| 【発明の名称】 |
柔軟センサ |
| 【発明者】 |
【氏名】佐藤 明生
【氏名】片山 晶雅
【氏名】日比野 真吾
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| 【要約】 |
【課題】感知面が非常に柔軟で、ごく微妙な圧力変化に対し優れた感度と応答性を有する柔軟センサを提供する。
【解決手段】樹脂フィルム16の片面に、厚み100〜20000Åのチタン薄膜18が蒸着形成され、このチタン薄膜18の上に厚み0.5〜50μmの圧電結晶薄膜19が形成され、さらにその上に電極層20が形成されてなる圧電積層体2を備えている。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 樹脂フィルムの片面もしくは両面に、厚み100〜20000Åのチタン薄膜が蒸着形成され、このチタン薄膜の上に厚み0.5〜50μmの圧電結晶薄膜が形成され、さらにその上に電極層が形成されてなる圧電積層体を備えていることを特徴とする柔軟センサ。 【請求項2】 上記チタン薄膜がスパッタリングによって形成されたものである請求項1記載の柔軟センサ。 【請求項3】 上記樹脂フィルムのチタン薄膜形成面が、コロナ処理もしくはプラズマ処理されている請求項1または2に記載の柔軟センサ。 【請求項4】 上記電極層が、電極パターンが形成された接着層または粘着層付の樹脂フィルムを、圧電結晶薄膜上に重ねることによって形成されている請求項1〜3のいずれか一項に記載の柔軟センサ。 【請求項5】 上記圧電積層体の裏面側に、支持部材が設けられており、上記支持部材によって、圧電積層体が持ち上げ保持されている請求項1〜4のいずれか一項に記載の柔軟センサ。 【請求項6】 上記支持部材が、上記圧電積層体の裏面全体に貼着される弾性体で構成されている請求項5記載の柔軟センサ。 【請求項7】 上記支持部材が、下地基材と、この下地基材上に設けられ上記圧電積層体裏面を部分的に支持する支持スペーサとで構成されている請求項5記載の柔軟センサ。 【請求項8】 上記圧電積層体の表面側に、一枚のカバーが設けられており、上記カバー下面には、持ち上げ保持された圧電積層体の表面を部分的に押圧しうる凸部が突設されている請求項5〜7のいずれか一項に記載の柔軟センサ。 【請求項9】 上記圧電結晶薄膜が鉛を含有する複合酸化物薄膜である請求項1〜8のいずれか一項に記載の柔軟センサ。 【請求項10】 上記圧電結晶薄膜が水熱合成によって形成されたものである請求項1〜9のいずれか一項に記載の柔軟センサ。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、圧力や歪みを敏感に感知することのできる柔軟センサに関するものである。 【0002】 【従来の技術】近年、圧力センサ、力センサの開発が進み、民生用電子機器,家電・住設用電子機器,セキュリティ機器,健康器具,オートメーションファクトリ,自動車,事務機器等、様々な用途に用いることが検討され、一部使用されている。 【0003】例えば、物体の接触圧を感知するセンサは、バリ取り,研削作業,組み立て作業等の力制御を行うことが可能なロボット、病人の体表面と寝具の間に生じる接触による床ずれ現象を防止するためのマット,エアマットの設計およびその接触圧を測定する装置、自動車の座席シート,スポーツシューズの設計等に使用されている。また、流体・気体圧を感知するセンサは、流量計,自動車の燃焼センサ,掃除機の真空度を制御する圧力センサ等に使用されている。 【0004】このように、微妙な圧力変化や変位,歪み等を感知する圧力センサ,力センサ,荷重センサとしては、焼結PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)を用いた圧電式センサや、歪みゲージ式センサ、感圧導電ゴム式センサ、水熱合成法やスパッタリング法等により基材上に圧電薄膜を積層した圧電素子を利用した圧電式センサ等があげられる。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これらのセンサは、いずれも、まだまだ圧電積層体の厚みが厚いため、ごく微妙な圧力変化等に追従して変位させることができず、したがって、そのようなごく微妙な圧力変化を正確に感知することができないという問題を有している。 【0006】そこで、上記問題を解決するため、本出願人は、低荷重でも必ずしも増幅器を必要としない10mV以上の出力レベルでしかも感知面が柔軟で、圧力変化に対し優れた感度と応答性を有し、しかもコンパクトで薄型形状を維持しており、安価で経済的な圧力センサ,力センサとして、例えばつぎのようなセンサを開発した。 【0007】すなわち、図14に示すように、まず、平面視四角形状の可撓性基板15の両面に圧電結晶薄膜19を形成し、この圧電結晶薄膜19の表面に電極層(電極)20を取り付けることにより、圧電素子21を形成する。ついで、この圧電素子21を、図15に示すように、銅箔等の金属材料からなる電極フィルム22で挟んだ状態で、上下方向から、保護フィルム(絶縁フィルム)23をラミネートすることにより、圧電積層体2を形成する。なお、22aは端子、24は電極フィルム22固定用の粘着剤層である。つぎに、上記圧電積層体2を、図16に示すように(図16では積層構造および側方に延びる端子等を省略している)、その裏面の四隅に設けられた支持スペーサ3によって、下地基材4上に、所定厚みだけ持ち上げ保持する。このようにして作製された圧力検知部5をセンサとして用いると、上記問題を解決することができる。 【0008】本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、感知面が非常に柔軟で、ごく微妙な圧力変化に対し優れた感度と応答性を有する柔軟センサの提供をその目的とする。 【0009】 【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するため、本発明の柔軟センサは、樹脂フィルムの片面もしくは両面に、厚み100〜20000Åのチタン薄膜が蒸着形成され、このチタン薄膜の上に厚み0.5〜50μmの圧電結晶薄膜が形成され、さらにその上に電極層が形成されてなる圧電積層体を備えているという構成をとる。 【0010】すなわち、本発明の柔軟センサは、従来の圧電式センサのように、圧電薄膜を支受する基材として金属基板を用いるのではなく、樹脂フィルム上に蒸着形成された、厚み100〜20000Åという非常に薄いチタン薄膜を用いるようにしたものである。したがって、このチタン薄膜上に厚み0.5〜50μmの圧電結晶薄膜を形成して得られる圧電積層体も非常に薄いものとなり、従来実現することのできなかった、極めて柔軟な特性を示す。このため、ごく微妙な圧力変化等にも追従して変位を生じさせることができ、これを電圧として安定して出力させることができる。 【0011】なお、本発明において、「電圧が安定した出力を行う」とは、本発明にかかる柔軟センサを用いて出力電圧ピーク値を10回測定して、その測定値の標準偏差が0.3以下であることをいう。 【0012】そして、本発明において、上記チタン薄膜がスパッタリングによって形成されたものは、チタン薄膜が均一な厚みで形成されているため、好適である。 【0013】また、本発明において、上記チタン薄膜が形成される樹脂フィルム表面が、コロナ処理もしくはプラズマ処理されているものは、特にチタン薄膜と樹脂フィルムとが剥離しにくく、長期にわたって良好に使用することができる。 【0014】そして、本発明において、上記電極層を、電極パターンが形成された接着層または粘着層付の樹脂フィルムを圧電結晶薄膜上に重ねることによって形成したものは、複数の電極層を形成する場合等に、これを簡単に形成することができ、好適である。 【0015】さらに、本発明において、上記圧電積層体の裏面側に、支持部材が設けられて圧電積層体が持ち上げ保持されている場合には、圧力変化に対し、より優れた感度と応答性を発揮する。また、そのなかでも特に、上記支持部材が、上記圧電積層体の裏面全体に貼着される弾性体で構成されているものや、上記支持部材が、下地基材と、この下地基材上に設けられ上記圧電積層体裏面を部分的に支持する支持スペーサとで構成されているものが好適である。 【0016】また、本発明において、上記圧電積層体の表面側に、一枚のカバーが設けられており、上記カバー下面に、上記圧電積層体の表面を部分的に押圧する凸部が突設されたものは、上記凸部で集中的に圧電積層体を押圧することができるため、より大きく、しかも偏りなく圧電積層体を変位させることができ、出力がより大きくなるため、好ましい。 【0017】さらに、上記圧電結晶薄膜として鉛を含有する複合酸化物薄膜を用いたもの、上記圧電結晶薄膜を水熱合成によって形成したものは、膜厚が一定で非常に薄い圧電結晶薄膜が得られ、しかもこのものは非常に圧電性能が高いため、非常に柔軟なセンサとなり、好適である。そして、上記圧電結晶薄膜を水熱合成によって形成する場合、特に、チタン薄膜が形成される表面をコロナ処理もしくはプラズマ処理したものは、水熱合成時にチタンが基板表面から剥離しにくく、安定した成膜を得ることができる。 【0018】 【発明の実施の形態】つぎに、本発明の実施の形態を説明する。 【0019】図1は,本発明の一実施の形態を示している。すなわち、このセンサ1は、樹脂フィルム16の片面に、蒸着によってチタン薄膜18を形成し、さらにその上に、圧電結晶薄膜19を形成したのち、その上に、電極層20を介して、樹脂フィルム17を被覆して得られる圧電積層体2からなり、全体がごく薄い柔軟なシート状になっている。 【0020】上記樹脂フィルム16,17は、ともに、一定の強度を有し、内部の積層構造を保護しうるものであれば、どのような材質の樹脂フィルムであっても差し支えはないが、圧電結晶薄膜19を水熱合成によって形成する場合には、絶縁性,耐熱性,耐薬品性等の点から、例えばポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルサルホン(PES)、液晶高分子(LCP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリスルフォン(PSF)等が用いられ、なかでも特に、PEEKが好適である。 【0021】上記樹脂フィルム16,17の材質は、互いに同一であっても異なっていてもよいが、通常、取扱いの便から、同一のものが用いられる。そして、その厚みは、通常、ともに10〜150μmに設定することが好適である。すなわち、10μmより薄いと、製品(例えばセンサ)として使用する場合、製造時に破れる可能性が大きくなり、逆に150μmより厚いと、得られる圧電積層体2が厚くなり、柔軟性が乏しくなるおそれがあるからである。 【0022】そして、上記樹脂フィルム16の片面へのチタン薄膜18の形成は、化学蒸着(CVD),真空蒸着,スパッタリング等の蒸着技術によって行われるが、なかでも、スパッタリングを用いることが、均一に薄膜を形成することができる点で好適である。なお、上記樹脂フィルム16とチタン薄膜18の接合強度を高めるために、上記樹脂フィルム16の、チタン薄膜18を形成する面に対し、予めコロナ処理,プラズマ処理等を施しておくことが好適である。 【0023】上記チタン薄膜18の厚みは、100〜20000Åに設定することが必要である。すなわち、100Åより薄いと、このチタン薄膜18の上に圧電結晶薄膜19を形成することが困難となり、逆に20000Åを超えると、薄膜形成に時間がかかり、経済的でないとともに、得られる圧電積層体2が厚くなって柔軟性が損なわれるからである。なお、このチタン薄膜18は、圧電結晶薄膜19を形成するための基板として機能するだけでなく、圧電結晶薄膜19に対する裏面電極としての機能を果たす。 【0024】また、上記チタン薄膜18の上に形成される圧電結晶薄膜19は、どのようにして得られるものであってもよいが、特に、水熱合成法によって形成されるものが好適である。 【0025】上記圧電結晶薄膜19の組成は、圧電特性を備えるものであれば、どのようなものであっても差し支えないが、上記水熱合成によって得るのに適した組成に設定することが好適である。このような組成としては、ペロブスカイト(ABO3)構造の複合酸化物があげられる。そして、上記Aサイトとしては、通常、Pb、Ba、Ca、Sr、LaおよびBiから選択される少なくとも1種の元素があげられ、上記Bサイトとしては、Ti単独か、Zr、Zn、Ni、Mg、Co、W、Nb、Sb、TaおよびFeから選択される少なくとも1種の元素とTiとの複合物があげられる。このような複合酸化物の例としては、Pb(Zr,Ti)O3 、PbTiO3 、BaTiO3 、SrTiO3 、(Pb,La)(Zr,Ti)O3 等があげられる。 【0026】水熱合成は、通常、上記組成を構成しうる金属元素を含む金属塩の水溶液をアルカリ性に調整してなる水溶液と、上記チタン薄膜18が形成された樹脂フィルム16を、オートクレーブに装入し加圧下で加熱することにより行う。これにより、チタン薄膜18の表面に、圧電結晶薄膜19が形成される(ユニモルフ型)。 【0027】このようにして得られる圧電結晶薄膜19の厚みは、0.5〜50μmに設定することが必要で、なかでも1〜30μmに設定することが好適である。すなわち、厚みが0.5μm未満では充分なセンサ出力が得られにくく、逆に50μmを超えるとせっかく蒸着されたごく薄いチタン薄膜18を用いているにもかかわらず、得られる圧電積層体2の柔軟性が乏しくなるからである。 【0028】なお、上記水熱合成は、特開平4−342489号公報に開示されているように、結晶核生成と結晶成長の2段階に分けて行うようにしてもよいし、あるいは、特開平9−217178号公報,特開平9−278436号公報に開示されているように、1段階のみで合成を行ってもよい。また、特開平9−278436号公報に開示されているように、上記オートクレーブを、鉛直方向に振動させながら行うようにしてもよい。この場合、例えば図2に示すように、加熱手段(図示せず)と攪拌手段11を備えた耐熱容器(オイルバス等)12内に、オートクレーブ10を、支受手段13,14によって上下可動に支受し、鉛直方向に1Hz以上、特に3〜50Hzの振動をかけながら水熱合成を行うようにすることが好適である。 【0029】さらに、上記水熱合成によって得られたチタン薄膜18−圧電結晶薄膜19の積層体表面を封孔処理してもよい(特願平8−277826号)。上記封孔処理は、(a)樹脂、セラミック等の絶縁材料を用いて圧電結晶薄膜19の多孔質部分およびピンホールを絶縁物で埋める方法、(b)上記積層体を高温酸化性雰囲気下に置き、薄膜による被覆がされていないか、あるいは被覆が不充分なピンホール部分に、絶縁性酸化物皮膜を形成する方法、のいずれかの方法により行うことができる。この封孔処理により、得られる圧電積層体2の性能を向上させることができる。 【0030】上記封孔処理に使用する絶縁材料またはその前駆材料は、有機系、無機系のいずれでもよい。有機系材料としては、例えば塩化ビニル,ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリエステル,ポリカーボネート,ポリアミド,ポリイミド,エポキシ樹脂,フェノール樹脂,尿素樹脂,アクリル樹脂,ポリアセタール,ポリサルフォン,液晶ポリマー,PEEK等があげられる。また、無機系材料としては、例えばアルミナ,ジルコニア,シリカ,チタニア等の材料をベースにしたセラミックコーティング材料、金属アルコキシドやポリシラザン等のセラミック前駆体等があげられる。 【0031】このようにして、チタン薄膜18の上に圧電結晶薄膜19を形成したのち、その上に電極層20を形成し、さらに電極層20が形成されていない部分も含めて、表面全体を樹脂フィルム17で被覆し一体化することにより、圧電積層体2を得ることができる。なお、上記樹脂フィルム17には、予めその接合面に粘着層(接着層)が形成しておくようにする。また、上記樹脂フィルム17には、上記電極層20に接続される端子(図示せず)も設けておくことが望ましい。 【0032】上記電極層20の形成は、Al、Ni、Pt、Au、Ag、Cu等の導電材料を、上記圧電結晶薄膜19の表面に堆積させるか、これを被覆することによって行われる。その方法は、特に限定するものではなく、例えば導電ペーストの塗布、無電解メッキ法、スパッタリング法、化学蒸着法等を用いることができる。そして、上記電極層20の厚みは、通常、1μm以下、特に0.1μm以下に設定することが好適である。 【0033】なお、上記電極層20は、上記のように、圧電結晶薄膜19の上に形成する以外に、つぎのようにして形成してもよい。すなわち、予め樹脂フィルム17上に、スクリーン印刷やエッチング等により、電極層20となる部分と端子となる部分とで構成された電極パターンを形成しておき、この電極パターン付の樹脂フィルム17で、上記圧電結晶薄膜19が形成された表面を被覆するようにしてもよい。この方法によれば、適宜の電極パターンを簡単に形成することができ、しかも電極層20と樹脂フィルム17とを同時に積層することができるため、製造効率がよい。 【0034】このようにして得られる柔軟センサ1は、全体が、非常に柔軟で、微妙な圧力変化に対し優れた感度と応答性を発揮するため、ごく小さな圧力変化を読み取る必要のある風向センサとして用いたり、きめ細かな圧力制御や流量制御等を必要とする制御装置等のセンサ部分に用いるのに最適である。また、ロボットハンドの動作部や、バーチャルゲームのグローブ部分等、所定の動作に追従して変形しながらその圧力を感知する部分にも、好適に用いられる。 【0035】なお、上記の例では、圧電積層体2を、ユニモルフ型薄膜ピエゾによって構成しているが、これに限らず、バイモルフ型であっても差し支えない。 【0036】そして、上記圧電積層体2の形成方法は、水熱合成法に限らず、どのような方法によっても差し支えないが、0.5μm以上の均一な圧電結晶膜を形成するには、上記の例のように、特開平9−217178号公報および特開平9−278436号公報に開示されているような水熱合成法を用いることが最適である。そして、なかでも、水熱合成時に、オートクレーブ10への鉛直方向の振動を、3〜50Hzの範囲内でかけ、金属塩(硝酸鉛、オキシ塩化ジルコニウム、四塩化チタン)およびアルカリ(水酸化カリウム)の混合水溶液中の各々の濃度を下記のように設定することにより、圧電性能に優れる圧電積層体2を得ることが、優れたセンサ性能を得る上で、好適である。 【0037】 〔水熱合成時の金属塩、アルカリの好適濃度〕 硝酸鉛 0.1 〜1.0mol/リットル オキシ塩化ジルコニウム 0.05〜2.0mol/リットル 四塩化チタン 0 〜0.5mol/リットル 水酸化カリウム 2.5 〜8.0mol/リットル【0038】なお、本発明の柔軟センサ1は、上記の例のように、圧電積層体2のみで構成したものであってもよいし、圧電積層体2の裏面側に支持部材を設け、この支持部材によって圧電積層体2を一定の高さに持ち上げ保持したものであってもよい。 【0039】例えば、上記支持部材を用いた例として、図3に示すように、圧電積層体2の裏面全体に、所定厚みの弾性体30を貼着した構造の柔軟センサをあげることができる。上記弾性体30としては、ゴム,熱可塑性エラストマー(TPE),ゲル,発泡体等、各種の弾性材を用いることができるが、上記圧電積層体2の変形にできるだけ追従するものであることが好ましく、そのためには、貯蔵弾性率(動的粘弾性測定法により測定)が1.0×105 〜1.0×1010dyn/cm2 であることが好適である。そして、上記弾性体30の厚みは、柔軟センサの取り付け条件等によるが、通常、0.1〜20mm、なかでも0.5〜20mm程度に設定することが好適である。 【0040】また、圧電積層体2を持ち上げ保持する他の支持部材として、例えば、図4に示すように、長方形状の圧電積層体2(図示せず)の四隅を、4個の支持スペーサ3によって持ち上げて支持する構造のもの(図16参照)があげられる。4は下地基材である。 【0041】上記支持スペーサ3および下地基材4は、樹脂、TPE、ゴム、金属、無機材料等、ある程度強度を有するものであればどのような材質であっても差し支えない。そして、その成形方法も、単に下地基材4と支持スペーサ3とを接着させる方法だけでなく、材質に応じて適宜の方法を採用することができる。 【0042】例えば、樹脂やTPE、ゴムを用いる場合、プレス成形やトランスファー成形、インジェクション成形等によって、上記支持スペーサ3と下地基材4を一体的に成形することができる。 【0043】また、下地基材4上の、支持スペーサ3を形成する予定部分に、レジストを塗工して硬化させることにより、支持スペーサ3を形成することができる。あるいは、下地基材4と銅箔を積層した積層体を準備し、銅箔の不用部分を溶剤等によってエッチング除去することにより、銅箔残部を支持スペーサ3とすることができる。 【0044】上記支持スペーサ3および下地基材4からなる支持部材と、前記圧電積層体2との一体化は、通常、上記支持スペーサ3の上面と圧電積層体2の下面を、接着剤を介して接合することによって行われる。 【0045】なお、上記支持スペーサ3および下地基材4からなる支持部材の厚みは、図3の構造の場合と同様、0.1〜20mm、なかでも0.5〜20mm程度に設定することが好適である。 【0046】また、支持スペーサ3によって、圧電積層体2の裏面を、四隅で支持するのではなく、図5に示すように、下地基材4上に、左右2本の帯状の支持スペーサ3aを設け、圧電積層体2の左右両端部を支持するようにしてもよい。 【0047】また、図6に示すように、下地基材4上の周縁部全体に、環状に支持スペーサ3cを設け、圧電積層体2の周縁部全体を支持するようにしてもよい。 【0048】そして、様々な形状の対象物品、センサ設置空間に合わせて、圧電積層体2自身を適宜の形状にすることができ、その形状に合わせて、支持部材の形状も適宜変更することができる。例えば、図7に示すように、三角形状の圧電積層体2′に対しては、その三つの角部を支持スペーサ3dで支持するとともに、下地基材4の形状も、それに合わせて三角形状にすることができる。もちろん、図8に示すように、その周縁部全体を、環状スペーサ3eで支持することもできる。 【0049】また、図9に示すように、円形状の圧電積層体2″に対しては、円環状スペーサ3fで支持することもできる。 【0050】さらに、本発明において、柔軟センサの出力をより安定化させるために、例えば図10に示すような、下面中央に凸部31が形成された凸カバー32を、柔軟センサの上に重ねて一体化することができる。このようにすると、全体が柔軟な弾性体30で支持された構造の柔軟センサ(図3参照)、あるいは支持スペーサ3等によって中央部が空隙となるよう支持された構造の柔軟センサ(図4〜図9参照)に対し、上方から荷重がかかった場合に、図11に示すように、上記凸部31で集中的に圧電積層体2を押圧することができるため、より大きく、しかも偏りなく圧電積層体2が変位する。 【0051】上記凸カバー32において、凸部31は、圧電積層体2と接触もしくは接着すれば足りるのであり、その形状は、球状、半球状、直方体状等、どのような形状であっても差し支えはない。また、寸法も、圧電積層体2を押圧する際、これをスムーズに押すことができれば、どのような寸法であっても差し支えはない。そして、上記凸カバー32は、下地基材4と支持スペーサ3からなる支持部材を作製する方法と同様にして作製することができる。 【0052】なお、上記凸カバー32は、上記の例に限らず、本発明の、各種支持形態の柔軟センサと組み合わせて用いることができる。 【0053】また、本発明において、図1の柔軟センサ1は、圧電積層体2が1素子を構成するものであるが、広い面積の圧電積層体において、圧電素子を多数、マトリックス状に分布形成させた構造にすることもできる。すなわち、例えば図12に示すように、樹脂フィルム16上に、縦横複数列のマトリックス状にチタン薄膜18を形成し、各チタン薄膜18上に、水熱合成等によって圧電結晶薄膜19をそれぞれ形成する。一方、樹脂フィルム17上に、上記各圧電結晶薄膜19の表面と接する電極層20とそこから端面まで延びる端子とを有する電極パターンを形成し、その電極パターン形成面を上記圧電結晶薄膜19形成面に重ねるようにして樹脂フィルム17を被せる。これにより、圧電素子が規則正しくマトリックス状に並んだ柔軟センサを、簡単に得ることができる。この柔軟センサは、微妙な圧力が面としてかかる場合に各部位における圧力分布を測定する分布センサ50として用いることが好適である。 【0054】そして、上記分布センサ50の構造をとる場合、例えば図13に示すように、前述の支持部材に相当するものとして、下地基材60と、圧電素子と圧電素子との間に裏面側から格子状に当接するよう設けられた凸条の支持スペーサ61とを有するシート状支持部材62を用意し、前述の凸カバー32に相当するものとして、一枚のシート63の下面に、所定間隔で押圧用の凸部64が圧電素子の数だけ形成された凸カバー65を用意し、これらを図示のように上記分布センサに組み合わせて用いることが好適である。もちろん、上記シート状支持部材62に代えて、例えば図3〜図9に示すような各種の支持構造を、圧電素子の配置に合わせて連続的に設けたものを用いることができる。 【0055】つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。 【0056】 【実施例1〜8】樹脂フィルムとして厚み50μmのPEEKフィルムを用い、その片面に、スパッタリング法により、所定厚みのチタン薄膜(25mm×25mm)を蒸着形成した。また、硝酸鉛120mmol、オキシ塩化ジルコニウム58.3mmolおよび水酸化カリウム1642mmolを水に溶解した溶液360ミリリットルを、テフロン内張りオートクレーブ容器内に入れた。そして、上記チタン薄膜が形成された樹脂フィルム(30mm×30mm)を上記オートクレーブ内に装入して密閉し、オイルバス中で、加圧下、約150℃で約48時間、鉛直方向に30Hzの振動を加えて水熱合成処理を行うことにより、上記チタン薄膜の表面に、厚み5μmのチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)の結晶層を形成した。そして、その上に、スパッタリング法により、厚み100Åの白金電極を形成した。一方、上記樹脂フィルムと同様の樹脂フィルム(30mm×30mm、厚み50μmのPEEKフィルム)の表面に、アクリル系ポリマーからなる厚み5μmの粘着層(接着層)を形成し、銅箔からなる電極および端子を形成してして電極フィルムとした。 【0057】そして、チタン薄膜上にPZT結晶薄膜が形成された樹脂フィルムの薄膜形成面と、上記電極フィルムの電極パターン形成面とを重ねて接合一体化することにより、圧電積層体を得た。そして、この圧電積層体の裏面に、厚み3mmの発泡シリコーンゴムを支持部材として接合して、目的とする柔軟センサを得た。なお、実施例7品については、チタン薄膜の形成に先立ち、樹脂フィルム表面にコロナ処理を施し、実施例8品については、同じくチタン薄膜の形成に先立ち、樹脂フィルム表面にプラズマ処理を施した。 【0058】 【比較例1,2】また、上記実施例1〜8の作製方法に準じて、チタン薄膜の厚みが本発明の範囲外となる2種類の柔軟センサを作製した。 【0059】 【比較例3,4】さらに、樹脂フィルム上にチタン薄膜をスパッタリングで形成したものを用いるのではなく、所定厚みのチタン箔を用意し、このチタン箔表面に水熱合成によってPZT結晶薄膜を形成させるようにした。そして、片面のPZT結晶薄膜を削り落としてユニモルフ型としたのち、上記実施例1〜8と同様にして形成した電極パターンフィルムの間に上記ユニモルフ型を挟み込み、圧電積層体を得た。それ以外は、上記実施例1〜8と同様にして、2種類の柔軟センサを得た。 【0060】これらの実施例品、比較例品に対し、その中央部に向かって、5cm上方から直径10.0mmの鋼球を落下させることにより衝撃荷重を加え、A/D変換器により出力電圧を測定した(測定値は10回の平均値)。そして、センサ特性については、ピーク出力電圧が10mV以上で規則性のある波形を示すセンサを○と判定した。また、センサ表面の感触から、充分な柔軟性を備えているセンサを、柔軟性○と判定した。さらに、その他の因子についても判定し、全てが○の場合にのみ、総合判定を○とした。これらの結果を、下記の表1〜表3に示す。 【0061】 【表1】
【0062】 【表2】
【0063】 【表3】
【0064】 【実施例9〜12】チタン薄膜を形成する樹脂フィルムと、電極パターンを形成する樹脂フィルムを、ともにPEEKではなく、下記の表4に示すとおり、ポリエーテルサルホン(PES)、液晶高分子(LCP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリスルフォン(PSF)に代えた。それ以外は、上記実施例1〜8と同様にして4種類の柔軟センサを得た。そして、上記と同様にして出力電圧等を測定し、同様の評価を行った。その結果を下記の表4に併せて示す。 【0065】 【表4】
【0066】 【発明の効果】以上のように、本発明の柔軟センサは、圧電結晶薄膜を形成するための基板として、単なる基板や箔を用いるのではなく、樹脂フィルム上に所定厚みのチタン薄膜を形成したものを用いているため、全体が、非常に柔軟で、ごく微妙な圧力変化に対しても優れた感度と応答性を発揮するようになっている。しかも、その出力電圧が非常に安定しているため、センサ特性が良好である。そして、全体が簡単な構成で、製造も容易であることから、安価で経済的である、という利点も備えている。したがって、ごく小さな圧力変化を読み取る必要のある部分に、広く用いることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000219602 【氏名又は名称】東海ゴム工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年5月27日(1999.5.27) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100079382 【弁理士】 【氏名又は名称】西藤 征彦
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| 【公開番号】 |
特開2000−337971(P2000−337971A) |
| 【公開日】 |
平成12年12月8日(2000.12.8) |
| 【出願番号】 |
特願平11−148838 |
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