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【発明の名称】 光学部材検査装置
【発明者】 【氏名】杉浦 正之

【氏名】山本 清

【氏名】中西 太一

【要約】 【課題】キズ及びクラックの方向如何に拘わらず、検査対象光学部材の表面上のキズ及びクラックを検出することができる光学部材検査装置を、提供する。

【解決手段】撮像装置3は、検査対象光学部材14を、線状に撮像する。拡散透過板2及び遮光板9は、検査対象光学部材14における撮像対象領域を、撮像装置3の撮像光軸外から照明する。検査対象光学部材14を保持するホルダ19は、回転部保持台8に対して、回転自在に取り付けられている。回転用モータ17は、このホルダ19を回転駆動する。回転部保持台8は、レール7に沿って直進移動するスライダ13上に固定されている。直進用モータ12は、このスライダ13を直進駆動する。制御装置6は、回転部保持台8を直進移動させつつ撮像装置3によって撮像を行った後に、ホルダ19を90°回転させ、その後再度、回転部保持台8を直進移動させつつ撮像装置3によって撮像を行う。制御装置6は、以上の行程の結果得られた画像データに基づいて、検査対象光学部材14の良否判定を行う。
【特許請求の範囲】
【請求項1】検査対象光学部材の光学的欠陥を検出する光学部材検査装置であって、撮像レンズと、前記検査対象光学部材保持用のホルダと、前記撮像レンズに関して、前記ホルダに保持された検査対象光学部材に対して略共役となる位置に配置されたラインセンサと、前記検査対象光学部材を透過して前記撮像レンズに入射した後に前記ラインセンサに入射する光の光路の外側から、前記検査対象光学部材における前記光が透過する箇所を照明する照明手段と、前記撮像レンズ,ラインセンサ及び照明手段に対して相対的に、前記撮像レンズの光軸に略直交する面内で前記ホルダを所定角度回転させる回転機構と、前記撮像レンズ,ラインセンサ及び照明手段に対して相対的に、前記撮像レンズの光軸の方向及び前記ラインセンサの走査方向に夫々直交する方向へ前記ホルダを直進移動させる直進移動機構と、前記回転機構に対して前記ホルダの相対回転を行わせるとともに、この相対回転の前後において、夫々、前記回転機構に対して前記ホルダの相対直進移動を行わせることによって前記ラインセンサから前記検査対象光学部材全体に対応する画像データを出力させる制御手段と、前記ホルダの相対回転前において前記ラインセンサから出力された前記検査対象光学部材全体に対応する画像データ,及び、前記ホルダの相対回転後において前記ラインセンサから出力された前記検査対象光学部材全体に対応する画像データに基づいて、前記検査対象光学部材の良否判定を行う良否判定手段とを備えることを特徴とする光学部材検査装置。
【請求項2】直進移動部材を更に備えるとともに、前記回転機構は、前記ホルダを前記直進移動部材に対して回転させる機構として構成され、前記直進移動機構は、前記直進移動部材を前記撮像レンズの光軸に直交する方向へ直進移動させる機構として構成されることを特徴とする請求項1記載の光学部材検査装置。
【請求項3】前記所定角度は90°であることを特徴とする請求項1記載の光学部材検査装置。
【請求項4】前記良否判定手段は、前記両画像データを合成した上で、前記良否判定を行うことを特徴とする請求項1記載の光学部材検査装置。
【請求項5】前記照明手段は、前記検査対象光学部材を挟んで前記撮像レンズとは反対側の位置に配置されてこの検査対象光学部材に向けて照明光を拡散する拡散板と、前記検査対象光学部材を透過して前記撮像レンズに入射した後に前記ラインセンサに入射する光の光路を前記検査対象光学部材と前記拡散板との間で遮る遮光部材とを有することを特徴とする請求項1記載の光学部材検査装置。
【請求項6】前記遮光部材は、前記ラインセンサと平行に配置された帯状の形状を有していることを特徴とする請求項5記載の光学部材検査装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、レンズ等の光学部材の不良要因を検出するための光学部材検査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】レンズ,プリズム等の光学部材は、入射した光束が規則正しく屈折したり、平行に進行したり、一点又は線状に収束したり発散するように設計されている。しかしながら、光学部材の形成時において糸くず等が光学部材内に混入してしまっていたり(いわゆる「ケバ」)、成形後の人的取り扱いによって光学部材の表面上にキズ等が生じていると、入射した光束が乱れてしまうので、所望の性能を得ることができなくなる。
【0003】そのため、光学部材の不良要因を検出して自動的に良否判定を行うための光学部材検査装置が、従来、種々提案されている。例えば、本出願人は、特願平9−50760号において、撮像レンズとラインセンサとからなる撮像装置を用いて検査対象光学部材を撮像し、この撮像によって得られた画像データに基づいて検査対象光学部材の良否判定を行う光学部材検査装置を、提案した。この光学部材検査装置は、ラインセンサと撮像レンズとからなる撮像装置と、検査対象光学部材における撮像装置とは逆の面側に配置されたラインセンサと平行な帯状の遮光部材と、遮光部材の両脇から照明光を検査対象光学部材に照射する拡散板とから、構成される。そして、拡散板から照射された照射光によって不良要因から拡散光を生じさせ、この拡散光による不良要因の像を撮像装置によって撮像するとともに、検査対象光学部材を撮像光学系の光軸に直交する面内で走査し、検査対象光学部材全体に相当する画像データを得る。この走査は、ラインセンサに直交する方向,又は、検査対象光学部材の光軸を中心に回転する方向に、なされる。そして、この走査がなされる間に得られた画像データに基づいて、上述した良否判定がなされる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、不良要因が線状に延びたキズ又はクラックである場合、これらが入射光に対する指向性を有する故に、検査が不正確になるという問題があった。即ち、キズ又はクラックとラインセンサとが互いに直交する方向を向いている場合には、遮光板の両脇からキズに照明光を照射しても、図8に示すように、撮像レンズの方へ向かう拡散光が生じ難いために、これらのキズ又はクラックの像がラインセンサ上に形成されない。そのため、これらのキズ又はクラックが不良要因として検出されないのである。
【0005】上述した特願平9−50760号では、この問題を解決するために、遮光部材の長軸方向における両端から検査対象光学を照明する補助光源を追加して、ラインセンサの方向に対して直交する方向のキズ又はクラックからも拡散光が生じるようにしているが、照明光の入射角が大きくなってしまうので、効率良く拡散光を撮像レンズに入射させることができない。
【0006】そこで、本発明は、キズ又はクラックの方向如何に拘わらず、検査対象光学部材の表面上のキズ又はクラックを検出することができる光学部材検査装置を提供することを、課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解決するために、以下の構成を採用した。
【0008】即ち、請求項1記載の発明は、検査対象光学部材の光学的欠陥を検出する光学部材検査装置であって、撮像レンズと、前記検査対象光学部材保持用のホルダと、前記撮像レンズに関して前記ホルダに保持された検査対象光学部材に対して略共役となる位置に配置されたラインセンサと、前記検査対象光学部材を透過して前記撮像レンズに入射した後に前記ラインセンサに入射する光の光路の外側から前記検査対象光学部材における前記光が透過する箇所を照明する照明手段と、前記撮像レンズ,ラインセンサ及び照明手段に対して相対的に前記撮像レンズの光軸に略直交する面内で前記ホルダを所定角度回転させる回転機構と、前記撮像レンズの光軸の方向及び前記ラインセンサの走査方向に夫々直交する方向へ前記ホルダを直進移動させる直進移動機構と、前記回転機構に対して前記ホルダの相対回転を行わせるとともにこの相対回転の前後において夫々前記回転機構に対して前記ホルダの相対直進移動を行わせることによって前記ラインセンサから前記検査対象光学部材全体に対応する画像データを出力させる制御手段と、前記ホルダの相対回転前において前記ラインセンサから出力された前記検査対象光学部材全体に対応する画像データ,及び、前記ホルダの相対回転後において前記ラインセンサから出力された前記検査対象光学部材全体に対応する画像データに基づいて前記検査対象光学部材の良否判定を行う良否判定手段とを、備えることを特徴とする。
【0009】このように構成された光学部材検査装置によると、照明手段は、検査対象光学部材を透過して前記撮像レンズに入射した後にラインセンサに入射する光の光路の外側に位置している。従って、この照明手段から検査対象光学部材へ入射した照明光は、この検査対象光学部材に光学的欠陥が無い限り、撮像レンズに入射した後にラインセンサに入射することはない。そのため、ラインセンサによって撮像される画像は、全体的に暗い。これに対して、検査対象光学部材における撮像対象領域に光学的欠陥がある場合には、照明手段からこの撮像対象領域に入射した照明光が、この光学的欠陥によって拡散する。そして、拡散光の一部が撮像レンズに入射すると、この拡散光がラインセンサ上に収束するので、光学的欠陥の明るい像がラインセンサによって撮像される。従って、ラインセンサによって撮像される画像中に光学的欠陥に対応した明部が表れる。制御手段は、直進移動機構に対してホルダの相対直進移動を指示することにより、検査対象光学部材に対して撮像レンズの光軸を横切らせ、その間にラインセンサから出力された検査対象光学部材全体に対応する画像データを獲得する。制御手段は、次に、回転機構に対してホルダの相対回転を指示することにより、検査対象光学部材を所定角度回転させる。この回転後、制御手段は、再度、直進移動機構に対してホルダの相対直進移動を指示することにより、検査対象光学部材に対して撮像レンズの光軸を横切らせ、その間にラインセンサから出力された検査対象光学部材全体に対応する画像データを獲得する。このようにして得られた各画像データは、ラインセンサを夫々異なる方向に向けた状態で検査対象光学部材を撮像することによって得られたものであり、各撮像時における検査対象光学部材のキズ又はクラックの方向とラインセンサの方向とがなす角度は、互いに異なっている。従って、何れか一方の画像データにおいては消えてしまっているキズ又はクラックも、他方の画像データにおいては明るく映り込んでいる。そこで、良否判定手段は、両画像データに基づいて、検査対象光学部材の良否判定を正確に行うことができるのである。
【0010】回転機構は、ラインセンサ,撮像レンズ及び照明手段を固定した状態でホルダを回転させても良いし、ホルダを固定した状態でラインセンサ,撮像レンズ及び照明手段を回転させても良い。直進移動機構は、ラインセンサ,撮像レンズ及び照明手段を固定した状態でホルダを直進移動させても良いし、ホルダを固定した状態でラインセンサ,撮像レンズ及び照明手段を直進移動させても良い。回転機構と直進移動機構とが、ともに、ラインセンサ,撮像レンズ及び照明手段を固定する場合には、直進移動機構によって直進移動される直進移動部材を設け、この直進移動部材にホルダを設けて回転機構によって回転させれば良い。
【0011】回転機構が相対回転させる角度は、0度及び180度を除く如何なる角度でも良いが、90度に近いほどより望ましく、90度が最も望ましい。
【0012】また、請求項2記載の光学部材検査装置は、請求項1において、直進移動部材を更に備えるとともに、回転機構が、前記ホルダを前記直進移動部材に対して回転させる機構として構成され、直進移動機構が、前記直進移動部材を前記撮像レンズの光軸に直交する方向へ直進移動させる機構として構成されることで、特定したものである。
【0013】また、請求項3記載の光学部材検査装置は、請求項1の所定角度が90°であることで、特定したものである。
【0014】また、請求項4記載の光学部材検査装置は、請求項1の良否判定手段が、前記両画像データを合成した上で前記良否判定を行うことで、特定したものである。
【0015】また、請求項5記載の光学部材検査装置は、請求項1の照明手段が、検査対象光学部材を挟んで前記撮像レンズとは反対側の位置に配置されてこの検査対象光学部材に向けて照明光を拡散する拡散板と、検査対象光学部材を透過して前記撮像レンズに入射した後に前記ラインセンサに入射する光の光路を前記検査対象光学部材と前記拡散板との間で遮る遮光部材とを、有することを特徴とする。
【0016】また、請求項6記載の光学部材検査装置は、請求項5の遮光部材が、前記ラインセンサと平行に配置された帯状の形状を有していることで、特定したものである。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態を説明する。
<光学部材検査装置の構成>本実施形態による光学部材検査装置の概略構成を、図1の正面断面図に示す。この図1に示すように、光学部材検査装置を構成する照明ランプ1,拡散板2,被検物走査ユニットM,及び撮像装置3は、同一の光軸l上に配置されている。
【0018】この撮像装置3は、正レンズ系である撮像レンズ4と、この撮像レンズ4によって収束された光による像を撮像するラインセンサ5(CCDラインセンサ)とから、構成されている。図1において、ラインセンサ5は、左右方向にその画素列を向かせるように設置されている。また、ラインセンサ5の画素列は、その中央において、撮像レンズ4の光軸lと垂直に交わっている。なお、撮像レンズ4は、撮像装置3内においてラインセンサ5に対して進退自在(ピント調節可能)であり、撮像装置3自体も、光軸l方向に進退調整し得る様に光学部材検査装置の図示せぬフレームに取り付けられている。
【0019】ラインセンサ5は、所定時間(各画素に電荷が適度に蓄積する程度の時間)毎にライン状に画像を撮像し、画素の並び順に各画素を自己走査して各画素に蓄積した電荷を出力する。このようにしてラインセンサ5から出力された電荷は、所定の増幅処理やA/D変換処理を受けた後に、1ライン分の輝度信号からなる画像データとして、図3に示す制御装置6に入力される。
【0020】被検物走査ユニットMは、撮像レンズ4に関してラインセンサ5の撮像面と共役な位置に検査対象光学部材14を保持しつつ、この検査対象光学部材14を撮像レンズ4の光軸に直交する方向へ直線状に相対移動させるとともに、この検査対象光学部材14を90度回転させる装置である。以下、この被検物走査ユニットMの具体的構成を、図1及び撮像装置3の位置から見た平面図である図2を用いて説明する。
【0021】これら各図に示されるように、被検物走査ユニットMは、光学部材検査装置の図示せぬフレームにおける下部に固定されたレール7と、このレール7に沿ってスライド駆動される回転部保持台8と、この回転部保持台8上にて回転自在に取り付けられたホルダ19とを、主要構成として構成されている。
【0022】これらのうち、レール7は、ラインセンサ5の画素列の方向及び光軸lの方向に対して夫々直交する方向にその長軸を向けており、断面U字型の形状を有している。このレール7の両端部は、支持板10,10によって閉じられている。これら両支持板10,10の中心同士の間には、ボールネジ11が、回転自在に掛け渡されている。そして、一方の支持板10の外側面には、このボールネジ11を回転駆動する直進用モータ12が取り付けられている。
【0023】このレール7の上面には、スライダ13がスライド自在に填められている。このスライダ13の下面(レール7に対向した面)には、ボールネジ11に螺合したボールナット20が固定されている。従って、直進用モータ12がボールネジ11を正/逆回転させることにより、スライダ13がレール7上を往/復移動する。なお、このスライダ13の移動可能距離は、検査対象光学部材14の直径よりも長い。これらレール7,両支持板10,10,ボールネジ11,直進用モータ12及びスライダ13が、撮像レンズ4の光軸の方向及びラインセンサ5の走査方向に夫々直交する方向へホルダ19を直進移動させる直進移動機構に、相当する。
【0024】直進移動部材として機能する上述の回転部保持台8は、縦断面が逆L字型の形状を有しており、スライダ13の上面上に、その基端が垂直に固着されている。従って、回転部保持台8の上面は、光軸lに対して垂直となっている。この回転部保持台8の先端部は、光軸lを横断している。そして、光軸lと一致し得る中心線を中心とした円形の貫通孔8aが、当該先端部に穿たれている。この貫通孔8aの撮像装置3側の縁は、筒状に突出した筒状縁部8bを構成している。上述のホルダ19は、この筒状縁部8bに嵌合することによって、回転自在となっている。即ち、ホルダ19は、貫通孔8aと同じ内径の略筒状形状を有しており、その下端開口が、筒状縁部8bの外径よりも僅かに大径に形成され、この大径部19aが、回転部保持台8の筒状縁部8bに嵌合しているのである。
【0025】なお、ホルダ19の内面における軸方向中央には、環状の内方フランジ19bが突出形成されている。この内方フランジ19bの内径は、検査対象光学部材14の外径よりも小径となっているので、この内方フランジ19bが検査対象光学部材14の外縁を保持することができる。また、ホルダの外面には、環状ギヤ15が填められている。
【0026】一方、回転部保持台8の上面には、ステー16を介して、回転用モータ17が固定されている。この回転用モータ17の駆動軸は、光軸lと平行を向いており、この駆動軸の先端には、環状ギヤ15に噛合するピニオンギヤ18が取り付けられている。従って、この回転モータ17がピニオンギヤ18を回転駆動することにより、ホルダ19及びこれに保持された検査対象光学部材14が、光軸lを中心に回転する。但し、このホルダ19の回転角度は、図示せぬリミッタによって90度の範囲に制限されている。これら回転用モータ17,ピニオンギヤ18及び環状ギヤ15が、撮像レンズ4の光軸lに略直交する面内でホルダ19を所定角度回転させる回転機構に、相当する。
【0027】照明ランプ1は、照明光(白色光)を発光する白熱ランプであり、光学部材検査装置の図示せぬフレームに固定されている。
【0028】光軸l上において被検物走査ユニットMと照明ランプ1との間には、図2に示すように、検査対象光学部材14の直径の2倍よりも十分に長い長辺と検査対象光学部材14の直径よりも十分に長い短辺とを有する矩形の拡散透過板2が、その長辺をレール7の軸に対して平行に向けた状態で、固定されている。この拡散透過板2の表面(検査対象光学部材14側の面)は粗面として加工されているので、この拡散透過板2は、照明ランプ1から出射された照明光をその裏面全面で受けて、検査対象光学部材14に向けて拡散させることができる。
【0029】この拡散透過板2の上面の長辺方向における中央には、帯状の遮光部材である遮光板9が、貼り付けられている。この遮光板9は、図1に示すように、その中心を撮像レンズ4の光軸lと一致させた状態で、その長手方向を拡散透過板2の短辺方向に向けている。なお、この遮光板9の幅は、図1の矢印IV方向から見た状態を示す略図である図4に示すように、ラインセンサ5の各画素に入射する光の周縁光線m,mの間隔よりも広い。これら撮像装置1,拡散透過板2及び遮光板9が、照明手段に相当する。
【0030】上述した両モータ12,17は、図3にその内部回路構成が示される制御装置6によって、制御・駆動される。この制御装置6は、各モータ12,17に駆動電流を供給しつつ、撮像装置3から入力された画像データに基づいて検査対象光学部材27が良品であるか不良品であるかの判定を行う装置であり、制御手段及び良否判定手段に相当する。以下、図3を用いて、その内部回路構成を説明する。
【0031】図3に示す様に、制御装置6は、バスBを介して相互に接続されたCPU60,フレームメモリ61,ホストメモリ62,及びモータ駆動回路63から、構成されている。
【0032】フレームメモリ61は、撮像装置3から入力された画像データが書き込まれるバッファである。
【0033】ホストメモリ62は、画像メモリ領域62a,作業メモリ領域62b,及び、画像処理プログラム格納領域62cを、含んでいる。このうち、画像メモリ領域62aは、フレームメモリ61に書き込まれた画像データが所定時間毎に先頭行から行単位で書き込まれる領域である。また、作業メモリ領域62bは、CPU60による画像処理が実行される領域である。また、画像処理プログラム格納領域62cは、CPU60にて実行される画像処理プログラムを格納するコンピュータ可読媒体としての領域である。
【0034】モータ駆動回路63は、CPU60からの命令に応じて、各モータ12,17を所望速度で所望量駆動させる駆動電流を、これら各モータ12,17に供給する。
【0035】CPU60は、制御装置6全体の制御を行うコンピュータである。即ち、CPU60は、ホストメモリ62の画像処理プログラム格納領域62dに格納されている画像処理プログラムを実行し、直進用モータ12を等速回転させつつフレームメモリ61に書き込まれた画像データを定期的にホストメモリ62の画像メモリ領域62aに書き写すとともに、画像メモリ領域62a中に検査対象光学部材14全体に対応する画像データが合成された時点で、所定の閾値を用いてこの画像データを二値化するとともに不要部分をマスキングした後に、この画像データを作業メモリ62bに書き加える(制御手段に相当)。CPU60は、このような制御を回転用モータ17によるホルダ19の90度回転の前後において実行し、その結果作業メモリ62b内に蓄積された画像データに基づいて、検査対象光学部材14の良否判定を実行する(良否判定手段に相当)。<光学的欠陥検出の原理>以上のように構成される光学部材検査装置において、図4の面内では、撮像レンズ4に入射してラインセンサ5の各画素に入射し得る光は、撮像レンズ4の光軸lに沿った光線を主光線とする光束であり且つ周縁光線m,m間を通る光のみである。この周縁光線m,mを逆方向に辿ると、検査対象光学部材14の表面において交差した後に、拡散透過板2に向かって拡がっている。そして、拡散透過板2上において、この周縁光線m,mの間が遮光板9によって遮られている。従って、図4に示すように、検査対象光学部材14におけるラインセンサ5による撮像対象領域(撮像レンズ4に関してラインセンサ5の画素列の受光面と共役な部位及び光軸方向におけるその近傍,図6及び図7においては二点鎖線にて図示)に光学的欠陥がないとすると、ラインセンサ5の各画素に入射する光はない。即ち、拡散板2の表面における遮光板8の側方箇所から拡散した光nは、検査対象光学部材14における撮像対象領域を透過するが、周縁光線m,mの外側を通るので、撮像レンズ4には入射しない。また、拡散透過板2の表面における遮光板9の側方箇所から拡散して検査対象光学部材14における撮像対象領域以外の箇所を透過した光は、撮像レンズ4に入射し得るが、ラインセンサ5の各画素上には収束されない。そのため、撮像装置3から出力される画像データは、検査対象光学部材14の外縁に対応する明部(側面での拡散光に因る)を除き、全域において暗くなっている。
【0036】これに対して、検査対象光学部材14表面における撮像対象領域内に不良要因Kがある場合、図5に示すように、拡散透過板2の表面における遮光板9の側方箇所から拡散した光nがこの不良要因Kに当たると、この光nがこの不良要因Kによって拡散される。この拡散光n’は、周縁光線m,mの交点を中心として発散するので、その一部は、撮像レンズ4を介してラインセンサ5の画素上に入射する。従って、不良要因Kの像(周囲よりも明るい像)が、ラインセンサ5の撮像面に形成される。
【0037】なお、キズやクラックは、入射光に対して指向性を有している。即ち、キズやクラックの方向に対して平行な方向から入射した光については拡散することなくそのまま透過し、これと直交する方向から入射した光については拡散する。従って、図6に示す様に、遮光板9の長手方向と平行にキズ又はクラックKが形成されている場合には、拡散透過板2の表面における遮光板9の側方箇所から拡散した光nがキズ又はクラックKに対して直交する様に入射するので、上述したようにして拡散光n’が生じ、この拡散光n’の一部が撮像レンズ4に入射し、このキズ又はクラックKの像がラインセンサ5によって撮像される。これに対して、図7に示す様に、遮光板9の長手方向と直交する方向に沿ってキズ又はクラックKが形成されている場合には、遮光板9の長手方向と直交する方向に沿った縦断面図である図8に示すように、拡散透過板2の表面における遮光板9の側方箇所から拡散した光nがキズ又はクラックKに対して平行に入射するので、入射した光nは拡散されることなくそのまま透過する。そして、この光nは周縁光線m,mの外側を進むので、撮像レンズ4には入射しない。そのため、キズ又はクラックKの像はラインセンサ5によって撮像されない。
【0038】このような問題を解消するために、本実施形態においては、回転部保持台8を直進移動させることによって撮像装置3に対して検査対象光学部材14を走査した後で、ホルダ19ごと検査対象光学部材14を90度回転させて、再度、回転部保持台8を直進移動させることによって撮像装置3に対して検査対象光学部材14を走査するようにした。その結果、検査対象光学部材14上に形成された全てのキズ及びクラックKは、何れか一方の走査において、遮光板9の長手方向に対する角度が45度以下になる。このように、キズ又はクラックKの遮光板9の長手方向に対する角度は、最大でも45度になるが、45度であれば、ラインセンサ5上にこれらキズ又はクラックKを形成させるのに十分な拡散光n’を生じさせ得る。
<制御処理>次に、検査対象光学部材14が良品であるか不良品であるかの判定を行うために、画像処理プログラム格納領域62c内の制御プログラムを読み込んだCPU60が実行する制御処理の内容を、図9のフローチャートを用いて説明する。
【0039】図9の制御処理は、制御装置6に接続された図示せぬ検査開始ボタンが押下されることによりスタートする。スタート後最初のS01では、CPU60は、光学部材検査装置全体の初期化を行う。即ち、モータ駆動回路63に対して、回転部保持台8を初期位置(図2における最も上側の位置,即ち、撮像装置3による撮像対象領域が検査対象光学部材14の外側となる位置)に戻すとともに、ホルダ19の回転位置を初期位置に戻すように、指示する。この指示を受けたモータ駆動回路63は、この指示に従って各モータ12,17に駆動電流を供給する。また、CPU60は、制御に用いる変数iを初期化して“0”とする。さらに、PCU60は、作業メモリ領域62b内の記憶内容をクリアする。
【0040】次のS02では、CPU60は、モータ駆動回路63に対して、図2における下側に向けて回転部保持台8を等速にスライド移動させる様、指示する。この指示を受けたモータ駆動回路63は、このスライド移動を開始するために、直進用モータ12を等速回転させる。
【0041】次のS03では、CPU60は、撮像装置3からフレームメモリ61に入力された一走査分の画像データを、画像メモリ領域62aに書き込む。
【0042】次のS04では、CPU60は、S03での画像データの書き込みによって、画像メモリ領域62a内で検査対象光学部材14全体に対応する画像データが合成されたかどうかをチェックする。そして、未だ検査対象光学部材14全体に対応する画像データが合成されていない場合には、処理をS03に戻し、新たな撮像によって撮像装置3からフレームメモリ61に入力された画像データを、画像メモリ領域62aに書き込む。
【0043】これに対して、検査対象光学部材14全体に対応する画像データが合成された場合には、CPU60は、S05において、画像メモリ領域62a内に書き込まれている検査対象光学部材14全体に対応する画像データに対して、二値化処理を行う。即ち、画像メモリ領域62aに格納されている画像データの全ピクセルの輝度値を、所定の閾値と比較する。そして、当該所定の閾値よりも輝度が高い画素の輝度値を“1”に置き換えるとともに、当該所定の閾値よりも輝度が低い画素の輝度値を“0”に置き換える。
【0044】次のS06では、CPU60は、マスク処理を実行する。このマスク処理を行う理由を、図10乃至図12を用いて説明する。いま、検査対象光学部材14が、円形レンズのように光軸を中心として径方向にパワーを有する光学部材である場合を、想定する。このとき、検査対象光学部材14の直径方向へ遮光板9を直進移動させると、撮像装置3の位置から検査対象光学部材14を通して見た遮光板9は、検査対象光学部材14が凹レンズ14aであれば図11(a)〜(c)に示すように変化し、検査対象光学部材14が凸レンズ14bであれば図12(a)〜(c)に示すように変化する。このように、検査対象光学部材14の光軸が遮光板8の中心からずれている時には、検査対象光学部材14a,14bを透過して見える遮光板9の位置は、実際の位置よりもずれて見える。その結果、検査対象光学部材14に光学的欠陥がないとしても、拡散透過板2における遮光板9の脇から発散した光が撮像レンズ4に入射してしまい、ラインセンサ5によって撮像される画像が明るくなってしまう。そのため、光学的欠陥の明るい像があまり強調されなくなるとともに、光学的欠陥ではない部分が光学的欠陥であると判定されてしまうおそれがある。そのため、S06では、各回の走査によって得られた画像データ(画像メモリ領域62a中の二値化データ)のうち、検査対象光学部材14の撮像初期(図11(a)及び図12(a)参照)に得られた領域及び撮像終期(図11(c)及び図12(c)参照)に得られた領域を、マスキングする。即ち、図10に示す0°の方向に走査がなされる場合には、α及びβの領域に含まれる全ての画素の輝度値を“0”に書き換え、図10に示す90°の方向に走査がなされる場合には、γ及びδの領域に含まれる全ての画素の輝度値を“0”に書き換える。
【0045】次のS07では、CPU60は、画像メモリ領域62a内の画像データ(マスキングされた二値化データ)を、作業メモリ領域62bに重畳する。この画像データの重畳は、作業メモリ領域62b内の各画素の輝度値に、画像データを構成する各画素の輝度値を加算することによって、なされる。
【0046】次のS08では、CPU60は、変数iが“1”に達しているか否かをチェックする。そして、変数iが“0”である場合(即ち、ホルダ19の回転前における0°方向への走査時)である場合には、CPU60は、処理をS09に進める。
【0047】S09では、CPU60は、変数iを一つインクリメントする。次のS10では、CPU60は、モータ駆動回路63に対して、ホルダ19を90°回転させる様、指示する。この指示を受けたモータ駆動回路63は、この回転を行うために、回転用駆動モータ17に駆動電流を供給する。次のS11では、CPU60は、モータ駆動回路63に対して、回転部保持台8を初期位置に復帰させる様、指示する。この指示を受けたモータ駆動回路63は、直進用モータ12をS02とは逆方向に回転させる。S11終了後、CPU60は、処理をS02に戻し、90°方向への走査を行わしめる。なお、この90°方向への走査におけるS07では、CPU60は、画像メモリ領域62aに格納されている画像データを−90°回転させた上で、この画像データを構成する各画素の輝度値を、作業メモリ領域62b内の対応する画素の輝度値に夫々加算する。この結果、作業メモリ領域62b内に格納されている画像データは、0°方向への走査によって得られた画像と90°方向への走査によって得られた画像とを重ね合わせたものとなる。
【0048】これに対して、変数iが“1”に達していると判断した時には(即ち、ホルダ19の回転後における90°方向への走査時)、CPU60は、処理をS12に進める。このS12では、CPU60は、作業メモリ領域62b内における“1”の値を有する画素の総数を計測し、“1”の値を有する画素の総数が所定の判定基準値よりも多いかどうかをチェックする。そして、“1”の値を有する画素の総数が所定の判定基準値よりも多い場合には、S13において、当該検査対象光学部材14が不良品であると判定して、その旨を外部出力(画像表示,音声出力)する。これに対して、“1”の値を有する画素の総数が所定の判定基準値以下である場合には、S14において、当該検査対象光学部材14が良品であると判定して、その旨を外部出力(画像表示,音声出力)する。以上の後に、CPU60は、この制御処理を終了する。
【0049】なお、S12での判定の代わりに、“1”の値を有する画素の集合からなる領域の直径が所定値以上あるかどうかに基づいて判定を行っても良いし、“1”の値を有するピクセルの集合からなる領域に該当する二値化前画像における輝度値の総和が所定値以上あるかどうかに基づいて判定を行っても良い。
<実施形態の作用>以上のような構成を有する本実施形態による光学部材検査装の検査を、以下、説明する。
【0050】オペレータは、先ず、検査対象光学部材14をホルダ19にセットして、照明ランプ1を点灯するとともに、撮像装置3に電源を投入する。これにより、撮像装置3は、その撮像対象領域を線状に撮像して得られた画像データを、制御装置6に入力する。但し、この時点では、制御装置6は、図9の処理を実行していないので、制御装置6に入力された画像データが画像メモリ領域62aに取り込まれることはない。
【0051】オペレータは、次に、制御装置6に接続された図示せぬ検査開始ボタンを押下する。すると、ホルダ19が0°の位置に戻されるとともに、ホルダ19ごと回転部保持台8が図2における最も上方の初期位置に戻される(S01)。このようにして、装置全体が初期化されると、CPU60は、0°方向への走査を実行する。即ち、ホルダ19を0°の位置に保ったまま、回転保持部8を図2における下方へ等速移動させる(S02)。そして、この等速移動の間中、CPU60は、撮像装置3からフレームメモリ61に入力された画像データを、画像メモリ領域62aに書き込む。この結果、画像メモリ領域62a内には、検査対象光学部材14全体に対応した画像データが合成される(S03,S04)。この画像データ中においては、同じ形状且つ同じ大きさのキズ又はクラックについて比較した場合、遮光板9の長手方向に対して0°の方向を向いているキズ及びクラックは、最も明るく映り込む。そして、遮光板9の長手方向に対する角度が大きくなるほど、画像データへのキズ及びクラックの映り込みは暗くなり、遮光板9の長手方向に対して90°の方向を向いているキズ及びクラックは、画像データ中において消えてしまっている。
【0052】この画像データは、二値化処理された後に(S05)、ノイズによって全体的に明るくなっている領域(図10の領域α及び領域β)がマスクされ(S06)、作業メモリ領域62bに書き込まれる(S07)。
【0053】次に、CPU60は、ホルダ19を90°の位置に回転させるとともに(S10)、ホルダ19ごと回転部保持台8を初期位置に戻す(S11)。その後で、CPU60は、90°方向への走査を実行する。即ち、ホルダ19を90°の位置に保ったまま、回転保持部8を図2における下方へ等速移動させる(S02)。そして、この等速移動の間中、CPU60は、撮像装置3からフレームメモリ61に入力された画像データを、画像メモリ領域62aに書き込む。この結果、画像メモリ領域62a内には、検査対象光学部材14全体に対応した画像データが合成される(S03,S04)。この画像データ中においては、同じ形状且つ同じ大きさのキズ又はクラックについて比較した場合、遮光板9の長手方向に対して0°の方向を向いているキズ及びクラック(0°方向への走査時において遮光板9の長手方向に対して90°の方向を向いていたキズ及びクラック)は、最も明るく映り込む。そして、遮光板9の長手方向に対する角度が大きくなるほど、画像データへのキズ及びクラックの映り込みは暗くなり、遮光板9の長手方向に対して90°の方向を向いているキズ及びクラック(0°方向への走査時において遮光板9の長手方向に対して0°の方向を向いていたキズ及びクラック)は、画像データ中において消えてしまっている。
【0054】この画像データは、二値化処理された後に(S05)、ノイズによって全体的に明るくなっている領域(図10の領域γ及び領域δ)がマスクされる(S06)。そして、この画像データは、−90°回転されて、作業メモリ領域62b内に格納されている0°方向の走査による画像データに対して方向合わせされた後に、作業メモリ領域62b内の画像データに重畳される(S07)。
【0055】この重畳の結果として作業メモリ領域62b内に保持された画像データ内においては、あらゆる方向のキズ及びクラックが、同じ大きさで映り込んでいる。従って、その後における良否判定では(S12)、各キズ及びクラックの像をなす画素の数のみに基づいて、正確に判定を行うことができる。
【0056】
【発明の効果】以上のように構成された本発明の光学部材検査装置によれば、キズの方向如何に拘わらず、検査対象光学部材の表面上のキズを検出することが可能となる。
【出願人】 【識別番号】000000527
【氏名又は名称】旭光学工業株式会社
【出願日】 平成10年7月2日(1998.7.2)
【代理人】 【識別番号】100098235
【弁理士】
【氏名又は名称】金井 英幸
【公開番号】 特開2000−19060(P2000−19060A)
【公開日】 平成12年1月21日(2000.1.21)
【出願番号】 特願平10−187954