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【発明の名称】 縦弾性係数算出装置および算出方法
【発明者】 【氏名】小川 和浩
【氏名】平栗 和美
【課題】樹脂材料の縦弾性係数の非線形を考慮した縦弾性係数を精度良く算出する。

【解決手段】近似モデル作成および記憶手段10は、各種解析初期条件を設定および記憶する手段11と、射出成形後の構造物のそり変形形状からボルト等により締結された構造物の変形形状にする際の強制変位を設定する手段12と、構造物内部の応力状態と構造物を構成する樹脂材料の応力−歪み関係から構造物のヤング率を再算出する手段13を有する。解析手段20は、そり解析手段21および構造解析手段22および固有値解析手段23を備え、これらの解析を行う。測定手段30は、構造物に荷重を付加する手段と、射出成形後のそり変位および荷重付加時の変位を測定する手段31と、構造物の振動特性を測定する手段32等を有する。入力装置1により各種データを入力あるいは選択し、出力装置3により各種条件設定あるいは解析結果を出力し、実行命令装置2によりシステム内の実行命令を処理する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 樹脂材料で構成された構造物が連結部材により締結された場合の前記構造物の縦弾性係数を算出する縦弾性係数算出装置において、射出成形後の前記構造物の残留応力を算出する残留応力算出手段と、射出成形後の前記構造物の変形状態から連結部材により締結された前記構造物の縦弾性係数を算出する縦弾性係数算出手段と、変位解析手段で算出された変位量に基づきその際の残留応力を算出する残留応力手段と、を有することを特徴とする縦弾性係数算出装置。
【請求項2】 前記残留応力算出手段は、射出成形後の前記構造物のそり変位量を測定する変位測定手段と、射出成形後の前記構造物のそり変位量を有限要素法により算出するそり変位解析手段と、そり変位解析手段で算出されたそり変位量が変位測定手段で測定されたそり変位量に一致しているかどうかを評価するそり変位評価手段と、を有することを特徴とする請求項1記載の縦弾性係数算出装置。
【請求項3】 前記変位評価手段は、そり基準節点と評価節点を選択することのできる手段と、あらかじめその評価の合否判断基準を設定する手段と、その判断基準を可変することのできる手段と、を有することを特徴とする請求項2記載の縦弾性係数算出装置。
【請求項4】 前記縦弾性係数算出手段は、射出成形後の残留応力を有する前記構造物が連結部材により締結された状態での内部応力を算出する内部応力算出手段と、その内部応力と樹脂材料の応力−歪関係から縦弾性係数を算出する縦弾性係数算出手段と、その縦弾性係数を評価する縦弾性係数評価手段と、を有することを特徴とする請求項1記載の縦弾性係数算出装置。
【請求項5】 前記内部応力算出手段は、前記構造物が連結部材により締結される節点を選択する選択手段と、選択された締結節点の中からそり変位基準節点およびそり変位基準平面を選択する手段と、射出成形後のそり変形状態から締結状態に移行させるための強制変位量を算出する演算手段と、そのそり変位差に基づいて各締結節点に強制変位を設定する強制変位設定手段と、を有することを特徴とする請求項4記載の縦弾性係数算出装置。
【請求項6】 前記縦弾性係数算出部は、射出成形後の残留応力を有する前記構造物が連結部材により締結された状態での内部応力と樹脂材料の応力−歪関係から内部応力−縦弾性係数関係を近似する近似曲線を算出し、前記構造物の内部応力に基づいて縦弾性係数を近似モデルの各要素に縦弾性係数を設定し、その設定状態を表示する手段を有することを特徴とする請求項4記載の縦弾性係数算出装置。
【請求項7】 前記縦弾性係数算出部は、近似モデルの各要素に設定された縦弾性係数を可変することのできる手段を有することを特徴とする請求項4記載の縦弾性係数算出装置。
【請求項8】 前記縦弾性係数評価手段は、前記構造物が連結部材により締結された状態で荷重を加え、その変位を測定する変位測定手段と、有限要素法により荷重を加えた変位を算出する変位算出手段と、変位算出手段で算出された変位が変位測定手段で測定された変位に一致しているかどうかを評価する変位評価手段と、前記構造物が連結部材により締結された状態での振動特性を測定する振動特性測定手段と、有限要素法により振動特性を算出する振動特性算出手段と、振動特性算出手段で算出された振動特性が振動特性測定手段で測定された振動特性に一致しているかどうかを評価する振動特性評価手段と、を有することを特徴とする請求項4に記載の縦弾性係数算出装置。
【請求項9】 前記縦弾性係数評価部は、評価節点を選択することのできる手段と、あらかじめその評価の合否判断基準を設定する手段と、その判断基準を可変することのできる手段と、を有することを特徴とする請求項4記載の縦弾性係数算出装置。
【請求項10】 樹脂材料で構成された構造物が連結部材により締結された場合の前記構造物を構成する前記樹脂材料の応力−歪み関係から応力−縦弾性係数関係を近似する近似曲線と射出成形後の残留応力をも考慮された締結時の前記構造物の内部応力から近似モデルの各要素の縦弾性係数を算出し、その縦弾性係数の設定状態の精度を検証することも可能な縦弾性係数算出方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、構造物の構造および振動解析に係わり、特に、非線形材料を有する樹脂材料の縦弾性係数を算出する装置及び方法に関し、例えば、樹脂材料で構成された構造物がボルト等の連結部材により締結された場合の、有限要素法を用いた構造および振動解析に、更には、複写機やプリンタ等の光学ハウジングの設計に好適に応用されるものである。
【0002】
【従来の技術】今日、CAE(Computer Aided Engineering)の普及に伴い、有限要素法による機械構造物の振動特性解析が実験モーダル解析による振動実験と併用して行われている。従来、樹脂材料で構成された構造物を設計する場合、有限要素法による機械構造物の近似モデルからその振動特性を予測するのではなく、まず、必ず実際に構造物を試作して振動実験による実験モーダル解析によりその振動特性を実測する。次に、有限要素法による機械構造物の近似モデルの物性値や境界条件等を、実験で得られた振動特性に一致するように変更し、近似モデルの精度を向上させる。その後、構造物の形状変更が施される場合に、精度を向上させた近似モデルから精度のよい振動特性予測が可能となる。
【0003】しかし、実際に構造物を試作し振動実験による実験モーダル解析によりその振動特性を実測する必要が必ずあり、これらが開発コストの増大と開発期間の長期化をまねいている。また、実際に構造物を試作する以前から有限要素法による機械構造物の近似モデルからその振動特性の予測が行われてはいるが、その予測した振動特性が振動実験による実験モーダル解析により得た振動特性と一致しないことが一般的である。つまり、有限要素法による樹脂材料で構成された構造物の振動特性解析では、樹脂材料のヤング率が非線形性を有していたり、樹脂に繊維等が含有し、その繊維方向によりヤング率が異方性を有していたりする等の材料特性を近似モデルに反映することが困難であり、かつ、その材料特性が多大に振動特性の予測に影響するからである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、実際に構造物を試作し、振動実験による実験モーダル解析から構造物の振動特性を実測する手法をとると、構造物を試作する以前には有限要素による振動特性解析により、樹脂材料で構成された構造物がボルト等の連結部材で締結された場合のその構造物の振動特性を比較的精度良く算出することはできなかった。
【0005】特開平9−237267号公報(弾性率計算方法及びシステム)に記載の発明では、繊維が入っている材料の弾性率を実際に則して精度良く算出することができるものであるため、対象物の場所による弾性率の変化が明確になり、実際の成形品により近い材料条件での構造解析が可能である。しかし、この特開平9−237267号公報に記載の弾性率計算方法に材料の弾性率の非線形性が考慮可能となっても、振動特性解析、すなわち、固有値解析では構造物がボルト等で締結された場合の初期応力状態を考慮して固有値を算出することが困難であるため、樹脂材料で構成された構造物がボルト等で締結された場合のその構造物の振動特性を比較的精度良く算出することはできない。
【0006】また、本出願人は、先に、樹脂材料で構成された構造物がボルト等で締結された場合の初期応力状態と樹脂材料の縦弾性係数の非線形を考慮した縦弾性係数の設定を近似モデルに行い、樹脂材料で構成された構造物がボルト等で締結された場合のその構造物の振動特性を精度良く算出することについて提案した。しかし、この本出願人が先に提案した縦弾性係数の算出では、射出成形後の構造物のそり変位量を算出し、その相対変位をボルト締結部に強制変位として与えている。つまり、射出成形後の構造物のそり変位を仮想的に与えているため、射出成形後の構造物のそり変形状態と異なる場合が生じ、ボルト締結時の内部応力状態が正確に算出できないことがある。
【0007】本発明は、上述のごとき実情に鑑みてなされたもので、射出成形後の構造物のそり変形による残留応力とその変形状態からボルト締結状態に移行させる強制変位を与えることで、ボルト締結時の内部応力状態が正確に算出でき、樹脂材料の縦弾性係数の非線形を考慮した縦弾性係数を精度良く算出することができる装置及び方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、樹脂材料で構成された構造物がボルト等により締結された場合の前記構造物の縦弾性係数を算出する縦弾性係数算出装置において、射出成形後の前記構造物の残留応力を算出する残留応力算出手段と、射出成形後の前記構造物の変形状態からボルト等により締結された前記構造物の縦弾性係数を算出する縦弾性係数算出手段と、変位解析手段で算出された変位量に基づきその際の残留応力を算出する残留応力手段と、を有することを特徴としたものである。
【0009】請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記残留応力算出手段は、射出成形後の前記構造物のそり変位量を測定する変位測定手段と、射出成形後の前記構造物のそり変位量を有限要素法により算出するそり変位解析手段と、そり変位解析手段で算出されたそり変位量が変位測定手段で測定されたその変位量に一致しているかどうかを評価するそり変位評価手段と、を有することを特徴としたものである。
【0010】請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記変位評価手段は、そり基準節点と評価節点を選択することのできる手段と、あらかじめその評価の合否判断基準を設定する手段と、かつその判断基準を可変することのできる手段と、を有することを特徴としたものである。
【0011】請求項4の発明は、請求項1の発明において、前記縦弾性係数算出手段は、射出成形後の残留応力を有する前記構造物がボルト等により締結された状態での内部応力を算出する内部応力算出手段と、その内部応力と樹脂材料の応力−歪関係から縦弾性係数を算出する縦弾性係数算出手段と、その縦弾性係数を評価する縦弾性係数評価手段と、を有することを特徴としたものである。
【0012】請求項5の発明は、請求項4の発明において、前記内部応力算出手段は、前記構造物がボルト等により締結される節点を選択する選択手段と、選択されたボルト締結節点の中からそり変位基準節点およびそり変位基準平面を選択する手段と、射出成形後のそり変形状態からボルト締結状態に移行させるための強制変位量を算出する演算手段と、そのそり変位差に基づいて各ボルト締結節点に強制変位を設定する強制変位設定手段と、を有することを特徴としたものである。
【0013】請求項6の発明は、請求項4の発明において、前記縦弾性係数算出部は、射出成形後の残留応力を有する前記構造物がボルト等により締結された状態での内部応力と樹脂材料の応力−歪関係から内部応力−縦弾性係数関係を近似する近似曲線を算出し、前記構造物の内部応力に基づいて縦弾性係数を近似モデルの各要素に縦弾性係数を設定し、その設定状態を表示する手段を有することを特徴としたものである。
【0014】請求項7の発明は、請求項4の発明において、前記縦弾性係数算出部は、近似モデルの各要素に設定された縦弾性係数を可変することのできる手段を有することを特徴としたものである。
【0015】請求項8の発明は、請求項4の発明において、前記縦弾性係数評価手段は、前記構造物がボルト等により締結された状態で荷重を加え、その変位を測定する変位測定手段と、有限要素法により荷重を加えた変位を算出する変位算出手段と、変位算出手段で算出された変位が変位測定手段で測定された変位に一致しているかどうかを評価する変位評価手段と、前記構造物がボルト等により締結された状態での振動特性を測定する振動特性測定手段と、有限要素法により振動特性を算出する振動特性算出手段と、振動特性算出手段で算出された振動特性が振動特性測定手段で測定された振動特性に一致しているかどうかを評価する振動特性評価手段と、を有することを特徴としたものである。
【0016】請求項9の発明は、請求項4の発明において、前記縦弾性係数評価部は、評価節点を選択することのできる手段と、あらかじめその評価の合否判断基準を設定する手段と、かつその判断基準を可変することのできる手段と、を有することを特徴としたものである。
【0017】請求項10の発明は、樹脂材料で構成された構造物がボルト等により締結された場合の前記構造物を構成する前記樹脂材料の応力−歪み関係から応力−縦弾性係数関係を近似する近似曲線と射出成形後の残留応力をも考慮されたボルト締結時の前記構造物の内部応力から近似モデルの各要素の縦弾性係数を算出し、その縦弾性係数の設定状態の精度を検証することも可能としたものである。
【0018】
【発明の実施の形態】(請求項1の発明に対する構成・動作)図1は、本発明の請求項1の発明を説明するための要部構成図で、図1に示すように、各種解析初期条件を設定および記憶する初期解析条件設定手段11と、射出成形後の前記構造物のそり変形形状からボルト等の連結部材により締結された前記構造物の変形形状にする際の強制変位(境界条件)設定手段12と、前記構造物内部の応力状態と前記構造物を構成する樹脂材料の応力−歪み関係から前記構造物のヤング率を再算出する縦弾性係数再設定手段13等を有する有限要素法による機械構造物の近似モデルを作成および記憶する手段10と、そり解析手段21および構造解析手段22および固有値解析手段23を備え、これらの解析を行える解析手段20と、前記構造物に荷重を付加する荷重付加手段(図示せず)と、射出成形後のそり変位および荷重付加時の変位を測定する変位測定手段31と、前記構造物の振動特性を測定する振動特性測定手段32等を備えた測定手段30と、さらには、各種データを入力あるいは選択する入力装置1と、各種条件設定結果あるいは各種解析結果を出力する出力装置3と、システム内の実行命令を処理する実行命令処理装置2とから構成されている。
【0019】図2は、請求項1に記載の発明の動作を説明するためのフロー図で、まず、入力装置により有限要素法による機械構造物の近似モデルデータおよび各種解析初期条件を入力し、電子情報として近似モデルおよび各種解析初期条件を作成かつ記憶する。次に、射出成形後の前記構造物のそり変位を測定する。また、近似モデルおよびそり解析初期条件からそり解析を実行し、射出成形後の前記構造物のそり変位および残留応力を算出する。ここで両者のそり変位評価を行う。次に、境界条件設定手段により、前記構造物がボルト等により締結される節点とそのボルト締結節点の中からそり変位基準節点をし、そり解析結果から前記構造物のそり変位基準節点からのボルト締結節点の変位差を算出し、その変位差に基づいて各ボルト締結節点に構造解析に使用する強制変位条件を設定する。次に、近似モデルおよび構造解析解析初期条件および射出成形後の残留応力および強制変位条件に基づき、構造解析を実行し、構造物内部の応力状態を算出する。
【0020】次に、縦弾性係数再算出手段により、構造解析結果から近似モデル要素内部の応力値と前記構造物を構成する樹脂材料の応力−歪み関係から前記構造物の近似モデルにおける各要素の縦弾性係数を再算出し、その縦弾性係数に基づいて近似モデルの各要素に構造および固有値解析に使用する材料物性条件を再設定する。次に、近似モデルおよび固有値解析を実行し、構造物の変位および振動特性を算出する。また、前記構造物がボルト等により締結された状態において、既知の荷重を付加し、その時の変位を測定する。同様に、無付加時の振動特性も測定する。ここで、変位および振動特性の評価を行う。
【0021】(請求項2の発明に対する構成・動作)請求項2の発明は、射出成形後の前記構造物のそり変位量を測定する変位測定手段31と、射出成形後の前記構造物のそり変位量を有限要素法により算出するそり変位解析手段21と、そり変位解析部21で算出されたそり変位量が変位測定部31で測定されたそり変位量に一致しているかどうかを評価するそり変位評価手段と、そり変位解析部21で算出されたそり変位量に基づきその際の残留応力を算出する残留応力部とから構成されており、射出成形後の機械構造物のそり変位を測定し、有限要素法による機械構造物の近似モデルと、金型および温調配管の近似モデルと、射出成形条件とに基づきそり解析を実行し、射出成形後の機械構造物のそり変位を算出し、測定されたそり変位に基づき射出されたそり変位の評価を行い、その後残留応力を算出する。
【0022】(請求項3の発明に対する構成・動作)請求項3の発明は、あらかじめその評価の合否判断基準を設定する手段と、かつ、その判断基準を可変することのできる手段と、そり基準節点と評価節点を選択することのできる手段とから構成されており、合否判断基準は、判断基準式0≦ε≦Xで、この判断基準を用いてその合否を判断する。ここで、【0023】
【数1】

【0024】(請求項4の発明に対する構成・動作)請求項4の発明は、射出成形後の残留応力を有する前記構造物がボルト等により締結された状態での内部応力を算出する内部応力算出手段と、その内部応力と樹脂材料の応力−歪関係から縦弾性係数を算出する縦弾性係数算出手段と、その縦弾性係数を評価する縦弾性係数評価手段とから構成されている。まず、射出成形後の残留応力を有したまま、射出成形後のそり変位を前記構造物がボルト等により締結された状態にするための強制変位を与えた時の内部応力を算出する。次に、その内部応力と樹脂材料の応力−歪関係から縦弾性係数を算出し、近似モデルの各要素にそれを設定する。次に、ボルト締結時の前記構造物に既知の荷重を付加し、その変位量を測定する。また、同様に振動特性も測定する。次に、縦弾性係数が設定された近似モデルに測定時と同様な荷重を付加し、その変位を算出する。また、同様に振動特性も算出する。最後に、実験により測定された変位および振動特性に基づき有限要素法により算出されたそれらを評価する。
【0025】(請求項5の発明に対する構成・動作)請求項5の発明は、そり変位解析結果を読み込み、かつ、格納する装置と、前記構造物がボルト等により締結される節点を選択する選択手段と、ボルト締結節点の中からそり変位基準節点およびそり変位基準平面を選択する選択手段と、前記構造物のそり変位基準節点からのボルト締結節点のそり変位差を算出する演算手段と、そのそり変位差に基づいて各ボルト締結節点に強制変位を設定する強制変位設定手段とから構成されている。
【0026】図3は、本発明を説明するための概念図(図3(A)はそり変形後、図3(B)はそり変位準備平面を示す図)、図4は動作フロー図で、先ず、そり解析結果を読み込む。次に、そり解析結果から前記構造物のそり変形後の近似モデルを作成する。次に、前記構造物がボルト等により締結される節点およびそり変位基準平面を選択し、射出成形後のそり変形状態からボルト締結状態に移行させるための強制変位量を算出する。例えば、ボルト締結節点のそり変形後の節点位置をN1,N2,N3,N4,…Nn(Nnは、Nn=(Xn,Yn,Zn)のように直交座標系の座標位置で表される)とし、そり変位基準節点を節点1、そり変位基準平面をX−Y平面とすると、射出成形後のそり変形状態からボルト締結状態に移行させるための強制変位は、D1,D2,D3,D4,…Dn(Dnは、Dn=(Xn,Yn,Zn−Zn)で表される)と表される。
【0027】(請求項6の発明に対する構成・動作)請求項6の発明は、変位解析結果と近似モデル各要素の積分点における応力値を内挿することにより要素中心の応力値を算出し、前記構造物を構成する樹脂材料の応力−歪み関係(図5(A))から応力−ヤング率関係を近似する近似曲線(図5(B))を算出する演算部と、その算出結果を表示する装置とから構成されている。その動作を説明すると、まず、構造解析結果を読み込む。次に、近似モデル各要素の積分点における応力値を内挿することにより要素中心の応力値を算出する。次に前記構造物を構成する樹脂材料の応力−歪み関係式を応力−縦弾性係数関係式に変換し、応力−縦弾性係数関係の曲線近似式を決定する。次に、応力−縦弾性係数関係をN次曲線近似式および近似モデル各要素中心の応力値から、近似モデル各要素の縦弾性係数を算出する。次に、各要素の算出した縦弾性係数に基づいて近似モデルの各要素に構造及び固有値解析に使用する材料物性条件を再設定し、その状態を、図6に示すように、ディスプレイ上に表示する。
【0028】(請求項7,8の発明に対する構成・動作)請求項7の発明は、近似モデルの各要素に設定された縦弾性係数の状態を確認しながら可変することができるものである。請求項8の発明は、前記構造物がボルト等により締結された状態で荷重を加えその変位を測定する変位測定手段と、有限要素法により荷重を加えその変位を算出する変位算出手段と、変位算出手段で算出された変位が変位測定手段で測定された変位に一致しているかどうかを評価する変位評価手段と、前記構造物がボルト等により締結された状態での振動特性を測定する振動特性測定手段と、有限要素法により振動特性を算出する振動特性算出手段と、振動特性算出手段で算出された振動特性が振動特性手段で測定された振動特性に一致しているかどうかを評価する振動特性評価手段とから構成されている。まず、実験により前記構造物がボルト等により締結された状態で荷重を加えその変位を測定し、さらに振動特性を測定する。次に、実験時に付加した荷重値と縦弾性係数を再設定した近似モデルに基づき構造解析を実施し、荷重値に対する変位を算出する。同様に固有値解析を実施し、振動特性を算出する。次に、実験により測定された変位および振動特性に基づき有限要素法により算出された変位および振動特性を評価する。
【0029】(請求項9の発明に対する構成・動作)請求項9の発明は、予めその評価の合否判断基準を設定する手段と、かつ、その判断基準を可変することのできる手段と、評価節点を選択することのできる手段とから構成されている。変位評価における合否判断基準は、判断基準式0≦ε≦Xで、この判断基準を用いてその合否を判断する。
【0030】
【数2】

【0031】振動特性評価における合否判断基準式は、固有振動数誤差X1≦Ei≦X2と、振動形状間の相関度(MAC)
0≦Y1≦MAC≦Y2≦1で、その合否を判断する。ここで、【0032】
【数3】

【0033】(請求項10の発明に対する構成・動作)請求項10の発明について説明すると、まず、有限要素法による機械構造物の近似モデルデータおよび各種解析初期条件を作成する。まず、射出成形後の前記構造物のそり変位を測定する。また、近似モデルおよびそり解析初期条件からそり解析を実行し、射出成形後の前記構造物のそり変位および残留応力を算出する。ここで、両者のそり変位評価を行う。次に、前記構造物がボルト等により締結される節点とそのボルト締結節点の中からそり変位基準節点をし、そり解析結果から前記構造物のそり変位基準節点からのボルト締結節点の中からそり変位基準節点をし、そり解析結果から前記構造物のそり変位基準節点からのボルト締結節点の変位差を算出し、その変位差に基づいて各ボルト締結節点に構造解析に使用する強制変位条件を設定する。次に、近似モデルおよび構造解析解析初期条件および射出成形後の残留応力および強制変位条件に基づき、構造解析を実行し、構造物内部の応力状態を算出する。次に、ヤング率再算出手段により、構造解析結果から近似モデル要素内部の応力値と前記構造物を構成する樹脂材料の応力−歪み関係から前記構造物の近似モデルにおける各要素の縦弾性係数を再算出し、その縦弾性係数に基づいて近似モデルの各要素に構造および固有値解析に使用する材料物性条件を再設定する。
【0034】次に、近似モデルおよび構造及び振動解析初期条件および再設定後の材料物性条件に基づき、構造および固有値解析を実行し、構造物の変位および振動特性を算出する。また、前記構造物がボルト等により締結された状態において、既知の荷重を付加し、その時の変位を測定する。同様に、無付加時の振動特性も測定する。ここで、変位および振動特性の評価を行い、樹脂材料で構成された構造物がボルト等で締結された場合の縦弾性係数を決定する。
【0035】
【発明の効果】請求項1記載の発明によると、射出成形後の構造物のそり変形による残留応力とそのそり変形状態からボルト締結状態に移行させる強制変位をあたえることで、ボルト締結時の内部応力が正確に算出でき、樹脂材料の縦弾性係数の非線形を考慮した縦弾性係数を精度良く算出することができる。また、樹脂材料で構成された構造物がボルト等で締結された場合のその構造物の変位および振動特性を精度良く算出することができる。
【0036】請求項2記載の発明によると、射出成形後の構造物の有限要素法により算出されるそり変位を実際の測定値に基づき評価するため、射出成形後の構造物の有限要素法により算出される残留応力を精度良く算出することができる。
【0037】請求項3記載の発明によると、合否判断基準があらかじめ設定されており、この判断基準を可変することのできる手段を設けたので、評価の際に射出成形後の変位状態および近似モデルの精度に対応して調節できる。
【0038】請求項4記載の発明によると、射出成形後のそり変形状態からボルト等により締結された状態に移行する過程を反映した応力状態に基づき縦弾性係数が算出でき、この評価を構造および振動に関して行えるため、樹脂材料で構成された構造物がボルト等で締結された場合の縦弾性係数を精度良く算出できる。
【0039】請求項5記載の発明によると、射出成形後の構造物のそり変位基準節点およびそり変位基準平面からのボルト締結節点の変位差に基づいて各ボルト締結節点に強制変位条件を設定するため、射出成形後の変形状態からボルト等により締結された状態に移行する過程を反映できる。
【0040】請求項6記載の発明によると、射出成形後のそり変形状態からボルト等により締結された状態に移行する過程を反映した応力状態に基づき算出された縦弾性係数を表示できるため、その設定状態を確認できる。
【0041】請求項7記載の発明によると、近似モデルの各要素に設定された縦弾性係数を可変することができるため、その設定状態で不具合がある場合に修正できる。
【0042】請求項8記載の発明によると、射出成形後のそり変形状態からボルト等により締結された状態に移行する過程を反映した応力状態に基づき算出した縦弾性係数の評価を構造および振動に関して行えるため、樹脂材料で構成された構造物がボルト等で締結された場合の縦弾性係数を精度良く算出できる。
【0043】請求項9記載の発明によると、合否判断基準があらかじめ設定されており、この判断基準を可変することのできる手段を設けたので、評価の際に荷重付加後の変位測定状態および振動特性測定状態および近似モデルの精度に対応して調節できる。
【0044】請求項10記載の発明によると、射出成形後の構造物のそり変形による残留応力とそのそり変形状態からボルト締結状態に移行させる強制変位を与えることで、ボルト締結時の内部応力状態が正確に算出でき、樹脂材料の縦弾性係数の非線形を考慮した縦弾性係数を精度良く算出することができる。
【出願人】 【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
【出願日】 平成10年12月21日(1998.12.21)
【代理人】 【識別番号】100079843
【弁理士】
【氏名又は名称】高野 明近
【公開番号】 特開2000−186974(P2000−186974A)
【公開日】 平成12年7月4日(2000.7.4)
【出願番号】 特願平10−363488