| 【発明の名称】 |
タイヤとホイールの組み付け方法及び組み付け装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】森口 金也
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| 【要約】 |
【課題】車両装着時の振動の原因となるリム組み付けタイヤのラジアルフォースバリエイションと重量アンバランスを修正する錘の量とを最適化するためのタイヤとホイールの組み付け方法を提供する。
【解決手段】タイヤとホイールを実際に組み付ける前に、それぞれの静的アンバランス(ベクトルSt,Sw)と偶力(ベクトルCt,Cw)を用いて、各組み付け位相における組み付けタイヤの動的アンバランスDUを算出するとともに、タイヤの半径方向の力の変動FVt及び縦ばね定数Koとホイールの半径方向の振れの変動Rvwを用いて、各組み付け位相における組み付けタイヤのRFVを算出し、この算出結果に基づきDUとRFVが所定の最適状態となる組み付け位相を導出し、導出された組み付け位相でタイヤとホイールを組み付ける。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】タイヤについて、その半径方向の力の変動、縦ばね定数、静的アンバランスの大きさ及びその周方向における位置、並びに偶力の大きさ及びその周方向における位置を検出するとともに、ホイールについて、その半径方向の振れの変動、静的アンバランスの大きさ及びその周方向における位置、並びに偶力の大きさ及びその周方向における位置を検出し、検出されたタイヤの半径方向の力の変動と縦ばね定数、及びホイールの半径方向の振れの変動を用いて、タイヤとホイールの組み付け位相を所定の角度ずつ変更させながら、各組み付け位相における組み付け状態でのラジアルフォースバリエイションを算出するとともに、検出されたタイヤとホイールの静的アンバランスの大きさ及び位置と偶力の大きさ及び位置を用いて、タイヤとホイールの組み付け位相を所定の角度ずつ変更させながら、各組み付け位相における組み付け状態での動的アンバランスを算出し、この算出結果に基づいてラジアルフォースバリエイションと動的アンバランスが所定の最適状態となる組み付け位相を導出し、この導出された組み付け位相でタイヤをホイールのリムに組み付けることを特徴とするタイヤとホイールの組み付け方法。 【請求項2】組み付け位相の導出に際し、リム組み付けタイヤの動的アンバランスの大きさを所定の値以下に制限した下でラジアルフォースバリエイションの大きさが最小となるときの位相を、組み付け位相に決定することを特徴とする請求項1記載の組み付け方法。 【請求項3】組み付け位相の導出に際し、リム組み付けタイヤのラジアルフォースバリエイションの大きさを所定の値以下に制限した下で動的アンバランスの大きさが最小となるときの位相を、組み付け位相に決定することを特徴とする請求項1記載の組み付け方法。 【請求項4】タイヤをホイールに組み付けた後に、動的アンバランスの上記算出結果に基づいて、ホイールのリム端面周上に修正錘を付けることを特徴とする請求項1記載の組み付け方法。 【請求項5】タイヤについて、その半径方向の力の変動、縦ばね定数、静的アンバランスの大きさ及びその周方向における位置、並びに偶力の大きさ及びその周方向における位置を検出するタイヤデータ検出手段と、ホイールについて、その半径方向の振れの変動、静的アンバランスの大きさ及びその周方向における位置、並びに偶力の大きさ及びその周方向における位置を検出するホイールデータ検出手段と、検出されたタイヤの半径方向の力の変動と縦ばね定数、及びホイールの半径方向の振れの変動を用いて、タイヤとホイールの組み付け位相を所定の角度ずつ変更させながら、各組み付け位相における組み付け状態でのラジアルフォースバリエイションを算出するとともに、検出されたタイヤとホイールの静的アンバランスの大きさ及び位置と偶力の大きさ及び位置を用いて、タイヤとホイールの組み付け位相を所定の角度ずつ変更させながら、各組み付け位相における組み付け状態での動的アンバランスを算出する算出手段と、この算出結果に基づいてラジアルフォースバリエイションと動的アンバランスが所定の最適状態となる組み付け位相を導出する組み付け位相導出手段と、この導出された組み付け位相でタイヤをホイールのリムに組み付ける組み付け手段とを備えることを特徴とするタイヤとホイールの組み付け装置。 【請求項6】前記最適状態を指定する最適状態指定手段を備え、この最適状態指定手段が、下記■又は■の最適状態の中からいずれか1つを指定するよう構成されていることを特徴とする請求項5記載の組み付け装置。 ■ リム組み付けタイヤの動的アンバランスの大きさを所定の値以下に制限した下でラジアルフォースバリエイションの大きさが最小となる状態。 ■ リム組み付けタイヤのラジアルフォースバリエイションの大きさを所定の値以下に制限した下で動的アンバランスの大きさが最小となる状態。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、車両装着時の振動の原因となるリム組み付けタイヤのラジアルフォースバリエイションと重量アンバランスを修正する錘の量とを最適化するための、タイヤとホイールの組み付け方法に関する。 【0002】 【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】一般に、リム組み付けタイヤに重量アンバランスがあると、車両装着時における振動の原因となる。そのため、従来、かかる重量アンバランスを低減するために、タイヤをホイールのリムに組み付ける際に、タイヤの軽点マーク(タイヤが周方向でどこが軽いかを示すマーク)とホイールのバルブ位置とを合わせて組み付けることがある。この場合、組み付け後に、リム組み付けタイヤの重量アンバランスを測定し、ホイールのリム周面上にこの重量アンバランスを打ち消すための修正錘を付けることで、重量アンバランスをなくすことができる。 【0003】しかしながら、ホイールのバルブ位置が必ずしも質量の重い点であるとは限らず、また、そうであったとしても、静的アンバランスは最小化されるが動的アンバランスは最適化されないため、大きな修正錘を必要とする場合がある。このような大きな修正錘は、コストの上昇につながるのみならず、外観上の見栄えを損なうことにもなる。 【0004】一方、タイヤは、ユニフォーミティと呼ばれるその不均一性により、たわみ一定で転動させた際、半径方向に作用する力が変動する。この半径方向の力の変動の最大値と最小値の差は、ラジアルフォースバリエーション(RFV)と呼ばれ、タイヤをホイールに組み付けたリム組み付けタイヤにおいて、このRFVが大きいと、車両走行時に振動が発生してしまう。 【0005】このRFVは、上記の重量アンバランスのように組み付け後に修正錘などで打ち消すことができないため、結局、従来は、まずリム組み付けタイヤのRFVを低減するために、タイヤのRFVをホイールの半径方向の振れであるラジアルランアウト(RRO)で打ち消すように組み付け、組み付け後に重量アンバランスを測定して、この重量アンバランスを修正錘により修正することが、一般的になされている。 【0006】しかしながら、この組み付け方法では、リム組み付けタイヤのRFVは小さくなるが、重量アンバランスを修正するための錘の量が大きくなってしまうことがあり、外観及びコストの面で問題がある。 【0007】そこで、本発明は、車両装着時の振動の原因となるリム組み付けタイヤのRFVと重量アンバランスを修正する錘の量とを最適化するためのタイヤとホイールの組み付け方法及び組み付け装置を提供することを目的とする。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明のタイヤとホイールの組み付け方法は、タイヤについて、その半径方向の力の変動、縦ばね定数、静的アンバランスの大きさ及びその周方向における位置、並びに偶力の大きさ及びその周方向における位置を検出するとともに、ホイールについて、その半径方向の振れの変動、静的アンバランスの大きさ及びその周方向における位置、並びに偶力の大きさ及びその周方向における位置を検出し、検出されたタイヤの半径方向の力の変動と縦ばね定数、及びホイールの半径方向の振れの変動を用いて、タイヤとホイールの組み付け位相を所定の角度ずつ変更させながら、各組み付け位相における組み付け状態でのラジアルフォースバリエイション(以下、RFVという。)を算出するとともに、検出されたタイヤとホイールの静的アンバランスの大きさ及び位置と偶力の大きさ及び位置を用いて、タイヤとホイールの組み付け位相を所定の角度ずつ変更させながら、各組み付け位相における組み付け状態での動的アンバランスを算出し、この算出結果に基づいてRFVと動的アンバランスが所定の最適状態となる組み付け位相を導出し、この導出された組み付け位相でタイヤをホイールのリムに組み付けることを特徴とする。 【0009】本発明のタイヤとホイールの組み付け装置は、タイヤについて、その半径方向の力の変動、縦ばね定数、静的アンバランスの大きさ及びその周方向における位置、並びに偶力の大きさ及びその周方向における位置を検出するタイヤデータ検出手段と、ホイールについて、その半径方向の振れの変動、静的アンバランスの大きさ及びその周方向における位置、並びに偶力の大きさ及びその周方向における位置を検出するホイールデータ検出手段と、検出されたタイヤの半径方向の力の変動と縦ばね定数、及びホイールの半径方向の振れの変動を用いて、タイヤとホイールの組み付け位相を所定の角度ずつ変更させながら、各組み付け位相における組み付け状態でのRFVを算出するとともに、検出されたタイヤとホイールの静的アンバランスの大きさ及び位置と偶力の大きさ及び位置を用いて、タイヤとホイールの組み付け位相を所定の角度ずつ変更させながら、各組み付け位相における組み付け状態での動的アンバランスを算出する算出手段と、この算出結果に基づいてRFVと動的アンバランスが所定の最適状態となる組み付け位相を導出する組み付け位相導出手段と、この導出された組み付け位相でタイヤをホイールのリムに組み付ける組み付け手段とを備えることを特徴とする。 【0010】本発明によれば、タイヤとホイールを実際に組み付ける前に、各組み付け位相における組み付けタイヤのRFVと動的アンバランスを同時にシュミレートし、その結果に基いて組み付け位相を決定するので、RFVと動的アンバランスの双方を最適化した状態にて組み付けることができる。そのため、RFVに起因する振動の発生を抑えつつ、修正錘をできるだけ小さくして外観やコスト性を高めることができる。 【0011】請求項2の組み付け方法は、上記組み付け位相の導出に際し、リム組み付けタイヤの動的アンバランスの大きさを所定の値以下に制限した下でRFVの大きさが最小となるときの位相を、組み付け位相に決定することを特徴とする。 【0012】この場合、修正錘による外観やコスト面での性能を所定レベルに保証しつつ、RFVに起因する振動の発生を最小に抑えることができる。 【0013】請求項3の組み付け方法は、上記組み付け位相の導出に際し、リム組み付けタイヤのRFVの大きさを所定の値以下に制限した下で動的アンバランスの大きさが最小となるときの位相を、組み付け位相に決定することを特徴とする。 【0014】この場合、RFVに起因して発生する振動のレベルを所定以下に保証しつつ、修正錘による外観やコスト面での性能を高めることができる。 【0015】請求項4の組み付け方法は、上記タイヤをホイールに組み付けた後に、動的アンバランスの上記算出結果に基づいて、ホイールのリム端面周上に修正錘を付けることを特徴とする。 【0016】請求項4の方法であると、リム組み付け後に動的アンバランスを測定する手間を省くことができる。 【0017】請求項6の組み付け装置は、上記最適状態を指定する最適状態指定手段を備え、この最適状態指定手段が、下記■又は■の最適状態の中からいずれか1つを指定するよう構成されていることを特徴とする。 【0018】■ リム組み付けタイヤの動的アンバランスの大きさを所定の値以下に制限した下でRFVの大きさが最小となる状態。 【0019】■ リム組み付けタイヤのRFVの大きさを所定の値以下に制限した下で動的アンバランスの大きさが最小となる状態。 【0020】 【発明の実施の形態】まず、本発明の基礎となる事項について説明する。 【0021】静的アンバランスと動的アンバランスと偶力について図17,18を参照して説明する。 【0022】タイヤにある重量アンバランスがあると、これによりタイヤには力F1とモーメントMが生じる。この力F1とモーメントMは、アンバランス質量をm、アンバランス質点の半径をr、タイヤ中心面(タイヤの軸方向中心を通り、当該軸に直交する面)からのアンバランス質点の距離をl、角速度をωとすると、下記式(1)、(2)で表される。 【0023】F1=mrω2 (1) M=mrω2 l (2) これにより、タイヤ固有の値として、静的アンバランスSUtと偶力Ctが、下記式(3)、(4)で与えられる。 【0024】SUt=mr (3) Ct=mrl/r0 l0 (4) (ここで、r0 は設定リム半径、l0 は設定リム幅の1/2である。) 静的アンバランスSUtは、タイヤ静止時に周方向のどこが重いかという重量アンバランスであり、下記式(5)によりリム周面上におけるベクトル量Stに換算される。 【0025】 St=SUt/(2r0 )=mr/(2r0 ) (5) また、偶力Ctは、タイヤ回転時にその径方向に作用する力であって互いに平行で大きさが等しく反対向きに作用する力であり、リム両端面周上に存在するベクトル量として定義される。従って、車両装着時に外側に配されるタイヤ外面側の偶力ベクトルCtoと、内側に配されるタイヤ内面側の偶力ベクトルCtiは、下記式(6)の関係にある。 【0026】 ベクトルCto=−ベクトルCti (6) 以上から、タイヤを回転させてはじめて発生する重量アンバランスであるタイヤの動的アンバランスDUtは、下記式(7)、(8)で求められる。 【0027】 ベクトルDUto=ベクトルSt+ベクトルCto (7) ベクトルDUti=ベクトルSt+ベクトルCti (8) ここで、ベクトルDutoは、リム端面周上におけるタイヤ外面側に存在する動的アンバランスであり、ベクトルDUtiは、リム端面周上におけるタイヤ内面側に存在する動的アンバランスである。 【0028】これら静的アンバランス、偶力、動的アンバランスの関係を図示すると、図17、図18のようになる。 【0029】図17は、これらの関係を立体的に表したものであり、図18は平面的に表したものである。図17において、符号10はリムの外側の端面を、符号12はリムの内側の端面を、符号14はリム両端面10,12に平行でかつタイヤ軸方向の中心点Oを通るリム中心面をそれぞれ示している。 【0030】静的アンバランスSUtは、リム中心面14の円周上におけるある位置にベクトル量Stとして存在する。偶力Ctは、タイヤ外面側の偶力Ctoがリム外側端面10における円周上に静的アンバランスStとある位相差で存在し、タイヤ内面側の偶力Ctiがリム内側端面12における円周上に外面側の偶力Ctoと180degの位相差で存在している。そして、静的アンバランスのベクトルStとタイヤ外面側の偶力ベクトルCtoとの合成ベクトルである動的アンバランスのタイヤ外面側のベクトルDUtoがリム外側端面10の円周上に存在し、ベクトルStとタイヤ内面側の偶力ベクトルCtiとの合成ベクトルである動的アンバランスのタイヤ内面側のベクトルDUtiがリム内側端面12の円周上に存在する。 【0031】なお、図17において各ベクトルの円は、それぞれのベクトルの大きさを示している。また、Wtoは、外側の動的アンバランスDUtoを打ち消すために要する修正錘の位置及び大きさを示しており、Wtiは、内側の動的アンバランスDUtiを打ち消すために要する修正錘の位置及び大きさを示している。 【0032】以上説明したタイヤに関する重量アンバランスの関係は、ホイールにおいても同様に定義される。すなわち、ホイールの静的アンバランスSUwのリム周上におけるベクトル量Sw、ホイールの偶力Cwo,Cwi、ホイールの動的アンバランスDUwo,DUwiは、それぞれ図17、図18におけるタイヤの各ベクトルSt,Cto,Cti,DUto,DUtiに対応している。これらホイールの各ベクトルとタイヤの各ベクトルは、同一リム周上における位置(即ち、タイヤ回転軸からの距離(r0 )が一定の周面上における位置)及び大きさで定められている。 【0033】次に、RFVについて説明する。 【0034】タイヤをたわみ一定で転動させたとき、その半径方向に作用する力F2は、下記式(9)で表される。 【0035】 F2=(Ko+Kv)・(Ro+Rvt) (9) ここで、Koは、タイヤの縦ばね定数(定常分)であり、タイヤ剛性試験機により測定される。Kvは、タイヤの縦ばね定数の変動分である。Roは、タイヤのたわみ量(定常分)であり、ユニフォミティ測定機により測定される。Rvtは、タイヤのたわみ変動量(半径方向の振れ)、即ちラジアルランアウト(RRO)であり、変位計により測定される。 【0036】上記式(9)を展開すると、F2=Ko・Ro+Ko・Rvt+Kv・Ro+Kv・Rvtとなる。ここで、第1項Ko・Roは定常分であり、第2項以降が半径方向の力の変動分FVtとなるが、第4項は変動分同士の積で小さいので無視すると、タイヤの半径方向の力の変動分FVtは、下記式(10)で表される。 【0037】 FVt=Ko・Rvt+Kv・Ro (10) ホイールのRROである半径方向の振れは変位計により測定されるが、このホイールの半径方向の振れをRvwとすると、タイヤとホイールの組み付け状態における半径方向の力の変動分FVは、式(10)より、下記式(11)で与えられる。 【0038】 FV=Ko・(Rvt+Rvw)+Kv・Ro =FVt+Ko・Rvw (11) この式(11)より、タイヤの半径方向の力の変動FVt(ユニフォーミティ測定機で測定可)と、タイヤの縦ばね定数Koと、ホイールの半径方向の振れの変動Rvwが与えられれば、組み付け状態での半径方向の力の変動FVが求められる。ここで、タイヤとホイールの組み付け状態におけるRFVは、上記FVの最大値と最小値の差として与えられるので、式(11)によりFVを算出することで、組み付け状態でのRFVを算出することができる。 【0039】なお、上記式(10)より、Kvは下記式(12)で与えられる。 【0040】 Kv=(FVt−Ko・Rvt)/Ro (12) 上述したように、FVtとRoはユニフォミティ測定機により、Koはタイヤ剛性試験機により、Rvtは変位計によりそれぞれ計測できるので、上記式(12)からKvが求まる。そのため、これらの値と、変位計により計測されるホイールの半径方向の振れRvwとを用いて、下記式(13)により、タイヤとホイールの組み付け状態における半径方向の力の変動分FVを求めてもよい。 【0041】 FV=Ko・(Rvt+Rvw)+Kv・Ro (13) なお、タイヤの半径方向の力の変動FVtは、図19に示すような測定データとして与えられる。図19において、グラフの実線は高次成分も含んだ波形そのものを示しており、グラフの点線はそれをフーリエ解析した1次成分である1次ハーモニックの波形を示している。タイヤのRFVの大きさは、波形そのもののデータを用いた場合はグラフ中のAとして、1次ハーモニックの波形を用いた場合はBとして求められる。RFVの位相は、FVtが最大値をとるときの位相であり、波形そのものの場合はaとして、1次ハーモニックの場合はbとして求められる。本発明においては、波形そのものを用いても、1次ハーモニックを用いても、あるいは、1次と2次の合成波形等、1次から数次の合成波形を用いてもよい。ホイールの半径方向の振れRvwについても同様である。以下に説明する実施形態では1次ハーモニックを用いている。なお、ホイールの半径方向の振れRvwについては、内側と外側の双方について波形が得られるが、通常その平均値を用いればよく、以下の実施形態でも平均値を用いている。 【0042】以下に、本発明の実施形態に係るタイヤとホイールの組み付け方法を図1,2に基づいて説明する。 【0043】図1は、本発明の一実施形態におけるタイヤとホイールの組み付け方法のフローチャートであり、図2は、同組み付け方法によりタイヤとホイールを組み付ける組み付け装置のブロック図である。 【0044】(1)まず、タイヤデータ検出手段20により、タイヤについて、その半径方向の力の変動FVt、縦ばね定数Ko、ベクトルSt(静的アンバランスSUtのリム周上におけるベクトル量Stの大きさ及びリム周上における位置(位相))及びベクトルCt(偶力Ctの大きさ及びリム端面周上における位置(位相))を検出する。 【0045】また、ホイールデータ検出手段22により、ホイールについて、その半径方向の振れの変動Rvw、ベクトルSw(静的アンバランスSUwのリム周上におけるベクトル量Swの大きさ及びリム周上における位置(位相))及びベクトルCw(偶力Cwの大きさ及びリム端面周上における位置(位相))を検出する。 【0046】検出には、(a)組み付け装置に設けられた計測手段によりタイヤとホイールについて各々単体で計測する方法、(b)予めタイヤとホイールにバーコード又はそれに類する情報表示手段により計測値を付しておき、組み付け装置の読み取り手段によりこの情報を読み取る方法、(c)電子メディアにより転送されたデータを読み取る方法などがある。 【0047】ここで、静的アンバランスと偶力については、タイヤとホイールのそれぞれについて、まず、動的アンバランスDUt,DUwの大きさ及びリム端面周上における位置(位相)を検出し、これからそれぞれの静的アンバランス(ベクトルSt,Sw)と偶力(ベクトルCt,Cw)を算出することもできる。算出は、タイヤであれば下記式(14),(15)を用いて、ホイールについても同様の式を用いて行なう。 【0048】 ベクトルSt=(ベクトルDUto+ベクトルDUti)/2 (14) ベクトルCt=(ベクトルDUto−ベクトルDUti)/2 (15) (2)次に、算出手段24により、上記タイヤとホイールの静的アンバランス(ベクトルSt,ベクトルSw)及び偶力(ベクトルCt,ベクトルCw)を用いて、タイヤとホイールの組み付け位相を所定の角度ずつ変更させながら、各組み付け位相における組み付け状態での動的アンバランスDUを算出するとともに、タイヤの半径方向の力の変動FVtと縦ばね定数Ko、及びホイールの半径方向の振れの変動Rvwを用いて、タイヤとホイールの組み付け位相を所定の角度ずつ変更させながら、各組み付け位相における組み付け状態でのRFVを算出する。 【0049】動的アンバランス(リム組み付けタイヤの外面側の動的アンバランスDUo,内面側の動的アンバランスDUi)の算出は、組み付け状態での静的アンバランスをベクトルS、偶力をベクトルCとして、下記式(16)〜(19)により演算することができる。 【0050】 ベクトルS=ベクトルSt+ベクトルSw (16) ベクトルC=ベクトルCt+ベクトルCw (17) ベクトルDUo=ベクトルS+ベクトルC (18) ベクトルDUi=ベクトルS−ベクトルC (19) 具体的には、タイヤとホイールの静的アンバランスSUの位相をそれぞれ基準点(0deg)として、まず、両者の基準点同士を合わせて組み付けたとした場合(0deg合わせ)の動的アンバランスDUを算出する。次いで、タイヤの位相を固定したままホイールの位相を5deg進めて組み付けたとした場合(位相差5deg)の動的アンバランスDUを算出する。このようにしてホイールの位相を順次5degずつ進めて動的アンバランスDUを算出していき、全周(位相差0〜360deg)にて各組み付け位相における動的アンバランスDUを算出する。 【0051】RFVの算出は、上記式(11)を用いてなされる。具体的には、タイヤとホイールの静的アンバランスSUの位相をそれぞれ基準点(0deg)として、まず、両者の基準点同士を合わせて組み付けたとした場合(0deg合わせ)の半径方向の力の変動FVを算出し、その最大値と最小値の差をとってRFVを求める。次いで、タイヤの位相を固定したままホイールの位相を5deg進めて組み付けたとした場合(位相差5deg)のRFVを算出する。このようにしてホイールの位相を順次5degずつ進めてRFVを算出していき、全周(位相差0〜360deg)にて各組み付け位相におけるRFVを算出する。 【0052】(3)次いで、組み付け位相導出手段26において、上記(2)の算出結果に基づき、動的アンバランスDUとRFVとが予め指定された最適状態となる組み付け位相を導出する。 【0053】最適状態としては以下の■及び■が挙げられる。これらは、ユーザーが、振動の発生と修正錘による外観・コスト性とのいずれを重視するかによって、最適状態指定手段28により上記(1)の検出前に予め指定しておくようになっている。 【0054】■ リム組み付けタイヤの外側の動的アンバランスDUoの大きさを所定の値(例えば44g)以下に制限した下でRFVの大きさが最小となる状態。 【0055】■ リム組み付けタイヤのRFVの大きさを所定の値(例えば55N)以下に制限した下で外側の動的アンバランスDUoの大きさが最小となる状態。 【0056】■の最適状態における位相差を組み付け位相として決定すると、外側の修正錘Woの大きさを限度値以下に規制しつつRFVの大きさを最小にすることができるので、外観性能を所定レベルに保証しつつ、RFVに起因する振動の発生を最小に抑えることができる。 【0057】■の最適状態における位相差を組み付け位相として決定すると、RFVに起因して発生する振動のレベルを所定以下に保証しつつ、修正錘による外観性能を高めることができる。 【0058】なお、上記■及び■においては、動的アンバランスとして、外側DUoを対象としているが、内側の動的アンバランスDUiを対象としてもよく、また、両者の合計(DUo+DUi)を対象としてもよい。両者の合計(DUo+DUi)を対象とすると、修正錘の合計量を最適化することができ、特にコスト面で優れる。 【0059】また、RFVの値によらず動的アンバランスDUのみを最小にするモードや、動的アンバランスDUの値によらずRFVの大きさのみを最小にするモードを、上記■及び■に加えて設けてもよい。 【0060】(4)その後、組み付け手段30を用いて、上記(3)で導出された組み付け位相にてタイヤをホイールのリムに組み付ける。 【0061】すなわち、(3)で導出された組み付け位相となるように、タイヤに対してホイールを当該位相差に対応する角度だけ回転させて組み付ける。 【0062】(5)タイヤをホイールに組み付けた後に、ホイールのリム両端面10,12周上に修正錘Wo,Wiを付ける。 【0063】修正錘Wo,Wiは、リム組み付けタイヤの動的アンバランスDUo,DUiを打ち消すように、それぞれ対角線上の相対する位置(位相差180degの位置)に付する。 【0064】修正錘Wo,Wiの位置及び大きさは、(a)上記(2)で算出した動的アンバランスDUo,DUiの位置及び大きさから求めてもよく、また、(b)組み付け後にリム組み付けタイヤの動的アンバランスの位置及び大きさを計測して求めてもよい。但し、上記(a)によれば、リム組み付け後に動的アンバランスを測定する手間を省くことができるという利点がある。 【0065】以下、具体例を挙げて説明する。 【0066】以下に示すタイヤT−1とホイールW−1を組み付ける場合について説明する。 【0067】[タイヤT−1] サイズ:215/60R16 95H静的アンバランスSUt=0.8kg−cm偶力Ct=29g静的アンバランスSUtに対する偶力Ctoの位相差=290deg半径方向の力の変動FVt(1次ハーモニック波形):図6(a) タイヤのRFV=50N静的アンバランスSUtに対するタイヤのRFVの位相差=51deg縦ばね定数Ko=218N/mm[ホイールW−1] サイズ:16”(設定リム半径r0 =20.32cm) 静的アンバランスSUw=0.71kg−cm偶力Cw=19g静的アンバランスSUwに対する偶力Cwoの位相差=325deg半径方向の振れの変動Rvw(1次ハーモニック波形):図6(b) Rvwの最大値と最小値の差=0.210mm静的アンバランスSUwに対するRvw(最大値)の位相差=253deg。 【0068】なお、タイヤT−1とホイールW−1の静的アンバランスSt,Sw、偶力Ct,Cw及び動的アンバランスDUt,DUwの関係は、それぞれ図7(a)及び(b)に示す通りである。 【0069】このタイヤT−1とホイールW−1を組み付ける場合、上記(2)で、タイヤT−1の位相に対しホイールW−1の位相を5degずつずらして、各組み付け位相における動的アンバランスDUo,DUiの大きさ及び位相(タイヤの0degに対する動的アンバランスの位相差)を算出すると、図3に示す関係が得られる。図3に示すように、組み付け状態の外側の動的アンバランスDUoは、タイヤT−1とホイールW−1の位相差が158degのとき(点P1のとき)に最小となり、その効果代は約70gである。 【0070】上記(2)で、タイヤT−1の位相に対しホイールW−1の位相を5degずつずらして、各組み付け位相におけるRFVの大きさ及び位相(タイヤの0degに対するRFVの位相差)を算出すると、図4に示す関係が得られる。図4に示すように、組み付け状態のRFVは、タイヤT−1とホイールW−1の位相差が338degのとき(点P2のとき)に最小となり、その効果代は約92Nである。 【0071】この場合、上記(3)で最適状態■が指定されていると、図5に示すように、タイヤT−1とホイールW−1の位相差が84degのとき(点P3のとき)に、外側の動的アンバランスDUo=44g、RFV=77Nとなって最適化される。そのため、位相差=84degが組み付け位相に決定され、同位相差にて組み付けると、図7(c)に示すように、外側の動的アンバランスDUo=44g、内側の動的アンバランスDUi=30gとなり、このときの動的アンバランスのタイヤ基準点に対する位相は、外側DUoが6deg、内側のDUiが92degとなる。これらの値は図3のグラフから読み取ることができる。 【0072】そして、組み付け後、図8に示すように、ホイールのリム両端面10,12円周上に動的アンバランスDUo,DUiを打ち消す修正錘Wo,Wiを付ける。詳細には、リムの外側端面10の円周上においては、外側の動的アンバランスDUoの対角線上に相対する位置(タイヤ基準点から186deg)に、DUoと同じ大きさの44gの修正錘Woを付け、リムの内側端面12の円周上においては、内側の動的アンバランスDUiの対角線上に相対する位置(タイヤ基準点から272deg)に、DUiと同じ大きさの30gの修正錘Wiを付ける。 【0073】上記(3)で最適状態■が指定されている場合、図5に示すように、タイヤT−1とホイールW−1の位相差が45degのとき(点P4のとき)に、外側の動的アンバランスDUo=62g、RFV=53Nとなって最適化される。そのため、位相差=45degが組み付け位相に決定される。図3のグラフより、この組み付け位相における外側の動的アンバランスDUo=62g(位相=−11deg)、内側の動的アンバランスDUi=36g(位相=85deg)であるので、組み付け後に付ける修正錘は、外側Wo=62g(位相=169deg)、内側Wi=36g(位相=265deg)である。 【0074】図9(a)は、タイヤT−1における静的アンバランスSUtに対するRFVの位相差と、ホイールW−1における静的アンバランスSUwに対するRvw(最大値)の位相差とを様々に変更した場合における、最適化した場合と最適化しなかった場合との動的アンバランスDUoの差の最大値を示したものであり、図9(b)は、同RFVの差の最大値を示したものである。最適化は上記最適状態■によるものである。 【0075】図10(a)及び(b)は、上記最適状態■について、図9(a)及び(b)と同様の関係を示したものである。 【0076】図9,10に示すように、静的アンバランスSUtに対するRFVの位相差と、静的アンバランスSUwに対するRvwの位相差との関係により差異はあるものの、組み付け状態における動的アンバランスDUoとRFVの双方を低減するという点に関し、ある一定以上の効果が期待でき、実用性があることが分かる。 【0077】次に、以下に示すタイヤT−2とホイールW−2を組み付ける場合について説明する。 【0078】[タイヤT−2] サイズ:215/60R16 95H静的アンバランスSUt=0.3kg−cm偶力Ct=6g静的アンバランスSUtに対する偶力Ctoの位相差=50deg半径方向の力の変動FVt(1次ハーモニック波形):図14(a) タイヤのRFV=32N静的アンバランスSUtに対するタイヤのRFVの位相差=253deg縦ばね定数Ko=218N/mm[ホイールW−1] サイズ:16”(設定リム半径r0 =20.32cm) 静的アンバランスSUw=0.24kg−cm偶力Cw=12g静的アンバランスSUwに対する偶力Cwoの位相差=15deg半径方向の振れの変動Rvw(1次ハーモニック波形):図14(b) Rvwの最大値と最小値の差=0.105mm静的アンバランスSUwに対するRvw(最大値)の位相差=253deg。 【0079】このタイヤT−2とホイールW−2を組み付ける場合、上記(2)で、タイヤT−2の位相に対しホイールW−2の位相を5degずつずらして、各組み付け位相における動的アンバランスDUo,DUiの大きさ及び位相を算出すると、図11に示す関係が得られる。図11に示すように、組み付け状態の外側の動的アンバランスDUoは、位相差が191degのとき(点P5のとき)に最小となり、その効果代は約24gである。 【0080】上記(2)で、タイヤT−2の位相に対しホイールW−2の位相を5degずつずらして、各組み付け位相におけるRFVの大きさ及び位相を算出すると、図12に示す関係が得られる。図12に示すように、組み付け状態のRFVは、位相差が180degのとき(点P6のとき)に最小となり、その効果代は約46Nである。 【0081】この場合、上記(3)で最適状態■が指定されていると、図13に示すように、タイヤT−2とホイールW−2の位相差が180degのとき(点P7のとき)に、外側の動的アンバランスDUo=6g、RFV=9Nとなって最適化される。そのため、位相差=180degが組み付け位相に決定される。図11のグラフより、この組み付け位相における外側の動的アンバランスDUo=6g(位相=166deg)、内側の動的アンバランスDUi=9g(位相=−10deg)であるので、組み付け後に付ける修正錘は、外側Wo=6g(位相=346deg)、内側Wi=9g(位相=170deg)である。 【0082】上記(3)で最適状態■が指定されている場合、図13に示すように、タイヤT−2とホイールW−2の位相差が191degのとき(点P8のとき)に、外側の動的アンバランスDUo=5g、RFV=11Nとなって最適化される。そのため、位相差=191degが組み付け位相に決定される。図11のグラフより、この組み付け位相における外側の動的アンバランスDUo=5g(位相=−160deg)、内側の動的アンバランスDUi=8g(位相=−4deg)であるので、組み付け後に付ける修正錘は、外側Wo=5g(位相=20deg)、内側Wi=8g(位相=176deg)である。 【0083】図15(a)は、タイヤT−2における静的アンバランスSUtに対するRFVの位相差と、ホイールW−2における静的アンバランスSUwに対するRvw(最大値)の位相差とを様々に変更した場合における、最適化した場合と最適化しなかった場合との動的アンバランスDUoの差の最大値を示したものであり、図15(b)は、同RFVの差の最大値を示したものである。最適化は上記最適状態■によるものである。 【0084】図16(a)及び(b)は、上記最適状態■について、図15(a)及び(b)と同様の関係を示したものである。 【0085】図15,16に示すように、タイヤT−2とホイールW−2との組み合わせの場合、上述したタイヤT−1とホイールW−1との組み合わせの場合と異なり、動的アンバランスDUoもRFVも設定値を超える組み付け状態となることがないため、図15の場合であればDUoに関係なくRFVの大きさのみを最適化する場合と同じ結果となり、図16の場合であればRFVに関係なくDUoのみを最適化する場合と同じ結果となる。そのため、このタイヤT−2とホイールW−2との組み合わせでは、RFVとDUoのいずれか一方のみが最適化されているとも言える。しかし、上述した最適状態■,■による組み付け方法を適用しているため、みかけ上では最適化されていないもう一方(即ち、最適状態■(図15)ではDUo、最適状態■(図16)ではRFV)も、所定の値以下であって、問題となるレベルにはないことが保証されている点で意義がある。 【0086】 【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、タイヤとホイールを実際に組み付ける前に、各組み付け位相における組み付けタイヤのRFVと動的アンバランスを同時にシュミレートし、その結果に基いて組み付け位相を決定するので、RFVと動的アンバランスの双方の要求特性を満たす状態にて組み付けることができる。そのため、RFVに起因する振動の発生を抑えつつ、修正錘をできるだけ小さくして外観やコスト性を高めることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003148 【氏名又は名称】東洋ゴム工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成10年7月2日(1998.7.2) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100059225 【弁理士】 【氏名又は名称】蔦田 璋子 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2000−19050(P2000−19050A) |
| 【公開日】 |
平成12年1月21日(2000.1.21) |
| 【出願番号】 |
特願平10−187753 |
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