| 【発明の名称】 |
歯車の歯面形状の評価方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】牧 泰希
【氏名】岩坪 正隆
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| 【要約】 |
【課題】歯車の歯面形状評価方法において、歯面形状の評価を適切に行う。
【解決手段】歯面形状測定装置において歯面の1の切断平面上の断面形状が測定され、その測定されたデータに基づいて断面形状を表す実形状データが取得される。この実形状データから、びびり対応誤差成分と軸ずれ誤差対応誤差成分とが取り除かれることにより、実形状データが修整されて修整形状データ100が得られる。修整形状データ100には、びびり対応誤差成分,軸ずれ対応誤差成分は含まれておらず、工具形状誤差対応誤差成分のみが含まれる。このため、修整形状データ100をテンプレート102,104を使用して評価すれば、工具形状誤差対応誤差成分の歯面形状に対する影響を正確に評価することができる。また、歯車加工装置において工具交換を無駄に行う必要がなくなり、生産性を向上させることができる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 歯面の形状の誤差が複数の誤差成分を含む場合に、その歯面の形状を評価する歯面形状評価方法であって、歯面の実際の形状を測定する形状測定工程と、その形状測定工程において取得された実際の形状を表す実形状データから、前記複数の誤差成分のうちの予め定められた1つ以上の誤差成分を取り除くことにより前記実形状データを修整して修整形状データを取得する修整工程と、その修整工程において取得された修整形状データをテンプレートを使用して評価する評価工程とを含むことを特徴とする歯面形状評価方法。 【請求項2】 前記形状測定工程が、前記歯面の予め定められた1つ以上の切断平面上における断面形状を測定する工程を含み、かつ、前記取り除かれる誤差成分が、前記断面形状の傾き誤差を表す傾き誤差成分を含み、前記修整形状データが歯車の加工に使用された工具の形状誤差に対応する工具形状誤差対応誤差成分を含むことを特徴とする請求項1に記載の歯面形状評価方法。 【請求項3】 歯面の形状の誤差が複数の誤差成分を含む場合に、前記歯面の形状を評価する歯面形状評価方法であって、前記歯面の実際の形状を測定する形状測定工程と、その形状測定工程において取得された実際の形状を表す実形状データから、前記複数の誤差成分のうちの予め定められた1つ以上の誤差成分のデータを取り出す誤差成分データ取出し工程と、その取り出された誤差成分データをテンプレートを使用して評価する評価工程とを含む歯面形状評価方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、歯車の歯面形状の評価に関するものであり、特に複数の成分の誤差を含む歯面形状の評価方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】歯車の歯面形状を評価する場合には、歯面の実際の形状が測定される。実際の歯面形状を測定する歯面形状測定装置の一例が特開平9─5009号公報に記載されている。この公報に記載の歯面形状測定装置においては、歯面の予め定められた1つ以上の切断平面上における断面形状が測定されるが、歯車が回転可能に保持され、測定具がX軸,Y軸,Z軸の3方向に移動可能に保持されているため、任意の切断平面の断面形状を測定することができ、実際の断面形状を表す実形状データを取得することができる。この実形状データが、理想形状データ(狙い形状データ)と完全に一致することは稀で、通常は誤差がある。実形状データに含まれる誤差は、複数の要因各々に基づいて生じた誤差が合わさったものとなることが多い。換言すれば、実形状データの誤差には複数の誤差成分が含まれるのである。一方、歯面形状を評価する方法の一つとして、テンプレートを使用する方法が従来から知られている。テンプレートを使用して、実形状データに含まれる誤差が許容範囲内にあるか否かの評価が行われるのであるが、従来の評価方法においては、実形状データが表す実形状に直接テンプレートが当てられていた。しかし、上述のように、実形状データには、複数の誤差成分が含まれるため、評価を適切に行うことができなかった。また、評価結果に基づいて歯車加工装置において使用される工具を交換したり、歯車を保持する歯車保持軸(工作物保持軸)と工具を保持する工具保持軸との少なくとも一方の予め定められた設定軸線に対するずれを修正したりする作業等が行われるのであるが、評価が適切に行われないため、無駄な作業が行われることがあった。 【0003】 【発明が解決しようとする課題,解決手段,作用および効果】そこで、本発明の課題は、歯面形状の評価を適切に行うことであり、その評価結果に応じて行われる作業の無駄を少なくすることである。本発明によって、下記各態様の歯面形状評価方法が得られる。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、各項に記載の特徴の組合わせの可能性の理解を容易にするためであり、本明細書に記載の技術的特徴およびそれらの組合わせが以下のものに限定されると解釈されるべきではない。 (1)歯面の形状の誤差が複数の誤差成分を含む場合に、その歯面の形状を評価する歯面形状評価方法であって、歯面の実際の形状を測定する形状測定工程と、その形状測定工程において取得された実際の形状を表す実形状データから、前記複数の誤差成分のうちの予め定められた1つ以上の誤差成分を取り除くことにより前記実形状データを修整して修整形状データを取得する修整工程と、その修整工程において取得された修整形状データをテンプレートを使用して評価する評価工程とを含むことを特徴とする歯面形状評価方法(請求項1)。前述のように、歯面形状の誤差には複数の誤差成分が含まれる。形状誤差は、生じる原因に基づいて複数の誤差成分に分けたり、歯面の形状を表す形状線に含まれる複数の形状線成分に対応する誤差成分に分けたりすることができる。例えば、原因に基づいて、歯車加工装置における工作物(歯車素材や中間製品)を保持する工作物保持軸と工具を保持する工具保持軸との少なくとも一方の予め定められた設定軸線に対するずれに起因して生じる軸ずれ対応誤差成分,使用される工具の形状誤差に起因して生じる工具形状誤差対応誤差成分,加工時における工具,工作物等の振動(びびり)に起因して生じるびびり対応誤差成分等に分けることができる。保持軸の設定軸線に対するずれには、平行なずれと傾斜とがある。傾斜に対応する軸ずれ対応誤差成分は、軸姿勢誤差対応誤差成分と称することができる。また、形状誤差を形状線成分に基づいて、形状線の傾き誤差成分,凹凸誤差成分等に分けることができる。凹凸誤差成分は、実際の歯面形状を表す実形状線から傾き誤差成分を除いた形状線の、理想的な形状を表す理想形状線に対する偏差で合わされる誤差成分であり、凹凸誤差成分を、高周波数で変化する高周波誤差成分と低周波数で変化する低周波誤差成分とに分けることもできる。歯車加工装置における軸ずれに起因して形状線の傾き誤差が生じるため、軸ずれ対応誤差成分と傾き誤差成分とが対応する。また、工具形状誤差,びびり等に起因して形状線の凹凸誤差成分が生じるため、工具形状誤差対応誤差成分,びびり対応誤差成分と形状線凹凸誤差成分とが対応することになる。前者の工具形状誤差対応誤差成分が低周波誤差成分に対応し、後者のびびり対応誤差成分が高周波誤差成分に対応する。さらに、形状誤差を、歯車の実用上の性能に対する影響が異なる複数の誤差成分に分けることもできる。これら形状誤差の分け方は、歯面形状の評価の目的、歯車の種類(形状)、歯車加工装置の態様等によって決めるべきものである。本項に記載の歯面形状評価方法においては、歯面の実際の形状を表す実形状データから、1つ以上の予め定められた誤差成分が取り除かれた修整形状データが取得され、その修整形状データが表す歯面形状がテンプレートを使用して評価される。修整形状データには、複数の誤差成分すべてが含まれるのではなく、残された誤差成分のみが含まれる。そのため、残された誤差成分の歯面形状に及ぼす影響を正確に評価することが可能となる。複数の誤差成分すべてを含む実形状データが表す歯面形状の評価をテンプレートを使用して行う場合より、評価を適切に行うことが可能となるのである。また、修整形状データの評価結果と実形状データの評価結果とを比較すれば、取り除かれた誤差成分が歯面形状に及ぼす影響も評価し得る。例えば、実形状データが理想形状データから大きく外れたものであり、修整形状データが理想形状データに比較的近いものである場合には、取り除かれた誤差成分の歯面形状に対する影響が大きいことがわかるのである。さらに、予め定められた1つ以上の取り除かれる誤差成分が、オペレータの指示等に応じて選択されるようにすることができる。取り除かれる誤差成分が決まれば、それに応じて残される誤差成分が決まるため、修整形状データの評価により、その残された誤差成分の歯面形状への影響を正確に評価することが可能となる。いずれにしても、歯面形状の評価が適切が行われれば、誤差を小さくするための作業の無駄を少なくすることができる。例えば、複数の誤差成分のうちで歯面形状に影響を及ぼす誤差成分を特定できれば、その誤差成分に対応する作業を特定することができるため、複数の誤差成分各々に対応するすべての作業を行う必要がなくなる。また、誤差が大きい場合に、必ず工具交換が行われる場合に比較して、工具交換の頻度を少なくすることができ、コストアップを回避し、生産性の向上を図ることができる。さらに、誤差成分各々の歯面形状に及ぼす影響の大きさ(程度)も評価できれば、例えば、影響が大きい誤差成分に対応する作業から順番に行うこともでき、効率よく作業を行い、誤差を小さくすることができる。 (2)前記取り除かれる誤差成分が、歯車加工装置における、工作物を保持する工作物保持軸と工具を保持する工具保持軸との少なくとも一方の保持軸の予め定められた設定軸線に対するずれに対応する軸ずれ対応誤差成分を含む(1) 項に記載の歯面評価方法。歯面の形状誤差が、軸ずれ対応誤差成分と、工具形状誤差対応誤差成分とを含む場合に、実形状データから軸ずれ対応誤差成分が取り除かれれば、修整形状データには工具形状誤差対応誤差成分が含まれることになる。修整形状データの表す歯面形状をテンプレートを使用して評価すれば、工具形状誤差対応誤差成分の歯面形状に対する影響を正確に評価することができる。また、実形状データが理想形状データから大きく外れたものであり、修整形状データが理想形状データに近いものである場合には、軸ずれ対応誤差成分の歯面形状に対する影響が大きいことがわかる。保持軸の設定軸線に対するずれを修正することにより、形状誤差を小さくすることができる。 (3)前記取り除かれる誤差成分が、前記実際の歯面形状への影響が大きいと推定される影響大誤差成分を含む(1) 項または(2) 項に記載の歯面評価方法。形状誤差が、影響大誤差成分と、影響小誤差成分とを含む場合に、影響大誤差成分が取り除かれれば、修整形状データに影響小誤差成分が残されることになる。修整形状データを評価すれば、影響小誤差成分の歯面形状への影響を正確に評価することができる。逆に、影響大誤差成分が残されるようにすることも可能であるが、その影響大誤差成分以外の誤差成分も残っている場合には、それを評価することが難しく、結局影響大誤差成分の評価の信頼性も低くなるため、望ましくない。 (4)前記修整工程が、前記実形状データから取り除く1つ以上の誤差成分を、前記複数の誤差成分から決定する除去成分決定工程を含む(1) 項ないし(3) 項のいずれか1つに記載の歯面評価方法。取り除かれる誤差成分が除去成分決定工程において決定されれば、修整形状データに残される誤差成分もそれに応じて決定される。本項に記載の歯面形状評価方法によれば、所望の誤差成分の歯車形状への影響を正確に評価することができる。また、実形状データからまず誤差成分の1つを除去し、それによって得られた修整形状データを記録するとともに、その修整形状データから次の誤差成分を除去するというように、順次1つずつの誤差成分を除去し、各除去の度毎に得られる修整形状データを総合的に評価すれば、多くの情報を得ることができる。取り除かれる誤差成分が2つ以上同時に決定されるようにすることも可能である。 (5)前記形状測定工程が、前記歯面の予め定められた1つ以上の切断平面上における断面形状を測定する工程を含み、かつ、前記取り除かれる誤差成分が、前記断面形状の傾き誤差を表す傾き誤差成分を含み、前記修整形状データが歯車の加工に使用された工具の形状誤差に対応する工具形状誤差対応誤差成分を含む(1) 項ないし(4) 項のいずれか1つに記載の歯面形状評価方法(請求項2)。本項に記載の歯面形状評価方法に含まれる形状測定工程においては、歯面の1つ以上の切断平面上における断面形状が測定される。切断平面は、歯面を切断する平面であればどのような平面であってもよいが、例えば、基準ピッチ円を含む平面としたり、歯たけの中心線を含む平面としたり、歯幅の中心線を含む平面としたり、同時接触線を含む平面としたり、噛合移動線を含む平面としたりすることができる。形状測定工程においては、1つの切断平面上の断面形状が測定されても、2つ以上の切断平面上の断面形状がそれぞれ測定されてもよい。本項に記載の歯面形状評価方法によれば、工具形状誤差対応誤差成分を含む修整形状データがテンプレートを使用して評価される。そのため、工具形状誤差の歯面形状への影響を正確に評価することができる。また、評価結果に基づけば、工具交換が必要か否か等を判断することが可能であり、無駄な工具交換を行う必要がなくなり、生産性を向上させ得る。さらに、工具形状誤差の歯面形状への影響の大きさ(誤差の大きさ)も評価されれば、工具交換作業の必要性の程度を評価することも可能である。それに対して、前述のように、修整形状データの評価結果と実形状データの評価結果とを比較すれば、傾き誤差の歯面形状への影響を評価することも可能である。その結果、保持軸のずれの修正作業が必要か否か等を評価したり、修正作業の必要性の程度(ずれの程度)等を評価したりすることが可能となる。また、工具交換作業の必要性の程度と保持軸のずれの修正作業の必要性の程度との両方が評価され得る場合には、誤差を小さくするための作業の優先順位を設定することができる。例えば、優先順位が高い作業(必要性が高い作業)から順に行えば、製品としての歯車の品質や作業効率を効果的に向上させることができる。 (6)歯面の形状の誤差が複数の誤差成分を含む場合に、前記歯面の形状を評価する歯面形状評価方法であって、前記歯面の実際の形状を測定する形状測定工程と、その形状測定工程において取得された実際の形状を表す実形状データから、前記複数の誤差成分のうちの予め定められた1つ以上の誤差成分を取り除くことにより前記実形状データを修整して修整形状データを取得する修整工程と、その修整工程において取得された修整形状データと、前記実形状データとを比較する比較工程とを含む歯面形状評価方法。実形状データと修整形状データとを比較すれば、取り除かれた誤差成分の歯面形状への影響を正確に評価することができる。比較工程においては、実形状データと修整形状データとを直接比較してもよいが、実形状データの評価結果と修整形状データの評価結果とを比較してもよい。評価結果の比較は、理想形状データを介する間接的な比較、テンプレートを介する間接的な比較等に対応する。 (7)歯面の形状の誤差が複数の誤差成分を含む場合に、前記歯面の形状を評価する歯面形状評価方法であって、前記歯面の実際の形状を測定する形状測定工程と、その形状測定工程において取得された実際の形状を表す実形状データから、前記複数の誤差成分のうちの予め定められた1つ以上の誤差成分のデータを取り出す誤差成分データ取出し工程と、その取り出された誤差成分データをテンプレートを使用して評価する評価工程とを含む歯面形状評価方法。本態様において使用されるテンプレートは、歯面の理想形状に基づいて作成されるものではなく、各種の誤差成分の検査基準として作成されるテンプレートである。本態様は、実形状データに含まれている誤差成分の少なくとも1つは判っているが、その判っている誤差成分が実形状データに含まれている誤差成分のすべてであるか否かが不明な場合に有効な態様である。複数の誤差成分のデータを一緒に取り出すことも、個々に取り出すことも可能であるが、後者の方が得られる情報が多く、望ましい。 (8)歯面の形状の誤差が複数の誤差成分を含む場合に、前記歯面の形状を評価する歯面形状評価装置であって、前記歯面の実際の形状を測定する形状測定装置と、その形状測定装置において取得された実際の形状を表す実形状データから、前記複数の誤差成分のうちの予め定められた1つ以上の誤差成分を取り除くことにより前記実形状データを修整して修整形状データを取得する修整手段と、その修整手段によって取得された修整形状データをテンプレートを使用して評価する評価手段とを含む歯面形状評価装置。 【0004】 【発明の実施の形態】以下、本発明の歯面形状評価方法を実施し得る歯面形状評価装置について図面に基づいて詳細に説明する。歯面形状評価装置は、歯面の予め定められた1つ以上の切断平面上における断面形状を測定する歯面形状測定装置10(図2参照)と、歯面形状測定装置10を制御するとともに、測定された歯面測定形状の修整・評価を行うコンピュータを主体とする制御装置12(図1参照)とを含むものである。歯面形状測定装置10は、被評価物としての歯車を保持する歯車保持部20と、測定具としての触針22を保持する測定具保持部24とを含むものである。歯車保持部20は、ベッド26に対して相対回転可能に取り付けられた回転体28と、その回転体28に設けられ、歯車を保持する歯車保持軸30と、ベッド26に固定された支持柱32と、その支持柱32の歯車保持軸30に対向した位置に設けられ、歯車を回転可能に支持するピン34とを有するものである。歯車は、回転体28に設けられた歯車保持軸30と支持柱32に設けられたピン34とによって支持されるのであるが、歯車はベッド26に対して相対回転可能な状態で保持されることになる。回転体28は、回転モータ36の駆動によって回転させられる。 【0005】測定具保持部24は、ベッド26に対してY軸方向に相対移動可能に設けられたY軸スライダ(コラム)38と、Y軸スライダ38の前記歯車保持部20側にZ軸方向に相対移動可能に設けられたZ軸スライダ40と、そのZ軸スライダ40にX軸方向に相対移動可能に設けられたX軸スライダ42とを含むものであり、このX軸スライダ42に触針22が触針保持軸44によって取り付けられている。触針22は、これらY軸スライダ38,Z軸スライダ40,X軸スライダ42により、3次元的に移動可能とされている。Y軸スライダ38,Z軸スライダ40,X軸スライダ42は、それぞれ、Y軸モータ48,Z軸モータ50,X軸モータ52の駆動によってそれぞれY軸方向,Z軸方向,X軸方向に直線移動させられる。 【0006】上述の各モータ36,48,50,52は、モータ制御部60〜63を介して制御装置12に接続されており、モータ制御部60〜63には、各モータ36,48,50,52の各々に設けられたエンコーダ65〜68が接続されている。エンコーダ65〜68の出力信号に基づいて回転体28の回転角度,Y軸スライダ38,Z軸スライダ40,X軸スライダ42の直線移動量が取得される。 【0007】制御装置12には、触針22の振れを検出する検出器70が接続されている。触針22は、歯面の予め定められた切断平面上の断面形状を表す理想的な形状線に沿って移動させられるが、その理想形状線と実際の形状を表す実形状線との偏差に応じて振れるものである。その振れの大きさは、理想形状線と実形状線との偏差の絶対値の大きさに応じて決まり、振れの方向は、理想形状線と実形状線との大小(正・負)に応じて決まる。そのため、触針22の振れに基づけば、実形状線の理想形状線に対する偏差を検出することが可能となり、これら偏差と理想形状線とに基づけば、実際の形状を表す実形状データを取得することができる。 【0008】制御装置12には、その他、入力装置72と、モニタ74と、記録装置76とが接続されている。入力装置72は、実形状データの修整の指示、テンプレート評価の実行の指示等を行う場合に操作されるものであり、モニタ74には、歯面の実際の形状を表す実形状データ,理想形状を表す理想形状データ(狙い形状データと称することもできる)等が表示されたり、テンプレートを使用した評価結果が表示されたりする。記録装置76は、歯面形状の評価結果等をプリントアウトする装置である。 【0009】以上のように構成された歯面形状評価装置において、図3に示す歯車80の歯面の形状を評価する場合について説明する。歯車80は、複数の歯を含むものであるが、すべての歯の歯面の形状が評価されるわけではなく、複数の歯が任意に選択されて評価される。本実施形態においては、相対位相が互いに90°隔たった歯82,83,84,85についての評価が行われる。歯車80が、歯車保持部20に保持され、触針22が測定具保持部24に保持された状態で、歯車80が回転させられ、触針22がX,Y,Z軸方向に移動させられることにより、触針22が歯面88(図4参照)上の予め定められた切断平面上の断面形状に沿って移動させられる。例えば、歯すじ方向の切断平面に沿って移動させられるようすることができる。理想形状線に対する実形状線の偏差が検出され、実形状データが取得されるのである。この実形状データに基づいて歯面形状の評価が行われるが、歯面形状の評価は、制御装置12の図示しない記憶手段に記憶された評価プログラムの実行に従って行われる。 【0010】実形状データの誤差には、工具のびびりに対応するびびり対応誤差成分と、歯車加工装置の歯車保持軸と工具保持軸との少なくとも一方の保持軸の設定軸線に対するずれに対応する軸ずれ対応誤差成分と、工具の形状誤差に対応する工具形状誤差対応誤差成分とが含まれる。これらの複数の誤差成分を含む実形状データについて評価を行っても、評価を適切に行うことが困難であるため、実形状データから1つ以上の誤差成分が取り除かれた修整形状データについて評価が行われる。このようにすれば、修整形状データに含まれる誤差成分を減らすことができ、その残された誤差成分の歯面形状に対する影響を正確に評価することが可能となる。 【0011】歯車80がはすば歯車であり、はすば歯車80の左歯面88の歯すじ方向の切断平面としての一例の歯たけ中心線90を含む切断平面上の断面形状についての評価が行われる場合には、まず、触針22が歯たけ中心線90の理想形状線に沿って移動させられ、実形状データが取得される。次に、実形状データからびびり対応誤差成分が取り除かれる。びびり対応誤差成分は、高周波成分であるため、ローパスフィルタを使用することによって、取り除いたり、回帰式を用いて取り除いたりすることができる。実形状データからびびり対応誤差成分を除去した形状データ(以下、第一修整形状データと称する)を図4の折線94で示す。第一修整形状データは、実際は曲線であるが、本実施形態においては、検出装置70によって検出された断面形状線上の複数の点を表すデータを直線で結んで得られる折線(回帰直接とすることもできる)として表される。折線で表すのは、軸ずれ対応誤差成分を除く場合の都合によるためである。また、第一修整形状データ94(実測形状の回帰直線)の図の右側の部分が理想形状データ96から大きく外れているが、これは、その部分に面取りが行われているからであり、実際に評価が行われるのは、短線である範囲規定線98で示された範囲内である。 【0012】次に、傾き誤差成分を除去する。第一修整形状データ94を、理想形状データ96に基づいて決定される破線で表される理想傾きデータ99に基づいて修整し、その修整されたデータを第二修整形状データと称し、折線100で表す。第二修整形状データ100は、実形状データからびびり対応誤差成分が除去され、傾きが理想傾きとなるように修整されたデータである。すなわち、実形状データからびびり対応誤差成分と軸ずれ対応誤差成分とが除かれて修整されたデータであり、工具形状誤差対応誤差成分を含むデータなのである。工具形状誤差対応誤差成分は、低周波数の実形状線の理想形状線に対する偏差成分であり、形状線凹凸誤差成分である。この第二修整形状データ100を、テンプレート102,104を使用して評価する。第二修整形状データ100がテンプレート102,104の範囲内にあるか否かが評価されるのであるが、本実施形態においては、範囲内にあるため、工具形状誤差対応誤差成分の歯面形状への影響が小さいと評価することができる。その結果、工具交換は不要であると評価される。また、本実施形態においては、第一修整形状データ94が理想形状データ96から大きく外れたものであるのに対して、上述のように、第二修整形状データ100はテンプレート102,104の範囲内にあるデータである。したがって、軸ずれ対応誤差成分の歯面形状に対する影響が大きいと評価することができる。歯車加工装置の保持軸のずれを修正する作業が必要であり、保持軸のずれを修正すれば、工具を交換しなくても、形状誤差を小さくすることができる。 【0013】以上のように、本実施形態においては、実形状データが直接テンプレートを使用して評価されるわけではなく、実形状データから2つの誤差成分が除去されることにより修整され、その修整形状データがテンプレートを使用して評価されるため、評価を適切に行うことができる。また、歯車加工装置における原因を解明することができ、不要な作業を行う必要がなくなり、作業に要する時間を短縮し、作業効率を向上させることができる。工具交換頻度が少なくなれば、コストアップを回避し、生産性を向上させることができるのである。 【0014】また、歯たけ中心線90を含む切断平面上の断面形状以外の切断平面上の断面形状も加えて測定して、評価すれば、評価精度をさらに向上させることができる。1つの切断平面上の断面形状についての評価でなく、複数の切断平面上のそれに基づいて評価すれば、評価精度を向上させることができるのである。図5,6に示すように、左歯面88の同時接触線120を含む切断平面上の断面形状(同時接触線120に沿った形状)、噛合移動線122を含む切断平面上の断面形状(噛合移動線122に沿った形状)も測定し、評価することができるのである。さらに、歯たけ中心線90を含む切断平面でなく、上述の同時接触線120を含む切断平面上の断面形状の評価を行ったり、噛合移動線122を含むそれの評価を行ったり、それ以外の切断平面上の断面形状についての評価を行ったりすることができる。また、左歯面88のみでなく、右歯面124についても同様に評価することが可能である。さらに、評価対象である歯車は、はすば歯車に限らず、平歯車であっても、かさ歯車等であってもよい等種々の歯車の評価に適用し得る。 【0015】以上のように、本実施形態においては、制御装置12の評価プログラムを記憶し、実行する部分,入力装置72,モニタ74,記録装置76等によって評価装置124が構成される。本実施形態においては、工具形状誤差対応誤差成分を含む実形状データが、誤差成分データ取出し工程において取り出されたデータであると考えることができる。評価装置124には、出力装置としてのモニタ74と記憶装置76との両方が含まれる必要はなく、いずれか一方が含まれるものとすればよい。 【0016】なお、上記実施形態においては、実形状データからびびり対応誤差成分、軸ずれ対応誤差成分が除かれて、工具形状誤差対応誤差成分が残されたが、工具形状誤差対応誤差成分が除かれるようにしてもよい等、取り除かれる誤差成分と、残される誤差成分とは適宜選択することができる。取り除かれる誤差成分が、オペレータの入力装置72の操作により選択的に決定されるようにすることが可能なのである。また、実形状データには、びびり対応誤差成分,傾き誤差対応誤差成分,工具形状誤差対応誤差成分の3つの誤差成分が含まれるとされたが、これら3つの誤差成分に限定するわけではなく、他の誤差成分が含まれるとすることも、これら3つのうちの2つの誤差成分が含まれるとすることも可能である。その他、いちいち例示することはしないが、特許請求の範囲を逸脱することなく当業者の知識に基づいて種々の変形,改良を施した態様で本発明を実施することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003207 【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
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| 【出願日】 |
平成10年7月6日(1998.7.6) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100079669 【弁理士】 【氏名又は名称】神戸 典和 (外3名)
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| 【公開番号】 |
特開2000−19070(P2000−19070A) |
| 【公開日】 |
平成12年1月21日(2000.1.21) |
| 【出願番号】 |
特願平10−190365 |
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