| 【発明の名称】 |
光学部材検査装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】山本 清
【氏名】杉浦 正之
【氏名】中西 太一
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| 【要約】 |
【課題】光学部材の表面をけがくことによって形成された刻印に基づく領域を、画像データ中から確実にマスクすることができる光学部材検査装置を、提供する。
【解決手段】その表面に刻印が形成された検査対象光学部材が撮像されると、この撮像によって得られた画像データ中の当該刻印に起因する不良要因候補領域が切り出され、刻印を構成する各線の骨格の細線化画像であるマッチング画像と重ね合わされる。そして、このマッチング画像を構成する画素の総数と、これら画素のうち不良要因候補領域と重なるものの数とが比較され、前者に対する後者の比率が一致率として算出される。そして、この一致率が所定の閾値を上回った場合には、この不良要因候補領域が刻印に起因するものと判定される。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】刻印がその表面上にけがかれている光学部材を検査する光学部材検査装置であって、前記光学部材を撮像して当該光学部材の像を含む画像データを出力する撮像装置と、この撮像装置から出力された画像データを格納する画像メモリと、この画像メモリに格納されている画像データ中から、周囲と輝度が異なる高コントラスト領域を特定する領域特定手段と、前記刻印の形状を示すマッチング画像を保持するマッチング画像保持部と、このマッチング画像保持部に保持されたマッチング画像と前記領域特定手段によって特定された高コントラスト領域とを重ねて、前記マッチング画像の全面積に対して前記高コントラスト領域と重なる部分の面積が占める割合を算出するパターンマッチング手段と、このパターンマッチング手段によって算出された割合を所定の閾値と比較して、前記割合が前記所定の閾値を超えたか否かを判定する比較手段と、前記割合が前記所定の閾値を超えたとの判定が前記比較手段によってなされた領域を前記画像データ中からマスクするマスク手段と、前記マスク手段によってマスクされた前記画像データに基づいて前記光学部材の良否判定を行う良否判定手段とを備えたことを特徴とする光学部材検査装置。 【請求項2】前記マッチング画像は、前記刻印を構成する各線の骨格形状を示す細線化画像であることを特徴とする請求項1記載の光学部材検査装置。 【請求項3】前記マッチング画像は、前記刻印が前記撮像装置によって撮像された時に前記画像データ中において欠落し易い部分を前記刻印の形状から予め欠落させた形状を示していることを特徴とする請求項1又は2記載の光学部材検査装置。 【請求項4】前記パターンマッチング手段は、前記高コントラスト領域に対して予め膨張処理を施した上で、この高コントラスト領域と前記マッチング画像とを重ねることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の光学部材検査装置。 【請求項5】前記領域特定手段は、前記画像メモリに格納されている画像データに対して、所定の明るさの閾値よりも明るい部分と暗い部分とを区分けする二値化処理を施すことを特徴とする請求項1記載の光学部材検査装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明が属する技術分野】本発明は、レンズ等の光学部材の不良要因を検出するための光学部材検査装置に関する。 【0002】 【従来の技術】レンズ,プリズム等の光学部材は、入射した光束が規則正しく屈折したり、平行に進行したり、一点又は線状に収束したり発散するように設計されている。しかしながら、光学部材の形成時において糸くず等が光学部材内に混入してしまっていたり(いわゆる「ケバ」)、成形後の人的取り扱いによって光学部材の表面上にキズ等が生じていると、入射した光束が乱れてしまうので、所望の性能を得ることができなくなる。 【0003】そのため、光学部材の不良要因を検出して自動的に当該光学部材の良否判定を行う光学部材検査装置が、従来、種々提案されている。この種の光学部材検査装置は、一般に、不良要因が画像データに写し込まれるような手法によって光学部材を撮像し、これによって得られた画像データから不良要因の図形的特徴を示す領域を抽出し、抽出した不良要因の図形的特徴量を数値化し、かかる数値を所定の判定基準値と比較することによって、良否判定を行う。 【0004】ところで、例えば眼鏡レンズ等には、メーカ等の識別のために、シンボルマークを示す刻印が形成されているものがある。このような刻印は、製品段階になっても残る位置に形成されるが、その光学部材の本来の性能・機能を損なわぬ様に、針の先等によって極細線としてけがかれている。 【0005】但し、上述したような光学部材検査装置は、このような極細線の刻印であっても、光学部材表面のキズと同じ原理に基づいて検出してしまう。従って、このような刻印が付されているレンズについても正確な良否判定を可能とするには、光学部材検査装置は、かかる刻印及びマークを本来の不良要因から峻別して数値化対象から除外するように、構成されなければならない。 【0006】そのために、画像データ中の不良要因と思しき全ての領域に対して、予め用意しておいたマッチング画像(刻印の形状そのものを示す画像)とのパターンマッチングを行い、パターンマッチングの結果としてマッチング画像に近似していると認定した領域については、不良要因ではなく刻印を示すものである認識して、これを原画像データからマスクすることが、考えられる。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述したように、光学部材の表面をけがくことによって形成されてた刻印は、極細い線から構成されているので、その形成時におけるけがきの程度(深さ)に依り、一部かすれた画像として撮像されてしまう場合があった。また、これら刻印は、モールド形成されるわけではなくレンズ加工後に別行程にてけがかれるので、形成時における光学部材のセット位置やけがき針(けがきを行うために用いられる針)のセット位置如何に依り、その向きにバラツキが生じてしまうことがあった。これらの場合には、画像データ中の刻印に基づく領域とマッチング画像とを重ねても、両者が一致する比率は低くなってしまうので、上述したパターンマッチング手法によると、光学部材検査装置は、画像データ中の刻印に基づく領域を確実にマスクすることができない。 【0008】本発明は、以上のような問題点に鑑みなされたものであり、光学部材の表面をけがくことによって形成された刻印に基づく画像データ中の領域に対して、有効にパターンマッチングを行うことによって、これを画像データから確実にマスクすることができる光学部材検査装置の提供を、課題とする。 【0009】 【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解決するために、以下の構成を採用した。 【0010】即ち、請求項1記載の発明は、刻印がその表面上にけがかれている光学部材を検査する光学部材検査装置であって、前記光学部材を撮像して当該光学部材の像を含む画像データを出力する撮像装置と、この撮像装置から出力された画像データを格納する画像メモリと、この画像メモリに格納されている画像データ中から周囲と輝度が異なる高コントラスト領域を特定する領域特定手段と、前記刻印の形状を示すマッチング画像を保持するマッチング画像保持部と、このマッチング画像保持部に保持されたマッチング画像と前記領域特定手段によって特定された高コントラスト領域とを重ねて、前記マッチング画像の全面積に対して前記高コントラスト領域と重なる部分の面積が占める割合を算出するパターンマッチング手段と、このパターンマッチング手段によって算出された割合を所定の閾値と比較して前記割合が前記所定の閾値を超えたか否かを判定する比較手段と、前記割合が前記所定の閾値を超えたとの判定が前記比較手段によってなされた領域を前記画像データ中からマスクするマスク手段と、前記マスク手段によってマスクされた前記画像データに基づいて前記光学部材の良否判定を行う良否判定手段とを、備えたことを特徴とする。 【0011】このように構成されると、マッチング画像自体が高コントラスト領域に重なる割合のみが問題とされ、マッチング画像が周囲の高コントラスト領域の周囲に重なる割合は一切問題とされない。従って、マッチング画像を高コントラスト領域に比して相対的に小さく設定しさえすれば、高コントラスト領域が多少かすれていたり傾いていたとしても、マッチング画像の全面積に対して高コントラスト領域と重なる部分の面積の占める割合を、高い値として算出することができる。従って、刻印に起因する高コントラスト領域であっても、これを確実に識別して、画像データからマスクすることにより、光学部材の正確な良否判定を実現することができる。 【0012】請求項2記載の発明は、請求項1のマッチング画像が、前記刻印を構成する各線の骨格形状を示す細線化画像であることで、特定したものである。 【0013】請求項3記載の発明は、請求項1又は2のマッチング画像が、前記マッチング画像は、前記刻印が前記撮像装置によって撮像された時に前記画像データ中において欠落し易い部分を前記刻印の形状から予め欠落させた形状を示していることで、特定したものである。 【0014】請求項4記載の発明は、請求項1乃至3の何れかにおけるパターンマッチング手段が、前記高コントラスト領域に対して予め膨張処理を施した上で、この高コントラスト領域と前記マッチング画像とを重ねることで、特定したものである。 【0015】請求項5記載の発明は、請求項1の領域特定手段が、前記画像メモリに格納されている画像データに対して、所定の明るさの閾値よりも明るい部分と暗い部分とを区分けする二値化処理を施すことで、特定したものである。 【0016】 【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態を説明する。 <光学部材検査装置の構成>本発明の実施の形態である光学部材検査装置の概略構成を、図1の側面断面図に示す。この図1に示すように、光学部材検査装置を構成する照明ランプ1,拡散板2,及び撮像装置3は、同一の光軸l上に配置されている。 【0017】この撮像装置3は、正レンズ系である撮像レンズ4と、この撮像レンズ4によって収束された光による像を撮像する撮像素子(複数の画素を一方向に並べてなるCCDラインセンサ)5とから、構成されている。図1において、撮像素子5は、左右にその画素列を向かせるように設置されている。また、撮像素子5の画素列は、その中央において、撮像レンズ4の光軸lと垂直に交わっている。なお、撮像レンズ4は、撮像装置3内において撮像素子5に対して進退自在(ピント調節可能)であり、撮像装置3自体も、光軸l方向に進退調整し得る様に光学部材検査装置の図示せぬフレームに取り付けられている。 【0018】撮像素子5は、所定時間(各画素に電荷が適度に蓄積する程度の時間)毎にライン状に画像を繰り返し撮像し、画素の並び順に各画素を自己走査して、各画素に蓄積した電荷を出力する。このようにして撮像素子5から出力された電荷は、所定の増幅処理やA/D変換処理を受けた後に、1ライン分の輝度信号からなる画像データとして、制御装置6に入力される。 【0019】検査対象光学部材14は、撮像装置3側から見た平面図である図2に示す様に円形のレンズであり、光学部材検査装置の図示せぬフレームに取り付けられたホルダ15によって、撮像レンズ4に関してその表面(撮像レンズ4に対向する面)が撮像素子5の撮像面と共役となるように、保持されている。この検査対象光学部材14の表面の中心からやや外側にオフセットした位置には、極細い線によってシンボルマーク“A”を示す刻印δが、けがきによって形成されている。図7は、この刻印δの形状を示す拡大図である。 【0020】このホルダ15は、撮像レンズ4の光軸lに対して平行にオフセットした中心線Oを中心とした環状の形状を有しており、検査対象光学部材14の周縁をその全周に亘って保持する。また、ホルダ15は、中心線Oを中心として、光軸lに直交する面内で回転可能となっている。そして、このホルダ15の周縁には、環状ギア16が形成されている。この環状ギア16は、駆動モータ8の駆動軸に取り付けられたピニオンギア7に噛合している。従って、駆動モータ8がその駆動軸を回転させると、両ギア7,16を介してホルダ15が回転駆動を受け、ホルダ15に保持されている検査対象光学部材14が、光軸lに直交する面内において回転駆動される。 【0021】なお、撮像レンズ4の倍率(即ち、撮像装置3自体の位置,及び撮像レンズ4の撮像素子5に対する位置)は、検査対象光学部材14の表面における中心Oから外周縁までの領域を撮像素子5の撮像面に結像し得るように、調整されている。図2においては、撮像素子5によって撮像され得る一ライン分の撮像対象領域が、二点鎖線によって示されている。 【0022】照明ランプ1は、照明光(白色光)を発光する白熱ランプであり、光学部材検査装置の図示せぬフレームに固定されている。 【0023】この照明ランプ1と検査対象光学部材14との間に配置されている拡散板2は、図2に示すように、検査対象光学部材14の半径以上の直径を有する円盤形状を有しており、その表面は粗面として加工されている。従って、この拡散板2は、照明ランプ1から出射された照明光をその裏面全面で受けて、検査対象光学部材14に向けて拡散することができる。なお、この拡散板2は、その中心において撮像レンズ4の光軸lと直交する様に、光学部材検査装置の図示せぬフレームに固定されている。 【0024】この拡散板2の表面上には、帯状の形状を有する遮光板9が、その長手方向を撮像素子5の画素列の方向と平行な方向に向けて、貼り付けられている。この遮光板9の中心は撮像レンズ4の光軸lと交差している。また、遮光板9は、検査対象光学部材14の半径よりも長い。そして、図2に示すように、撮像装置3の位置から見ると、遮光板9は、検査対象光学部材14の半径に対して完全に重なっている。また、遮光板9の幅は、撮像素子5の画素列の方向に直交する方向における光学部材検査装置の断面図である図4に示すように、撮像素子5の各画素に入射する光の周縁光線m,mの間隔よりも広い。 【0025】制御装置6は、撮像装置3から入力された画像データに基づいて検査対象光学部材14が良品であるか不良品であるかの判定を行うとともに、この判定に伴って駆動モータ8に駆動電流を供給する処理装置である。 【0026】図3は、この制御装置6の内部回路構成を示すブロック図である。図3に示す様に、制御装置6は、バスBを介して相互に接続されたCPU60,フレームメモリ61,ホストメモリ62,及びモータ駆動回路63から、構成されている。 【0027】フレームメモリ61は、撮像装置3から入力された画像データが書き込まれるバッファである。 【0028】ホストメモリ62は、画像メモリ領域62a,第1作業メモリ領域62b,第2作業メモリ領域62c,及び、画像処理プログラム格納領域62dを、含んでいる。 【0029】このうち、画像処理プログラム格納領域62dは、CPU60にて実行される画像処理プログラムを格納するコンピュータ可読媒体,及び、シンボルマークの形状を示すマッチング画像を保持するマッチング画像保持部としての領域である。図7に示すシンボルマーク“A”を示す刻印δに対応して容易されたマッチング画像を、図8の拡大図に示す。この図8に示されるように、マッチング画像は、シンボルマーク“A”を構成する各線の骨格形状(中心軸の形状)を示す細線化画像(幅1ビットの線からなる画像)である。このマッチング画像において、シンボルマーク“A”を構成する各線の両端近傍は、予め欠落されている。 【0030】また、画像メモリ領域62aは、フレームメモリ61に書き込まれた画像データが所定時間毎に先頭行から行単位で書き込まれる領域である。この画像メモリ領域62aに書き込まれた画像データは、撮像装置3での撮像方式故に極座標系によるデータ(極座標データ)である。 【0031】また、第1作業メモリ領域62bには、画像メモリ領域62a内の画像データのうちシンボルマークが存在している可能性が高い領域(半径を示す座標が中心近傍の特定範囲の値である領域)のみが、CPU60によって座標変換(極座標−直交座標変換)された状態で書き込まれる。 【0032】また、第2作業メモリ領域62cには、画像メモリ領域62a内の画像データの全域が、CPU60によって座標変換(極座標−直交座標変換)された状態で書き込まれる。 【0033】モータ駆動回路63は、撮像装置3側から見てホルダ15及び検査対象光学部材14が反時計方向に等速回転する様に駆動モータ8を駆動させる駆動電流を、この駆動モータ8に供給する。 【0034】CPU60は、制御装置6全体の制御を行うコンピュータであり、領域特定手段,パターンマッチング手段,比較手段,マスク手段,及び、良否判定手段に、相当する。即ち、CPU60は、ホストメモリ62の画像処理プログラム格納領域62cに格納されている画像処理プログラムを実行し、フレームメモリ61に書き込まれた画像データを定期的にホストメモリ62の画像メモリ領域62aに書き写すとともに、画像メモリ領域62a中に検査対象光学部材14全体に対応する画像データ(極座標データ)が合成された時点で、この画像データのうちシンボルマークが存在している可能性が高い領域を座標変換して第1作業メモリ領域62bに書き込む。そして、CPU60は、第1作業メモリ領域62bに格納されている画像データに不良要因と思しき領域(以下、「不良要因候補領域」という)が含まれるか否かを検出し、検出された各不良要因候補領域近傍毎に、マッチング画像とのパターンマッチングを行う。一方、CPU60は、画像メモリ領域62a内の画像データ(原画像データ)全体を再度座標変換して第2作業メモリ領域62cに書き込む。そして、CPU60は、パターンマッチングの結果、シンボルマークに起因すると認識された不要要因候補領域を、第2作業メモリ領域62cに書き込まれている画像データからマスクする。以上の後に、CPU60は、第2作業メモリ領域62c内の画像データに基づいて良否判定を行う。また、CPU60は、フレームメモリ61からの画像データ取り込みを行うのと同期して、モータ駆動回路63に対して、駆動電流を駆動モータ8に供給させる指示を行う。 <不良要因検出の原理>以上のように構成される光学部材検査装置において、図4の面内では、撮像レンズ4に入射して撮像素子5の各画素に入射し得る光は、撮像レンズ4の光軸lに沿った光線を主光線とする光束であり且つ図4に示される周縁光線m,m間を通る光のみである。この周縁光線m,mを逆方向に辿ると、検査対象光学部材14の表面において交差した後に、拡散板2に向かって拡がっている。そして、拡散板2上において、この周縁光線m,mの間が遮光板9によって遮られている。従って、図4に示すように、検査対象光学部材14における撮像素子5による撮像対象領域(撮像レンズ4に関して撮像素子5の画素列の受光面と共役な部位及び光軸方向におけるその近傍)に不良要因がないとすると、撮像素子5の各画素に入射する光はない。即ち、拡散板2の表面における遮光板9の側方箇所から拡散した光nは、検査対象光学部材14における撮像対象領域を透過するが、周縁光線m,mの外側を通るので、撮像レンズ4には入射しない。また、拡散板2の表面における遮光板9の側方箇所から拡散して検査対象光学部材14における撮像対象領域以外の箇所を透過した光は、撮像レンズ4に入射し得るが、撮像素子5の各画素上には収束されない。そのため、撮像装置3から出力される画像データは、検査対象光学部材14の外縁に対応する明部(側面での拡散光に因る)を除き、全域において暗くなっている。 【0035】これに対して、図2に示すように、検査対象光学部材14表面における撮像対象領域内にキズβ及びゴミγがある場合、図5に示すように、拡散板2の表面における遮光板9の側方箇所から拡散した光nがこれらキズβ及びゴミγに当たると、この光がこれらキズβ及びゴミγによって拡散される。この拡散光n’は、周縁光線m,mの交点を中心として発散するので、その一部は、撮像レンズ4を介して撮像素子5の画素上に入射する。従って、キズβ及びゴミγの像(周囲よりも明るい像)が撮像素子5の撮像面に形成される。 【0036】撮像素子5による撮像(電荷蓄積及び走査)は、駆動モータ8による検査対象光学部材14の回転と同期して、この検査対象光学部材14が所定角度だけ回転する毎に行われる。そして、撮像素子5による撮像(電荷蓄積及び走査)がなされる毎に、ライン状の画像データが、制御装置6のフレームメモリ61に書き込まれて、ホストメモリ62の画像メモリ領域62aに取り込まれる。その結果、検査対象光学部材14が回転するにつれて、画像メモリ領域62aの各行には、撮像装置3によって撮像された各ライン状画像データが、先頭行から順に書き込まれる。 【0037】検査対象光学部材14が1回転した時点でホストメモリ62の画像メモリ領域62aに格納されている画像データ(極座標データ)を、図6に示す。この画像データの横軸(x軸)は、検査対象光学部材14の中心(光軸)Oから半径方向への距離を示し、縦軸(y軸)は、中心Oから点αに至る半径を基準とした検査対象光学部材14の回転角を示す。なお、検査対象光学部材14表面においてシンボルマークを示す刻印が付される領域は、この検査対象光学部材14に対してコバ取りを施した後でもこの刻印が残るように、その中心O近傍における一定幅を有する環状領域内に限られる。この領域は、図6に示す画像メモリ領域62a内では、横軸方向(x座標)がx1乃至x2である帯状領域に対応する。従って、この帯状領域内に存在する不良要因候補領域のみが、刻印に起因するものである可能性を有しているのである。 【0038】CPU60は、上述したように、この画像メモリ領域62aに格納されている画像データ(原画像データ)に基づいて、検査対象光学部材14の良否判定を行う。具体的には、CPU60は、画像データ内の各不良要因候補領域のうち、刻印に起因するものをマスクし、それ以外を全て不良要因として確定する。そして、確定した全ての不良要因の図形的特徴量を数値化し、数値化された図形的特徴量が夫々に用意された判定閾値を超えたか否かに基づいて、検査対象光学部材14が良品であるか不良品であるかの判定を行うのである。 <パターンマッチングの原理>次に、本実施形態において第1作業メモリ領域62b上でCPU60が実行するパターンマッチングの原理を、図9の概念図に基づいて説明する。この図9は、図示を簡略化するために、刻印δの形状がマス型である場合における例を示している。即ち、検査対象光学部材14に形成された本来の刻印δの形状は、図9(d)に示すような形状をしているものとする。そして、この刻印δに対応して用意されるマッチング画像は、図9(e)に示すように、刻印δを構成する各線を夫々幅1ドットに細線化するとともに、その両端を欠落させた形状となっている。 【0039】図9(a)は、この刻印δを撮像することによって得られた不良要因候補領域(網掛けで示す高輝度画素群,即ち、周囲と輝度が異なる高コントラスト領域)近傍の画像データを示す。この図9(a)に示されるように、不良要因候補領域の形状は、本来の刻印δの形状そのものとはならず、若干かすれたものとならざるを得ない。この傾向は、特に、刻印δを構成する各線が角度をなして繋がる箇所(即ち、各線の両端近傍)において大きい。 【0040】CPU60は、図9(a)に示すような不良要因候補領域を含む様に、第1作業メモリ62bから画像データを切り出す。但し、この切り出しは大まかに行われるので、被検査画像の中央に不良要因候補領域が存在している保証はない。そこで、CPU60は、図9(b)及び図9(c)に示すように、切り出した画像データに対して、x軸方向及びy軸方向に夫々投影を行う。即ち、切り出した画像データに含まれる高輝度画素のうち同一のx座標の値を有するものの数を、各x座標の値毎に計数する。そして、計数した数のx軸方向における分布を、x軸上のグラフとしてまとめるのである。なお、このグラフを、「x投影された輝度分布情報」と定義する。同様に、切り出した画像データに含まれる高輝度画素のうち同一のy座標の値を有するものの数を、各y座標の値毎に計数する。そして、計数した数のy軸方向における分布を、y軸上のグラフとしてまとめるのである。なお、このグラフを、「y投影された輝度分布情報」と定義する。次に、CPU60は、x投影された輝度分布情報に基づいて高輝度領域のx座標の範囲を読み取るとともに、y投影された輝度分布情報に基づいて高輝度領域のy座標の範囲を読み取る。これにより、CPU60は、画像データ中における不良要因候補領域の範囲を見当付けることができる。 【0041】次に、CPU60は、見当付けた範囲に、図9(e)に示すマッチング画像を重ね合わせ、マッチング画像を構成する高輝度画素のうち、不良要因候補領域を構成する高輝度画素と重なっているものの数をカウントする。そして、マッチング画像を構成する高輝度画素の総数に対する不良要因候補領域と重なる画素数の割合(一致率)(マッチング画像の全面積に対して高コントラスト領域と重なる部分が占める割合)を、算出する。図9(f)の例では、マッチング画像を構成する高輝度画素の総数は12であり、その全てが不良要因候補領域と重なるので、一致率は12/12=100%となる。 【0042】このように、本実施形態によるパターンマッチングを用いれば、最初に画像データにマッチング画像を重ねるだけで、高い一致率を得ることが期待できる。但し、実際には、ノイズの影響により、高輝度領域の範囲にゆらぎが生じる場合もある。そのため、最初に画像データにマッチング画像を重ねたときの位置を起点として、x/y方向に+/−1ドットの範囲でマッチング画像をスキャンしつつ、マッチング(一致率の算出)を行う。 <制御処理>次に、上述した不良要因検出の原理及びパターンマッチングの原理に基づいた良否判定を行うために、画像処理プログラム格納領域62dから読み出した画像処理プログラムに従って制御装置6(CPU60)が実行する制御処理の内容を、図11及び図12のフローチャートを用いて説明する。 【0043】図11の制御処理は、制御装置6に接続された図示せぬ検査開始ボタンが押下されることによりスタートする。スタート後最初のS001では、CPU60は、モータ駆動回路63に対して駆動モータ8への駆動電流の供給を指示し、検査対象光学部材14を等速回転させる。 【0044】次のS002では、CPU60は、撮像装置3からフレームメモリ61に書き込まれた画像データを、ホストメモリ62の画像メモリ領域62aへ格納する。 【0045】次のS003では、CPU60は、S002での画像データの格納によって画像メモリ領域62a内に検査対象光学部材14全体に対応する画像データ(極座標データ)が合成されたかどうかをチェックする。そして、未だ検査対象光学部材14全体に対応する画像データ(極座標データ)が合成されていない場合には、処理をS002に戻し、撮像装置3が次の撮像による画像データをフレームメモリ61に書き込むのを待つ。これに対して、検査対象光学部材14全体に対応する画像データ(極座標データ)が合成された場合には、CPU60は、処理をS004に進める。 【0046】S004では、CPU60は、画像メモリ領域62a内の画像データを読み出し、これに対して座標変換(極座標−直交座標変換)を施した上で、第2作業メモリ領域62cに書き込む。 【0047】次のS005では、CPU60は、画像メモリ領域62a内の画像データのうちち、x座標値がx1乃至x2である帯状領域のみを読み出して、これに対してS004での処理と同様に座標変換を施した上で、第1作業メモリ領域62bに書き込む。これにより、第1作業メモリ領域62bには、環状に画像データが書き込まれるが、この環状部分以外の領域については、一様に、低輝度に相当する輝度値(黒に相当)が付与される。 【0048】次のS006では、CPU60は、第2作業メモリ領域62c中の画像データから刻印(シンボルマーク)に起因する不良要因候補領域をマスクするためのシンボルマーク除去処理を、実行する。図12は、このS006にて実行されるシンボルマーク除去処理サブルーチンを示すフローチャートである。 【0049】このサブルーチンに入って最初のS101では、CPU60は、シンボルマークの存在しうる領域をラベリングする。即ち、CPU60は、第1作業メモリ領域62bに格納されている画像データ中、特定の閾値を超える一連の画素からなる領域を不良要因候補領域として特定し、特定した各不良要因候補領域に対して、夫々一意の番号(ラベル)n(n=1,2,3,……)を付与する(領域特定手段に相当)。 【0050】次に、CPU60は、個々の不良要因候補領域についてシンボルマーク(刻印)に起因するものであるか否かをチェックするために、S102乃至S110のループ処理を実行する。このループ処理に入って最初のS102では、CPU60は、S101にて付与したラベルnの順に、不良要因候補領域を一つ特定する。 【0051】次のS103では、CPU60は、S102にて特定した不良要因候補領域がシンボルマーク(刻印)に起因する可能性のあるものであるか否かをチェックする。このチェックは、不良要因候補領域の面積が所定の閾値以上であるか否かに基づいて、行われる。ここでの閾値は、検査対象光学部材に対する最終的良否判定(S008)に際して個々の不良要因候補領域が無視可能な程小さいか否かを判定するために用いられるものと、同一値である。なぜならば、良否判定において無視される程小さい不良要因候補領域であれば、それが本来の不良要因に起因するものであるとシンボルマーク(刻印)に起因するものであるとに拘わらず、そのまま残しておいても最終的良否判定に影響を及ぼさないからである。そして、CPU60は、不良要因候補領域の面積が閾値未満であれば処理をS110に進め、閾値以上であれば処理をS104に進める。 【0052】次のS104では、CPU60は、S102にて特定した不良要因候補領域周辺の画像データを、第1作業メモリ領域62bから切り出す。 【0053】次のS105では、CPU60は、上述したように、S104にて切り出した画像データを、x軸方向及びy軸方向に夫々投影することによって、x投影された輝度分布情報及びy軸投影された輝度分布情報を、夫々獲得する。そして、x投影された輝度分布情報及びy投影された輝度分布情報に基づいて、高輝度領域の座標上の範囲を見当付け、パターンマッチングのスキャン開始位置を決定する。 【0054】次のS106では、CPU60は、S104にて切り出した画像データに対して二値化処理を行う(二値化手段に相当)。即ち、当該画像データを構成する各画素の輝度値について、所定の明るさに相当する閾値との比較を行い、この閾値よりも低ければ最低値(低輝度値,黒に相当)に書き換え、この閾値よりも高ければ最高値(高輝度値,白に相当)に書き換える。 【0055】次のS107では、CPU60は、S106での二値化によって高輝度値に書き換えられた一連の画素からなる不良要因候補領域に対して膨張処理を施す。即ち、低輝度値を有する画素のうち、高輝度値を有する画素に隣接するものについて、その輝度値を高輝度値に書き換える処理を行う。そして、このような書き換え処理を、不良要因候補領域の外縁が所定幅だけ外側に広がるように、数回にわたって繰り返す。 【0056】次のS108では、CPU60は、上述したパターンマッチングを、S106にて決定したスキャン開始位置から実行する。そして、このパターンマッチングの結果得られた各一致率の最高値を求める(パターンマッチング手段に相当)。 【0057】次のS109では、S108にて求めた一致率の最高値が所定の閾値を超えているか否かに基づき、S102にて特定した不良要因候補領域がシンボルマーク(刻印)に起因するものであるか否かをチェックする(比較手段に相当)。そして、CPU60は、一致率が前記所定の閾値以下である場合には、当該不良要因候補領域がシンボルマークに起因するものでないと判定して、処理をS110に進める。 【0058】S110では、CPU60は、S101にてラベリングされた全ての不良要因候補領域に対してS102以下の処理を実行完了しているかどうかをチェックする。そして、未だ全ての不良要因候補領域に対してS102以下の処理を実行完了していない場合には、CPU60は、処理をS102に戻す。 【0059】以上説明したS102乃至S110のループ処理を繰り返した結果、S109にて一致率が前記所定の閾値を超えていると認定された場合には、CPU60は、処理対象の不良要因候補領域がシンボルマークに起因するものであると判定して、処理をS111に進める。S111では、CPU60は、S107にて膨張処理を行った状態の画像データにおける各画素の輝度値を、図10に示すように反転させることにより、マスク画像を生成する。即ち、高輝度値(白に相当)を有していた画素の輝度値を低輝度値(黒に相当)、低輝度値(黒に相当)を有していた画素の輝度値を高輝度値(白に相当)に書き換える。CPU60は、このようにして生成したマスク画像と第2作業メモリ領域62c内の画像データとの論理積処理を実行することにより、この画像データ内においてマスク画像における低輝度値を有する画素と同じ座標に位置する画素の輝度値を低輝度値(黒に相当)に変換し、この画像データ内におけるシンボルマーク(刻印)に起因する不良要因候補領域を削除する(マスク手段に相当)。以上の後に、CPU60は、このサブルーチンを終了し、図11のメインルーチンに処理を戻す。 【0060】これに対して、S102乃至S110のループ処理を繰り返した結果、S109にて一致率が前記所定の閾値を超えていると認定される事無く、全ての不良要因候補領域に対してS102以下の処理を実行完了したとS110にて判定した場合には、CPU60は、このサブルーチンを終了し、図11のメインルーチンに処理を戻す。 【0061】処理が戻された図11のメインルーチンでは、CPU60は、次のS007において、シンボルマーク除去後の画像データに含まれる不良要因領域の図形的特徴量(面積,フィレ,等)を数値化する。 【0062】次のS008では、CPU60は、S007にて数値化された各図形的特徴量を夫々に用意された判定閾値と比較し、検査対象光学部材14が良品であるか不良品であるかの判定を行う(良否判定手段に相当)。この判定の結果、良品であると判定した場合には、CPU60は、S009において、当該検査対象光学部材14が良品である旨を外部出力(画像表示,音声出力)する。これに対して、判定結果が不良品を示している場合には、CPU60は、S010において、当該検査対象光学部材14が不良品である旨を外部出力(画像表示,音声出力)する。以上の後に、CPU60は、この制御処理を終了する。 <実施形態の作用>以上のように構成された本実施形態によると、マッチング処理において、マッチング画像自体の全画素数と、これらマッチング画像を構成する全画素のうち不良要因候補領域に重なるものの総数とが比較され、前者に対する後者の割合が所定の閾値を超えた場合に、当該不良要因候補領域がシンボルマーク(刻印)に起因するものと判断される。従って、マッチング画像をシンボルマーク(刻印)に起因する不良要因候補領域よりも小さくすれば、これによって一致率が低く算出されることがない反面、シンボルマーク(刻印)に起因する不良要因候補領域が多少かすれたり傾いていたとしても、一致率を高く算出することができる。 【0063】具体的には、本実施形態によると、マッチング処理対象の不良要因候補領域には、マッチング処理に先立って膨張処理が施される一方、マッチング画像は、本来のシンボルマークを構成する各線の骨格形状を細線化したしたものであるので、前者は後者に比して十分に太くなっている。従って、仮に検査対象光学部材14の表面においてシンボルマークを示す刻印が多少傾いて形成されたとしても、また、多少かすれた状態で撮像されたとしても、マッチング処理結果として高い一致率を得ることができる。また、マッチング画像は、本来のシンボルマークを構成する各線の両端が欠落した形状であるので、シンボルマークを示す刻印を撮像した結果、元々かすれやすいこれらの部分が画像データから消えてしまったとしても、マッチング処理結果として高い一致率を得ることができる。従って、シンボルマーク(刻印)に基づく不良要因候補領域を、確実に、画像データからマスクすることができる。 【0064】 【発明の効果】以上のように構成された本発明の光学部材検査装置によれば、光学部材の表面をけがくことによって形成された刻印に基づく画像データ中の高コントラスト領域に対して、有効にパターンマッチングを行うことによって、これを画像データから確実にマスクすることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000000527 【氏名又は名称】旭光学工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成10年6月29日(1998.6.29) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100098235 【弁理士】 【氏名又は名称】金井 英幸
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| 【公開番号】 |
特開2000−19058(P2000−19058A) |
| 【公開日】 |
平成12年1月21日(2000.1.21) |
| 【出願番号】 |
特願平10−183042 |
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