| 【発明の名称】 |
圧力検出器及びその製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】坂井 一則
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| 【要約】 |
【課題】ケース体の設計を複雑にしたり、構成部品を増やしたりすることなく、圧力伝達媒体の熱膨張によるオフセット電圧温度特性の温度補償を可能とする圧力検出器及びその製造方法を提供する。
【解決手段】シリコンオイル(圧力伝達媒体)8の熱膨張によって発生する凹部1a内の圧力変化によるオフセット電圧誤差を、圧力センサ4の半導体圧力チップ3とガラス台座2との間に形成される圧力基準室Rにおける内気の熱膨張により抑制する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 半導体圧力チップをガラス台座上に配設してなる圧力センサを凹部内に配設し、前記凹部内を満たすように圧力伝達媒体を充填するとともに、前記凹部上をダイアフラムによって覆う圧力検出器であって、前記圧力伝達媒体の熱膨張によって発生する前記凹部内の圧力変化によるオフセット電圧誤差を、前記圧力センサの前記半導体圧力チップと前記ガラス台座との間に形成される圧力基準室における内気の熱膨張により抑制してなることを特徴とする圧力検出器。 【請求項2】 前記圧力伝達媒体はシリコンオイルからなることを特徴とする請求項1に記載の圧力検出器。 【請求項3】 前記圧力基準室内の内気は、非爆発性気体によって満たされていることを特徴とする請求項1もしくは請求項2に記載の圧力検出器。 【請求項4】 半導体圧力チップをガラス台座上に配設してなる圧力センサを凹部内に配設し、前記凹部内を満たすように圧力伝達媒体を充填するとともに、前記凹部上をダイアフラムによって覆う圧力検出器の製造方法であって、前記圧力伝達媒体の熱膨張によるオフセット電圧温度特性に基づき、前記半導体圧力チップと前記ガラス台座との間に形成される圧力基準室の内圧と、前記半導体圧力チップと前記ガラス台座とを接合する際の接合温度との前記圧力センサを形成する際の生産条件を決定し、前記生産条件によって前記圧力センサを形成することで、前記圧力伝達媒体の熱膨張によって発生する前記凹部内の圧力変化によるオフセット電圧誤差を、前記圧力基準室における内気の熱膨張によって抑制することを特徴とする圧力検出器の製造方法。 【請求項5】 前記圧力伝達媒体はシリコンオイルからなることを特徴とする請求項4に記載の圧力検出器の製造方法。 【請求項6】 前記圧力基準室内の内気は、非爆発性気体によって満たされていることを特徴とする請求項4もしくは請求項5に記載の圧力検出器の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、気体や液体等の流体の圧力をダイアフラムから圧力伝達媒体を介し半導体式圧力センサに伝達する2重ダイアフラム式の圧力検出器及びその製造方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】圧力を検出する場合にピエゾ抵抗素子が形成された薄肉のダイアフラムを有する半導体圧力チップをガラス台座上に配設した半導体式圧力センサが多く用いられている。この圧力センサが用いられた圧力検出器としては、特開平5−172670号公報に開示されるものがある。 【0003】このような圧力検出器は、略凹部形状の金属製ケース体の底面に、ガラス台座上に半導体圧力チップが陽極接合により固着された絶対圧型圧力センサがエポキシ系接着剤を介し配設され、前記圧力センサの電極部と、前記ケース体の前記圧力センサの配設箇所近傍に封着用ガラスにより気密的に固着されたリードピンとが金等の接続部材によりワイヤボンディングされるとともに、前記ケース体内にシリコンオイル(圧力伝達媒体)が充填され、ステンレス等の金属製のダイアフラムにより前記ケース体1の開口部を塞ぐものである。 【0004】このような構成の圧力検出器は、気体や液体等の流体の圧力を金属製の前記ダイアフラムで受けると、前記シリコンオイルを媒体として前記圧力センサに圧力を印加する2重ダイアフラム式圧力検出器である。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】かかる圧力検出器は、前記シリコンオイルの充填量が多いと前記シリコンオイルの熱膨張によってオフセット電圧温度特性の傾きが大きくなり、このオフセット電圧温度特性を補正するための温度補償回路の構成が複雑になることから、前記シリコンオイルの充填量を少なくし、前記オフセット電圧温度特性の傾きを小さく抑える必要がある。そのため前記ケース体内に前記シリコンオイルの充填量を調整するスペーサを配設したり、前記ケース体の形状によって前記充填量を調整することになるが、圧力検出器の構成部品が増えることによってコストが高くなったり、圧力検出器の前記ケース体設計を煩雑にしてしまうといった問題点を有している。 【0006】そこで、本発明は前記問題点に着目し、ケース体の設計を複雑にしたり、構成部品を増やしたりすることなく、圧力伝達媒体の熱膨張によるオフセット電圧温度特性の温度補償を可能とする圧力検出器及びその製造方法を提供するものである。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明は、前記課題を解決するため、半導体圧力チップをガラス台座上に配設してなる圧力センサを凹部内に配設し、前記凹部内を満たすように圧力伝達媒体を充填するとともに、前記凹部上をダイアフラムによって覆う圧力検出器であって、前記圧力伝達媒体の熱膨張によって発生する前記凹部内の圧力変化によるオフセット電圧誤差を、前記圧力センサの前記半導体圧力チップと前記ガラス台座との間に形成される圧力基準室における内気の熱膨張により抑制してなるものである。 【0008】また、前記圧力伝達媒体はシリコンオイルからなるものである。 【0009】また、前記圧力基準室内の内気は、非爆発性気体によって満たされているものである。 【0010】また、半導体圧力チップをガラス台座上に配設してなる圧力センサを凹部内に配設し、前記凹部内を満たすように圧力伝達媒体を充填するとともに、前記凹部上をダイアフラムによって覆う圧力検出器の製造方法であって、前記圧力伝達媒体の熱膨張によるオフセット電圧温度特性に基づき、前記半導体圧力チップと前記ガラス台座との間に形成される圧力基準室の内圧と、前記半導体圧力チップと前記ガラス台座とを接合する際の接合温度との前記圧力センサを形成する際の生産条件を決定し、前記生産条件によって前記圧力センサを形成することで、前記圧力伝達媒体の熱膨張によって発生する前記凹部内の圧力変化によるオフセット電圧誤差を、前記圧力基準室における内気の熱膨張により抑制するものである。 【0011】また、前記圧力伝達媒体はシリコンオイルからなるものである。 【0012】また、前記圧力基準室内の内気は、非爆発性気体によって満たされているものである。 【0013】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づき説明する。図1は本発明の実施の形態を示す圧力検出器の要部断面図、図2は圧力検出器の製造方法を示す流れ図である。 【0014】図1において、圧力検出器は、SUS304等の金属製材料からなるケース体1の凹部1aの底面に、ガラス台座2上にシリコン等の半導体材料からなり薄肉のダイアフラム3aを有する半導体圧力チップ3が陽極接合により固着された絶対圧型圧力センサ4がエポキシ系接着剤を介し配設されている。また、圧力検出器は、圧力センサ4が半導体圧力チップ3上に形成される電極部(図示しない)と、ケース体1の圧力センサ4の配設箇所近傍に封着用ガラス5により気密的に固着されたリードピン6とが金等の接続部材7によりワイヤボンディングされとともに、ケース体1の凹部1a内を満たすように圧力伝達媒体であるシリコンオイル8が充填され、ステンレス製のダイアフラム9によりケース体1の開口部を塞ぐものである。 【0015】このような構成の圧力検出器は、気体や液体等の圧力をダイアフラム9で受けると、シリコンオイル8を媒体として圧力センサ4に圧力を印加する、所謂2重ダイアフラム式圧力検出器である。 【0016】次に、図2を用いて本発明の特徴となる圧力検出器の製造方法を説明するが、本発明の要旨とするところは、2重ダイアフラム式圧力検出器において、圧力伝達媒体であるシリコンオイル8の熱膨張によるオフセット電圧温度特性の温度補償を温度補償回路によって電気的に補正するものではなく、シリコンオイル8の凹部1a内の熱膨張によって発生する圧力変化によるオフセット電圧誤差を、圧力センサ4の半導体圧力チップ3とガラス台座2との間に形成される圧力基準室Rにおける内気により略キャンセルすることにある。 【0017】まず、シリコンオイル8の熱膨張によるオフセット電圧温度特性を測定する(ステップS1)。 【0018】次に、前記オフセット電圧温度特性に基づき、圧力センサ4の半導体圧力チップ3とガラス台座2とを陽極接合する際の接合温度Tと、半導体圧力チップ3とガラス台座2との間に形成される圧力基準室Rの内圧Pとの圧力センサ4を形成する際の生産条件を決定する(ステップS2,S3)。 【0019】次に、半導体圧力チップ3を複数有する半導体基板(例えば、シリコンウエハ)と、ガラス台座2を複数有するガラス基板とを減圧容器内に投入し、前記減圧容器の内圧を前記生産条件に基づいた内圧Pに設定するとともに、前記減圧容器内の温度を前記生産条件に基づいた温度Tに設定し、前記半導体基板と前記ガラス基板とを前記減圧容器内にて陽極接合を行い圧力センサ4を複数有するセンサ素子を形成する。尚、半導体圧力チップ3とガラス台座2との間に形成される圧力基準室Rの内気は大気(非爆発性気体)によって満たされていることになる。 【0020】次に、前記センサ素子をダイシングすることによって絶対圧型圧力センサ4を得る(ステップS4)。 【0021】次に、リードピン6がハーメチックシールされたケース体1を用意し、圧力センサ4をエポキシ系接着剤を介し凹部1aの底面に配設固定するとともに、圧力センサ4の電極部とリードピン6とを接続部材7によってワイヤボンディングする。そして、凹部1aを満たすようにシリコンオイル8を充填し、減圧容器にてシリコンオイル8内の気泡を脱泡した後、ケース体1の開口部にダイアフラム9を溶接等の手段によって配設固定することによって、圧力検出器が完成する(ステップS5)。 【0022】次に、シリコンオイル8の熱膨張によって発生する凹部1a内の圧力変化によるオフセット電圧誤差を、圧力センサ4の半導体圧力チップ3とガラス台座2との間に形成される圧力基準室Rにおける内気によりキャンセルできることを以下に説明する。 【0023】例えば、定格圧1kgf/cm↑2用の圧力検出器の圧力センサ4において、シリコンオイル8の熱膨張によるオフセット電圧温度特性が、例えば0.086%FULL SCALE(以下、FSと略す)/℃であるとすると、以下に示す圧力センサ4の生産条件によって、前記オフセット電圧温度特性に対する温度補償を行うことが可能となる。 【0024】前記オフセット電圧温度特性を基に、圧力基準室Rの内圧を0.559気圧(atm)、接合温度Tを400℃と設定する。尚、この生産条件は気体の状態方程式によって求まるものである。 【0025】半導体圧力チップ3とガラス台座2との接合後の25℃における常温時の圧力基準室Rの内圧P1は、略体積変化を無視すると、 P1=0.559atm×(25+273)℃/(400+273)℃ =0.2475atmであり、また、150℃における圧力基準室Rの内圧P2は、 P2=0.559atm×(150+273)℃/(400+273)℃ =0.3513atmである。従って、25℃から150℃時における圧力基準室Rの内圧P1,P2の気圧変化P3(P1−P2)は、P3=(0.2475−0.3513)atm=−0.1038atm=−0.1072kgf/cm↑2となる。本発明の実施の形態の圧力検出器は、定格圧1kgf/cm↑2であることから、150℃でのオフセット電圧温度特性は、−0.1072kgf/cm↑2/1kgf/cm↑2=−0.1072=−10.72%FSとなり、25℃と150℃との特性より算出するオフセット電圧温度特性は、−10.72%FS/(150−25)℃=−0.085784%FS/℃=−0.086%FS/℃であり、マイナスのオフセット電圧温度特性となり、シリコンオイル8の熱膨張によるオフセット電圧温度特性0.086%FS/℃を略キャンセルすることが可能となるものである。 【0026】従って、前述した圧力検出器は、シリコンオイル8の熱膨張によるオフセット電圧温度特性に基づき、半導体圧力チップ3とガラス台座2との間に形成される圧力基準室Rの内圧Pと、半導体圧力チップ3とガラス台座2とを陽極接合する際の接合温度Tとの圧力センサ4を形成する際の生産条件を決定し、前記生産条件によって圧力センサ4を形成することで、シリコンオイル8が充填される凹部1a内の熱膨張によって発生する圧力変化によるオフセット電圧誤差を、圧力基準室Rにおける内気の熱膨張により略キャンセルすることが可能となる。従って、従来のようにケース体の構造を複雑にしたり、またスペーサ等の専用部品を用いてシリコンオイル8の充填量を調整し、かつシリコンオイル8の熱膨張によるオフセット電圧温度特性を温度補償回路を用いて温度補償する必要がなくなるため、圧力検出器の構成を簡素化し、かつ圧力検出器の製造工程も簡素化できるものである。 【0027】また、圧力伝達媒体としてシリコンオイル8を用いているが、シリコンオイル8は、シリコンからなる半導体材料によって形成される半導体圧力チップ3を腐食させることがなく、熱安定性良好である。 【0028】また、圧力基準室Rの内気をエアーにより満たし、シリコンオイル8の熱膨張によって発生する凹部1a内の圧力変化によるオフセット電圧誤差を、圧力基準室Rにおける内気の熱膨張により略キャンセルできることから、専用の設備を用いること無く圧力検出器を得ることができ、安価な圧力検出器を得ることができる。 【0029】尚、本発明の実施の形態では、半導体圧力チップ3とガラス台座2との間に形成される圧力基準室Rの内気はエアーによって満たされていることになるが、例えば減圧容器内に窒素(非爆発性気体)を充満させ前記減圧容器内の内圧を設定するようにすれば、シリコンオイル8の熱膨張によって発生する凹部1a内の圧力変化によるオフセット電圧誤差を、圧力基準室Rの窒素による内圧により略キャンセルすることができるようになる。 【0030】また、本発明の実施の形態では、ケース体1自体を凹部形状としたが、例えばベース板と筒部とを組み合わせてなるケース体であっても良く、本発明における圧力検出器においては、凹部を有するものであれば本発明の実施の形態で説明したケース体構造に限定されるものではない。 【0031】また、本発明の実施の形態では、圧力伝達媒体としてシリコンオイル8を用いたが、例えばフロロシリコンオイルを用いるものであっても良い。 【0032】 【発明の効果】本発明は、半導体圧力チップをガラス台座上に配設してなる圧力センサを、ケース体体に備えられる凹部内に配設し、前記圧力センサを満たすように前記凹部に圧力伝達媒体を充填し、前記凹部上をダイアフラムによって覆う圧力検出器及びその製造方法に関し、前記圧力伝達媒体の熱膨張によるオフセット電圧温度特性に基づき、前記半導体圧力チップと前記ガラス台座との間に形成される圧力基準室の内圧と、前記半導体圧力チップと前記ガラス台座とを接合する際の接合温度との前記圧力センサを形成する際の生産条件を決定し、前記生産条件によって前記圧力センサを形成することで、前記圧力伝達媒体の熱膨張によって発生する前記凹部内の圧力変化によるオフセット電圧誤差を、前記圧力基準室における内気の熱膨張により抑制してなるものであることから、従来のようにケース体の構造を複雑にしたり、またスペーサ等の専用部品を用いて圧力伝達媒体の充填量を調整し、かつ前記圧力伝達媒体の熱膨張によるオフセット電圧温度特性を温度補償回路を用いて温度補償する必要がなくなるため、圧力検出器の構成を簡素化し、かつ圧力検出器の製造工程も簡素化できるものである。 【0033】また、前記圧力伝達媒体をシリコンオイルとすることによって、シリコンからなる半導体材料によって形成される前記半導体圧力チップを腐食させることがなく、熱安定性が良好である。 【0034】また、前記圧力基準室内の内気は非爆発性気体によって満たされていることから、専用の設備を用いること無く圧力検出器を得ることができ、安価な圧力検出器を得ることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000231512 【氏名又は名称】日本精機株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年5月25日(1999.5.25) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2000−337983(P2000−337983A) |
| 【公開日】 |
平成12年12月8日(2000.12.8) |
| 【出願番号】 |
特願平11−144751 |
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