置。
【請求項7】 ステアリング操作用モータの出力軸の回転を検出する操作角度検出手段と、ステアリングアームの回転操作力を検出する操作力検出手段と、操作角度検出手段や操作力検出手段からの検出信号に基づいてステアリング操作用モータを制御する制御手段を備えたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のステアリング操作装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、テストコースやシャシーダイナモメータにおいて、走行する車両のステアリングホイールを自動的に操作するのに用いられるステアリング操作装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】この種のステアリング操作装置としては、例えば、特開平7−248279号公報に記載されているものがある。同公報に記載のステアリング操作装置は、開度および長さの調整が可能な2本の脚体を有する支持台を備え、車両のフロアにおけるシートレールに、各脚体の下端部を位置調整して固定すると共に、支持台の上端部に、ステアリング操作用のサーボモータを傾斜角度調整可能に備えている。また、ステアリングホイールにはステアリングアームが装着してあり、サーボモータの出力軸とステアリングアームとを自在継手およびスプライン軸を介して連結することにより、全体でラフなセッティングを可能にしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記したような従来のステアリング操作装置にあっては、シートレールに固定する支持台を備えた構成であるため、当該操作装置を車両にセッティングするには、先ず運転席のシートを取外さなければならず、その後、2本の脚体の開度および長さやシートレールに対する位置をそれぞれ調整すると共に、シートレールに対して各脚体の下端部をボルトで固定しなければならないので、セッティングに多くの時間と手間がかかるという問題があった。また、サーボモータとステアリングアームの間に、双方の間隔調整を行うためのスプライン軸を設けていたため、スプライン軸の噛み合い量が少ないと、大きな振動を受けたりステアリングホイールのチルトロックが外れたりした場合にスプライン軸の部分で外れる恐れがあり、これらの問題を解決することが課題であった。
【0004】
【発明の目的】本発明は、上記従来の課題に着目して成されたもので、車両へのセッティングを簡単に行うことができると共に、大きな振動等を受けても本来のステアリング操作機能を確実に維持することができるステアリング操作装置を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明に係わるステアリング操作装置は、請求項1として、車両の運転席のシートに固定する基台と、基台に対して下端部を車両左右方向の軸回りに回動自在に取付けた支柱と、支柱に対してその軸線方向に位置調整可能で且つ軸回り方向に回動自在なモータ支持体と、モータ支持体に対して車両左右方向の軸回りに回動自在なステアリング操作用モータと、ステアリングホイールに対して着脱可能なステアリングアームと、ステアリング操作用モータの出力軸の回転をステアリングアームに伝達する自在継手を備えた構成とし、請求項2として、ステアリングアームが、自在継手への連結部分を中心にして放射状に複数の保持アームを備えており、各保持アームは、軸線方向をステアリングホイールの半径方向とした調整用ボルトにより同半径方向に移動可能なスライド体と、スライド体の移動を拘束解除する固定手段を備え、スライド体に、ステアリングホイールの外周部に係合するフックを備えた構成とし、請求項3として、モータ支持体が、ステアリング操作用モータを間にして自在継手と同軸上に配置される第2の自在継手を備えている構成とし、請求項4として、支柱に対してモータ支持体が着脱可能である構成とし、請求項5として、ステアリング操作用モータとステアリングアームの間に双方を結合分離する着脱手段を備えた構成とし、請求項6として、請求項1〜3のいずれかに記載のステアリング操作装置において、支柱に対してモータ支持体を着脱可能に設けると共に、ステアリング操作用モータとステアリングアームの間に双方を結合分離する着脱手段を設け、モータ支持体に換えて支柱に対して着脱可能な軸支持体と、軸支持体に対して一端部を車両左右方向の軸回りに回動自在に連結した軸体を備え、軸支持体が、支柱に対してその軸線方向に位置調整可能で且つ軸回り方向に回動自在であると共に、軸体の他端部に、着脱手段のステアリング操作用モータ側の機構を設けた構成とし、請求項7として、ステアリング操作用モータの出力軸の回転を検出する操作角度検出手段と、ステアリングアームの回転操作力を検出する操作力検出手段と、操作角度検出手段や操作力検出手段からの検出信号に基づいてステアリング操作用モータを制御する制御手段を備えた構成としており、上記の構成をもって従来の課題を解決するための手段としている。
【0006】
【発明の作用】本発明の請求項1に係わるステアリング操作装置では、運転席のシートに固定する基台を用いているので、当然のことながらシートの取外しは行わない。そして、車両において当該ステアリング操作装置をセッティングするには、ステアリングホイールに対してステアリング操作用モータの出力軸がほぼ同軸状態となるように、支柱に対してその軸線方向(車両上下方向)にモータ支持体の位置調整を行う。つまり、基台に対して支柱が車両左右方向の軸回りに回動自在であると共に、支柱に対してその軸回りにモータ支持体が回動自在であり、且つモータ支持体に対してステアリング操作用モータが車両左右方向の軸回りに回動自在であるので、支柱の軸線方向にモータ支持体の位置調整を行えば、支柱の起立角度やステアリング操作用モータの傾斜角度および左右振れ角度が自在に変化し、支柱の軸線方向に対するモータ支持体の移動を拘束すれば、支柱の起立角度やステアリング操作用モータの傾斜角度および左右振れ角度が決定されて、セッティングは完了となる。こののち、ステアリング操作用モータを駆動すると、出力軸の回転が自在継手およびステアリングアームを介してステアリングホイールに伝達されることとなり、基台に対する支柱の回動、支柱に対するモータ支持体の回動、モータ支持体に対するステアリング操作用モータの回動および自在継手の回動により、各構成体の互いの位置誤差や車両走行時の振動を吸収する。
【0007】本発明の請求項2に係わるステアリング操作装置では、ステアリングホイールにステアリングアームを装着するに際し、自在継手への連結部分を中心にして放射状に設けた複数の保持アームにおいて、調整用ボルトの操作によりスライド体を移動させて、スライド体とともに移動するフックをステアリングホイールの外周部に係合させ、この状態で固定手段によりスライド体の移動を拘束すれば、各フックによってステアリングホイールにステアリングアームが固定される。
【0008】本発明の請求項3に係わるステアリング操作装置では、モータ支持体がステアリング操作用モータを間にして自在継手と同軸上に配置される第2の自在継手を備えているので、ステアリングアームとモータ支持体の間において、ステアリング操作用モータが出力軸両端側の2つの自在継手で保持された状態となり、これにより振動の吸収性能が高められる。
【0009】本発明の請求項4に係わるステアリング操作装置では、支柱に対してモータ支持体が着脱可能であるので、ステアリングアーム、自在継手、ステアリング操作用モータおよびモータ支持体を一方の組とし、支柱および基台を他方の組として双方を分離し得る。
【0010】本発明の請求項5に係わるステアリング操作装置では、ステアリング操作用モータとステアリングアームの間に双方を結合分離する着脱手段を備えたので、ステアリングアームを一方の組とし、ステアリング操作用モータ、モータ支持体、支柱および基台を他方の組として双方を分離し得る。このとき、自在継手は、着脱手段の位置によっていずれかの組に含まれる。
【0011】本発明の請求項6に係わるステアリング操作装置では、請求項1〜3のいずれかに記載のステアリング操作装置において、支柱に対してモータ支持体を着脱可能に設けると共に、ステアリング操作用モータとステアリングアームの間に双方を結合分離する着脱手段を設けている。したがって、運転席のシートに基台および支柱を残し、ステアリングホイールにステアリングアームを装着した状態で、モータ支持体およびステアリング操作用モータを分離し得る。そして、当該ステアリング操作装置では、モータ支持体に換えて支柱に対して着脱可能な軸支持体と、軸支持体に対して一端部を車両左右方向の軸回りに回動自在に連結した軸体を備え、軸支持体が、支柱に対してその軸線方向に位置調整可能で且つ軸回り方向に回動自在であると共に、軸体の他端部に、着脱手段のステアリング操作用モータ側の機構を設けているので、上記したようにモータ支持体およびステアリング操作用モータを分離したのち、支柱に軸支持体を装着すると共に、ステアリングアームと軸体との間で着脱手段を結合し、ステアリングホイールと軸体とがほぼ同軸状態となるように、支柱の軸線方向に軸支持体を位置調整して固定することにより、振動吸収の機能を備えたうえで、ステアリングホイールが固定された状態となる。
【0012】本発明の請求項7に係わるステアリング操作装置では、操作角度検出手段でステアリング操作用モータの出力軸の回転を検出し、操作力検出手段ステアリングアームの回転操作力を検出し、これらの検出信号を入力する制御手段において、主としてステアリング操作用モータの操作角度や操作力のフィードバック制御が行われる。
【0013】
【発明の効果】本発明の請求項1に係わるステアリング操作装置によれば、車両へのセッティングに際して、従来のような運転席のシートの取外し作業、シートレールに対するボルトの調整および固定作業、あるいはステアリングホイールとステアリング操作用モータとの間隔調整作業が一切不要であり、しかも、ステアリングホイールとステアリング操作用モータの出力軸とがほぼ同軸状態となるように、支柱の軸線方向にモータ支持体の位置調整を行えばよいので、セッティングにかかる手間や時間を大幅に低減することができる。また、基台に対する支柱の回動、支柱に対するモータ支持体の回動、モータ支持体に対するステアリング操作用モータの回動、および自在継手の回動により、ラフなセッティングが可能であって、作業をより容易に且つ迅速に行うことができると共に、それぞれの回動部位により各構成体の互いの位置誤差や車両走行時の振動を良好に吸収することができ、走行中に大きな振動等を受けても本来のステアリング操作機能を確実に維持することができる。さらに、位置調整を行う部位が支柱とモータ支持体の間だけであるため、セッティング後に構成体を固定する手段も支柱とモータ支持体の間だけに設ければ良く、例えば調整可能な2本の脚体を用いた従来の装置に比べて、構造の簡略化、部品点数の削減および低コスト化などを実現することができる。
【0014】本発明の請求項2に係わるステアリング操作装置によれば、請求項1と同様の効果を得ることができるうえに、ステアリングアームの各保持アームに、調整用ボルトの操作によりステアリングホイールの半径方向に移動するスライド体およびフックを備えたことから、きわめて簡単な調整操作で直径の異なるステアリングホイールに各フックを自在に合わせることができると共に、固定手段の操作によってステアリングホイールにステアリングアームを簡単に且つ確実に固定することができる。
【0015】本発明の請求項3に係わるステアリング操作装置によれば、請求項1および2と同様の効果を得ることができるうえに、第2の自在継手を備えたモータ支持体を採用したことにより、ステアリング操作用モータを出力軸両端側の2つの自在継手で保持した状態にして、振動の吸収性能をより一層高めることができる。
【0016】本発明の請求項4に係わるステアリング操作装置によれば、請求項1〜3と同様の効果を得ることができるうえに、支柱に対してモータ支持体が着脱可能であることから、支柱とモータ支持体を分離することにより、車両へのセッティングあるいは取外しの際に、これらの作業のさらなる容易化および迅速化を実現することができる。
【0017】本発明の請求項5に係わるステアリング操作装置によれば、請求項1〜4と同様の効果を得ることができるうえに、ステアリング操作用モータとステアリングアームの間に双方を結合分離する着脱手段を備えたことから、着脱手段でステアリング操作用モータとステアリングアームを分離することにより、車両へのセッティングあるいは取外しの際に、これらの作業のさらなる容易化および迅速化を実現することができ、とくに、ステアリングホイールに対するステアリングアームの着脱を個別に行うことができるので、ステアリングアームの着脱を楽に行うことができるほか、ステアリングアームに対するステアリング操作用モータの軸合わせをより一層容易に行うことができる。
【0018】本発明の請求項6に係わるステアリング操作装置によれば、請求項1〜3と同様の効果を得ることができるうえに、基台、支柱およびステアリングアームを残して、ステアリング操作用モータを軸体に交換することができ、とくに、シャシーダイナモメータ上で行う車両走行試験において、振動吸収性能を備えたうえでステアリングホイールを固定状態にすることができる。このように、一部の構成体の交換によってステアリングホイールを操作する機能と固定する機能の両方を得ることができ、製作費用の低減などを実現することもできる。
【0019】本発明の請求項7に係わるステアリング操作装置によれば、請求項1〜6と同様の効果を得ることができるうえに、操作角度検出手段、操作力検出手段および制御手段を採用したことにより、ステアリング操作用モータの操作角度や操作力を正確に制御して、安定した操作や人為的なものにより近い操作を行うことができると共に、例えばテストコースにおける走行試験の用途範囲の拡大などを図ることができる。
【0020】
【実施例】図1〜図4は、本発明に係わるステアリング操作装置の一実施例を説明する図である。
【0021】図1に示すステアリング操作装置は、車両の運転席のシートSに固定する基台1と、基台1に対して下端部を車両左右方向の軸回りに回動自在に取付けた支柱2と、支柱2に対してその軸線方向に位置調整可能で且つ軸回り方向に回動自在なモータ支持体3と、モータ支持体3に対して車両左右方向の軸回りに回動自在なステアリング操作用モータ4と、ステアリングホイールHに対して着脱可能なステアリングアーム5と、ステアリング操作用モータ4の出力軸6の回転をステアリングアーム5に伝達する自在継手7を備えている。
【0022】基台1は、この実施例の場合、車両自動運転装置の架台を利用したものであって、アクセル、ブレーキおよびクラッチの各ペダルを操作するペダル操作機構8と、ギアを操作するギア操作機構9と、エンジンキーを操作するキー操作機構10を備えている。これらの機構は、各々の該当部位を操作するアームやアームを駆動するアクチュエータにより構成してある。この基台1は、シートS上に載置した状態でシートバックBに当接するフレーム11を備えると共に、シートSの下側およびシートバックBの背面側に通した各ベルト12,13により、シートS上にしっかりと固定され、ステアリング操作時の反力を確実に受け止める。
【0023】支柱2は、上端部が開放された円筒状の部材であって、図2に示すように、下端部にコ字形のジョイント14が下向きに開放した状態で設けてある。他方、基台1の背面中央部にはブラケット15が設けられ、このブラケット15に、軸線を車両左右方向とした回動軸16が一対の軸受17,17により回動自在に設けてある。支柱2は、ジョイント14の両側を回動軸16の両端部に固定することにより、基台1に対して車両左右方向の軸回りに回動自在になっている。
【0024】モータ支持体3は、軸線中心となる内側のロッド18と、外側のパイプ19を備えている。ロッド18は、上下に設けた軸受20,20によってパイプ19に対して軸回りに回動自在であり、下端部に、パイプ19の抜け止めを構成するボルト21およびワッシャ22が設けてあると共に、上端部に、コ字形のフレーム23が上向きに開放した状態で設けてある。このモータ支持体3は、パイプ19を支柱2の内部に摺動自在に挿入することにより、支柱2に対してその軸線方向(上下方向)に位置調整可能であると共に、軸受け20によって支柱2の軸回りにロッド18が回動自在になっている。
【0025】また、支柱2とモータ支持体3には、モータ支持体3の上下移動を拘束解除するクランプ24が設けてある。クランプ24は、支柱2においてその軸線方向に沿って形成され且つ同支柱2の上端に開放されたスリット25と、支柱2においてスリット25を間にして対峙する一対の突片26,26と、一方の突片26を貫通して他方の突片26に螺着したねじ27を備えている。そして、クランプ24は、回動操作で他方の突片26に対するねじ27のねじ込み量を変えることにより、スリット25の間隔を増減させて支柱2の直径を変化させ、支柱2の直径を小さくした場合に、その内部のモータ支持体3のパイプ19に支柱2の内面を圧接させて同パイプ19を拘束する。
【0026】さらに、モータ支持体3は、支柱2に対して着脱可能であり、クランプ24による拘束を解除すれば、支柱2から抜き出す要領で取外すことができる。
【0027】ステアリング操作用モータ4は、その一端側に出力軸6を突出状態に備えると共に、本体部の外周にフランジ状のブラケット28を備えており、先のモータ支持体3のコ字形フレーム23の両側に、軸受付の回動ピン29,29を介してブラケット28の両側を連結することにより、車両左右方向の軸回りに回動自在になっている。なお、正確には、支柱2の軸回りにモータ支持体3が回動自在であるため、ステアリング操作用モータ4は、支柱2の軸線に直交する軸(回動ピン27)回りに回動自在である。
【0028】ステアリングアーム5は、自在継手7への連結部分を中心にして放射状に複数の保持アーム30を備えている。この実施例では、120度間隔で3本の保持アーム30を備えている。各保持アーム30は、図4に示すように、先端側が開放された筒状部31を有しており、筒状部31に、内側にめねじを形成したパイプ状のねめじ部材32が収容してあると共に、スライド体33が摺動自在に挿入してある。めねじ部材32は、筒状部31の奥において、外側から貫通させたピン34により軸線方向の移動が規制されている。
【0029】スライド体33は、その軸線上に調整用ボルト35を貫通させると共に、ビス36によって調整用ボルト35の抜け止めがしてあり、調整用ボルト35の頭部に、手による操作を容易にするための摘み37が設けてあると共に、つまみ37の近傍に、ステアリングホイールHの外周部に外側から係合するフック38を備えている。このスライド体33は、筒状部31に摺動自在に挿入すると共に、調整用ボルト35を筒状部31内のめねじ部材32に螺着することにより、軸線方向をステアリングホイールHの半径方向とした調整用ボルト35よって同半径方向に移動可能になっている。つまり、スライド体33は、摘み37の回動操作でめねじ部材32に対する調整用ボルト35のねじ込み量を変えることにより、ステアリングホイールHの半径方向に移動する。なお、スライド体33には、移動調整をより容易にするための目盛Mが設けてある。
【0030】また、ステアリングアーム5の各保持アーム30は、スライド体33の移動を拘束解除する固定手段39を備えている。この固定手段39は、先の支柱2とモータ支持体3のクランプ24と同様に、筒状部31においてその軸線方向に沿って形成され且つ同筒状部31の先端に開放されたスリット40と、筒状部31においてスリット40を間にして対峙する一対の突片41,41と、一方の突片41を貫通して他方の突片41に螺着したねじ42を備えている。そして、固定手段39は、回動操作で他方の突片41に対するねじ42のねじ込み量を変えることにより、スリット40の間隔を増減させて筒状部31の直径を変化させ、筒状部31の直径を小さくした場合に、その内部のスライド体33を拘束する。
【0031】ステアリング操作用モータ4の出力軸6とステアリングアーム5の間に設けた自在継手7は、図3に示すように、2つの連結部材43,44を回転軸に直交する十字軸Cで連結したものである。ステアリング操作用モータ4側となる連結部材43には、出力軸6を嵌合する連結孔45と、連結孔45に嵌合した出力軸6に対して直径方向に嵌合する抜け止め用ピン46が設けてある。
【0032】他方、ステアリングアーム5側となる連結部材44には、ステアリングアーム5の中心軸47との間に、双方を結合分離する着脱手段48が設けてある。着脱手段48は、いわゆるカップリングであって、連結部材44側のソケット48Aと、中心軸47側のプラグ48Bを備えている。ソケット48Aは、プラグ48Bを挿脱する円筒部49に、その内外に突没自在な係止用ボール50を備えると共に、円筒部49の外側に、ばね51により付勢され且つ係止用ボール50を円筒部49の内側に突出させた状態で拘束するスリーブ52を備えている。他方、プラグ48Bは、外周に係止用ボール50が係合する係止用溝53を有し、ステアリングアーム5の中心軸47にキー54により固定される。この着脱手段48は、ソケット48Aのスリーブ52を十字軸C側に移動させることにより、プラグ48Bの着脱が自在となり、ソケット48Aにプラグ48Bを装着してスリーブ52を戻せば、双方の結合状態を維持する。
【0033】上記の構成を備えたステアリング操作装置は、運転席のシートSに固定する基台1を用いているので、当然のことながらシートSの取外しは不要である。そして、車両へのセッティングを行うには、予め支柱2とモータ支持体3を分離すると共に、着脱手段48によりステアリング操作用モータ4とステアリングアーム5を分離しておくと、作業が非常に容易になる。
【0034】まず、運転席のシートSに基台1を固定する。このとき、支柱2は、シートSの車両左右方向のほぼ中央に位置する。次に、ステアリングホイールHにステアリングアーム5を装着する。このとき、ステアリングアーム5は、各保持アーム30において、摘み37を回動操作すると、調整用ボルト35の作用でスライド体33およびフック38がステアリングリングホイールHの半径方向に無段階に移動するので、直径の異なる複数種類のステアリングホイールHに自在に対応することが可能であり、各フック38をステアリングホイールHの外周部に係止したのち、各固定手段39でスライド体33を拘束すれば、ステアリングホイールHに確実に装着される。このように、ステアリングアーム5は、摘み37と固定手段39の簡単な操作だけでステアリングホイールHに装着される。
【0035】その後、支柱2にモータ支持体3を装着すると共に、着脱手段48を結合し、位置調整を行う。このとき、当該ステアリング操作装置では、ステアリングホイールHに対してステアリング操作用モータ4の出力軸6がほぼ同軸状態となるように、支柱2の軸線方向(上下方向)におけるモータ支持体3の位置調整だけを行えば良い。
【0036】つまり、基台1に対して支柱2が車両左右方向の軸回りに回動自在であると共に、支柱2に対してその軸回りにモータ支持体3が回動自在であり、且つモータ支持体3に対してステアリング操作用モータ4が車両左右方向の軸回りに回動自在であるので、支柱2の軸線方向にモータ支持体3を移動させれば、支柱2の起立角度やステアリング操作用モータ4の傾斜角度および左右振れ角度が自在に変化する。したがって、ステアリング操作用モータ4が所定の姿勢となるようにモータ支持体3の位置調整を行ったのち、クランプ24により支柱2に対するモータ支持体3の移動を拘束すれば、支柱2の起立角度やステアリング操作用モータ4の傾斜角度および左右振れ角度が決定され、セッティングは完了となる。
【0037】このように、当該ステアリング操作装置は、例えば2本の脚体を有する従来の装置のように、複数のクランプの拘束解除を行いながら複数の位置で位置調整を行う必要がなく、支柱2に対するモータ支持体3の位置調整を行ってクランプ24で拘束するだけなので、セッティングにかかる手間が非常に少なく、セッティングを短時間で行い得るものとなっている。
【0038】そして、当該ステアリング操作装置は、ステアリング操作用モータ4を駆動すると、出力軸6の回転が自在継手7およびステアリングアーム5を介してステアリングホイールHに伝達されることとなり、基台1に対する支柱2の回動、支柱2に対するモータ支持体3の回動、モータ支持体3に対するステアリング操作用モータ4の回動および自在継手7の回動により、各構成体の間に上下左右のずれが生じても出力軸6の回転をステアリングホイールHに滑らかに伝達し、且つ車両走行時の振動を良好に吸収する。このような振動吸収機能は、各構成体のラフなセッティングも可能にし、各構成体の互いの位置誤差も吸収する。また、上記の説明から明らかなように、車両への装着が容易であるから、車両からの取外しも容易である。
【0039】図5は、本発明に係わるステアリング操作装置の他の実施例を説明する図である。なお、先の実施例と同一の構成部位は、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0040】図示のステアリング操作装置は、ステアリングアーム5における各保持アーム30が筒状部31を有し、筒状部31に、第1調整用ボルト55を収容すると共に、第2調整用ボルト56を螺合貫通させたスライド体57が挿設してある。第1調整用ボルト55は、筒状部31の奥において、外側から貫通させたピン58により筒状部31の軸線上に固定してある。また、第1調整用ボルト55と第2調整用ボルト56は、互いに逆ねじが形成してある。スライド体57は、筒状部31の外側において、第2調整用ボルト56に、固定手段としての固定用ナット59と、ステアリングホイールHの外周部に係合するフック38が設けてあると共に、筒状部31内において、第1調整用ボルト55とも螺合している。
【0041】つまり、スライド体57は、互いに逆ねじの第1および第2の調整用ボルト55,56に螺合することによってターンバックルのように作用し、回動操作によってフック38とともにステアリングホイールHの半径方向に移動調整可能である。また、調整後には、固定用ナット59を締めることにより、この固定用ナット59がダブルナットとして作用してスライド体57の移動を拘束する。
【0042】図6は、本発明に係わるステアリング操作装置のさらに他の実施例を説明する図である。
【0043】図示のステアリング操作装置は、モータ支持体60が、ステアリング操作用モータ4を間にして自在継手7と同軸上に配置される第2の自在継手61を備えている。第2の自在継手61は、先の実施例で説明したもの(図3参照)と同様に十字軸を有している。
【0044】モータ支持体60は、図1に基づいて説明した実施例と同様に、支柱2に挿入されるロッド62およびパイプ63と、コ字形フレーム64を備えている。図1に示す実施例では、コ字形フレーム23をステアリング操作用モータ4の下側から回動自在に装着したが、この実施例では、コ字形フレーム64をステアリング操作用モータ4の後方側から装着してその上下で固定しており、第2の自在継手61によって、モータ支持体60に対してステアリング操作用モータ4を車両左右方向に回動自在にしている。
【0045】また、モータ支持体60は、ロッド62と第2の自在継手61の間に、双方の回動を拘束解除するクランプ65を備えている。クランプ65は、ロッド62の上端部に、互いに隙間をおいて軸線方向に延出する一対の突片62a,62aを設けると共に、両突片62a,62aの上端部間に、第2の自在継手61の一方側に設けたジョイント66を挿入し、一方の突片62aおよびジョイント66に貫通して他方の突片62aに螺合するねじ67を備えている。このクランプ65は、回動操作によりねじ67を締めると、両突片62a,62aでジョイント66が挟まれてロッド62に対する第2の自在継手61の回動を拘束し、ねじ67を緩めればその拘束を解除する。
【0046】上記のステアリング操作装置は、先の実施例と同様の作用および効果を得ることができるほか、ステアリングアーム5とモータ支持体60の間において、ステアリング操作用モータ4が出力軸両端側の2つの自在継手7,61で保持された状態となるので、振動の吸収性能がより高められる。
【0047】図7は、本発明に係わるステアリング操作装置のさらに他の実施例を説明する図である。
【0048】図示のステアリング操作装置は、図1に示したステアリング操作装置を基本構成としたうえで、図1に示すモータ支持体3に換えて、支柱2に対して着脱可能な軸支持体68と、軸支持体68に対して一端部を車両左右方向の軸回りに回動自在に連結した軸体69を備えており、軸支持体68が、支柱2に対してその軸線方向に位置調整可能で且つ軸回り方向に回動自在であると共に、軸体69の他端部に、図3に示す着脱手段48のステアリング操作用モータ4側の機構つまりソケット48Aが設けてある。
【0049】軸支持体68は、図1に示すモータ支持体3と同様に、支柱2に挿入されるロッド70およびパイプ71や、ロッド70の上端に設けたコ字形フレーム72を備えると共に、支柱2との間には、パイプ71の軸線方向の移動を拘束解除するクランプ24を備えており、コ字形フレーム72に設けた回動軸73により、軸体69の一端部を回動自在に連結している。また、この実施例の軸体69は、その中間部に、回転伝達の断続を行う手動式または電磁式のクラッチ74を備えている。
【0050】上記のステアリング操作装置は、図1に示すステアリング操作装置において、支柱2からモータ支持体3を分離するとともに着脱手段48を分離して、モータ支持体3およびステアリング操作用モータ4を取外したのち、支柱2に軸支持体68を装着すると共に、軸体69とステアリングアーム5との間で着脱手段48を結合する。そして、ステアリング操作用モータ4の位置調整を同様に、ステアリングホイールHと軸体69とが同軸状態となるように、支柱2の軸線方向に軸支持体68の位置調整を行い、その後、クランプ24により軸支持体68の軸線方向の移動を拘束する。
【0051】すなわち、上記のステアリング操作装置は、車両にセットすることにより、振動吸収の機能を備えたうえで、ステアリングホイールHを固定した状態にすることができ、クラッチ74を解除すればステアリングホイールHを回転させることができる。このようなステアリング操作装置は、とくに、シャシーダイナモメータ上で車両の走行試験を行う際に用いられ、先の実施例で説明したステアリングホイール操作装置との間で構成を一部共用することにより、製作費用も低減される。
【0052】図8は、本発明に係わるステアリング操作装置のさらに他の実施例を説明する図である。
【0053】図示のステアリング操作装置は、図1に示したステアリング操作装置と同様の基本構成を備えており、その他に、ステアリング操作用モータ4の出力軸6の回転を検出する操作角度検出手段75と、ステアリングアーム5の回転操作力を検出する操作力検出手段76と、操作角度検出手段75や操作力検出手段76からの検出信号に基づいてステアリング操作用モータ4を制御する制御手段77を備えている。
【0054】操作角度検出手段75は、エンコーダやポテンショメータを用いており、ステアリング操作用モータ4に取付けてあって、検出信号(操作角度)を制御手段77に入力する。操作力検出手段76は、歪みゲージを用いており、ステアリング操作用モータ4の出力軸6に取付けてあって、検出信号(操作力)をストレインアンプ等の増幅器78を介して制御手段77に入力する。また、制御手段77には、車速、エンジン回転数およびテストコースのコース誘導信号や、ビーコン発信器79からの指令入力用ビーコンが入力される。
【0055】上記構成を備えたステアリング操作装置は、制御手段77において、各検出手段75,76からの検出信号を入力し、指令入力用ビーコン等に基づいてステアリングの操作角度および操作力の制御方式を選択すると共に、検出結果をフィードバックする制御を行い、その一方で、各検出手段75,76以外の検出信号も用いてPID制御あるいはフィードフォワード制御を行い、操作角度および操作力を制御する。これにより、ステアリング操作用モータ4に指令が与えられ、ステアリングアーム5を介してステアリングホイールHをコントロールする。
【0056】上記ステアリング操作装置では、先の各実施例と同様の作用および効果を得ることができるうえに、ステアリング操作用モータ4の操作角度や操作力を正確に制御して、安定した操作や人為的なものにより近い操作を行うと共に、例えばテストコースにおける走行試験の用途範囲の拡大なども実現し得るものとなる。
【出願人】 【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
【出願日】 平成11年1月20日(1999.1.20)
【代理人】 【識別番号】100077610
【弁理士】
【氏名又は名称】小塩 豊
【公開番号】 特開2000−214050(P2000−214050A)
【公開日】 平成12年8月4日(2000.8.4)
【出願番号】 特願平11−12259